JP7904033B2 - 情報処理装置、制御装置、方法、及びプログラム - Google Patents

情報処理装置、制御装置、方法、及びプログラム

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Description

本発明は、情報処理装置、制御装置、方法、及びプログラムに関する。
特許文献1には、航海での燃料消費量が最小となるように最適航路を決定することにより、二酸化炭素(以下、CO2という場合がある)の排出量を削減する運航支援装置が開示されている。
特開2013-107488号公報
近年、CO2などの環境負荷の要因となる物質(以下、環境負荷物質という場合がある)の排出量の削減に加えて、船舶が環境負荷物質の排出量に対して如何にその輸送対象物を効率的に輸送できるかの観点も着目されている。そのため、船舶における環境負荷物質の排出量削減及び輸送対象物の輸送の観点から効率的に運航することを可能にする手法が求められている。
上記を鑑み、本発明の目的は、船舶における環境負荷物質の排出量削減及び輸送対象物の輸送の観点から効率的に運航することを可能にする技術を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理装置は、航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得する取得部と、前記目標排出効率に基づいて前記船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成すること及び前記船舶を推進させる推進機構を制御することの少なくとも1つを実行する情報処理部と、を備える。
本発明の別の態様の方法は、航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得するステップと、前記目標排出効率に基づいて前記船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成すること及び前記船舶を推進させる推進機構を制御することの少なくとも1つを実行するステップと、を備える。
本発明のさらに別の態様のプログラムは、コンピュータに、航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得するステップと、前記目標排出効率に基づいて前記船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成すること及び前記船舶を推進させる推進機構を制御することの少なくとも1つを実行するステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明のさらに別の態様の情報処理装置は、船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成する航海計画作成部と、前記作成した航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出する算出部と、前記排出効率の推定値を出力する出力部と、を備える。
本発明のさらに別の態様の方法は、船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成するステップと、前記作成した航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出するステップと、前記排出効率の推定値を出力するステップと、を備える。
本発明のさらに別の態様のプログラムは、コンピュータに、船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成するステップと、前記作成した航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出するステップと、前記排出効率の推定値を出力するステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明のさらに別の態様の情報処理装置は、船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成する航海計画作成部と、前記作成した航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出する算出部と、前記排出効率の推定値が前記排出効率の目標値である目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画における実際の前記排出効率を取得する取得部と、前記同じ又はより良い効率である航海計画についての前記排出効率の推定値及び前記実際の排出効率を出力する出力部と、を備える。
本発明のさらに別の態様の方法は、船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成するステップと、前記作成した航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出するステップと、前記排出効率の推定値が前記排出効率の目標値である目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画における実際の前記排出効率を取得するステップと、前記同じ又はより良い効率である航海計画についての前記排出効率の推定値及び前記実際の排出効率を出力するステップと、を備える。
本発明のさらに別の態様のプログラムは、船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成する航海計画作成部と、前記作成した航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出するステップと、前記排出効率の推定値が前記排出効率の目標値である目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画における実際の前記排出効率を取得するステップと、前記同じ又はより良い効率である航海計画についての前記排出効率の推定値及び前記実際の排出効率を出力するステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明のさらに別の態様の制御装置は、航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得する取得部と、前記目標排出効率に基づいて前記船舶を推進させる推進機構を制御する推進制御部と、を備える。
本発明のさらに別の態様の方法は、航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得するステップと、前記目標排出効率に基づいて前記船舶を推進させる推進機構を制御するステップと、を備える。
本発明のさらに別の態様のプログラムは、コンピュータに、航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得するステップと、前記目標排出効率に基づいて前記船舶を推進させる推進機構を制御するステップと、を実行させるためのプログラムである。
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、船舶における環境負荷物質の排出量及び輸送対象物の輸送の観点から効率的に運航することを可能にする技術を提供できる。
第1実施形態の航海計画作成システムを示す図である。 第1実施形態の航海計画作成装置を概略的に示すブロック図である。 第1実施形態の航海計画作成装置の処理の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態の変形例に係る航海計画作成装置を概略的に示すブロック図である。 第2実施形態の航海計画作成装置を概略的に示すブロック図である。 第2実施形態の航海計画作成装置の処理の一例を示すフローチャートである。 第3実施形態の制御装置が適用された船舶を概略的に示す。 第3実施形態の制御装置を概略的に示すブロック図である。 第3実施形態の制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。 第4実施形態の制御装置を概略的に示すブロック図である。 第4実施形態の制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。 第5実施形態の制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の情報処理装置を概略的に示すブロック図である。
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
本明細書では、船舶から排出される環境負荷の要因となる物質を「環境負荷物質」という。環境負荷物質は、例えば、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)及び三フッ化窒素(NF3)などの地球の温室効果の要因となる物質や、窒素酸化物(NOx)及び硫黄酸化物(SOx)などの大気汚染の要因となる物質などを含む。なお、「船舶から排出される環境負荷物質」は、船舶の主機などの推進機関から排出されるものに限定されず、船舶20に設置された照明機器、空調機器、航海機器、電動ポンプ、補機、各種ECUなどの他に、船舶20において船内母線(不図示)を介して電力供給を受けて電力を消費するあらゆる船内負荷から排出されるものを含む。以下の実施形態では、環境負荷物質としてCO2を例に説明するが、他の環境負荷物質について本発明が適用されてもよいし、複数の環境負荷物質の各々について本発明が適用されてもよい。
