JPH0130077B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は流動床ボイラに係り、流動床ボイラの
各部がそれぞれモジユール化されて製作され、効
果的な伝導面配置とモジユール化単体の効率的な
製造、組立によつて立設配置された主として中小
容量の分野に使用される流動床ボイラに関するも
のである。

〔従来の技術〕

従来、燃料をバーナやストーカで燃焼させる場
合、燃焼室で燃料は空気と混合して燃焼するので
燃焼温度が高い、従つて窒素酸化物（NOx）低
減のため、また灰分を含む石炭燃料の場合は燃焼
室出口ガス温度を灰の溶融点以下の温度にするた
め、燃焼室周壁を水冷構造として放射熱を吸収
し、燃焼ガスの温度を下げるボイラの構造になつ
ている。

特に微粉燃焼、ストーカ燃焼のボイラでは燃焼
室に水冷されない耐火壁部分があると溶融灰が付
着成長してスラツギングの原因となるなどの問題
がある。

一方流動床ボイラにおける燃焼の場合は、燃料
の燃焼によつて発生した熱は流動媒体を介して流
動層内管で吸収される。

従つて従来の流動床ボイラでは流動層内管の伝
熱面積を適切に設計することによつて、NOx及
び灰の融点の問題を解決しているので周壁に水冷
壁を必要としない。

またフリーボード部は流動界面から飛散する流
動媒体や未燃焼分が後部伝熱面部分に持ち込まれ
るのを防ぐことと、飛散した未燃焼分を燃焼させ
る目的で設けられており、燃焼ガス温度は流動床
部内ですでに低くコントロールされているので微
粉燃焼やストーカ燃焼のような問題がないので周
壁を水冷構造にする必要がない。

上記したようにバーナ及びストーカ燃焼のボイ
ラでは燃焼室を水冷構造とする必要があるが、流
動床ボイラでは特に水冷構造にしなくてはならな
い理由はない。

第２図は従来の流動床ボイラの一例を示すもの
で、第２図に示すボイラでは流動床周壁の水冷壁
管部２６をわざわざ耐火材で覆い熱吸収させない
ようならしめてある。

さらにフリーボード部１９では燃焼ガス温度が
低く熱吸収率が悪いところに水冷壁管２７を設け
るなど不経済な点があり、現場組立を必要とする
対流蒸発管部がフリーボード部の側部に配設され
ているため流動床ボイラの設置面積が大きくな
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は特に中小容量の流動床ボイラを対象と
して効果的伝熱面配置と流動床ボイラの各部がモ
ジユール化され、単体に分割されて工場内で製作
される効率的な製造、組立てができる構造を提供
するもので、 (イ) 品質を向上させるため、風箱部分、流動床部
分、フリーボード部分、対流伝熱面部分、蒸気
ドラム部分等の各部が分割モジユール化されて
いるため、作業性がよく、各部分を工場内で製
作組立てを行ない現地据付時はそれらの各モジ
ユールを溶接接合する工事のみとする。

(ロ) 従来の流動床ボイラに比較して重量を軽減す
るため、燃焼ガス温度及び熱吸収率に応じて無
駄のない伝熱面構成と燃焼ガス温度に対して適
切な耐火保温材の選定を行なうようにした。

〔問題を解決するための手段〕

上記に鑑み、本発明はボイラ本体の流動床下部
に燃焼用空気を供給する風箱部、流動層内に水平
の伝熱管群を有する流動床部、流動床部上のフリ
ーボード部、フリーボード部天井の一部開口部の
上方に水平に配置した対流伝熱管群部、燃焼ガス
出口上に設置された蒸気ドラム部の各部がそれぞ
れ単体に分割モジユール化されて製作組立てら
れ、かつモジユール化されて分割製作された前記
それぞれの単体を溶接接合してボイラ基礎上に立
設、配置した流動床ボイラを提供するもので、本
発明においては、 (A) 伝熱面の構成として、 (i) 流動層内は周壁の水冷却壁をなくし、層内
水平伝熱管のみの構成としている。

