JPH0127347Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、海底地震探査や魚群探知用のハイド
ロフオンとして、また超音波洗浄装置の洗浄液内
における音響測定子として好適に利用される水中
用同軸型圧電ケーブルに関する。

ポリ弗化ビニリデン、ポリ弗化ビニール、ポリ
塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニール、ナイロン等
の圧電性有機物もしくは合成ゴムや合成樹脂の有
機物中にチタン酸ジルコニア酸鉛、チタン酸鉛等
の強誘電セラミツク粒子を混合してなる圧電性有
機セラミツク複合物等の有機系圧電材料は、一般
の焼結質圧電磁器材料に比し、その音響インピー
ダンスが水の音響インピーダンスに近似する特性
を有することから、この特性を利用したものとし
て、前記圧電材料からなる圧電層を中心導線の周
りに配置し、かつ該圧電層の外周に導電材を配置
して同軸型圧電ケーブルを形成し、これを水中に
浸漬して、前記中心導線及び導電材間から出力信
号を取出して前記水中を伝播する音響波を受信す
るようにしたものがある。

ところで、前記構成による圧電ケーブルは、柔
軟であるため、音響波以外の圧力、例えば水の流
動、波立その他の外的応力により屈撓し、このた
め前記圧電層ａに曲げ応力が作用して電荷を生
じ、これがノイズ信号となつて音響波に重畳的に
加わり、Ｓ／Ｎ比を低下させるという欠点があ
る。

そこで、かかる欠点を除去するため、本考案者
によつて、既に有機系圧電材料からなる内外の圧
電内層と圧電外層とを、遮音層を介して同心状に
設けるとともに、前記圧電内層の正極を圧電外層
の負極と、圧電内層の負極を圧電外層の正極と
夫々電気的に接続し、かつ圧電外層の両極から出
力信号を取出すようにし、圧電ケーブルが外圧に
より湾曲した場合に、前記圧電外層および圧電内
層に発生する電荷を夫々の電気的接続により打消
し合うようにし、また音響波の影響は、遮音層に
より圧電内層に及ぼさないようにして前記音響波
に対応する出力を圧電外層から取出し得るように
したものが案出された。ところで、この構成にお
いては前記圧電内層が音響波の影響を受けて出力
を発生すると、その出力分が圧電外層の出力を打
ち消し、音響波に対応する充分な出力を得ること
ができない。従つて、前記構成を実効あるものに
するには遮音層の遮音効果が充分でなけねばなら
ない。

本考案は、前記のものにおいて、充分な遮音効
果を生ずる遮音層の提供を目的とするものであつ
て、前記遮音層を、不織布を多層状に巻回するこ
とにより構成してなるものである。

本考案の一実施例を添付図面について説明す
る。

２は圧電ゴム等からなる圧電内層であつてその
内側が正、外側が負となるように分極され、中心
電線１がその中心を通つている。該圧電内層２の
周りには導電塗料等からなる電極３が形成されて
おり、該電極３の外周に引出し用の電極線４が巻
回している。さらにその外側には、後記する本考
案の要部に係る遮音層７が設けられる。

また前記遮音層７の周りには導電ゴム８が設け
られ、その周囲に引出し用の電極線９が巻回し、
さらにその上に圧電外層１０が被着している。該
圧電外層１０は内側を正、外側を負に分極した、
圧電ゴム等からなり、その周面には導電塗料を塗
着して形成した電極１１が設けられ、その外周に
導電性の網組１２が被着している。

而て形成された同軸型圧電ケーブルは、圧電内
層２の正電極側と接続した中心電線１と、圧電外
層１０の負電極と接続した網組１２とをリード線
１３により電気的に接続して、その端部を出力端
子１４とし、さらに圧電内層２の負電極と接続し
た電極線４と、圧電外層１０の正電極側と接続し
た電極線９とをリード線１５により接続して、そ
の端部を出力端子１６とし、前記出力端子１４，
１６間より出力信号を取出すようにしている。尚
前記出力端子１４は、アース側となつている。

