JPH01240849A - 固定化酵素電極 - Google Patents

固定化酵素電極

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JPH01240849A
JPH01240849A JP63053436A JP5343688A JPH01240849A JP H01240849 A JPH01240849 A JP H01240849A JP 63053436 A JP63053436 A JP 63053436A JP 5343688 A JP5343688 A JP 5343688A JP H01240849 A JPH01240849 A JP H01240849A
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enzyme
electrode
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enzyme electrode
platinum
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JP63053436A
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English (en)
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Peter Bennet Hugh
ヒュー・ピーター・ベネット
Michel Daileini Gerald
ジェラルド・マイケル・ディレイニー
Richard Mason Jeremy
ジェレミー・リチャード・メイスン
Frank Thurstone Christopher
クリストファー・フランク・サーストン
Laing Stirling John
ジョン・レイング・スティアリング
Robert Dikaiser David
デヴィッド・ロバート・ディケイザー
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Cambridge Life Sciences PLC
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野] 本発明は、導電性基板の上に酵素が固定化されて成り特
異的な基質の存在下でその酵素の触媒活性に電気的に応
答する酵素電極に関し、特にグルコースオキシダーゼ等
のオキシドリダクターゼが固定化された導電性基板を存
し、グルコースを含有する試料中に浸した場合に固定化
酵素の触媒活性に電気的に応答するゆえに試験管中ある
いは生体内におけるグルコース濃度の検出に有効な酵素
電極に関する。
〔従来の技術] 生体触媒として酵素を導入した電流検出型バイオセンサ
の利点は、これまでにアストンおよびターナ−(Ast
on and Turner)  ’バイオテクノロジ
ー・アンド・ジェ不ティクス・イングリッシュ・レビュ
ー(Biotec、 Genet、 Eng、 Rev
、)、 G、  ランセルm(ed、G、 Ru5se
ll) J (1984年1第1巻189−120ペー
ジ、インターセプトニューキャッスル°アボン°タイン
(Intercept、 Newcastle−upo
n−Tyne))あるいはG、デービス(Davjs 
G、) ’バイオセンサ(旧osensors) J(
1985年、第1巻、 161−178ページ)により
ある程度論しられている。これらの技術は信号変換方式
が異なっており、大別すれば(a)電極表面で起こる酵
素反応の生成物の酸化に起因する電気的応答が検出され
るタイプ、(b)酸化還元試薬によって電子が酵素から
電極へと輸送される「メデイエータ関与型」と呼ばれる
タイプ、及び(c)上述のようなメデイエータを必要と
しない「直接電子輸送型」と呼ばれるタイプの三者とな
る。以下これらのタイプ(a)〜(c)の反応につき、
順に概要を述べる。
上2心)につ吐工 このタイプの反応は、反応の進行に伴って過酸化水素を
生成するある種のオキシダーゼ(たとえばグルコースオ
キシダーゼ、アルコールオキシダーゼ等)を例にとると
、次のように表わされる。
基質十〇 、−(オキシダーゼ)−酸化生成物+)i2
oF この方法では、過酸化水素は定電位電極の表面にて酸化
される。
H,O□ −一−−−−−−−−−−−・・−・−・−
−−−−−0□+2H’ +2このような過酸化水素か
ら電極への電子の移動に伴って電気信号が生成され、条
件が適当に選ばれれば酵素反応により生ずる電流の強さ
は被検物質の濃度に比例するようになる。
グルコースの定量を行う装置としてはこれまでに様々な
ものが提案されているが、それらの多くは再現性、応答
速度、グルコース濃度の適用範囲に制限があった。商業
ベースである程度の成功を収めたものとしては、グルコ
ースを基質、グルコノ−1,5−ラクトンを生成物とす
る系において上述の過酸化水素を利用した例がある。ま
た、過酸化水素の二次反応(たとえば比色分析)やコン
ダクタンス等の物理化学的測定にもとづいた方法も知ら
れている。しかしながら、これらの方法は一般に応答速
度が遅いうえ、 試料中の酸素圧に非常に影響されやすいという欠点を有
している。
この酸素圧は時として大きく変動するものであり、分析
を簡便化しようとして酸素圧を低くすると、電流応答の
直線性が劣化して上限付近において予想値よりも低い値
がでる虞れがある。同様のことは、グルコース以外の基
質を使用する間接分析法についても言える。
よh起(b)  r2安云、イエータ関−!7ノバイオ
ーζz」1L≦42笠工 このタイプの反応では、濃度測定の対象である基質と酵
素が反応することにより、酵素が常に還元型(高電子密
度型)に保たれる。この種の反応に基づくセンサを実用
化するには、電子供給源(酵素分子内の電子密度の高い
活性部位など)と電極本体の間の電気的接続を達成する
ことが要件となる。ところが酵素の活性部位は一般に巨
大分子構造の中の割れ目やひだに埋もれて存在している
ため、このような部位へ電極本体が接近することは不可
能であるか、あるいは非常に難しい。従って、信頼性が
高く鋭敏な信号変換を行うためには両者の電気的接続が
必要であるにもかかわらず、これを実際に達成すること
は難しいのである。しかし、ここで電子の担体、すなわ
ち「メデイエータ」を使用すれば、酵素−電極間の電子
移動は容易となる。この「メデイエータJは酸化型の時
には酵素から電子を取り込んで還元型となり、次に電子
を電極に供与することにより自身は再び酸化型に戻る。
近年、グルコースオキシダーゼを固定化した炭素電極を
利用したバイオセンサがいくつか報告されているが、上
述のメデイエータをここに応用することができる。たと
えば、塩化シアヌル法により酵素を共有結合により固定
化し、数ケ月間安定に使用した例をジョンソンおよびゴ
ートン(Jonsson and Gorton)が報
告している「バイオセンサーズ(Biosensors
) J 、 (1985年第1巻、 355−369ペ
ージ)。しかし、このセンサにメデイエータとして使用
されているN−メチルツェナジニウムイオン(メト硫酸
フヱナジン)は不安定で洗浄により失われやすく、使用
するたびに交換しなければならないのが重大な欠点であ
る。また、このセンサにおいてメデイエータを介して行
われる電気化学的変換は酸素の還元反応と良く拮抗する
ことが実証されているものの、この電極は酸素濃度の影
響を受けやすい。この他にも、フェロセンあるいはその
誘導体をメデイエータとし、固定化グルコースオキシダ
ーゼ電極を有するバイオセンサが、キャス((:ass
 et al、) らにより報告されている(アナリテ
ィカル・ケミストリー(Analyt。
Chem、) (56巻166 ?−673ページ、 1984年及び欧州特許第0.0
78,636号)。この場合、 メデイエータを介した電極への電子移動は次のように進
行する。
ゲ!シコース + 酵素 (酸化型)−−−・ −・・