本明細書では、航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷物質の排出量を「環境負荷物質の排出効率(以下、排出効率)」という。上記仕事率当たりの環境負荷物質の排出量が比較的小さい場合、排出効率が「良い」といい、上記仕事率当たりの環境負荷物質の排出量が比較的大きい場合、排出効率が「悪い」という。例えば、排出効率が後述の目標排出効率を下回る場合、排出効率が目標排出効率よりも良いという。また、環境負荷物質の排出量当たりの上記仕事率が比較的大きい場合、排出効率が「良い」ということもでき、環境負荷物質の排出量当たりの上記仕事率が比較的小さい場合、排出効率が「悪い」ということもできる。また、排出効率が良化することを「改善」と表記する。
本明細書では、船体の対水船速を単に「船速」といい、船体の現在の喫水を単に「喫水」という。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る航海計画作成システム1を示す。図1の航海計画作成システム1は、陸上に設置された管理センタ10と、海上を運航する船舶20と、を含む。第1実施形態では、管理センタ10は、航海計画を作成する航海計画作成装置100を含む。管理センタ10及び船舶20は、互いに通信可能に構成される。管理センタ10は、作成した航海計画を船舶20に送信することができる。
図2は、第1実施形態の航海計画作成装置100を概略的に示すブロック図である。図2及び後述するブロック図に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
図2に示すように、第1実施形態の航海計画作成装置100は、取得部101と、航海計画作成部102と、算出部103と、出力部104と、アラート発生部105と、記憶部106と、を備える。
取得部101は、船舶20における航海の条件を示す航海条件データを取得する。第1実施形態の航海条件データは、船舶20を識別するための識別情報(例えば、船舶20の識別番号など)、船舶20の出発地点および到着地点(発着地点)と、出発時刻および目標到着時刻(発着時刻)と、目標到着時刻から許容可能な時間だけ後に設定された時刻である許容到着時刻と、CO2の目標排出効率Ce_tと、を含む。航海条件データは、例えば、経由地点やその経由地点の発着時刻を含んでもよい。航海条件データにおける目標排出効率Ce_tは、数値入力により設定されてもよいし、例えばIMO(International Maritime Organization)のCII(Carbon Intensity Indicator)による格付基準に基づくA~Eなどのレベルを予めテーブルとして設定しておき、目標となるレベルを入力することにより設定されてもよい。CIIによる格付け基準に基づくレベルを適用することにより、目標とするCIIによる格付けを獲得しやすくなる。
また、取得部101は、発着地点間及びその周囲の気象及び海象をそれぞれ示す気象データ及び海象データを外部の気象データサーバ及び海象データサーバ(いずれも不図示)から受信する。例えば、第1実施形態では、気象データとして天候(晴天、曇天など)を示す天候データや風速や風向きを示す風データが用いられ、海象データとして波高と波周期とを示す波浪データや潮流に向きと潮速とを示す潮流データが用いられる。気象データ及び海象データは、現在の気象及び海象の状況に関する情報のみならず、将来の気象及び海象の状況に関する情報も含んでよい。
航海計画作成部102は、航海条件データに基づいて船舶20の航海計画を作成する。この航海計画は、発着地点間の航路を少なくとも含む。計画航路は、例えば、航海条件データで示される各種条件、航路の任意の地点間の目標船速、その航海における後述の燃料消費量F、後述の輸送対象物の重量L、後述の排出効率Ceの推定値等をさらに含んでもよい。航海計画作成部102は、発着地点間において発着時刻内で航行され得る複数の航海計画を公知の方法を用いて作成する。したがって、航海計画における発着地点間の航路、その航路の任意の地点間の船速、その航海における燃料消費量F等は、公知の方法を用いて作成される。航海計画は航海前に作成されてもよいし、運航中に作成されてもよい。
算出部103は、作成した航海計画における船舶20のCO2の排出量及び船舶20が輸送対象物を輸送する際の仕事率に基づいて、作成した航海計画についての単位時間当たりの排出効率Ceの推定値(第1及び第2実施形態では、推定排出効率Ceという)を算出する。Fを単位時間当たりの燃料消費量[kg/s]、C1を船舶20で用いられる燃料種により定義される燃焼時のCO2の排出量への換算定数、C(=F×C1)を単位時間当たりのCO2の排出量[kg/s]、Lを輸送対象物の重量[kg]、Vsを船速[m/s]、船舶20が輸送対象物を輸送するための単位時間当たりの仕事量を仕事率W(=L×Vs)[kg・m/s]とすると、推定排出効率Ce[kg/s/kg・m/s]は例えば以下の式(1)により計算される。
Ce=C÷W
=(F×C1)÷(L×Vs) 式(1)
ここで、輸送対象物の重量Lの主要な内訳は、貨物の重量、バラスト水の重量及び燃料の重量であるが、輸送対象物の重量Lには清水、ビルジ、乗員等の重量も含まれる。第1実施形態では、船舶20の輸送対象物の重量Lとして、船舶20の設計スペックとして定められた載貨重量トンDWT(Deadweight tonnage)が用いられる。
出力部104は、作成した航海計画を出力する。第1実施形態の出力部104は、作成した航海計画と共に、その航海計画における推定排出効率Ceを出力する。例えば、出力部104は、航海計画等を管理センタ10や船舶20に出力することにより、管理センタ10や船舶20に搭載されたディスプレイに航海計画等を表示させる。
アラート発生部105は、目標到着時刻が許容到着時刻を超える旨のアラートを発生させる。例えば、アラート発生部105は、管理センタ10や船舶20に搭載されたディスプレイやスピーカを用いて目標到着時刻が許容到着時刻を超える旨を表示させたり音声出力させることができる。
記憶部106は、各種処理を実行するためのプログラム等を記憶している。第1実施形態の記憶部106は、取得部101が取得した航海条件データ、航海計画を作成するための公知の航海計画作成モデル、船舶20の基本的なスペックを示すスペック情報(例えば、船舶20の単位航行距離当たりの燃料消費量、船舶20の輸送対象物の重量L、換算係数C1など)等を記憶している。
図3は、第1実施形態の航海計画作成装置100の処理S100を示すフローチャートである。
ステップS101で、取得部101は、航海条件データを取得したか否かを判断する。航海条件データは、例えば、管理センタ10に設けられたPCなどのユーザ入力装置(不図示)を介してオペレータ等によって入力される。航海条件データは、例えば、船舶20に設けられたPCなどのユーザ入力装置(不図示)を介して船舶20の船長/乗組員などによって入力されて船舶20から管理センタ10に送信されてもよい。航海条件データを取得していない場合(ステップS101のN)、処理S100はステップS101の先頭に戻り、ステップS101を繰り返す。航海条件データを取得した場合(ステップS101のY)、処理S100はステップS102に進む。
ステップS102で、取得部101は、航海条件データの発着地点及び発着時刻における気象データ及び海象データを取得する。
ステップS103で、航海計画作成部102は、航海計画を作成する。第1実施形態の航海計画作成部102は、記憶部106に記憶された航海計画作成モデルに航海条件データ、気象データ、海象データ及び、船舶20のスペック情報を入力することにより、航海計画を作成する。第1実施形態の航海計画作成部102は、作成した航海計画のうち、船舶20の燃料消費量Fが最も少ない航路計画を使用する。以下、燃料消費量Fが最も少ない航海計画における船舶20の燃料消費量を最小燃料消費量Fminという。
ステップS104で、算出部103は、上記式(1)に基づいて、作成した航海計画についての推定排出効率Ceを算出する。第1実施形態では、一回の航海全体での推定排出効率Ceが算出される。第1実施形態では、上記式(1)を算出する際、船速Vsは航海計画の航路全体における船速Vsの平均値を用い、燃料消費量Fは記憶部106に記憶されたスペック情報における単位航海距離当たりの燃料消費量と航海計画の航路全体の航海距離との積に基づいて算出され、輸送対象物の重量L及び換算定数C1は記憶部106から読み出される。
ステップS105で、算出部103は、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_t以下であるか否か(Ce≦Ce_t)を判断する。Ce≦Ce_tである場合(ステップS105のY)、すなわち推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率である場合、処理S100はステップS106に進む。Ce≦Ce_tではない場合(ステップS105のN)、すなわち推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tより悪い効率である場合、処理S100はステップS107に進む。
ステップS106で、出力部104は、作成した航海計画及びその推定排出効率Ceを管理センタ10や船舶20のディスプレイに出力する。これにより、管理センタ10のオペレータや船上の船長/乗組員は推定排出効率Ceを確認しつつ航路計画を最終的に決定することができる。また、航海計画毎の排出効率の可視化ができるため、オペレータ等は排出効率の管理や年間の計画を立案しやすくなる。ステップS106の後、処理S100は終了する。
