JPH0127319B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、断熱性の単一導管、又は互いに平行
に導かれ又は互いに撚られた数本の単一導管から
なる断熱性で調温可能な管束ケーブルにして、そ
れらの一本又は数本が調温すべき化学的に活性な
媒体を搬送するのに役立ち且つプラスチツクでで
きており、残りの単一導管が加熱導管として又は
化学的に不活性な媒体を搬送するに役立ち、その
際単一導管又は管束ケーブルが保温層によつて包
囲されている様な断熱性の単一導管又は管束ケー
ブルに関する。

〔従来の技術〕

例えば、化学工業及び石油化学工業においては
かなり以前から、石油産出所と分析センターとの
間で調温可能に媒体を搬送するのに役立つ導管又
は導管系が用いられてきた。調温は例えば媒体の
搬送導管に隣り合わせて設けた管により行つてい
る。この管を通して加熱媒体が流れ、加熱媒体の
温度が高く圧力が大きい場合にはこの管を例えば
金属から構成している。しかし、この調温を、プ
ラスチツクで被覆した加熱導体乃至バンドを媒体
導管に巻付けるか沿わせるかすることによつても
実施できる。例えば、周辺温度の変化に応じて加
熱力を自動的に調節することによつても調温を自
動的に実施できる。管束上に取り付けられた適当
な保温層は熱損失を阻止する。

調温すべき化学的に不活性の媒体では、調温上
の要件に応じて加熱管を金属から作り、媒体導管
を化学的な強さに応じて金属又はプラスチツクか
ら作ることができる。しかし例えば湿性塩素、塩
化水素ガス又はホスゲン等の金属を化学的に侵す
媒体は、プラスチツク管でのみ搬送可能であり、
金属管では直ぐ侵され破壊されてしまうので搬送
不可能である。

化学的に活性な媒体を搬送するため熱絶縁性の
管束ケーブルが使われる時には、加熱導体又は金
属管と並んでケーブル芯体内に活性なガス又は液
体を搬送するのに適するプラスチツク管が設けら
れねばならない。しかしプラスチツク管はガス密
になつていないので、有害なガス又は蒸気がプラ
スチツク管壁を通して拡散し、そこで近くにある
金属製の構成部材、例えば不活性媒体を通す金属
管、電気導体又は金属製加熱バンドの様な構成部
材全体を侵す危険がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従つて本発明は、プラスチツク製の媒体導管か
ら外へ拡散する化学的に活性のガス又は蒸気が、
ケーブル内の他の構成部材を侵すことによりケー
ブル機能を損じ、従つて完全な運転を妨害するの
を防ぎうるようにすることを課題とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この課題は、本発明により次の様にして解決さ
れる。

即ち単一導管においては、化学的に活性な媒体
を搬送するためのプラスチツク製の導管には、鉛
でできた保護外套部が設けられており、導管から
拡散する媒体との化学反応によつて、良好に被覆
し且つ拡散防御壁として働く保護層を媒体用導管
周りに形成することにより解決される。

また互いに平行に導かれ又は互いに撚られた数
本の単一導管からなる管束ケーブルにおいては、
化学的に活性な媒体を搬送するための一本乃至は
数本のプラスチツク製の導管個々に、鉛でできた
保護外套部が設けられ、該保護外套部が、拡散す
る媒体との化学反応によつて良好に被覆し且つ拡
散防御壁として働く保護層を媒体用導管周りに形
成することにより解決される。

本発明を実施する際保護外套部を媒体導管及び
場合により加熱導管上に押出成形により設けると
有利である。この場合、保護外套部をそれぞれの
管に密接して接合させると、管の表面と外套部内
面との間の空間内に空気が自由に入り込まない。

また保護外套部用の鉛は純粋であるべきであ
り、特に塩化物を全く含まないものとすべきであ
る。

調温ケーブル中の２、３本の導管が化学的に活
性な媒体を搬送する場合、この搬送管のみに保護
外套部を設けることができる。しかし多くの実施
例では、時として加熱管にも保護外套部を設ける
のが有利である。

