JPH0226589B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はインクジエツト記録装置、さらに詳し
くは中間調記録の行なえるインクジエツト記録装
におけるインク滴帯電法に関する。

従来インクジエツト記録装置として数多くの方
式が知られている。その内電気音響変換素子を用
いたインクオンデイマンド型のインクジエツト記
録装置は、構成の単純さや、形成したインク滴す
べてを記録に用いるためインクの回収の必要がな
い等の長所がある。さらに電気音響変換素子に与
える電気信号によりインク滴の大きさを変えるこ
とにより中間調の記録を行なうことができる。

従来、中間調記録を行なう装置として記録紙を
ドラムに巻き付けドラムを回転させて走査を行な
うものが知られている。しかしこのような装置で
は記録紙をドラムに巻き付ける手間等があるため
記録紙の取扱が簡単なインク滴を偏向させて走査
を行なう方法を用いることが望ましい。ところが
従来インク滴を偏向する方法としては、荷電制御
型インクジエツト方式と呼ばれノズルより一定の
周期で一定の大きさの滴を連続的に噴射し、この
滴に偏向量に比例した帯電を行ないこの滴を偏向
電極で曲げて所望の偏向を得るものが知られてい
るが、この偏向法ではインク滴の大きさが変わる
と偏向量が変わつてしまうという問題点があつ
た。

さらに、このようなインクオンデイマンド型の
インクジエツト装置では、中間調のダイナミツク
レンジを大きくするため、インク滴の大きさを幅
広く変化させると空気中を飛翔する間に空気より
受ける粘性抵抗がインク滴の大きさにより生じ滴
が小さくなる程飛翔速度が急激に遅くなり、イン
ク滴が記録紙に打込まれる位置に乱れが生じると
いう欠点があつた。さらにノズルより噴出するイ
ンク滴の初速が他の方式に比べ遅いため、インク
滴の記録紙に打込まれる位置に乱れが生じやすく
記録紙とノズルの間隔を大きくしたり、記録速度
を速くすることがむずかしいという問題点があつ
た。

さらに記録の高速化を計るためインクジエツト
ノズルを複数個並べて記録を行なう方法が知られ
ているが、この中間調記録装置でもノズルのマル
チ化を行なうことが望まれている。

本発明の目的は上記欠点を解決し、インク滴の
大きさが変わつても偏向を行なうことの可能な中
間調記録の行なえるインクジエツト記録装置を提
供することにある。

他の目的は、インク滴の大きさが変わつても加
速電界によりインク滴を一定に増速することが可
能な中間調記録の行なえるインクジエツト記録装
置を提供することにある。

さらに他の目的はインクジエツトノズルのマル
チ化を行なうときインク滴の荷電電極を共通にし
た中間調記録の行なえるインクジエツト記録装置
を提供することにある。

本発明によれば電気信号に従つて重量を制御し
たインク滴を形成するインク滴形成手段と、前記
インク滴に電荷を与えるための荷電電極と、前記
荷電電極に所定の波形の電圧を印加する手段とを
有するインクジエツト記録装置のインク滴帯電法
において、前記所定の電圧波形においてインク滴
の重量に比例した電圧値となるときにインク滴の
形成が完了するように、前記電気信号と前記所定
の波形の電圧との間の時間のずれの大きさを形成
するインク滴の重量に従つて制御することを特徴
とするインクジエツト記録装置のインク滴帯電法
が得られる。

以下本発明について図面を参照しながら詳細な
説明を行なう。

第１図は本発明によるインクジエツト記録装置
の第１の実施例を説明するための概略図である。
本装置は、信号の振幅により形成されるインク滴
の大きさを制御することのできるインクジエツト
ヘツド１と、周期的な波形、本実施例では一例と
して鋸歯状の電圧を出力する電圧印加手段５と、
ノズルより噴出されるインク滴に電荷を与える荷
電電極６と、インク滴の重量を指定する電気信号
を前記鋸歯状波に同期して出力する信号源７と、
この信号源から電気信号を受け、インク滴の重量
に応じてあらかじめ定められた時間遅らせてイン
クジエツトヘツドに信号を入力させる遅延手段８
と、帯電したインク滴を偏向する偏向電極９と紙
等の記録媒体１１とからなる。ここで示したイン
クジエツトヘツド１は図示されていないインク供
給系より与えられる導電性インクで満されている
ノズル３とインク室４と、電気音響変換器として
のピエゾ振動子２とからなり、インクオンデイマ
ンド型の１例として知られている。インク滴を形
成するときピエゾ振動子に電気信号として電圧パ
ルスが印加されると、ピエゾ振動子は電圧に応じ
て応力を生じ、インク室の圧力を定め、ノズル３
よりインクを押し出す。