ステップS107で、航海計画作成部102は、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように航海計画を再作成する。例えば、航海計画作成部102は、航海条件データにおける目標到着時刻の制限なしで推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_t以下となるように航海計画を作成する。ここで、排出効率は、船舶20が進行する航路における気象及び海象が大きく影響する。例えば、向かい風や波高が大きい場合や波周期が短い場合には、船舶20が航路を進行する際に船舶20が風や波から受ける抵抗が大きくなってより多くの推進力が必要となるため、より多くのエネルギーを消費、すなわちより多くのCO2を排出する必要があるためである。そのため、例えば風向きや潮流などの気海象条件により、航行距離当たりの燃料消費量(すなわち航行距離当たりのCO2の排出量)が少ない海域がある場合、多少遠回りしたとしてもその海域を航海した方が排出効率を改善できる場合が考えられる。例えば、航海計画作成部102は、ステップS103で作成した航海計画における航路の迂回路を作成し、その迂回路に基づいて航海計画を作成する。迂回路を探索するアルゴリズムは、例えばダイクストラ法などを用いることができるが、これに限定されず、公知の迂回路探索手法を用いることができる。
ステップS108で、アラート発生部105は、再作成した航海計画の目標到着時刻が許容到着時刻を超えるか否かを判断する。目標到着時刻が許容到着時刻を超える場合(ステップS108のY)、処理S100はステップS109に進む。目標到着時刻が許容到着時刻を超えない場合(ステップS108のN)、処理S100はステップS110に進む。
ステップS109で、アラート発生部105は、目標到着時刻が許容到着時刻を超える旨のアラートを発生させる。ステップS109の後、処理S100はステップS110に進む。
ステップS110で、出力部104は、再作成した航海計画及びその推定排出効率Ceを管理センタ10や船舶20のディスプレイに出力する。これにより、管理センタ10のオペレータや船舶20上の船長/乗組員は推定排出効率Ceを確認しつつ航路計画を最終的に決定することができる。また、航海計画毎の排出効率の可視化ができるため、オペレータ等は排出効率の管理や年間の計画を立案しやすくなる。
ステップS110の後、処理S100は終了する。
ここで、航路計画システムにおいて、船舶20におけるCO2の排出量に基づいて航海計画を作成することが想定される。しかし、例えば、船舶20の本来的な機能は輸送対象物を輸送することにある一方で、輸送対象物を少なくすればCO2の排出量を削減できる。そのため、単にCO2の排出量に基づいて航海計画を作成することはCO2の排出量削減と輸送対象物の輸送との両立の観点から必ずしも有効な方法とは言えない。したがって、船舶20におけるCO2の排出量削減と輸送対象物の輸送との両立の観点から効率的に運航することを可能にする手法が求められている。
第1実施形態では、航海計画作成部102は、目標排出効率に基づいて航海計画を作成する。本構成によると、船舶20におけるCO2の排出量削減と輸送対象物の輸送との両立の観点から航海計画を適切に作成することが可能となる。
第1実施形態では、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率である航海計画を出力する。本構成によると、目標排出効率よりも良い排出効率の航海計画を適切に作成することが可能となる。排出効率を目標排出効率によって制限した航路計画に基づく運航を継続することにより、将来カーボンフットプリントが導入された場合の輸送時のCO2の排出量を確実に抑制及び管理できる。
第1実施形態では、航海計画作成部102は、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率ではない場合、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように航海計画を再作成し、出力部104は再作成した航海計画を出力する。本構成によると、作成した航海計画の推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率ではない場合であっても、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率の航海計画を適切に再作成できる。
第1実施形態では、アラート発生部105は、再作成した航海計画における目標到着時刻が許容到着時刻を超える場合、目標到着時刻が許容到着時刻を超える旨のアラートを発生させる。本構成によると、アラートを受けた者は、再作成した航海計画における目標到着時刻が許容到着時刻を超えることを把握でき、その航海計画の適否の判断を適切に行うことが可能となる。
以下、第1実施形態の変形例を説明する。
第1実施形態では、航海計画作成部102は、船舶20の燃料消費量が最小となるように航海計画を作成したが、船舶20の燃料消費量が所定値以下となるように航海計画を作成してもよい。本構成によると、作成した航海計画において、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率であるものの、燃料消費量が増加してしまい、その結果、実質的なCO2の排出量が増加してしまうような事態を抑制できる。
第1実施形態では、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_t以下となるように航海計画が作成されたが、これに限定されない。推定排出効率Ceおよび目標排出効率Ce_tに基づいて航海計画が作成されればよく、例えば、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tに近づくように航海計画が作成されてもよい。
船舶20の航行状態が所定の安全航行基準を満たさない場合、推定排出効率Ce及び目標排出効率Ce_tに基づいて航海計画を作成する処理を実行しなくてもよい。ここでの「船舶20の航行状態が所定の安全基準を満たさない場合」とは、例えば、荒天時、船舶20の推進機構70や制御装置200等の異常や故障が発生した場合、ユーザ入力装置を介して船舶20の航行状態が所定の安全基準を満たさないことを示す入力を受けた場合などの船舶20の安全航行上支障があると予想される場合が挙げられる。例えば、図3のステップS104、S105、S107~S110の処理を実行せずに、ステップS103の後、処理S100はステップS106に進んでもよい。本構成によると、航海の安全性を確保しつつ排出効率の観点から適切な航海計画を作成することが可能となる。
第1実施形態では、航海計画作成装置100は、管理センタ10に設けられたが、船舶20に設けられてもよい。
第1実施形態では、航海計画作成部102は、船舶20の燃料消費量が最も少ない航路を用いて航路計画を作成したが、これに限定されない。例えば、船舶20の燃料消費量が基準値よりも小さい1つ又は複数の航路についてそれぞれ航海計画が作成されてもよい。この場合、作成した1つ又は複数の航路のうち、推定排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率である航海計画が出力されればよい。
第1実施形態では、作成した航海計画と共に、推定排出効率Ceが出力されたが、これに限定されず、作成した航海計画及び推定排出効率Ceの一方が出力されてもよい。
取得部101が作成した航海計画における船舶20のCO2の実際の排出効率を取得し、出力部104は推定排出効率Ce及び実際の排出効率を出力してもよい。例えば、記録部は航海中に実際の燃料流量及び実際の航海距離を記録し、航海終了時に、算出部103が発着時刻の間に記録した実際の燃料流量及び実際の航海距離に基づいて実際の排出効率を算出し、出力部104が推定排出効率Ce及び実際の排出効率をディスプレイ等に表示させる。これにより、推定排出効率Ce及び実際の排出効率の比較が可能となり、航海計画作成装置100において算出される推定排出効率Ceの精度を把握することが可能となる。
図4は、第1実施形態の変形例に係る航海計画作成装置100を概略的に示すブロック図である。第1実施形態の変形例に係る航海計画作成装置100は、記憶部106に記憶された航海計画作成モデルを所定のアルゴリズムに基づいて更新するモデル更新部107を備えてもよい。モデル更新部107によるモデル更新処理に使用されるアルゴリズムは、例えば、燃焼消費量のより少ない航海計画を作成することを目標として適宜設計することができる。例えば、モデル更新部107は、航海計画に基づく航路で運航したときの合計の燃料消費量の実測値を教師データとした機械学習により航海計画作成モデルを更新することができる。モデル更新部107は、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)、ランダムフォレスト等、公知の機械学習手法を用いて航海計画作成モデルを更新することができる。
第1実施形態では、船舶20の輸送対象物の重量Lとして船舶20について定められた輸送対象物の重量DWTが用いられたが、これに限定されない。例えば、輸送対象物の重量Lは、喫水計の計測した喫水を示す喫水データに基づいて算出されてもよいし、他の公知の方法により求められてもよい。
第1実施形態では、ステップS107で、取得した航海条件データにおける目標到着時刻の制限なしで航海計画が再作成されたが、これに限定されない。例えば、目標到着時刻を30分などの所定の時間遅らせるように再設定し、再設定した目標到着時刻に基づいて航海計画が再作成されてもよい。また、許容到着時刻を目標到着時刻として航海計画が再作成されてもよい。
第1実施形態では、アラート発生部105は、再作成した航海計画における目標到着時刻が許容到着時刻を超える場合、目標到着時刻が許容到着時刻を超える旨のアラートを発生させたが、これに限定されず、アラートを発生させなくてもよい。例えば、再作成した航海計画における目標到着時刻が許容到着時刻を超える場合、航海計画作成部102が許容到着時刻を超えないように航海計画を再作成してもよい。