−クルコへ1.5〜ラクトン+酵素(還元型) 酵素(還元型)+フェUtン(酸化型)(フェリジニウ
ムイオン) 一−−−−−−−− 酵素(酸化型)(7エロセン(還
元型) フェロセン(還元型)−・ (電極へ電子が移動)−一
   フェリンニウムイオン この電極反応機構の詳細については明らかではない。特
に、どのようにして不溶性の還元型フェロセンが電荷を
電極へ運び、環状化合物であるメデイエータの活性を維
持しているのかはわかって 、いない。もっともこの難
問はイオン性のフェロセン誘導体には無関係かも知れな
い。更に、本反応における応答速度は同じ酵素反応にお
ける既知の反応速度から予想される電位応答速度よりも
かなり遅く、また電極の寿命も限られている。これらは
恐らく酵素の安定性の限界に起因しているものである。
メデイエータを信号変換に使用すると、いくつかの問題
点が付随的に生ずる。まず第一はメデイエータが生体触
媒を含をする部位から漏出しやすいこと、第二は酸化型
、還元型、あるいはその両方の型のメデイエータが拡散
しにくいこと、第三はメデイエータ自身が本来的に不安
定なことである。
上記兵LlA狽W−刀ハイオセンサ につ土て メデイエータを使用しないバイオセンサを作成する試み
についてはタラセビッチ(Tarasevich)が生
物学的電気触媒作用に関する最近の総説の中で示唆して
いる「バイオエレクトロケミストリー(Bioelec
trochemistry) J (第10巻、 23
+、−295ページ、 1985年)。
かかるバイオセンサは、「無試薬型」あるいは[メデイ
エータレス型」と呼ぶことができる。前出のタラセビソ
ナの総説の中にはメデイエータレス型酵素電極の例が幾
つか紹介されている。これらの電極にはメチルビオロゲ
ンに類似した構造単位やNMP’ TCNQ−(N−メ
チルツェナジニウムテトラシアノ−4−キノジメタン)
等の有機導電性塩のいずれかあるいは両方を含む有機導
電性ポリマーが使用されており、これらが電極の性能を
改善し、メデイエータの役目を果たしている。
このような修飾電極を介して酸化還元タンパクから電子
を変換する方法の多くはこの範晴に属するものである。
ここで問題となるのは、有機導電性ポリマーや有機導電
性塩の本来的な不安定性である。例えば、アルコール検
出用のバイオセンサとして使用されるNMP/TCNQ
修飾電極の寿命半減期は約15日である。この種の電極
は、また酸素の影響を受けやすい。
これまでの報告をみると、炭素基板電極を使用している
例がほとんどであるが、本当の意味でメデイエータレス
と言える酵素電極はごく僅かであり、失敗例の多いのが
実情である。前出のジョンソン及びゴートンがグルコー
スオキシダーゼの利用に関する最近の論文の中で示唆し
たところによると、問題の主因は酵素の固定化自体にあ
る。つまり、酵素を固定化すると立体障害をはじめとす
る種々の障害により電子移動能が阻害されやすく、どう
してもメデイエータが必要になるのである。
一方、非常に活性の高いオキシダーゼが炭素電極あるい
は白金電極上に固定化された珍しい例も報告されている
。たとえばイアニエロ ()aniello)  ら「アナリティカル・ケミス
トリー(Analyt、Chem、) J (第54巻
、 1098−1101ページ。
1982年)は、グルコースオキシダーゼとL−アミノ
酸が塩化シアヌル法により炭素電極上に共有結合されて
いるメデイエータレス型センサを紹介している。
しかし、イアニエロとヤシニッチ(Yacynych)
によると「アナリティカル・ケミストリー(Analy
t。
Chem、) J (第53巻、 2090−2095
ページ、 1981年)、このセンサの寿命半減期は2
0〜30日と短い。また、酸素の影響については明らか
にされていない。
上述のような原理に基づいて機能するバイオセンサ、特
にグルコースセンサは従来数多く開示されており、その
代表的な選択方法も広く受は入れられている。ここでは
、松下電器産業株式会社が日本国特開昭第56−163
447号公報に開示した技術を特に検討する。この公報
は、間接型グルコース電極を開示したものである。 こ
こでは、グルコースオキシダーゼの存在下でグルコース
が酸化されて生成された過酸化水素を白金電極上で酸化
させて、試料の基質(この場合はグルコース)の濃度に
比例した酸化電流を得ている。
グルコース+0□ −一一=クルコノラクトン+H2O
2 酵素 この電極は固定化グルコースオキシダーゼ等の固定化酵
素層を支持する導電性の炭素基板より構成されている。
この導電性基板自体はフルオロカーボン樹脂をバインダ
ーとする10パーツ重量以上のグラファイト粒子により
成形されており、当該基板の上には厚さ1μm以下の白
金薄膜が電解作用若しくは蒸着により析出されている。
前出の日本国特開昭筒56−163447号に開示され
た発明においては、白金の表面に直接酵素を固定化させ
ることに伴われる問題点についてはふれずに、応答性が
5秒と速く、高感度で持続性あることを特徴とする酵素
電極が紹介されている。しかし最近の実験でかかる酵素
電極を使用しても、上記の種々の効果を得るには至らな
かった。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、主としてグルコースバイオセンサに用いられ、
信頼性。
再現性、早い応答速度と高感度性、及び長期にわたる安
定性を有する酵素電極は依然として必要とされているの
である。
本発明は、新規な炭素基板を酵素電極として用い、電極
上にグルコースオキシダーゼ等の酵素をより効果的な方
法で固定化することにより、応答性、安定性の優れた電
流検出型センサを提供するものである。
(課題を解決するための手段〕 本発明が提供する改良された酵素電極は、特に所望しな
い限りメデイエータを用いなくてもすむほか、非常に低
レベルの溶存酸素の存在下でも機能する。のみならず、
10mM濃度のグルコース溶液中1平方cmあたりの電
流密度は数百マイクロアンペアと、電流応答特性にも優
れる。かかる電流応答特性は従来の電流検出型バイオセ
ンサに比して優れているため、粒径が0〜10nAの範
囲で電極面積が1mm以下のマイクロプローブ型バイオ
センサの製造にも適している。
当該電極はまた非常に微量の固定化酵素を用いて構成す
ることもできる。すなわち保護膜なしの場合には1〜2
秒、保護膜がある場合には10〜30秒と、従来のいか
なるグルコースセンサよりも速いグルコース応答特性を
有する。また、この電極は浸漬した状態で保管されれば
室温においても優れた安定性を発揮する。
この電極の応答特性は数ケ月使用した後でも、優れてい
た。適用濃度範囲は広く、通常よりもかなり低い電位で
も機能しく通常の650mVに対して本電極は325 
mV) 、動作電位におけるバックグラウンド電流値は
非常に低い。
本発明にかかる酵素電極あるいはバイオセンサは、予め
互いに均一に混合、析出または吸着されたカーボン粒子
あるいはグラファイト粒子が樹脂バインダーを用いて成
形されて成る多孔質層と、酵素を吸着あるいは固定化す
るための多孔7jp板層を形成する高純度の白金属元素
とから成り、上記カーボン粒子あるいはグラファイト粒
子が樹脂バインダーにより成形されて実質的に不均一な
層を形成しその中に上記白金属元素がほぼ一様に分散さ
れた構成を有する導電性支持体の表面に酵素が固定化あ
るいは吸着されて成るものである。従って、本発明にか
かる酵素電極は前出の日本国特開昭筒56−16344
7号公報に開示されている積層型均一白金被膜炭素電極
とは異なり、樹脂バインダーにより結合されたカーボン
粒子あるいはグラファイト粒子から成る極めて不均一な
層を少なくとも有し、この層の中に白金属元素が極めて
均一に分散されたものである。上記樹脂バインダーによ
り結合されたカーボン粒子の層は、成形して基板とされ
る前にコロイド状の白金またはパラジウムを予め析出あ
るいは吸着させたカーボン粒子を使用して形成されるこ
とがより望ましい。また、本発明において白金被膜付き
カーボン粒子を成形して電極基板とする際に使用される
樹脂バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン
