JPH0140882B2 - - Google Patents

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JPH0140882B2
JPH0140882B2 JP59228833A JP22883384A JPH0140882B2 JP H0140882 B2 JPH0140882 B2 JP H0140882B2 JP 59228833 A JP59228833 A JP 59228833A JP 22883384 A JP22883384 A JP 22883384A JP H0140882 B2 JPH0140882 B2 JP H0140882B2
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slag
molten steel
chemically prepared
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Muua Fuaururingu Guroria
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Union Carbide Corp
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Publication of JPH0140882B2 publication Critical patent/JPH0140882B2/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C33/00Making ferrous alloys
    • C22C33/04Making ferrous alloys by melting

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Measuring Pulse, Heart Rate, Blood Pressure Or Blood Flow (AREA)
  • Electric Cable Arrangement Between Relatively Moving Parts (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Turning (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は工具鋼に関するものであり、更に詳細
には、バナジウム添加剤として、化学的に調整し
た実質的に純粋な三酸化バナジウム、V2O3を使
用して工具鋼を製造する方法に関するものであ
る。更に詳細な見地では、本発明は炭素含有量が
中程度又は高度、すなわち約0.35重量%よりも多
い工具鋼の製造に関するものである。 工具鋼は一般に高炭素含有量、例えば若干の場
合には5.0重量%程の高含有量に製造する。これ
らは又、バナジウム、タングステン、クロム、モ
リブデン、マンガン、アルミニウム、ケイ素、コ
バルト、及びニツケルのような合金元素をも含有
する。工具鋼のバナジウム含有量は約0.4重量%
から5重量%までの範囲にわたるのが代表的であ
る。 詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたつ
て、「化学的に調整したV2O3(chemically
prepared V2O3)」なる用語に言及する。この三
酸化バナジウムは1968年11月12日に特許された米
国特許第3410652号明細書の中のデー・エム・ハ
ウゼン(D・M・Hausen)の教示に従つて製造
するが、この特許明細書の開示を本明細書では併
せて参考資料とする。該特許明細書に記載してあ
るように、V2O3は高温(例えば580℃から950℃
まで)にしてある反応帯域にメタバナジウム酸ア
ンモニウム(AMV)を充てんし、酸素を存在さ
せないで熱分解する方法で製造する。この反応で
は還元性雰囲気を示す気体副生成物を生成する。
充てん物をこの還元性雰囲気と接触させて、還元
を完結させるのに十分な時間の間維持してV2O3
を作る。最終生成物は0.01%よりも少ない窒化バ
ナジウムを含有する実質的に純粋なV2O3である。
V2O3はX線回折で検出することのできる唯一の
相である。 溶融鋼にフエロバナジウム又は炭化バナジウム
(VC−V2C)を添加して鋼をバナジウムとの合金
にするのは日常よく行うことである。フエロバナ
ジウムは、例えば五酸化バナジウム(V2O5)の
テルミツト法還元によるか、あるいはバナジウム
含有スラグ、又はバナジウム含有残留物の還元に
よつて製造するのが普通である。炭化バナジウム
は通常若干の工程で製造する、すなわち五酸化バ
ナジウム又はバナジウム酸アンモニウムを還元し
て三酸化バナジウム、V2O3にし、そしてこれを
高温(例えば約1400℃)の減圧下で、炭素を存在
させて還元して炭化バナジウムにする。市販の
VC−V2C添加剤はユニオン カーバイド社
(union Carbide Corporation)が「カラバン
(Caravan)」なる商品名で製造している。 バナジウム添加剤は又溶融鋼に還元剤と一緒に
バナジウム酸化物、例えばV2O5又はV2O3を添加
して製造していた。例えば、1982年11月30日にジ
ー・エム・フアウリング(G.M.Faulring)その
他に特許された米国特許第4361442号明細書では、
微粉末にしたV2O5及びカルシウム含有物質、例
