JPH0135974Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係る圧力容器の扉密閉装置は、病院
等に設置されて手術具、患者用衣服等を高温の水
蒸気により滅菌する蒸気滅菌装置の扉として利用
できる。

（従来の技術とその問題点） 手術具、患者用衣服等に付着した細菌による院
内感染を防止するため、病院に於いてはこれらの
物品を使用後高温の水蒸気により加熱して滅菌す
るようにしている。

このような加熱滅菌は専用の蒸気滅菌装置を用
いて行なうが、被滅菌物を出し入れするための扉
は、滅菌作業時に滅菌容器内に充填された高温、
高圧の水蒸気が外部に漏洩しないようにしなけれ
ばならない。このため、従来から種々の扉密閉装
置が提案され或は使用されている。ところが、従
来の扉密閉装置は扉の開閉操作が面倒であつた
り、或は大型のものではモータ或は油圧シリンダ
により駆動する複雑な構造で製作費も嵩むもので
あつた。

本考案は上述のような事情に鑑み、比較的簡単
な構造で扉密閉作業を容易に行なえる、小型の蒸
気滅菌装置用に適した圧力容器の扉密閉装置を提
供することを目的としている。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案の扉密閉装置は、第１〜３図に示すよう
に構成されている。

圧力容器１の前面で開口２の両側に位置する部
分には、内側面前端部を凸部３，３と凹部４，４
とを交互に連続させた波形に形成した抑え具５，
５を、互いの凸部３，３を対向させた状態で固定
している。圧力容器１の前面片側に軸６により枢
着された蝶番７は、扉８の中央部まで延びる長い
下片９と、短い上片１０とを有し、下片９の中間
部後面と上片１０の端部後面とにそれぞれ固定し
た軸受１１，１１には、扉８の前面の上下２個所
に固定した縦軸１２，１２を挿通して、この蝶番
に対して扉８を若干の昇降自在に支持している。
扉８の両側には、外側縁を前記抑え具５の内側面
前端部に形成した波形と同様に凸部１３と凹部１
４とを交互に連続させた波形としたカム板１５，
１５が固定されている。扉左右のカム板１５，１
５の波形と抑え具５，５の波形との関係は、一方
のカム板１５の凸部１３と一方の抑え具５の凸部
３とが対向した場合、同時に他方のカム板１５の
凸部１３と他方の抑え具５の凸部３とが対向する
ようにし、各凹部４，１４は各凸部３，１３が通
過自在な大きさとする。

扉８の前面中心部に回転自在に設けた軸１６に
は、回転中心から外周面までの距離が変化するカ
ム板１７が固定されており、このカム板１７の外
周面が、前記した蝶番７の下片９の端部に支承し
たローラ１８に当接している。又、上記の軸１６
の外周面には凹孔１９が形成され、第１図に示す
ように扉８を閉じる状態にまで軸１６を回動させ
た場合にこの凹孔１９と対向する扉８の前面部分
には、エアシリンダ２０を固定し、このエアシリ
ンダ２０のロツド２１が凹孔１９内に挿入できる
ようになつている。エアシリンダ２０には通気管
２２を通じて圧力容器１内の圧力が導入されるよ
うになつている。軸１６はハンドル２５により手
動で回動自在となつている。又、図示の実施例で
はカム板１７の外周面の２個所位置にＶ字形の凹
部２６，２７を形成するとともに、このカム板１
７の近くにカム板１７の外周面に向けて先端の尖
つたピン２８を押圧する弾圧具２９を設けて、カ
ム板１７を両端位置まで回動させた場合にクリツ
ク感を得られるようにしている。

更に、圧力容器１の前面で扉８の後面周縁部に
対向する位置には、凹溝２３を全周に亘つて形成
し、この凹溝２３内にパツキング２４を嵌着して
いる。凹溝２３内には圧力容器１内に送り込む高
圧の水蒸気と同様に高圧の気体を送り込めるよう
にしている。

（作用） 上述のように構成される本考案の圧力容器の扉
密閉装置の作用は次の通りである。

まず、扉８を開く場合は、ハンドル２５を握
り、軸１６を回転させてカム板１７を第１図の状
態から時計方向に120度程度回転させる。これに
よつて、それまで短径部分に於いてローラ１８と
当接していたカム板１７が長径部分に於いて当接
するようになり、上記短径と長径との差分だけ扉
８が上昇する。扉８の上昇に伴ない、扉８の両側
に固定したカム板１５，１５の凸部１３，１３が
圧力容器側に固定した抑え具５の凹部４，４と整
合し、上記凸部１３，１３を凹部４，４を通過さ
せて扉８を開くことができるようになる。

