JPH0140583B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はケーブル類の固定具、殊に軸方向での
締付けにより固定する上記固定具に関する。

ケーブル、コード、電気導線（以下ケーブル類
という）を配電箱に導入する場合に、配電箱の壁
面に固定具を取付け、この固定具にケーブル類を
固定して外部から配電箱にケーブル類を導く。こ
の場合配電箱にはケーブルの固定部分を通して外
部よりの湿気が浸入しないよう固定具とケーブル
との間には気密に固定し保たれなければならな
い。かかる目的のための固定具は各種開発されて
いる。例えば実公昭55−42573号に開示された電
線ホルダーは上記固定具として目的を達成してい
るが、そのものは配電箱に取付けられケーブルを
貫通する中空筒体があつて、筒体の一部にはその
外側を馬蹄形状の締付子の腹部で取囲み、締付子
の先端突片間をボルトナツトの係合で締付ける構
造のものである。締付の際ナツトをボルトに螺入
することで、先端突片間が近接し、それによつて
取囲み腹部で筒体を締付けてケーブルを筒体に固
定する。このものはよくケーブル類を固定する
が、ボルト、ナツトの操作部位がケーブル類の軸
心を外れた直角方向にあるので、使用箇所によつ
てはドライバーの差込が難かしく、締付作業が実
質的に不能のことがある。そのためケーブル類固
定の締付けがケーブルの軸方向からのねじ込みで
行なう固定具が開発されている。

軸方向ねじ込みによるものは雌ねじ、又は雄ね
じが設けられたケーブルを貫通させる中空筒体
と、前記ねじに適合する雄ねじ、又は雌ねじを有
する螺入子と、筒体の内部に取付けられケーブル
類を貫通させてケーブル類を締付ける締付子とい
う主に三部品、その他からなつている。筒体内に
取付けられた弾性力ある締付子は螺入子の螺入に
よつて締付子の内径が弾性的に小さくなり、これ
によつてケーブル類をその外周から加圧しつつ保
持するものである。その加圧がケーブルの周に対
して均一に行なわれれば、それによつてケーブル
は締付子によつて気密的に保持される。この場合
締付子及び／又はこれと共同動作する部品の軸方
向のケーブル類入口が狭い場合には締付子等を内
部に収容したまま固定具にケーブル類を差込むこ
とは困難である。それで締付子は比較的緩やかに
ケーブル類を通過させ得て、螺入子を螺動するこ
とによつて弾性変形してケーブルを加圧するよう
な弾性ゴム、又は弾性変形体が使用される。之等
の固定具は主として雄ねじを具える中空筒体と、
雄ねじと螺合する袋ナツトの螺入子と、中空筒体
に着脱自在に取付けられる又は固定して取付けた
弾性力ある締付子とからなつているもので、袋ナ
ツトの螺装していない部分が入口に向け収束した
内円錐面を形成したものとなつている。袋ナツト
を、中空筒体に螺装しつつ進入させると、内円錐
面が締付子をその外方から内方に押圧し、締付子
の内径が小さくなるにつれてケーブルの締付が確
立される。この場合内円錐面と締付子との加圧接
続によつて締付子の外径が小さくなるにほぼ直線
的に比例して締付子の内径が小さくなる。そのた
めに締付に対して袋ナツトを多数回回転させなけ
ればならず、殊に締付最終段階には力強く回転さ
せなければならない。

本発明者は写真器の絞り機構が、多数の鳥嘴状
の単位絞り片からなつて、絞り片の夫々の外周を
同一円上に配し、互に一部重なつた内周で円形を
形成してあり、その外周を回転させて絞り片の重
なり部を変動することで内周で形成した円の径が
変動することにヒントを得た。若し、この単位絞
り片１を相互に立体的に重ねずに互に平面的に一
部重ねて、配すると、第１図に示すような組立二
重円が形成される。この二重円の外周２を均一に
内方に圧縮すると、相互の重なり部分が多くなり
つつ外周は第２図の２′ように小さくなる。これ
をみるに当初内円の径Ａと外円の径Ｂは第１図の
如くであつたが、外周２を均一に圧することで絞
り片相互の重なり部分が多くなりつつ、絞り片が
内円にはみ出して内円がより小さくなる。従つて
外円の径がB′となつた時内円の径はA′となり、
外円の縮径率より内円の縮径率が遥かに大きいこ
とが解つた。設計によつては内円の縮径率は外円
の２倍にすることも出来る。本発明者はこのアイ
デアで作られた締付子はより効率的な締付効果が
あることに着目した。