この押し出されたインク滴の飛翔速度や体積は
ピエゾ振動子に印加すする電圧パルスの振巾やパ
ルス幅により制御される。本発明ではインク滴速
度が、一定の範囲でインク滴体積を変化させるよ
うに駆動パルスの振巾とパルス幅の組み合わせを
選定しておく。

ここでは一例として説明の簡略化のため一定の
パルス幅で、振巾によりインク滴の大きさが変化
する場合を示す。まず、荷電電極６には第２図ａ
のようにインク滴形成周期にて鋸歯状波が印加さ
れている。この鋸歯状波に同期して信号源７より
電気信号が出力される（第２図ｂ）。この信号は
遅延回路８に入力されそのインク滴の大きさ、即
ち電気信号の振幅に応じて一定の時間遅延されて
ピエゾ振動子２に入力されインク滴が形成され
る。この遅延量は、インクがノズルより切断する
とき例えば第２図ｃで時刻t₁で示された時点の荷
電電極の電圧例えば第２図ａでv₁が形成されるイ
ンク滴の重量に比例するように選ばれる。第２図
ａのように荷電電極の電圧が鋸歯波のときには、
第２図ｃに示すように（遅延量α＋パルス幅）が
インク滴の重量に比例するように遅延量のを制御
すればよい。ここでピエゾ振動子に与えられた電
気信号の立下り時刻とインクがノズルより切断さ
れる時刻の差βが大きいときには遅延量αとして
βの大きさだけ補正する必要がある。

このようにして帯電されたインク滴は偏向電極
９にて一定の加速度を受け偏向されて記録媒体１
１の所定の位置に打込まれる。このときインク滴
の大きさが変わつてもインク滴の帯電量と重量の
比の値が一定であるため偏向電界より受ける加速
度はインク滴の重量が変つても等しく、偏向量は
変化しない。また装置において、記録媒体１１に
打込む位置即ち偏向量の制御は、電源１０の電圧
を偏向量に比例して変えることによつて行なわれ
る。

またこれらの実施例において信号源としてイン
ク滴の重量を指定するアナログまたはデジタル信
号を出力するものを用い、遅延手段として、この
信号に応じて電圧印加手段より出力される一定の
波形を持つ電圧に対し、上述と同様のインク滴の
重量に対比した遅延時間および振幅を持つパルス
を出力するものを用いてもよい。

次にインク滴の大きさを不連続的（デイスクリ
ート）に変化させる場合には第３図ａに示すよう
に荷電電極に印加する電圧波形として各インク滴
の大きさに対応してインク滴の帯電量と重量の比
が一定となるような電圧値を有する階段波を印加
してもよい。この場合には荷電電極に印加されて
いる電圧は所定の期間一定の値となるため、イン
ク滴の形成時にインクのノズルからの切断時刻に
多少変動があつてもインク滴の帯電量の変動は小
さくなる。

以上の説明のように荷電電極に一定の周期の波
形を持つ電圧を印加しておき、インクジエツトヘ
ツドに、形成するインク滴の重量に応じて遅延さ
せた駆動信号を入力することによりインク滴の重
量が変わつても同じ偏向量が得られるような装置
を示した。またこれより明らかなように本発明は
インクジエツトヘツドをマルチノズル化する場合
に非常に好都合である。

すなわち、マルチノズル化する場合荷電電極に
与える電圧を各ノズル共通にすることが可能とな
る。この荷電電極には、一定の波形の電圧を印加
しておき、各インクジエツトヘツドにはインク滴
の大きさに応じて遅延させた電気信号を入力させ
ればよい。

