JPH01201425A - 磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造方法

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JPH01201425A
JPH01201425A JP29463782A JP29463782A JPH01201425A JP H01201425 A JPH01201425 A JP H01201425A JP 29463782 A JP29463782 A JP 29463782A JP 29463782 A JP29463782 A JP 29463782A JP H01201425 A JPH01201425 A JP H01201425A
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cold rolling
silicon steel
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final cold
annealing
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Application number
JP29463782A
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English (en)
Inventor
Katsuo Iwamoto
岩本 勝生
Kimimichi Goto
後藤 公道
Yoshinori Kobayashi
小林 義紀
Yoshiaki Iida
飯田 嘉明
Isao Matoba
的場 伊三夫
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は磁気特性の優れた一方向性珪1!!il板を
製造する方法に関するものである。
従来の技術 周知のように一方向性珪素鋼板は主として変圧器その他
の電気機器の鉄芯として使用されるものであり、磁気特
性として磁化特性および鉄損特性の優れていることが要
求されている。最近では珪素鋼板の製造技術の進歩によ
り、磁化特性として、B10値(すなわち磁場の強さI
OOOA/Hのとき発生する圧延方向の磁束密度)で代
表ざれる磁束密度が1.89 T (テスラ》を越える
優れたものが得られるようになり、また鉄損特性として
は、板厚0、30mの一方向性珪素鋼板でW17/50
値(すなわち磁束密度1.7T,周波数50Hzで磁化
した場合の鉄損》が1.10w/に!J以下のごとき低
鉄損のものが得られるようになっている。
上述のように優れた磁気特性を有する珪素鋼板を得るた
めの基本的要件としては、最終焼鈍過程において(11
0)[0011方位の2次再結晶粒を充分に発達させる
ことが必要である。そのためには、2次再結晶過程で(
110)[001]方位以外の好ましくない結晶方位を
有する結晶粒の成長を強く抑制するインヒビターの存在
と、先鋭に揃った(110)[oo11万位の2次再結
晶粒が充分に発達するに好適な1次再結晶集合組織の形
成とが必要であることが知られている。前記インヒビタ
ーとしては一般にMnS,MnSeSAIN等の微細析
出物が用いられており、また必要に応じて粒界偏析型元
素であるSb,AS,B i 、Pb,3n等をインヒ
ビターに併用して、そのインヒビターの効果を強化する
ことも従来から行なわれている。一方、適切な1次再結
晶集合組織の形成に関しては、従来から熱間圧延および
冷間圧延の各工程条件を適切に組合せる方法が採用され
ており、このような目的から中間焼鈍を挟んで2回の冷
間圧延を施すが如き複雑な工程も従来から採用ざれてい
る。
ところで最近では珪素鋼板製造の素材である珪素鋼スラ
ブの製造方法が従来の造塊一分塊法から連続鋳造法に転
換される傾向におるが、このような連続鋳造製スラブを
使用した場合には、従来の造塊一分塊法によるスラブで
は生じていなかった新たな問題が発生している。すなわ
ち、インヒビターとして有効に作用するMnS,MnS
e、AIN等の微細析出物を得ようとすれば、熱延前に
スラブを1250℃以上の高温に長時間加熱してインヒ
ビター元素を充分に解離固溶せしめた後、熱延時の冷却
過程を制御して適切な微細サイズに析出させることを要
するが、連鋳製スラブの場合には上記の如くスラブを高
温で加熱している間に結晶粒の異常な粗大成長を招き易
く、この異常粗大粒に起因して珪素鋼板中に帯状細粒組
織と称される2次再結晶粒不完全発達部分が形成ざれて
、磁気特性の劣化を招くことがある。
上述の如き帯状細粒組織の発生を防止して磁気特性を向
上させる方法も既にいくつか提案ざれている。例えば特
開昭55−119126号公報によれば、素材スラブを
熱間圧延により所定の板厚に加工する際に、再結晶化圧
延直前の組織がα相マトリックス中にγ相を3%以上析
出させた組織となるように制御し、これを1230〜9
60℃の温度範囲で圧下率が1バス当り30%以上とな
るように再結晶化高圧下圧延を施す方法が開示ざれてい
る。
また本発明者等も既に特願昭56−31510号におい
て、素材スラブに3i量に応じた必要量のCを含有せし
め、熱延中の特定温度領域で所定量以上のγ相を生成さ
せることによって、素材スラブの高温加熱時に粗大成長
した結晶粒を熱延工程で分裂・破壊させ、成品に発生す
る帯状細粒組織を効果的に防止する方法を開示して、い
る。
しかしながら所定量以上のγ相を熱延中に生成せしめる
上記各方法によれば、成品の帯状細粒組織は防止し得る
ものの、所期の磁気特性は必ずしも充分でない場合があ
り、しかも帯状細粒組織の防止効果自体も甚だ不安定で
あって、極端な場合には成品に全面細粒組織が発生して
著しく磁気特性を劣化させることもあるなど、工業生産
上鏝も必要とされる安定性に欠ける問題があった。
一方、近年に至り鋼中に含有される炭素もしくは炭化物
を有効利用して1次再結晶集合組織を改善する方法が発
