JPH0123098Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は冷却媒体としてゲル状貯冷物質を使用
する保冷具の構造に関するものであり、更に詳し
くは、冷却希望部位に応じて冷却面積を調整し得
る汎用性に優れた保冷具に関するものである。

〔従来の技術〕

患者の冷却所要部位を保冷する目的で水枕や氷
のうが使用せられていることは周知であるが、斯
かる水枕や氷のう内へ使用の都度水や氷を補給す
る煩わしさを解消する為、水枕や氷のうの代わり
にプラスチツク・シート製の袋体内に有機保冷剤
を封入した繰り返し使用可能な保冷具がその使用
分野を拡大しつつある。前記有機保冷剤を利用す
る保冷具は、使用に先立つて冷蔵庫内で貯冷する
ことによつて容易に冷却性能を取得することがで
き、また繰り返し使用が可能な経済的な優位性が
認められて医療分野を始めとする各種の利用分野
でその有用性が評価されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

然し乍ら、上記有機保冷剤を使用する保冷具に
も実用上の問題点が全く認められない訳ではな
い。例えば、上記保冷具は、使用に先立つ貯冷時
に折り曲げると使用時に元の形状に復元し難く患
部に対する密着度が低下するという欠点を有し、
また保冷具の形状、寸法は変更することができな
いから、冷却すべき患部の面積に対応する為には
形状ならびに寸法を異にする多数の保冷具を予め
準備しておかねばならず、経済性から判断したと
きにも問題点が認められる。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、在来の保冷具に認められた上記の如
き問題点を解決せんとするもので、以下、本考案
に係る保冷具の具体的な構成を述べる。

本考案は、複数本の保冷具基体Ｒと、中袋２と
からなつている。しかして、上記保冷具基体Ｒ
は、プラスチツク材料製の可撓性チユーブ１内に
ゲル状貯冷物質を封入し、両端の封止部３を偏平
状となし、該偏平状封止部３の両端に係止部材
４，４を設けてある。そして、中袋２は、上記複
数本の保冷具基体Ｒを偏平封止部３の係止部材４
で接合して並列状態にしたものを、収納するもの
である。

〔作用〕

貯冷物質を封入した、棒状に細分化された複数
本の保冷具基体を、両端の係止部材を用いて順次
接合して並列状態にし、これを中袋内に収納し、
保冷具の形状・寸法の変更、そして使用中での形
態の安定化を計る。

〔実施例〕

第１図は本考案に係る保冷具の全体構造を例示
する一部破断斜視図である。

本考案に於いて可撓製チユーブ１内に封入され
るゲル状貯冷物質は、使用に先立つて冷蔵庫内で
貯冷することによつて冷却能を取得する有機保冷
剤であつて、例えば、特公昭52−48895号公報に
開示されているように、親水性の抱水ゲルをＷ／
０型エマルジヨンの形で温度による塑性変化の少
ない合成高分子材料に包み込んだものである。使
用前の貯冷による柔軟性の低下を所定限度内に抑
制することが、可能であれば、他の公知の保冷剤
を使用することもできる。

一方、可撓性チユーブ１は、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル等の柔軟なプラスチツク・シートか
ら製せられた有底筒状体であり、前記ゲル状貯冷
物質を充填した後、その両端の封止部３をヒー
ト・シール等の公知の封鎖手段を利用して偏平状
に封止することにより、保冷具基体Ｒに形成せら
れる。この保冷具基体Ｒを複数本並列接合状態で
プラスチツク・シート製の中袋２内に収納するこ
とにより本考案に係る保冷具が形成せられる。

本考案の好ましい実施態様に於いては、冷却す
べき患部の面積に適合するように中袋２内に収容
する保冷具基体Ｒの本数を予め調整し、該保冷具
基体Ｒを、偏平封止部３の両端に設けた係止部材
４、例えばスナツプ４等の公知の着脱自在な接合
手段を利用して可撓性チユーブ１の端部に於いて
順次接合して一体構造の保冷具を形成している。
前記保冷具基体Ｒは、複数本を一組にして接合し
た状態で中袋２内に収納し、この後、該中袋２の
開口部をフアスナー等の封止部材５で封止するこ
とによつて使用可能な状態を取得することができ
る。

〔考案の効果〕

以上の説明に明らかな如く、本考案に係る保冷
具は、複数本の互に独立した可撓性チユーブを貯
冷物質の収納容器として使用しているので、個々
の保冷具基体Ｒを弯曲状態で冷蔵庫内に投入し貯
冷することができる。従つて在来品に比較して貯
冷スペースが大幅に節減され得る。また、冷蔵庫
内から取り出した保冷具基体Ｒは、在来品に比較
して小形の互に独立した複数本の可撓性チユーブ
から構成されているから変形に対する抵抗が少な
く、容易に元の形状に復元することができる。本
考案に係る保冷具は、また、可撓性チユーブの直
径あるいは封入本数を変更することにより使用時
の形状、寸法を自由に調節することができるか
ら、冷却所要部位の形態に容易に適合することが
でき、更に水枕や大腿部冷却具等、異なつた用途
に転用することも可能である。加うるに、本考案
は、可撓性チユーブ１の端部を、複数本を一組に
しその偏平端の隅部に取付けたスナツプ４等の接
合手段により順次接合されているから、該可撓性
チユーブ相互間に重畳現象が発生する惧れがな
く、使用時に於ける保冷具の形態安定性が大幅に
向上し、必要とする保冷具の形状や大きさの対応
性が広くなる。また、複数本の保冷具基体Ｒを偏
平封止部の係止部材を用いて隙間のない状態で並
列一体化させたから、保冷具基体間に隙間の存在
するものに比べて冷気の放散が少なく、従つて、
冷気の放散速度が低下し、長時間に亘る使用が可
能である。さらに、また、本考案に於いては可撓
性チユーブ内に貯冷物質が封入されているから、
使用前の貯冷時に前記可撓性チユーブの表面に広
い冷却面積を確保することができる。従つて、概
ね10乃至12時間程度の貯冷が必要であつた在来の
保冷具に比較して、貯冷所要時間を大幅に短縮す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る保冷具の全体構造を例示
する一部破断透視斜視図である。 Ｒ……保冷具基体、１……可撓性チユーブ、２
……中袋、３……偏平封止部、４……係止部材、
５……フアスナー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 プラスチツク材料製の可撓性チユーブ内にゲル
   状貯冷物質を封入し、両端の封止部を偏平状とな
   し、該偏平封止部の両端に係止部材を設けた複数
   本の保冷具基体と、 上記複数本の保冷具基体を並列状態にして収納
   する中袋とからなり、 上記保冷具基体を、可撓性チユーブの偏平封止
   部の係止部材で順次接合して複数本の保冷具基体
   を並列させたことを特徴とする保冷具。