JPH0114170Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、熱可塑性合成樹脂シートで成形さ
れたレインコート、アノラツクあるいは種々の袋
物などの開口部に、超音波溶着あるいは高音波溶
着などによつて取付けるもので、熱可塑性合成樹
脂シートあるいは熱可塑性合成繊維を含む不織布
の如き柔軟性のある無糸帯で形成したフアスナー
テープを備えた開離嵌挿具付きスライドフアスナ
ーに関する。

〔従来の技術〕

従来、開離嵌挿具付きスライドフアスナーはそ
の開離嵌挿具取付部に補強片が付着してあつて、
該フアスナーを被着物に取付ける際に、特に開離
嵌挿具を有している下端部の取付けを強固にして
いることは良く知られている。この開離嵌挿具付
きスライドフアスナーのフアスナーテープが、塩
化ビニールの如き熱可塑性合成樹脂シートで形成
したものであつても、当然開離嵌挿具取付部に補
強片が付着されるもので、このスライドフアスナ
ーを熱可塑性合成樹脂シート製の例えばレインコ
ートなどに取付ける際には、フアスナーテープ及
びその補強片の上面に熱溶着手段によつて取付け
られる。

〔考案が解決しようとする問題点） ところで、前述の補強片は融点の低い溶着のた
めの層と該層よりも融点の高い表層とからなる複
層構造のもので、その表層は例えばナイロン６と
かナイロン66のフイルムまたは同質材の糸を緻密
な組織で織成したあるいは編成したタフタによる
ものが一般的である。こうした補強片を備えた開
離嵌挿具付きスライドフアスナーを熱可塑性合成
樹脂シート製の被着物に高周波ウエルダーまたは
超音波ウエルダーによつて一体に溶着されるが、
その際、補強片の付着部分を除くフアスナーテー
プ部は確実に溶着されるが、補強片の付着部分は
融点が高いことから溶着されない欠点があつた。

開離嵌挿具付きスライドフアスナーを被着物に
取付ける場合には、その開離嵌挿具の部品を取付
けている補強片付着部を被着物に最も強固に付着
する必要があるが、前述の如く溶着手段による場
合には補強片付着部分が被着物に対して非溶着状
態となるものであり、この部分が溶着されていな
いと、被着物が熱可塑性合成樹脂製の滑り易やい
無糸帯であるため、補強片付着部分とこれに対向
する部分との被着物との間に滑りが起り、この両
者の部分を摘んで開離嵌挿具を操作しても、滑る
ために指先の操作が思い通りに開離嵌挿具に伝わ
らず、強いては蝶棒の挿入不完全、またはこれに
伴なう無理なスライダー引き上げ操作などを喚起
し、開離嵌挿具操作がスムーズに出来ないばかり
か、フアスナーエレメントに無理を加えて不完全
噛合をなさしめて、後にチエーン割れを起こさせ
る等の問題があつた。この考案は以上の問題点を
解決することにあり、被着物を開離嵌挿具取付部
に溶着手段によつて確実且つ強固に取付けられる
と共に、開離嵌挿具の操作が確実に行なうことが
出来る開離嵌挿具付きスライドフアスナーを提供
することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、熱可塑性合成樹脂シートあるいは
熱可塑性合成繊維を含む不織布の如き柔軟性のあ
る無糸帯よりなるフアスナーテープの下端部にお
ける開離嵌挿具取付部のテープ補強部が、被着物
を付着する面をテープそのものとし、他面には補
強片を付着したことにあり、これによつて前記問
題点を解決したものである。