前記構成において、遮音層７について詳述する
と、圧電内層２には前記遮音層７を構成する例え
ばポリエステル製材料等によつて形成された帯状
の不織布５が巻回している。前記不織布５の巻回
によつては、充分な厚みを達成できないので、前
記不織布５周囲にポリエステル製等の絶縁テープ
６を巻回し、さらにその上に不織布５及び絶縁テ
ープ６を順次巻回する。而て、不織布５及び絶縁
テープ６によつて遮音層７が構成される。前記不
織布５、絶縁テープ６の層数は任意に選定するこ
とができ、これにより所定の厚みのある遮音層７
を生じさせることができる。また前記絶縁テープ
６は省略してもよい。

前記遮音層７において、前記不織布５は、多孔
質であつて、その微小孔部に空気を包含する。し
かも、スポンジ等と異なつて伸縮性がないから、
水圧によつて圧潰することはない。このため、水
中において優れた遮音効果を有する。しかもケー
ブルの可撓性を阻害することもない。このため、
前記遮音層７を構成する遮音材として最適である
といい得る。

前記実施例の作用を説明すると、前記圧電ケー
ブルが波立等により湾曲すると、前記圧電内層
２、圧電外層１０に曲げ応力が加わつて、夫々に
電荷が生じる。ところで、前記屈曲によつて圧電
内層２、圧電外層１０に発生する電荷量はほとん
ど同じであり、前記したように圧電内層２の正電
極と、圧電外層１０の負電極とはリード線１３に
より電気的に接続され、また圧電内層２の負電極
と圧電外層１０の正電極とはリード線１５により
電気的に接続しているので夫々打消し合い、結
局、出力端子１４，１６間には前記波立等の外的
応力によつては電位差が生じない。一方、音響波
による影響はケーブルの全外周から圧電外層１０
に作用するが、前記遮音層７は不織布５によつて
充分な遮音効果を生じるので、該遮音層７に遮断
されて圧電内層２へは作用しない。このため前記
圧電外層１０にのみ音響波による電荷が発生し、
前記したように波立等の外的応力による電位の発
生は消去されてあるから端子１４，１６間には音
響波に対応する電気信号のみが抽出される。この
ため、前記湾曲による影響を受けないで、音響波
のみを受信することができるようになる。

前記実施例において、圧電内層２、圧電外層１
０の分極方向は任意に選ぶことができるが、この
場合にも圧電内層２の正電極を圧電外層１０の負
電極と、圧電内層２の負電極を圧電外層１０の正
電極と夫々電気的に接続する必要がある。

本考案は前記の説明によつて明らかにしたよう
に遮音層７を介して同心状に設けられた圧電内層
２と圧電外層１０とを、圧電内層２の正極を圧電
外層１０の負極と、圧電内層２の負極を圧電外層
１０の正極と接続するようにして配線し、かつ圧
電外層１０の両極から出力信号を取出すようにし
て圧電ケーブルが外圧により湾曲した場合に、前
記圧電内層２および圧電外層１０に発生する電荷
を夫々の電気的接続により打消し合うようにした
圧電ケーブルにおいて、遮音層７を不織布５を多
層状に巻回することによつて構成し、音響波の影
響を圧電内層２に影響を与えないようにしたか
ら、圧電外層１０から音響波に対応する高い出力
を抽出することができ、該出力のＳ／Ｎ比を著し
く向上できる等の優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

添付図面は、本考案の一実施例を示し、第１図
は平面図、第２図は縦断面図である。 １……中心電線、２……圧電内層、５……不織
布、６……テープ、７……遮音層、１０……圧電
外層、１４，１６……出力端子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 有機系圧電材料からなる内外の圧電内層と圧電
   外層とを、遮音層を介して同心状に設けるととも
   に、前記圧電内層の正極を圧電外層の負極と、圧
   電内層の負極を圧電外層の正極と夫々電気的に接
   続し、かつ圧電外層の両極から出力信号を取出す
   ようにしたものにおいて前記遮音層を、不織布を
   多層状に巻回して構成したことを特徴とする水中
   用同軸型圧電ケーブル。