JPH0210914Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は牧草や青刈とうもろこし等の貯蔵用の
サイロの上部空間内を正圧又は負圧の状態に保つ
サイロ用気密装置に関するものである。

（従来技術） 良質なサイレージは、嫌気性菌の繁殖により得
られるから、極力気密状態を保持することが必要
であるが、サイロの内部と外部を完全に遮断する
と、昼夜の気温差・発酵状態に基く内圧の変化に
より安全の問題があつた。前記問題解決のため、
従来前記サイロの上部空間の内圧を正圧又は負圧
状態（通常40〜50mm水柱程度）に維持するために
前記圧力調節用の安全弁を採用したものは公知で
ある。

また、ブリーザーバツク方式と呼ばれるもの
で、サイロの上部空間内に外気と連通したブリー
ザーバツクを吊設し、昼間外気温が上つてサイロ
内の空気圧が膨張すると、その分だけブリーザー
バツクは収縮し、夜間外気温が下がつてサイロ内
の空気圧が収縮すると、その分だけブリーザーバ
ツクは膨張するようにしたものも公知である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前者の安全弁方式は、常時一定
の範囲で作動させるためには、安全弁の検査等周
到な保守点検を必要とするが、それが充分になさ
れていないときは、カビが発生する等がみられ、
良好なサイレージを作る上で問題があつた。ま
た、後者のブリーザーバツク方式は、サイロ上部
空間内を占有するため、サイレージの積込み空間
を小さくする欠陥と膨大な設備費を必要とする欠
陥があつた。

（問題を解決するための手段） そこで、本考案においては、サイロ底面５上の
所望の位置に排汁溜部６を形成し、該排汁溜部６
内には縦排出管１０を縦設し、該縦排出管１０の
下端は前記排汁溜部６内に開口１１し、該縦排出
管１０の上端には横排出管１２を接続して該横排
出管１２の他端をサイロ１外に開口させ、前記サ
イロ１内の上方空間９に上端を接続開口１３した
縦連結管１４の下端に横連結管１５を連結し、該
横連結管１５の他端を前記縦排出管１０の上下中
間位置に接続したサイロ用気密装置を要旨とした
ものである。

以下図面によつて本考案の実施例を詳細に説明
すると、次のとおりである。

第１図は本考案の縦断面図であり、第２図は排
汁溜部部分の拡大断面図、第３図は作用図であ
る。

図中、１はサイロ全体を示し、その横断面形状
は、角型・丸型等任意であり、外周壁２を構成す
る材料も、鉄板・コンクリート等任意のものが用
いられる。

前記サイロ１の外周壁２には、上下の方向に所
望の間隔を置いてサイレージ取出口３が形成さ
れ、該取出口３に着脱自在の蓋４が設けられる。

５は前記サイロ１の底面で、底面５は一例とし
て中央に至るに従い低くなる勾配面に形成され、
その中央部には排汁溜部６を形成する。７はサイ
ロ１内に充填したエンシレイジ、８はサイロ１上
部の密閉蓋、９はサイロ１内の上部空間である。

しかして、前記排汁溜部６内には縦排出管１０
を設け、該縦排出管１０の下端は前記排汁溜部６
内で開口１１させ、前記縦排出管１０の上端には
横排出管１２を連結し、該横排出管１２の外端は
サイロ１外に開口させる。又、前記上部空間９に
上端を接続開口１３した縦連結管１４の下部に横
連結管１５を接続し、該横連結管１５の端部を前
記縦排出管１０の上下中間位置に接続する。

（作用） 次に作用を述べる。

本考案は上述の構成であるから、ブロアー等任
意の張込手段により、前記密閉蓋８に形成されて
いる投入口より牧草等を投入し、嫌気状態にして
これを熟成させると、所定時間経過することによ
り、公知の如くエンシレイジ７が得られる。得ら
れたエンシレイジ７は、外周壁２に形成されてい
る取出口３より必要分だけ取出され、飼料として
家畜に与えられる。