〔実施例〕

第１図と第２図に示す如く、左右のフアスナー
テープ１，１は塩化ビニール、ポリエステルある
いはポリアミド等の合成樹脂シート、または合成
繊維を含む不織布の如き柔軟性のある無糸帯で形
成してあつて、両テープ１，１の相対向する長手
方向の側縁における裏面全長に、第２図に明示す
る如く補強縁部２を設け、テープ１，１の下端部
における開離嵌挿具取付部のテープ補強部３が、
被着物１２を直接付着する側の面をテープそのも
のとし、他面には補強片４を付着したものであ
る。前記補強片４は、熱可塑性合成繊維糸などを
緻密な組織で織成または編成したタフタの裏面に
接着層５を設けて、これをテープ１に溶着したも
のである。尚、この実施例において、被着物１２
を付着する側のテープ面にも、被着物に付着しな
い狭巾、補強片６が付着してある。即ち、タフタ
をテープ１の一側縁、裏側にはテープ１の巾に亘
つて長く突出する状態にして溶着したものであ
る。このように狭巾補強片６を設けておくことに
より、開離嵌挿具を構成する部品を強固に取付け
ることが出来る。上記フアスナーテープ１，１に
フアスナーエレメント７及び開離嵌挿具８を止着
したもので、フアスナーエレメント７はその構造
に応じて加締めあるいは縫着手段によつて取付け
るものであり、開離嵌挿具８は蝶棒９と箱棒１０
及び箱体１１で構成され、その蝶棒９は一方のフ
アスナーテープ１の下端部に、箱棒１０と箱体１
１は他方のフアスナーテープ１の下端部にそれぞ
れ加締め手段によつて取付けられる。しかし上記
の開離嵌挿具７は、両テープ１，１を開離したり
結合したりするのみの機能をもつものであるが、
これをフアスナーエレメントを噛合及び開離する
スライダー（図示せず）と同様の機能をもつた形
態のものにして、スライドフアスナーの下端部か
ら開離することが出来るいわゆる逆開き形式の開
離嵌挿具であつても良い。

また、前記の補強片はタフタに限らず、例えば
ナイロン６とかナイロン66の如く融点の高い合成
樹脂フイルムに低融点の接着層５を設けた複層構
造のものでも良い。

次に第５図に示す例は、フアスナーテープ１の
裏面に設けた補強片４を、開離嵌挿具寄りの基部
４ａとテープ部を覆う側部４ｂとを別体に形成し
たもので、基部４ａと側部４ｂを互いに重ね合し
てテープ１に溶着したものであるが、この側部４
ｂを当初より付着しておかないで、被着物１２を
溶着すると同時に溶着しても良い。

上記実施例による開離嵌挿具付きスライドフア
スナーの開離嵌挿具取付部のテープ補強部３に被
着物１２を取付ける場合には、第３図と第４図に
示す如く、被着物１２の開口部側縁を二つ折りに
折り返してフアスナーテープ１そのものの表面に
当接し、超音波溶着あるいは高周波溶着によつて
溶着するものである。

〔考案の効果〕

この考案による開離嵌挿具付きスライドフアス
ナーは、熱可塑性合成樹脂シートあるいは熱可塑
性合成繊維を含む不織布の如き柔軟性のある無糸
帯よりなるフアスナーテープの下端部における開
離嵌挿具取付部のテープ補強部が、被着物を付着
する側の面をテープそのものとし、他面に補強片
を付着しているものとなつているから、被着物を
テープそのものとなつているテープ補強部に熱溶
着手段によつて一体に溶着することにより、この
溶着は確実且つ強固であり、しかも開離嵌挿具取
付部のテープ補強部と被着物との間に滑りを起こ
すことがなくなり、開離嵌挿具の操作が確実に行
なうことが出来る。また開離嵌挿具取付部のテー
プ補強部の被着物と付着する面に対して反対側の
面は、被着物に付着しにくいような融点の高い強
靭な熱可塑性合成樹脂材よりなる補強片を付着す
ることが出来るので、耐久性のある補強部を有し
た開離嵌挿具付きスライドフアスナーを得ること
が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による開離嵌挿具付きスライ
ドフアスナーの要部を示す斜視図、第２図は第１
図−線矢視の拡大断面図、第３図は第１図に
示す開離嵌挿具付きスライドフアスナーに被着物
を取付けた状態を示す斜視図、第４図は第３図
−線矢視の拡大断面図、第５図はこの考案によ
る類例の開離嵌挿具付きスライドフアスナーに被
着物を取付けて示す断面図である。 １……フアスナーテープ、３……テープ補強
部、４……補強片、７……フアスナーエレメン
ト、８……開離嵌挿具、９……蝶棒、１０……箱
棒、１１……箱体、１２……被着物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フアスナーテープ１を、熱可塑性合成樹脂シー
   トあるいは熱可塑性合成繊維を含む不織布の如き
   柔軟性のある無糸帯とし、該テープの一側縁の下
   端部に蝶棒９、箱棒１０及び箱体１１等からなる
   開離嵌挿具８を有しているスライドフアスナーに
   おける開離嵌挿具取付部のテープ補強部３が、被
   着物１２を付着する側の面をテープそのものと
   し、他面に補強片４を付着していることを特徴と
   する開離嵌挿具付きスライドフアスナー。