達してきた。例えば特公昭38−14009号公報には
、第1回冷間圧延前の熱延板を790’C以上の温度か
ら540℃以下の温度に激しく急冷した後310〜48
0℃の温度範囲に保持することによって、結晶粒内に光
学顕微鏡で可視サイズ(数珈)のレンズ状炭化物を析出
させる方法が開示されている。このような方法により生
成された比較的大きなサイズの炭化物は、熱延工程で形
成された粗大な熱延伸長粒を分裂細分化させるに有効に
作用するものであり、2次再結晶粒の発達に有害な(1
00)〜(110) [011]方位の結晶粒を冷延工
程の初期段階で消滅させる役割を担うものと考えられて
いる。しかしながらこの方法だけでは未だ充分に磁気特
性を向上させることは困難であった。
ざらに最近に至り、冷延工程において結晶粒内の固溶C
または微細炭化物を利用する方法が開発されている。例
えば特公昭54−13846号公報、特公昭54−29
182号公報には、インヒビターとしてAINを用い、
その熱延板を高温焼鈍後急冷して、最終冷延圧下率が8
0%以上である1回の強冷延を施す際に、冷延パス間で
少なくとも1回以上の時効処理を施す方法が開示されて
いる。この場合の時効処理としては、50〜350°C
の温度範囲内で1分以上の保持または300〜600℃
の温度範囲内で1〜30秒の保持が必要であり、かつ多
数回施すことが効果的であるとされている。
しかしながらこの方法によれば冷延能率が大幅に低下し
、かつ鋼板の加熱処理費が増すため不経済である。また
本願出願人に係る特公昭56−19377号公報におい
ては、インヒビターとしてAINとsbとを複合添加す
る場合に、この複合添加の効果を充分に発揮させるため
、中間焼鈍後の冷却に際して700〜900°Cの温度
範囲を200〜2000秒間の範囲で徐冷してから直ち
に200℃以下まで急冷する方法が開示されている。し
かしながらこの方法に従って700〜900℃の間を2
00〜2000秒間で徐冷する処理を実現しようとすれ
ば、連続焼鈍炉の冷却帯を大幅に改造して、鋼板をこの
温度域に加熱保持する長尺な徐冷帯を設ける必要がある
とともに、著しく低速度での連続操業が必要となり、そ
のため生産能率の著しい低下と製造コストの上昇を招い
て経済的に不利となる問題がある。ざらに、これらの各
方法ともにAINまたはAlN−8bという特定のイン
ヒビターを利用し、同時に80%以上の強冷延工程を組
合せて初めてその効果を発厚し得るものであり、このよ
うな方法で得られた集合組織は(111)<112>方
位が著しく強く集積しており、(110)[001]方
位は副方位として弱い集積を示すに過ぎず、(110)
 [0011方位を強く集積させる方法とは根本的に異
っており、またインヒビターとして従来一般に用いられ
ているM n S 1M n’ S eを利用して一方
向性珪素鋼板を製造するに際してこれらの方法を適用す
ることはできなかった。
一方、SおよびSeをインヒビターとし、このインヒビ
ターに適した最終冷延圧下率の範囲内において集合組織
の改善を図るために鋼中炭素の有効活用を図る公知の方
法の一つとして、例えば特公昭56−3892号公報に
は、中間焼鈍後の冷却に際して600〜300℃の間を
150℃/ min以上の冷却速度で冷却し、最終冷延
段階で時効処理を施す方法が開示されている。この場合
の時効処理は、100〜400℃において5秒〜30分
間とし、冷延パス間で少なくとも1回以上その時効処理
を施す必要があり、したがってこの場合も冷延能率の低
下と加熱処理費の増大を招き、経済的に不利となるから
、より効率的な方法の開発が強く望まれていた。
発明が解決すべき問題点 前述のように、鋼中Cの有効活用を図る従来の各方法で
は、未だ充分な磁気特性が得られなかったり、あるいは
工程的に特殊な高温での徐冷または長時間の時効処理な
どを必要として経済的に不利となったりする問題があっ
た。
この発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、鋼中C
の有効活用を図る従来方法の諸欠点を除去、改善して、
磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板を能率良くかつ経済
的に工業的規模で製造し1qるようにした方法を提供す
ることを目的とするものである。
問題点を解決するための手段 本発明者等は上述の目的を達成するべく鋭意実験・検討
を重ねた結果、第1には熱延中に生成するγ相の生成量
を適正範囲内に制御するべく、C量をSilに応じて調
整すること、第2には熱延工程終了後から最終冷延工程
前の中間焼鈍後に至るまでの間に所定量のCを脱炭させ
ること、第3には最終冷延前の中間焼鈍後に鋼板の結晶
粒内炭化物を極微小の特定範囲内に制御しhり充分に分
散させる処理を施すこと、以上3要件を組合せることに
よって優れた磁気特性を有する一方向性珪素鋼板を能率
的カリ経済的に製造し1qることを見出し、この発明を
なすに至ったのである。
具体的には、この発明の一方向性珪素鋼板の製造方法は
、 CO,015〜0.10%、3i2.8〜4.0%、M
nO,02〜0.15 %!含み、がっS、5e(7)
いずれか1種または2種を合計量でo、 ooa〜0.
080%含有し、残部が実質的にFeよりなる珪素鋼素
材を熱間圧延し、得られた熱延鋼板に対し中間焼鈍を挟
む2回以上の冷間圧延を最終冷延圧下率40〜80%の
範囲内で施して所定の最終板厚に仕上げ、さらにその冷
延板に脱炭焼鈍および最終焼鈍を施す一連の一方向性珪
素鋼板の製造方法において、前記珪素鋼素材のC量を8
1最に応じて下記式で表わされる範囲内とし、かつ前記
熱間圧延終了後最終冷延終了前までの間においてC@ 
0.006〜0.020%脱炭させ、かつまた最終冷延
前における中間焼鈍後の冷却過程において770〜10
0 ’Cの温度範囲を30秒以内で急冷し、直ちに15
0〜250℃の温度において2〜60秒間の時効処理を
施すか、あるいは同じく前記中間焼鈍後の冷却過程にお