えばカルシウム−ケイ素合金、の凝結混合物から
成る添加剤を、好ましくは鋳造ブリケツトの形態
にして溶融鋼に添加する、バナジウムを鋼に添加
する方法を開示している。 1983年8月2日にジー・エム・フアウリングそ
の他に特許された米国特許第4396425号明細書で
は、添加剤が微粉末にしたV2O3とカルシウム含
有物質との凝結混合物であるバナジウムを鋼に添
加する類似した方法を開示している。 1971年7月6日にエフ・エイチ・パーフエクト
(F.H.Perfect)に特許された米国特許第3591367
号明細書では、バナジウム酸化物、例えばV2O5
又はV2O3、Al又はSiのような無機還元剤、及び
石灰の混合物から成る、含鉄合金の製造に使用す
るバナジウム添加剤を開示している。石灰の目的
は含有物、例えば還元剤の酸化物を流動性にし、
かつ溶融鋼から除去するのが容易な低融点の酸化
性含有物を生成することである。 先行技術のバナジウム還元剤は、多くの点で非
常に有効ではあるけれども、これらは多くの場
合、鋼に有害になる虞のある残留金属を含有する
という共通の欠点に悩まされる。添加剤が本質的
に純粋なバナジウム酸化物、例えばV2O3を使用
する場合でさえ、還元剤は通常著量の金属不純物
を含有している。この問題は比較的高水準のバナ
ジウム添加を必要とする工具鋼では特に厄介であ
る。 本発明によつて、 (a) 炭素含有量が約0.35重量%よりも多く、かつ
量が約0.15重量%から約3.0重量%までのケイ
素、及び溶融鋼を被覆するスラグを含有し、ス
ラグは、CaO対SiO2の重量比が1.0に等しいか
又はもつと多いような割合で、CaO及びSiO2
を含有する溶融鋼を作り、かつ (b) 本質的に、溶融鋼中で炭素及びケイ素と化学
量論的に反応して、少なくとも、約0.4重量%
から約5.0重量%までのバナジウムを生成する
量の、化学的に調整した実質的に純粋なV2O3
から成るバナジウム添加剤を溶融鋼に添加す
る、 ことから成る、工具鋼を製造するための新規で
改良された方法を提供する。 本発明によつて、(1)比較的高い、すなわち約
0.35重量%よりも多量の炭素含有量、及び(2)合金
金属としてケイ素を使用して、溶融鋼の還元を十
分に行う場合には、化学的に調製した実質的に純
粋なV2O3を、還元剤を用いないで溶融鋼に添加
して、所定水準のバナジウム添加をうまく行うこ
とができることを見い出したことは意外であつ
た。溶融鋼を被覆する、本質的に塩基性であるス
ラグを使用することも必要である、すなわちスラ
グは1.0よりも大きいV比、すなわちCaO対SiO2
であるべきである。 工具鋼には中程度から高い程度までの炭素含有
量が必要であるから、工具鋼には化学的に調整し
たV2O3をバナジウム添加剤として使用するのが
立派に適合している。その上、Cr、V、W及び
Moのような高価な、酸化されやすい合金形成元
素の回収を促進するためには、これらの鋼を製造
する場合に、通常スラグ中に比較的強い還元条件
を使用することが必要である。 本発明に従つて、化学的に調整したV2O3をバ
ナジウム添加剤として使用することには、先行技
術よりも優れた利点が多くある。第一に、V2O3
は化学的にほぼ純粋である、すなわちV2O3は97
%よりも多い。これは鋼に対して有害な残留元素
を含有していない。フエロバナジウム及び炭化バ
ナジウムは両方共含有する不純物は、化学的に調
製したV2O3中で検出されない水準である。例え
ば、炭化バナジウムはV2O3と炭素との混合物か
ら製造し、炭素並びに処理中に配合されるどの汚
染物質中にも存在する汚染物質をすべて含有して
いる。その上、化学的に調整したV2O3の組成及
び物理的性質は、他の物質に比較して、これらよ
りも一貫性がある。例えば、V2O3は粒度が微細
であつて、変化する範囲は狭い。このことは、粉
砕とふるい分けとが必要であつて、広い粒度分布
になり、かつ冷却中にセグレゲーシヨンで不均質
生成物を生じることになるフエロバナジウムの場
合には当てはまらない。最後に、ケイ素又はアル
ミニウムによるV2O3の還元は発熱反応であつて、
電気炉内の溶融鋼に熱を供給する。フエロバナジ
ウム及び炭化バナジウムは両方共、バナジウムを
溶融鋼中に複合させるためには熱エネルギーの消
費が必要である。 図面について簡単に説明するが、図面では、 第1図は拡大率100倍で撮映した顕微鏡写真で
あつて、本発明に従つてバナジウム添加剤として
使用する、化学的に調製したV2O3粉末を示し、 第2図は拡大率10000倍で撮映した顕微鏡写真
であり、第1図に示したV2O3の大きい粒子の構
造を詳細に示し、 第3図は拡大率10000倍で撮映した顕微鏡写真
であり、第1図に示したV2O3の小さい粒子の構
造を詳細に示し、 第4図は拡大率50000倍で撮映した顕微鏡写真
であり、第3図に示した小さい粒子の構造を更に
極めて詳細に示し、かつ 第5図は化学的に調製した代表的なV2O3粉末
の粒度分布を示すグラフである。 工具鋼は、充てん物を電気炉内で溶融し終えた
後に起こるAOD(アルゴン−酸素脱炭)処理工程
を使用して、及び使用しないで、の両方で製造す
るのが普通である。以下の記載では、どのAOD
にも関係なく、本発明による工具鋼の製造を説明
するが、このような方法を、化学的に調製した
V2O3を使用するバナジウム添加に続く最終処理
工程として使用してもよいことは言うまでもな
い。AOD処理の詳細な説明は、1966年5月24日
にダブルユー・エイ・クリブスキー(W.A.