ここに示したような、インクジエツトヘツドよ
り噴出したインク滴は、空気による抵抗を受け減
速される。また、インク滴の径により受ける抵抗
の大きさが変わり、インク滴の径が大きく変わる
と、インク滴の飛翔速度に差が生じてしまう場合
がある。するとインク滴が記録媒体に打込まれる
位置に誤差が生じるようになる。これを防ぐ手段
としてインク滴に一定の電荷を与えインク滴の飛
翔と同一方向の電界により加速させるものが知ら
れている。しかし、インク滴の重量を変える場合
には、加速度が変わつてしまうため、かえつて速
度変動が生じてしまう。そこで本発明による帯電
法を用いることによりインク滴が電界より受ける
加速度が一定となる。またこのとき電界より受け
る力を空気より受ける抵抗に比べ大きくすること
によりインク滴の重量を変えても空気抵抗の変動
による速度むらを小さくすることができる。

またノズルより噴出するインク滴の速度にむら
がある場合にも加速することにより速度のむらを
小さくすることができる。上述のような、本発明
による帯電法を用いたインクジエツト記録装置の
一実施例として、第４図にインク滴の飛翔方向と
平行な電界をインク滴に印加する手段、すなわち
加速電極２２を用いたインクジエツト記録装置を
示す。この実施例でもインク滴の形成およびイン
ク滴の帯電は第１の実施例と同様に行なう。

即ち、荷電電極２１には、電圧印加手段５よ
り、インク滴形成周期にて繰り返す一定の波形の
電圧が印加されている。

また、この電圧波形に同期して信号源７より電
気信号が出力される。この信号は、遅延回路８に
より前述の実施例と同様インク滴の重量に応じて
一定の時間遅延されてピエゾ振動子２に入力さ
れ、インク滴が形成される。このようにして形成
されたインク滴は、ノズルより噴出するときに荷
電電極に印加されていた電圧に従つて帯電され
る。

このとき本発明によれば、インク滴の帯電量と
重量の比が一定となる。このように帯電されたイ
ンク滴は、荷電電極２１と、加速電極２２の間の
電界により加速される。このとき、インク滴の重
量が変わつても、本発による帯電手段を用いれ
ば、インク滴が受ける加速度が一定となり、増速
された後のインク滴の飛翔速度に変動がない。こ
の後インク滴は紙等の記録媒体１１に打込まれて
記録が行なわれる。このように本実施例によれば
加速電界によりインク滴を増速することにより記
録媒体に打込まれるインク滴の位置ずれの小さい
高品位の記録が得られ、さらにインク滴の大きさ
を変えることにより中間調の記録が可能なインク
ジエツト記録装置が得られる。

以上の本発明の各実施例においてインク滴の形
成は第１図および第４図に示したようなインクジ
エツトヘツドを用いた場合について説明したが本
発明によるインクジエツト記録装置のインク滴帯
電法は、ここに示したインクジエツトヘツドに制
限されることなく、各種のインクジエツトヘツド
にも適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第４図は本発明による帯電法を用
いたインクジエツト記録装置の第１および第２の
実施例を説明するためのインクジエツト記録装置
の概略図、第２図および第３図は、荷電電極に印
加された電圧波形ａ、電気信号ｂ、ピエゾに入力
される信号ｃの関係を説明するための図である。 なお図において１はインクジエツトヘツド、２
はピエゾ振動子、３はノズル、４はインク室、５
は電圧印加手段、６および２１は荷電電極、７は
信号源、８は遅延手段、９は偏向電極、１０およ
び２３は電源、１１は記録媒体、１２は同期信
号、２２は加速電極を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 駆動波形に従つてインク滴重量が可変なオン
   デイマンド型インクジエツトヘツドと、前記イン
   ク滴に電荷を与えるための荷電電極と、前記荷電
   電極に所定の時間間隔で所定の波形の荷電電圧を
   印加する手段とを有するインクジエツト記録装置
   のインク滴帯電法において、前記荷電電圧に同期
   し所定の間隔で出力されるインク滴の重量を指定
   する情報を持つ画像信号により一定の飛翔速度で
   かつ前記重量情報に対応するインク滴を噴射する
   駆動波形を選択し、かつ前記荷電電圧がその時形
   成されるインク滴の重量に比例した電圧値となる
   時点でインク滴の形成が完了するように、前記荷
   電電圧波形に対し、前記重量情報によりあらかじ
   め定められた位相だけずらして前記選択された駆
   動波形をインクジエツトヘツドに印加するように
   したことを特徴とするインクジエツトヘツド記録
   装置のインク滴帯電法。