いて770〜300℃の温度範囲を20秒以内で急冷し
、続いて300〜150°C間の冷却所要時間を8〜3
0秒間の範囲内に制御することによって、鋼板の結晶粒
内炭化物を100〜500人の大きさの微小かつ充分に
分散した析出状態に制御した後、最終冷延を施すことを
特徴とするものである。
記 0.37[3i%]〒0.27≦ Ioq([C%]×
103 )≦0.37[3i%:+0.57 但し[81%]、[C%]はそれぞれ鋼中に含まれるS
i、Cの重量%を表わす。
作   用 先ずこの発明をなすに至った過程での知見を説明すると
、本発明者等は熱延中に生成されるγ相の作用について
検討を加えたところ、次のような事実が確認された。す
なわち、素材スラブの熱延中に生成されるγ相は前述の
ように素材スラブの高温加熱時に粗大成長した結晶粒を
分裂・破壊させるに有効である反面、インヒビターとし
て作用す15Mn5.MnSe等の微細析出物に有害に
作用し、特に過剰なγ相生成はインヒビターの効果を大
幅に減退させて2次再結晶粒の充分な発達を阻害するお
それがあり、したがってγ相生成量は適切な範囲とする
必要があること、またγ相は、その生成量が適切な範囲
内にある場合でも、熱延中に粗大成長粒を細分化する役
割を果たした後には、冷延工程での適切な結晶組織、集
合組織の形成に対して有害となる等の事実を新規に見出
した。
そこで本発明者等はγ相の有益な作用は生かしつつ、し
かもその有害な作用を解消する方策を種々研究した結果
、熱延中のγ相の生成量を適正な範囲とするべく素材中
のC量を3i量に応じて調整し、しかも熱延終了後最終
冷延工程終了前までの間において適量の脱炭を行って過
剰なγ相生成量を減少せしめ、さらには中間焼鈍後、最
終冷延前の鋼板の結晶粒内炭化物を、光学的顕微鏡によ
つては視ることのできない程度の従来留意されたことの
ないような極微小の特定範囲内に制御しかつ充分に析出
分散させることによって、最終冷延および脱炭焼鈍を経
た最終焼鈍前の鋼板の集合組織を(110)[Oo月方
位の集積度が強い状態に改善することができ、その結果
最終焼鈍における2次再結晶過程において高度に揃った
(110) [00月方位の2次再結晶粒を充分に成長
させて、優れた磁気特性を有する一方向性珪素鋼板が得
られることを新規に知見し、この発明の完成に至ったの
である。
上述のようにこの発明を完成するに至った本発明者等の
実験結果に基いて、この発明の各要件をさらに詳細に説
明する。
第1図は、インヒビターとして3e O,015〜0、
035%、Mn O,03〜0.09%を含み、3i含
有量を2.8〜3.1%、3.3〜3.5%、3.6〜
3.8%の3群とし、かつC含有但をいずれも0.01
〜0、10%の範囲で変化させた他、残部実質的にFe
よりなる組成を有する多数の珪グi連鋳スラブ供試材を
、1400’Cで1時間加熱処理後に熱間圧延して厚さ
2.5mの熱延板となし、次いで公知の方法による中間
焼鈍を挟む2回の冷延工程により最終板厚0.30mに
仕上げ、ざらに脱炭焼鈍および最終焼鈍を施して得た一
方向性珪素鋼板の各製品について、鉄損W17150を
調べ、その鉄損値と各連鋳スラブ供試材の3i量および
C量との関係を示したものである。なおこの試験におけ
る中間焼鈍の雰囲気は脱炭性から非脱炭性のものに各種
変更させ、また最終冷延圧下率は50〜70%の範囲に
設定した。
第1図における記号◎、01・、×は、製品の鉄損W1
7150の大小を、それぞれの供試材の段階の81含有
量に応じて次の第1表に示すように判定したものである
第1表 また第1図中に併記した破線A、B、C,D、Eは、熱
延中の1150℃におけるγ相生成量の推定値であり、
それぞれγ相生成140%、30%、20%、10%お
よび0%の場合を示す。ここでγ相生成量は実質的には
3i量およびC量と温度に応じて変化するものであり、
前記各破線A、B、C,D、Eは、各種の5iffi、
C量の珪素鋼供試材について実験により求めた1150
’Cの平衡状態″で生成するγ相関実測値と、鋼中の5
iii、C量との相関関係から導き出された下記(1)
式より求めたものである。
γ%=67X 10(+ ([C%]X103)−25
[3i%]−8・・・(1) 第1図および第1表から明らかな如く、3i含有母によ
って良好と判定される絶対的な鉄損水準は異なるが、各
Si量に応じて鉄損317150の優れるC量の適正範
囲は、いずれも破線りとBの間、すなわちγ相生成量が
10〜30%の範囲内にあるときに限られることを見出
した。但し熱延工程中に生成されるγ相は平衡状態とは
異なり準安定的であって、芙際の1150’Cの熱延中
に生成するγ相四を正確に把握することは困難である。
したがってγ相生成量によって限定することは実際的で
はないから、前記(1)式で与えられる推定γ相生成量
が10〜30%の範囲内となるような素材中のSi量に
応じたC量の範囲を以て限定することが妥当と考えられ
る。この考え方に基づき、この発明においては1%が1
0〜30%となるような素材Silに応じたC量の範囲
を前記(1)式から導き出し、これを優れた鉄損水準を
得るためのC量の適正範囲とした。すなわちこのC量の
適正範囲は次の(2)式で表わされる。
0.37j3i%l+0.27≦ 10(]([C%]
xlO3)≦0.333i%”、−ro、57    
    ・・・(2)これがこの発明の第1の特徴的な
要件である。
上記(2)式で示されるSi量に応じた適正C量範囲の
下限よりもC量が不足する場合、従って熱延中のγ相生
成量が10%未満に対応する組成の場合には、製品の結
晶組織が明瞭な帯状細粒組織を示し、磁気特性の劣化が
認められた。また熱延中のγ相生成量が第1図において
D線で示す10%以上となる組成の製品は、帯状細粒の
発生が殆どなく、大半が正常に発達した2次再結晶粒で
構成されていることが判明した。したがってスラブ高温
加熱の際に異常成長した粗大結晶粒を熱延工程中に分裂
