JP7903751B2 - 電子レンジ加熱調理卵料理用素材、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材及び卵料理の製造方法 - Google Patents

電子レンジ加熱調理卵料理用素材、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材及び卵料理の製造方法

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本発明は、増粘多糖類、澱粉、食塩、及び水を含有する液状物を含み、当該液状物が所定の粘度範囲にある電子レンジ加熱調理卵料理用素材、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材、及び当該素材を用いた卵料理の製造方法に関する。
従来より、時短ニーズを背景に、電子レンジで調理する卵料理の需要は増加傾向である。しかしながら、電子レンジは、食品をその内部から一気に加熱し食品の温度を急上昇させるため、水分が過剰に蒸発してしまったり、温まり方にムラが生じたりすることがある。そのため、電子レンジでは、卵料理の調理が難しいという問題があった。
例えば、特許文献1には、食塩及び水を含有する液状物を含み、卵含有食品用素材がマイクロ波透過性の耐熱容器に収容、密封され、かつ、加熱殺菌処理されており、調理時に生の卵を添加混合し、電子レンジにより加熱調理することで卵を熱凝固させて卵含有食品を得ることができる容器入り卵含有食品用素材が記載されている。この文献によれば、柔らかな半熟感のある卵含有食品を得ることができることが記載されている。
特許第3729447号公報
特許文献1に記載の卵含有食品は優れた製品であるものの、近年では家庭では得られないような熟練した料理職人でなければ作り出せないようなふわふわ、とろとろの食感が感じられる卵料理が好まれるようになっている。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、熟練した料理職人でないないと作り出せないような、ふわふわ、とろとろの本格的な卵料理を電子レンジで手軽に調理することができる電子レンジ加熱調理卵料理用素材、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材及び卵料理の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、0.05質量%超1.0質量%未満の増粘多糖類、澱粉、食塩、及び水を含有する所定の粘度の液状物を含む素材に生の卵を添加混合して電子レンジで加熱調理することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明はこれらの新規知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1]0.05質量%超1.0質量%未満の増粘多糖類、澱粉、食塩、及び水を含有する液状物を含み、前記液状物が420mPa・s以上37000mPa・s以下の粘度(B型粘度計、25℃)である、電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
[2]前記澱粉は2.0質量%超7.0質量%未満である、[1]に記載の電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
[3]前記卵料理は、親子丼、玉子丼、他人丼、カツ丼、かに玉丼、オムライス、卵とじ、オムレツ、スクランブルエッグ、柳川丼、プーパッポンカレーから選ばれる食品である、[1]又は[2]に記載の電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
[4][1]~[3]のいずれか1つに記載の電子レンジ加熱調理卵料理用素材を用いて卵料理を製造する方法であって、前記電子レンジ加熱調理卵料理用素材に生の卵を添加混合する工程と、前記混合した素材を電子レンジにより加熱調理する工程と、を含む卵料理の製造方法。
[5]0.05質量%超1.0質量%未満の増粘多糖類、澱粉、食塩、及び水を含有する液状物を含み、前記液状物が420mPa・s以上37000mPa・s以下の粘度(B型粘度計、25℃)である卵料理用素材が耐熱容器に収納されている、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
[6]常温流通製品である、[5]に記載の容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
本発明によれば、熟練した料理職人でないないと作り出せないような、ふわふわ、とろとろの本格的な卵料理を電子レンジで手軽に調理することができる電子レンジ加熱調理卵料理用素材を提供することができる。