本発明は上記考想にもとずきなされたもので、
これを図面について説明するに、外周の一端が先
端に向けねじ切１１され先端口から内向に摺鉢状
の内円錐面１２が形成された円筒体１０と、前記
ねじと螺合する雌ねじ１４が要部に内装されてね
じ切のない一方の口元内面が前記円錐面に対応し
て収束した内円錐面１５を形成したキヤツプ１３
と、多数の単位羽根１７よりなつて一部に前記内
円錐面に適合する外円錐面を有して前記内円錐面
間に配される截頭円錐状の弾性体のシヤツタ組立
体１６よりなり、前記単位羽根は嘴状先端２０に
近い最内周部分１８と遠い最外周部分１９とが同
心の円弧状で、嘴状先端が前段羽根の後部内周に
沿い円周上を前段羽根に対して相対動可能に配さ
れていることを要旨としている。ここに前段羽根
とは嘴状先端が向いた方にある羽根を指す。又前
記シヤツタ組立体は収束した截頭円錐部を両端に
し、単位羽根位置を相互にずらせて同一組立体を
背中合せに組立てた複合のシヤツタ組立体が用い
られるとよい。

以下実施例について述べる。円筒体１０は（第
４，５図）これと一体の取付用フランジ２１より
先端に向けてねじ１１切されているが、フランジ
の反対側には取付ナツト２２と螺合する他の雄ね
じ２３が施されている。又雄ねじ２３の側に向け
フランジ２１には浅底の皿２４が皿底をフランジ
に固定し、皿縁をフランジから浮上させて円筒体
と一体に形成されている。皿面２５（第６図）に
は環状畝２６が形成されている。円筒体は完全な
剛性材ではなく若干可撓性ある熱可塑性合成樹脂
で作られる。シヤツタ組立体１６の単位羽根１７
は（第８，９図）鳥の上嘴状で、羽根後部を後段
の羽根の嘴の先部近くに孤状の帯片２７で一体に
連結したもので、弾性のある合成樹脂材で作られ
る。図示の場合は６個の単位羽根よりなり、組立
てた状態は第８図の一部断面とした側面図に示す
ように上部が円筒２８、下部が下方に向け収束し
た截頭円錐２９となり、その円錐面が、前記内円
錐面１２，１５と適合する傾斜になつている。羽
根の前記内周１８と外周１９は中心Ｏに対して同
心であるが、内周１８に対し後方に連続して隣接
した第二内周３０と外周１９に対し嘴先に向け連
続して隣接した第二外周３１は中心Ｏに対して偏
心しているが隣接羽根の間では同心的に形成され
ている。シヤツタ組立体の上面、即ち円筒底面３
２にはピン３３と孔３４が羽根上交互に形成され
ている孔３４はピン３３を受入れのもので一個の
シヤツタ組立体の上面３２に他のシヤツタ組立体
の上面を重ねつつピンを相手羽根の孔に差込むこ
とによつて両組立体の上面が面接して複合のシヤ
ツタ組立体１６Ａが作られる（第９図）。この場
合羽根の内周１８の面は円錐面２９に対応して僅
かに円錐面となつているのがよい。図面上３５は
円筒体１０に差込んだケーブル類に対する円筒状
シール材で、その厚みはケーブルに従つて変更で
きる。一端に環状の突耳３７が形成され、円筒体
内の円形受溝３８に嵌るようになつている。又更
にキヤツプの内錐面１５と反対の裾部３９に沿つ
てラチエツト歯４０が刻設され、フランジ２１に
設けられた戻り防止の係止爪４１と係合するよう
になつている。

次に本発明固定具の作用について述べる。

円筒体１０にシール材３５を差込んで突耳３７
を受溝３８に挿入し、内円錐面１２に複合シヤツ
タ組立体１６Ａの一方の円錐面を当て、他方の円
錐面を円筒体に螺合したキヤツプ１３の円錐面１
５に当てるようにして準備する。この状態でケー
ブルＰを挿入する。前記固定具は予め配電箱の孔
に差込んで配電箱の中からナツト２２で固定して
あるものとする。ケーブルＰをキヤツプ１３を通
して円筒体１０に挿入すると、シール材３５がケ
ーブルＰの外周を覆う。キヤツプ１３を筒体１０
に対してねじ込むと、シヤツタ組立体の円錐面２
９，２９は内円錐面１２，１５と夫々当接し、キ
ヤツプの押込みにつれて、錐面２９，２９と内円
錐面１２，１５の対応する面素間に相対動が生じ
て、シヤツター組立体は軸方向内向と半径方向内
向の合成力を受ける。半径方向内向の圧力によつ
て単位羽根１９の円周上に並べられた第一の外周
１９が内方に押圧されて各単位羽根は前段の単位
羽根の内周に沿つて移動しはじめる。この場合前
後する各単位羽根間で第二外周３１と第二内周３
０とが中心Ｏに対して偏心した中点を中心として
同心円を形成しているので上記の移動がスムーズ
に行なわれる。かくして後段の羽根の外周が前段
の羽根の内周に沿つて移動した後に各単位羽根の
第一内周１８で形成する円は、中心Ｏに対して同
心のまま内径が短かくなる。この短かくなつた内
径分でシール材３５は３５ａの如く内方に押圧さ
れこれによつてケーブルがシール材を介して押圧
保持される。この状態はシール材がケーブルに密
着して押圧することで円筒体を通して気密に保た
れ、湿気の浸入を防止する。キヤツプの螺入によ
つて上記ケーブルの把持を行なう場合に、キヤツ
プの裾３９のラチエツト歯４０がフランジ２１の
係合爪と係合するので作業者は締付時に歯と爪と
の係合音を聞きつつ作業を行なうことが出来る。
一たん締付けた後は爪と歯との係合でキヤツプの
逆戻りが防止される。更にフランジ２１にはこれ
に隣接して皿２４が皿縁をフランジより浮上らせ
て作られ、皿面２５に環状畝２６が設けられてあ
るので、フランジを配電箱の壁面に当接して箱内
よりナツト２２で円筒体を配電箱に固定した時、
皿２４は座金の役目をすると共に環状畝２６は皿
と配電盤との緊密な取付の役を分担する。