、破壊し、製品の帯状細粒発生を防止するためには、所
定量以上のγ相生成が必要7であり、このγ相の必要所
定量は、含有Si量に応じて熱延中に平衡状態であれば
10%以上のγ相を生成させるようCIを含ませること
によって実現できることが判明した。一方、C量が著し
く過剰の場合、すなわち熱延中のγ相生成量が30%を
越える組成に対応する場合は、製品の結晶組織は2次再
結晶の発達が不完全な全面細粒組織となり、極端に劣悪
な磁気特性を示した。
上述のように、Silに応じて、熱延中に平衡状態であ
れば10〜30%の範囲内のγ相を生成するようなC潰
を含有する場合にのみ、製品における帯状細粒組織の発
生もしくは2次再結晶粒の発達が不完全な全面細粒組織
の生成を防止でき、したがって前記(2)式によりSi
量に応じたC量を限定することが磁気特性の向上に極め
て有効であることが判明した。
しかしながら、第1図のγ相生成量10〜30%の範囲
内においてもなお一部には鉄損特性の不充分なものが含
まれており、磁気特性の安定性を期すべき工業生産の観
点からは、前記(2)式によるC15itの規制だけで
は未だ満足すべきものとは言えない。そこで本発明者等
はさらにこれを改良すべく研究を重ねた結果、素材スラ
ブの熱延工程終了後から最終冷延工程前の中間焼鈍侵に
至るまでの工程途中で080.006〜0.020%脱
炭させることが優れた磁気特性を安定して得るために有
効であることを見出し、これをこの発明の第2の特徴的
要件としたのである。
この要件は本発明者等の次のような実験結果から明らか
にされたものである。すなわち、第1図の実験で用いた
供試材のうち、Si2.8〜3.1%および3i3.3
〜3.5%の2群のSi含有量であり、かつこれらSi
lに対応するCIが、熱延中1150℃におけるγ相生
成量が10〜30%に相当する範囲内にある組成の供試
材について、製品の磁気特性と、熱延工程終了直後およ
び最終冷延前中間焼鈍後のC含有量の差すなわちその間
の脱炭量ΔCとの関係を詳細に調査した結果、第2図(
A)、(B)に示す結果が得られた。なお第2図におい
て白丸は3i含有量が2.8〜3.1%の群を、黒丸は
S1含有看が3.3〜3.5%の群をそれぞれ示す。第
2図(A>、(B)から明らかなように、脱炭量ΔCが
0.006%以上、0.020%以下であるときに優れ
た磁気特性が安定して得られ、Cが0.006%未満も
しくは0.020%を越える場合には磁束密度が不足す
るとともに鉄損も大きい値を示し、充分な磁気特性が得
られないことが判明した。
なお通常の珪素鋼板の製造における熱延後から最終冷延
前までの間の脱炭量は0.005%程度以下であり、し
たがってこの発明の方法における脱炭量0.006〜0
.020%は常法における通常の脱炭量よりも大きいか
ら、この発明の方法を実施するにあたっては通常は中間
焼鈍の雰囲気を脱炭性のものとするごとく、積極的な脱
炭処理を行うことを要する。このように熱間圧延終了後
から最終冷延前までの間において適量の強脱炭を行うこ
とによって、先に説明した第1要件の不満足点を補い、
優れた磁気特性を安定して得ることが可能となったので
ある。
上述のように適量の脱炭が磁気特性の改善および安定化
に有効なことは、次のような結晶組織、集合組織観察結
果からも明らかである。すなわち脱炭量が適切な場合、
最終冷延前の結晶粒度が均一かつ適正であり、また1次
再結晶集合組織は(110)[00月方位の強い集積を
示す好適な状態に改善されており、その結果製品の結晶
組織は正常な2次再結晶粒が充分に発達したものとなっ
ている。
−5脱炭量が不足する場合、1次再結晶組織は粒が不揃
いで塊状の炭化物が残留しており、1次再結晶集合組織
は(110)[OQ月方位の集積が弱く(111)d1
2>方位が分散する不適切な組織となっており、その結
果細粒が混在する2次再結晶発達不良の状態となってい
る。また脱炭過多の場合には最終冷延前の結晶粒度が不
均一で粗大粒が分散する不適切なものとなっており、そ
の1次再結晶集合組織も(110)[00月方位が減少
するため、2次再結晶後には著しく粗大な結晶粒で占め
られ、これ等の結晶方位は(110)[00月方位から
やや偏倚した方位が多く、したがって磁気特性も不充分
となった。
上述のように本発明者等は適量の脱炭が磁気特性の向上
と安定化に有効であることを見出したが、ざらに本発明
者等はより高い磁束密度と鉄損がW17150値で1.
00 W/Kl以下トイウ著シク優した特性を有する一
方向性珪素鋼板の開発に取組んだ結果、最終冷延前の中
間焼鈍後に鋼板の結晶粒内炭化物を光学顕微鏡によって
は視ることのできない極微小の特定範囲内に制御しかつ
充分多量に析出させる処理を前記2要件に組合せること
によって最終焼鈍前の集合組織を(110)[001]
方位の集積が一段と強い状態に改善することができ、そ
の結果として最終焼鈍での2次再結晶過程において高度
に揃った(110) [00月方位の2次再結晶粒の形
成がなされ、優れた磁気特性が得られることを新規に知
見し、このような結晶粒内炭化物制御のための処理をこ
の発明の第3の特徴的要件としたのである。
以下本発明者等の実験結果に基づいて第3の要件の効果
を説明する。実験に用いた素材はCO,045%、3i
3.20%、Mn0.06%、SeO,030%を含み
、残部実質的にFeよりなる組成を有し、通常の製鋼、
連鋳および熱間圧延を経て仕上げられた板厚3.0#の
熱延板である。このような熱延板を950℃×2分間の
焼鈍後、酸洗して第1回冷間圧延を施し、中間板厚0.
75mとなした後900’CX 3分間の中間焼鈍後、
圧下率60%の最終冷延を施し、最終板厚0.30mに
仕上げた。
次いで800℃の湿水素雰囲気中で脱炭し、M CJ 
O塗布後最終焼鈍として1200℃×10時間保持焼鈍
を行ない、一方向性珪素鋼板の製品を得た。
上記実験において冷延工程間の中間焼鈍での脱炭量ΔC
を、従来の通常の水準である0、002%、この発明の
限定範囲内である0、 012%、および過脱炭の0.
