JPH0224000Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〈産業上の利用分野〉 本考案は、岩石等を破壊する爆薬の起爆を目的
として使用される電気雷管で、電気的遅延素子を
有する電気的遅延雷管に関する。 〈従来の技術〉 従来、電気雷管は第２図に示すように、一端が
有底の管体１内に添装薬２及び内管７で保護され
た起爆薬３を内蔵し、その上部に延時薬１２を有
し、開口部は電気的に発火する点火玉６とそれを
加熱させる白金線５を電気を流す脚線８の先端に
有しゴムやプラスチツクからなる塞栓４により密
封された構造をしている。作動の機構としては脚
線８の電流を流すことにより、点火用白金線５を
加熱し、その熱で点火玉６が発火し、延時薬１２
に着火する。延時薬１２は一定時間燃焼した後起
爆薬３に着火し、添装薬２を起爆する。ここで延
時薬１２が燃焼し添装薬が爆発するまでの時間が
遅延時間となる。この電気雷管を使用する場合
は、第５図に示すように該電気雷管をダイナマイ
ト等の爆薬１５に装着させて親ダイとし、発破孔
に装填された爆薬１６の後に該親ダイを装填し、
込物１７を装填した後に通電することにより、岩
石を破壊させるものである。 従来の延時薬を使用した電気雷管では、延時薬
の燃焼時間のバラツキが大きく、発破効果及び振
動に悪影響を与えるため遅延時間精度の高い雷管
が望まれている。そこで開発されたのが電気的遅
延雷管であり、電気的遅延回路により遅延させる
もので、特公昭56−26228号公報、特開昭54−
43454号公報、特開昭57−35298号公報などが知ら
れている。これらは第３図、第４図に示すごと
く、添装薬２と起爆薬３からなる爆薬部分と電流
により発火する点火玉６にかこまれた点火用白金
線５と電気的遅延素子９からなり、該素子は爆薬
部分と開口部の間に位置したものである。 〈問題点〉 このようなエレクトロニクス技術を応用した電
気的遅延雷管では、延時薬を使用した遅延雷管に
比較し格段の高秒時精度の雷管が得られるが、そ
の構造が複雑でかつ微細な電気回路で構成されて
いるため、取扱いや実用の際の耐衝撃性に問題が
あるという欠点が見出された。すなわち、電気的
遅延雷管を第５図に示すようにダイナマイト等の
爆薬１５の中に装着して岩石等を破壊すると、例
えば第５図に示すようにＡの発破孔で爆発した時
にＢの発波孔に装填されている雷管は極めて苛酷
な衝撃を受け、電気的遅延素子に何らかの異常が
生じ発破が不成功になるという問題点があること
がわかつた。しかしながらこの耐衝撃性に関し
て、特公昭56−26228号公報では何ら触られてお
らず、特開昭54−43454号公報では第４図のよう
に塞栓４の中に埋め込む方法をとつており、特開
昭57−35298号公報においては、「エポキシポツテ
イング材のような材料、硬さの低い材料、耐衝撃
性を持つ合成ゴム材の中に封入する」と記載され
ている。そこで我々の実験によれば、エポキシポ
ツテイングや軟質ゴムで封入したものでは衝撃に
より不作動及び作動不良が生じるという結果が得
られた。 本考案者等は従来より一層高い耐衝撃性を有す
る構造について検討し、試験した結果、電気的遅
延素子の一部分を動かないように管体の内面に固
定し、それ以外の部分を空〓のままか、或いは気
泡含有率の高い軟質のフオーム状物質を電気的遅
延素子と管体との間で形成される空〓に充填する
ことにより高い耐衝撃性を有することを見出し
た。 〈構成〉 本考案は、電気的遅延素子による延時手段を有
する電気雷管において、電気的遅延素子９の一部
分を管体１の内面に固定して空〓部１１を形成す
るか又は電気的遅延素子９と管体１との間で形成
