JPH0131112B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は太陽熱と外気熱を熱源として給湯や
暖房運転を行なう太陽熱ヒートポンプ装置の蒸発
器として使用される太陽熱コレクタに関する。

〔従来技術〕

従来この種太陽熱コレクタを使用する太陽熱ヒ
ートポンプ装置としては各種の形式があつた。１
つは例えば特開昭52−151960号公報に示されてい
るように、太陽熱コレクタのみを蒸発器として使
用する形式の直膨式のもので、晴天時で日照が充
分ある時は冷媒液を太陽熱で加熱蒸発させ、曇天
時で日照が充分でない時や夜間は、太陽熱コレク
タで自然対流により外気から熱を吸収して冷媒液
を加熱蒸発させる。

今一つの直膨式の形式として、例えば実開昭56
−141972号公報に示されるように、太陽熱集熱用
コレクタと、外気熱集熱用の室外コイルを共に蒸
発器として使用するものがあつた。これは日照が
充分ある時は太陽熱コレクタを、日照が少ない時
は室外コイルを、又日照が中間的な時は太陽熱コ
レクタと室外コイルの両方を、それぞれ蒸発器と
して切換え使用するものである。

さらに、直膨式以外の形式として、例えば実公
昭53−40758号公報に示されるように、太陽熱コ
レクタ中に循環ポンプで水を流して太陽熱で温水
にして貯湯槽へ蓄え、必要に応じこの温水を上記
循環ポンプで空気熱交換器へ循環させ、外気温を
高めてヒートポンプ装置の室外コイルに送り蒸発
温度を高める形式のものがあつた。

しかしながら、従来の上記太陽熱コレクタのみ
を蒸発器として使用する装置は、冷媒回路の切換
え手段が不要で制御手段も簡単であるが、コレク
タが自然対流により外気から熱を吸収しやすいよ
う裸で構成されているため集熱フインの放熱損失
が多くなる。特に太陽熱を利用する時は冷媒液の
蒸発温度（集熱温度）を外気温より高くとつて成
積係数（COP）を上げているが、その蒸発温度
を高くする程放熱損失が大となり集熱効率は急激
に低下する。従つてこの形式のヒートポンプ装置
では集熱効率が低いため単価の安いコレクタを使
用できるものの一定の熱量を得るには広い集熱面
積を必要とし、全体では逆にコストが高くなると
いう欠点があつた。

一方太陽熱コレクタと室外コイルとを併用する
装置は、太陽熱コレクタの集熱温度を外気温より
10数度高く設定しても充分高い集熱効率を得るよ
うにでき、また日照のない時でも室外コイルから
外気熱を効率よく吸収できる。しかし蒸発器とし
て高価な太陽熱コレクタと室外コイルを別々に設
けなければならず、非常にコストが高くなると共
に、設置場所の問題や複雑な冷媒配管、切換弁等
の制御、最適冷媒量の確保など解決しなければな
らない問題点が多くあつた。

さらに上記太陽熱コレクタで加熱された温水で
ヒートポンプ装置の室外コイルへの外気温を高め
る形式のものは、日照のない時でも効率よく暖房
でき暖戻能力を上昇させることができるが、冬期
における温水回路の凍結の問題や、循環ポンプの
ランニングコストやメンテナンス、集熱回路系の
複雑な制御など、直膨式にはない数々の問題点が
あり、装置全体も膨大かつ高価となる欠点を有し
ていた。

