JPH022407Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は移動層式連続ろ過装置に係り、特に
ろ層内での水流が水平方向である移動層式連続ろ
過装置に関する。

ろ材粒子が重力によつて移動する垂直のろ層に
水平方向に被処理水を通過させる移動層式連続ろ
過装置においては、それぞれ通水性を有する垂直
の２つの隔壁部から成り、該２つの隔壁部間に重
力によつて移動するろ材が充填されるろ材充填部
と、該ろ材充填部の一方の隔壁部からろ材充填部
内に被処理水を供給する散水部と、該散水部から
供給されろ材充填部内を水平方向に通過した被処
理水を他方の隔壁部から集水する集水部とを有し
ている。重力方向に移動するろ材の移動速度につ
いて、水平方向の速度分布は、水平流によりろ材
が集水部に押し付けられるため、散水側に比べて
集水側のろ材の移動速度は小さくなつている。ろ
材の移動速度が小さくなるほど、ろ層内の濁質の
捕捉効果は大きくなるから、本装置では、一時的
には散水側で濁質を一次捕捉し、集水側でさらに
濁質を二次捕捉することになり、ろ層全体を活用
する上で、上記の移動速度の分布は好都合なもの
となる。しかし、この場合、長期的には捕捉され
た濁質は徐々に蓄積し、最後には捕捉された濁質
が剥離し、処理水質が急激に悪化するなどのトラ
ブルを生じる。また、集水部が傾斜板を重力方向
に多段に重ねた構造の場合、蓄積した濁質により
ろ層の水流抵抗が増加し、このために部分的に流
速が大きくなり、ろ材が傾斜板の間隙から流出す
ることがあり、もはやろ層を保持することができ
なくなつてしまうなどの問題点があつた。

この考案の目的は、前記従来技術の欠点を解消
し、処理水質の悪化を防止し、かつろ層を安定に
保持することができる移動層式連続ろ過装置を提
供することにある。

この考案は、ろ材の充填状態が被処理水の流入
側で疎で、集水する放出側で密になる性質に着目
し、ろ材の重力方向の移動速度が、水流方向の上
流側で大きく、下流側で小さいことに着目して、
濁質のろ層内での滞留を防止するため、水流方向
を切り替えるように構成したものである。すなわ
ち、この考案は、それぞれ通水性を有する垂直の
２つの隔壁部から成り、該２つの隔壁部間に重力
によつて移動するろ材が充填されるろ材充填部
と、該ろ材充填部の一方の隔壁部からろ材充填部
内に被処理水を供給する散水部と、該散水部から
供給されろ材充填部内を水平方向に通過した被処
理水を他方の隔壁部から集水する集水部と、前記
散水部と前記集水部とを交互に切り替える配管系
および切替え弁とを備えたことを特徴とする。

以下、この考案を第１図に示す実施例にもとづ
いてさらに詳細に説明する。第１図において、水
平断面の形状が矩形であるろ過塔１は、重力によ
つてろ材が落下するろ層２，３を有し、これらの
ろ層２，３は、４組の傾斜板４，５，６および７
によつてろ過塔１内において区画されたろ材充填
部内に堆積している。ろ層２，３の中央部にはエ
アーリフト管８が貫通し、その下端には空気供給
管９が、またその上端にはろ材洗浄槽１０が設け
られている。このろ材洗浄槽１０には洗浄廃水排
出管１１が接続されている。配管系については、
被処理水槽１２から原水ポンプ１３を介して二方
向に分岐した後、それぞれ電磁弁１４，１５を介
して再び二方向に分岐し、その一方はろ過塔１
に、他方は電磁弁１６，１７を介し、処理水排出
管（図示せず）に接続されている。

上記の構成において、まず電磁弁１４，１７を
開とし、電磁弁１５，１６を閉とすると、被処理
水は、被処理水槽１２から原水ポンプ１３により
電磁弁１４を通してろ過塔１に送られる。ここで
傾斜板４，７の群からなる部分は散水部となり、
被処理水は、この散水部からろ層２，３に入り、
実線で示す方向の水平流で通過し、濁質が捕捉さ
れ、清澄となつた処理水は、傾斜板５，６の群か
らなる集水部に集水され、電磁弁１７を通つてろ
過塔１の外部に排出される。一方、ろ層２，３を
構成するろ材は重力方向に移動し、濁質を捕捉し
たろ材はエアーリフト管８の内部を上昇し、ここ
で濁質がろ材から剥離され、ろ材洗浄槽１０で両
者を分離し、清浄となつたろ材は再びろ層に循環
され、濁質は洗浄廃水とともに洗浄廃水排出管１
１から排出される。このようにろ過およびろ材の
洗浄が連続的に行われ、運転されるが、運転時間
の継続にともない、処理水質の悪化あるいは集水
部の傾斜板間隙からろ材が流出する。そこで、次
に電磁弁の切替え操作、すなわち電磁部１４，１
７を閉とし、電磁弁１５，１６を開とする操作が
行われる。被処理水は、電磁弁１５を通つて、ろ
過塔１に入り、傾斜板５，６の群からなる散水部
から点線で示す水流方向にろ層内を通過し、集水
部となつた傾斜板４，７の群を通り、処理水が集
水され、電磁弁１６を介して回収される。このよ
うに、電磁弁の開閉の切替え操作により、ろ層内
の水流方向は交互に切替えられ、処理水質の悪化
および傾斜板からのろ材の流出が防止される。

上記実施例においてはろ過塔は断面矩形状とし
たが、第２図に示すように円筒状としてもよい。
この場合、散水部および集水部の配管は１本にま
とめられている。なお、電磁弁切替えの直後にお
いて、処理水が一次的に悪化する場合には、処理
水を一時被処理水槽に戻すなどの操作により清澄
化した後、処理水として排出することが出来る。

以上、この考案によれば、ろ層の散水部および
集水部の水流方向を交互に切替えるように構成し
たことにより、処理水質の悪化または集水部から
ろ材の流出等を防止し、安定した運転を行なうこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、それぞれこの考案の一
実施例を示す移動槽式連続ろ過装置の説明図であ
る。 １……ろ過塔、２，３……ろ層、４，５，６，
７……傾斜板、８……エアーリフト管、９……空
気供給管、１０……ろ材洗浄槽、１１……洗浄廃
水排出管、１２……被処理水槽、１３……原水ポ
ンプ、１４，１５，１６，１７……電磁弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) それぞれ通水性を有する垂直の２つの隔壁部
   から成り、該２つの隔壁部間に重力によつて移
   動するろ材が充填されるろ材充填部と、該ろ材
   充填部の一方の隔壁部からろ材充填部内に被処
   理水を供給する散水部と、該散水部から供給さ
   れろ材充填部内を水平方向に通過した被処理水
   を他方の隔壁部から集水する集水部と、前記散
   水部と前記集水部とを交互に切替える配管系お
   よび切替え弁とを備えたことを特徴とする移動
   層式連続ろ過装置。 (2) 前記隔壁部は、多段状に垂直に配列された傾
   斜板群から構成される実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の移動層式連続ろ過装置。