Krivsky)に特許された米国特許第3252790号明
細書に開示してあり、本明細書ではこの開示を併
せて参考資料とする。 本発明の実施に際しては、鋼を鋳造してインゴ
ツトにする前に、上記の米国特許第3410652号明
細書のハウゼン、その他に従つて製造する、本質
的に、化学的に調製したV2O3から成るバナジウ
ム添加剤を、微粉末として、あるいはブリケツト
の形態で、還元剤を使用しないで、電気炉又は移
動容器の中で、溶融工具鋼に添加する。工具鋼は
炭素含有量が高く、すなわち約0.35重量%よりも
多く、かつ又溶融鋼中を強い還元雰囲気にするの
に有効な量のケイ素を含有している。もちろん、
当業界の熟達者には容易に思い浮かぶように、工
具鋼も又例えばクロム、タングステン、モリブデ
ン、マンガン、コバルト及びニツケルのような種
類かの他の合金形成元素を含有していてもよい。 本発明の実施に際しては、溶融鋼を被覆する塩
基性の還元性スラグを準備することも又必須であ
る。スラグは、通常の方法に従つて、例えば石灰
のようなスラグ形成体を添加して生成させ、そし
て例えば極少量のFeO,Al2O3,MgO及びMnO
を伴つて大部分がCaO及びSiO2から成つている。
CaO対SiO2の割合は「V−比(V−ratio)」とし
て公知であり、これはスラグの塩基度の評価標準
である。CaC2、フエロシリコン、シリコマンガ
ン及び(又は)アルミニウムのような還元性物質
を添加して、塩基性スラグを還元させるのが好ま
しい。 化学的に調製したV2O3をバナジウム添加剤と
して使用して、100%に近いバナジウム回収率を
得るためには、スラグのV比が1.0に等しいか、
又はこれよりも大きくなければならないことを見
い出した。V比は2.0に極近いのが好ましい。V
比を少なくとも1.0よりも大きくするのに十分な
量の石灰を添加して、スラグ組成を適切に変更す
ることができる。もつと詳細なV比の説明はジエ
ー・ワイリー・アンド・サンズ社(J.Wiley and
Sons.Inc.)発行(1982年)のエイ・テイ・ペー
タース(A.T.Peters)著「含鉄生産や金
(Ferrous Productive Metallurgy)」の91ページ
及び92ページで知ることができる。 本発明の実施に際して、バナジウム添加剤とし
て使用する、化学的に調製したV2O3は、純度、
すなわち、わずかに極微量の残留物を同伴して、
本質的にV2O397%から99%までであるのが主な
特徴である。更に、鋼製造工程で一般に最も有害
と考えられる元素、すなわちヒ素、リン及び硫黄
の量は極めて低い。工具鋼はバナジウムを他の品
位の鋼よりも70倍までも多量に含有しているの
で、残留物の正体と量とが特に重要である。例え
ば、工具鋼はバナジウムを5重量%程含有しても
よいが、微合金化した高強度低合金(HSLA)鋼
のバナジウム含有量は0.2重量%よりも少ない。 下記の第1表では化学的に調製した代表的な
V2O3物質の化学分析値を示す、
【表】 化学的に調製したV2O3の資料で得たX線回折
データでは、検出可能な一相、すなわちV2O3
けを示す。線の広がつている、あるいは継続する
むらのあるX線回折反射像がないのを根拠にし
て、V2O3微結晶の大きさは10-3cmと10-5cmとの
間であるという結論に達した。 化学的に調製したV2O3は又反応性が極めて高
い。この反応性は主としてV2O3は非常に表面積
が広く、かつ融点が高いためであると考えられ
る。試料で走査電子顕微鏡(SEM)画像を作つ
て、V2O3物質の表面積と気孔率との大きいこと
を証明した。第1図から第4図までで、これらの
SEM画像を示す。 第1図は拡大率100倍で撮映した試料V2O3の画
像である。これで分かるように、V2O3は粒度が
約0.17mmから下方に変化する凝結団塊が特徴であ
る。この低い拡大率でさえ、大きい粒子は多数の
小さい粒子の凝結体であることが明らかである。
このために、「A」で示した大きい粒子1個、及
