JPH0137917Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はカステラなどの食品や木材などの非食
品をスライスするためのスライサーに関する。

「従来の技術」 例えばカステラやパン、ケーキなどは、スライ
スされて販売されることが多い。このようなもの
を大量にスライスする場合には、軸に取り付けた
丸刃をモータで高速回転させることにより、ベル
トなどによつて送られてくるカステラなどをスラ
イスするようにした構造のスライサーを用いるこ
とがある。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、従来のこのようなスライサーでは、
軸に取り付けた丸刃の枚数が１枚である場合に
は、カステラなどのスライス面を比較的きれいに
することができる。しかしながら、軸に取り付け
た丸刃の枚数が複数枚である場合には、カステラ
などのスライス面が著しく遜色してしまうことに
なる。

すなわち、軸に丸刃を複数枚取り付けた場合に
はカステラなどによる丸刃に対する抵抗力が増大
しこのため丸刃の回転力がカステラなどに対して
搬送力として作用し、カステラなどがスライスさ
れずに飛ばされてしまうことになる。これを回避
するために、例えば上下のベルトによつてカステ
ラなどを挟持して搬送するようにすると、カステ
ラなどはかなり柔らかいので、上下のベルトによ
つて挟持されると変形し、スライス後にこの挟持
を解除されて元の状態に戻つたとき、スライス面
がかなり歪んでしまい、スライス面が著しく遜色
してしまうことになる。

従つて、従来のこのようなスライサーでは、カ
ステラなどを比較的きれいにスライスするには、
１枚の丸刃でスライスすることになり、作業能率
がきわめて悪いという問題があつた。

また、従来では、丸刃を備えたスライサーのほ
かに、複数の帯のこを往復動させる構造のスライ
サーを用いたり、複数のエンドレスバンドを回転
させる構造のスライサーを用いることがある。

従来のこのようなスライサーでは、帯のこある
いはエンドレスバンドが複数であつても、カステ
ラなどを飛ばすことなくスライスすることがで
き、作業能率の向上を図ることができる。

ところが、従来のこのようなスライサーでは、
帯のこの往復動あるいはエンドレスバンドの回転
の高速化には限度があり、比較的低速とせざるを
得ないので、前述の丸刃に比して切れ味が悪く、
また帯のこやエンドレスバンドがたわんでスライ
ス面が曲がつてしまい、スライス面がやや遜色し
てしまうという問題があつた。

また、従来のスライサーでは、その種類に関係
なく、丸刃などが破損したとき破片が飛散して思
わぬ事故を引き起こしてしまうおそれがあり、危
険であるという問題があつた。また、カステラな
どをスライスしたときに生じる切りカスが飛散
し、周囲を汚してしまい、清掃が大変であるとい
う問題があつた。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
で、安全性が高い上、スライス面をきれいにする
ことができ、また切りカスが飛散しないようにす
ることができ、更に作業能率の向上を図ることも
できるスライサーを提供することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 本考案では、モータの駆動により高速で回転さ
れる主軸と、この主軸の高速回転運動を高速揺動
運動に変換するための運動変換機構と、丸刃を備
え、前記運動変換機構による高速揺動運動により
軸線を中心にして高速揺動される丸刃軸とをスラ
イサーに具備させるようにしたものである。

本考案によれば、丸刃は揺動することになるの
で、欠けても破片が飛散することがなく、またカ
ステラなどの切りカスが飛散することもなく、ま
た丸刃の揺動運動を比較的高速とすることができ
るので、丸刃の枚数に関係なく、切れ味が良く、
カステラなどを飛ばすことなくきれいにスライス
することができることになる。

「実施例」 以下、実施例につき本考案を詳細に説明する。

第１図および第２図は本考案の一実施例におけ
るスライサーの要部を表したものである。

このスライサーは、図示しないモータによつて
回転される主軸１１を備えている。主軸１１はス
リーブ１２に軸受１３を介して回転自在に取り付
けられている。スリーブ１２は取付板１４にボル
ト１５によつて取り付けられている。取付板１４
はカバー１６にボルト１７によつて取り付けられ
ている。カバー１６はケーシング１８に図示しな
いボルトによつて取り付けられている。

