JPH0213895B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はタイヤのスチールコード配列検査装
置に関し、特に、タイヤ成型前のスチール補強ゴ
ムシートのスチールコード配列に異常があるか否
かを検査する装置に関する。

従来、スチール補強タイヤのスチールコード配
列を検査する装置としては、例えば特開昭50−
144457号公報に見られるように有心コイルをセン
サとして使用し、このセンサを回転させたタイヤ
のサイドウオール部に近接させてその出力波高値
の変化によりスチールコード間隔の異常な開きや
コード同志の重なり合いを検出するものがあつ
た。

しかしながら、前記従来のタイヤのスチールコ
ード配列検査装置には以下に示すような不具合が
あり、スチールコード配列を検査するのに十分な
信頼性が得られなかつた。

波高値がタイヤの回転速度、およびセンサと
タイヤとの距離の影響を受け易く正確なデータ
が得られない。

有心コイルは高感度にすると自己インダクタ
ンスが増加し、応答性が落ちると共にノイズの
影響を受け易くなつて信頼性が下がる。

有心コイルをセンサとして用いた場合、タイ
ヤ中のスチールコード１本１本の状況までは把
握できず、分解能が悪い。

この発明は前記従来のタイヤのスチールコード
配列検査装置の有する欠点を解消するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、タイ
ヤ製造工程のうち、特にスチール補強ゴムシート
を製造する工程において、スチールコード配列を
定量的に誤動作なく検出し、スチールコード配列
異常の有無を正確に見つけることによつてタイヤ
の性能のバラツキをなくし、完成タイヤの性能を
安定かつ均一にすることである。

前記目的を達成するためにこの発明では、タイ
ヤの製造工程、特にスチールコードを設定間隔で
埋設したゴムシートの搬送工程にスチールコード
配列検査装置を設け、この検査装置は、前記ゴム
シート表面から一定距離はなれた位置に配置した
永久磁石とこの先端部に前記スチールコード間隔
に対応させて設けた２個のホール素子とによりゴ
ムシート中のスチールコード位置データを採取
し、さらに、前記シートの単位時間当りの移動距
離を検出する速度検出手段によりゴムシートの移
動速度データを採取して、演算回路によりこれら
のデータから前記ゴムシート中のスチールコード
のピツチおよびシート単位長当りのスチールコー
ド本数（以後エンド数という）を求めてこれらを
表示することができるようにしたことを特徴とし
ている。

以上図面を用いてこの発明の実施例を説明す
る。

第１図はこの発明のタイヤのスチールコード配
列検査装置の測定装置の一実施例の構成を示す平
面図であり、第２図は第１図のＰ−Ｐ線における
矢視図である。

この発明ではスチールコード６が設定間隔で埋
設されたスチール補強シート５の搬送経路上に測
定装置１を設け、シート５中のスチールコード６
の配列を検査するようにしており、前記測定装置
１はセンサ部４とガイド部２と速度検出部３とか
ら構成している。

前記センサ部４は、この発明では２個のホール
素子１０，１１とこれらのホール素子１０，１１
に磁力線を供給する永久磁石１２とから構成して
いる。そして、前記ホール素子１０，１１は、永
久磁石１２の前記スチール補強シート５の対向面
に、このシート５中のスチールコード６の設定間
隔より狭く配置しており、この永久磁石１２は非
磁性体１３を介してガイド部２のアーム２２の側
面に取り付けている。

このガイド部２の前記アーム２２はこの実施例
では平面視Ｈ形にしており、前記センサ部４を取
り付けた側の２本のアーム２２ａ，２２ｂの間に
は、このセンサ部４の前記ホール素子１０，１１
をスチール補強シート５の表面から常に一定の距
離隔てておくために円盤状のコロ２０を回転軸２
３により回転自在に取り付けている。また、前記
アーム２２の他側は、軸受２６に回動自在に支持
された回動軸２４にブラケツト２５を介して固着
している。従つて、前記コロ２０はスチール補強
シート５の表面に重力により載置された状態であ
り、このシート５の移動に伴つて回転し、たとえ
シート５にスプライス部７や凹凸があつても、セ
ンサ部４のホール素子１０，１１を常にシート５
の表面から一定の距離に保持することができる。