び「B」で示した小さい粒子1個について、拡大
率の高いSEM画像を作つた。 大きい粒子「A」のSEM画像を第2図に示す。
この画像から、大きい粒子は極度に小さい、例え
ば0.2μから1μまでの、粒子の凝結した多孔性団塊
であることが分かる。SEM画像の多量のほぼ黒
い領域(ボイド)はV2O3団塊の気孔率が大きい
ことの証拠である。顕微鏡写真の矢印で強調して
ある黒い領域を特に観察されたい。画像から、粒
子の大きさがほぼ等しいことも分かるであろう。 第3図は小さい粒子「B」を拡大率10000倍で
撮影した画像である。小さい粒子又は凝結体は大
きさが約4μ×7μであり、かつ凝結して多孔性団
塊になつている多数の小さい粒子から成つてい
る。この同じ小さい粒子の更に拡大率の高い画像
(50000倍)を撮映して、凝結団塊の小さい粒子の
輪郭を示した。この拡大率を更に高くした画像を
第4図で示す。この画像から、粒子はほとんど等
しい大きさであり、かつ粒子を隔てているボイド
も又極めてはつきりしていることが明らかであ
る。この凝結体では、粒子は約0.1μから0.2μまで
の範囲である。 第5図では、異なつた2種類の供給源から化学
的に調製したV2O3物質の粒度分布を示す。第一
の物質は第1図から第4図までに図示したものと
同一のV2O3物質である。第二のV2O3物質はメタ
バナジウム酸アンモニウムを比較的ゆつくり再結
晶させたために、目形形態をしている。粒子個々
の大きさは、速く再結晶させたV2O3の場合程、
粒子が小さく、かつ形状は均一性が劣る。粒度を
ミクロメログラフで測定した。粒子は微細な粒子
(離れた別個の粒子ではない)の凝結体であつた。
グラフから、全V2O3の50重量%の粒度分布は4μ
と27μとの間にあること分かる。 化学的に調製した、製粉する前のV2O3の充て
ん密度は約45ポンド/立方フイートと65ポンド/
立方フイートとの間である。V2O3をバナジウム
添加剤として使用するためには、製粉してそれの
密度を増大させるのが好ましい。製粉で密度の一
貫性が一段と良く、かつ一段と低いコストで、取
り扱いと輸送とを行うことのできる製品ができ
る。明細には、製粉したV2O3は充てん密度が約
70ポンド/立方フイートから77ポンド/立方フイ
ートまでである。 化学的に調製したV2O3の気孔率を、充てん密
鳥測定値と密度理論値とから求めた。明細には、
V2O3の団塊の約75%から80%までがボイドであ
ることを見い出した。粒子の大きさが微小であ
り、かつ凝結体の気孔率が非常に高いために、そ
の結果として化学的に調製したV2O3は表面積が
異常に広い。化学的に調製したV2O3の反応性は
この表面積と直接関係がある。V2O3の表面積を
顕微鏡写真のデータから計算して、140平方フイ
ート/立方インチ、すなわち8000cm2/cm3を越える
ものとした。 化学的に調製したV2O3の純度及び高い反応性
はさておき、これにはバナジウム添加剤として使
用するのを理想的にしている他の性質がある。例
えば、V2O3には、大部分の鋼の融点(1600℃)
よりも高い融点(1970℃)があり、従つて代表的
な製鋼条件下では固体であつて、液体にならな
い。その上、製鋼条件下の溶融鋼中では、還元
剤、例えばAl及びSiによるV2O3の還元は発熱反
応である。対照的に、還元剤と共にやはりバナジ
ウム添加剤として使用する五酸化バナジウム
(V2O5)は、融点(690℃)が溶融鋼の温度より
も約900℃低く、還元反応を行うには、やはりも
つと厳しい還元条件が必要である。V2O3及び
V2O5の両者の特性の比較は下記の第2表の通り
である。
【表】 正斜方
更に対照的に、V2O5は一般に電気炉及びとり
べに使用される多数の耐火材料に対する強力な融
剤と見なされている。その上、V2O5は690℃で溶
融して、製鋼条件下では液体のままである。液体
のV2O5粒子は金属−スラグの界面に瘉着し、か
つ浮流し、ここでスラグのために希釈され、かつ
CaO及びAl2O3のような塩基性酸化物と反応す
