JPH0159444B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、横軸用のラジアル軸受に関し、例え
ば、横形ポンプのラジアル軸受等に用いて好適な
ものである。

（従来の技術） 従来、横軸用の軸受には、油ないしグリス潤滑
の転がり軸受やホワイトメタル等の材料を用いた
滑り軸受が使用されている。ところが、転がり軸
受では、第６図に示すように、機器本体１の外
に、該本体１とは別に軸受ケーシング２を設けて
転がり軸受３を取付ける必要があり、また油グリ
ース４のメインテナンスも不可欠であつた。一
方、ホワイトメタル等を用いた滑り軸受は、機器
本体内に設けることも可能であるが、グリスを供
給する装置及びそのメインテナンスが必要なこと
はもとより、軸受の許容面圧が低いため、軸方向
に長い軸受になる欠点があつた。

そこで、ドライ運転や機器の取扱液による直接
潤滑が可能で且つ高圧面を受けることのできるセ
ラミツクス材又は超硬材を使用した軸受が望まれ
ていた。この要望に対し、上記のような使用条件
に適合する軸受材料として、軸側部材をタングス
テンカーバイド（WC）を含有する超硬合金で、
また軸受側部材を窒化珪素（Si₃N₄）又は炭水珪
素（SiC）等のセラミツクス或いは上記超硬合金
でそれぞれ構成した軸受が開発されている（例え
ば特公昭63−49086号など）。

（発明が解決しようとする問題点） 上記の既に開発さているセラミツクス材又は超
硬材を使用した軸受においては、これらの構成材
料の硬度が非常に高いため、従来のホワイトメタ
ル等で行なつていたような軸の撓みに合わせて当
り面を現合する（現場で現物に合わせて加工する
こと。）摺り合わせができず、また、これらのホ
ワイトメタル等で従来行われていたような運転開
始後に自然に軸の撓みになじんでできる適切な当
りも期待できず、例えば第３図に示すような点３
０点接触のまま摺動してしまうという問題点があ
つた。

一方、横軸用すべり軸受において、軸の曲がり
に対して自動調心性をもたせるために、静止側及
び回転側の両摺動部材の摺動面を、互いに嵌合す
る球面状に形成したものは従来公知である。（昭
和18年実用新案出願公告第3016号公報参照）とこ
ろがこのものは、球面の中央にて軸に直角方向に
二つ割りされた静止側摺動部材を、貫通するテー
パ状止杆により固定すると共に、一体構造の外側
受座の内面に形成された断面テーパ状の環状切断
面と、大径側端面に螺入された止螺杆とによつて
固定するようになつているので、上記静止側摺動
部材を硬くて脆い性質を有するセラミツクス材で
構成するものには到底適用できないという問題点
があつた。

本発明は、上記した従来技術の問題点を解決
し、静止側摺動部材をセラミツクス材で構成し且
つ自動調心性をもたせたすべり軸を提供すること
を目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本発明は、横軸
用のすべり軸受の静止側及び回転側の両摺動部材
の摺動面を、互いに嵌合する球面状に形成して軸
の曲がりに対して自動調心性をもたせるように
し、静止側摺動部材を球面の中央にて軸に直角方
向に二つ割りにし、それらを金属シエルの内側に
固定するようにしたラジアル軸受において、上記
静止側摺動部材をセラミツクス材で構成すると共
に回転側摺動部材を超硬材で構成し、また上記金
属シエルを、内側にそれぞれ係止段部を形成し中
央にて軸に直角方向に二つ割りとし、これらの係
止段部に上記二つ割りされた静止側摺動部材の外
周部をそれぞれ挾持するようにして焼嵌め固定
し、ボルトによつて締め付けて一体化するように
したことを特徴としている。

（作用） 本発明は、上記のように構成されているので、
回転軸に取付けられ、外面を凸形球面に形成され
た回転側摺動部材（スリーブ）は、軸と共に回転
し、金属シエルの内側に取付けられて内面を凹形
球面に形成されたセラミツクス材の軸受によつて
支持される。

