JPH0112024Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は自転車用駆動チエン、詳しくは自転
車におけるフロントギヤとリヤギヤとの少なくと
も一方を多段とし、この多段ギヤの一つと、前記
両ギヤのうちの他方との間に張設される駆動チエ
ンに関する。

（従来の技術） 一般にサイクリング用自転車などにおいては、
フロントギヤとリヤギヤとの少なくとも一方を、
径の異なる複数枚のギヤにより多段状に形成し、
自転車走行時にデイレーラーを介して前記径の異
なるギヤに駆動チエンを掛換えることにより、変
速走行を行うごとくしている。

しかして従来の駆動チエンは、例えば実公昭54
−36430号公報に記載されているごとく、アウタ
ープレートとインナープレート及びこれら両プレ
ートの両端部を連結するピンとから成り、前記各
プレートの外側面をそれぞれ平滑かつ面一状とし
ていたのである。

（考案が解決しようとする問題点） ところで自転車走行時に変速走行を行うべく、
特にフロントギヤを多段とし、この多段フロント
ギヤにおける小径ギヤから大径ギヤに掛換える場
合、駆動チエンは、フロントデイレーラーにおけ
るチエンガイドにより大径ギヤの軸方向外方に強
制的に押圧されるため、このチエンの大径ギヤ側
への押圧部分が前記大径ギヤの歯部側面から該歯
部に乗り上げて噛合しようとするとき、前記従来
の駆動チエンでは、アウター及びインナープレー
トのそれぞれ外側面が平滑かつ面一状とされてい
るため、この各プレートの外側面と前記大径ギヤ
の歯部との間に滑りが生じて、迅速、かつ円滑に
噛合わないのである。そのため、噛合が遅れて空
転現象が多く生じたり、或いは音鳴り現象が多く
生じる問題があつたのである。

本考案の目的は、小径ギヤから大径ギヤへのチ
エン掛換時、該チエンと大径ギヤとの間に滑りが
生じて空転現象、音鳴り現象が多く生じる問題点
を解決しようとするものであつて、前記アウター
プレートとインナープレートとの少なくとも一方
のプレートにおける外側面を利用し、この外側面
に抵抗手段を設けることにより、チエンの大径ギ
ヤとの接触抵抗を多くし、迅速に、かつ、円滑に
掛換えることができるようにしたのである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記駆動チエンを構成するアウター
プレートとインナープレートとの少なくとも一方
のプレートの外側面に、前記多段ギヤにおける小
径ギヤから大径ギヤに掛換えるとき、該大径ギヤ
の歯部と接触する接触部位の接触抵抗を増大させ
る抵抗手段を設けたのである。

（作用） しかして自転車走行時に前記駆動チエンを前記
小径ギヤから大径ギヤに掛換えるとき、前記プレ
ートの外側面に形成した抵抗手段により、該プレ
ートの外側面と前記大径ギヤの歯部との間の滑り
を少なくし、歯部と接触したとき大径ギヤに逸速
く掛換えることができるようにしたのである。

（実施例） 以下本考案にかかる自転車用駆動チエンを図面
の実施例によつて説明する。

図面に示す自転車は、クランク軸Ｋに大、小径
２枚のギヤ１ａ，１ｂから成るフロントギヤ１を
固定し、このフロントギヤ１と後車輪ハブ（図示
せず）に固定するリヤギヤ２との間に、駆動チエ
ン３を掛回すると共に、前記フロントギヤ１の近
くで前記チエン３の回行軌跡上に、フロントデイ
レーラー４を設けて、該フロントデイレーラー４
の操作で前記チエン３を前記フロントギヤ１の
大、小径ギヤ１ａ，１ｂに掛換えることにより、
自転車の変速走行を行うごとくしている。

しかして前記駆動チエン３を次のごとく形成し
たのである。

即ち、前記駆動チエン３は、第１及び第２図に
詳しく示すごとく、互いに相対向する１対のアウ
タープレート３１と、互いに相対向する１対のイ
ンナープレート３２と、これら各プレート３１，
３２の長さ方向両端部を連結する連結ピン３３と
から成り、前記アウタープレート３１とインナー
プレート３２との内、少なくとも一方のプレート
の外側面に、前記フロントギヤ１の小径ギヤ１ｂ
から大径ギヤ１ａに掛換えるとき、該大径ギヤ１
ａの歯部１ｃと接触する接触部位の接触抵抗を増
大させる抵抗手段５を設けたのである。

具体的には、相対向するアウタープレート３１
のうち、掛換時、フロントギヤ１における大径ギ
ヤ１ａと接触する一方側アウタープレート３１の
外側面に、前記抵抗手段として外周縁から内側に
向つて延びる多数の凹凸条５を形成し、前記チエ
ン３を、例えば第３図に示すごときフロントギヤ
１において、その小径ギヤ１ｂから大径ギヤ１ａ
に掛換えるとき、前記凹凸条５により前記アウタ
ープレート３１の大径ギヤ側外側面と大径ギヤ１
ａの歯部１ｃ側面との間に接触抵抗を生じさせ、
この抵抗により前記アウタープレート３１に、前
記大径ギヤ１ａの回転に追従する半径方向外方へ
の付勢力を付与し、この付勢力でもつて前記チエ
ン３を前記大径ギヤ１ａの歯部１ｃに円滑に噛合
させるごとくしたのである。