る。これらの相を還元するのは困難であり、かつ
バナジウムはスラグの容積全体に配分されて希薄
溶液を生じるので、V2O5からのバナジウム回収
は、固体で反応性の高いV2O3からよりも幾分か
劣る。 化学的に調製したV2O3は固体でもあり、かつ
工具鋼の製造条件下では、ケイ素又はアルミニウ
ムとも発熱反応をするので、酸化物の粒度、及び
従つて表面積は、還元の速度、及び完全さを決定
する主要因子であることは明らかである。還元反
応は下記の方程式で示すことができる、 Al Al2O3 V2O3+Si → V+SiO2 C CO2+CO 反応速度は、電気炉内の基調をなしている還元
条件下、すなわち極度に小さい固体V2O3粒子が
SiとCとを含有する溶融鋼浴全体に分布されてい
る条件下、で最大になる。これらの因子はすべ
て、V2O3の完全かつ迅速な還元、及び生成する
バナジウムの溶融鋼中での溶解性に関する理想的
な状態を作り出すのに寄与する。 本発明を実施するときに化学的に調製した
V2O3を添加剤として使用して、100%に近いバナ
ジウム回収率を得るためには、溶融鋼に、ある特
定の範囲、すなわち約0.15重量%から3.0重量%
までの範囲でケイ素を含有させるべきであること
を見い出した。浴を脱酸するために0.0重量%か
ら0.1よりも少ない重量%までの量のアルミニウ
ムも溶融鋼中に存在していてもよい。どの場合に
も、必要な還元条件を準備するためには、溶融鋼
の炭素含有量が約0.35重量%よりも多いことが必
要なのは言うまでもない。 ずつと前に指摘したように、V比をスラグ中の
CaOの%/SiO2の%と定義する。V比を増大す
ることは、SiO2の活性度を低下させ、かつSiの
還元反応に対する推進力を増大させる非常に有効
な方法である。製鋼条件(1600℃)下で、金属が
溶解したSiとO2とを含有する場合には、所定の
スラグ−金属反応に対する平衡定数Kは下記の方
程式で求めることができる。 K=aSiO2/(aSi)(aO)2=28997 式中、「K」は平衡定数であり、「aSiO2」はス
ラグ中のSiO2の活動度であり、「aSi」は溶融金
属に溶解しているSiの活動度であり、又「aO」
はやはり溶融鋼に溶解している酸素の活動度であ
る。 所定のV比に対するシリカの活動度は、下記の
第3表に示す「AOD法(the AOD Process)」−
AIME教育演習用手引き(Manual for AIME
Educational Seminars)−のような標準参考文献
から求めることができる。ケイ素及びバナジウム
の酸化に関するこれらのデータ、及び既発表の平
衡定数に基づいて、特定のケイ素含有量に対応す
る酸素水準を計算することができる。これらの条
件下で、還元することのできるV2O3の最大量、
従つて溶融金属に溶解したバナジウムの量も求め
ることができる。 第 3 表 V比のaSiO2に及ぼす効果 V比 aSiO2 0 1.00 0.25 0.50 0.50 0.28 0.75 0.20 1.00 0.15 1.25 0.11 1.50 0.09 1.75 0.08 2.00 0.07 下記の第4表では、低下するSiO2活動度に対
するV比、対応する酸素水準、及びこれらの条件
下で還元することのできるV2O3最大量を示す。
この還元反応の結果として溶融鋼に溶解するバナ
ジウムも各V比に対して示してある。
【表】 このようにSiを0.3重量%含有し、かつ可変量
のV比を有する鋼に基づく上記の計算値から、V
比を1から2まで増大するにつれて、V2O3から
還元させて、1600℃の溶融鋼中に混入させること
のできるバナジウムの量が1.8倍増大するという
結論を下すことができる。 前記の米国特許第3410652号明細書に開示の化
学的方法による以外の物質を含有するV2O3を製
造することができることは言うまでもない。例え
ば、NH4VO2を水素還元してV2O3を製造するこ
とができる。これは、最初に400℃から500℃まで