このように、両軸受面は共に球面状に形成され
ているので、たとえば回転軸が撓んでいても、該
軸の撓みに追従して自動調心性を発揮する。

従つて、軸が正常状態にあるときは勿論、軸が
撓んでいるときでも、軸受の片当りが生じない。

また、球面の中央にて軸に直角方向に二つ割り
された静止側摺動部材は、内側にそれぞれ係止段
部を形成し中央にて軸に直角方向に二つ割りされ
た金属シエルの係止段部に、その外周部をそれぞ
れ挟持するようにして焼嵌め固定され、該金属シ
エル部をボルトで締め付けて一体化されるので、
該静止側摺動部材が硬いが脆い性質を有するセラ
ミツクス材で構成されていても、損傷される恐れ
はない。

（実施例） 次に、本発明の実施例を図面と共に説明する。

第１図は、本発明のラジアル軸受の一実施例を
示す軸中心線を含む縦断面図であつて、回転軸１
１に、タングステンカーバイドを含有する超硬材
で構成され、外周面１２ａを直径Ｒの球面に形成
した回転側摺動部材に相当するスリーブ１２が、
焼嵌め等によつて固定して取付けられている。

上記スリーブ１２の外側には、該スリーブ１２
の外周面１２ａの球面に一致する凹状の球面を形
成した窒化珪素又は炭化珪素等で構成されたセラ
ミツクス軸受（静止側摺動部材に相当する。） １３が、球面の中央にて割り面が軸と直角方向
になるように１３ａと１３ｂの二つに分割して設
けられ、これらの分割されたセラミツクス軸受１
３ａ，１３ｂは、その外周部と一側部とを、中央
にて軸に直角方向に二つに分割された金属シエル
１４ａ，１４ｂの内側にそれぞれ形成された係止
段部１４ｃによつて、挟持（包持）するようにし
てそれぞれ焼嵌め固定して一体的に取付けられ、
これら一体となつたセラミツクス軸受と金属シエ
ル１３ａと１４ａ及び１３ｂと１４ｂを、軸スリ
ーブ１２の両側から嵌装し、合せ面１５で接合し
て円周上に配置されたボルト１６によつて一体に
結合される。

次に作用について説明すると、一般に、球面状
軸受を通常の硬さの材質で形成したものにあつて
は、面圧を許容値以内に保つためには、軸受の軸
方向長さを長くしなければならない。ところが軸
方向長さを長くすると、第２図に示すように、嵌
合する軸２１の太さが小さくなり過ぎて強度上実
現が不可能である。

これに対し、本実施例では、球面状軸受１３が
高面圧を受けることのできるセラミツクス材で構
成されているので、軸受の軸方向長さ（摺動径×
0.2〜0.3）を短くすることができ、従つて前記し
た第２図におけるような不都合は生じないので、
軸受摺動面を球面状に形成することが可能にな
り、たとえ軸が撓んでも、自己調心性を有する。

また、球面の中央にて軸に直角方向に二つ割り
されたセラミツクス軸受１３ａ，１３ｂは、内側
にそれぞれ係止段部１４ｃを形成し中央にて軸に
直角方向に二つ割りされた金属シエル１４ａ，１
４ｂの係止段部１４ｃに、その外周部をそれぞれ
挟持するようにして焼嵌め固定され、該金属シエ
ル部１４ａ，１４ｂをボルト１６で締め付けて一
体化されるので、硬いが脆い性質を有する静止側
摺動部材に相当するセラミツクス軸受１３ａ，１
３ｂは、損傷される恐れはない。

また、第４図に示すように、軸受摺動面４２ａ
を本発明のように球面形とせずに円筒状とし、軸
の撓みに対してシエル４５の外面４５ａを球形に
することも考えられるが、このものにあつては、
回転軸スリーブ４２との摺動面４２ａ以外に自動
調心面４５ａでも十分な摺動特性が必要であるた
め、たとえ軸スリーブ４２と軸受部材４３を超硬
材で構成しても、球面受け部４６に一般金属材料
を使用した場合は、十分な潤滑が必要で、機器本
体内に設置しドライ又は機器取扱液を直接潤滑す
ることは腐食やかじり付きの問題から困難がある
のに対し、本実施例では、自動調心面はセラミツ
クス材又は超硬材で構成された軸受摺動面である
から、上記のような問題は生じない。