〔発明の概要〕

この発明は、上記のような従来のものの欠点を
除去するためになされたもので、上面を透明カバ
ーで塞ぎ内底に断熱材を敷いた外箱中の断熱材上
に、上面を太陽熱吸収面とした集熱板を配置し、
これに外箱傾斜方向に沿つて配管された複数の集
熱管を固着し、これら集熱管と連通した放熱管に
放熱フインを取付けた放熱器を外箱の上部に設け
この放熱器の風下側にヒートポンプ装置の蒸発器
を配置し、これらの間に送風機で外気を送り、上
記集熱管と放熱管の中を凍結温度の低い作動流体
を自然循環させることにより、比較的簡単な安価
な装置で、晴天時でも、曇天時、夜間でも共に高
い効率で太陽熱または外気熱を集熱できる太陽熱
コレクタを提供することを目的としている。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例を図について説明す
る。第１図ないし第６図はこの発明の一実施例を
示す図で、第１図は側面図、第２図は集熱板の平
面図、第３図は第１図の−拡大部分断面図、
第４図は上部のみの拡大概略断面図、第５図は放
熱器の一部省略して示す正面図、第６図は蒸発器
の一部省略して示す正面図である。図において、
１は外箱、２はこの外箱１の上部開口部を塞ぐガ
ラス板等の透明カバー、３はこの透明カバーの周
囲に取付けられたパツキン、４はこのパツキンを
上から押え、上記外箱１へ上記透明カバー２を固
定する押え金具、５は上記外箱１の内底および内
側面に張られた断熱材、６はこの内底の断熱材５
の上に配置され、外箱１の傾斜方向に沿つて複数
板に分割された、アルミニウム押出型材により成
形された集熱板、７はこの集熱板６の上面太陽熱
吸収面に施された黒色塗装等の吸収膜、８は集熱
板６の下面中央に長手方向に沿つて設けられた集
熱管押え部、９はこの集熱管押え部８にそれぞれ
圧入固着された銅管からなる複数の集熱管、１０
はこれら複数の集熱管９群の上部を連通する上部
ヘツダ管、１１はこれら集熱管群の下部を連通す
る下部ヘツダ管、１２は集熱管群上部ヘツダ管１
０の一端に接続された上昇管、１３は集熱管群下
部ヘツダ管１１の一端に接続された下降管、１４
は上記外箱１の上部に配置された放熱器、１５は
この放熱器１４を構成する多数のアルミニウ板か
らなる放熱フイン、１６は同じく放熱器１４を構
成する、この放熱フインに拡管接合された銅管か
らなる複数の放熱管、１７はこれら放熱管１６群
の上部を連通する上部ヘツダ管で、その一端には
上記上昇管１２が接続されている。１８は上記放
熱管群の下部を連通する下部ヘツダ管で、その一
端には上記下降管１３が接続されている。１９は
上記放熱器１４の風下側に配置されたヒートポン
プ装置（全体回路は省略）の蒸発器、２０はこの
蒸発器１９を構成する多数のアルミニウム板から
なる吸熱フイン、２１は同じく蒸発器１９を構成
する、この吸熱フイン２０に拡管接合された銅管
からなる蒸発管、２２は上記放熱器１４と上記蒸
発器１９に外気を送風する送風機、２３はこの送
風機２２と上記放熱器１４、蒸発器１９を収納す
る室外コイルケースである。上記外箱１は透明カ
バー２が南（南半球では北）に面するよう傾斜し
て設置され、室外コイルケース２２はこの外箱１
の上端部に接し、これより上方に配置される。な
お、上記集熱管９や放熱管１６中には凍結温度の
低い作動流体例えば不凍液２４が封入され、上記
蒸発管２１中には冷媒が循環している。また、不
凍液２４封入用の口や、それの体積変化を吸収す
る膨張タンクは図示を省略している。

上記のように構成された太陽熱コレクタにおい
て、晴天時太陽光は透明カバー２を透過し、集熱
板６の吸収膜７で吸収され、集熱管９内の不凍液
２４を加熱する。昇温され比重の小さくなつた不
凍液２４は上昇を起こし、上部ヘツダ管１０、上
昇管１２を通り、放熱器１４の上部ヘツダ管１７
へ流入する。放熱器１４の放熱フイン１５には送
風機２２によつて外気が送られ、その結果放熱管
１６内の不凍液２４は冷やされ比重が大きくな
り、下部ヘツダ管１８、下降管１３を通り、集熱
管群の下部ヘツダ管１１へ流入し、日射のあるか
ぎりこの自然循環による熱移送は継続する。放熱
器１４を通過し温度の高められた外気は、蒸発器
１９で吸熱フイン２０により吸熱され蒸発管２１
内を流れる冷媒を蒸発させる。日射量が少なくな
るに従い、作動流体２４の循環流量は減少し、あ
る日射、外気温できまる条件以下になると停止す
る。この時蒸発器１９は送風機２２の運転により
外気からのみ熱を吸収する。この場合蒸発温度は
一般的に外気温を10℃弱下回る温度になり、一方
晴天時は太陽熱により蒸発器９の吸込空気温度が
予熱されるので蒸発温度が上昇する。

上記実施例では、集熱管９と放熱管１６中に封
入された作動流体に不凍液を使用していたが、フ
レオン等の相変化を行なう物質を集熱管９内の上
部まで満液に入れ集熱管９で蒸発させ放熱管１６
で凝縮させ自然循環させるようにしてもよい。