が特に好ましい。
本発明にかかる酵素電極の構成をもう少し詳しく論する
と、まず電極はたとえば白金やバラジウム等の白金属元
素を予め表面に吸着させたカーボン粉末が樹脂バインダ
ーで結合されている層を少なくとも有する導電性基板か
ら成ることが望ましい。
上記カーボン粉末としては、後に行われる酵素の固定化
に支障を来さないものであればいかなるものを使用して
も良く、このためにはカルボキシル基、アミノ基、含イ
オウ基等の官能基を表面に多くをするものが使用される
。このようなカーボン粉末は、酵素を良く吸着すること
のできないガラス状カーボンとは全く対照的なものであ
る。粒径は3〜50nm、より好ましくは5〜30nm
である。
上記カーボン粒子上へ白金(あるいはパラジウム)を析
出させる方法としては、蒸着、電気化学的析出、あるい
はコロイド懸濁液からの単純吸着が考えられ、その析出
量の範囲は炭素の重量を基準として1〜20重量%、よ
り望ましくは5〜15%である。しかし、上記範囲は絶
対的なものではなく、実用上の観点から定められたもの
である。白金属元素の析出量が1%未満の場合には、よ
ほど感度の高い装置を使用しない限り信号強度が低下し
て測定困難となる。また析出量が20%よりも大きいと
、コスト高となる割には応答速度や感度の改善効果が少
なく、実際のところ析出量が極端に多いときにはかえっ
て感度が低下する。したがって、カーボン粒子上に白金
被膜あるいはパラジウム被膜を形成するには、たとえば
塩化白金酸等の化合物の酸化分解によるか、あるいはた
とえば英国特許第1,357,494号、米国特許第4
,(144.193号、同第4.166、143号等に
開示されているように、酸化されやすい配位子を有する
白金あるいはパラジウムの錯体を使用してコロイド状の
白金あるいはパラジウムを直接にカーボン粒子表面へ析
出させることが好ましい。
このようにして白金あるいはパラジウムの被膜を形成し
たカーボン粒子を、次に適当なl發水性樹脂バインダー
を使用して成形する。このときの撥水性樹脂バインダー
としてはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が
特に好ましい。これにより、樹脂をバインダーとして上
記の白金被膜付きあるいはパラジウム被膜付きカーボン
粒子を主体とする完全な自立型多孔質体を成形するか、
あるいはより一般的には樹脂をバインダーとする粒子か
らなる多孔質層を金属、炭素、グラファイト等の導電性
基板の表面に成形する。樹脂をバインダーとする上記白
金被膜付きカーボン粒子層を形成する基板の材料として
特に好ましいものとしては、たとえば米国特許第4,2
29.490号に開示されているカーボン紙や、米国特
許第4,293,396号に開示されている開孔型カー
ボン布が挙げられる。
空孔率をできるだけ大きくとるためには、バインダーと
して使用する樹脂の量を電極層の構造性と安定性を確保
するために必要最小限とする。このときの電極層の厚さ
は例外もあるが0.1〜0.5mm程度かあるいはこれ
以下とされるのが普通である。構造性1機械強度、およ
び空孔率を適正化する観点から、樹脂バインダーの量は
白金被膜付きあるいはパラジウム被膜付きカーボン粉末
の重量を基準として、最低でも5〜10重量%、多くと
も80重量%に選ばれ、通常は30〜70%の範囲とさ
れる。樹脂としては導電性、半導電性のものも含めてあ
らゆる種類のものが使用できるが、合成フッ素樹脂、特
にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。ここで細か
いことになるが、酸化の過程を考慮するとこのバインダ
ーは酸素透過性であることが必要であるゆこのため、上
記バインダーは大気圧下で酸素溶解度が最小でなければ
ならず、その値は常温常圧下でバインダー1cm’あた
り少なくとも酸素2X10−”cm3とする。
使用できるバインダーおよびそれらの酸素溶解度を「ポ
リマー・ハンドブック(The Polymerlla
ndbook) J (J、ブランドラップ及びE、H
,イマーグートI(Ed、 J、 Brandr*p 
and E、H。
Immergut) (第1版、 1967年、インターサイエンス社刊(T
nterscience))から抜粋すると以下のよう
になる。
ヱ照皮 XIO” (cm3) ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)    0゜
PTFE以外のフッ素樹脂          0゜2
以上(変動あり) ポリメタクリル酸エチル         8゜ポリス
チレン              18゜2 (計算
値) ポリ酢酸ビニル             6゜ポリ塩
化ビニル             2゜ポリカーボネ
ート             0゜ポリ (4−メチ
ルペンテン−1)      24゜ポリイソプレン 
           10゜ポリクロロプレン   
         7゜ポリ1,3−ブタジェン   
      9゜シリコンゴム           
   31゜本発明において使用される電極基板として
好ましいものには、プロトチック社(米国、マサチュー
セッツ州)からプロトチック(Pro to tech
)の商標名で市販され、燃料電池の電気触媒型気体拡散
電極として使用されている一連の材料がある。これらの
材料の調製法は前出の米国特許第4,(144゜193
号、同第4.166、143号、同第4,293,39
6号、および米国特許第4.478,696号に詳述さ
れており、これらの参照文献まで人手できれば完璧であ
る。
概要を述べると、粒径5o〜3(10 人 (5〜30
nm)カーボン粒子表面に粒径】5〜25人 (1,5
〜2.50m)のコロイド状白金が吸着されたものであ
り、この吸着の様式はたkえばカーボン粒子自身が核形
成剤となってその場ですぐに白金ゾルが形成されるとい
ったものである。
次にこの白金被膜付きカーボン粒子は、合成樹脂バイン
ダーを使用してカーボン紙等の導電性支持体上に成形さ
れる。このとき、上記合成樹脂バインダーがフッ素樹脂
、特にポリテトラフルオロエチレンであればなお好まし
い。
また別の技術として、白金被膜付きカーボン粒子を予め
成形された多孔質カーボン布に含浸させ、フッ素樹脂、
特にポリテトラフルオロエチレンを用いて結合させたも
のが前出の米国特許第4 、293 。
396号に開示されている。これに対し、本発明におい
て使用される材料はプロトチックに限られず、白金被膜
付きあるいはパラジウム被膜付きカーボン粒子が樹脂結
合剤を使用して成形された類似の材料も含むものである
。特に、米国特許第4,229゜490号に開示されて
いる燃料電池の電極のような材料、すなわちポリテトラ
フルオロエチレン等の塩水性樹脂を含浸させたカーボン
紙を支持体とし、この上にスクリーン印刷等により白金
黒とカーボン粒子あるいはグラファイト粒子との均一混
合物にやはりポリテトラフルオロエチレン′等の撥水性
の樹脂をバインダーとして混入した触媒層が形成された
ものも使用できるものと思われる。
上述のような樹脂バインダーを有する白金被膜付きある
いはパラジウム被膜付き炭素基板の表面に酵素を固定化
する方法としては、カルボジイミドやカルボニルジイミ
ダゾールを介した共有結合法、1.6−シニトロー3,
4−ジフルオロベンゼン(DFDNB)を介した共有結
合法、グルタルアルデヒドを利用した架橋法等を始めと
する従来公知のあらゆる方法を採用することができる。
′−例として、グルコースオキシダーゼの固定化の手順
を以下に示す。
A、カルレボジイミド几 ■、プロトチック電極用シートから適当な大きさの電極
を切り出す。
2、切り出した電極を約5分間エタノールに浸漬し、ポ
リテトラフルオロエチレンでコーティングされたバイン
ダーや裏打ち層に十分に含浸させる。
3.電極をエタノールから引き上げ、エタノールが残存
しないよう藤留水で完全に洗浄する。
4.1−シクロへキシル−3−(2−モルフォリノ)カ
ルボジイミドのp−メチルトルエンスルホン酸塩を0.