(ii) フリーボード部は繊維状の耐熱保温材の飛
散および脱落を防止するため隙間のある水管
を配置している。

(iii) フリーボード上部に配置される対流伝熱管
群部は燃焼ガスの高温側では水平裸管の構成
であり、低温側には伝熱面を拡大するための
フイン付管を水平に配置している。

それぞれの伝熱管はガスの流れに対して直
交配置となつているので熱吸収が最も効率的
に行ない得られ、伝熱面積を小さくすること
が可能である。

(iv) 対流伝熱面周壁は燃焼ガス温度が低いので
熱吸収上不経済な水冷壁管は設けず保温材で
放熱を防いでいる。

(B) 個別製作に関して、 流動床ボイラの各部分は工場で製作、組立を
行ないトラツクなどの陸上輸送可能な例えば断
面積3.2メートル平方程度の大きさにモジユー
ル化される。

(C) 耐熱保温材 フリーボード部およびフリーボード部上の対
流伝熱管群部の燃焼ガスに触れる内壁には
Al₂O₃＋SiO₂を主成分とするセラミツクウール
からなる繊維状の軽量耐熱保温材を使用し、重
量を軽減すると共に保温性を良くし、さらにモ
ジユール化を容易にしている。

〔実施例〕

本発明においてはボイラ全体又は単位全体を流
動床ボイラ乃至は流動床と称し、流動媒体が流動
状態を呈している部分を流動層と称する。第１図
は本発明の一実施例を示す。

流動床ボイラは階層状に風箱Ａ、流動床部Ｂ、
フリーボード部Ｃ、対流伝熱管群Ｄ，Ｅ、蒸気ド
ラム部Ｆの６モジユールに分割製造され、現地据
付時にそれぞれ溶接接合される。

第１図は６モジユールであるが場所的に輸送上
制限（重量、寸法など）の問題がある場合は更に
分割することも可能である。

燃焼用空気は入口１６から入り、分散板２から
流動層内に入り、流動媒体６を流動化させる。

燃料は１８から流動層に投入され流動層内で燃
焼し、フリーボード１９を経て、対流蒸発管群１
１，１３を経て燃焼ガス出口１７から放出され
る。

層内管の水循環は循環水出口配管２０から循環
ポンプ２１により強制循環せしめ、２０′を経て
層内管入口分割ヘツダ４に入り、層内管３で熱吸
収を行ない、出口集合ヘツダ５を経て循環水入口
配管２２でドラム１５に戻る。ここで気水分離さ
れて蒸気は蒸気出口２５より出て行く。

一方対流伝熱管群への水循環は強制循環により
循環配管２０″を経て入口分配ヘツダ９に入り、
フリーボード部Ｃ周壁を構成する管群８から対流
伝熱管群１１を通り、フイン付管で構成されてい
る対流伝熱管群１３を経て連絡管１４で蒸気ドラ
ム１５に戻される。

流動層の周壁は耐火炉材７で囲まれ、放熱を防
ぐため保温材７′で外側を覆つている。

フリーボード部周壁は裸管で構成する水管８と
接して耐熱保温材１０で囲まれ、外周への放熱を
防いでいる。

対流伝熱管群Ｄ，Ｅの周壁は耐熱保温材１２で
囲まれ、外周への放熱を防いでいる。

耐熱保温材１０，１２はAl₂O₃＋SiO₂を主成分
とするセラミツクウール（Ceramie Wool）の繊
維状の軽量耐熱保温材である。

〔発明の効果〕

本発明の効果を纒めると次の通りである。

各モジユールの耐圧部分等の重要部分が作業
性のよい工場で製作組立てられるので製品の品
質が高い。

従来の流動床ボイラに比較して耐圧部の現地
作業が著しく少なく、また現地における拡管接
合や溶接接合が極端に少ないため本発明の据付
作業が著しく容易かつ安全である。