しかして、前記熟成期間中、エンシレイジ７よ
り生じた排汁は、その自重で底面５に達し、勾配
を流れて中央に形成した排汁溜部６に貯留され、
その貯留量が多くなると、縦排出管１０の下端開
口１１より流入し、該縦排出管１０の上端に接続
されている横排出管１２を介してサイフオンの理
によりサイロ１外に排水されて、常に一定水位の
排汁を前記排汁溜部６内に貯留する。

しかして、昼間時、外気温が上つてサイロ１内
が加温され、上部空間９内の空気が膨張すると、
縦連結管１４内をイの方向に押圧するから、それ
まではＡ位置の縦連結管１４内の排汁ａを押圧
し、排汁ａは押圧分だけ縦排出管１０を上昇して
横排出管１２より外部に排汁される。前記上部空
間９の膨張が更に進むと排汁ａの水面はＢ位置す
なわち横連結管１５の上面と同じ位置となり、こ
の状態で上部空間９の膨張が更に進むと、膨張し
た空気は第３図のように横連結管１５の排汁の上
面を通つて横排出管１２より機外に排気される。

しかして、夜間冷却により、前記上部空間９内
が収縮すると縦連結管１４内の空気は反矢印イの
方向に上昇し、従つて、横連結管１５内の排汁ａ
を吸引上昇させるが、この場合、縦排出管１０の
排汁ａが、Ｃ位置まで下降すると前記第３図と反
対の現象が生じ、その後は外気を横連結管１５の
排汁ａの上面を通つて、前記上部空間９に流入す
るようになり、かくして圧力バランスを保つ。

（効果） 前記したように、従来公知の安全弁方式は、常
時一定の範囲で作動させるためには、安全弁の検
査等周到な保守点検を必要とするが、それが充分
になされていないときは、カビが発生する等がみ
られ、良好なサイレージを作る上で問題があつ
た。また、ブリーザーバツク方式は、サイロ上部
空間内を占有するため、サイレージの積込み空間
を小さくする欠陥と膨大な設備費を必要とする欠
陥があつた。

しかるに本考案は、サイロ底面５上の所望の位
置に排汁溜部６を形成し、該排汁溜部６内には縦
排出管１０を縦設し、該縦排出管１０の下端は前
記排汁溜部６内に開口１１し、該縦排出管１０の
上端には横排出管１２を接続して該横排出管１２
の他端をサイロ１外に開口させ、前記サイロ１内
の上方空間９に上端を接続開口１３した縦連結管
１４の下端に横連結管１５を連結し、該横連結管
１５の他端を前記縦排出管１０の上下中間位置に
接続したサイロ用気密装置を要旨とするから、公
知の安全弁の場合のように保守点検の必要はな
く、半永久的の耐久年数を持ち、実施化も容易で
あり、且つ、前記ブリーザーバツクに比べたとき
は比較し得ない程安価に形成でき、またサイロ内
容積を全く縮小させない効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のサイロの縦断面図、第２図は
排汁溜部部分の拡大断面図、第３図は排汁溜部部
分の作用図である。 符号の説明、１……サイロ、２……外周壁、３
……取出口、４……蓋、５……底面、６……排汁
溜部、７……エンシレイジ、８……密閉蓋、９…
……上部空間、１０……縦排出管、１１……開
口、１２……横排出管、１３……開口、１４……
縦連結管、１５……横連結管、ａ……排汁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. サイロ底面５上の所望の位置に排汁溜部６を形
   成し、該排汁溜部６内には縦排出管１０を縦設
   し、該縦排出管１０の下端は前記排汁溜部６内に
   開口１１し、該縦排出管１０の上端には横排出管
   １２を接続して該横排出管１２の他端をサイロ１
   外に開口させ、前記サイロ１内の上方空間９に上
   端を接続開口１３した縦連結管１４の下端に横連
   結管１５を連結し、該横連結管１５の他端を前記
   縦排出管１０の上下中間位置に接続したサイロ用
   気密装置。