JPH0139399Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は複数の乾電池を容器に収納した乾電
池パツクに関し、特に、長期保存に適した乾電池
パツクに関する。

従来の乾電池パツクは主に販売店での陳列を目
的としたもので、簡単な紙箱に電池を収納した
り、台紙上に電池をおいてこれをビニルフイルム
で被包したものが一般である。このような乾電池
パツクでは、電池の長期保存の面から見た場合、
各電池間の短絡を防止し得る程度で、長期保存時
の乾電池の性能維持には殆ど有効ではない。

最近一般の家庭においても、地震や台風などの
非常時のためにラジオ受信器や携帯電灯の予備電
池を蓄えていることが多い。このような予備電池
は使用されずに長期保存されることが多く、その
間の性能劣化が問題になる。周知のように、保存
による乾電池の性能劣化は保存条件によつて著し
く異なり、低温で低湿の保存環境が好ましい。一
般の家庭では電気冷蔵庫などが適当な保存場所と
なる。しかし電気冷蔵庫で保存する場合、他の食
品などからの電池の水濡れに注意しなければなら
ず、防水性に注意して保存しなければならない。
災害時などに電池を屋外に持ち出す場合にも同様
で、電池が雨水などで濡れないような配慮が必要
である。この点、従来の乾電池パツクは全く不充
分で、水や湿気から乾電池を保護するようにはな
つていない。

乾電池の保存については、もう１つガス発生に
ついて考慮しなければならない。乾電池は自己放
電現象により保存中でもガスを発生することがあ
る。電池の内部短絡などの異常があつたり、高温
下に晒されたりすると、多量のガス発生を伴う。
従つて乾電池を小さな密封容器に入れて保存する
場合、ガス抜きの対策を講じて置かないと、容器
が破裂することにもなる。

この考案は前述した従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、乾電池を長期にわた
つて良好な環境下に保存でき、ガス発生時の破裂
のおそれもない乾電池パツクを提供することにあ
る。

上記の目的を達成するために、この考案では、
複数の乾電池を開封機構を有した金属缶内に密封
入するとともに、この金属缶の天井面にガス抜き
のための安全弁を設けた。この安全弁は、金属缶
の缶面に形成された小さな貫通孔と、この貫通孔
から間隔を置いた缶面に周辺が接着されてこの貫
通孔を遮蔽するガス透過性フイルムと、このガス
透過性フイルムの中央部分と上記缶面との間に挟
まれた多孔性材料のスペーサとで構成される。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第１図はこの考案に係る乾電池パツクの一実施
例を示す。同図において、１０はアルミニウムあ
るいはニツケルメツキを施した鉄などからなる円
筒形の金属缶、１２はこの金属缶１０の内部に密
封入された乾電池を示す。金属缶１０は気密・液
密性を有し、その内部空間は不活性ガスで置換さ
れて密封されている。乾電池１２は、この例では
径の異なる複数種類の円筒形電池であり、これら
を絶縁シート１４を間に挟んで多段に積み重ねて
金属缶１０内に収納している。また、金属缶１０
の内面には、例えばポリエチレンシートなどを貼
着するとか、あるいは絶縁性塗料を塗布し、絶縁
層が形成されている。これにより、乾電池１２の
端子部が金属缶１０に接触して短絡するのを防止
している。

金属缶１０の天井面２０には、リング部を有す
る把手片１６の一端を鋲着するとともに、端面に
沿つて１周するＶ溝１８が刻設されている。これ
が金属缶１０の開封機構で、把手片１６のリング
部に指を通し、これを上方に引き上げるとＶ溝１
８に沿つて亀裂が入り、開封することができる。

また、金属缶１０の天井面２０には安全弁２２
が設けられている。この安全弁２２の詳細な構成
を第２図に示している。安全弁２２は、天井面２
０の所定位置に形成された小さな貫通孔２４と、
この貫通孔２４の周囲の缶面に周辺が接着されて
この貫通孔２４を遮蔽するガス透過性フイルム２
６と、このガス透過性フイルム２６の中央部分と
貫通孔２４のあいた缶面との間に挟まれた多孔性
材料のスペーサ３０とで構成されている。なお、
２８は多孔性フイルム２６と天井面２０との接着
部を示している。接着部２８は隙間なく環状に形
成されている。

上記のガス透過性フイルム２６としては、例え
ばポリエステル、ポリエチレンのラミネートフイ
ルムなどであつて、40ml／m²／24Hr／1atm程度
のガス透過性を有するフイルムを用いる。スペー
サ３０はガス透過性シート２６が天井面２０に密
着を防ぐと同時に、貫通孔２４から排出されたガ
スをガス透過性シート２６の中央部分の全面に導
くためのもので、例えば不織布マツトなどのよう
に、良好にガスを流流させ得る多孔性材料を用い
る。

この安全弁２２は、金属缶１０内の乾電池１２
から多量のガスが発生し、缶内の圧力が異常に高
まつたとき、その上昇した圧力分のガスを速やか
に外部に逃がす。つまり、缶内の圧力は小さな貫
通孔２４を介してガス透過性シート２６の広い面
積の全面に加わつており、缶内と大気の圧力差が
ある程度以上になると、このシート２６を透過し
て内部のガスが外部に放出される。

このように構成された本考案の乾電池パツクに
よれば、これをこのまま冷蔵庫などに保存してお
くことで、乾電池１２を水濡れや湿気から完全に
守ることができ、低温、低湿の良好な環境下で長
期にわたつて保存することができる。また保存中
に乾電池１２の自己放電でガスが異常発生して
も、上述のように安全弁２２からガスが放出され
るので、金属缶１０が破裂するような問題は生じ
ない。

勿論、金属缶１０の表面に商品名などを印刷し
ておき、この乾電池パツクをそのまま販売店の店
頭で陳列することができる。また当然であるが、
この乾電池パツクは商品の流通過程においても内
部の乾電池を良好な環境下に保護することができ
る。

なお、図示した実施例は円筒形の金属缶を用い
たが、この考案はこれに限定されるものではな
く、金属缶の形態は様々に実施し得る。また、金
属缶の開封機構についても実施例には限定され
ず、様々な機構を採用することができる。

以上詳細に説明したように、この考案の乾電池
パツクは、乾電池を長期にわたつて良好な環境下
で保存することができ、また乾電池から異常なガ
ス発生があつても破裂などの事故には繋がらな
い。従つて、地震や台風などの災害時の非常用備
品として好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による乾電池パツ
クの一部を破断した斜視図、第２図は同上乾電池
パツクの安全弁の詳細な構成を示す断面斜視図で
ある。 １０……金属缶、１２……乾電池、１４……絶
縁シート、１６……把手片、１８……Ｖ溝、２０
……天井面、２２……安全弁、２４……貫通孔、
２６……ガス透過性シート、２８……接着部、３
０……スペーサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の乾電池が金属缶内に密封入された乾電池
   パツクであつて、上記金属缶の天井面に開封機構
   と安全弁とが設けられ、その安全弁が、上記金属
   缶の缶面に形成された小さな貫通孔と、この貫通
   孔から間隔を置いた缶面に周辺が接着されてこの
   貫通孔を遮蔽するガス透過性フイルムと、このガ
   ス透過性フイルムの中央部分と上記缶面との間に
   挟まれた多孔性材料のスペーサとで構成されてい
   る乾電池パツク。