主軸１１の一端部には偏心軸２１がボルト２２
によつて取り付けられている。偏心軸２１は主軸
１１に対してｅ（１〜数mm）だけ偏心している。
偏心軸２１は、ケーシング１８に形成された空間
２３の中に位置させられている。偏心軸２１には
円筒体２４が回転自在に取り付けられている。円
筒体２４の軸線は偏心軸２１の軸線と直交してい
る。円筒体２４は、ほぼＬ字形状の連結体２５の
一片に形成された円形の貫通孔２６に摺動自在に
貫挿されている。連結体２５の一片には、偏心軸
２１との干渉を避けるための空間２７が形成され
ている。

連結体２５の他片は、揺動軸３１の一端部に図
示しないキーなどによつて取り付けられている。
揺動軸３１はケーシング１８に軸受３２を介して
回転自在に取り付けられている。揺動軸３１の他
端部には、カツプリング３３を介して丸刃軸３４
の一端部が連結されている。丸刃軸３４の他端部
は、図示していないが、フレームに軸受を介して
回転自在に支持されている。丸刃軸３４には複数
枚の丸刃３５が間隔的に取り付けられている。

このスライサーでカステラなどをスライスする
場合には、モータの駆動により主軸１１が高速
（例えば4000〜10000rpm）で回転され、これに伴
い偏心軸２１が主軸１１の軸線に対してｅの偏心
量をもつて高速で回転される。すると、円筒体２
４が連結体２５の貫通孔２６の中をその軸線方向
（図では上下方向）に摺動しながら鉛直線を中心
にして前後方向に揺動され、同時に連結体２５が
揺動軸３１の軸線を支点としかつ鉛直線を中心に
して前後方向に揺動される。

連結体２５がこのように揺動すると、揺動軸３
１も同様に揺動され、これに伴い丸刃軸３４が丸
刃３５と共に同様に揺動される。これにより、丸
刃３５がその周方向に高速で揺動し、図示しない
ベルトなどによつて送られてくるカステラなどを
スライスすることになる。

一例として、主軸１１の回転数を4000rpm、偏
心軸２１の偏心量ｅを２mm、丸刃３５の外径を
150mmとした場合には、丸刃３５の振幅（揺動範
囲）はその外周縁において11.1mmとなり、周波数
（揺動数）は１分間当たり8000回となる。

このようにこのスライサーでは、丸刃３５がそ
の周方向に高速で揺動することになるので、丸刃
３５の枚数に関係なく、切れ味が良く、カステラ
などを飛ばすことなくきれいにスライスすること
ができる。また、丸刃３５はその周方向に揺動す
るだけであるので、欠けても破片が飛散すること
がなく、思わぬ事故を引き起こしてしまうおそれ
がきわめて少ない。更に、丸刃３５はその周方向
に揺動するだけであるので、カステラなどをスラ
イスしたときに生じる切りカスが飛散することが
なく、周囲を汚してしまうことがない。

なお、上記実施例では、カステラなどをスライ
スする場合について説明したが、これに限定され
るものではなく、肉などの他の食品あるいは木材
などの食品でないものをスライスするようにして
もよいことはもちろんである。

「考案の効果」 以上説明したように本考案によれば、丸刃がそ
の周方向に高速で揺動することになるので、丸刃
の枚数に関係なく、切れ味が良く、カステラなど
を飛ばすことなくきれいにスライスすることがで
きる。また、丸刃はその周方向に揺動するだけで
あるので、欠けても破片が飛散することがなく、
思わむ事故を引き起こしてしまうおそれがきわめ
て少なく、安全性が向上する。更に、丸刃はその
周方向に揺動するだけであるので、カステラなど
をスライスしたときに生じる切りカスが飛散する
ことがなく、周囲を汚してしまうことがなく、清
掃が簡単である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例におけるスライサー
の要部を示す縦断正面図、第２図は第１図の−
線に沿う縦断側面図である。 １１……主軸、１８……ケーシング、２１……
偏心軸、２４……円筒体、２５……連結体、３１
……揺動軸、３４……丸刃軸、３５……丸刃。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モータの駆動により高速で回転される主軸と、
   この主軸の高速回転運動を高速揺動運動に変換す
   るための運動変換機構と、丸刃を備え、前記運動
   変換機構による高速揺動運動により軸線を中心に
   して高速揺動される丸刃軸とを具備することを特
   徴とするスライサー。