本発明固定具は以上の如くなつていて、その構
造は極めて簡単でケーブル類を確実に気密に円筒
体内に固定保持し、その状態を続けることができ
る。固定動作においてキヤツプを回動する丈でシ
ヤツター組立体が軸方向内向で半径方向内方に押
圧されるが、キヤツプの回動によるシヤツタ外径
の縮径度合よりも内径の縮径度合が多いので従来
の技法よりも僅かな回転動によつてケーブル類を
よく押圧して固定保持できる。又シヤツター組立
体が複合組立体となつているので一方の組の羽根
の向きと他方の組の羽根の向きとが逆となつてい
る。そのためキヤツプの回動につれシヤツター組
立体がキヤツプの回動方向に廻り、これに伴つて
ケーブルも同方向に回動しようとすることは相互
の組の逆向の羽根によつて一方向だけの回動が行
なわれることが阻止されて、ケーブルは軸方向に
回動することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本発明中のシヤツター組立体
の変化を示す理論図、第３図は本発明固定具の使
用状態の斜視図、第４図と第５図は夫々同縦断面
と平面図で、使用前と使用中の状態を示し、第６
図はフランジの一部の拡大断面図、第７図はキヤ
ツプの一部断面とした平面図、第８図はシヤツタ
組立体の平面図、第９図は一部を切欠断面とした
第８図の―線に沿つて断面図で複合して組立
てた他方のシヤツタ組立体を仮想線で示す。 １０：円筒体、１１：ねじ、１２：内円錐面、
１３：キヤツプ、１４：雌ねじ、１５：内円錐
内、１６：シヤツタ組立体、１７：羽根、１８：
最内周部、１９：最外周部、２０：嘴状先端、２
１：フランジ、２２：ナツト、２３：雄ねじ、２
４：皿、２５：皿面、２６：環状畝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外周の一端が先端に向けねじ切され先端口か
   ら内向に摺鉢状の内円錐体が形成された円筒体１
   ０と、前記ねじと螺合する雌ねじが要部に内装さ
   れねじ切のない一方の口元内面が前記円錐面に対
   応して収束した内円錐面を形成したキヤツプ１３
   と、多数の単位羽根よりなつて一部に前記内円錐
   面に適合する外円錐面を有して前記内円錐面間に
   配される截頭円錐状の弾性体のシヤツタ組立体１
   ６よりなり、前記単位羽根１７の嘴状先端２０に
   近い最内周部１８と遠い最外周部１９が同心の円
   弧状で前記嘴状先端が前段羽根の後部内周３０に
   沿い円周上を前段羽根に対して相対動可能に配さ
   れていることを特徴としたケーブル類の固定具。 ２ 前記シヤツタ組立体は収束した截頭円錐面２
   ９を両端にして同一単一シヤツタ組立体１６，１
   ６を羽根を相互に重ならぬよう背合せに組立てて
   なる特許請求の範囲第１項に記載の固定具。 ３ 前記円筒体の前記ねじ切りの反対側端にはフ
   ランジ２１を介して円筒体取付用の他の雄ねじ２
   ３が螺装され、前記フランジには他の雄ねじ側に
   隣接して浅底皿２４が皿底を一体に形成されてな
   る特許請求の範囲第１項に記載の固定具。 ４ 前記フランジには一方のねじ切に沿つた面に
   係止爪４１が突設され、前記キヤツプの裾３９に
   は前記係止爪と選択的に噛合う複数のラチエツト
   歯４０が刻設されてなる特許請求の範囲第１項に
   記載の固定具。