JPH0229869B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は例えばUS−Ａ−3746475に開示されて
いるごとき特許請求の範囲第１項の前文に明記さ
れているような斜板圧縮機に関する。

車両空気調節系に使用されるような斜板圧縮機
において、斜板とピストンの間の駆動配置は通常
各ピストンのソケツト内および斜板の一側により
摺動自在に係合される平坦な側部を有するシユー
のソケツト内に装着される球から成る。またこれ
らの部品を組合わせる半球形シユーを採用するこ
とも提案されている。

典型的には、斜板圧縮機のピストンはアルミニ
ウムで作られ、球および半球形シユーは鋼で作ら
れ、シユーは真鍮で作られる。適正な作動のため
には、ピストンと、球と、シユー（または半球形
シユー）と斜板との間の適合はきわめて密に保持
されなければならない。実際には、これはシユー
をある寸法的なインクリメントまたはクラスに機
械加工し、測定し、区分することにより行なわれ
ていた。例えば、このインクリメントは製造公差
によつては0.005mm（0.0002″）と小さくそして数
が広範であつてもよい。

組立てに当つては、球をピストン内に組付け、
それらの間の隙間を測定する。斜板の厚さも測定
し、次いでこの２つの寸法が適正なクラスのシユ
ーが各ピストンに対して選択されるのを可能とす
る。必要な区分、測定および選択に要する人力お
よび装備は主要な製造コストを表わす。更に、シ
ユーの在庫は予期される要求に応じるに充分な数
の部品をすべてのクラスにおいて維持するために
高く保たれねばならない。また鋼製の半球形シユ
ーにあつては、量産において平坦な側部を有する
球を生産しその公差を維持することは単純な丸い
球に対するよりも遥かに困難であるという点で付
加的な困難さもある。

現場での次期の操作時には、真鍮製シユーによ
る雑音や汚しといつた問題が起りうる。一方で
は、雑音は組立てミス、摩耗、または鋼球がアル
ミニウム製ピストン内に嵌入することによる適合
の損失に帰せられる。この時、それによつて生じ
る緩んだ組立体は圧縮時に斜板上に乗上げるので
はなくて側圧を受ける。この状況は使用に伴つて
改善することはなく、むしろ悪化する。他方、汚
された真鍮は斜板とシユーの間に潤滑剤が存在し
ない乾式始動時に生じるものであり、その結果シ
ユーからの真鍮が鋼板上に沈積し真鍮対真鍮界面
を形成し、摩損を生じる恐れがある。

本発明は上記難点のいくつかまたはすべてを最
小にするか回避することに関与するものである。

この目的上、本発明に係る斜板圧縮機は特許請
求の範囲第１項の特徴記載部分に明記された特徴
を有する。

これにより本発明に係る斜板圧縮機は製造上の
問題にも現場での問題にもきわめて簡単な解決を
与える可能性を有する。

従つて、本発明に係る斜板圧縮機の具体的な一
実施例においては、従来使用された鋼球および真
鍮シユー（または提案された半球形鋼シユー）の
代わりに、真鍮および鋼片よりも大きい熱膨張係
数と真鍮および鋼片よりも小さい摩擦係数を有す
るプラスチツク材料で作られた一体的な（単体的
な）球およびシユーが用いられる。シユー部は円
筒形または他の形状でもよく、平坦な一端を有
し、球部は該部分に、該部分が種々の大きさおよ
び選択的な適合を必要とするのではなくて単一の
大きさで作られて一連の圧縮機のすべてにおいて
予負荷の下に適合するのを可能とするに充分なし
なやかさを与えるように、球部が受容されるピス
トンのソケツトの半径よりも僅かに小さい半径を
有する。

更に、平坦および球形の端の作動面積を等しく
すれば、負荷および従つて摩耗は均等に配分さ
れ、その結果、前記部分はプラスチツク材料の使
用を最適化するために最大の大きさでなお且つ最
大の寿命を持つように設計しうることが発見され
た。

しかも、本発明に係る斜板圧縮機に用いられる
プラスチツク製の球鼻部付きシユーは丸いロツド
素材から機械加工するかあるいは射出成形し型か
ら出てくるままに使用することができるが、これ
は研削または他の仕上げをを要しないからであ
る。

製品の品質とコストの双方に優利な影響を及ぼ
す潜在的な利益は従つて多く、その中には測定、
区分および選択を排除する可能性や所要の在庫の
低減を達成する可能性が含まれる。例えば、３つ
の二重端付きピストンを備えた６気筒圧縮機の場
合、６つの部品を排除すると共に異なる大きさク
ラスの必要も排除することが可能である。更に、
部品をプラスチツクのロツドから機械加工するか
成形するかにかかわりなく製造が容易となり、ま
たピストンが測定用部品との予備組立てを要しな
いので組立ても容易となしうる。しかも、圧縮機
の雑音の問題の低減、汚される真鍮の回避および
作動トルクの低減の可能性もある。