第1実施形態では、推定排出効率Ce、船舶20の燃料消費量F、CO2の排出量C、仕事率Wは、単位時間当たりのものとしたが、例えば、単位距離当たりのものでもよい。また、これらは、単位時間当たりのものではなく、航海計画の航路を運航することを想定した場合の合計値が用いられてもよい。
第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
図5は、第2実施形態の航海計画作成装置100を概略的に示すブロック図である。第2実施形態の航海計画作成装置100は、取得部101と、航海計画作成部102と、算出部103と、出力部104と、記憶部106と、を備える。
図6は、第2実施形態の航海計画作成装置100の処理S200を示すフローチャートである。処理S200におけるステップS201~S202は、図3のステップS101~S102と基本的に同様であるため、その説明を省略する。
ステップS201~S202を経て、ステップS203で、航海計画作成部102は、複数の航海計画を作成する。例えば、第2実施形態の航海計画作成部102は、燃料消費量が基準値よりも小さい1つ又は複数の航路についての航海計画を算出する。
ステップS204で、算出部103は、複数の航海計画の各々について、推定排出効率Ceを算出する。
ステップS205で、出力部104は、作成した各航海計画及び各航海計画についての推定排出効率Ceを出力する。
第2実施形態では、出力部104は、作成した航海計画についての推定排出効率Ceを出力する。本構成によると、管理センタ10のオペレータや船舶20上の船長/乗組員は推定排出効率Ceを確認しつつ航路計画を最終的に決定することができる。また、航海計画毎の排出効率の可視化ができるため、オペレータ等は排出効率の管理や年間の計画を立案しやすくなる。
第3実施形態
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
図7及び図8を参照する。図7は、第3実施形態の制御装置200が適用された船舶20を概略的に示す。図8は、本発明の第3実施形態に係る制御装置200を概略的に示すブロック図である。図7に示すように、第1実施形態では、船舶20は、船体21と、制御装置200と、推進機構70と、を備える。第3実施形態の制御装置200は、排出効率Ce及び目標排出効率Ce_tに基づいて推進機構70を制御する。
推進機構70は、船体21を推進させる推進力を生じさせる機構である。推進機構70は、船体21を推進させ得るものであればよい。第3実施形態では、推進機構70は、原動機としてディーゼルエンジン(以下、「主機74」という)を備え、主機74によってシャフト78を駆動することによりプロペラ75を回転させて推進力を得る。推進機構70は、主機74を運転するために、主機74の回転数やトルクに応じた量の燃料を消費する。推進機構70は、主機74の回転数の変動を抑制する調速装置77を備える。調速装置77は、ガバナとも称され、負荷変動に対して主機74の回転数が変化したときに、その変化を緩和するように燃料供給量を調整する。
第3実施形態の制御装置200は、主機74を制御する。第3実施形態の制御装置200は、船舶20のブリッジ等に設置された主機74を遠隔で操縦する操縦装置(以下「リモコン50」という場合もある)の操作入力に基づいて、主機74の回転数を増減、停止等の制御を行う。第3実施形態では、指令信号は主機74の目標回転数Ne_tを含み、目標回転数Ne_tにより目標推進力が表される。リモコン50は、推進機構70に発生させる目標推進力の大きさを指令する指令信号を出力するための操作部として操作ハンドル51を有する。リモコン50は、操作ハンドル51の位置(以下、「ハンドル位置P」という)に応じて、目標推進力の大きさを指令する指令信号を制御装置200に送信する。ハンドル位置Pは、操作部の操作状態を例示する。操縦者は、リモコン50の操作ハンドル51の位置を変えることによって、推進機構70の推進力を、ゼロ、前進及び後進を含む所定の範囲内で変更できる。
操作ハンドル51は、操縦装置に対して操縦者が操作を入力できるものであればよく、その形態に限定はない。例えば、操作ハンドル51は、可動な操作部を備えてもよいし、備えなくてもよい。例えば、操作ハンドル51は、タッチパネルのタッチ位置から指令を検知するものであってもよい。
第3実施形態では、推進機構70は、主機74に連結されたプロペラ75を含む。プロペラ75の構成に限定はなく、例えば、固定ピッチプロペラであってもよいし、可変ピッチプロペラ72であってもよい。この例のプロペラは、推進制御部204からの翼角指令に応じて、プロペラ翼の翼角を変える可変ピッチプロペラ72である。可変ピッチプロペラ72は、推進制御部204の制御に応じて翼角を変化させる翼角設定部71を有する。翼角設定部71は、現在の翼角を検知し、現在の翼角を用いてフィードバック制御を行い、目標翼角にしたがった翼角を実現する。
可変ピッチプロペラ72を有する場合、主機74を一定の回転数で運転しながら翼角を変えることにより推進機構70の推進力を変えられる。比較的燃料消費が少ない回転数で運転すれば、主機74の燃料消費量を節減できる。
この例の制御装置200では、リモコン50の操作ハンドル51のハンドル位置Pに対応する主機74の目標回転数Ne_t及びプロペラ翼の目標翼角の関係が、コンビネータカーブとして予め設定されている。コンビネータカーブは、一例として、ハンドル位置PがSTOPの場合、目標回転数Ne_t=80rpm、目標翼角=0[deg]で、ハンドル位置PがN/FMAXの場合、目標回転数Ne_t=120[rpm]、目標翼角=25[deg]のように、操作ハンドル51の各ハンドル位置Pと目標回転数Ne_t及び目標翼角の関係が定義されている。
流量計73は、主機74に燃料を供給するための燃料配管(不図示)内を移動する燃料の流量を計測して、計測した流量データを所定の時間間隔で出力する。
図8に示すように、制御装置200は、取得部201と、算出部202と、低減部203と、推進制御部204と、記憶部205と、を備える。
取得部201は、推進機構70が発生する目標推進力を指令する指令信号と、現在の推進力を示す実信号と、を取得する。また、取得部201は、目標排出効率Ce_t、主機74の現在の燃料消費量F、現在の輸送対象物の重量L、及び船舶20の現在の船速Vsなどの各種データを取得する。目標排出効率Ce_tは、リモコン50などの入力装置から数値入力により設定されてもよいし、例えばIMO(International Maritime Organization)のCII(Carbon Intensity Indicator)格付基準に基づくA~Eなどのレベルを予めテーブルとして設定しておき、目標となるレベルを入力することにより設定されてもよい。CIIによる格付け基準に基づくレベルを適用することにより、目標とするCIIによる格付けを獲得しやすくなる。また、目標排出効率Ce_tは、例えば電子海図表示システム(ECDIS)やウェザールーティングなどの航海機器から現在船位に合わせて外部入力されるようにしてもよい。
算出部202は、船舶20から排出される現在のCO2の排出量及び船舶20が輸送対象物を輸送するための現在の仕事率Wに基づいて現在の排出効率Ceを算出する。ここで、算出部202は、現在の燃料消費量Fに基づいて現在の排出量C(=C1×F)を算出し、現在の輸送対象物の重量L及び現在の船速Vsに基づいて現在の仕事率W(=L×Vs)を算出する。
低減部203は、算出した現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tよりも悪い効率である場合、目標推進力を低減する。
推進制御部204は、基本的には、取得部201で取得した指令信号と実信号との比較結果に基づいて推進機構70の推進力を制御する。例えば、推進制御部204は、指令信号における目標回転数と実信号における実際の回転数とを一致させるように主機74の回転数を制御する。第3実施形態の推進制御部204は、現在の排出効率Ce及び目標排出効率Ce_tに基づいて推進機構70を制御する。具体的には、第3実施形態の推進制御部204は、算出した現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tよりも悪い効率である場合、排出効率が目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように推進機構70を制御する。
記憶部205は、取得部201が取得した各種データや各基準値、各閾値等を記憶する。第3実施形態の記憶部205は、排出効率の変化量ΔCeと回転数の変化量ΔNeとの相関関係を示すΔNe-ΔCe相関モデルを記憶している。このΔNe-ΔCe相関モデルは、任意の回転数の変化量ΔNeの実測値とそのときの排出効率の変化量ΔCeの実測値に基づいて予め作成及び記憶される。
図9は、第3実施形態の制御装置200の処理S300を示すフローチャートである。処理S300は所定の時間間隔(例えば、数ミリ秒)で実行される。
ステップ301で、取得部201は、目標回転数Ne_t、目標排出効率Ce_t、現在の輸送対象物の重量L、現在の燃料消費量F及び現在の船速Vsを取得する。本実施形態では、航海において燃料を消費することなどを考慮してより精度を向上させる観点から、現在の輸送対象物の重量Lは、上記DWTを用いずに、上述の喫水などの計測値から算出される。現在の燃料消費量Fは、流量計73の計測値に基づいて公知の方法により算出される。燃料消費量Fは主機74の運転状態(例えば、主機74の負荷、燃料噴射量指令値など)から公知の手法により算出されてもよい。目標回転数Ne_tは、リモコン50の操作ハンドル51のハンドル位置Pに基づいて出力される指令信号により設定される。現在の船速Vsは、一定時間の前後の船舶20の位置の差に基づいて求められてもよいし、船舶20の速度計の測定値によって求められてもよい。
ステップS302で、算出部202は、ステップS301で取得した現在の輸送対象物の重量L、現在の燃料消費量F及び現在の船速Vsに基づいて上記式(1)により現在の排出効率Ceを算出する。