される空〓部１１を軟質フオーム状物質１３で充
填した電気的遅延雷管である。 以下本考案を第１図により説明する。第１図は
本考案の一実施態様の構造を示し、管体１内に添
装薬２と内管７で保護された起爆薬３を内蔵し、
点火玉６とそれを加熱させる白金線５を塞栓４ａ
で固定し、電気的遅延素子９を管体１に対し固着
部１０でもつて接着剤（例えば、エポキシ樹脂
系、ウレタン樹脂系接着剤）等で固定し空〓部１
１を設けてなり、開口部には脚線８を通した塞栓
４ｂで密封したものである。ここで固着部は接着
剤だけでなくスペーサー等で固定しても良い。
又、固着部１０は第１図に示す位置の他に、開口
部に近い一端を固着したものでも良い。このよう
にして電気的遅延素子９の一部分を固定し、空〓
部１１を設けることにより外からの衝撃に対し吸
収する構造となり、直接素子に影響を与えないも
のとすることが可能となつた。 尚、電気的遅延素子９の表面には、電気絶縁性
や耐水性を向上させるための処理をほどこしたも
のを使用しても良い。 第６図は、本考案の他の実施態様を示すもので
例えば、軟質フオーム状物質１３を空〓部１１に
充填した構造である。 ここで軟質フオーム状物質１３は例えばポリウ
レタンフオームからなり、空〓率97.5％以上のも
のであれば、実質的に空〓と同等の効果を示すも
のであれば良い。 第７図は、もう一つの実施態様を示すもので、
電気的遅延素子９を固着部１０ａ，１０ｂで固定
し、更に塞栓４ａ，４ｂを環状締結部１８ａ，１
８ｂでもつて固定し、点火薬２２を有する点火薬
カツプ１４を環状締結部１８ｃで固定した構造で
ある。 実施例 １ 第１及び６図に示す本考案の構造を有する電気
的遅延雷管及び第４図に示す比較品を2mの高さ
からコンクリート床上に30回落下させた後に正常
に作動するかどうかを確認した。その結果を表−
１に示す。 実施例 ２ １孔あたり75KgのANFOを装填した発破孔か
ら1.5m離れた場所に1.5mの深さの孔を掘りその
中に第１及び６図に示す本考案の電気的遅延雷管
及び第４図に示す比較品を入れ発破後正常に作動
するかを確認した。その結果を表−１に示す。

【表】 〈効果〉 本考案は電気的遅延素子を管体の内面の一部分
に固定して空〓部を形成するか、電気的遅延素子
と管体内面との間の空〓部に軟質フオーム状物質
が充填されているために、取扱いや輸送時の機械
的衝撃にも強く更に実用上発破による衝撃に対し
て、強い電気的遅延雷管を提供することが可能と
なつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の電気的遅延雷管の一実施態様
の断面図、第２図は従来の延時薬を用いた遅延電
気雷管の断面図、第３及び４図は従来の電気的遅
延雷管の断面図、第５図は発破の際の装填状態を
示す断面図、第６及び７図は本考案の他の実施態
様の断面図である。図中；１は管体、２は添装
薬、３は起爆薬、４ａ，４ｂは塞栓、５は白金
線、６は点火玉、７は内管、８は脚線、９は電気
的遅延素子、１０ａ，１０ｂは固着部、１１は空
〓部、１２は延時薬、１３は軟質フオーム状物
質、１４は点火薬カツプ、１５は爆薬（親ダイ）、
１６は爆薬、１７は込物、１８ａ，１８ｂ，１８
ｃは環状締結部、２０は絶縁物、２１は点火装
置、２２は点火薬、Ａ，Ｂは発破孔を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電気的遅延素子９による延時手段を有する電気
   雷管において、電気的遅延素子９の一部分を管体
   １の内面に固定して空〓部１１を形成するか、又
   は電気的遅延素子９と管体１との間で形成される
   空〓部１１を軟質フオーム状物質で充填した電気
   的遅延雷管。