そして、この実施例では前記コロ２０の回転
は、アーム２２ｂに取り付けられた速度検出部３
に内装された図示しないロータリーエンコーダに
カツプリング２１を介して伝えられ、コロ２０の
回転によつてスチール補強シート５の移動速度が
検出できるようにしている。なお、この速度検出
部３はスチール補強シート５の単位時間当りの移
動量が検出できるものであれば、検出場所、検出
方法は特に限定されるものではない。

さらに、この発明では第３図に示すように前記
ホール素子１０，１１は直列に接続してこれらに
直流電源１４から電圧を印加し、ホール素子１０
とホール素子１１との接続点および前記直流電源
１４の両端子間に設けた可変抵抗１５からはカツ
プリングコンデンサ１６を介してホール素子によ
る差動出力を取り出せるように測定装置１を構成
する。そしてこの差動出力およびロータリーエン
コーダ２７によつて検出されたスチール補強シー
ト５の速度データは同じく第３図に示す演算回路
４０に入力して、前記シート５内のスチールコー
ド６のピツチおよびエンド数を検出できるように
している。３１は前記差動出力を増幅して演算回
路４０に入力する増幅器である。

前記演算回路４０は、測定装置１からの差動出
力の高次成分のみを取り出すハイパスフイルタ３
２、ハイパスフイルタ３２の出力の波高値をそろ
えるリミツタ３３、リミツタ３３の出力波形を方
形波に整える波形整波器３４、整形された波形を
数えるカウンタ３５およびカウンタ３６と、カウ
ンタ３５にスチールコードの配列ピツチデータを
伝えるピツチ設定器３７、ロータリーエンコーダ
２７の出力を分周してカウンタ３６にスチール補
強シート５の単位長毎に信号を入力する分周器３
８とから構成する。そして、波形整波器３４の出
力はカウンタ３５のリセツト入力とし、ロータリ
ーエンコーダ２７の分周前の出力をカウンタ３５
のパルス入力とすることにより、カウンタ３５は
スチールコード６のピツチがピツチ設定器３７に
設定されたピツチより一定以上広くまたは狭くな
つたかどうかを判定できるようにする。また、ロ
ータリーエンコーダ２７の分周器３８を通つた後
の出力はカウンタ３６のリセツト入力とし、波形
整形器３４の出力をカウンタ３６のパルス入力と
することにより、カウンタ３６はエンド数を検出
できるようにする。

この実施例では前記カウンタ３５にピツチ表示
器８およびワンシヨツトマルチバイブレータ３
９、カウンタ３６にエンド数表示器９を接続して
いる。

第４図は第３図の各点における波形図を示すも
ので、以下この波形図を用いてこの発明の装置の
動作を説明するが、この時のスチールコードの配
列状態には２ケ所のピツチ異常Ｐ，Ｑがあるもの
とする。

この発明のタイヤのスチールコード配列検査装
置ではセンサ部４の下をシート５中に埋設された
スチールコード６が通過する毎にＡ点に第４図イ
に示すような波形が現われる。この波形はカツプ
リングコンデンサ１６で直流分が除分され、ハイ
パスフイルタ３２で低周波ノイズ等が除かれてＢ
点では第４図ハのようになり、さらにリミツタ３
３で波高値がそろえられ、波形整形器３４で方形
波に整形されてＣ点では第４図ニのようなパルス
波形となる。従つて、第４図ロのＰ，Ｑに示すよ
うなスチールコードのピツチ異常があると、第４
図ニのパルス間隔がＲ，Ｓで示すように開いてし
まうことになる。