ステップS303で、算出部202は、現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_t以下であるか否か(Ce≦Ce_t)を判断する。Ce≦Ce_tである場合(ステップS303のY)、すなわち現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率である場合、処理S300はステップS307に進む。Ce≦Ce_tではない場合(ステップS303のN)、すなわち現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tより悪い効率である場合、処理S300はステップS304に進む。
ステップS304で、算出部202は、現在の排出効率Ceと目標排出効率Ce_tとの変化量ΔCe(=Ce-Ce_t)を算出する。
ステップS305で、算出部202は、ステップS304で算出した排出効率の変化量ΔCeに基づいて、目標排出効率Ce_tを達成するための目標回転数の変化量ΔNeを算出する。第3実施形態では、算出部202は、記憶部205に記憶されたΔNe-ΔCe相関モデルを用いて、排出効率の変化量ΔCeに相当する目標回転数の変化量ΔNeを算出する。排出効率Ceと回転数NeとのΔNe-ΔCe相関モデルは、例えば、図8のステップS305に示される排出効率と回転数との関係を示す二次元マップである。ΔNe-ΔCe相関モデルは、二次元のマップに限定されず、多変数のマップ、更には機械学習により同定される応答モデルであってもよい。
ステップS306で、低減部203は、目標回転数Ne_tからステップS305で求めた回転数の変化量ΔNeを減算することにより、目標回転数Ne_tを低減する(Ne_t=Ne_t-ΔNe)。これにより、目標推進力が低減される。
ステップS307で、推進制御部204は、主機74の回転数を制御する。ここで、Ce≦Ce_tである場合(ステップS303のY)においては、ステップS307で、推進制御部204は、ステップS301で取得した目標回転数Ne_tに基づいて主機74の回転数を制御する。したがって、ステップS301での目標回転数Ne_tにより目標排出効率Ce_tを達成できる場合には、ステップS301での目標回転数Ne_tがそのまま使用されることになる。一方で、Ce≦Ce_tではない場合(ステップS303のN)においては、ステップS307で、推進制御部204は、ステップS306で低減された目標回転数Ne_tに基づいて主機74の回転数を制御する。したがって、ステップS301での目標回転数Ne_tにより目標排出効率Ce_tを達成できない場合には、目標回転数Ne_tを低減することにより排出効率を改善し、それにより目標排出効率Ce_tを達成できる目標回転数Ne_tを用いて主機74が制御されることになる。
ステップS307の後、処理S300は終了する。なお、ステップS303で現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tよりも小さい場合、ステップS304及びS305を経て、目標回転数Ne_tを増大させても良い。Ce<Ce_tである場合、排出効率の変化量ΔCeおよび回転数の変化量ΔNeが負の数値となり、結果として目標回転数Ne_tが増加する。
第3実施形態では、推進制御部204は、目標排出効率Ce_tに基づいて推進機構70を制御する。本構成によると、船舶20におけるCO2の排出量削減と輸送対象物の輸送との両立の観点から推進機構70を適切に制御することが可能となる。
第3実施形態では、推進制御部204は、現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tよりも悪い効率である場合、排出効率が目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように推進機構70を制御する。本構成によると、排出効率が目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように推進機構70を適切に制御することが可能となる。
第3実施形態では、低減部203は、現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tよりも悪い効率である場合、目標推進力を低減し、推進制御部204は、低減された目標推進力に基づいて推進機構70を制御する。本構成によると、排出効率が目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように推進機構70を適切に制御することが可能となる。
第3実施形態では、低減部203は、主機74の目標回転数を低減することにより目標推進力を低減する。排出効率が目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように推進機構70を容易に制御することが可能となる。
第3実施形態では、算出部202は、現在の燃料消費量Fに基づいて現在のCO2の排出量Cを算出し、現在の輸送対象物の重量F及び現在の船速Vsに基づいて現在の仕事率Wを算出する。本構成によると、排出効率を適切に推定することが可能となる。
以下、第3実施形態の変形例を説明する。
第3実施形態では、取得部201は、目標回転数Ne_tを取得したが、これに限定されず、例えば、目標船速V_tを取得してもよく、低減部203は、目標船速V_tを低減することにより目標推進力を低減してもよい。例えば、目標回転数Ne_tの代わりに目標船速V_tを取得する場合、推進制御部204は指令信号における目標船速と実信号における実際の船速とを一致させるように主機74の回転数を制御する。また、記憶部205に排出効率Ceと船速VsとのCe-Vs相関モデルを記憶させておき、ステップS305においてΔCe-ΔVs相関モデルに基づいて排出効率の変化量ΔCeに相当する目標船速の変化量ΔVsを算出し、その変化量ΔVsに相当する回転数の変化量ΔNeを求めればよい。
第3実施形態では、ステップS305及びS306においてΔNe-ΔCe相関モデルに基づいて回転数の変化量ΔNeが算出されたが、例えば、単位時間当たりの主機74の出力や燃料消費量がその上限値を超えないように主機74の船速や回転数を制限した上で、回転数の変化量ΔNeが算出されてもよい。変形例で上述したΔCe-ΔVs相関モデルを用いる場合も同様である。
第3実施形態では、主機74の回転数が制御されたが、可変ピッチプロペラ72の翼角を制御することにより船舶20の推進力が制御されてもよい。本構成によると、主機74の燃料消費量を効果的に節減して排出効率を効果的に低減することが可能となる。後述の第4及び第5実施形態でも同様である。
第3実施形態では、燃料消費量Fは、燃料計の計測値(燃料流量)に基づいて算出されたが、これに限定されず、例えば、主機74への燃料投入量に基づいて算出されてもよい。この場合、例えば、燃料投入量は、調速装置77から取得できる。この例の調速装置77は、ラックアンドピニオン(不図示)を備えており、当該ラック位置に応じた量の燃料を主機74に供給するように構成されており、当該ラック位置に基づいて燃料投入量を特定できる。後述の第4及び第5実施形態でも同様である。
第3実施形態では、輸送対象物の重量Lとして、喫水などの計測値から求めた輸送対象物の重量が用いられたが、上記DWTなどの一定値が用いられてもよい。後述の第4及び第5実施形態でも同様である。
上述した船舶20の航行状態が所定の安全航行基準を満たさない場合、制御装置200は、排出効率Ce及び目標排出効率Ce_tに基づいて推進機構70を制御する処理を実行しなくてもよい。例えば、図9のステップS302~S306の処理を実行せずに、ステップS301の後、処理S300はステップS307に進んでもよい。本構成によると、航海の安全性を確保しつつ排出効率Ceの観点から推進機構70を適切に制御することが可能となる。後述の第4及び第5実施形態でも同様である。
第3実施形態では、目標回転数Ne_tが低減されたが、目標船速V_tが低減されてもよい。後述の第4及び第5実施形態でも同様である。
第4実施形態
以下、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態の図面および説明では、第3実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第3実施形態と重複する説明を適宜省略し、第3実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
上記第3実施形態では、現在の排出効率Ceが目標排出効率Ce_tよりも悪い場合には主機74の回転数を低減したが、第4実施形態では、目標排出効率Ce_tを満たす目標燃料消費量F_tが目標船速V_tを満たす必要燃料量消費量Fc以下である場合には主機74の回転数を低減する。
第4実施形態では、記憶部205は、後述の必要燃料消費量Fcと船速Vsとの相関関係を示すFc-Vs相関モデル(Fc=f(Vs))と、回転数の変化量ΔNeと船速の変化量ΔVsとの相関関係を示すΔNe-ΔVs相関モデル(ΔNe=g(ΔVs))と、を予め記憶している。第4実施形態のFc-Vs相関モデルは、必要燃料消費量算出モデルの一例である。
図10は、本発明の第4実施形態に係る制御装置200を概略的に示すブロック図である。制御装置200は、取得部201と、算出部202と、低減部203と、推進制御部204と、記憶部205と、モデル更新部206と、を備える。
