JPH0115577B2

JPH0115577B2 -

Info

Publication number: JPH0115577B2
Application number: JP54055683A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Hiraoka; Shigeru Urano; Masajiro Takeshita; Keiji Nakamura
Original assignee: Nippon Piston Ring Co Ltd
Current assignee: Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date: 1979-05-09
Filing date: 1979-05-09
Publication date: 1989-03-17
Also published as: JPS55164057A; US4526617A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は内燃機関で用いられるバルブシート用
の焼結合金材に関する。

従来、焼結合金材基地中に高硬度の炭化物等を
析出させたものが多く用いられ特に、バルブシー
ト用として多く使用され、その効果を発揮してき
た。

即ち、ガソリンの無鉛化に伴い、バルブとバル
ブシート間の鉛による潤滑効果がたたれ、そのた
め凝着摩耗の問題が大きな問題とされ、この問題
解決のために、開発されたのがこの種焼結合金材
である。

この耐摩耗性焼結合金材については、多くの試
験、研究がなされているが、近時の使用条件の苛
酷な内燃機関に於て充分にその要求を満足する焼
結合金材は現在のところ見当らないのが現状であ
る。

本発明はこのような状況に鑑みて、近時の苛酷
な使用条件下に於て、優れた耐摩耗性を発揮する
バルブシート用の鉄系焼結合金材を提供しようと
するものである。

即ち、本発明のバルブシート用焼結合金材は、
成分組成が重量比で、Ｃ：0.8〜1.5％、Ni：1.5〜
4.0％、Cu：0.5〜2.0％、Mo：2.5〜6.5％、残部
Feと不可避不純物からなり、面積比で20〜50％
のパーライト、15〜40％のベイナイト、15〜40％
のマルテンサイトの混合基地組織中に３〜20％の
フエロモリブデン粒子が均一に分散していること
を特徴とする。

（成分組成の限定理由）Ｃは0.8％未満では耐摩耗性のうえで不都合な
フエライトが析出し、一方1.5％超になるとパー
ライト中に遊離黒鉛が析出するとともにセメンタ
イト量が過大となるため、強靭な基地を得ること
ができなくなる。

Niは、1.5％未満ではベイナイト、及びマルテ
ンサイトの量が少く目的とする優れた基地を得る
ことができず、一方、4.0％超となると極度に基
地硬度が向上し、そのため、基地が脆化するとと
もに相手材を摩耗させることとなり、好しくな
い。また被削性も悪化する。

Cuは、0.5％未満では強靭な基地を得ることが
できず、一方２％超となると著しく基地が脆化す
る。

Moは、フエロモリブデンとして添加すること
によつて、一部は基地に固溶するが多くはフエロ
モリブデン粒子の形にて基地中に分散する。この
フエロモリブデン粒子が耐摩耗性及び高温強度の
向上、更には、焼結後の組織を安定させることに
有効に作用するのであるが、2.5％未満ではその
効果が顕著に表われず、一方6.5％超になると材
料の脆化を生じ使用に供することができなくな
る。

（基地組織の面積比の限定理由）パーライトは強靭な基地を得るために必要なも
のであり、面積比にて20％未満では目的とする強
靭な基地を得ることができず、また、50％超とな
るとパーライト自身比較的軟いものであるために
必要とする耐摩耗性が得られなくなる。

ベイナイト及びマルテンサイトは共に耐摩耗性
を向上させるために必要なものであり、共に面積
比にて15％未満では目的とする耐摩耗性が得られ
ず、一方40％超になると基地硬度が必要以上に向
上し、そのため著しく基地が脆化するとともに相
手材を摩耗させることとなり、好しくない。ま
た、被削性も悪化する。

最後にフエロモリブデン粒子の面積比の限定理
由であるが、このフエロモリブデン粒子は、高
温、高負荷といつた極めて苛酷な使用条件下にあ
つても、優れた耐摩耗性を保証するためのもので
あり、面積比にて３％未満では目的とする優れた
耐摩耗性を得ることができない。一方、20％超と
なると、材料の脆化が著しく進行し、使用に供せ
なくなる。

本発明焼結合金材の優秀性を立証するために従
来の焼結合金材との比較試験を行なつた。以下に
これを説明する。

先ず、原料粉として重量％にて黒鉛粉（−325
メツシユ）1.2％、フエロモリブデン粉（−150メ
ツシユ）８％をモリブデン量で５％、ニツケル
3.36％、銅1.36％、残部鉄となるように添加して
成る粉末組成に潤滑剤としてステアリン酸亜鉛１
％を添加して混合し、6ton／cm²の圧力で成形し、
分解アンモニア雰囲気中にて、1110℃の温度で45
分間焼結して本発明焼結合金製バルブシートを得
た。その時の密度は6.86ｇ／cm³硬度はHRB96、
基地組織はパーライト41.3％、ベイナイト21.8
％、マルテンサイト27.2％、フエロモリブデン粉
9.7％であつた。比較材料は重量％にてC1.2％、
Cr6.5％、Ni2.0％、Co6.0％、Mo2.5％、残部鉄
の焼結合金製バルブシートを用いた。この比較材
の密度は6.5ｇ／cm³硬度はHRB88、基地組織はパ
ーライトであつた。

上記、本発明焼結合金製バルブシート用と比較
用焼結合金製バルブシートについて第３図に概略
で示すバルブシート単体摩耗試験機によつてそれ
らの耐摩耗性を比較した。（第３図で、５はバル
ブシート、６はバルブ、７は熱源）（試験条件）くり返し速度：3000rpm くり返し数：８×10⁵サイクル閉弁時速度：0.5m／sec スプリング荷重：35Kg バルブ回転数：80rpm 加熱方式：プロパンとエアーの燃焼方式（300
℃）相手バルブ材質：ステライト盛試験前と後にシート当り面の同一位置の形状を
フラニメータで測定し、その前後におけるバルブ
シートリング断面の面積変化量を摩耗量とした。

試験結果を第１図に示すが、これより明らかな
如く、本発明焼結合金材は従来材料に比し約1/3
の摩耗量を示し、その優秀性は立証された。

第２図は比較試験に供した本発明焼結合金製バ
ルブシートの組織の顕微鏡写真（200倍、腐食）
であり、１はパーライト、２はベイナイト、３は
マルテンサイト、４はフエロモリブデン粒子を示
すものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の焼結合金からなるバルブシ
ートを作成し、従来材料との比較試験を行つたと
きの結果を示すグラフであり、第２図は本発明焼
結合金の組織の顕微鏡写真、第３図は摩耗試験機
の概略図である。

Claims

【特許請求の範囲】

１成分組成が重量比で、Ｃ：0.8〜1.5％、Ni：
1.5〜4.0％、Cu：0.5〜2.0％、Mo：2.5〜6.5％、
残部Feと不可避不純物からなり、面積比で20〜
50％のパーライト、15〜40％のベイナイト、15〜
40％のマルテンサイトの混合基地組織中に３〜20
％のフエロモリブデン粒子が均一に分散している
ことを特徴とするバルブシート用焼結合金材。