JPH0228681B2 - Sukuryuushikikaitensochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、スクリユーロータの軸端部にバラン
スピストンを設け、該バランスピストンに所定流
体圧を付与してスラスト力の釣り合いを図つたス
クリユー圧縮機やスクリユー膨張機等のスクリユ
ー式回転装置に関する。

「従来の技術」 従来より、雄ロータと雌ロータとを互いに噛み
合わせながら回転させる事により気体圧縮を行う
スクリユー圧縮機は既に周知であり、この種の圧
縮機においてはロータ軸方向の両側に吸気口と吐
出口が配設されている為に、該ロータを軸支する
スラストベアリング部に（吐出側より吸気側方向
の軸方向に）圧縮気体吐出の際に生じる差圧及び
動圧荷重（以下スラスト力という）が付与される
こととなり、而も前記圧縮気体の吐出は連続的で
はなく「ロータ回転数×雄ロータ歯数」に応じて
間欠的に吐出されるものである為に、前記スラス
ト力も脈動し、スラストベアリングの振動や騒音
が発生し、且つこれらの振動に起因してスラスト
ベアリングの寿命低下を引き起こす。

かかる欠点を防止する為に、前記スクリユーロ
ータの軸端部にバランスピストンを設け、該バラ
ンスピストンに、スラストベアリングに加わるス
ラスト力を抑制する方向に流体圧を付与するよう
に構成した技術が提案されている。

「発明が解決しようとする問題点」 この種の技術においては前記バランスピストン
への流体圧付与を一般にギヤポンプを用いて行つ
ている場合が多く、而もギヤポンプの回転は一般
にスクリユーロータの回転と無関係に行われる為
に第２ｄ図に示すように、スラスト力とバランス
ピストンに加わる圧力の相乗作用によつてスラス
トベアリングに加わる荷重が増減し、最悪の場合
は第２ｃ図に示すようにギヤポンプの脈動圧がス
ラストベアリングに付与されるスラスト力の変動
幅が増幅する方向に働き、該スラストベアリング
の振動騒音等が却つて増幅される場合がある。
（第２ｃ図参照） 尚、第２ａ〜２ｄ図のイは夫々スラスト力(F)と
バランスピストンに加わる圧力（Ｐ）の時系列変
化を、ロはスラストベアリングに加わる荷重
（Ｗ）の時系列変化を夫々示す。

又、かかる欠点を解消する為に、前記バランス
ピストンとギヤポンプ等の間にクツシヨンタンク
等を配し、バランスピストンに印加される流体圧
の一定化を図る技術も開示されているが、例えこ
のような構成を取つても第２ｂ図に示す如くスラ
ストベアリングに加わる荷重（Ｗ）を低減させる
事は可能であるが、その脈動及び変動幅を抑制す
る事が出来ない為に、尚、振動や騒音が発生す
る。

かかる欠点を解消する為、本出願人は前記バラ
ンスピストンに流体圧を付与する流体ポンプに、
例えばスクリユー回転機と同一のロータ構成を有
するスクリユーポンプを用い、その回転速度をス
クリユー回転機と同一に設定すると共に、スクリ
ユーポンプからバランスピストンまでの配管の流
体通過容積（配管長さ×口径）によつてバランス
ピストンへの加圧タイミングのズレを防止する
為、「配管流体通過容積／一周期当たりのポンプ
吐出量」に対応してスクリユーポンプの回転位相
をずらして回転させるように構成し、スラストベ
アリングに加わる荷重（Ｗ）の低減とその変動幅
の抑制を図つた技術を同時出願の特許願で提案し
た。

しかしながらかかる技術においては各配管毎に
流体通過容積を一々測定せねばならず、又例え同
一定格のポンプであつても、各ポンプ毎のポンプ
吐出量にはバラツキがある為に、該吐出量も測定
せねばならず、実用上はなはだ面倒な段取り操作
を必要とする。

本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、前記ス
ラスト力自体の変動を抑制し、該変動から生ずる
振動や騒音の発生を防止すると共に、スラストベ
アリングの耐久性の向上を図つたスクリユー式回
転装置を提供する事を目的とする。

本発明の他の目的とする所は、製造上のバラツ
キ等が生じる事なく正確且つ確実に前記スラスト
力自体の変動を抑制し得るスクリユー式回転装置
を提供する事を目的とする。

