JPH0220079Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は湖、沼、ダム又は池等の開水面にお
ける淨水を目的とした間欠給気揚水装置の製造、
販売および使用の産業分野に属する。

（従来の技術） 従来間欠給気揚水装置については、多数の提案
がなされており、夫々実用に供せられている。特
に大用量の揚水装置としては、大径の揚水筒内を
縦に区分する考案又は小径の揚水筒を並列して使
用する考案が知られている（実願昭59−59614
号）。

（考案によつて解決すべき問題点） 然るに各小径揚水筒に夫々空気室を設けると、
一群（２本乃至10本程度）の小径揚水筒へ、同一
又は各別のコンプレツサ−から給気した場合であ
つても、各空気室に溜る加圧空気の量に差を生
じ、一斉に排気することが困難な場合が多い。例
えば空気室内の容量の誤差、空気室の微細な傾斜
又は空気通過孔の形状差など、製作上避け得られ
ない微差があつても、同時等量排気はむつかし
く、結局各揚水筒の上昇水流に差を生じるおそれ
があつた。尚上昇水流速度は、空気団の通過直後
が最大で爾後漸減するので、一群の揚水筒間に
夫々流速差を生じると、上端放出部における乱流
を助長し、効率を低化するおそれがあつた。

（問題点解決の手段） 然るにこの考案は、一群の揚水筒群の上端部
へ、各揚水筒の合計断面積とほぼ等しい大径揚水
筒を連設し、これにより各小径筒から送り出され
る水に方向性を与えて、噴出部における乱流（特
にぶつかり合い）を防止し、揚水効率を向上させ
たのである。

即ちこの考案は複数の揚水筒に間欠給気装置を
備えた揚水装置において、前記複数の揚水筒の上
部へ集約筒を連設して、揚水装置を構成した。前
記における複数の揚水筒は、独立した揚水筒の複
数を並列一体化した構造又は大口径揚水筒の内部
を中心線と平行な仕切板によつて複数区画に区切
つたものなどが考えられる。前記における揚水筒
の数は２本以上十数本としてもよいけれども、実
用上は２本乃至十本程度であろう。

前記における集約筒の断面積は小径揚水筒の総
断面積と同等程度又は若干大きくしてあり、長さ
は上昇水を整流し得る程度であるが、例えば直径
の1.5倍〜３倍位の長さが適当である。

（考案の作用） 即ちこの考案によれば、複数の小径揚水筒の上
部に集約筒を連設したので、個別小径揚水筒内を
上昇する水は集約筒内で合流し、整流されて外部
へ放出される。

（実施例） この考案の実施例を第１図乃至第４図の実施例
に基づいて説明する。

即ち空気室Ａの上部に整流筒Ｂを連設し、整流
筒Ｂの上部に４本の小径揚水筒群Ｃの下端を連設
し、揚水筒群Ｃの上端に集約筒Ｄの下端を連設し
てある。前記空気室Ａは、４本の揚水基筒１，１
ａ，１ｂ，１ｃの夫々の外周に所定間隔をおいて
断面弧状の外覆筒２を同心円状に設置し、外覆筒
２、２ａ，２ｂ，２ｃと、各揚水基筒１，１ａ，
１ｂ，１ｃとの間に断面弧状の二つの仕切筒３，
４を夫々所定間隔毎に縦設し、仕切筒３，４と揚
水基筒の外壁との間を閉塞板５によつて閉塞し
て、各個の空気室ａ，ｂ，ｃ，ｄを構成したもの
である。

前記外覆筒２の下端には加圧空気の給気管６を
連設すると共に、各個の空気室ａ，ｂ，ｃ，ｄの
最外室７，７は連接壁に連通孔８，８を設けてあ
る為に、事実上全部連通した空気室Ａを構成して
いる。図中９，１０，１１は各揚水基筒１，１
ａ，１ｂ，１ｃの上部、および各仕切筒３，４の
下部又は上部壁に設けた通気孔である。

