JPH0138617B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はクランク軸の軸受圧入装置に関する。

従来の技術 一般にクランク軸の軸部に軸受を圧入する場合
には、第３図及び第４図に示すようにプレス機の
受台１で組立クランク軸２を受けて軸部３に軸受
４をプレス工具５で圧入していた。

第３図の軸受圧入装置では組立クランク軸２に
プレス工具５による圧入荷重が作用してクランク
アーム６を介してクランクピン７にも伝えられる
ためにクランク軸に不都合な変形が不可避的に生
じる。又、第４図の軸受圧入装置ではプレス工具
５の圧入荷重によるクランクピン７の変形を防止
する為に、クランクウエブ８の間に受け台９を挿
入し、圧入荷重がクランクピン７等へ及ばない様
にしているが、２サイクルエンジン等のクランク
軸では、クランクケース内の混合気の一次圧縮を
高める為にクランクウエブ８，８同志のすき間を
出来る限り少なくする為、挿入する受け台の剛性
も、それ程高く設定出来ず、受け台自身が変形し
てしまう場合が多くある。この様に、軸受圧入が
スムーズに行なわれず、軸受圧入後に寸法を測定
して変形の修正が必要になつたり、又、作業上、
片側に軸受を圧入した後、クランク軸を反転して
もう一方の側に軸受を圧入する等、工数上からも
問題があつた。

発明が解決しようとする問題点 本発明はかかる軸受をクランク軸の軸部に圧入
する時に生じる変形を防止すると共に軸受圧入の
作業能率を向上したクランク軸の軸受圧入装置を
提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 即ち、本発明の構成は、クランク軸の一方の軸
部に圧入される軸受の保持溝を有する固定部材
と、クランク軸の他方の軸部に圧入される軸受の
保持溝を有する可動部材と、前記固定部材にシリ
ンダを固定しピストンロツドを前記一方の軸部に
連結可能とした第１のシリンダ装置と、前記可動
部材にシリンダを固定しピストンロツドを前記他
方の軸部に連結可能とした第２のシリンダ装置
と、前記可動部材を前記固定部材に対してクラン
ク軸の軸線方向に案内する案内装置とを備えたこ
とを特徴とする。

作 用 従つて、クランク軸の一端が第１のシリンダ装
置のピストンロツドによつて引張られて固定部材
の軸受保持溝にある軸受が軸部に圧入されると共
に、クランク軸の他端が第２のシリンダ装置のピ
ストンロツドによつて引張られて可動部材の軸受
保持溝にある軸受も軸部に圧入される。これら２
個の軸受をクランク軸の軸部に圧入する時、可動
部材は固定部材に対してクランク軸の軸線方向に
案内装置によつて少なくとも両軸受の圧入される
距離だけ移動せしめられる。この為クランク軸の
一方の軸端部が固定部材側の第１のシリンダ装置
のピストンロツドで引張られて軸受が圧入される
と共に、他方の軸端部が可動部材側の第２のシリ
ンダ装置のピストンロツドに引張られて軸受が圧
入され、軸受圧入に必要な力以外の余計な力の発
生は案内装置が移動することで吸収され、クラン
クピンやクランクアームには変形力が加わらな
い。

実施例 以下に本発明を図面の実施例に従つて説明す
る。

本実施例では組立式クランク軸に軸受を圧入す
る場合について示しているが、本発明は組立式ク
ランク軸に限定されるものではない。

第１図に本発明に係るクランク軸の軸受圧入装
置の平面図を示し、第２図に軸受保持溝１０ａ，
１０ｂを形成した部材１２，１６の側面図を示し
ている。固定部材１２の一側に軸１３，１３を植
立し、該案内軸１３に沿つて摺動するスリーブ１
４を有し中央に固定部材１２と同形状の、Ｕ字形
の軸受保持溝１０ｂを形成した可動部材１６を設
けている。固定部材１２と可動部材１６の相反す
る側にはシリンダ１８，２４を支持柱１９，２５
を介して固定し第１のシリンダ装置１７及び第２
のシリンダ装置２３を設けている。該シリンダ装
置１７，２３の往復動するピストンロツド２０，
２６は、クランク軸２の両軸端部に形成したネジ
部２１，２７に補助具２２，２８を介して着脱自
在に連結される。クランク軸の軸端部にネジ部を
形成しないものにはコレツトチヤツク等を用いる
こともできる。

