JP7846469B2 - 制動制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、回生協調制御を行う車両の制動制御装置に関する。
従来、回生制動装置と摩擦制動装置とを用いて、車両の車輪に回生制動力と摩擦制動力とを付与する回生協調制御に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、運転者によって制動操作が行われており、車両運動制御を行う際に、回生制動力および摩擦制動力の割合を変更する車両制御装置が記載されている。この車両制御装置では、例えば、車両の旋回制動時に旋回内輪側の車輪における回生制動力の割合を小さくすることで、インホイールモータが制御範囲を超えることを防止している。また、この車両制御装置では、車両の旋回制動時に旋回外輪側の車輪における摩擦制動力の割合を小さくすることで、回収する電力を増加させ、かつ摩擦による損失を低減している。
車両の制動時には車両にピッチング運動が発生し、車両の姿勢変化が生じることで前輪および後輪の接地面に加わる荷重が変化する。その結果、車両の旋回と同時に制動を行った場合、旋回において運転者が求める運動性能を十分に満たすことができなかったり、姿勢変化により運転者の乗り心地に影響を及ぼしたりする可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回生協調制御を行う車両の旋回制動時に運動性能や乗り心地を適切に調整可能な制動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の制動制御装置は、車両の前輪および後輪に回生制動力を付与する回生制動装置と、前記前輪および前記後輪に摩擦制動力を付与する摩擦制動装置とを用いて、車両の制動に要求される要求制動力を前記回生制動力と前記摩擦制動力とで協調して出力する回生協調制御を実行する制動制御装置において、前記回生協調制御の実行中に、前記車両の旋回度合いを表す指標値が大きいほど、前記前輪に付与される前記回生制動力を小さくしながら前記後輪に付与される前記回生制動力を大きくし、前記前輪に付与される前記摩擦制動力を大きくしながら前記後輪に付与される前記摩擦制動力を小さくする第1配分調整と、前記指標値が大きいほど、前記前輪に付与される前記回生制動力を大きくしながら前記後輪に付与される前記回生制動力を小さくし、前記前輪に付与される前記摩擦制動力を小さくしながら前記後輪に付与される前記摩擦制動力を大きくする第2配分調整とのいずれか一方を実行する。
この構成により、第1配分調整を実行した場合は、旋回度合いを表す指標値が大きいほど前輪のグリップ限界を高め、車両の運動性能を向上させることが可能となる。また、第2配分調整を実行した場合は、旋回度合いを表す指標値が大きいほど後輪のグリップ限界を高め、車両のスピンを抑制し、運動性能を向上させることが可能となる。さらに、車両のリア側を沈み込みやすくすることで、車両のピッチ角を0度に近づけるように調整することが可能となる。したがって、本発明の制動制御装置によれば、回生協調制御を行う車両の旋回制動時に運動性能や乗り心地を適切に調整可能となる。
また、前記車両の走行モードが乗り心地よりも運動性能向上を優先するスポーツモードである場合、前記第1配分調整を実行することが好ましい。この場合、前記指標値は、前記車両の舵角および横角速度の少なくともいずれか一方であることが好ましい。この構成により、スポーツモードにおいて前輪のグリップ限界を高め、旋回制動時の運動性能を向上させることができる。また、指標値として舵角や横加速度を用いれば、車両の旋回度合いに応じた配分調整を実現することができる。
また、前記車両の走行モードが乗り心地よりも運動性能向上を優先するスポーツモードである場合、前記第2配分調整を実行することが好ましい。この場合、前記指標値は、前記車両のヨーレートおよび前記後輪のスリップ角の少なくともいずれか一方であることが好ましい。この構成により、スポーツモードにおいて後輪のグリップ限界を高め、車両のスピンを抑制することができる。また、指標値としてヨーレートや後輪のスリップ角を用いれば、車両のスピン度合いに応じた配分調整を実現することができる。
また、前記車両の走行モードが運動性能向上よりも乗り心地を優先するコンフォートモードである場合、前記第2配分調整を実行することが好ましい。この場合、前記指標値は、前記車両の舵角および横角速度の少なくともいずれか一方であることが好ましい。この構成により、コンフォートモードで車両のリア側を沈み込む傾向とし、車両のピッチ角を0度に近づけることができる。その結果、乗り心地の変化を感じやすい旋回時の姿勢変化を抑え、運転者の乗り心地を向上させることが可能となる。また、指標値として舵角や横加速度を用いれば、車両の旋回度合いに応じた配分調整を実現することができる。
本発明の制動制御装置によれば、回生協調制御を行う車両の旋回制動時に運動性能や乗り心地を適切に調整可能となる。
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
(車両)