前記実施例について、装置の作動を説明する。
先づコンプレツサー（図示していない）で加圧さ
れた空気は、第２図中ホース１２内を矢示１３の
ように供給されて、給気管６から矢示１４のよう
に最外室７に入る。各個の空気室ａ，ｂ，ｃ，ｄ
は全最外室の連接壁１５に設けた連通孔８，８で
連通しているので、全最外室には、加圧空気が同
時に供給される。従つて加圧空気は夫々通気孔９
を矢示１６のように通過し、空気室ａ，ｂ，ｃ，
ｄの上部に溜り、空気量の増加につれて該部の水
面を逐次低下させる。前記水面が通気孔１０（図
中鎖線１７）に達すると、空気室ａ，ｂ，ｃ，ｄ
内の空気は、矢示１８，１９，２０のように通気
孔１０，１１を経て、各揚水基筒１，１ａ，１
ｂ，１ｃ内を上昇し、整流筒Ｂに入る。整流筒Ｂ
の上端部内側には、第４図々示のように仕切り２
１が嵌挿され、内側を四分割しているので、整流
筒内を一団になつて上昇した空気団２２および上
昇水は、前記仕切り２１によつて四分割され、揚
水筒群の夫々の中に入り、整形された鉋弾型空気
団２３となつて上昇する。この揚水筒群の筒長は
水深により異なるけれども、例えば10ｍ以上もあ
つて、最も大きな揚水力を発揮する部分である。

前記のようにして上昇した空気は、集約筒Ｄに
到つて再び一団となり、外界に放出される。

前記のように空気室を出た加圧空気は、整流筒
で一団となり、ついで小径の揚水筒群で分割さ
れ、更に集約筒で一団となるので、当初各空気室
を出る際に、多少の前後があつても、整流筒を上
昇する間に自然に補正され、集約筒における空気
団は、恰も当初から一団になつていたように上昇
するので、空気団の前後をはさみ上昇する水も一
つとなつて、集約筒の上端から放出される。従つ
て放出水が互にぶつかり合うことによる効率の低
減を生じるおそれはない。

例えば、第５図のように、各小径の揚水筒から
夫々揚水が放出されると、その波紋２４は円形に
拡散するので、外側に拡がる波紋はほぼそのまま
拡散するが、内側に拡がる波紋は互に打消し合う
ことになり、エネルギーの消失は免れず、効率の
低減となるのである。

（考案の効果） 然るにこの考案は、小径揚水筒群の上端に大径
の集約筒を連設したので、小径揚水筒内を個別に
上昇した空気団および水は、一つにまとまり、エ
ネルギーの浪費を防止し、効率よく作動する効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の一部を省略した正
面図、第２図は同じく一部を切断した正面図、第
３図は同じく一部横断平面図、第４図は同じく第
１図中イ−イ線断面における端面図、第５図は同
じく波紋を示す説明図である。 １，１ａ，１ｂ，１ｃ……揚水基筒、２……外
覆筒、３，４……仕切筒、Ａ……空気室、Ｂ……
整流筒、Ｃ……揚水筒、Ｄ……集約筒。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 複数の揚水筒に間欠給気装置を備えた揚水装
   置において、前記複数の揚水筒の上部へ集約筒
   を連設してなる大容量用揚水装置。 ２ 複数の揚水筒は、独立した揚水筒の複数を並
   列一体化したもの、または大口径揚水筒の内部
   を中心線と平行な仕切板によつて複数区画とし
   たものとした実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の大容量用揚水装置。 ３ 集約筒は、複数揚水筒の集計断面積に見合う
   断面積を有すると共に、当該集約筒の直径と同
   程度以上の長さとした実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の大容量用揚水装置。 ４ 間欠給気装置は、複数の揚水筒の中間部に設
   置した実用新案登録請求の範囲第１項記載の大
   容量用揚水装置。