第５図は、本発明のラジアル軸受を、両吸込型
横軸渦巻ポンプの反カツプリング側の軸端部に取
り付けられた場合の一使用例を示す要部断面図で
あつて、この使用例では、ポンプケーシング１の
反カツプリング側の端部に設けられた回転軸１１
の端部を支える軸受に、本発明のラジアル軸受１
０が使用されている。そして回転軸１１の端部
は、蓋６をポンプケーシング１に取付けることに
よつて密封される。

従つて軸がケーシングを貫通していないので、
軸封装置が省略されており、簡単な構成となつて
いる。

以上説明したように、本発明によれば、高面圧
を受けることができるセラミツクス材及び超硬材
を、それぞれ静止側摺動部材及び回転側摺動部材
に使用したことにより、軸受の軸方向長さを短く
することができる。

また、球面の中央にて軸に直角方向に二つ割り
された静止側摺動部材を、内側にそれぞれ係止段
部を形成し中央にて軸に直角方向に二つ割りされ
た金属シエルの係止段部に挟持するようにして焼
嵌め固定し、ボルトによつて締め付けて一体化し
たことにより、静止側摺動部材を硬くて脆い性質
を有する損傷され易いセラミツクス材で構成する
ことが可能となる。

また、軸受摺動面自体を球面にしたことによ
り、次のような効果が奏される。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、高面圧
を受けることができるセラミツクス材又は超硬材
を軸受材に使用することにより、軸受の軸方向長
さを短くすることができ、また軸受摺動面自体を
球面にしたことにより、次のような効果が奏され
る。

(i) 球面形状により、横軸の軸の撓みに追従する
自動調心性が生じ、従つて軸受の片当りやそれ
による異常摩耗、破損の恐れがなくなる。

(ii) 摺動面自体が自動調心性を持つので、潤滑箇
所が１ケ所となる。さらにセラミツクス材又は
超硬材は、ドライ運転や機器本体の取扱い液に
よつて直接潤滑することが可能なので、従来の
油、グリース潤滑のような特別な潤滑システム
が不要になる。

(iii) 軸受を機器本体内に設けることができるの
で、機器全体がコンパクトになり、また、油や
グリスの管理が不要となるので、機器のメンテ
ナンスが非常に容易になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すラジアル軸受
の縦断面図、第２図ないし第４図の説明用のラジ
アル軸受の縦断面図、第５図は本発明のラジアル
軸受を両吸込型横軸渦巻ポンプに使用した一使用
例を示す要部断面図、第６図は従来の転がり軸受
の使用状態を示す第５図と同様の要部断面図であ
る。 ５，１１，２１，３１，４１……回転軸、１
２，２２，３２……回転側摺動部材、１３，１３
ａ，１３ｂ，２３，３３……静止側摺動部材、１
２ａ，１３ｃ……摺動面、１４，１４ａ，１４
ｂ，３４……金属シエル、１６……ボルト、１４
ｃ……係止段部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 横軸用すべり軸受の静止側及び回転側の両摺
   動部材の摺動面を、互いに嵌合する球面状に形成
   して軸の曲がりに対して自動調心性をもたせるよ
   うにし、静止側摺動部材を球面の中央にて軸に直
   角方向に二つ割りにし、それらを金属シエルの内
   側に固定するようにしたラジアル軸受において、
   上記静止側摺動部材をセラミツクス材で構成する
   と共に回転側摺動部材を超硬材で構成し、また上
   記金属シエルを、内側にそれぞれ係止段部を形成
   し中央にて軸に直角方向に二つ割りとし、これら
   の係止段部に上部二つ割りされた静止側摺動部材
   の外周部をそれぞれ挾持するようにして焼嵌め固
   定し、ボルトによつて締め付けて一体化するよう
   にしたことを特徴とするラジアル軸受。