で、次に600℃から650℃までで行う二段階還元方
法である。最終生成物は約80%のV2O3及び20%
のV2O4を含有し、充てん密度は45ポンド/立方
フイートである。この生成物の酸化状態は高すぎ
て、鋼に対するバナジウム添加剤としての使用を
容認することはできない。 下記の実施例で本発明を更に説明する。 実施例 1 下記に記載する方法で、M−7品位の工具鋼を
製造した。この合金の成分は下記の通りであつ
た。 C:1.0重量%〜1.04重量%、 Mn:0.2重量%〜0.35重量%、 Si:0.3重量%〜0.55重量%、 Cr:3.5重量%〜4.0 重量%、 V:1.5重量%〜2.0 重量%、 W:1.5重量%〜2.0 重量%、 Mo:8.2重量%〜8.8 重量%。 バナジウム130ポンド、及びモリブデン−タン
グステン酸化物160ポンド、並びにV2O3としてバ
ナジウム80ポンドを含有する、くず鋼10トンを電
気炉に仕込んだ。充てん物を全部溶融して、塩基
性スラグ(V比=3)の下に沈めた。次に融成物
にCaC2とフエロシリコンとを添加して、スラグ
を還元させた。手によるかき混ぜと炉電極のかき
混ぜ作用とで、還元性物質をスラグに完全に混ぜ
込んだ、1時間後に溶融金属の試料を分析した。
バナジウム含有量は1.05重量%であつた。スラグ
を取り除き、かつバナジウム152ポンドをフエロ
バナジウム(V80%のFeV190ポンド)として添
加した。石灰(CaO)、CaC2及びフエロシリコン
を添加して、第二スラグを作つた。30分後に、溶
融鋼(1600℃)の第二の試料を採取して分析し
た。記録されたバナジウム含有量は1.70重量%で
あつた。V2O3及びフエロバナジウム添加剤につ
いてのバナジウム回収率は下記の通りである。 (1) V2O3の添加前、 V:0.64重量%(くずから)、 (2) V2O3の添加後、 V:1.05重量%(V回収率:100%)、 (3) FeVの添加後、 1.70重量%(V回収率:88%)。 バナジウム分析及び試料採取の正確さに基づい
て、これらの条件下では、V2O3からの回収率は
98%から100%までに、又フエロバナジウムから
では86%から90%までになるという結論を下すこ
とができる。 実施例 2 化学的に調製したV2O3粉末としてバナジウム
430ポンド、及びケイ酸ナトリウム結合V2O3ブリ
ケツトとしてバナジウム10ポンドを、重量が約25
トンのM7品位の工具鋼炉融成物に添加した。融
成物は炭素含有量が0.65重量%であり、かつ又最
初のバナジウム含有量は0.72重量%であつた。塩
基性スラグ(V比=1.54)を還元するために、フ
エロシリコン(ケイ素75%)とアルミニウム粉末
とを添加した。スラグの重量は約200ポンドであ
つた。V2O3粉末は添加するや否や速やかに融成
物中に消失したが、ブリケツトは融生物表面に浮
遊したままであつた。電気炉を1600℃で約1分か
ら2分までの間再活性化し、続いて30秒から40秒
までの間窒素でかき混ぜた。ブリケツトは直ちに
融成物中に沈んで見えなくなつた。融成物の試料
を分析して、バナジウム含有量は1.71重量%であ
ることが分つた。V2O3粉末からのバナジウム回
収率を100%と仮定すれば、バナジウムの分析値
は4.61重量%になるはずである。それ故、鋼中の
バナジウム0.1重量%はスラグから還元されたも
のと推算した。次に、鋼融成物をとりべに注ぎ込
んで、AOD容器に移した。移した重量は76.600
ポンドであつた。AOD中で処理した後に、溶融
している鋼を鋳込んでインゴツトにした。鋼の最
終組成は下記の通りであつた、 C:1.00重量%、 Mn:0.18重量%、 Si:0.42重量%、 Cr:3.55重量%、 W:1.66重量%、 V:1.96重量%、 Mo:8.56重量%。 実施例 3 ケイ酸ナトリウムで結合した化学的に調製した
V2O3ブリケツトとして、バナジウム240ポンド
を、重量が約25トンのM7品位の工具鋼炉融成物
に添加した。融成物の炭素含有量は0.7重量%で
