JPH0125361B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、特に、内燃機関のロツカーアーム、
ロツカーアームのしゆう動部などの耐摩耗を要求
され且つ相手材を損傷しない特性を有する炭化物
分散強化型鉄系焼結合金部品の製造に供される圧
縮性・焼結性に優れた耐摩耗性焼結部品用鉄系合
金粉末に関するものである。 従来の技術 従来、耐摩耗性炭化物分散強化型鉄系焼結合金
粉末としては、水アトマイズ法による低C13Crを
基材とし、これに、Mo，Ｖ，Nbなどの炭化物生
成元素を合金化した粉末に、焼結時に炭化物を生
成させるための黒鉛粉末及び焼結助剤としての
Ｐ，Ｂなどを含む合金粉末を配合したものが使用
されている。 更に、水アトマイズ法よる低Cr13系粉末は、
その製法により0.2〜0.3％の酸素を含有してい
る。 しかしながら、このような合金粉末において
は、黒鉛粉末の配合により、混練の際に黒鉛粉末
の分布が不均一となり、焼結後、Ｃ偏析の原因と
なり、また、寸法ひずみの原因となる。 また、酸素含有量が高いことにより、焼結時の
相互拡散の障害となるため、相当量の焼結助剤の
存在の下でなければ、焼結により高い理論密度比
を得ることは困難であつた。 更に、焼結のためには、焼結助剤は、冶金的に
は、有害成分であり、焼結部品の使用条件に制約
を与えることになる。また、従来のアトマイズ法
により、この種の成分にＣを合金化して粉末を製
造した場合、Ｃが高くなるに従い、圧縮性が低下
し、実用上成形圧力、焼結部品形状に制約を生じ
るなどの不都合が生じていた。 発明が解決しようとする問題点 そこで、本発明は、従来公知の耐摩耗性炭化物
分散強化型鉄系焼結合金粉未における上記のよう
な焼結後の偏析、寸法ひずみの発生、あるいは、
成形圧力、焼結部品形状における制約などの種々
の困難のあることに鑑み、このような困難がな
く、圧縮性や、焼結性にも優れた耐摩耗性炭化物
分散強化型鉄系焼結合金粉末を得ることを、その
目的とするものである。 本発明においては、この目的を達成するため
に、水アトマイズ法により製造したＣプレアロイ
粉末（Ｃ：0.4〜3.0％）は、従来の配合粉末に生
じるような成分偏析がなく、低Ｃ粉末に匹敵する
圧縮性・成形性を有し、しかも、焼結性も良好で
あり、焼結により高い理論密度比を与え、炭化物
が均一に分散した焼結体を与えることに着目し、
重量比でC0.4〜3.0％，Cr3〜30％，Si0.2〜1.0％，
Mn0.1〜１％，O0.15以下を含有し、残部がFeと
不可避不純物とから成る圧縮性・焼結性優れ耐摩
耗性焼結部品用鉄系合金粉末を特徴とするもので
ある。 なお、本発明による合金粉末は、上記の成分に
追加して、Mo，Ｗ，Ｖ，Nbの内の１種又は２種
以上を0.5〜3.0％を含有することもできる。 問題を解決するための手段 以下、本発明をその実施例などに基づいて詳細
に説明する。 まず、本発明は、上記のような組成を有するこ
とを特徴とするものであるが、本発明による合金
粉末において、上記のような各種合金及び含有量
を選定した理由について説明する。 Ｃ： Ｃ成分には、素地に固溶してこれを強化し且つ
Cr，Mo，Ｗ，Ｖ，Nbと結合して炭化物を形成
し、合金の耐摩耗性を向上させる作用があるが、
その含有量が、0.4％未満では、炭化物生成のた
めに更に配合する黒鉛の量が多くなり、焼結後の
Ｃ偏析、不均一収縮の原因となり、また、還元に
より脱酸するために必要なＣが不足する。一方、
3.0％を越えて含有させると、炭化物の析出量が
多くなり過ぎると共にこれが粗大化し、合金がも
ろくなる恐れがあるので、その含有量を0.4〜3.0
％と定めた。 Cr： Cr成分には、素地に固溶して、これを強化し
且つＣと結合して高硬度を有するCr炭化物を形
成し、合金の耐摩耗性を向上させる作用がある
が、焼結体の用途を考慮し、その含有量を３〜30
％と定めた。 Si： Si成分には、素地に固溶して、これを強化し且
つ焼結を活性化する作用があるが、過度に含有す
れば、粉末粒子を珠状化し、成形性を低下させる
と共に焼結後の合金をもろくさせる作用があるた
め、その含有量を0.2〜1.0％と定めた Mn： Mn成分は、アトマイズのために溶融している
合金中に存在し、酸素と結合して溶鋼の過酸化を
防止し、溶鋼の健全性を向上させる作用がある
が、その含有量が、0.1％未満ではその効果が得
られず、一方、１％を越えて含有させると、結晶