1M酢酸緩衝液(p H4,5)中にO,15M濃度に
溶解した溶液5rr+1(あるいはこれ以下)を用意し
、上記電極をこの溶液中に室温にて90分間浸漬する。
このときシェーカーを利用して穏やかに震のしても良い
。電極が溶液表面に浮き上がって良く浸漬しなかった場
合には、以上の処理を上記操作2から再度繰り返す。
5、電極を引き上げ、蒸留水で完全に洗浄する。
次にグルコースオキシダーゼを5.0mg/mjl!の
割合でpH5,6の酢酸緩衝液に新しく溶解し、この溶
液中に上記の電極を室温にて90分間浸漬し、穏やかに
震盪する。
6、酵素溶液から電極を引き上げ、0.1M酢酸緩衝液
で完全に洗浄する。これで電極は完成である。
7、電極の保存は、0.1 M酢酸緩衝?& (p H
5,6)中、4°Cで行う。
B、カルポニルジイミダソ°−ル几 1、上記操作lを行う。上記操作2および操作3は省略
する。
2、N、N’ −カルボニルジイミダゾールを無水ジメ
チルホルムアミドに40mg/mlの割合で溶解する。
3、この溶液中に上記電極を室温にて90分間浸漬する
。必要があれば穏やかに震盪する。4.電極を引き上げ
、余分のカルボニルジイミダゾール溶液を乾燥除去する
0次に、この電極を新たに調製したグルコースオキシダ
ーゼ溶液に90分間浸漬する。
5、上記操作6および操作7を行う。
C,DFDNB几 1、上記Aの操作1ないし操作3を行う。
2、電挽を0.1Mホウ酸ナトリウム溶/l!(pl(
8゜5)で完全に洗浄する。
3.1.6−ジ二トロー3.4−ジフルオロベンゼンを
メタノールに0.1(121 g / 5 m lの割
合で溶解する。この溶液中に電極を室温にて10分間浸
漬する。
4、電極を引き上げ、ホウ酸ナトリウム溶液で完全に洗
浄する。次に、この電極をグルコースオキシダーゼ溶液
に室温にて90分間浸漬する。
5、上記操作6および操作7を行う。
かかる固定化の工程にたとえばジメチルマロニミダート
やジメチルスベリミダートといったシミダート基等の可
変鎖状長を有する二官能基を含む他種のバインダーを用
いることもできる。
また、グルコースオキシダーゼ等のある種の酵素には、
架橋法等によらずに、樹脂バインダーを有する白金被膜
付きあるいはパラジウム被膜付きカーボン粒子の支持体
の上に酵素を固定化する単純吸着が効果的とされている
固定化酵素の表面の層は通常ポリカーボネート等の適当
な多孔質の保護薄膜若しくは保護膜を設けることにより
物理的に保護することができる。
もっとも上記の保護薄膜・保護膜は、定量されるグルコ
ース等の酵素基質を透過させ得るものでなければならな
いことは言うまでもない。これらの保護膜を設けるとセ
ンサの応答速度が遅くなるので、その点不利といえなく
もないが、本発明にかかる酵素電極あるいはバイオセン
サの応答速度はかかる保護膜が設けられていても従来の
酵素電極に比べてひげを取らぬし、むしろ多くの場合実
質的に優れているといえる。
上述したように、本発明はタルコースオキシダーゼを固
定化酵素とするグルコースオキシダーゼ電極に関するも
のであるが、他のオキシドリダクターゼを使用すること
も熱論可能である。とはいえ、他のオキシドリダクター
ゼを使用した場合には常に本件と同等の効果を挙げられ
るとは限らない。これはまた別の要因によるものであっ
て、その酵素に固有の無効性によるものとは必ずしもい
えない。たとえば、シュウ酸オキシダーゼを用いてシュ
ウ酸の定量を行う場合、基質であるシュウ酸自体が電極
基板上に電気化学的に酸化処理されるので、酵素からど
んな影響を受けてもその大部分をマスキングしてしまう
ことがある。しかし、他種の適当なオキシドリダクター
ゼには、オキシダーゼ以外とオキシダーゼとの結合を含
む固定化酵素同士の結合と同様に、ラクテートオキシダ
ーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、コレステロールオキ
シダーゼやその他の過酸化物を生成する酵素が含まれる
。前者は所定の基質に作用して当該オキシダーゼのため
の酸化可能基質を生成する一方、後者は当該酸化可能な
生成物に作用して当該基質自体の濃度に比例する測定可
能な電流を発生させる。このような結合の例としては、
ラクトース定量のためのβ−ガラクトシダーゼとグルコ
ースオキシダーゼ、あるいはβ−グルカンの定量のため
のβ−グルカン解重合酵素、β−グルコシダーゼやグル
コースオキシダーゼの結合がある。
この他、本発明では酵素や酵素以外の試薬、あるいは−
次基板と前駆体反応により相互作用を行うようなプロセ
スもセンサの応用に含めることができ、この場合、生成
物が逆に酵素電極の基板として働くこともある。このよ
うな前駆体反応の例は免疫反応の分野に多く見られるも
のである。免疫センサも含めた各種センサを構築するう
えで、上述のような反応に基づく酵素電極を使用するこ
とは、当業者であれば容易であろう。
しかしながら本発明にかかる酵素電極は、特に血液、血
清、血漿、尿、汗、涙、唾液等の臨床試料中に存在する
グルコース等の還元性基質を検出または定量するための
バイオセンサとしてまず適用されることを念頭においた
ものである。
非臨床分野への応用としては、次のようなものが考えら
れる。
(a)醗酵過程の監視 (b)産業工程管理 (c)環境モニタリング、即ち排ガスや排液による汚染
の管理 (d)食品検査 (e)獣医学的応用、特に上述の臨床的応用に類似する
もの 本発明にかかる酵素電極材料を採用しているバイオセン
サ等の各種センサにおいては、その他の構造部材、電線
、非導電(絶縁) 支持体やプローブ等に従来公知のものを使用することが
でき、詳述するまでもない。しかし敢えて言うならば、
電極材料は一般に紙製の薄手シートかウェハである。バ
イオセンサの場合は、絶縁支持体あるいはプローブの上
に電極材料が搭載され、サンプル中に浸漬できるように
なっているのが普通である。このような場合の電極材料
の大きさは実際には非常に小さく、数平方mmを越える
ことはまずない。電極材料との電気的接触はいろいろな
方法でとることができ、たとえばこの電極材料を白金や
銀等の適当な導電体からなる電気接点や端子と対向接触
させることが考えられる。
この場合、電極材料はそれを保持するための絶縁支持体
や担体が無くとも自立できる程度に十分な厚みと強度を
有することが必要であり、電線は該電極材料の表面に直
接接続される。
支持体としては、カーボン紙以外にも電界効果トランジ
スタ等の半導体面や非導電性面等を使用することができ
る。後者を使用する場合には、電気的接続は白金属元素
の被膜を有する樹脂バインダー入りカーボン粒子層ある
いはグラファイトの層に対して直接に行われる。
〔実施例〕
以下の例において、本発明にかかる酵素電極材料の調製
と性質を説明する。
1  較1となる従  ′r) まず、酵素電極を従来技術にしたがって作成した。すな
わち、公称粒径30nmのカーボンブラック粒子(ハル
カンXC−72)を市販のグラファイト化カーボン紙上
に10重量%のポリテトラフルオロエチレンをバインダ
ーとして塗布した多孔質カーボン紙を導電性木板とし、
この上に電解析出法により白金薄膜(厚さ1μm未満)
を形成した。
このような白金被膜カーボン紙を各種調製した。
次に、アスペルギルス・ニジェール (Aspergillus niger)由来のグルコ
ースオキシダーゼを前述のカルボジイミド処理およびグ
ルタルアルデヒド架橋により固定化した。すなわち、白
金被膜を施した電極表面をまずグルコースオキシダーゼ
の水溶液で処理した後、乾燥させ、析出したグルコース
オキシダーゼを室温(25°C)にてグルタルアルデヒ
ドで架橋した。
この電極材料を直径2mmのディスク状に切り抜き、試
験用の試料とした。
2 グルコース″′rユ プロトチック社(米国、マサチューセソツ州)から「プ
ロトチックJ (Prototech)の商標名で市販
されているプラチナ被膜付きカーボン紙上に、アスペル
ギルス・ニジエール(Aspergillusnige
r)由来のグルコースオキシダーゼを固定化した。ここ
で、上記白金被膜付きカーボン紙に使用されている白金
被膜付きカーボン粒子(パルカンXC−72)は、前出
の米国特許第4,(144,193号の実施例1に開示
されている如く、過酸化水素による白金(II)亜硫酸
錯体の酸化的分解によりコロイド状白金(粒径1.5〜
2.5nm)をカーボン粒子(公称粒径30nm)の表
面に析出させたものである。このカーボン粒子は、さら
に市販のグラファイト化カーボン紙の表面に約50重量
%のポリテトラフルオロエチレンを使用して成形・結合
されている。最終的な白金含量は0.24 mg/cm
”である。
このようなプロトチック電極を各種調製し、これらの上
に前述の各種の方法、すなわちカルボジイミド処理、カ
ルボニルデイミダゾール処理あるいはDNDFB処理に
