JPH0130536Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は出窓の太陽光集熱装置に関する。

一般的に出窓はその内側空間を専ら各種物品の
収容部として利用しているが、本考案は出窓が建
物の外壁基準面より屋外側へ突出して太陽光を受
け易いことに着目し、その内空間を利用して冬季
等の寒冷期において太陽光から集熱し、室内へ暖
気を供給しようとするものである。

以下、本考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

第１図において、１は建物躯体２の開口部２ａ
の屋外側に取付けられた出窓であり、上枠３ａと
下枠３ｂのそれぞれ屋外側端部に固定された上部
レール４ａと下部レール枠４ｂとの間に引違い障
子５ａ，５ｂが嵌装されている。３ｃは屋外側上
縁板、６は出窓屋根板、７ａは上部額縁、７ｂは
下部額縁、８は内装パネル、９は外壁モルタル
層、１０ａ，１０ｂは開口部２ａ上下の横木であ
る。

しかして出窓１の内側空間１１の下部には、下
部レール枠４ｂの屋内側に固着されたく字状取付
片１２ａ，１２ｂと、下部額縁７ｂおよび下部横
木１０ｂの屋外側に固着されたく字状取付片１３
ａ，１３ｂとの間に、屋外側が低位で屋内側が高
位となるように傾斜して熱輻射ユニツト１４とそ
の下面側に配した遮蔽板１５とがビス止め架設さ
れている。また空間１１の上部には、上部レール
枠４ａの屋内側に固着されたく字状取付片１６ａ
と上部額縁７ｂに固着されたく字状取付片１６ｂ
とを介して、白色塗装を施した熱反射板１７が屋
外側に低く屋内側に高くなるように傾斜してビス
止め架設されている。

熱輻射ユニツト１４には、それぞれ幅方向中央
部を通る回転軸線を中心に旋回する多数の帯板１
８，１８…が、各回転軸線が水平配置するように
平行配列されている。しかして各帯板１８は、第
２図で示すように、基板１９の表面側に黒色耐熱
性塗料層２０を形成することにより、表面１８ａ
に高い熱輻射性を付与しており、また基板１９の
裏面側に白色塗料層２１を形成することにより裏
面１８ｂの熱輻射性を低くしている。１８ｃは両
端中央に突設した回転軸線である。

上記構成によれば、冬季等の寒冷期に各帯板１
８をその表面１８ａが上になるようにしておけ
ば、屋外側より障子５ａ，５ｂのガラスを通して
入射した太陽光Ｌは各帯板１８の塗料層２０に吸
収され、この吸収されたエネルギーが表面１８ａ
より輻射熱Ｈとして放出され、これによつて空間
１１内の空気が温められて熱対流を生じ、暖気Ａ
が上昇して熱反射板１７の傾斜に誘導されて室内
へ流入する。この際、遮蔽板１５は下方空間１１
ａへの熱対流を阻止して熱の逸散を防止する。

尚、上記過程の熱効率を高めるには、第３図の
如く、各帯板１８の表面１８ａが同一平面にある
ように角度調整して各帯板１８，１８間の隙間を
最小にし、下方への空気移動を防止すると共に、
この角度において冬季の平均的な太陽光Ｌの入射
方向と帯板１８の表面１８ａとのなす角度θが直
角に近くなるように熱輻射ユニツト１４の傾斜度
合を設定しておくことが望ましい。

一方、夏季等において熱を避ける場合には、各
帯板１８を反転させて白色塗料層２１を形成した
低い熱輻射性の裏面１８ｂを上位とし、太陽光Ｌ
の吸収を少なくすると共にその大部分を屋外へ反
射させるようにすればよい。この時、各帯板１８
の角度は太陽光Ｌの入射方向に直角に調整して反
射効率を高めることができる。

熱輻射ユニツト１４において、各帯板１８を反
転および角度調整を行うには、個別に手動させる
手段の他、全帯板１８，１８…を同時に動作させ
る各種手段を採用できる。例えば第４図の如く、
熱輻射ユニツト１４の両側枠１４ａ，１４ａに各
帯板１８を両端の回転軸部１８ｃで支持すると共
に、該回転軸部１８ｃにピニオン２２を固着し、
側枠１４ａ内に該ピニオン２２に噛合するラツク
２３，２３を配設し、ピニオン２２を固着した１
つの回転軸部１８ｃを側枠１４ａに貫通して外端
に操作レバー２４を固着することにより、該操作
レバー２４の回動操作にて全帯板１８，１８…を
同時に反転および角度調整するようにしてもよ
い。無論、これ以外の種々の動作手段も存在す
る。

また、上記実施例では各帯板１８の回転軸線が
幅方向中央部に沿うようにしているが、該回転軸
線が幅方向一端部に沿う構造としてもよい。更に
帯板１８の熱輻射性の低い裏面１８ｂを白色面と
せずに鏡面にて構成し、夏季等における熱輻射性
を大きくすると共に、室内の採光にも利用できよ
うにしても差し支えない。この他、表面１８ａお
よび裏面１８ｂは、塗装によらずに高および低熱
輻射性材料からなる板材もしくはシート材の貼り
合わせによつても形成できる。

以上のように本考案に係る出窓の太陽光集熱装
置は、出窓の内側空間下部に、熱輻射性の高い表
面と熱輻射性の低い裏面とを有すると共にその長
手方向に沿う回転軸線を中心に旋回可能な複数の
帯板を各回転軸線が水平配置するように、屋外側
が低位で屋内側が高位となる傾斜面に沿つて平行
配設したものであるから、冬季等の寒冷期におい
て各帯板の上記表面を上位とし、入射した太陽光
を該表面で吸収して輻射熱として放出させ、この
熱による暖気を室内に導入することができる。ま
た夏季等においては各帯板を反転して熱輻射性の
低い裏面を上位とすることにより、集熱を回避す
ることも可能である。従つて本考案によれば従来
では物品の収容に用いていた出窓に室内の気温調
整という新規な利用価値が付与される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における出窓全体の
縦断面図、第２図は同実施例の帯板の断面図、第
３図は上記帯板の角度調整例を示す断面図、第４
図は上記帯板の反転手段の一例を示す一部破断斜
視図である。 １……出窓、１１……空間、１８……帯板、１
８ａ……表面、１８ｂ……裏面、１８ｃ……回転
軸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 出窓の内側空間下部に、熱輻射性の高い表面と
   熱輻射性の低い裏面とを有すると共にその長手方
   向に沿う回転軸線を中心に旋回可能な複数の帯板
   を各回転軸線が水平配置するように、屋外側が低
   位で屋内側が高位となる傾斜面に沿つて平行配設
   してなる出窓の太陽光集熱装置。