025%の3水準に変化させ、かつ中間焼鈍後の冷却過
程における770’C以下の冷却を油焼入れ(770〜
100℃における冷却時間約10秒に相当する急冷)と
し、直ちに200℃での時効処理を、2〜200秒の間
で変化させて実施した。この時効処理後の鋼板、すなわ
ち中間焼鈍後最終冷延前の鋼板における結晶粒内炭化物
析出サイズと磁気特性との関係、および同じく炭化物析
出サイズと200℃での時効処理時間との関係を第3図
に示す。
なお第3図の磁気特性プロットは、脱炭量ΔCが0.0
02%の場合をQ印、ΔCO,012%の場合を・印、
ΔC0,025%の場合を◎印でそれぞれ示した。
また第3図における比較材としては、工業的な連続焼鈍
で一般に実用されている770〜100℃間の冷却時間
98秒に相当する冷却速度で強制空冷した試料について
示した。
第3図から明らかなように、脱炭量が前記第2の要件の
範囲内の適切な量(・印)でしかも200℃における時
効処理時間が10〜20秒間程度の場合に、磁束密度B
lo値が1.94T以上、鉄損W17150が1.OO
W/Kg以下と極めて優れた磁気特性を示し、またこの
場合の炭化物の析出サイズは、100〜500人の範囲
にあることが明らかである。またこの場合の炭化物析出
状態の電子顕微鏡写真(1万倍)を第4図(A>に示す
。但しこの電子顕微鏡写真は、最終冷延前の中間焼鈍後
、770〜100℃間を22秒で急冷後、直ちに200
℃xlO秒間の時効処理を施した試料についてのもので
あり、その炭化物平均粒径は200人で、炭化物が均一
かつ多量に分散していることが明らかである。
一方、中間焼鈍浸油焼入れのまま(時効処理なし)およ
び200°C時効処理2秒間の場合には、いずれの脱炭
量の場合も磁気特性が不充分であることが明らかであり
、この場合結晶粒内炭化物は観察されないかまたは局部
的に僅少量のみ析出している状態であった。また200
℃時効処理が30秒間以上の場合も、いずれの脱炭量で
も磁気特性が不充分であることが明らかであり、この場
合結晶粒内炭化物の析出サイズは500人を越えていた
また参考のため、中間焼鈍工業的な標準冷却(770〜
100°C間の冷却時間約98秒)を施した比較材につ
いての最終冷延前の炭化物析出状態の電子顕微鏡写真(
1万倍)を第4図(B)に示す。
この場合結晶粒内炭化物析出平均粒径は約700人であ
り、また磁気特性は中間焼鈍後急冷して200°C時効
処理を30秒間以上施した場合と同程度に劣るものであ
った。
ざらに第3図から、脱炭量ΔCが従来の通常の水準の場
合(O印)および脱炭過多の場合(◎印)には、中間焼
鈍後急冷して直ちに10〜20秒程度の200°C時効
処理を臆した場合でも磁気特性は若干の改善効果は認め
られるものの顕著ではないことが明らかである。
以上の実験結果から、中間焼鈍後の最終冷延前の結晶粒
内炭化物サイズが100〜500人の範囲内となるよう
な処理を、特に脱炭量が適切な材料について施すことに
よって磁気特性を顕著に改善できることが判明したので
ある。
ざらに本発明者等は、(八)中間焼鈍工程で積慢的に脱
炭を行なわず、かつ最終冷延前の中間焼鈍後冷却過程で
急冷せずに標準冷却(770〜100°C間の冷却所要
時間約90秒)した場合、(B)中間焼鈍工程で0.0
06〜0.020%の脱炭を行ない、最終冷延前の中間
焼鈍後冷却過程で急冷せずにe4準冷却した場合、(C
)中間焼鈍工程で積恒的に脱炭せず、最終冷延前の中間
焼鈍後冷却過程で770〜100℃の温度範囲を30秒
以内で急冷し、直ちに200℃で10〜20秒程度の時
効処理を行った場合、(D)中間焼鈍工程で0.006
〜0.020%の脱炭を行ない、かつ最終冷延前の中間
焼鈍後冷却過程で前記(C)と同様な急冷および時効処
理を行った場合、以上(A)〜(D)の4種類の処理に
より得られた冷延板につき、最終焼鈍前の脱炭焼鈍板表
層のゴス方位強度を調べたところ、第5図に示す結果が
得られた。第5図から、脱炭および急冷−時効処理のい
ずれも行なわない場合(A)と比較して、脱炭のみの場
合(B)および急冷−時効処理のみの場合(C)には約
1.5倍のゴス方位強度を示し、ざらにこの発明の方法
にしたがって脱炭および急冷−時効処理の両者を施した
場合(1))には、(A)と比較して約1.7倍のゴス
方位強度を示すことが確認された。このようにこの発明
の方法によりゴス方位強度かです理由は次のように考え
られる。すなわち、適切な量の脱炭によって最終冷延前
の中間焼鈍において再結晶開始温度がより低温となり、
そのため、より低温で再結晶すると言われているゴス粒
の成長に有利となり、ざらに再結晶後の均熱時のα−γ
変悪量の減少によって集合組織のラン。
ダム化が阻止されて、ゴス方位に強い集積をもつ果合組
織に改善される。また、最終冷延前に超微小炭化物が均
一に析出分散することによって、最終冷延時に初期結晶
方位に依存した内部歪蓄積量の差異を拡大する役割を果
たし、続く脱炭焼鈍の昇温過程で再結晶する際、冷延後
の結晶内部に蓄積した歪量の多い(110)[00月方
位とその近傍の結晶方位を有する結晶粒はど初期に優先
的に再結晶を開始し、より強いゴス方位をもつ1次再結
晶組織を形成するものと推定され、したがってこの発明
の方法では上記2作用の相乗効果によって、よリゴス方
位の強い集積をもつ集合組織に改善される。
一方最終冷延前までの脱炭量が不足する場合は、最終冷
延前の1次再結晶組織は結晶粒度が不均一で、微細な結
晶粒が塊状に分布し、1次再結晶集合組織は(110)
[00月方位の集積が弱く、比較的強い(111)<1
12>方位が分散する不適切な組織となっており、最終
冷延前に急冷を施して100〜500人の微細炭化物を
均一に析出分散させても効果は少なく、その結果として
製品の結晶組織は細粒が混在する2次再結晶不良の状態
となる。
また脱炭過多の場合、最終冷延前の結晶粒度が不均一で
粗大な結晶粒が分散する不適切なものとなり、その1次
男結晶集合組織も(110)[00月方位が減少してい
る。また脱炭過多によって、最終冷延前の中間焼鈍での
冷却の際、炭化物の析出最が不充分となり、急冷により
目的とする微細炭化物の量を充分に確保できず、したが