よりグルコースオキシダーゼを固定化した。
上述の電極の他、グルタルアルデヒド架橋あるいは単な
る吸着によりグルコースオキシダーゼをプロトチック電
極に固定化したものも作成した。
後者の場合は、グルコースオキシダーゼを酢酸緩衝液(
pH5,6)に5.0mg/mlの割合で新たに溶解し
、この溶液中にプロトチック電極を室温にて90分間浸
漬した。またこのような方法によらなくとも、電極基板
を酵素溶液中に浸漬して陽極とし、60分間の電気泳動
を行って酵素を簡便に吸着させることもできる。
斑ユ 予め白金被膜を施したカーボン粒子層をポリテトラフル
オロエチレンをバインダーとしてカーボン紙上に成形し
た(前出の米国特許第4,(144.193号)プロト
チック白金被膜カーボン紙上に、前述のカルボジイミド
処理により次に挙げる酵素を固定化した。
ラクテートオキシダーゼ ガラクトースオキシダーゼ グルコースオキシダーゼ/β−ガラクトシダーゼ 従来技術と比較した本発明の利点および酵素電極材料の
性質を明らかにするため、上述の各側で作成された各酵
素電極を改良型ランク酸素電極システム(ランク・ブラ
ザース社(Rank Brothers)ボティシャム
、ケンブリッジ(Bottisham。
Cambridge))を搭載したセルにセントし、電
流応答特性を調べた。このシステムは、添付図面および
アナリティカ・キミ力・アクタ、 (Analytic
aChimica Acta) (1g3巻、59〜6
6ページ、 1986年)に図示されているとおりであ
る。本システムにおいては、その膜の代わりに本発明に
かかるカーボン紙を支持体とする酵素電極(直径5mm
)が採用されており、この酵素電極はさらにボタン型の
白金電挽に支持されている。対極(白金箔)はセルのカ
バーを通して挿入し、また参照電極として銀−塩化銀電
挽を使用した。これとは別に、対極と参照電極とを酵素
電極を取り巻く塩化銀のリングとして一体型に構成した
二電極系の実験も行った。この場合、保護膜を新たに設
けるが、撹拌装置は設けない。通常は、試験に使用する
p H7,0の緩衝溶液は磁気撹拌装置により撹拌し、
作用電極の電位はポテンショスタットを用いて参照電極
に対して6(10mVとなるように設定する。但し、二
電極系の場合はこの電位を325mVとした。電流のハ
ックグラウンド値が低くなるまで十分に待ってから、基
質溶液をシリンジから注入した。
電流応答はチャートに記録した。
以下、この実験結果を図面を用いて詳述する。
ここで、図面の内容は以下のとおりである。
第1図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極と
従来型の炭素電極材料を使用したグルコースオキシダー
ゼ電極の電流応答特性を比較して示す特性図である。
第2図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極の
安定性を示す特性図である。
第3図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極の
電流応答特性とグルコース濃度との関係を示す特性図で
ある。
第4図は酸素圧を変化させた場合の本発明にかかるグル
コースオキシダーゼ電極の電流応答特性の変化を示す特
性図である。
第5図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極を
室温で保存した場合の安定性を示す特性図である。
第6回は比較例として従来技術にかかるグルコースオキ
シダーゼ電極を室温で保存した場合の安定性を示す特性
図である。
第7図は本発明および従来技術にがかるグルタルアルデ
ヒド架橋型グルコースオキシダーゼ電極の電流応答特性
を比較して示す特性図である。
第8図は本発明および従来技術にかかるカルボジイミド
処理型グルコースオキシダーゼ電極の電流応答特性を比
較して示す特性図である。
第9図は本発明および従来技術にかかるカルボジイミド
処理型ラクテートオキシダーゼ電極の電流応答特性を比
較して示す特性図である。
第10図は本発明にかかるガラクトースオキシダーゼ電
極、第11図は本発明にかかるラクテートオキシダーゼ
電極の電流応答特性をそれぞれ示す特性図である。
第12図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ/β
−ガラクトシダーゼ複合電極の電流応答特性を示す特性
図である。
第13図は白金被膜付きカーボン粒子に対するバインダ
ーとしてポリテトラフルオロエチレンの代わりにポリ酢
酸ビニルを使用した本発明にかかるグルコースオキシダ
ーゼ電極の電流応答特性を示す特性図である。
第14図はポリテトラフルオロエチレンをバインダーと
してカーボン紙上に形成されたパラジウム被膜付きカー
ボン粒子層の上にグルコースオキシダーゼが固定化され
てなる本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極の電
流応答特性を示す特性図である。
第15図は本発明にかかる酵素電極の動作特性を測定す
るための改良型ランク電気化学セルの概略断面図である
第16図は一部の測定で使用された二電極系の実験装置
を示す概略断面図である。
(2ス下  榮6) 上記のデータの多くは第15図に示す電気化学セルを使
用して得られたものである。このセルは基台(1)、お
よび貯水室(h)を内蔵し水を循環させることによりセ
ルの温度を制御する環状ジャケット(2)という2つの
主要部から構成されており、これら両者はねじを切った
専用の継輪(3)で互いに、連結される。上記基台(1
)の中央には白金接点(d)があり、この上に酵素を固
定化したカーボン紙電極の試験用ディスク(a)が置か
れる。この試験用ディスク(a)は、上記2つの主要部
が組み合わされた時にゴム製の○リング(e)および(
f)により定位置に固定される。
酵素溶液を満たしたセルの頂部からは可調整継輪(g)
の付いたストッパ(4)が挿入され、該ストッパ(4)
を貫いて白金型の対極(b)および銀−塩化銀参照電極
(c)が装着される。すでに述べたように測定時には作
用電極の電位を6(10mVに調整し、電流出力は基質
溶液と接触する電極の見掛けの表面積を0.14 cm
”として測定した。測定結果は、上述の各特性図におい
て電流密度、すなわち基質と接触している電極(a)の
単位面積当たりの電流出力として表した。
第16図に示す構成では、白金接点(B)は絶縁スリー
ブ(G)を介して参照/対極複合電極(C)に囲まれて
いる。0リング上に装着された多孔質ポリカーボネート
膜は試験用ディスク(E)(酵素が固定化されたカーボ
ン紙電極)を上記白金接点上に正しく保持するためのも
のである。試料室(F)は開放型となっており、ポリカ
ーボネート膜上に試料が滴下できるようになっている。
作用電極の電位は325mVに設定し、電流はポテンシ
ョスタンド(A)により検出される。作用電極の電位を
325mVとする二電極系は、同電位を6(10mVと
する三電極系よりも使い易さおよびバックグラウンド電
流値の低い点で優れている。しかしどちらの電極系を選
択しても、本発明にかかる酵素電極の保存安定性、動作
安定性、応答の直線性、酸素濃度依存性等の緒特性に大
きな差は現れない。
以下に、本実験の結果をさらに詳しく述べる。
1JJパ1咋五4すL条件」〕ボΣ呼澗y召Y件第1図
は、撹拌装置付きの三電極系において連続的にグルコー
スを添加し、最終濃度を35mMまでの範囲で変化させ
た場合の電流応答特性の一例を示したものである。電極
A、B、およびCはいずれも前述の方法Aによりグルコ
ースオキシダーゼが固定化されているものであり、電極
Aは本発明にかかる白金被膜付き活性炭支持体、すなわ
ち、白金被膜付きカーボン粒子がポリテトラフルオロエ
チレンをバインダーとしてカーボン紙上に塗布されてい
る電極材料(商標名:プロトチック)、電極Bはグラフ
ァイト棒を輪切りにした導電性支持体、電極Cは白金被
膜を有しない市販のカーボン紙を切り取って作成した導
電性支持体からそれぞれなるものである。この図をみる
と、電極Bおよび電極Cの電流応答は全体的に低レベル
で変動が少なく、従来の文献によくみられるメデイエー
タ型電極の結果に近いものである。これに対し電極Aの
電流応答はより信頬性が高く安定しており、応答時間は
約1秒である。(ここで、応答の初期にシグナルの頭に
みられる鋭い突起はグルコースの注入操作に起因するも
のであって特に重要な意味は持たない。平坦部がグルコ
ース濃度に依有するシグナルとしての意味を持つ部分で
ある。)これら3種類の電極の電流応答は、第2図に示
すようにいずれもグルコース濃度に対して高い直線性を
示した(但し、第2図には電極Aと電極Cの結果のみを
示す)。したがって、たとえばグルコースの血中濃度を