さて第１図において、一体的なプラスチツク球
およびシユー部１０は別として、US−Ａ−
4347046の第８図ないし第２３図に開示されてい
るものと同様な斜板圧縮機が示されている。

この圧縮機はそれぞれ頭部１６および１８をそ
なえた嵌合用三気筒シリンダブロツク１２および
１４と、斜板２２を固定させた駆動軸２０と、前
記シリンダブロツクのそれぞれのシリンダ内に受
容され斜板によりその逆向き側において球端付シ
ユーを経て駆動されるようになされた３つの二重
端付ピストン２４（そのうちの１個のみ図示）と
を含む。次に詳細を説明する球端付シユーは別と
して、この圧縮機構造および作動の他の特徴は上
記US−Ａ−4347046の開示に対応する。

一体的なプラスチツク球およびシユー部１０は
各々、中心が本体の軸３０（第２図参照）にある
半球形表面２８を一端に形成され、本体の軸に垂
直な平坦な円形表面３２を他端に形成された円筒
形本体２６を有する。各ピストンにおいて、各々
の一体的なプラスチツク球およびシユー部の平坦
な円形表面３２は回転する斜板の一側がそれに対
して摺動するシユーとしての役目を果たし、球端
２８はピストンが斜板にまたがるピストンの２つ
の内端のうちの関連した一方に形成された球形ソ
ケツト３４内に受容されている。

一体的な球およびシユー部はプラスチツク材料
で作られるが、これまでに行われたテストと商品
名Vespel^RSP−21およびSP−211の下にデユポン
社で製造されているポリイミド・プラスチツク材
料で最も有望な結果を示している。この材料は熱
膨張係数41.4×10^-6mm／mm／℃（23×10^-6in／
in／〓）を有しており、これはこの材料に取つて
代わられる従来の真鍮および鋼片の熱膨張係数よ
りも大きい。更に、この材料は真鍮および鋼より
も遥かに低い摩擦係数を有する。しかも、この材
料は永久的変形に対して耐性を有しながらしなや
かであり、単一クラスの大きさを使用可能とする
ために利用されるのはこれらの特徴である。この
目的のために、一体的なプラスチツク製球および
シユー素子の各々の球端２８は、組立体内の予負
荷がプラスチツク材料を第３図に示すようにソケ
ツトに適合させ従つてソケツト内にぴつたりと着
座させるように、第２図に示すようにピストンソ
ケツト３４の半径Ｒ３４よりも僅かに小さな半径
Ｒ２８をもつて形成されている。従つて、選択的
取付け部品を必要とする代わりに、所望のぴつた
りした適合を与えるために組立て時にそのしなや
かさの度合いにおいて変化しうる単一大きさの一
体的なプラスチツク球およびシユー素子が設けら
れるものである。

第４図および第５図には一体的なプラスチツク
球およびシユー部ならびに関連する構造の更なる
実施例が示されており、これらの図において同様
な参照数字に′および″をそれぞれ付したものは第
１図ないし第３図における部品および部分に対応
する部品および部分を示し、新しい参照数字は新
しい構体を示す。

これらの更なる実施例において、一体的なプラ
スチツク球およびシユー部の大きさは最小にされ
ながら、その寿命は平坦および半球形端の作動表
面を等面積にすることにより使用されるプラスチ
ツク材料の割には最大にされる。これは、使用に
当つては、これらの領域は摩耗表面であると共に
負荷担持表面であること、および２つの作動領域
を大きさにおいて等しくすることによりこれら２
つの作動領域間に負荷を均等に配分することによ
つてプラスチツク材料の最大の大きさ、最大の寿
命および最良の利用という点で最適化された設計
が得られることを認識することから生じるもので
ある。

比較のために第３図を参照すると、第３図にお
いては、平坦表面３２の面積はπR² ₂₈として説明
しうるが、半球形端面２８の面積は、該半球形表
面の全領域が使用されるのではなくてその実際の
作動領域は嵌合用ソケツト３４の深さにより決定
されるものであり従つてその全領域よりも小さい
ことを認識すると、2πR² ₂₈として説明することが
でき、従つて平坦表面の摩耗および負荷担持表面
積の２倍よりも若干小さいということが注目され
よう。

