JPH0135032B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は土木工事などにおける水中掘削工法に
使用される止水剤に関する。

水中掘削工法としては地下連続壁工法、ケーソ
基礎工法等がある。例えば地下連続壁工法は、ベ
ントナイト泥水を用いて掘削壁面の崩壊を防ぎな
がら地下に壁状の溝孔を掘削し、これに無筋、鉄
筋コンクリートなどの連続した壁体を構築する工
法である。かかる工法で掘削を行つた場合、砂質
土層等があると、そこから地下水の湧水あるいは
安定液として用いたベントナイト泥水が砂質土層
に漏出する現象が生起する。

本発明者は、これら従来の欠点を解決すべく
種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至つ
た。すなわち、本発明は繊維性物質と非自硬性セ
メントからなる止水剤を前記安定液中に添加して
掘削を行うことによつて安定液の砂質土層への漏
出を防止し、また逆に砂質土層からの地下水の湧
水も防止することを可能とした。

本発明に使用される繊維性物質としては例えば
廃パルプ、故紙、石綿、合成繊維、綿くず等のパ
ルプ繊維、その他の植物繊維類、化学繊維等が挙
げられる。また非自硬性セメントとしては、セメ
ントに多量の水を加えて充分水和反応を行わせて
非自硬性としたもの、セメント製品の製造工程か
ら排出される廃水を固液分離処理して得られるセ
メント含有固形物質等が挙げられる。これらの非
自硬性セメントはいずれも水が多い状態で水和反
応が充分行われたものである。このようにして処
理した非自硬性セメントはその表面に棒針状突起
物が生成している。従つてこれを繊維性物質と併
用すると、相互にからみあつて網目構造を形成す
るようになる。これを安定液等に添加して使用す
ると本発明に係る止水剤が砂質土の間隙部に網目
構造を形成して空隙部を埋め、そこに微細粒子が
からまつて閉塞させ安定液の漏出および地下水の
湧出を効果的に防止することができる。

本発明の止水剤に使用される繊維性物質と非自
硬性セメントとの混合割合は、使用する施工場所
の土質等によつて適宜選択すればよいが、一般的
には非自硬性セメントに対し繊維性物質を１〜３
％添加したものが使用される。また安定液等に添
加する止水剤の使用量も施工場所の土質の性質等
によつて異なる。

前記したことから明らかなように水中掘削工法
において、本発明に係る止水剤を使用することに
よつてベントナイト泥水等の安定液が土質中に漏
出して地下水を汚染することがなく、また逆に地
下水の漏水も防止することができるので地下水位
の低下も防止することができる。

次に本発明をさらに具体的に説明するために実
施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。

実施例 １ 廃パルプ１重量部に非自硬性セメント30重量部
とを混合して止水剤を調整した。なお非自硬性セ
メントはセメントに多量の水を加えて撹拌し、充
分に水和反応を行つた後、分理乾燥したものを使
用した。また他の方法として未乾燥のまま使用す
ることもできる。

実施例 ２ 故紙を水中に投入撹拌してほぐした繊維性物質
５Kg重量部とヒユーム管の製造工程から排出され
た廃水を固液分離処理したセメント含有固形物質
50Kg重量部とを混合して止水剤を調整した。

試験例 ベントナイト泥水を安定液として使用する地下
連続壁工法を行つたところ、ベントナイト泥水の
漏水率は40％であつた。

また同じ条件で前記実施例１で調整した止水剤
をベントナイト泥水に10％添加して工事を行つた
ところベントナイト泥水の漏水率は10％であつ
た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 繊維性物質と非自硬性セメントからなる水中
   掘削用止水剤。 ２ 繊維性物質が廃パルプである特許請求の範囲
   第１項記載の水中掘削用止水剤。 ３ 非自硬性セメントがセメント製品の製造工程
   から排出された廃液から固液分離処理して得られ
   るセメント含有固形物質である特許請求の範囲第
   １項記載の水中掘削用止水剤。