JPH0213979Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術の背景 技術分野 本考案は、真空吸引方式の自動分注装置に関す
る。

先行技術 近時、病院や診療所等の臨床検査室において
は、生化学分析を行なう検体数およびその検査項
目が年々増加する傾向にある。このことから業務
全体の能率化を図るため自動分析機が開発され、
広く利用されている。この自動分析機は、血液を
遠心分離法により血球層と血清層とに分離し、そ
の上澄み液たる血清を検体として用いるが、少な
い血液を利用して多数項目の検査をおこなうた
め、その血清のみを分注する処理工程がきわめて
重要となる。

従来の血清を分注する装置の一つとして、真空
吸引方式のものがある。この装置は、第１図に示
すように血清注入用ノズル１を装着した分注ヘツ
ド２の下面にパツキング３を取付けて、このパツ
キング３をばね４により容器５の開口面に押し付
け、この容器５を真空吸引することにより陰圧状
態とし、この陰圧により血清をノズル１を通して
容器内に注入するものである。

この装置は血清注入後分注ヘツド２を上昇させ
て、別の容器内に血清を注入するが、分注ヘツド
２の上昇時次のような問題があつた。

従来技術の問題点 すなわちパツキング３がぬれていたり、容器５
の陰圧が残つているとパツキング３が容器５に密
着して離れず、容器５が軽いことも相俟つて、容
器５も一緒に持ち上がり、この結果容器５の転倒
や血清の飛散を生じる危険があつた。

考案の目的 本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、分注時には気密を保ち、
分注終了後はすみやかに分離することができる分
注装置を提供するものである。

すなわち本考案は、液注入用ノズルを装着した
分注ヘツドの下端に弾性を有するパツキングを取
り付け、該パツキングを介して該分注ヘツドを容
器に密着し、陰圧状態で該容器内に注液する分注
装置において、該パツキングの該容器と接する下
面を、湾曲凹状下面、傾斜平面状下面、窪み付き
下面、又は凹凸状下面から選択された一つの面と
してなる分注装置である。

考案の具体的説明 以下本考案を図示する実施例にもとづいて説明
する。

第２図は分注装置を示し、この分注装置は注入
用ノズル１１を装着した分注ヘツド１２をアーム
１３で上下動自在に支持し、このアーム１３と分
注ヘツド１２との間に圧縮コイルばね１４を介在
して分注ヘツド１２を下方向に押圧している。こ
の分注ヘツド１２は側面に真空吸引口１５を形成
し、また下面にシリコンゴム等の弾性材からなる
平板状パツキング１６を取付けている。このシリ
コンゴムは、成分の溶出が少なく、経年変化や変
質が少なく、弾力、復元性に富むもので、この種
のパツキング用の材質として好適なものである。
上記分注ヘツド１２の下面は湾曲凹面状に形成さ
れ、従つてここに取付けたパツキング１６の下面
も湾曲凹面状に形成されている。また上記分注ヘ
ツド１２の下方には検体ラツク１７に載置された
容器１８が設けられている。

発明の具体的作用及び効果 この分注装置は、第３図に示すようにアーム１
３を下降して分注ヘツド１２のパツキング１６を
容器１８の開口部に接触せしめ圧縮コイルばね１
４の作用により押圧して第４図に示すように密封
する。この状態で真空吸引すると、容器１８内は
陰圧となり、ノズル１１から血清が注液される。

注液終了後吸引を停止し、アーム１３を上昇
し、分注ヘツド１２が容器１８から離れる。ここ
で容器１８と分注ヘツド１２との間で押圧変形さ
れたパツキング１６は、第５図に示すようにその
復元力により元の湾曲形状に戻る。従つてこの状
態でパツキング１６と容器１８の開口部との接触
面積が小さくなり、パツキング１６のぬれに起因
した容器１８とパツキング１６との密着を防止す
ることができる。また接触面積が小さいので分注
ヘツド１２の上昇時に容器１８との間に容易に隙
間が形成され、容器１８内が陰圧であつてもこれ
を解消し、容器１８が持ち上がるのを防止するこ
とができる。従つてパツキング１６が必要に応じ
て容器１８と密着し又分離するので、装置の信頼
性が向上する。また上記実施例によれば従来の分
注ヘツド１２の下面の形状を改良するだけでよい
ので、製造も容易である。

本考案の他の具体例 第６図は本考案の他の実施例を示し、この分注
装置は分注ヘツド１２の下面を平面状に形成し、
ここに第７図ないし第１０図に示す如きパツキン
グ１６を取付けている。第７図のパツキング１６
_１は下面両側を突出して厚肉とし、中央部を薄肉
とした湾曲凹状をなしている。第８図のパツキン
グ１６₂は下面を傾斜した平面状に形成している。
第９図のパツキング１６₃は下面両側から中央に
かけて窪みを形成している。第１０図のパツキン
グ１６₄は下面を凹凸状に形成している。

これらパツキング１６を取付けたものは、前記
実施例と同様にパツキング１６の復元力で容器１
８とパツキング１６との間の接触面積が小さくな
り、さらには隙間が形成され、容器１８の持ち上
がりを防止することができる。

又第６図に示す実施例によれば、分注ヘツド１
２は従来のものをそのまま使用でき、単にパツキ
ング１６のみを取替えればよいので、製作が容易
である。

なお第７図ないし第１０図に示すパツキング１
６は、これをそのまま第１図に示す分注ヘツド１
２に取付けてもよく、この場合にも上記実施例と
同様の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の分注装置の断面図、第２図は本
考案の一実施例を示す分注装置の断面図、第３図
ないし第５図は同分注装置を工程順に示した作用
説明図、第６図は本考案の他の実施例を示す分注
装置の断面図、第７図ないし第１０図は同分注装
置に用いるそれぞれ異なるパツキングの斜視図で
ある。 １１……注入用ノズル、１２……分注ヘツド、
１３……アーム、１４……圧縮コイルばね、１５
……真空吸引口、１６……パツキング、１７……
検体ラツク、１８……容器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 液注入用ノズルを装着した分注ヘツドの下端
   に弾性を有するパツキングを取付け、該パツキ
   ングを介して該分注ヘツドを容器に密着し、陰
   圧状態で該容器内に注液する分注装置におい
   て、該パツキングの該容器と接する下面を、湾
   曲凹状下面、傾斜平面状下面、窪み付き下面、
   又は凹凸状下面がら選択された一つの面として
   なる分注装置。 (2) 分注ヘツドはその下端面を湾曲凹状に形成
   し、ここに弾性を有する平板状パツキングを取
   付けてなる実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の分注装置。 (3) 分注ヘツドはその下端面を平板状に形成し、
   ここに弾性を有する凹形下面又は凸形下面を有
   するパツキングを取付けてなる実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の分注装置。 (4) パツキングの下面を湾曲凹状としてなる実用
   新案登録請求の範囲第３項記載の分注装置。 (5) パツキングの下面に窪みを形成してなる実用
   新案登録請求の範囲第３項記載の分注装置。 (6) パツキングの下面を凹凸状に形成してなる実
   用新案登録請求の範囲第３項記載の分注装置。