次に上記装置でクランク軸２の軸部３ａ，３ｂ
に軸受４ａ，４ｂを圧入する作業を説明する。先
ず、固定部材１２と可動部材１６の軸受保持溝１
０ａ，１０ｂにクランク軸２の軸部３に挿入した
軸受４ａ，４ｂを置き、クランク軸２の両端のネ
ジ部２１，２７とピストンロツド２０，２６のネ
ジ部とを補助具２２，２８を介して連結する。こ
のクランク軸及び軸受の取付け状態が第１図に示
されている。取付け完了後、第１のシリンダ装置
１７のシリンダ１８にピストンロツド２０がクラ
ンク軸２を引張る方向（図面右側）に空圧または
液圧を加える。固定部材１２の軸受保持溝１０ａ
にある軸受４ａはピストンロツド２０によるクラ
ンク軸２の移動によつて軸部３ａに圧入され、結
果的にクランク軸２は軸受４ａの圧入ストローク
分だけ固定部材側に移動する。この圧入ストロー
ク分の動きはクランク軸２を介して可動部材１６
にも伝達され、案内軸１３とスリーブ１４からな
る案内装置１５を介して可動部材１６全体が固定
部材１２側に移動する。また同時に可動部材１６
の第２のシリンダ装置２３のシリンダ２４にも空
圧または液圧を加え、ピストンロツド２６をクラ
ンク軸を引張る方向（図面左側）に作動させて、
可動部材１６の軸受保持溝１０ｂにある軸受４ｂ
をクランク軸２の軸部３ｂに圧入すると、結果的
に圧入ストローク分だけ可動部材１６が固定部材
１２側へ移動し、両軸受４ａ，４ｂが軸部３ａ，
３ｂに圧入された状態でピストンロツド２０，２
６は停止する。実際には第１及び第２のシリンダ
装置は同時に作動し、結果として両軸受の圧入ス
トロークを合計したストローク分だけ可動部材が
固定部材側に移動して軸受の圧入作業は完了す
る。

発明の効果 以上のように、本発明によれば、固定部材、可
動部材、案内装置、シリンダ装置という簡単な構
成でクランク軸に変形を生ぜしめることなく、ク
ランク軸の両軸部に軸受を同時に確実に圧入して
作業時間を短絡することができ、軸受圧入後のク
ランク軸の寸法測定や修正加工を不要にする等そ
の効果大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るクランク軸の軸受圧入装
置の平面図、第２図は軸受保持溝部の要部側面
図、第３図及び第４図は従来装置によるクランク
軸の軸受圧入状態を示す要部縦断断面図である。 １２……固定部材、１５……案内装置、１６…
…可動部材、１７……第１のシリンダ装置、２３
……第２のシリンダ装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クランク軸の一方の軸部に圧入される軸受の
   保持溝を有する固定部材と、クランク軸の他方の
   軸部に圧入される軸受の保持溝を有する可動部材
   と、前記固定部材にシリンダを固定しピストンロ
   ツドを前記一方の軸部に連結可能とした第１のシ
   リンダ装置と、前記可動部材にシリンダを固定し
   ピストンロツドを前記他方の軸部に連結可能とし
   た第２のシリンダ装置と、前記可動部材を前記固
   定部材に対してクランク軸の軸線方向に案内する
   案内装置とを備えたことを特徴とするクランク軸
   の軸受圧入装置。