JPH0221184Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、高グレード鋼材を対象としたMIG
溶接用のガスシールド溶接トーチに関するもので
ある。

従来、MIG溶接法は半自動、全自動溶接法と
して実用化されてきたが、使用される溶接トーチ
は比較的低グレード鋼材対象CO₂溶接用のものが
流用されている。しかしながら、上記MIG溶接
法では、アーク長の長い細粒移行方式のアーク現
象を呈し、溶滴の表面積割合が大きく、シールド
ガス雰囲気の影きようを受け易く、従来法のCO₂
用溶接トーチではシールド面積が不十分であつ
て、ややもすると外気の巻き込みを生じ、シール
ドガスが酸化、窒化性を帯びて極端にブローホー
ルを発生しやすいという欠点がある。すなわち、
従来の溶接トーチでは、トーチ構造上、外気の侵
入を完全に防止するような気密構造にはなつてお
らず、シールドノズル径が小さく、半固定式でノ
ズル高さを適正に調節できず、しかも、シールド
ガスを整流する構造となつていない等のためであ
る。

本考案は、上述した従来例の欠点を解消し、高
グレード鋼材を対象とし、高品質を保証できる
MIG溶接用トーチを提供することを目的とした
ものであり、その構成は、給電及び溶接ワイヤの
送給路を中心部に設けたトーチ主軸に内筒を覆
せ、両者の隙間にガス導入通路を設けるとともに
その出口部にオリフイスを装着し、かつ、前記溶
接トーチ中心の溶接ワイヤ送給路に向つて微小噴
出口を設ける一方、上記内筒上に絶縁アダプタを
挟んで外筒を取付け、ガスレンズを底部に設けた
外アダプタを上記外筒にねじによつて固定し、該
外アダプタの上部にシールドノズルを差し込んで
半固定するとともに上記内筒、絶縁アダプタ、外
筒、外アダプタ、シールドノズルの相互間にシー
ル用Ｏリングを嵌着したことを特徴とする。

以下、本考案に係るガスシールド溶接トーチの
実施例を添付した図面を参照して具体的に説明す
る。第１図において１は導電性のよい銅合金製の
トーチ主軸で、別途溶接ワイヤ送給孔を中心部に
有し、溶接電源からの電力を供給する導線からな
るコンジツトケーブルが接続されるよう一端側に
雌ネジを有する。また、先端にはチツプアダプタ
ー２が嵌合しており、このチツプアダプター２に
はチツプ３が締り嵌めにより差し込み保持されて
いる。第２図ないし第３図の各断面図に示す如
く、トーチ主軸１は中心孔を有し、４は差し込ま
れた溶接ワイヤを平滑にガイドするライナスプリ
ングであつて、その外径において根元付近に円周
上の溝ａを設け、２面を軸長手方向中央付近まで
面取りｂを施し、その終端部で円周上に設けた溝
ｃに連絡し、かつ、同溝ｃには中心孔に向つて円
周上２ケ所程度パージガス孔ｄを形成したシール
ドガス通路を設ける。上記トーチ主軸１のシール
ドガス通路部には内筒５を覆せ、根元付近はロー
接r₁で取付けるとともに上記溝ａに向つてシール
ドガス導入パイプ６をロー接r₂で取付ける一方、
その内筒５上にベークライト等からなる電気絶縁
筒７を覆せて、ビス８によりトーチ主軸１と固着
されている。このときビス８の頭部にシール剤９
を充填する。

上記内筒５の先端側中程には外面に鍔を設け、
先端より差し込まれた電気絶縁アダプタ１０は、
内筒５の最先端部に設けたねじにワツシヤ１１を
介してナツト１２で固定される。また、上記アダ
プタ１０にはシール用Ｏリング１３，１４が嵌着
されており、外筒１５を覆せてビス１６で固定す
る。この外筒１５には内部に鍔を設け、その外方
にシール用Ｏリング１７が嵌着されていて、円周
上に多数の孔を有するオリフイス１８をトーチ主
軸１に嵌め込んだ後、外アダプタ１９をねじ２４
によつて外筒１５にねじ込んで固定する。なお、
上記外アダプタ１９の底部には、多数の細孔を有
するガスレンズ２０が嵌着されており、上部には
シール用Ｏリング２１を介してシールドノズル２
２が差し込まれ、取付ねじ２３により外アダプタ
１９と半固定されている。また、上記シールドノ
ズル２２の根元部は円形状であり、先端出口部で
は、第４図に示すように、偏平に楕円化し、狭開
先に適した形状になつている。