直接測定する場合等の適用濃度範囲が広くとれるように
なる(0〜30mM)。
この電極Aにおけるグルコースオキシダーゼが前述のB
の方法により固定化された場合にも同様の結果が得られ
ることから、この方法によれば一層広い濃度範囲にわた
り良好な直線性が実現されることが示唆される。
第2図から明らかなように、電極Aの応答特性は23日
後でも事実上変化しなかったが、他の電極(図には電極
Cのみ示す。)の応答特性は時間とともに劣化した。同
様の挙動は前述の他の酵素固定化方法を採用した場合に
もみられ、いずれの方法によっても電極Aと同じ活性炭
材料を使用した場合には応答性に優れかつ安定性の高い
電極が得られたが、不活性炭を使用した場合には良好な
電極は得られなかった。また電極への応答時間は23日
間不変であったが、他の重陽は初期の応答時間が23〜
30秒であったのに対し、8s後には2〜3分に延びた
。電極Aのような活性型電極も一般に第1日日で若干の
応答性の低下を起こすが、その後は安定し、経時変化は
ほとんどみられない。さらに、電極Aの応答特性はPH
5,6の緩衝液中に4°Cで6ケ月以上保存した後でも
最初の数日間はほとんど変化しなかった。6ケ月以降は
徐々に応答特性が低下するものの、12ケ月後にも初期
値の70%の応答性が維持されていた。
以上、第1図および第2図は、第15図に示すような三
電極系において作用電極の電位を6(10mVとした場
合の酵素電極の電流出力をμA/cm”の単位で示した
ものである。
第5回は上記電極をさらに長期間保存し、安定性を調べ
た結果を示すものである。すなわち、カルボジイミド処
理により酵素を固定化したグルコースオキシダーゼ電極
を室温にてpH5,6の酢酸緩衝液中で180日間保存
した後、5mMのグルコースを基質として応答特性を調
べた。比較のため、従来技術にかかる電極(例1)の結
果を第6図に示す。第5図の結果は三電極系において作
用電極の電位を6(10mVとした測定から得られたも
のであり、第6図の結果は二電極系において作用電極の
電位を325mVとした測定から得られたものである。
さらに第7図乃至第9図には、使用する酵素およびその
固定化方法の異なる各種の電極を使用して従来技術(例
1)と本発明の比較を行った結果を示す。これらの測定
はすべて二電極系1作用電極電位325mVにて行った
第10図乃至第12図には、ガラクトース、ラクテート
、ラクトースをそれぞれ基質とする場合の応答特性を示
す。これらの測定はすべて三電極系。
作用電極電位6(10mVにて行った。
−;翫葛通」」L二鉄l返山Jl對引阻法本発明にかか
る酵素電極は、連続的に基質が供給されている間はいず
れもこれまでの電極では達成できなかった長寿命を有し
ている。このことは、以下の一連の厳密な試験により実
証された。
まず、グルコースオキシダーゼ電極(例2)をグルコー
ス溶液を満たした撹拌装置付きの密閉型セルにセットし
、初期濃度5mM、初期電流1(10μAとして電流を
検出させた。この状態で電極を連続18時間使用すると
、シグナルは徐々に低下して10μA以下となる。検出
された電流の積算値は、1分子のグルコースから2個の
電子が生成するとして理論的に算出される値の約75%
である。
同じ電極に対してグルコース溶液を交換して上記実験を
直ちに繰り返すと、初期電流の値が回復し、連続的に供
給される基質も同様に減少した。
また、ある連続実験では、大型の貯液槽から連続的に溶
液を循環させることによってグルコース濃度を5mMに
維持し、電流の発生をさらに5.7日間持続させた。1
(10時間の間に電流出力は徐々に低下して45μAに
落ち着き、この状態が40時間続いた。これは、しっか
り結合されていなかった酵素が電極基板からこの期間中
に脱落したか(ただし、電流出力と撹拌速度の間には相
関はみられなかった。)、あるいは他の要因が働いた結
果であると考えられる。
上記の長期試験を行った後、前述の方法にしたがっであ
るグルコース濃度範囲における酵素電極の電流応答特性
を測定した。信号増幅度は新しい基質溶液を使用した場
合に比べて低かったものの、0〜30mMのグルコース
濃度範囲において非常に鋭敏な階段状の変化を示し、こ
の酵素電極は一定の基質濃度のもとで長期間使用した場
合にも電流応答特性が劣化しないことが確認された。こ
の結果は、上記酵素電極を4°Cにて1週間保存した後
8週間保存した後、あるいはさらに4.7日間一定の基
質濃度下で使用するという3通りの実験によっても確認
され、いずれの実験においてもグルコース濃度による応
答特性の変化はみられなかった。
これらの試験結果から、この酵素電極は少なくとも合計
250時間(15,(100分以上)は使用でき、ある
いは極めて長寿命を有していることがわかる。
従来技術における酵素電極の動作寿命は本発明にかかる
酵素電極の寿命よりも遥かに短かく、多くの場合それは
わずか数時間である (ターナ−(Turnet) r
ブロシーデインダス・オブ・バイオテクノロジー(Pr
oceedings Bjotech) J (85巻
1985年、(ヨーロッパ) (Europe) +オ
ンライン・パブリケーションズ、ビナ−+  (Onl
ine Publications。
Pinner)英国、 181−192ページ)。たと
えば、フェロセンとカップリングさせたグルコースオキ
シダーゼを使用したグルコース電極の半寿命は一般に2
4時間程度であり (ターナ−1前出)、キャス等 (
Cass et al)(アナリティカル・ケミストリ
+、 (Analyt、 Chem、)第56巻、  
667〜673ページ。
1984年)(前出)は同じ電極で安定に50時間使用
できるものを発表している。この電極は、50mMfi
度のグルコース溶液について50回の連続測定行っても
標準偏差は1%以下であった。
itw  への′ 上述の繰り返し使用試験で確認された最終的な応答信号
レベル(5mMのグルコース溶液について45μA)は
グルコース溶液を曝気しても変化せず、また数週間保存
した後でも変化しなかった。
この電極の電流出力は、細菌lη染によるグルコース濃
度の低下を生じさせないような条件下で滅菌されたグル
コース溶液を使用して測定を行った結果、12時間は安
定に取り出せることが確認された。
このときの信号レヘルは測定期間全般にわたって一定で
あった。この電極は数日間にわたって撹拌あるいは循環
させた溶液中で「コンディショニング」を行っており、
このことが好結果をもたらしたと言える。このように、
電極のコンディショニングあるいは洗浄を適切に行えば
グルコースの連続測定も可能である。
バッチ における 清浄で適切な作成条件が整ってさえいれば、本発明にか
かる酵素電極は繰り返し使用に耐え、グルコースに対し
て高い応答性を示す。同じ方法で同じ大きさの電極を何
組も作成したところ、それらの性能は非常に近位してお
り、同一条件下で電流応答特性を測定しても数%の誤差
しか生じなかった。さらに、このようにして作成された
電極はすべて、上述のように従来の電極と比べて寿命が
非常に長くまた高い信頼性を有していた。本発明にかか
る電極は保存中にも性能が変化せず、何週間にもわたっ
て使用できるのに対し、従来の電極は単一のバッチ内で
も性能がばらついていることが多い。たとえば前出のタ
ーナ−は、1バツチ内には半寿命が6(10時間にも及
ぶような極めて寿命の長いグルコースオキシダーゼ電極
がごく少数あるが、大多数の電極の半寿命は24時間と
短いと述べている。したがって、これらの電極を24時
間を大幅に上回って使用しても信頼性は保証できない。
轡パ−、・″    の  、′ 溶存酸素の影響を調べるため、試験用セルを改良し、グ
ルコース電極に加えて新たに酸素電極を設けた。一連の
実験では、アルゴンを吹き込むことにより溶存酸素を系
外へ除去した。このような条件下では上述の電極Aはグ
ルコースの添加に対して鋭敏に応答し、この応答機構は
溶存酸素濃度にはほぼ依存せず、むしろ適切な酵素固定
化方法とあいまった電極の表面構造に特有の性質に起因
していることが示唆された。このような結果は過去に報
告されていない。
さらに、前述の方法Aにより作成した電極Aの電位を6
(10mVに設定し、連続的にアルゴンを吹き込みなが
ら出力信号を測定する実験を行った。
このとき、試料中の酸素濃度も同時に測定した。
この結果を第4図に示す。この図をみると、電流信号(
上のグラフ)はほぼ一定しており、実質的に試料中の酸
素濃度(下のグラフ)には依存していないことが明らか
である。また別の実験により、この電流信号は酸素濃度
が急速に低下しても10分間はほとんど変化しないこと
が確認された。これに対し前述の方法Bにより作成した
電極Bでは3分間に5%以内の電流信号の低下が生じ、
この間に酸素濃度が90%減少していた。この場合、酸