第４図および第５図の実施例においては、一体
的なプラスチツク球およびシユー部上に予期され
た負荷が与えられると、可能な単位荷重は選択さ
れたプラスチツク材料から、そして半球形端の必
要な作動表面積はソケツトの深さを考慮して決定
されるということから決定される。従つて平坦端
の半径は、平坦表面の面積が作動半球形表面の面
積と等しくなるように半球形端の半径に対して相
対的に増大せしめられることになる。

第４図に示した実施例は、平坦な円形表面３
２′の面積が半球形表面２８′の実際の作動面積と
等しくなるように、第３図実施例と同様に円筒形
部分２６′を保持するがこの部分の半径、従つて
その平坦な円形端３２′の半径R′₃₂を半球形端の
半径R′₂₈よりも実質的に大きくすることにより向
上した負荷配分および摩耗結果を達成する。

しかも、第４図実施例においては半球形端はピ
ストンとの空隙を与えるように中間円錐形部分３
６を経て円筒形部分に接合され、従つて円筒形部
分の長さは短縮されていることは明らかであろ
う。

第５図に示した実施例は平坦な円形表面３２″
と半球形表面２８″との作動面積が第４図におけ
ると同様に等しくなるように平坦な円形表面３
２″の半径R″₃₂を半球形表面２８″の半径R″₂₈より
も大きくするが、第３図および第４図におけるも
のに対応する円筒形部分は除去し２つの作動端は
円錐形部分３８により直接互いに接合することに
より、本質的に同じ向上した結果を達成する。

一体的なプラスチツク球およびシユー部を成形
する場合には、この一体的なプラスチツク球およ
びシユー部の各々において摩耗と負荷を均等に配
分するように対向し合う作動領域と調和するよう
に所要のドラフト角度（即ち円錐台状テーパ）を
利用して平坦表面のより大きな半径を形成しうる
ことも考えられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は複数の一体的なプラスチツク球および
シユー部を組込み車両空気調節系に使用しうる冷
房圧縮機の形態をなす本発明に係る斜板圧縮機の
一実施例の、一部立面図による、一部破断した縦
方向断面図、第２図は第１図に示した斜板圧縮機
における一体的なプラスチツク球およびシユー部
の１つを予負荷なしに示した拡大断片図、第３図
は第２図と同様ではあるが組立て時に得られる予
負荷を受けた一体的なプラスチツク球およびシユ
ー部を示す図、第４図は第３図と同様ではあるが
本発明に係る斜板圧縮機の一部として使用しうる
一体的なプラスチツク球およびシユー部の１つの
他の実施例を示す図、第５図も第３図と同様では
あるが本発明に係る斜板圧縮機の一部として使用
しうる一体的なプラスチツク球およびシユー部の
１つの更なる実施例を示す図である。 〔主要部分の符号の説明〕、１０……一体的な
プラスチツク球およびシユー部、２２……斜板、
２４……ピストン、２６……円筒形本体、２８…
…半球形表面、３２……平坦な円形表面、３４…
…球形ソケツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ピストン２４が斜板２２により球およびシユ
   ー配置１０を経て駆動されるようになされた斜板
   圧縮機において、球およびシユー配置１０はその
   一端に斜板２２の一側と摺動自在に係合している
   平坦表面３２を有するプラスチツク本体２６を有
   し、プラスチツク本体２６は更にその他端に予負
   荷の下にピストン２４の半球形ソケツト３４内に
   受容された半球形表面２８を有し、本体２６は鋼
   および真鍮よりも大きな熱膨張係数と鋼および真
   鍮よりも小さな摩擦係数とを有し更には永久的変
   形に対しては耐性を有しながら組立体上に発生す
   る予負荷が半球形端面２８をソケツト３４内にぴ
   つたりと着座せしめるようにしなやかさを有する
   プラスチツク材料で作られ、平坦表面３２と半球
   形端面２８はほぼ等しい作動面積を有することを
   特徴とする斜板圧縮機。 ２ 特許請求の範囲第１項において、プラスチツ
   ク本体２６は全体的に円筒形であることを特徴と
   する斜板圧縮機。 ３ 特許請求の範囲第１項または第２項におい
   て、プラスチツク本体２６の平坦表面３２は円形
   であり、本体２６の半球形端面２８の半径Ｒ２８
   はピストン２４の半球形ソケツト３４の半径Ｒ３
   ４よりも小さく、プラスチツク本体２６のしなや
   かさは組立体上に発生する予負荷が本体２６の半
   球形端面２８をソケツト３４の形状に合致せしめ
   るようなしなやかさであり、平坦な円形表面３２
   は前記表面２８，３２がほぼ等しい作動面積を有
   するように半球形端面２８の半径よりも大きな半
   径を有することを特徴とする斜板圧縮機。