実施例1の加熱調理後のパウチの内容物の状態を示す図である。 比較例1の加熱調理後のパウチの内容物の状態を示す図である。 比較例6の加熱調理後のパウチの内容物の状態を示す図である。
本発明の電子レンジ加熱調理卵料理用素材は、0.05質量%超1.0質量%未満の増粘多糖類、澱粉、食塩、及び水を含有する液状物を含み、前記液状物が420mPa・s以上37000mPa・s以下の粘度(B型粘度計、25℃)である。
本明細書に記載の増粘多糖類とは、水に溶解すると粘性を示したりゲル化したりする多糖類のことをいう。前記増粘多糖類としては、所望の粘度を得ることができる限り特に限定されず、食品分野において通常用いられるものを適宜採用することができるが、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、グアガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、カラギーナン、アラビアガム、及びローカストビーンガムなどが挙げられる。増粘多糖類は単独で用いてもよいし、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
前記増粘多糖類の含有量は、前記液状物の全質量に対して、0.05質量%超であり、好ましくは0.07質量%以上、好ましくは0.09質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、好ましくは0.13質量%以上、好ましくは0.2質量%以上である。また、前記増粘多糖類の含有量は、前記液状物の全質量に対して、1.0質量%未満であり、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.45質量%以下、0.35質量%以下である。増粘多糖類の含有量が上記範囲内である場合、電子レンジ加熱調理卵料理用素材に生の卵を添加混合して電子レンジで加熱調理して得られる卵料理の離水部分が卵らしい半熟感のあるとろとろとした食感となる。
本明細書に記載の粘度は、公知のB型粘度計により測定することができる。例えば、東機産業株式会社製(RB80L型粘度計)を用い、粘性域に応じて適当なローターを用いて、30rpmで30秒後に測定される値によって測定することができる。
電子レンジ加熱調理卵料理用素材に含まれる液状物の粘度は、25℃において420以上37000mPa・s以下であり、好ましくは430mPa・s以上、好ましくは500mPa・s以上、好ましくは1000mPa・s以上であり、好ましくは35000mPa・s以上以下、好ましくは30000mPa・s以下、好ましくは10000mPa・s以下、好ましくは8000mPa・s以下である。液状物の粘度が上記範囲内である場合、電子レンジ加熱調理卵料理用素材に生の卵を添加混合して電子レンジで加熱調理して得られる卵料理の離水部分が卵らしい半熟感のあるとろとろとした食感となる。
本発明の電子レンジ加熱調理卵料理用素材は、澱粉は2.0質量%超7.0質量%未満であることが好ましい。
本明細書に記載の澱粉としては特に限定されず、例えば、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、及びタピオカ澱粉などが挙げられる。澱粉としては、未加工澱粉及び加工澱粉のいずれも使用できる。加工澱粉としては、加工処理として湿熱処理を行った澱粉;及び、加工処理として架橋や官能基付与などの化学修飾処理を行った加工澱粉などが挙げられる。澱粉は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
前記澱粉の含有量は、前記液状物の全質量に対して、2.0質量%超が好ましく、より好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3.2質量%以上であり、7.0質量%未満が好ましく、より好ましくは6.5質量%以下、より好ましくは5.5質量%以下である。澱粉の含有量が上記範囲内である場合、電子レンジ加熱調理卵料理用素材に生の卵を添加混合して電子レンジで加熱調理して得られる卵料理の離水部分が卵らしい半熟感のあるとろとろとした食感となり、さらに、固形状及び/又は半固形状の部分が、熟練した職人が調理したような加熱された卵らしいふわふわした食感となる。
本明細書に記載の食塩及び水を含有する液状物としては、卵料理の種類などにより通常使用されている液状物を任意に用いることができる。当該液状物の成分としては、具体的には、例えば、水、醤油、みりん、みりん風調味料、ブイヨン、砂糖などの糖類、食塩、グルタミン酸ナトリウムなどの調味料、胡椒や生姜などの香辛料、肉エキス、酵母エキス、昆布だし、香料、油脂、クエン酸などの酸味料、乳化剤などが例示されるが、これらに制限されるものではなく、目的とする卵料理の種類に応じて適宜の成分を配合することができる。
