JPH0216738Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、義歯を構成する義歯床歯槽堤部にお
ける唇頬側部又は、前歯舌側部を厚み方向に開し
て、歯槽堤部本体と、別体の付属体とに分かち、
両者を係合手段を介して弾性的に着脱自在とした
分割性義歯構造に関する。

（従来の技術） 従来から、義歯は、義歯列を形成する必要本数
の各義歯を植設保持せる義歯床歯槽堤部と、義歯
床口蓋部等とを一体成形することにより義歯を製
作し、患者の口蓋内に装着することにより使用す
ることが知られている。

このように、従来の義歯では、上記義歯床歯槽
堤部を分割し別体とすることはないものであつ
た。

（考案が解決しようとする問題点） 従来の義歯にあつては、義歯列を形成する各義
歯を植設保持せる義歯床歯槽堤部が何ら分割機能
をもたないため、装着後、口腔内の残留物等に基
因するプラーク、歯石、汚染物等が該義歯床歯槽
堤部等に固着され易くなり、その除去が困難とな
るだけでなく、口腔内の各組織体の変化等に伴つ
て上記歯槽堤部の改修や再調整を行なわなければ
ならないときには、義歯全体を被改修体として取
扱わなければならないので、その再製作のための
経済的、或は日数的な無駄が余儀なくされる。

特に、義歯としての咬合力の基礎となり、且
つ、発声機能等を司さどる義歯床歯槽堤部につい
ては、多くの場合、口腔内組織体の変化等によつ
て、定期的に改修を加えることが日常化されてお
り、この状況からも上記従来の義歯床歯槽堤部の
ような構造では不合理であるので、この改良が望
まれていた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記従来の義歯における問題点の解
決のために成されたもので、義歯維持機能を損う
ことなく、義歯床歯槽堤部自体に分割性を保有さ
せること、即ち、歯槽堤部と別体として構成した
付属体を、該歯槽堤部の例えば唇頬側部又は、前
歯舌側部に着脱自在に係合させることによつて、
上記口腔内組織体の変化に逐次対応できるように
した義歯構造を提供することを目的とし、この目
的達成の構成は、義歯列を形成する各義歯を植設
保持せる義歯床歯槽堤部の唇頬側部又は、前歯舌
側部を厚み方向に開した歯槽堤部本体と、この本
体と別体の付属体とに分かち、この付属体を当該
歯槽堤部本体に対し係合手段を介して弾性的に着
脱自在に装着して成る分割性義歯構造にある。

（作用） 本考案は、上記構成により、歯槽堤部の唇頬側
部又は、前歯舌側部を厚み方向に開した歯槽堤部
本体と、この本体と別体の付属体とを各々設ける
と共に、使用時には両者の係合手段を介して互い
に弾性的に係合止着させて一体化後、口腔内に装
着させて使用し、使用後は、上記歯槽堤部本体か
ら付属体を上記係合関係を解除させて取り外し、
夫々、コンパクトな構成体とさせることにより該
各部位に固着している汚染物質等の洗浄除去を容
易とさせると共に、更に、上記口腔内組織体の微
妙な変化等に対応して該付属体の改修或は、別製
の付属体との取替え等を可能とする。

（実施例） 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明す
る。図示した本考案に係る分割性義歯は、義歯列
Ｔを形成するアクリル樹脂、ポリカーボネイト樹
脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフオン樹脂、
或は陶磁器、金属等を基材として成る各義歯ｔ…
を植設保持せるポリウレタン樹脂、シリコン樹
脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリサルフオン樹
脂、アクリル樹脂等を基材とした義歯床歯槽堤部
１における歯槽堤部本体１１０、即ち、第３図か
らも理解されるように、口腔内装着時において人
体唇頬側部又は、前歯舌側部１１と接して位置
し、且つ、第１図のようにその厚さ方向に開した
係合部Ｊを有すると共に、該係合部Ｊには係合手
段１ａ…例えば、ノツチ、デインプル等を設けた
歯槽堤部本体１１０と、この歯槽堤部本体１１０
と別体として成り、上記本体側係合部Ｊの係合手
段１ａと弾性的に係合できる係合手段１２、例え
ば、上記ノツチ、デインプル等に対応するリセ
ス、グループ等を形成したポリウレタン樹脂、シ
リコン樹脂、或はシリコンラバー等を基材として
なる付属体１１１とから主構成されている。