まず、溶接ワイヤはコンジツトケーブルを通し
てトーチ主軸１の中心孔に挿入されたライナスプ
リング４を通じてチツプ３より送給される。アル
ゴン＋炭酸ガス等のシールドガスは導入パイプ６
よりトーチ内部の溝ａに送給され、面取りｂと内
筒５とで形成されるここでは２本の通路を経て溝
ｃに至り、一部パーシガス孔ｄよりトーチ主軸１
の中心孔に向けて噴出させ、溶接ワイヤ導入側か
らの空気の巻き込みを阻止するとともに、大部分
はオリフイス１８で一度円周上均一化して噴出さ
せ、さらにガスレンズ２０で整流してシールドノ
ズル２２より溶接ワイヤと平行にこれを包むよう
に外部へ放出される。上記シールドガスの通路に
おいて、各シールド用Ｏリング１３，１４，１
７，２１は構造上の隙間をシールして外気の侵入
を防止し、シールドガスの高純度を保持する。

以上、図面に示した実施例にもとずいて詳細に
説明したように、本考案に係るガスシールド溶接
トーチは、シールドノズル、ガスレンズ、オリフ
イス等の着脱が容易にできるので、スパツタの付
着等に伴なう汚れの清掃、部品交換等の取扱いが
簡単であり、しかも、シール用Ｏリングによる完
全気密化と、溶接ワイヤ送給孔へのパージガスを
噴射することにより外気の吸込みを防止してシー
ルドガスの高純度を保持することができる。

また、シールドノズルは差し込み式にしたの
で、ノズル高さを適正に任意に設定可能であり、
シールドガス噴出後の流速低下によるシールド効
果を良好に保持することができるとともに、大径
ノズルに対してもオリフイス、ガスレンズによつ
てシールドガスの断面分布が均一化され、整流化
が得られる。

従つて、本考案によれば、溶接部のシールド効
果が極めて良好であり、ブローホール等の溶接欠
陥を防止でき、溶接部への混合ガスをなくして高
い切欠靭性等良好な機械的性質を含む高品質な溶
接が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による溶接トーチの構造を示す
部分断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、
第３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図、第４図は本考
案による溶接トーチの正面図である。 図面中、１はトーチ主軸、２はチツプアダプタ
ー、３はチツプ、４はライナスプリング、５は内
筒、６はシールドガス導入パイプ、７は電気絶縁
筒、８はビス、９はシール剤、１１はワツシヤ、
１２はナツト、１３，１４はシール用Ｏリング、
１５は外筒、１６はビス、１７はシール用Ｏリン
グ、１８はオリフイス、１９は外アダプタ、２０
はガスレンズ、２１はシール用Ｏリング、２２は
シールドノズル、２３は取付ねじである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 給電及び溶接ワイヤの送給路を中心部に設けた
   トーチ主軸に内筒を覆せ、両者の隙間にガス導入
   通路を設けるとともにその出口部にオリフイスを
   装着し、かつ、前記トーチ主軸中心の溶接ワイヤ
   送給路に向つて微小噴出口を設ける一方、上記内
   筒上に絶縁アダプタを挟んで外筒を取付け、ガス
   レンズを底部に設けた外アダプタを上記外筒にね
   じによつて固定し、該外アダプタの上部にシール
   ドノズルを差し込んで半固定するとともに、上記
   内筒、絶縁アダプタ、外筒、外アダプタ、シール
   ドノズルの相互間にシール用Ｏリングを嵌着した
   ことを特徴とするガスシールド溶接トーチ。