ってこの状態から得られた製品の結晶組織は著しく粗大
な2次再結晶粒で占められ、またこれらの粗大結晶粒は
(110) [00月方位からやや偏倚した方位が多く
、従って磁気特性が不充分となり、鉄損値も増大する傾
向がみられる。
以上詳述したように、最終冷延前の適量の脱炭と所期の
結晶粒内炭化物サイズとが組合わされた場合にのみ、著
しく低い鉄損値と充分に高い磁束密度が得られるのであ
り、脱炭量が適切な範囲でおっても粒内炭化物が未析出
あるいは500人を越えて成長した場合、あるいは逆に
粒内炭化物析出サイズが100〜500人の範囲内であ
っても最終冷延前の脱炭量が過不足した場合には所期の
磁気特性が得られない。
次に、前述の如くR終冷延前に100〜500人の範囲
内の超微小炭化物を結晶粒内に充分に析出させるための
具体的方法について説明する。
第6図は、中間焼鈍後770〜100℃の間を冷却所要
時間22秒で急冷し、直ちに100〜300℃の温度範
囲で時効処理を施した場合の時効処理温度および処理時
間と粒内炭化物析出サイズとの関係を示す。第6図から
、急冷後の時効処理により100〜500人の範囲内の
超微小炭化物を析出させるためには、150〜250℃
の温度範囲で2〜60秒間、但し温度が但い程長く保持
するように選択することが適切でおることが判明した。
ここで、最終冷延前の中間焼鈍後の冷却の際においては
、770’CでCの固溶柵が最大となるため、770℃
以下の領域の冷却速度が遅ければ微細炭化物の析出開始
までに結晶粒界等に粗大炭化物が析出してしまい、所定
量の微細炭化物の析出分散が得られなくなって集合組織
の改善を図ることができなくなるから、時効処理前の冷
却は、770〜100’Cの間を30秒以内で急冷する
こととした。
ざらに本発明者等は、中間焼鈍後の冷却過程のうち、特
に従来は看過されてきた温度範囲である300’C以下
の冷却過程を厳密に制御することによって、冷却後の時
効処理を不要とする方法の開発を試みた。すなわち第6
図から理解されるように超微小炭化物は300℃以下、
150℃程度以上の温度範囲で粒内析出することに着目
し、770〜300°C間は前記同様に急冷して300
〜150’Cの温度範囲を各種の冷却速度で冷却し、そ
の300〜150℃の間の冷却中に粒内超微小炭化物を
析出させることを試みた。具体的には、最終冷延前の中
間焼鈍後の冷却に際して、770〜300℃間はミスト
ジェット冷却により冷却所要時間15秒で急冷した後、
続いて300 ′C以下の温度域を水冷から自然放冷ま
で種々の冷却速度で冷却させ、300〜150’C間の
冷却所要時間と粒内炭化物析出サイズおよび製品の磁気
特性との関係を調べたところ、第7図に示す結果が得ら
れた。但しここで最終冷延前の中間焼鈍における脱炭量
はこの発明の範囲内である0、012%である。
第7図から、100〜500人の粒内炭化物析出サイズ
を得るためには、300〜150’C間の冷却所要時間
を8〜30秒の範囲内に選択すべきであることが判明し
、またその場合に著しく低い鉄損値と充分に高い磁束密
度が得られることが明らかとなった。
以上のように、最終冷延前の鋼板の結晶粒内に100〜
500人のサイズの超微小炭化物を分散析出させるため
の工業的な方法としては、最終焼鈍前の中間焼鈍の冷却
過程において、770〜100℃の間を30秒以内で急
冷した後直ちに150〜250’Cの温度において2〜
60秒間の時効処理する方法、あるいは770〜300
℃の間を20秒以内で急冷し、続いて300〜150℃
の間の冷却所要時―を8〜30秒の範囲内に制御する方
法が適当であることが明らかとなった。なおこれらの方
法はいずれも工業的に容易に実施可能なものであるが、
特に後者の方法によれば冷却時間の短縮により連続炉操
業を効率良く行ない得る利点がある。
次にこの発明の方法に適用される珪素鋼素材の成分限定
理由について説明する。
3iは比抵抗を高めて鉄損を低減させるに有効な元素で
あり、2.8%よりも少なければ充分な低鉄損値を連成
することができず、逆に4.0%を越えれば著しく脆く
なって冷延加工性が低下し、通常の工業的冷延が困難と
なるから2.8〜4.0%の範囲に限定した。なお3i
は2.8〜4.0%の範囲内においてその含有量を高め
る程、一般に低鉄損の製品を得ることができるが、実際
操業においてはsiiを高めれば3i原料費が上昇する
ことはもちろんのこと、冷延参画の低下によるコスト上
昇を招くから、3i含有量は得るべき所期の鉄損水準に
応じて適宜選定することが必要である。
CG、tsi量に応じて前記(2)式の範囲内に調整す
べきことは前述の通りである。すなわち第1図に示した
熱延中1150℃におけるγ相生成量がほぼ10〜30
%に相当するC含有量範囲とする必要がある。前記(2
)式による具体的数値を例示すれば次の第2表の通りで
ある。
第2表 但しCIlが0.015%未満では、3i量が2.8〜
4.0%の範囲での必要量のγ相量が確保されず、一方
C量が0.1%を越えれば脱炭工程に長時間を要し、経
済的に不利となるから、CtfiO,015〜0.10
%の範囲内で前記(2)式を満足させる必要がある。
Mn1S、Seはいずれもインヒビターとして添加され
、最終焼鈍において1次再結晶粒の成長を抑制し、(1
10)[0011方位の2次再結晶粒を先鋭に発達させ
るに必要な元素である。しかしながらMn 0.02−
0.15%、S、Seのいずれか1種または2種を合計
量で0.008〜0.080%の範囲を逸脱して過不足
すれば、2次再結晶が不安定となり、目的とする優れた
磁気特性が得られなくなるから、上記範囲に限定した。
この発明の方法が適用される珪素鋼素材は、上述の各成
分のほかは実質的にFeおよび不可避的不純物よりなる
ものである。
次にこの発明の方法による一方向性珪素鋼板の製造過程
の全体を工程順に説明する。
この発明において使用される珪素鋼スラブは従来の造塊
−分塊法によって得られたものでも、また連続鋳造法に
よって得られたものでも良いが、この発明の方法は特に
連鋳製スラブを用いた場合に効果的な磁気特性の安定化
および向上効果が得られる。この発明の方法においては
、珪素鋼スラブを1250℃程度以上に加熱後、公知の