素を再び系内に導入すると比較的ゆっくりではあるが電
流応答が回復した。アルゴンの吹き込み゛を続けるとこ
れらの電極は限られたグルコース濃度範囲でしか働かな
くなることから、基質から水素を抜き取るという酵素機
能の一部を発現させるためには極微量の酸素が必要であ
るものと思われる。
また、酵素電極では検出できないほど微量の酸素が電極
に吸着されて何らかの役割を担っている可能性も否定で
きない。
M索■閏定化1 グルコースの減少速度と最大電流密度をそれぞれ測定し
た結果、 電極Aに失活せずに固定化された酵素の量は1掻表面積
1cm2当たり約7μgの活性酵素が固定化されている
に等しいことがわかった。(バイオセンサにおけるグル
コースオキシダーゼの固定化量を論じた文献は過去にも
ほとんどない。)上述の各固定化方法では、酵素溶液を
10倍以上に希釈してもなお非常に活性の高い電極が作
成できることがわかった。
T′、′出欠  の話声 グルコース濃度範囲を0〜30mMとし、電極への電流
応答特性を10〜37°Cの温度範囲で調べた。
温度係数は1°C当たり2〜3%であった。これは、ア
ーレニウスの活性化エネルギー(約24kJ1モル)に
対応している。これに対し、フェロセンとカップリング
させたバイオセンサ(前出のキャス等による文献参照)
では温度係数はビCあたり4%と報告されている。
上」」瞥11 電流応答性のpH依存性は若干認められたが、pH7,
0〜8.0の領域ではグルコース濃度が非常に高い場合
(25mM以上)を除いて実質的にpH依存性は無いと
みて良い。
朋−川1(ヒ」1する“ のT2、心”  主溶液撹拌
を伴う実験系では、ポリカーボネート膜が信号波形と大
きさにほとんど影響を与えずに使用できることがわかっ
た。溶液撹拌を行わない系では応答時間は約20秒であ
った。
全血U   への応 ポリカーボネート保護膜を有する電極は、グルコースの
血中濃度の直接測定に好適であった。5mM1fi度の
グルコース溶液について測定した場合、0.2mMのア
スコルビン酸により妨害された信号は2.5%であった
〜  バイオセンサへの応 本発明にかかる酵素電極を改良型クラーク電極を使用し
たランク型セルに適用して好結果が得られたことは上述
のとおりであるが、プローブのような他の応用形態にお
いても非常に良い結果が得られることがわかった。
一例として、上記電極を電線に接続してガラス管に封入
し、従来−船釣に用いられているような直径2mmのプ
ローブを作成した。ビーカー等の容器にグルコースの被
検液を入れて撹拌し、この中に上述のようなプローブを
参照電極および対極と共に挿入すると、溶存酸素を除去
しなくても信転性の高い濃度測定を行うことができる。
上記プローブ、あるいは同じ構造のこれよりさらに小型
のプローブを用いて測定を行ったところ、グルコース濃
度が同じであれば電流応答性はおおよそ電極の見掛けの
面積あるいは重量に比例することがわかった。
さらに小型化(面積約0.25〜0.50m m ” 
、重量30〜60μg)した電極と使用したプローブも
作成した。ここで電線の接続部はプラスチック製のスリ
ーブで覆い、このプローブを直径1.5 mmのカテー
テル針に組み込んだ。このカテーテル針は、ゴム製のシ
ールを貫通して被検液の入った醗酵槽。
廃液溜め等、の容器に挿入し、 液中のグルコース濃度を測定するプローブ型センサーと
して使用することができる。このような構成をとると、
挿入時には電極がカテーテル針で保護されているうえ、
カテーテル針を清浄に保つこともできる。
上述のような小型電極からは通常1〜10μAの電流信
号が取り出されるが、装置の工夫次第では1〜1(10
nAの範囲で精密な測定をすることも可能である。この
ような範囲の信号電流を取り出す酵素電極は非常に小型
なものとなる(面積約0゜(105mm”、重量1μg
)ため、生体測定で使用されているような細い針型のマ
イクロプローブ等に組み込んで使用する。
本発明にかかる酵素電極の動作機構については必ずしも
明らかでないが、実験結果からある程度の結論を引き出
すことはできる。
これまでに、高温下で表面酸化を行って炭素の表面に形
成された活性基が酵素の固定化の場合と同様な架橋反応
に関与し、このような表面基の数および種類は白金(あ
るいはパラジウム等の白金属元素)が薄層型の表面触媒
として存在すると増加することが知られている(木下お
よびストンハート(Stonehart) ’モダン・
アスペツク・オブ・エレクトロケミストリー(Mode
rn Aspects  ofElectrochem
istry) J (No、12.ポックリス−コンウ
ェイ共1(Ed、 Bockris and Conw
ay)+ プレナム・プレス(Plenum Pres
s)社刊、ニューヨーク。
183−266ページ、 1977年)、固定化方法が
異なれば酵素の結合状態が異なるのは明らかである。た
とえば、これまでに報告されているところでは酵素中の
様々なアミノ酸残基が固定化に利用されている例が多い
が、塩化シアヌルで活性化された材料と酵素とが結合さ
れる場合には、酵素のりジン残基のみが固定化に利用さ
れることが知られている(前出のイアニエロおよびヤシ
ニッチ「アナリティカル・ケミストリー」53巻、 2
090〜2095ページ、 1981年参照)。固定化
に起因する酵素の三次構造の変化もすべての固定化方法
について同じとは考えられず、このような多様性がこの
種の研究において酵素活性および安定性に大きな差異を
生ずる原因となっているものと思われる。
本発明で使用した電極基板材料は、たとえば前出の日本
国特開市56−163447号公報に開示されているよ
うな積層型の均一な材料とは違って極めて不均一な性質
を有している。このことは、それだけ架橋構造に多様性
をもたらし、三次元構造にも様々な配向が現れる可能性
を高めるものである。
架橋剤を使用しない場合でも、 表面吸着は強く現れる。このような炭素質基板の空孔に
は酸素が入り込むことができ、酵素の表面積を広げ、安
定性および活性に支障をきたさない立体配座をとらせる
のに役立つ。この点は、白金。
ガラス状カーボンあるいはグラファイトといった比較的
平坦ではるかに表面積も小さい面上に酵素が結合されて
おり、結果として酵素のとり得る立体配座が制限されて
いるような従来の結合様式との大きな違いである。しか
も、本発明にかかる酵素電極の応答性は1〜2秒と極め
て速く、酵素活性の高いことはもちろん、 電極自身に電子受容部位が多く存在することによ  −
り電子移動が極めて速やかに行われていることを物語っ
ている。このことは、微細構造中の非常に広い面積にわ
たって白金被膜付きカーボン粒子が高密度に存在し、表
面の白金と酵素の活性部位とが首尾良く接近できるよう
になっているためである。
本発明にかかる酵素電極に他の樹脂がバインダーとして
利用できるか否か、また他の白金属元素が適用できるか
否かを検討するため、バインダーとしてポリ酢酸ビニル
を使用したグルコースオキシダーゼ電極、あるいは白金
属元素としてパラジウムを使用したグルコースオキシダ
ーゼ電極を作成した。
まず前者については、グルコースオキシダーゼの固定化
方法として前述の方法Aを採用し、また上記グルコース
オキシダーゼが固定化される白金被膜カーボン紙電極は
バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンの代わり
に50重世%のポリ酢酸ビニルを使用した以外はほぼ前
述の例2の方法にしたがって作成した。
この電極の電位を325mVとして同様に改良型ランク
電極システムで測定した結果、第13図に示すようにほ
ぼ直線的な電流応答特性が達成された。
また後者については、グルコースオキシダーゼの固定化
方法として前述の方法Aを採用し、また上記グルコース
オキシダーゼが固定化されるパラジウム被膜カーボン紙
電極はコロイド状パラジウムをカーボン粒子(公称粒径
30nm、商標名パルカンX C−72) 表面に析出させた後、このパラジウム被膜付きカーボン
粒子に対して50重景%のポリエチルフルオロエチレン
をバインダーとしてこれを導電性カーボン紙上に厚さ0
.1 mmの薄層に成形することにより作成した。
このパラジウム被膜カーボン紙電極から直径2mmのデ
ィスクを切り抜いて第16図に示すような二電極系セル
の白金接点上にセットし、電位を325mVとしてグル
コースに対する応答性を調べた。この結果は第14図に
示すとおりであり、この場合もグルコース濃度に対して
ほぼ直線的な応答特性が確認された。
気体拡散電極に使用される白金属元素が互いに非常に類
似した挙動を示すことが前出の米国特許第4,293,
396号等に開示されていることから類推して、本発明
にかかる酵素電極においてもルテニウムやロジウム等の
他の白金属元素が白金やパラジウムの代用となり得るも
のと考えられる。