「問題点を解決しようとする手段」 本発明は、かかる技術的課題を達成する為に、
例えば第１Ａ図、第１Ｂ図に示す如く、スクリユ
ーロータ１，２の軸端部に設けたバランスピスト
ン３，３′と、該バランスピストン３，３′に一定
流体圧を付与する流体圧源４と、スクリユーロー
タ１，２のスラスト方向の振動を検知し、電気的
変化に変換する手段５，５′と、該電気的変化を
圧力変動に変換し、その圧力変動を前記流体圧源
４とは別個にバランスピストン３，３′に付与す
る加圧手段６，６′とを有し、該加圧手段６，
６′の加圧周期がスクリユーロータ１の回転によ
り発生するスラスト力Ｂの周期的変動と一致する
よう構成し、スラストの振動を相殺するようにし
たスクリユー式回転装置を提案する。

尚、前記流体圧の付与方向は、スクリユー圧縮
機の場合は吸気側から吐出側、スクリユー膨張機
の場合は排出側から噴射側となる。

又、第１Ｂ図の場合は、雄、雌ロータ１，２の
両者にバランスピストン３，３′を付設している
が、雄ロータ１に加わるスラスト力に比して、雌
ロータ２のそれは約10〜20％と微小である為に、
第１Ａ図のように前記バランスピストン３を雄ロ
ータ１にのみ付設しても実用上問題がない。

「作用」 かかる技術手段によれば、前記バランスピスト
ン３，３′に流体圧源４より一定流体圧（P1）を
付与してスラストベアリング８に加わる荷重
（Ｗ）低減を図ると共に、スクリユーロータ１，
２のスラスト方向の振動（振幅）に対応する圧力
変動周期（P2）を前記流体圧源４とは別個にバ
ランスピストン３，３′に付与し、而もその加圧
手段６，６′の圧力変動周期が電気信号に基づい
て行われる為に、前記振動の変化と同期させてバ
ランスピストン３，３′に前記圧力変動周期
（P2）を付与する事が極めて容易である。

この結果、流体圧源４よりの一定流体圧（P1）
と振動振幅量に対応する圧力（P2）とが重畳し
て且つその加圧周期がスラスト力Ｂの周期的変動
と一致している為に、第２ａ図に示すようにスラ
ストベアリング８に加わる荷重（Ｗ）が一定又は
零近くになり、従つてスラストベアリング８の耐
久性の向上に加えて該ベアリング８から生ずる振
動や騒音の発生を抑える事が出来る。

「実施例」 以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を
例示的に詳しく説明する。ただしこの実施例に記
載されている構成部品の寸法、材質、形状、その
相対配置などは特に特定的な記載がない限りは、
この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではな
く、単なる説明例に過ぎない。

第１Ａ図は雄ロータ側にのみバランスピストン
を付設した本発明の実施例に係るスクリユー圧縮
機の構成を示す。

雄、雌ロータ１，２は図示しないケース内に収
納され、夫々のシヤフト１１，２１吐出側他端に
スラストベアリング８，８′を取り付け、図示し
ない駆動モータよりの回転を受けて雄ロータ１を
回転させ、雌ロータ２を従動回転させながら所定
の圧縮動作を繰り返す。

又、雄ロータ１のシヤフト１１′吸気側の軸端
部にはバランスピストン３が取り付けられてお
り、該バランスピストン３に配管１２を介して流
体圧源４より導かれた一定流体圧が加圧されるよ
う構成する。

流体圧源４は一般的にポンプと該ポンプより吐
出された加圧流体の脈動を吸収するクツシヨンタ
ンクより構成され、その吐出された流体圧の圧力
値を、「流体圧力値×バランスピストン３」が第
２ａ図に示すようにスラスト力の谷値（変動荷重
値の最低値）と同程度になるよう設定している。

５は圧電素子で、スクリユーロータ１，２のス
ラスト方向の振動を検知し、その振幅量を電気的
変化に変換し、増幅器７で増幅した後アクチユエ
ータ出力装置６に入力する。