モデル更新部206は、Fc-Vs相関モデル及びΔNe-ΔVs相関モデルを更新する。記憶部205に記憶されたFc-Vs相関モデル及びΔNe-ΔVs相関モデルを所定のアルゴリズムに基づいて更新する。モデル更新部206によるモデル更新処理に使用されるアルゴリズムは、例えば、その出力データ(必要燃料消費量Fcや回転数の変化量ΔNe)を精度良く出力することを目標として適宜設計することができる。モデル更新部206は、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)、ランダムフォレスト等、公知の機械学習手法を用いて各相関モデルを更新することができる。Fc-Vs相関モデルは、回転数Ne、燃料消費量F、気象情報(風速、風向きなど)、海象情報(波高、潮流速度、潮流の向きなど)、主機74の出力及び船舶20の喫水のうちの少なくとも1つと、船舶20の船速Vsと、を入力データとして、この入力データに基づいて必要燃料消費量Fcを出力する。ΔNe-ΔVs相関モデルは、船速Vs、回転数Ne、燃料消費量F、気象情報(風速、風向きなど)、海象情報(波高、潮流速度、潮流の向き)、主機74の出力及び船舶20の喫水のうちの少なくとも1つと、船速の変化量ΔVsと、を入力データとして、この入力データに基づいて回転数の変化量ΔNeを出力する。Fc-Vs相関モデル及びΔNe-ΔVs相関モデルは、時々刻々変化する気海象条件なども含めて機械学習により随時同定・更新される。例えば、モデル更新部206は、Fc-Vs相関モデルの上記入力データに基づいて出力された必要燃料消費量Fcと、その正解データとしての実際の必要燃料消費量Fcとに基づいて機械学習することにより、Fc-Vs相関モデルを更新する。また、例えば、モデル更新部206は、ΔNe-ΔVs相関モデルの上記入力データに基づいて出力された回転数の変化量ΔNeを記憶部205に蓄積し、教師なしの機械学習を行うことにより、ΔNe-ΔVs相関モデルを更新する。
図11は、第4実施形態の制御装置200の処理S400を示すフローチャートである。処理S400は所定の時間間隔(例えば、数ミリ秒)で実行される。
ステップ401で、取得部201は、目標船速V_t、目標排出効率Ce_t、現在の輸送対象物の重量L、及び現在の船速Vsを取得する。目標船速V_tは、リモコン50の操作ハンドル51のハンドル位置Pに基づいて設定される。現在の輸送対象物の重量L、及び現在の船速Vsを取得することにより、実質的に仕事率Wが取得される。第4実施形態では、指令信号は目標船速V_tを含み、目標船速V_tにより目標推進力が表される。
ステップ402で、算出部202は、目標排出効率Ce_t、現在の輸送対象物の重量L及び現在の船速Vsに基づいて、排出効率Ceを目標排出効率Ce_tと同じ効率にするための目標燃料消費量F_tを算出する。目標燃料消費量F_tは、以下の式(2)に基づいて算出される。
F_t=Ce_t÷C1×(L×Vs) 式(2)
なお、上記式(2)によると、ステップS402では排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ効率となるように目標燃料消費量F_tが算出されるが、例えば、排出効率Ceが目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように目標燃料消費量F_tが算出されてもよい。
ステップS403で、算出部202は、取得した目標船速V_tを達成するために必要とされる燃料消費量である必要燃料消費量Fc=f(V_t)を算出する。第4実施形態では、算出部202は、記憶部205に記憶されたFc-Vs相関モデルを用いて、必要燃料消費量Fcを算出する。
ステップS404で、算出部202は、必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量F_t以下であるか(Fc≦F_t)否かを判断する。Fc≦F_tである場合(ステップS404のY)、処理S400はステップS409に進む。Fc≦F_tではない場合(ステップS404のN)、処理S400はステップS405に進む。
ステップS405で、算出部202は、Fc-Vs相関モデルに基づいて取得した目標船速V_tについての必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量F_tと等しくなるときの船速、すなわちCe_t÷C1×(L×V_t)=f(V_t)を満たす船速を算出し、この船速を目標船速V_tとして設定する。ここで、Fc≦F_tではない場合(ステップS404のN)、現在の目標船速V_tが大きすぎるために目標燃料消費量が大きくなり、その結果、排出効率Ceが目標排出効率Ce_tよりも悪くなると考えられる。そのため、ここでは、目標排出効率Ce_tと同程度の排出効率Ceを達成できるように目標船速V_tを低減している。
ステップS406で、算出部202は、ステップS405で算出された目標船速V_tと現在の船速Vsとの変化量ΔVs(=V_t-Vs)を算出する。
ステップS407で、算出部103は、ステップS406で算出した船速の変化量ΔVsに基づいて、目標排出効率Ce_tを達成するための目標回転数の変化量ΔNeを算出する。第3実施形態では、算出部202は、記憶部205に記憶されたΔNe-ΔVs相関モデルを用いて、船速の変化量ΔVsに相当する目標回転数の変化量ΔNe(=g(ΔVs))を算出する。
ステップS408で、低減部203は、目標回転数Ne_tからステップS407で求めた回転数の変化量ΔNe分を減算することにより、目標回転数Ne_tを低減する(Ne_t=Ne_t-ΔNe)。これにより、目標推進力が低減される。
ステップS409で、推進制御部204は、主機74の回転数を制御する。ここで、Fc≦F_tである場合(ステップS404のY)においては、ステップS409で、推進制御部204は、ステップS401で取得した目標船速V_tから換算された回転数に基づいて主機74の回転数を制御する。したがって、ステップS401での目標船速V_tにより目標排出効率Ce_tを達成できる場合には、ステップS401での目標船速V_tに基づく回転数がそのまま使用されることになる。一方で、Fc≦F_tではない場合(ステップS404のN)においては、ステップS409で、推進制御部204は、ステップS405で低減された目標船速V_tに基づいて主機74の回転数を制御する。したがって、ステップS401での目標船速V_tにより目標排出効率Ce_tを達成できない場合には、目標船速V_tを低減することにより排出効率を改善し、それにより目標排出効率Ce_tを達成できる回転数Ne_tを用いて主機74が制御されることになる。
ステップS409の後、処理S400は終了する。
第4実施形態では、推進制御部204は、目標推進力を達成するために必要とされる必要燃料消費量と排出効率が目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように算出された目標燃料消費量とに基づいて推進機構70を制御する。本構成によると、船舶20におけるCO2の排出量削減と輸送対象物の輸送との両立の観点から推進機構70を適切に制御することが可能となる。
第4実施形態では、低減部203は必要燃料消費量が目標燃料消費量よりも大きい場合に目標船速を低減し、推進制御部204は低減された目標船速に基づいて推進機構70を制御する。本構成によると、排出効率が目標排出効率Ce_tと同じ又はより良い効率となるように推進機構70を適切に制御することが可能となる。
第4実施形態では、算出部202はFc-Vs相関モデルに基づいて必要燃料消費量Fcを算出する。本構成によると、精度良く必要燃料消費量Fcを算出することが可能となる。
第4実施形態では、算出部202はFc-Vs相関モデルに基づいて必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量以下となるときの船速を算出し、低減部203は算出した船速に基づいて目標回転数を低減することにより目標推進力を低減する。本構成によると、より精度良く目標推進力を低減できる。
以下、変形例について説明する。
第4実施形態では、ステップS407においてΔNe-ΔVs相関モデルに基づいて回転数の変化量ΔNeが算出されたが、例えば、単位時間当たりの主機74の出力や燃料消費量がその上限値を超えないように主機74の船速や回転数を制限した上で、回転数の変化量ΔNeが算出されてもよい。
第4実施形態では、ステップS405において取得した目標船速V_tについての必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量F_tと等しくなるときの船速が算出されたが、これに限定されず、必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量F_t以下となるときの船速が算出されてよい。
第5実施形態
以下、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態の図面および説明では、第4実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第4実施形態と重複する説明を適宜省略し、第4実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
第5実施形態では、目標排出効率Ce_tを満たす目標燃料消費量F_tが目標回転数Ne_tを満たす必要燃料量消費量Fc以下である場合には主機74の回転数を低減する。
第5実施形態では、記憶部205は、必要燃料消費量Fcと回転数Neとの相関関係を示すFc-Ne相関モデル(Fc=f’(Ne))と、回転数の変化量ΔNeと船速の変化量ΔVsとの相関関係を示すΔNe-ΔVs相関モデル(ΔNe=g(ΔVs))と、を予め記憶している。第5実施形態のFc-Ne相関モデルは、必要燃料消費量算出モデルの一例である。