本明細書に記載の卵料理は、加熱した卵を含有する卵料理であれば特に限定されず、例えば、親子丼、玉子丼、他人丼、カツ丼、かに玉丼、オムライス、卵とじ、オムレツ、スクランブルエッグ、柳川丼、プーパッポンカレー、茶わん蒸し、卵焼き、だし巻き卵などが挙げられる。
本発明の電子レンジ加熱調理卵料理用素材は、上記液状物のみを含むものであってもよいが、卵料理の種類などにより通常使用されている具材を任意に用いることができる。当該具材としては、具体的には、例えば、野菜類、畜肉類、魚介類などが例示される。これらの具材は、例えば、適当な大きさにカット又は挽くなどして含ませることができ、また、ボイルなどの前処理を施したものを含ませることもできるが、これらの加工方法については特に制限されるものではなく、適宜の方法を採用することが可能である。
このような電子レンジ加熱調理卵料理用素材の製造方法としては、上記液状物を、必要により具材とともに、例えば、攪拌羽根を備えた加熱釜を投入し、撹拌羽根を回転させて混合しながら、品温90℃に達温後、約5分間加熱する。加熱した後、必要により具材とともに、耐熱容器に終了し、当該容器を密封し、その後、レトルト殺菌処理などの加熱殺菌処理を施すことなどにより得ることができる。加熱殺菌処理は、製品の長期保存性の観点から、レトルト殺菌処理が好ましい。レトルト殺菌処理は、例えば、120~130℃でF1値が4~30となるように施すことが好ましい。
又は、加熱釜で加熱した後、必要により具材とともに、マイクロ波透過性の耐熱容器に収容し、当該容器を密封し、レトルト殺菌処理などの加熱殺菌処理を施すことなどにより、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材得ることができる。
このような容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材は、加熱殺菌処理していることにより常温流通製品、チルド流通製品とすることができる。
上記マイクロ波透過性の耐熱容器としては、マイクロ波透過性のものを用いることにより、当該容器をそのまま電子レンジによる加熱調理に適用することが可能となる。また、この場合は、自立可能なスタンディングパウチなどを用いることができる。なお、上記耐熱容器は、加熱殺菌処理及び電子レンジによる加熱調理に耐え得るものであるが、加熱殺菌処理としてレトルト殺菌処理を採用する場合には、レトルトパウチなどのレトルト容器を用いることが好ましい。
このようにして得られた電子レンジ加熱調理卵料理用素材に生の卵を添加混合し、当該混合した素材を電子レンジにより加熱調理することにより、卵料理を製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
1、電子レンジ加熱調理卵料理用素材(親子丼)の製造、評価
(1)電子レンジ加熱調理卵料理用素材(親子丼)の製造
攪拌羽根を備えた加熱釜に、表1の配合で原料を投入し、撹拌羽根を回転させて混合しながら、品温90℃に達温後、約5分間加熱して液状物を得た。なお、表中、フェリネックス LCFは商品名であり、加工澱粉である。また、エコーガムはキサンタンガムの商品名であり、増粘多糖類である。
マイクロ波透過性のスタンディングパウチに上記液状物を500g充填し、当該パウチを密封し、122℃で、26分間の条件でレトルト処理を施して、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材を製造した(実施例1)。得られた液状物の25℃における粘度をB型粘度計(RB80L型、東機産業株式会社)で測定したところ7340mPa・sであった。
(2)親子丼の調理
パウチ上端部を開封し、当該パウチの中に生卵1個を落とし、箸で数回かき混ぜた。当該パウチごと電子レンジで500W3分間加熱調理した。
(3)評価
ご飯をどんぶりに盛り、その上に上記加熱調理後のパウチの内容物を乗せ食した。なお、この実施例1(内容物)を図1に示した。固形状部分はふわふわとした柔らかな食感、離水部分は程よいとろとろとした食感で、全体としては熟練した職人でないないと作り出せないような半熟感のある本格的な食感を有する親子丼であった。
2、増粘多糖類の検討
(1)電子レンジ加熱調理卵料理用素材(親子丼)の製造
表2の配合で、「1、電子レンジ加熱調理卵料理用素材(親子丼)の製造、評価」と同様の方法で親子丼を得た(比較例1~2、実施例2~6)。なお、比較例1を図2に示した。
(2)評価
ご飯をどんぶりに盛り、その上に上記加熱調理後のパウチの内容物を乗せ食した評価を表3に示した。評価は日頃から訓練を受けた専門パネラー3人の合議で行い、その食感について、「ふわふわ食感」、「とろとろ食感」の各項目を、「とても強く感じられる」を5点、「強く感じられる」を4点、「感じられる」を3点、「あまり感じない」を2点、「感じない」を1点、の5段階で評価した。また、「不快感がない」の項目を、「不快感はまったくない」を5点、「不快感はほとんどない」を4点、「不快感はない」を3点、「不快感が多少ある」を2点、「不快感がある」を1点、の5段階で評価した。総合評価は、3つの項目の平均点である。