各電熱面が効果的にガスの流れに対して直交
するように配置され、かつフリーボード部及び
対流伝熱管群部の周壁は軽量の耐熱保温材が使
用されているので重量が軽く熱吸収が最も効果
的に行なわれ、コンパクトに構成され伝熱面積
を小さくできるため経済的である。

流動床ボイラが階層上に分割モジユール化さ
れているので据付面積が少なくてすまし得ら
れ、従来の流動床ボイラのように現地組立時仮
架台を必要としない利点がある。

現地据付時には下から順に積み重ねる工法の
採用が可能で工期の短縮化が可能である。

流動床ボイラのような燃焼ガス中の浮遊粒子
の多いボイラでは本発明の高層化によつて浮遊
粒子の飛散を少なくすることができる。

第２図に示すような従来の流動床ボイラにお
いてはボイラ出口にダストホツパーを設け、さ
らにダストホツパーよりダストを一時的に貯蔵
するサイロに運び余分なコンベアを必要とした
が本発明においては燃焼ガス出口より直接ダス
トが収塵器に入り補集されるので灰処理設備が
簡素化される。

フリーボード部は隙間のある水管を配置して
いるため繊維状の保温材の飛散や脱落を防止す
ることができる。

対流伝熱面周壁は熱吸収上不経済な水冷壁管
を設けることなく保温材で放熱を防ぐようなら
しめた。

フリーボード部および対流伝熱管部の燃焼ガ
スに触れる内壁にはセラミツウールからなる繊
維状の軽量耐熱保温材を使用しているが故に重
量を軽減すると共に保温性を良くし本発明のモ
ジユール化を容易にならしめる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の断面図、第２図は
従来の流動床ボイラの断面図を示す。 １……風箱、２……空気分散板、３……流動層
内伝熱管、４……流動層内管分配ヘツダ、５……
流動層内管出口集合ヘツダ、６……流動媒体、７
……耐火炉材、７′……保温材、８……フリーボ
ード水冷管、９……フリーボード水冷管及び対流
伝熱管分散ヘツダ、１０……耐熱保温材、１１…
…対流伝熱管、１２……耐熱保温材、１３……フ
イン付対流伝熱管、１４……連絡管、１５……蒸
気ドラム、１６……燃焼用空気入口、１７……燃
焼ガス出口、１８……燃料供給装置、１９……フ
リーボード部、２０……循環水出口配管、２０，
２０′……循環配管、２１……循環ポンプ、２２
……循環水入口配管、２３……スートブロワ、２
４……ボイラ基礎、Ａ……風箱、Ｂ……流動床
部、Ｃ……フリーボード部、Ｄ，Ｅ……対流伝熱
管群、Ｆ……蒸気ドラム部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基礎２４上に立設された流動床ボイラにおい
   て、ボイラ本体の流動床下部に燃焼用空気を供給
   する風箱部Ａ、周壁に水冷却壁のない流動層内に
   水平に伝熱管３のみが配設され、耐火炉壁７及び
   その外側に保温材７′で覆われた流動床部Ｂ、流
   動床部Ｂの上方には、隙間を有する水管を配置
   し、かつその周壁が耐熱保温材１０，１２で囲ま
   れたフリーボード部Ｃ、フリーボード部Ｃの上部
   天井の一部開口部の上方に、燃焼ガスの高温側に
   は水平裸管、低温側にはフイン付管１３が水平に
   配設され、かつその周壁がフリーボード部Ｃの耐
   熱保温材１０，１２と連結する同一の耐熱保温材
   で囲まれた対流伝熱管群部Ｄ，Ｅ及び燃焼ガス出
   口上に設置された蒸気ドラム部Ｆが接合されてな
   ることを特徴とする流動床ボイラ。 ２ 流動床ボイラのフリーボード部Ｃ、フリーボ
   ード部上部の天井の一部開口部の上方の対流伝熱
   管群部Ｄ，Ｅの燃焼ガスに触れる内壁にAl₂O₃＋
   SiO₂を主成分とするセラミツクウールからなる
   繊維状の軽量耐熱保温材を使用する特許請求の範
   囲第１項記載の流動床ボイラ。