第5実施形態のモデル更新部206は、Fc-Ne相関モデル及びΔNe-ΔVs相関モデルを更新する。Fc-Ne相関モデルは、船速Vs、燃料消費量F、気象情報、海象情報、主機74の出力及び船舶20の喫水のうちの少なくとも1つと、主機74の回転数Neと、を入力データとして、この入力データに基づいて必要燃料消費量Fcを出力する。ΔVs-ΔNe相関モデルは、船速Vs、回転数Ne、燃料消費量F、気象情報(風速、風向きなど)、海象情報(波高、潮速、潮流の向き)、主機74の出力及び船舶20の喫水のうちの少なくとも1つと、回転数の変化量ΔNeと、を入力データとして、この入力データに基づいて船速の変化量ΔVsと、出力する。Fc-Ne相関モデル及びΔVs-ΔNe相関モデルは、時々刻々変化する気海象条件なども含めて機械学習により随時同定・更新される。例えば、モデル更新部206は、Fc-Ne相関モデルの上記入力データに基づいて出力された必要燃料消費量Fcと、その正解データとしての実際の必要燃料消費量Fcとに基づいて機械学習することにより、Fc-Vs相関モデルを更新する。また、モデル更新部206は、ΔVs-ΔNe相関モデルの上記入力データに基づいて出力された船速の変化量ΔVsを記憶部205に蓄積し、教師なしの機械学習を行うことにより、ΔVs-ΔNe相関モデルを更新する。
図12は、第5実施形態の制御装置200の処理S500を示すフローチャートである。処理S500は所定の時間間隔(例えば、数ミリ秒)で実行される。
ステップ501で、取得部201は、目標回転数Ne_t、目標排出効率Ce_t、現在の輸送対象物の重量L、及び現在の船速Vsを取得する。
ステップ502で、算出部202は、目標排出効率Ce_t、現在の輸送対象物の重量L及び現在の船速Vsに基づいて、排出効率を目標排出効率Ce_tと同じ効率にするための目標燃料消費量F_tを算出する。ステップS502は、ステップS402と基本的に同様であるため、その説明を省略する。
ステップS503で、算出部202は、取得した目標回転数Ne_tを達成するために必要とされる燃料消費量である必要燃料消費量Fc=f’(Ne_t)を算出する。第5実施形態では、算出部202は、記憶部205に記憶されたFc-Ne相関モデルを用いて、必要燃料消費量Fcを算出する。
ステップS504で、算出部202は、必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量≦F_t以下であるか(Fc≦F_t)否かを判断する。Fc≦F_tである場合(ステップS504のY)、処理S500はステップS507に進む。Fc≦F_tではない場合(ステップS504のN)、処理S500はステップS505に進む。
ステップS505で、算出部202は、目標燃料消費量F_tが取得した目標回転数Ne_tの必要燃料消費量Fcと等しくなるときの回転数の変化量ΔNe、すなわちCe_t÷C1×(L×(Vs-h(ΔNe))=f’(Ne_t-ΔNe)を満たす回転数の変化量ΔNeを算出する。第5実施形態では、算出部202は、記憶部205に記憶されたFc-Ne相関モデル及びΔVs-ΔNe相関モデルを用いて、回転数の変化量ΔNeを算出する。
ステップS506で、低減部203は、目標回転数Ne_tからステップS505で求めた回転数の変化量ΔNe分を減算することにより、目標回転数Ne_tを低減する(Ne_t=Ne_t-ΔNe)。これにより、目標推進力が低減される。
ステップS507で、推進制御部204は、主機74の回転数を制御する。ここで、Fc≦F_tである場合(ステップS504のY)においては、ステップS507で、推進制御部204は、ステップS501で取得した目標回転数Ne_tに基づいて主機74の回転数を制御する。したがって、ステップS501での目標回転数Ne_tにより目標排出効率Ce_tを達成できる場合には、ステップS501での目標回転数Ne_tがそのまま使用されることになる。一方で、Fc≦F_tではない場合(ステップS504のN)においては、ステップS507で、推進制御部204は、ステップS506で低減された目標回転数Ne_tに基づいて主機74の回転数を制御する。したがって、ステップS501での目標回転数Ne_tにより目標排出効率Ce_tを達成できない場合には、目標回転数Ne_tを低減することにより排出効率を改善し、それにより目標排出効率Ce_tを達成できる目標回転数Ne_tを用いて主機74が制御されることになる。
ステップS507の後、処理S500は終了する。
第5実施形態も第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
以下、変形例を説明する。
第5実施形態では、ステップS505においてΔVs-ΔNe相関モデルに基づいて船速の変化量ΔVsが算出されたが、例えば、単位時間当たりの主機74の出力や燃料消費量がその上限値を超えないように主機74の船速や回転数を制限した上で、船速の変化量ΔVsが算出されてもよい。
第5実施形態では、ステップS505において取得した目標回転数Ne_tについての必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量F_tと等しくなるときの回転数の変化量ΔNeが算出されたが、これに限定されず、必要燃料消費量Fcが目標燃料消費量F_t以下となるときの回転数の変化量ΔNeが算出されてよい。
情報処理装置
図13は、本発明の情報処理装置を概略的に示すブロック図である。上記第1~第5実施形態をまとめると、本発明の情報処理装置300は、航海において船舶20が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶20から排出されるCO2の排出量を示すCO2の排出効率の目標値であるCO2の目標排出効率Ce_tを取得する取得部301と、目標排出効率Ce_tに基づいて船舶20の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成すること及び船舶を推進させる推進機構70を制御することの少なくとも1つを実行する情報処理部302と、を備える。上記実施形態の航海計画作成装置100及び制御装置200は、情報処理装置300の一例であり、これらは情報処理装置300として別体で構成されてもよいし、一体で構成されてもよい。上記実施形態の取得部101及び102は、取得部301の一例であり、上記実施形態の航海計画作成部102及び推進制御部204は、それぞれ、情報処理部302の一例である。本構成によると、船舶20におけるCO2の排出量削減と輸送対象物の輸送との両立の観点から効率的に運航することを可能となる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。上述した各実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
1 航海計画作成システム、20 船舶、 21 船体、 50 リモコン、 51 操作ハンドル、 70 推進機構、 71 翼角設定部、 72 可変ピッチプロペラ、 73 流量計、 74 主機、 75 プロペラ、 77 調速装置、 78 シャフト、 100 航海計画作成装置、 101 取得部、 102 航海計画作成部、 103 算出部、 104 出力部、 105 アラート発生部、 106 記憶部、 107 モデル更新部、 制御装置、 201 取得部、 202 算出部、 203 低減部、 204 推進制御部、 205 記憶部、 206 モデル更新部。

Claims (19)

  1. 航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得する取得部と、
    前記目標排出効率に基づいて前記船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成する航海計画作成部と、
    作成した前記航海計画における前記仕事率当たりの前記排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記排出効率の推定値を算出する算出部と、
    前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画を出力する出力部と、
    を備え、
    前記航海計画作成部は、前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率ではない場合、前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記航海計画を再作成し、
    前記出力部は再作成した前記航海計画を出力する、
    情報処理装置。
  2. 前記取得部は前記船舶の航海における目的地への目標到着時刻と前記目標到着時刻から許容可能な時間だけ後に設定された時刻である許容到着時刻とを少なくとも含む航海条件データを取得し、
    前記航海計画作成部は前記航海条件データに基づいて前記船舶の航海計画を作成し、
    前記再作成した航海計画における前記目標到着時刻が前記許容到着時刻を超える場合、前記目標到着時刻が前記許容到着時刻を超える旨のアラートを発生させるアラート発生部を備える、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記航海計画作成部は、前記船舶の燃料消費量が所定値以下となるように前記航海計画を作成する、
    請求項1又は2に記載の情報処理装置。
  4. 前記取得部は前記作成した航海計画における実際の前記排出効率を取得し、
    前記出力部は前記排出効率の推定値及び前記実際の排出効率を出力する、
    請求項1又は2に記載の情報処理装置。
  5. 前記取得部は現在の前記仕事率と現在の前記排出量とを取得し、
    前記現在の仕事率当たりの前記現在の排出量に基づいて現在の前記排出効率を算出する算出部と、
    前記現在の排出効率が前記目標排出効率よりも悪い効率である場合、前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記船舶を推進させる推進機構を制御する推進制御部と、