あり、かつ又最初にはバナジウム0.98重量%をも
含有していた。75%のFeSi150ポンド及びAl粉粉
末150ポンドを、塩基性スラグを確実に還元する
ように、V2O3ブリケツトと共に添加した。スラ
グの重量は約200ポンドであつた。スラグの分析
値はCa16.54%及び10.29%であり、V比は1.05で
あつた。添加後(約1分)にブリケツトがまた融
成物の表面に浮遊しているのが認められた。電気
炉を1600℃で再活性化したが、その後ブリケツト
は還元されて融成物中に消失した。融成物をとり
べに注ぎ込んで電気炉に戻し、そしてAOD容器
に移すために再びとりべに注ぎ込んだ。とりべ中
の融成物の試料を分析して、バナジウム含有量は
1.69重量%であることが分つた。炉内のV2O3
リケツトからのバナジウムの回収率は100%であ
ると推定した。バナジウム約108ポンド(約0.20
重量%)もスラグから還元された。とりべ中のス
ラグはCa21.13%及び10.45%を含有し、V比は
1.26%であつた。次にバナジウム130ポンドを
V2O3粉末として移動とりべに中の溶融鋼に添加
して、バナジウム含有量を1.9重量%にした。
AOD処理後に、溶融鋼を鋳込んでインゴツトに
した。鋼の最終組成は下記の通りであつた。 C:1.02重量%、 Mn:0.25重量%、 Si:0.45重量%、 Cr:3.40重量%、 W:1.64重量%、 V:1.92重量%、 Mo:8.40重量%。
【図面の簡単な説明】
第1図から第4図までは本発明に従つて化学的
に調製したV2O3の粉末粒子の構造を示す顕微鏡
写真であつて、第1図は拡大率100倍の写真であ
り、第2図は第1図中の大粒子の詳細な構造を示
すために拡大率を10000倍にした写真であり、第
3図は第1図中の小粒子の詳細な構造を示すため
に拡大率を10000倍にした写真であり、第4図は
第3図の小粒子の更に詳細な構造を示すために拡
大率を50000倍にした写真であり、第5図は化学
的に調製した代表的なV2O32種類の粒度分布を示
すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 工具鋼の製造において、 (a) 炭素含有量が約0.35重量%よりも多く、かつ
    約0.15重量%から約3.0重量%までのケイ素を
    含む溶融鋼、及び溶融鋼を被覆するスラグを形
    成し、スラグはCaO対SiO2の重量比が1.0に等
    しいか、又は1.0以上の割合でCaO及びSiO2
    含有し、かつ (b) 本質的に溶融鋼中で、該炭素及びケイ素と化
    学量論的に反応して、少なくとも約0.4重量%
    から約5.0重量%までのバナジウムを生成する
    量の、化学的に調製した実質的に純粋なV2O3
    から成るバナジウム添加剤を溶融鋼に添加す
    る、 ことを特徴とする製造方法。 2 スラグ中のCaO対SiO2の重量比が2に等し
    いか、あるいはこれよりも大きい、上記第1項に
    記載の方法。 3 炭化カルシウム、フエロシリコン及びシリコ
    マンガンから成る群から選定する物質を添加し
    て、スラグの還元を行う、上記第1項に記載の方
    法。 4 溶融鋼が約0.10重量%よりも少量のアルミニ
    ウムを含有する、上記第1項に記載の方法。 5 化学的に調製した実質的に純粋なV2O3は表
    面積が約8000cm2/cm2よりも大きい、上記第1項に
    記載の方法。 6 化学的に調製した実質的に純粋なV2O3を粉
    砕して、充てん密度を約70ポンド/立方フイート
    から77ポンド/立方フイートにする、上記第1項
    に記載の方法。
JP59228833A 1984-03-12 1984-10-30 工具鋼の製造方法 Granted JPS60190508A (ja)

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