〔実施例〕

次に図示の実施例により本発明を詳細に説明す
る。

第１図には保護外套部と、保温層と、外側プラ
スチツク保護被覆とを有する化学的に活性な媒体
を導く単一の導管が示されている。この導管は、
ポリテトラフルオルエチレンからなる媒体導管１
と、該導管１上に設けた純粋な鉛からなる保護外
套部２と、ガラス繊維織物バンドからなる保温層
３と、多層の熱接着布４並びに難燃性で熱的に高
安定のポリビニルクロリド又は高密度のポリエチ
レン又は”難燃性及び自己消火性”に変性された
ポリエチレンからなる外側プラスチツク保護被覆
５とからなる。当然他の適当なプラスチツクを用
いてもよい。

第２図に示した管束ケーブルは、特殊鋼又は銅
からなる加熱管６と、純粋鉛からなる保護外套部
８を有する、例えば市販名“テフロン”という名
で知られたプラスチツク製の化学的に活性な媒体
の搬送導管７と、ガラス繊維織物バンドからなる
保温層９と、熱接着布１０と、その上に設けたプ
ラスチツクからなる外側被覆１１とからなる。

加熱導管６と媒体導管７は相互に平行にまとめ
るか、さもなくば互いに撚つてまとめることがで
きる。

第３図に示した管束ケーブルは、１本の加熱管
１２，保護外套部１４を備えた２本の媒体導管１
３並びに加熱目的又は化学的に不活性の媒体を搬
送するための別の導管１５を有している。ガラス
繊維織物バンドからなる保温層１６の上には熱接
着布１７が設けられていて、該熱接着布１７自体
はプラスチツクの外側保護被覆１８により被覆さ
れている。このための材料は第１図の実施例の場
合に説明済みである。加熱及び媒体導管はまたこ
の場合も相互に平行にまとめられているか、さも
なくば互いに撚られてまとめられている。

第２図及び第３図によるケーブルの実施例にお
いて、１本乃至複数本の導管の代わりに熱発生要
素として電気加熱導体を用いてもよい。第４図に
示したケーブルは、電気加熱バンド１９，保護外
套部２１を備え化学的に活性な媒体のための導管
２０並びにガラス繊維織物巻装バンド２２と熱接
着布２４とからなる保温層を有している。機械的
強さを有する外側外套を２５で示している。

必要に応じて、ガラス繊維織物巻装バンド２２
を、金属、例えばアルミニウム、銅又は特殊鋼か
らなるシールドコイルに置換してもよい。この場
合、誘導電流を取り出すために、むきだしの素線
形又は中実の保護導線２３を金属シールドと導電
的に接触させ、長手方向に延びるように、又は撚
つて一緒に導かれるようにすると良い。誘導電流
は、電気加熱バンドの導体に電流を流すことによ
り金属シールド内に発生する。このことは特に、
調温が電気的に行われる限り、爆発の危険のある
状態で調温可能な導管又は管束ケーブルを使用す
る場合には重要である。

以下の例は拡散防御壁として保護層を形成する
ことを明瞭にするものであり、拡散する媒体が鉛
でできた外套部と反応する場合、外套部表面上に
良く密着する難溶性の保護層を形成することが大
切である。この保護層の防御作用は活性媒体がそ
れ以上化学的に侵さない様に鉛の外套部を守るも
のである。

反応例 (a) 鉛被覆されたプラスチツク導管を通して硫酸
を搬送する場合、搬送導管に面した鉛の外套部
表面上に難溶性の塩基性硫酸鉛が形成される。
この反応は非常に速やかに止まり、従つてほん
の僅かの水素しか発生しない。その際の反応は
次の通りである。