また、上記実施例では集熱板６、集熱管９、上
下ヘツダ管１０，１１のそれぞれの部材を溶接等
により固着して構成したが、これらをアルミニウ
ムのロールボンド法や、プレス成形品をシーム溶
接した鋼板で一体的に製作してもよい。同様に放
熱器１４と蒸発器１９も他方式の熱交換器例えば
銅管に針状巻付フインを施こしたものとしてもよ
い。

さらに上記実施例では放熱器１４と蒸発器１９
を別々の熱交換器として構成したが、これらのフ
イン１５，２０を一体化してもよい。この場合は
ヘアピン状の蒸発管２１が縦配置となる。

なお、上記実施例では放熱器１４と蒸発器１９
を共に鉛直方向に設置していたが、これは必ずし
も鉛直である必要はなく、室外コイルケース２３
を外箱を外箱１と同一平面上に配置し、送風機２
２により風を略上下方向に流すようにしてもよ
い。

また、日射の強さが短時間で大きく変化する時
は、蒸発器１９への空気温度が変動し、ヒートポ
ンプ装置の動作が不安定になる場合もあるが、集
熱板６に熱容量をもたせるか、集熱板６の下面に
熱容量の大きい物質、例えば潜熱形の蓄熱材等を
配置すると、より安定してヒートポンプ装置を運
転することができる。

〔発明の効果〕

以上のようにこの発明によれば、上面を透明カ
バーで塞ぎ、内底に断熱材を敷いた外箱内に収納
された断熱材上に配置された集熱板に複数の集熱
管を固着し、これら集熱管と外箱の上部に配置さ
れた放熱管との間に作動流体を自然循環させるよ
うにし、この放熱器の風下側にヒートポンプ装置
の蒸発器を配置し、これらに外気を送る送風機を
設けるという簡単な構造により、無動力、無制御
で集熱板が高い集熱効率で集めた太陽熱をヒート
ポンプ装置の蒸発器で利用でき、晴天時に高い成
績係数でヒートポンプ装置を運転することがで
き、曇天時や夜間でも外気から効率よく集熱で
き、しかも集熱管、放熱管の作動流体として低い
凍結温度のものを使用しているので冬期の凍結に
よる破損をも防止できる等の諸効果を有してい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図はこの発明の一実施例を示
す図で、第１図は側面図、第２図は集熱板の平面
図、第３図は第１図の−拡大部分断面図、第
４図は上部のみの拡大概略断面図、第５図は放熱
器の一部省略して示す正面図、第６図は蒸発器の
一部省略して示す正面図である。 図において１は外箱、２は透明カバー、５は断
熱材、６は集熱板、９は集熱管、１４は放熱器、
１５は放熱フイン、１６は放熱管、１９はヒート
ポンプ装置の蒸発器、２２は送風機である。な
お、図中同一符号は同一部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上面を透明カバーで塞ぎ内底に断熱材を敷い
   て構成し、傾斜して配設される外箱、この外箱内
   に収納されて上記断熱材上に配置され、上面を太
   陽熱吸収面とした集熱板、上記外箱傾斜方向に沿
   つて配管され上記集熱板にそれぞれ固着された複
   数の集熱管からなる集熱管群、これら集熱管と連
   通した放熱管とこの放熱管に取付けられた放熱フ
   インからなり上記外箱の上部に配置された放熱
   器、この放熱器の風下側にこれと一体又は別個に
   配置されたヒートポンプ装置の蒸発器、及びこの
   蒸発器と上記放熱器に外気を送る送風機とを備
   え、上記集熱管と放熱管中に凍結温度の低い作動
   流体を封入し、この作動流体を上記集熱管と放熱
   管との間に自然循環させるようにしたことを特徴
   とする太陽熱コレクタ。 ２ 上記複数の集熱管を並列に配置し、それらの
   上端及び下端を連通する集熱管群の上部ヘツダ管
   及び下部ヘツダ管、上記放熱管を並列に複数設
   け、これらの上端及び下端を連通する放熱器の上
   部ヘツダ管及び下部ヘツダ管、上記集熱管群の上
   部ヘツダ管と上記放熱器の上部ヘツダ管とを連通
   する上昇管、及び上記放熱器の下部ヘツダ管と上
   記集熱管群の下部ヘツダ管とを連通する下降管を
   設け、これらにより上記作動流体の自然循環を行
   なわせるようにしたことを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の太陽熱コレクタ。 ３ 上記集熱板の下面に、これと接触して潜熱形
   蓄熱材等の熱容量の大なる物質を配設してなる特
   許請求の範囲第１項又は第２項記載の太陽熱コレ
   クタ。