このうち、「ふわふわ食感」とは、固形状及び/又は半固形状部分が、熟練した職人が調理したような加熱された卵らしいふわふわした食感のことを主に指す。「とろとろ食感」とは、離水部分が、熟練した職人が調理したような程よい加熱具合により卵らしい半熟感のあるとろとろとした食感のことを主に指す。「不快感がない」とは、食感が卵に近く、卵以外のものによって食感を調整されたような不快感がないことを主に指す。
増粘多糖類の濃度が0.05質量%超1.0質量%未満である実施例1~6では、熟練した職人でないないと作り出せないような、ふわふわ、とろとろの本格的な親子丼を得られることがわかった。
3、粘度の検討
(1)電子レンジ加熱調理卵料理用素材(親子丼)の製造
表4の配合で、「1、電子レンジ加熱調理卵料理用素材(親子丼)の製造、評価」と同様の方法で親子丼を得た。また、得られた電子レンジ加熱調理卵料理用素材の液状物の25℃における粘度をB型粘度計(RB80L型、東機産業株式会社)で測定し、表5に示した。
(2)評価
「2、増粘多糖類の検討」と同様の方法で加熱調理後のパウチの内容物(比較例3~6、実施例7~11)を評価し表5に示した。なお、比較例6を図2に示した。
液状物の粘度が420Pa・s以上37000mPa・s以下である実施例7~11では、熟練した職人でないないと作り出せないような、ふわふわ、とろとろの本格的な親子丼を得られることがわかった。また、このような食感は、上記で検討した量の増粘多糖類を配合した上で、澱粉によって液状物の粘度を420Pa・s以上37000mPa・s以下とした場合に、得られることがわかった。
また、上記(1)で澱粉を馬鈴薯澱粉に変えた電子レンジ加熱調理卵料理用素材(親子丼)を製造し、同様に評価を行ったところ、加工澱粉の「ふわふわ食感」、「とろとろ食感」、「不快感がない」の結果とほぼ同様の結果を得た。
上記のように、0.05質量%超1.0質量%未満の増粘多糖類、澱粉、食塩、及び水を含有する液状物を含み、前記液状物が420mPa・s以上37000mPa・s以下の粘度である電子レンジ加熱調理卵料理用素材に生の卵を添加混合して電子レンジで加熱調理することにより、熟練した料理職人でないないと作り出せないような、ふわふわ、とろとろの本格的な卵料理を得られることがわかった。
ふわふわとした食感、とろとろとした食感を生み出す機構は詳細にはわからないが、次のようなことが推測される。つまり、液状物の粘度がある程度高いと、液状物中の卵タンパク質の移動がある程度阻害され、結合した卵タンパク質間の距離は広くなり、多くの水が卵タンパク質間にキャッチされるため「ふわふわ」食感になる。液状物の粘度が高すぎる場合には、液状物中に卵タンパク質が移動できず、卵タンパク質間の保水量が少なるため、「ふわふわ」食感ではなくなる。また、加熱後の離水部分に粘度が付くことで「とろとろ」食感になると推測される。液状物の粘度が低くすぎる場合、卵タンパク質は凝集し卵部分と離水部分に分かれてしまうため、「とろとろ」食感ではなくなる。このように、増粘多糖類の含量、澱粉の含量、及び粘度の3要素が「ふわふわ」食感、「とろとろ」食感に寄与しているものと推測される。

Claims (5)

  1. 0.1質量%以上0.5質量%以下の増粘多糖類、3.0質量%以上6.0質量%以下の澱粉、食塩、及び水を含有する液状物を含み、前記液状物が420mPa・s以上37000mPa・s以下の粘度(B型粘度計、25℃)である、電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
  2. 前記卵料理は、親子丼、玉子丼、他人丼、カツ丼、かに玉丼、オムライス、卵とじ、オムレツ、スクランブルエッグ、柳川丼、プーパッポンカレーから選ばれる食品である、請求項1に記載の電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
  3. 請求項1に記載の電子レンジ加熱調理卵料理用素材を用いて卵料理を製造する方法であって、
    前記電子レンジ加熱調理卵料理用素材に生の卵を添加混合する工程と、
    前記混合した素材を電子レンジにより加熱調理する工程と、
    を含む卵料理の製造方法。
  4. 0.1質量%以上0.5質量%以下の増粘多糖類、3.0質量%以上6.0質量%以下の澱粉、食塩、及び水を含有する液状物を含み、前記液状物が420mPa・s以上37000mPa・s以下の粘度(B型粘度計、25℃)である卵料理用素材が耐熱容器に収納されている、容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
  5. 常温流通製品である、請求項4に記載の容器入り電子レンジ加熱調理卵料理用素材。
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