Pb＋H₂SO₄→PbSO₄＋H₂ (b) 第２の例は燐酸H₃PO₄を搬送する場合のも
のである。鉛の外套部で起こる反応は次の簡単
な化学式で表すことができる。

3Pb＋2H₃PO₄→Pb₃（PO₄）₂＋3H₂ (c) 第３の例は硫化水素と鉛との反応により生ず
る硫化鉛でできた耐蝕保護層を形成するものを
示す。

Pb＋H₂S→PbS＋H₂ 以上の例に見るように保護層を作る反応は迅速
に行われ、直ぐ停止し、それ以上の化学反応を引
き起こさない様に防御壁を作る。

〔効果〕

本発明の対象物に従うような単一導管又は管束
ケーブルで化学的に活性な媒体を搬送する場合、
プラスチツク製の導管を保護外套部で包み、それ
を導管から拡散する媒体との化学反応によつて、
良好に被覆し且つ拡散防御壁として働く保護層を
形成する材料で作ることによつて、確実に活性な
ガスとか蒸気とかの拡散が防止され、導管内又は
ケーブル内の金属製加熱管又は電気加熱導体又は
加熱バンド等が侵されたり、破壊されたりするこ
とがなくなるという効果を生ずることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例の単一導管の破断
斜視図であり、第２図は２本の管からなる第２実
施例の破断斜視図であり、第３図は多数の管から
なる第３実施例の破断斜視図であり、第４図は多
数の管とアース線を有する第４実施例の破断斜視
図である。 図中参照番号 １，７，１３，２０……化学的
に活性な媒体を搬送するための媒体導管、６，１
２……加熱管、３，９，１６，２２，２４……保
温層、２，８，１４，２１……保護外套部、５，
１１，１８，２５……外側保護被覆。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 調温すべき化学的に活性な媒体を搬送するの
   に役立ち且つプラスチツクでできており、保温層
   によつて包囲されている様な断熱性で調温可能な
   単一導管において、化学的に活性な媒体を搬送す
   るためのプラスチツク製の導管には、鉛でできた
   保護外套部が設けられており、保護外套部が導管
   から拡散する媒体との化学反応によつて、良好に
   媒体用導管を被覆し且つ拡散防御壁として働く保
   護層を媒体用導管周りに形成することを特徴とす
   る単一導管。 ２ 保護外套部が媒体用導管に密接していること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の単一
   導管。 ３ 保護外套部が連続押出成形により媒体用導管
   上に設けられていることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項または第２項に記載の単一導管。 ４ 調温を、長手方向に延在するか単一導管周り
   に巻付けられた電気加熱導体又は電気加熱バンド
   により行つていることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項から第３項のうちの１項に記載の単一導
   管。 ５ 互いに平行に導かれ又は互いに撚られた数本
   の導管からなる管束ケーブルにして、それらの一
   本又は数本が調温すべき化学的に活性な媒体を搬
   送するのに役立ち且つプラスチツクでできてお
   り、残りの導管が加熱導管又は他の導管からな
   り、その際管束ケーブルが保温層によつて包囲さ
   れている様な断熱性で調温可能な管束ケーブルに
   おいて、化学的に活性な媒体を搬送するための一
   本乃至は数本のプラスチツク製の導管個々に、鉛
   でできた保護外套部が設けられていることと、該
   保護外套部が、拡散する媒体との化学反応によつ
   て良好に被覆し且つ拡散防御壁として働く保護層
   を媒体用導管周りに形成することとを特徴とする
   管束ケーブル。 ６ 保護外套部が媒体用導管に密接していること
   を特徴とする特許請求の範囲第５項に記載の管束
   ケーブル。 ７ 保護外套部が連続押出成形により媒体用導管
   上に設けられていることを特徴とする特許請求の
   範囲第５項または第６項に記載の管束ケーブル。 ８ 加熱管にも保護外套部を設けることを特徴と
   する特許請求の範囲第５項から第７項のうちの１
   項に記載の管束ケーブル。 ９ 調温を、長手方向に延在するか、単一導管周
   り又は束ねた導管周りに巻付けられた電気加熱導
   体又は電気加熱バンド乃至電気加熱バンドの束に
   より行つていることを特徴とする特許請求の範囲
   第５項から第８項のうちの１項に記載の管束ケー
   ブル。