そして、これら別体とした上記義歯床歯槽堤部
１と、付属体１１１とを係合するには、該歯槽堤
部本体１１０の係合手段１ａに、付属体１１１の
係合手段１２を接触させ、或は、逆の操作により
両者１２，１ａを接触させて押圧力を加えれば、
上記付属体１１１の弾性変形或は、本体側係合手
段１ａの弾性変形等の繋合作用により密接して両
部材１と１１１を係合止着できる。

第２図は、上記両部材１と１１１とを係合止着
させた状態を示す断面説明図であつて、この状態
において第３図に示すように、例えば、ポリウレ
タン樹脂等のプラスチツクスセグメント２や、
Co−Cr系等から成るキヤストフレーム３を介し
て義歯床口蓋部４と結合され、上顎又は下顎用の
義歯として使用に供されるものとなる。

又、使用後は、上記本体側係合手段１ａと付属
体１１１の係合手段１２の係合関係を解除させ
て、再び別体として構成させることにより、該部
位等に固着している汚染物質等を容易に除去でき
ると共に、この分離機能により、口腔内組織体の
変化等に伴う義歯における特に、図示した歯槽堤
部１の唇頬側部又は、前歯舌側部１１側に位置す
る付属体１１１の改修や取替えが簡便にできるよ
うになる。例えば図中、想像線で示したように、
改修により、厚肉１１１ｘとして口腔内の組織体
の変化に対応させたり、或は、図示しない薄肉状
態として改修調整させ、上記同様な係合操作によ
り本体側係合手段１ａに装着係合させることや、
別製した種々な厚みの該付属体１１１該当品を、
前使用付属体１１１と取替えて本体側係合手段１
ａに装着係合させること等により、上記目的に適
う義歯機能を発揮させ得ることができるようにな
る。

（考案の効果） 以上のように、本考案に係る分割性義歯構造
は、義歯列を形成する各義歯を、植設保持せる義
歯床歯槽堤部の唇頬側部又は、前歯舌側部を厚み
方向に開した歯槽堤部本体と、この本体と別体の
付属体とに分かち、この付属体を当該歯槽堤部本
体に対し係合手段を介して弾性的に着脱自在に装
着したものであるから、別体として構成した義歯
床歯槽堤部本体と、付属体とをワンタツチで係合
装着できると共に、使用後は、上記係合部の取り
はずしが容易にできるので、該義歯使用サイド
で、上記歯槽堤部本体と、付属体とを分体させ、
該各部位に固着しているプラーク、歯石、汚染物
質等を手軽に洗浄除去することができる。

又、着脱自在な分割性の構造により、該義歯に
おける特に歯槽堤部の唇頬側部又は、前歯舌側部
の改修、或は付属体の改修が簡便にできると共
に、上記付属体を予め種々な厚みに調整し、スト
ツク部品として備えておくことにより、単に取替
え操作だけで該付属体を上記歯槽堤部本体に着脱
自在に装着でき得るので、義歯として要求される
咀嚼、発声嚥下、審美性等の機能を具備すると共
に口腔内組織体にマツチした適格な形状の義歯
を、逐次提供できるものとなるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る分割性義歯における歯
槽堤部本体と、付属体とを別体とした構成を示す
断面説明図、第２図は、同、歯槽堤部本体と、付
属体とを係合止着させた構成を示す断面説明図、
第３図は、同、係合止着後の全体構成を示す説明
図である。 符号の説明、Ｊ……接合部、Ｔ……義歯列、ｔ
……各義歯、１……義歯床歯槽堤部、２……プラ
スチツクスセグメント、３……キヤストフレー
ム、４……義歯床口蓋部、１ａ，１２……係合手
段、１１……唇頬側部又は、前歯舌側部、１１０
……歯槽堤部本体、１１１……付属体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 義歯列Ｔを形成する各義歯と、義歯ｔ…を植
   設保持せる義歯床歯槽堤部１の唇頬側部又は、
   前歯舌側部１１を厚み方向に開した歯槽堤部本
   体１１０と、この本体１１０と別体の付属体１
   １１とに分かち、この付属体１１１を当該歯槽
   堤部本体１１０に対し係合手段１２を介して弾
   性的に着脱自在に装着した分割性義歯構造。 ２ 係合手段１２が、ノツチ、デインプル及び之
   等に対応するリセス、グルーブを含んでなる実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の分割性義歯
   構造。 ３ 付属体１１１が種々の厚みのものに調整され
   ている実用新案登録請求の範囲第１項記載の分
   割性義歯構造。 ４ 歯槽堤部本体１１０及び付属体１１１がポリ
   ウレタンよりなる実用新案登録請求の範囲第１
   項乃至第３項いづれかの項に記載の分割性義歯
   構造。