〔発明の効果〕
本発明は、新規な炭素基板を酵素電極として用い、電極
上にグルコースオキシダーゼ等の酵素をより効果的な方
法で固定化することにより、応答性、安定性の優れた電
流検出型センサを提供することができる。本発明が提供
する改良された酵素電極は、特に所望しない限りメデイ
エータを用いなくてもすむほか、非常に低レベルの溶存
酸素の存在下でも機能する。のみならず、10mM14
度のグルコース溶液中1平方cmあたりの電流密度は数
百マイクロアンペアと、電流応答特性にも優れる。かか
る電流応答特性は従来の電流検出型バイオセンサに比し
て優れているため、粒径が0〜10nAの範囲で電極面
積が1mm以下のマイクロプローブ型バイオセンサの製
造にも適している。
当該電極はまた非常に微量の固定化酵素を用いて構成す
ることもできる。すなわち保護膜なしの場合には1〜2
秒、保護膜がある場合には10〜30秒さ、従来のいか
なるグルコースセンサよりも速いグルコース応答特性を
有する。また、この電極は浸漬した状態で保管されれば
室温においても優れた安定性を発揮する。
この電極の応答特性は数ケ月使用した後でも、優れてい
た。適用濃度範囲は広く、通常よりもかなり低い電位で
も機能しく通常の650mVに対して本電掻は325 
mV) 、動作電位におけるバックグラウンド電流値は
非常に低い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極と
従来型の炭素電極材料を使用したグルコースオキシダー
ゼ電極の電流応答特性を比較して示す特性図である。 第2図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極の
安定性を示す特性図である。 第3図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極の
電流応答特性とグルコース濃度との関係を示す特性図で
ある。 第4図は酸素圧を変化させた場合の本発明にかかるグル
コースオキシダーゼ電極の電流応答特性の変化を示す特
性図である。 第5図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極を
室温で保存した場合の安定性を示す特性図である。 第6図は比較例として従来技術にかかるグルコースオキ
シダーゼ電極を室温で保存した場合の安定性を示す特性
図である。 第7図は本発明および従来技術にがかるグルタルアルデ
ヒド架橋型グルコースオキシダーゼ電極の電流応答特性
を比較して示す特性図である。 第8図は本発明および従来技術にかかるカルボジイミド
処理型グルコースオキシダーゼ電極の電流応答特性を比
較して示す特性図である。 第9図は本発明および従来技術にがかるカルボジイミド
処理型ラクテートオキシダーゼ電極の電流応答特性を比
較して示す特性図である。 第10図は本発明にかかるガラクトースオキシダーゼ電
極、第11図は本発明にかかるラクテートオキシダーゼ
電極の電流応答特性をそれぞれ示す特性図である。 第12図は本発明にかかるグルコースオキシダーゼ/β
−ガラクトシダーゼ複合電極の電流応答特性を示す特性
図である。 第13図は白金被膜付きカーボン粒子に対するバインダ
ーとしてポリテトラフルオロエチレンの代わりにポリ酢
酸ビニルを使用した本発明にかかるグルコースオキシダ
ーゼ電極の電流応答特性を示す特性図である。 第14図はポリテトラフルオロエチレンをバインダーと
してカーボン紙上に形成されたパラジウム被膜付きカー
ボン粒子層の上にグルコースオキシダーゼが固定化され
てなる本発明にかかるグルコースオキシダーゼ電極の電
流応答特性を示す特性図である。 第15図は本発明にかかる酵素電極の動作特性を測定す
るための改良型ランク電気化学セルの概略断面図である
。 第16図は一部の測定で使用された二電極系の実験装置
を示す概略断面図である。   ゛特許出願人 ケンブ
リッジ ライフ サイエンシズビーエルシー 代理人 弁理士  小 池  晃(他1名)Rθ、5 7’OF’7/74朱支)−i3 ’)’:しつ−z 
C>7 cqlo・1に 211−クー7 ;%、”、g−/mmcl L−”F
/c、9 賛 伎蹄ケ的 う’)”r−’rs’l、f<   /mmolL−’
Ftc、’/7 労−トJJ   /mmolL ’ F/a、 73

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)導電性支持体の表面に固定化あるいは吸着された
    酵素を有し、 特異的基質の存在下で該酵素の触媒活性に電気的に応答
    することが可能な酵素電極であって、上記導電性支持体
    が予め互いに均一に混合、析出または吸着されたカーボ
    ン粒子あるいはグラファイト粒子が樹脂バインダーを用
    いて成形されて成る多孔質層と、酵素を吸着あるいは固
    定化するための多孔質基板層を形成する高純度の白金属
    元素とから成り、上記カーボン粒子あるいはグラファイ
    ト粒子が樹脂バインダーにより成形されて実質的に不均
    一な層を形成しその中に上記白金属元素がほぼ一様に分
    散された構成を有する酵素電極。(2)上記白金属元素
    が白金またはパラジウムである請求項(1)記載の酵素
    電極。 (3)合成樹脂バインダーがフッ素樹脂あるいはポリ酢
    酸ビニルである請求項(1)又は請求項(2)記載の酵
    素電極。 (4)合成樹脂バインダーがポリテトラフルオロエチレ
    ンである請求項(3)記載の酵素電極。 (5)上記基板に固定化あるいは吸着される酵素がオキ
    シドリダクターゼである請求項(1)、(2)、(3)
    又は請求項(4)記載の酵素電極。 (6)オキシドリダクターゼがグルコースオキシダーゼ
    である請求項(5)記載の酵素電極。 (7)導電性支持体が互いに混合された樹脂固着カーボ
    ンあるいはグラファイトに表面層として結合されている
    か、あるいは精密分画された白金属元素の表面に吸着あ
    るいは析出されて成る請求項(1)乃至(5)、又は請
    求項(6)記載の酵素電極。 (8)導電性支持体が導電性カーボン紙である請求項(
    7)記載の酵素電極。 (9)樹脂バインダー添加前に予め個々の粒子の表面に
    白金属元素が析出あるいは吸着されて成る樹脂固着カー
    ボン粒子あるいはグラファイト粒子から上記多孔質層が
    構成されて成る請求項(1)乃至(7)、又は請求項(
    8)記載の酵素電極。 (10)上記樹脂固着白金被膜付きカーボン粒子のカー
    ボン粒径が5〜30nmであり、この表面に粒径1.5
    〜2.5nmのコロイド状白金が吸着されて成る請求項
    (9)記載の酵素電極。 (11)酵素電極の表面が上記基質を透過させ得る微細
    多孔質膜によって保護されている請求項(1)乃至(9
    )、又は請求項(10)記載の酵素電極。 (12)上記微細多孔質膜がポリカーボネート膜である
    請求項(11)記載の酵素電極。(13)請求項(1)
    乃至(10)、又は請求項(11)記載の酵素電極を内
    蔵するセンサ。 (14)請求項(1)乃至(11)、又は請求項(12
    )記載の酵素電極を内蔵し上記酵素と反応して測定可能
    な電流を発生し得る基質あるいは基質前駆体を被検物質
    として含む試料中の上記被検物質を定量するための電流
    測定方法であって、上記基質と反応して上記電流を発生
    し得る酵素あるいは酵素混合物が固定化されている酵素
    電極と上記基質を含む試料あるいは前駆体を基質に変化
    させた後の試料とを接触させる過程と、発生した電流を
    測定する過程とを有する電流測定方法。 (15)上記試料が臨床試料である請求項14記載の電
    流測定方法。 (16)上記試料が血液、上記被検物質がグルコース、
    上記酵素がグルコースオキシダーゼである請求項15記
    載の電流測定方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007513622A (ja) * 2003-12-11 2007-05-31 ユニバーシティ オブ ウェールズ バンゴール ニトロ化合物を検出するためのニトロレダクターゼ用バイオセンサ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007513622A (ja) * 2003-12-11 2007-05-31 ユニバーシティ オブ ウェールズ バンゴール ニトロ化合物を検出するためのニトロレダクターゼ用バイオセンサ

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