方法により熱間圧延を施し、板厚1.2〜5.Osの熱
延板に仕上げ、必要に応じて750〜1100℃のノル
マライジング焼鈍を施し、次いで750〜1100℃の
中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚0
.15〜0.50711111の最終冷延板とする。そ
してこの工程の途中、熱延後から最終冷延前までの工程
間において、すなわち熱延巻取後の自己焼鈍中あるいは
前記ノルマライジング焼鈍または中間焼鈍のうちの少な
くとも一つの工程において雰囲気を脱炭性に調整し、合
計で0.006〜0.020%の脱炭を行う。
脱炭焼鈍雰囲気の脱炭性の強さは、素材の組成、板厚、
焼鈍時間等により適宜調整すべきであり、また熱延コイ
ル巻取後の自己焼鈍時を利用する場合、コイル層間にF
e:z03等の酸化物を塗布する等の方法により熱延板
の脱炭焼鈍を行うことも可能である。
また前記冷延工程における最終冷延前の中間焼鈍の冷却
過程においては、前述した各冷却方法を用いて、最終冷
延前の鋼板の結晶粒内に100〜500人のサイズの超
微小炭化物を充分に析出させておき、次いで最終冷延圧
下率40〜80%にて製品厚に冷延する。この発明にお
いては最終冷延前までに適度の脱炭と炭化物の微細析出
処理を行うことで結晶組織を均一化し、集合組織中の(
110)[00月方位の強い集積を促進させるのである
が、この効果は最終冷延圧下率40%未満もしくは80
%を越す場合には得られず、40〜80%の最終冷延圧
下率範囲によってはじめて達成されるのである。
上述のような冷延工程終了後には、通常は湿水素雰囲気
中で750〜850’Cの温度範囲においてCを0.0
03%以下まで脱炭させる脱炭焼鈍を行う。
その後MgO等の焼鈍分離剤を塗布した後、最終焼鈍を
施す。この最終焼鈍は、S、Se、N等の不純物元素の
除去ならびにフォルステライトを主体とする電気絶縁被
覆の形成を図るため、1000℃程度以上、望ましくは
1050〜1250℃の温度範囲にて数時間以上保持す
ることが望ましい。なおこの最終焼鈍は、900℃以上
の高温焼鈍のときは不純物の除去を促すために焼鈍雰囲
気として水素を用いることが必要であるが、その高温焼
鈍の前に予め820〜900’C稈度で低温保定焼鈍を
行う場合、その雰囲気としては水素、窒素、アルゴンの
いずれを用いても良い。
実施例 以下この発明の実施例を記す。
実施例1 3i3.15%、G O,045%、Mn0.07%、
So、 025%を含み、残部実質的にFeよりなる組
成を有する200#厚連鋳スラブを1380℃に1時間
加熱後2.5M厚に熱間圧延し、コイルに巻取った。
次いで熱延コイルを酸洗して第1回冷間圧延により0.
70sの中間板厚とした。引続き925℃×3分間の中
間焼鈍をPH20/ PH2= 0.003〜0135
の範囲の湿水素雰囲気で実施して、脱炭量ΔCが本発明
範囲よりも少ない0.003%、本発明範囲内の0、0
12%、本発明範囲を越える0、 025%の3水準と
なるように調整し、続く冷却過程を、(A) 770〜
300℃間の冷却所要時間が15秒、ざらに300〜1
50℃間を15秒、(B) 770〜300℃間の冷却
所要時間が60秒、ざらに300〜150℃間を15秒
となるような2種の条件で冷却し、次いで圧下率57%
の最終冷間圧延により板厚0.30mに仕上げた。そし
て湿水素雰囲気中でaoo’Cx S分間の脱炭焼鈍を
施した後、MQOスラリーを塗布し、箱焼鈍にて直ちに
1150℃に昇温し、15時間保持する最終焼鈍を施し
、その後絶縁コーティングを塗布して一方向性珪素鋼板
の製品を得た。これらの製品の磁気特性(磁束密度B1
oおよび鉄損WI7150)を測定した結果を、各工程
条件と対応させて第3表に示す。
第   3   M 第3表において、試料2.6はともに素材C量からγ相
生成量が10〜30%の範囲内の適正量となっているも
のと思われるにもかかわらず、脱炭量ΔCがこの発明に
おける0、 006〜0.020%の範囲を満足してお
らずしかも炭化物析出サイズがこの発明の100〜50
0人の範囲内となっていないため、低い鉄損値と高い磁
束密度が得られない。試料1.5は炭化物析出サイズが
この発明における100〜500人の範囲内にあるが、
脱炭量がこの発明の範囲を満足していないため、わずか
に磁性が改善されているものの、目的とする充分な特性
は得られず、また試料4は逆に脱炭量は満足しているも
のの、炭化物析出サイズが満足しないため、同様に磁性
がわずかに改善されるものの、目的とする充分な特性が
得られない。それに対しこの発明のすべての要件を満た
す試料3は、充分に低い鉄損値と同時に高い磁束密度が
得られた。
実施例2 CO,054%、Si3.30%、Mn O,085%
、S O,021%、3’e o、oio%を含み、残
部実質的にFeよりなる組成を有する2#厚の熱延板を
酸洗し、P+2o/’P=2= 0.35の湿水素雰囲
気で950″C×2分間の熱延板焼鈍(脱炭量へG= 
 0.013%)を施した後、0.70.厚に中間冷延
し、ざらに950°CX 2分間の中間焼鈍(脱炭量Δ
C= 0.002%)を施して、その中間焼鈍後の冷却
過程における770’C〜100’Cの間を15秒で冷
却した後、直ちに200’Cで30秒間時効処理し、圧
下率71%の最終冷延により0.20m厚に仕上げた。
その後湿水素雰囲気中で830℃×3分間の脱炭焼鈍を
施し、MCl0スラリーを塗布した後、最終焼鈍として
、昇温途中で850’CX 50時間保定後1200℃
XIO時間の純化焼鈍を施し、その後絶縁コーティング
を塗布して、本発明例の一方向性珪素鋼板の製品(試料
N08)を得た。
比較のため、上記の本発明例と同じ成分組成、厚さの熱
延板について、950’Cx 2分間の焼鈍(脱炭量Δ
G= 0.003%)を施した後、酸洗し、0.70r
rvn厚に中間冷延し、ざらに950℃×2分間の中間
焼鈍(脱炭量ΔC= 0.002%)を施して、その中
間焼鈍後の冷却過程において770’C〜100℃間の
冷却所要時間を50秒間としく時効処理は施さず)、次
いで圧下率71%の最終冷延により0.20m厚に仕上
げた。その後は前記の本発明例と同様な条件で脱炭焼鈍