滅菌作業を行なうために扉８を閉じ、圧力容器
１内に高温高圧の水蒸気等を送り込む場合、扉８
を上昇させた状態のままカム板の凸部１３，１３
を抑え具の凹部４，４を通過させ、このカム板の
凸部１３，１３を抑え具の凸部３，３よりも圧力
容器側に移動させてからハンドル２５を上記の扉
を開く方向と逆方向に回転させて扉８を下降させ
る。扉８の下降により、カム板の凸部１３，１３
と抑え具の凸部３，３とが対向するようになり、
扉８を開くことができなくなる。この状態に於い
て、圧力容器１内に水蒸気を送り込むと同時にパ
ツキング２４を嵌着した凹溝２３内に圧力気体を
送り込むと、このパツキング２４が扉８の後面周
縁部に押し付けられて扉８の後面と圧力容器１の
前面との間の気密を保持する。更に、圧力容器１
内に送り込まれた気体の圧力は、通気管２２を通
じてエアシリンダ２０に送られるため、このエア
シリンダ２０のロツド２１が軸１６の外周面に形
成した凹孔１９に嵌合し、ハンドル２５を設けた
軸１６の回動を阻止して、圧力容器１内に圧力気
体が存在する間に不用意に扉８を開くことがない
ようにする。ロツド２１は、通気管２２を通じて
送られる圧力がなくなると、ばねの力でエアシリ
ンダ２０内に引込まれる。

なお、図示の例では軸１６にラチエツト歯３０
を固定し、一端を扉８の前面に枢着した係止爪３
１の他端をソレノイド３２により昇降自在とし、
圧力容器１内に圧力気体が存在する場合にはこの
係止爪３１とラチエツト歯３０とを係合させて軸
１６の回動を阻止する二重の安全装置を設けてい
る。

ｃ 考案の効果 本考案の圧力容器の扉密閉装置は以上に述べた
通り構成され作用するので、比較的簡単な構成で
安価に製作できるにも拘らず扉の開閉作業を容易
に行なうことができ、しかも内部に圧力気体が残
留している場合に誤つて扉を開くことも防止でき
て安全である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の扉密閉装置の正面図、第２図
は要部を示すように切断した階段縦断面図、第３
図は同じく横断面図である。 １……圧力容器、２……開口、３……凸部、４
……凹部、５……抑え具、６……軸、７……蝶
番、８……扉、９……下片、１０……上片、１１
……軸受、１２……縦軸、１３……凸部、１４…
…凹部、１５……カム板、１６……軸、１７……
カム板、１８……ローラ、１９……凹孔、２０…
…エアシリンダ、２１……ロツド、２２……通気
管、２３……凹溝、２４……パツキング、２５…
……ハンドル、２６，２７……凹部、２８……ピ
ン、２９……弾圧具、３０……ラチエツト歯、３
１……係止爪、３２……ソレノイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧力容器１の前面で開口２の両側に位置する部
   分に固定され内側面前端部を凸部３，３と凹部
   ４，４とを交互に連続させた波形に形成した１対
   の抑え具５，５と、この抑え具５，５の凸部３，
   ３と凹部４，４と同様の凸部１３，１３と凹部１
   ４，１４とを形成した１対のカム板１５，１５を
   両側縁部に固定した扉８と、上記圧力容器１の前
   面片側に軸６により枢着し、上片１０と下片９と
   のうち少なくとも下片を扉８の中央部まで延ばし
   上片１０と下片９とにこの扉８を若干の昇降自在
   に装着した蝶番７と、扉８の中心部に回転自在に
   支承した軸１６に固定し外周面を上記下片９に支
   承したローラ１８に当接させる外周面までの距離
   が変化するカム板１７と、扉前面に固定され圧力
   容器１内の圧力により突出するロツド２１を扉中
   心の軸１６の側面に設けた凹孔１９に扉閉鎖時に
   挿入するエアシリンダ２０とから成り、前記抑え
   具５とカム板１５との凹部４，１４は扉８の上昇
   時に互いの凸部３，１３を通過自在とした圧力容
   器の扉密閉装置。