粒が粗大化しやすく、合金強度を低下させる傾向
があるため、その含有量を0.1〜1.0％と定めた。 Mo及びＷ： Mo及びＷ成分は、素地に固溶し、これを強化
する地、Ｃと結合して炭化物を形成し、合金の耐
摩耗性を向上させる作用を持つので、優れた耐摩
耗性を与えるために含有させるが、その含有量が
0.5％未満では、その効果が得られず、また、経
済性を考慮し、その含有量を0.5〜3.0％と定め
た。 Ｖ及びNb： Ｖ及びNb成分は、素地に固溶しこれを強化す
る地、Ｃと結合して炭化物を形成し、合金の耐摩
耗性を向上させる作用を持ち、更に、焼結に際し
て、初期に生成するオーステナイト結晶粒子を微
細化する作用を有するが、その含有量が、0.5％
未満では、その効果は得られず、また、３％を越
えて含有しても一層の向上の効果は得られないの
で、経済性も考慮し、その含有量を0.5〜30％と
定めた。 Ｏ： Ｏ成分は、主として、粉末粒子表面に、金属酸
化物皮膜として存在し、焼結時の粉末粒子相互拡
散の障壁となり、焼結性を著しく阻害する原因と
なり、あるいは、焼結中、粉末組成物中のSi，
Mnと反応し、あるいは、酸化物系非金属介在物
を形成し、焼結体の耐摩耗性を著しく劣化させる
原因となるため、その含有量を0.15以下と定め
た。 本発明による鉄系合金粉末は、上記のような理
由によつて各成分及びその含有範囲を決定したも
のであるが、このような成分を有することによ
り、本発明合金粉末は、95％以上の理論密度比が
得られるものであり、低密度比のものに見られる
ような大きな空孔の持つ切欠き効果による素地の
破壊から生じるピツチング摩耗の防止を期待する
ことができるものである。 次に、本発明による合金粉末の実施例を説明す
る。 実施例 原料粉末として、粒度100メツシユの水アトマ
イズ法によるFe―Ｃ―Cr―Si―Mn―（Mo―Ｗ
―Ｖ―Nb）−Ｏ合金粉末を用意し（化学組成は、
表に示すとおりである）、これを6t／cm²の成形圧
（潤滑剤なし）にて成形し、次いで、前記粉末を、
１×10^-3 torr以上の真空中で、温度、1150〜1250℃に60
分間保持して焼結することにより、本発明による
鉄系焼結合金No.１〜10を製造した。また、比較例
としては、No.11として、実施例と同じ製造過程に
より作られ、Si成分の下限を外れたものを同じ条
件の下で成形・焼結したもの、No.12として、粒度
100メツシユの水アトマイズFe―Cr―Mo―Ｗ―
Nb合金粉末にリン片黒鉛粉末を通常条件で混合
し、本発明品と同じ条件の下に成形・焼結したも
のをそれぞれ製造した。 表から分かるように、本発明品No.１〜10と、 比較品No.12とを比較することによつて、本発明品
No.１〜10においては、圧縮密度は、5.9％以上で
あり、従来の低Ｃの合金粉末の圧縮密度に匹敵し
ている。 また、焼結密度比は、本発明品No.１〜10は、95
％以上のものが得られるのに対し、比較品No.11
は、Si下限外れのために、また、No.12は、Ｏ上限
外れのために、それぞれ、低い密度比にとどまつ
ている。 また、炭化物寸法は比較品においては、焼結密
度を高める目的で焼結温度を高くしているため、
粗大化が認められている。 また、炭化物の偏析は、多量の黒鉛粉末を配合
した比較品No.12にだけ認められている。 発明の効果 以上のように、本発明によると、圧縮性及び焼
結性に優れた耐摩耗性焼結部品用鉄系合金粉末が
得られ、特に、内燃機関のロツカーアーム、ロツ
カーアームのしゆう動部品などの耐摩耗性を要求
されると共に相手材に損傷を与えないことを要求
される炭化物散型鉄系焼結合金部品の製造用の鉄
系合金粉末として最適とものを提供するものであ
る。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 重量比でＣ：0.4〜3.0％、Cr：３〜30％、
   Si：0.2〜1.0％、Mn：0.1〜１％、Ｏ：0.15％以
   下を含有し、残部がFeと不可避不純物とから成
   ることを特徴とする圧縮性・焼結性に優れた対摩
   耗性焼結部品用鉄系合金粉末。 ２ 重量比でＣ：0.4〜3.0％、Cr：３〜30％、
   Si：0.2〜1.0％、Mn0.1〜１％、Ｏ：015％以下、
   Mo，Ｗ，Ｖ，Nbの内の１種又は２種以上を0.5
   〜3.0％を含有し、残部がFeと不可避不純物とか
   ら成ることを特徴とする圧縮性・焼結性に優れた
   対摩耗性焼結部品用鉄系合金粉末。