、M Q Oスラリー塗布、最終焼鈍、絶縁コーティン
グを施して、比較例の一方向性珪素鋼板製品(試料Nα
7)を得た。
これらの製品の磁気特性を調べた結果を第4表に示す。
第4表 第4表から明らかなように、この発明の方法により製造
された本発明例の製品(試料Nα8)は、比較例の製品
(試料〜α7)と比較して磁気特性が優れていることか
判明した。
発明の効果 以上の説明で明らかなようにこの発明の製造方法によれ
ば、素材のC量をSi量に応じて適切な範囲に調整しか
つ熱延後最終冷延前までの脱炭量を適切な範囲とししか
も最終冷延前の鋼板の結晶粒内炭化物を適切に制御する
ことによって、従来得られなかった著しい高磁束密度、
著しい低鉄損値の極めて優れた磁気特性を有する一方向
性珪素鋼板を安定して得ることが可能となり、また工程
的にも特殊な高温での徐冷や長時間の時効処理を要さず
に極めて優れた特性の一方向性珪素鋼板が得られるから
、工業的規模での実施においても生産性が高く経済的と
なる等、各種の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は素材に含まれるSi量およびC蟻が製品の鉄層
値に及ぼす影響を示すグラフ、第2図は熱延後最終冷延
前までの脱炭量ΔCが製品の磁気特性に及ぼす影響を示
すグラフ、第3図は中間焼鈍における脱炭量および中間
焼鈍後急冷して200℃時効処理した時の時効処理時間
と磁気特性および炭化物析出サイズとの関係を示すグラ
フ、第4図は最終冷延前の鋼板の炭化物析出状態を示す
ための倍率1万倍の電子顕微鏡写真で、(A>はこの発
明にしたがって中間焼鈍後急冷および時効処理した場合
、(B)は従来法にしたがって中間焼鈍後標準冷却した
場合についてそれぞれ示すもの、第5図は脱炭焼鈍後の
鋼板表層部のゴス方位強度を、中間焼鈍工程における脱
炭の有無および中間焼鈍後の急冷−時効処理の有無に応
じて比較したグラフ、第6図は最終冷延前の中間焼鈍後
急冷しさらに時効処理した場合の時効処理条件と炭化物
析出サイズとの関係を示すグラフ、第7図は最終冷延前
の中間焼鈍後の冷却過程において770〜300℃間は
急冷し、300〜150℃間の冷却所要時間を変化させ
た場合の300〜150℃間における冷即断要時間と炭
化物析出サイズおよび磁気特性との関係を示すグラフで
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)C0.015〜0.10%(重量%、以下同じ)
    、Si2.8〜4.0%、Mn0.02〜0.15%を
    含み、かつS、Seのいずれか1種または2種を合計量
    で0.008〜0.080%含有し、残部が実質的にF
    eよりなる珪素鋼素材を熱間圧延し、得られた熱延鋼板
    に対し中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を最終冷延圧
    下率40〜80%の範囲内で施して所定の板厚に仕上げ
    、さらにその冷延板に脱炭焼鈍および最終焼鈍を施す一
    連の一方向性珪素鋼板の製造方法において、 前記珪素鋼素材中に含まれるC量をSi量に応じて次の
    式 0.37[Si%]+0.27≦log([C%]×1
    0^3)≦0.37[Si%]+0.57 によって表わされる範囲内とし、かつ熱間圧延終了後、
    最終冷延終了前までの間にCを0.006〜0.020
    %脱炭させ、かつまた最終冷延前の中間焼鈍後の冷却過
    程における770〜100℃の間の冷却所要時間が30
    秒以内となるように中間焼鈍後に鋼板を急冷し、直ちに
    150〜250℃の温度範囲内において2〜60秒間の
    時効処理を施した後、最終冷延を施すことを特徴とする
    磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造方法。 (2)C0.015〜0.10%(重量%、以下同じ)
    、Si2.8〜4.0%、Mn0.02〜0.15%を
    含み、かつS、Seのいずれか1種または2種を合計量
    で0.008〜0.080%含有し、残部が実質的にF
    eよりなる珪素鋼素材を熱間圧延し、得られた熱延鋼板
    に対し中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を最終冷延圧
    下率40〜80%の範囲内で施して所定の板厚に仕上げ
    、さらにその冷延板に脱炭焼鈍および最終焼鈍を施す一
    連の一方向性珪素鋼板の製造方法において、 前記珪素鋼素材中に含まれるC量をSi量に応じて次の
    式 0.37[Si%]+0.27≦log([C%]×1
    0^3)≦0.37[Si%]+0.57 によつて表わされる範囲内とし、かつ熱間圧延終了後、
    最終冷延終了前までの間にCを0.006〜0.020
    %脱炭させ、かつまた最終冷延前の中間焼鈍後の冷却過
    程において770〜300℃の間の冷却所要時間を20
    秒以内に制御しかつそれに続く300〜150℃の間の
    冷却所要時間を8〜30秒の範囲内に制御して冷却した
    後、最終冷延を施すことを特徴とする磁気特性の優れた
    一方向性珪素鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011518253A (ja) * 2008-08-08 2011-06-23 宝山鋼鉄股▲分▼有限公司 銅含有方向性珪素鋼の製造方法
JP2014513273A (ja) * 2011-03-03 2014-05-29 アールエルエス メリルナ テニカ ディー.オー.オー. エンコーダ用磁気基板の製造方法

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JP2011518253A (ja) * 2008-08-08 2011-06-23 宝山鋼鉄股▲分▼有限公司 銅含有方向性珪素鋼の製造方法
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