    を備える、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  6. 前記取得部は前記推進機構に発生させる目標推進力を指令する指令信号を取得し、
    前記現在の排出効率が前記目標排出効率よりも悪い効率である場合、前記目標推進力を低減する低減部と、
    を備え、
    前記推進制御部は前記低減された目標推進力に基づいて前記推進機構を制御する、
    請求項5に記載の情報処理装置。
  7. 前記推進機構はプロペラを回転させる主機を含み、
    前記低減部は前記主機の目標回転数又は目標船速を低減することにより前記目標推進力を低減する、
    請求項6に記載の情報処理装置。
  8. 前記プロペラはプロペラ翼の翼角を変更可能な可変ピッチプロペラであり、
    前記低減部は前記可変ピッチプロペラの目標翼角を変更することにより前記目標推進力を低減する、
    請求項7に記載の情報処理装置。
  9. 前記推進機構はプロペラを回転させる主機を含み、
    前記取得部は、前記主機の現在の燃料消費量と、前記船舶の現在の輸送対象物の重量と、前記船舶の現在の船速と、を取得し、
    前記算出部は、前記現在の燃料消費量に基づいて前記現在の排出量を算出し、前記現在の輸送対象物の重量及び前記現在の船速に基づいて前記現在の仕事率を算出する、
    請求項5から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  10. 前記船舶を推進させる推進機構はプロペラを回転させる主機を含み、
    前記取得部は、前記推進機構に発生させる目標推進力を指令する指令信号と、現在の前記仕事率と、を取得し、
    前記現在の仕事率に基づいて前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記主機の燃料消費量の目標値である目標燃料消費量を算出し、前記目標推進力を達成するために必要とされる前記主機の燃料消費量である必要燃料消費量を算出する算出部と、
    前記必要燃料消費量及び前記目標燃料消費量に基づいて前記推進機構を制御する推進制御部と、
    を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
  11. 前記必要燃料消費量が前記目標燃料消費量よりも大きい場合、前記目標推進力を低減する低減部を備え、
    前記推進制御部は前記低減された目標推進力に基づいて前記推進機構を制御する、
    を備える、請求項10に記載の情報処理装置。
  12. 気象情報、海象情報、前記主機の出力、及び前記船舶の喫水のうちの少なくとも1つと、前記主機の回転数及び前記船舶の船速のうちの少なくとも1つと、に基づいて前記必要燃料消費量を算出する必要燃料消費量算出モデルを記憶する記憶部を備え、
    前記算出部は前記必要燃料消費量算出モデルに基づいて前記必要燃料消費量を算出する、
    請求項10に記載の情報処理装置。
  13. 前記必要燃料消費量が前記目標燃料消費量よりも大きい場合、前記目標推進力を低減する低減部を備え、
    前記算出部は前記必要燃料消費量算出モデルに基づいて前記必要燃料消費量が前記目標燃料消費量以下となるときの前記回転数及び前記船速の少なくとも1つを算出し、
    前記低減部は、前記算出した回転数及び船速の少なくとも1つに基づいて前記目標推進力を低減し、
    前記推進制御部は前記低減された目標推進力に基づいて前記推進機構を制御する、
    請求項12に記載の情報処理装置。
  14. 前記航海計画作成部は、前記船舶の航行状態が所定の安全航行基準を満たさない場合、前記排出効率及び前記目標排出効率に基づいて前記航海計画を作成することを実行しない、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  15. 航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得するステップと、
    前記目標排出効率に基づいて前記船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成するステップと、
    作成した前記航海計画における前記仕事率当たりの前記排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記排出効率の推定値を算出するステップと、
    前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画を出力するステップと、
    を備え、
    前記航海計画を作成するステップは、前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率ではない場合、前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記航海計画を再作成し、
    前記出力するステップは再作成した前記航海計画を出力する、方法。
  16. コンピュータに、
    航海において船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量を示す環境負荷物質の排出効率の目標値である環境負荷物質の目標排出効率を取得するステップと、
    前記目標排出効率に基づいて前記船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成するステップと、
    作成した前記航海計画における前記仕事率当たりの前記排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記排出効率の推定値を算出するステップと、
    前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画を出力するステップと、
    を実行させ、
    前記航海計画を作成するステップは、前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率ではない場合、前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記航海計画を再作成し、
    前記出力するステップは再作成した前記航海計画を出力する、プログラム。
  17. 船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成する航海計画作成部と、
    作成した前記航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出する算出部と、
    前記排出効率の推定値が前記排出効率の目標値である目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画における実際の前記排出効率を取得する取得部と、
    前記同じ又はより良い効率である航海計画についての前記排出効率の推定値及び前記実際の排出効率を出力する出力部と、
    を備え、
    前記航海計画作成部は、前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率ではない場合、前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記航海計画を再作成し、
    前記出力部は再作成した前記航海計画を出力する、
    情報処理装置。
  18. 船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成するステップと、
    作成した前記航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出するステップと、
    前記排出効率の推定値が前記排出効率の目標値である目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画における実際の前記排出効率を取得するステップと、
    前記同じ又はより良い効率である航海計画についての前記排出効率の推定値及び前記実際の排出効率を出力するステップと、
    を備え、
    前記航海計画を作成するステップは、前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率ではない場合、前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記航海計画を再作成し、
    前記出力するステップは再作成した前記航海計画を出力する、方法。
  19. 船舶の発着地点間の航路を少なくとも含む航海計画を作成するステップと、
    作成した前記航海計画における前記船舶が輸送対象物を輸送する際の仕事率当たりに船舶から排出される環境負荷の要因となる環境負荷物質の排出量に基づいて前記作成した航海計画についての前記環境負荷物質の排出効率の推定値を算出するステップと、
    前記排出効率の推定値が前記排出効率の目標値である目標排出効率と同じ又はより良い効率である航海計画における実際の前記排出効率を取得するステップと、
    前記同じ又はより良い効率である航海計画についての前記排出効率の推定値及び前記実際の排出効率を出力するステップと、
    を実行させ、
    前記航海計画を作成するステップは、前記排出効率の推定値が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率ではない場合、前記排出効率が前記目標排出効率と同じ又はより良い効率となるように前記航海計画を再作成し、
    前記出力するステップは再作成した前記航海計画を出力する、プログラム。
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