アクチユエータ出力装置６では前記電気的変化
を圧力変動に変換し、その圧力変動を前記流体圧
源４とは別個に連通管１３を介してバランスピス
トン３に付与する。

この際、アクチユエータ出力装置６より出力さ
れた圧力変動がバランスピストン３側に加圧され
ず、流体圧源４側に逃げるのを防ぐ為に、連通管
１３と配管１２との接続部の上流側にオリフイス
又はノズル等の絞り機構１０を介在させる。

尚、前記絞り機構１０を付設しても流体源側の
加圧流体は一定圧である為に問題となる事がな
く、而も該絞り機構１４によつて流体圧源４側の
圧力変動を抑える事が出来、好ましい。

尚、９は前記増幅器７とアクチユエータ出力装
置６を動作させる為の直流電源である。

第１Ｂ図は前記バランスピストンを雄ロータ側
と雌ロータ側の両者に付設したスクリユー圧縮機
の構成を示す他の実施例で、前記実施例との差異
を中心に説明する。

雌ロータ２は前述したように雄ロータ１に従動
して回転するものであり、且つその断面積も雄ロ
ータ１に比して小さいものである為に、該雌ロー
タ２に加わるスラストベアリング８のスラスト力
は、雄ロータ１のそれに比して10〜20％程度であ
る。

この結果、例え一の流体圧源４より配管１２及
び分岐管１２′を介して対応するバランスピスト
ン３，３′に一定圧力が付与されても該ピストン
３，３′の軸端面に対応して各ロータ１，２のス
ラスト力に比例した荷重が付与される事となる。

又前記配管１２及び分岐管１２′には夫々絞り
機構１０，１０′が介装され、その下流側に各ア
クチユエータ出力装置６，６′の出口側と連通す
る連通管１３，１３′が夫々接続されている。

又前記各アクチユエータ出力装置６，６′の入
力側には増幅器７，７′を介して夫々対応する各
ロータ１，２の振動を検知する圧電素子５，５′
が接続されており、該圧電素子５，５′により検
知したロータ１，２のスラスト方向の振動を電気
的変化に変換した後、該電気的変化に対応する圧
力変動を前記流体圧源４とは別個にバランスピス
トン３，３′に付与する事が出来る。

而も前記圧電素子５，５′夫々別個に、雄、雌
各ロータ１，２毎の振動を検知するものである為
に、アクチユエータ出力装置６，６′より出力さ
れる圧力変動の加圧周期が乱れる事はない。

従つてかかる実施例によれば、夫々のロータ毎
のスラスト力の変動（ロータの振動）に対応した
加圧力（P1＋P2）が前記バランスピストン３，
３′に加圧される為に、前記実施例に比して一層
の振動及び騒音の低減につながる。

「発明の効果」 以上記載した如く本発明によれば、該加圧手段
の加圧周期がスクリユーロータの回転により発生
するスラスト力の周期的変動と一致するよう構成
した為、該変動から生ずる振動や騒音の発生を防
止すると共に、スラストベアリングの耐久性の向
上を図る事が出来る。

又、本発明によれば、前記加圧手段の圧力変動
が電気信号に基づいて行われ、脈動ポンプのよう
に機械的手段で圧力変動を生じさせるものでない
為に、各機器毎でバラツク事なく正確且つ確実に
前記スラスト力の変動を抑制し得る。

等の種々の著効を有する。

【図面の簡単な説明】

第１Ａ乃至１Ｂ図はいずれも本発明の実施例に
係るスクリユー圧縮機の概略図を示す。第２ａ乃
至２ｃ図は従来例との比較において本発明の作用
を比較する作用図で、第２ａ図は本発明の作用
を、又第２ｂ図及び第２ｄ図は従来技術の作用を
夫々説明し、図中イはスラスト力とバランスピス
トンの圧力状態を示す時系列分布、ロは両者の組
み合わされた荷重状態を示す時系列分布を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ スクリユーロータの軸端部に設けたバランス
   ピストンと、該バランスピストンに一定流体圧を
   付与する流体圧源と、スクリユーロータのスラス
   ト方向の振動を検知し、電気的変化に変換する手
   段と、該電気的変化を圧力変動に変換し、その圧
   力変動を前記流体圧源とは別個にバランスピスト
   ンに付与する加圧手段とを有し、該加圧手段の加
   圧周期がスクリユーロータの回転により発生する
   スラスト力の周期的変動と一致するよう構成し、
   スラストの振動を相殺させるようにした事を特徴
   とするスクリユー式回転装置。