又、前記アウタープレート３１の外側面に形成
する抵抗手段５としては、前記凹凸条５に限ら
ず、ローレツトを施こしてもよいし、又、粗面に
してもよいのであつて、その構成は特に限定され
るものでない。

しかし、凹凸条とか或いはローレツト形状にし
た場合、前記アウタープレート３１のプレス機な
どによる成形時、抵抗手段を一挙に形成すること
ができるので、抵抗手段を設けたことによるコス
トアツプを非常に小さくできるのである。

尚、前記実施例では、相対向するアウタープレ
ート３１のうち、掛換時、フロントギヤ１におけ
る大径ギヤと接触する一方側アウタープレートに
のみ前記抵抗手段５を設けたが、この抵抗手段５
は前記インナープレート３２のうち、抵抗手段を
設けるアウタープレートと同じ側のインナープレ
ートにのみ設けてもよいし、又、その一方側にお
けるアウタープレートとインナープレートとに設
けてもよいのであり、又、相対向するアウタープ
レート３１及びインナープレート３２の一方側の
みならず、両方側に設けてもよいのである。

又、第１図において、３４は前記インナープレ
ート３２間に設けた前記ピン３３挿通用のブツシ
ユ、３５は前記インナープレート３２間で前記ブ
ツシユ３４の外周に挿嵌させたローラである。

また第４図の実施例では、前記リヤギヤ２とし
て径の異なる複数枚のギヤ２ａ…を用い、このリ
ヤギヤ２の近くで前記駆動チエン３の回行軌跡上
にリヤデイレーラー６を配置し、該リヤデイレー
ラー６の操作により前記チエン３を前記ギヤ２ａ
…の任意ギヤに掛換えて、自転車の変速走行を行
い得るようにしている。この場合、例えば相対向
するアウタープレート３１の両方側に抵抗手段５
を設けることにより、前記フロントギヤ１の場合
と同じく、小径ギヤ２ａから大径側ギヤに前記チ
エン３を掛換えるとき、該チエン３に設けた前記
抵抗手段５によりチエン３を逸速く大径ギヤに掛
換えることができるのである。

本考案の駆動チエンは以上のごとく構成したも
ので、例えば前記フロントギヤ１において、小径
ギヤ１ｂから大径ギヤ１ａに前記駆動チエン３を
掛換えるときには、前記アウタープレート３１に
設けた抵抗手段５により、前記アウタープレート
３１の外側面と前記大径ギヤ１ａの歯部１ｃとの
間に大きな接触抵抗が生じ、この抵抗により前記
アウタープレート３１に前記大径ギヤ１ａの回転
に追従する半径方向外方への付勢力が強制的に付
与され、この付勢力でもつて前記チエン３が前記
大径ギヤ１ａの歯部１ｃ上に乗り上げて、該歯部
１ｃに逸速く噛合されるのである。

（考案の効果） 以上説明したごとく本考案にかかる自転車用駆
動チエンでは、該チエンを構成するアウタープレ
ートとインナープレートとの少なくとも一方のプ
レートの外側面に、多段ギヤにおける小径ギヤか
ら大径ギヤに掛換えるとき、該大径ギヤの歯部と
接触する接触部位の接触抵抗を増大させる抵抗手
段を設けたから、自転車走行時に前記駆動チエン
を前記小径ギヤから大径ギヤに掛換えて変速する
とき、前記プレートの外側面に形成した抵抗手段
により、該プレートと前記大径ギヤの歯部との間
に、前記駆動チエンを前記歯部に噛合させるため
の大きな接触抵抗を生じさせ、この抵抗により前
記駆動チエンを前記大径ギヤに逸速く噛合させる
ことができて、変速性能を著しく高め得ると共
に、音鳴り現象を少なくすることができるのであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる駆動チエンの平面図、
第２図は同側面図、第３図はフロントギヤの平面
図、第４図は自転車要部の側面図である。 １……フロントギヤ、１ａ……大径ギヤ、１ｂ
……小径ギヤ、１ｃ……歯部、２……リヤギヤ、
３……駆動チエン、３１……アウタープレート、
３２……インナープレート、３３……ピン、５…
…抵抗手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自転車におけるフロントギヤとリヤギヤとの少
   なくとも一方を多段とし、この多段ギヤの一つ
   と、前記両ギヤのうちの他方との間に張設される
   駆動チエンであつて、アウタープレートとインナ
   ープレート及びこれら両プレートの両端部を連結
   するピンとから成り、前記アウタープレートとイ
   ンナープレートとの少なくとも一方のプレートの
   外側面に、前記多段ギヤにおける小径ギヤから大
   径ギヤに掛換えるとき、該大径ギヤの歯部と接触
   する接触部位の接触抵抗を増大させる抵抗手段を
   設けたことを特徴とする自転車用駆動チエン。