前記パルス波形はカウンタ３５およびカウンタ
３６にそれぞれ入力される。カウンタ３５ではこ
のパルス波形とロータリーエンコーダ２７による
シート５の速度波形（Ｄ点における第４図ホに示
す波形）とにより、前記シート５に埋設されたス
チールコード６のピツチを検出し、その結果をピ
ツチ表示器８により表示する。そして、検出した
スチールコード６のピツチがピツチ設定器３７に
よつて設定されたピツチを越えた場合にはワンシ
ヨツトマルチバイブレータ３９にトリガ出力を入
力し、ワンシヨツトマルチバイブレータ３９の出
力（Ｅ点）を第４図ヘに示すように一定時間ハイ
レベルにする。このハイレベルの出力はピツチ異
常警報出力として利用し、ベルを鳴らしたり、ラ
ンプを点灯させたりして異常を警告できるように
すれば良い。

また、上記カウンタ６は、波形整波器３４から
のパルス波形と第４図トに示すＦ点の波形、すな
わちロータリーエンコーダ２７の出力の分周波形
とによりエンド数をカウントし、これをエンド数
表示器９により表示することができる。

以上説明したようにこの発明ではホール素子を
用いてスチール補強シートに埋設されたスチール
コードの配列を１本１本検出して、その配列ピツ
チおよびエンド数を検査することができ、またス
チールコードにピツチ異常が発見された時には警
報出力を出すことが可能であり、スチール補強ゴ
ムシートを製造する工程において、スチールコー
ドの配列異常を定量的に誤動作なく検出すること
ができるので完成タイヤの性能のバラツキをなく
すことが可能となり、タイヤの品質を安定かつ均
一にすることができるという効果がある。

さらに、この発明の装置は簡単な構成でＸ像を
用いたピツチ異常検査装置並みの精度から得ら
れ、かつ装置コストを低く抑えることができるの
で、タイヤ材料の全数検査が可能となり、その実
用性は非常に大きい。

なお、この発明のタイヤのスチールコード配列
検査装置はスチール補強ゴムシート中のスチール
コードの配列異常を検査するために発明されたも
のであるが、被検査物が成型された未加硫タイヤ
および空気入り完成タイヤであつても同様の効果
を発揮することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明のタイヤのスチールコード配
列検査装置の測定装置の一実施例の構成を示す平
面図、第２図は第１図のＰ−Ｐ線における矢視
図、第３図はこの発明の装置の演算回路の一実施
例を示す回路構成図、第４図は第３図の各点にお
ける波形を示す波形図である。 １……測定装置、２……ガイド部、３……速度
検出部、４……センサ部、５……スチール補強シ
ート、６……スチールコード、８……ピツチ表示
器、９……エンド数表示器、１０，１１……ホー
ル素子、１２……永久磁石、２０……コロ、２２
……アーム、２３……回転軸、２４……回動軸、
３０……演算回路部、３２……ハイパスフイル
タ、３３……リミツタ、３４……波形整形器、３
５，３６……カウンタ、３７……ピツチ設定器、
３８……分周器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ スチールコードを設定間隔で埋設したシート
   材の搬送経路中に設けた測定装置と演算回路とか
   らなるタイヤのスチールコード配列検査装置であ
   つて、前記測定装置は永久磁石先端部に前記スチ
   ールコード間隔に対応して設けられた２個のホー
   ル素子を有するセンサ部と、このセンサ部を前記
   シート表面から一定距離隔てて保持するガイド部
   と、前記シートの単位時間の移動距離を検出する
   速度検出部とから構成され、また、前記演算回路
   は前記センサ部からの差動出力および前記速度検
   出部からのシート移動速度データによりシート中
   のスチールコードのピツチおよびシート単位長当
   りのスチールコード本数を求めてこれを表示する
   ように構成されていることを特徴とするタイヤの
   スチールコード配列検査装置。