図1は、実施形態にかかる制動制御装置を備えた車両を示す概略構成図である。車両1は、走行用動力源としてのフロントモータ10fからの動力を左右の前輪2fへと伝達すると共に、走行用動力源としてのリアモータ10rからの動力を左右の後輪2rへと伝達して走行する四輪駆動式の電動車両である。フロントモータ10fは、変速機やデファレンシャルギヤを含むトランスアクスル12fを介して左右の前輪2fへと駆動力を出力する。リアモータ10rは、変速機やデファレンシャルギヤを含むトランスアクスル12rを介して左右の後輪2rへと駆動力を出力する。車両1には、リチウムイオン電池などの二次電池として構成された電力源としてのバッテリ14が搭載されており、バッテリ14からの電力が図示しないインバータといった電力変換装置を介してフロントモータ10fおよびリアモータ10rへと供給される。フロントモータ10f、リアモータ10rは、制御装置16(制動制御装置)により駆動制御される。
図1は、実施形態にかかる制動制御装置を備えた車両を示す概略構成図である。車両1は、走行用動力源としてのフロントモータ10fからの動力を左右の前輪2fへと伝達すると共に、走行用動力源としてのリアモータ10rからの動力を左右の後輪2rへと伝達して走行する四輪駆動式の電動車両である。フロントモータ10fは、変速機やデファレンシャルギヤを含むトランスアクスル12fを介して左右の前輪2fへと駆動力を出力する。リアモータ10rは、変速機やデファレンシャルギヤを含むトランスアクスル12rを介して左右の後輪2rへと駆動力を出力する。車両1には、リチウムイオン電池などの二次電池として構成された電力源としてのバッテリ14が搭載されており、バッテリ14からの電力が図示しないインバータといった電力変換装置を介してフロントモータ10fおよびリアモータ10rへと供給される。フロントモータ10f、リアモータ10rは、制御装置16(制動制御装置)により駆動制御される。
また、車両1は、前輪2fおよび後輪2rに制動力を付与する制動装置を備えている。制動装置は、回生制動装置20と、摩擦制動装置30とを含む。回生制動装置20は、フロントモータ10fおよびリアモータ10rと、バッテリ14と、図示しないインバータといった電力変換装置などを含んで構成される。フロントモータ10fおよびリアモータ10rは、車両1のアクセルオフ状態の減速走行時において、前輪2fおよび後輪2rの回転力により強制駆動されて回生発電し、前輪2fおよび後輪2rに回生制動力を付与する。フロントモータ10fおよびリアモータ10rで生じた回生発電電力は、バッテリ14に供給される。
摩擦制動装置30は、各前輪2fおよび各後輪2rに対応して設けられたディスクロータ32に、図示しないアクチュエータにより駆動されるブレーキパッド34を押し付けることで発生する摩擦力により、各前輪2fおよび各後輪2rに摩擦制動力を付与するディスクブレーキ装置である。なお、アクチュエータは、油圧式および電動式のいずれであってもよい。摩擦制動装置30は、制御装置16により駆動制御される。
制御装置16は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAMなど)、中央演算処理装置(CPU)などを含んで構成され、車両1の総合的な制御を行う。制御装置16は、アクセル開度、ブレーキストローク、車速、車輪速といった図示しない各種センサにより検出される検出量や各種動作情報を入力する。制御装置16は、入力した各種検出量および各種動作情報に基づいて、車両1の走行に要求される要求駆動力や上記要求制動力といった車両1の制御に必要な情報を演算し、演算した情報に基づいて車両1の各種装置を制御する。例えば、制御装置16は、回生制動装置20および摩擦制動装置30を用いて、車両1の制動に要求される要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とで協調して出力する回生協調制御を実行する。
(回生協調制御の一例)
図2は、回生協調制御における要求制動力、回生制動力および摩擦制動力の時間変化の一例を示す説明図である。制御装置16は、運転者によるブレーキ踏み込み量に応じて要求制動力Fbを算出し、算出した要求制動力Fbに基づいて、フロントモータ10fから前輪2fに付与する回生制動力Fkf、リアモータ10rから後輪2rに付与するFkr、各摩擦制動装置30から前輪2fに付与する摩擦制動力Fmf、後輪2rに付与する摩擦制動力Fmrを設定する。
図2は、回生協調制御における要求制動力、回生制動力および摩擦制動力の時間変化の一例を示す説明図である。制御装置16は、運転者によるブレーキ踏み込み量に応じて要求制動力Fbを算出し、算出した要求制動力Fbに基づいて、フロントモータ10fから前輪2fに付与する回生制動力Fkf、リアモータ10rから後輪2rに付与するFkr、各摩擦制動装置30から前輪2fに付与する摩擦制動力Fmf、後輪2rに付与する摩擦制動力Fmrを設定する。
具体的には、制御装置16は、回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrの総和が要求制動力Fbを満たすように、次式(1)から(4)で表される回生比率k、摩擦比率m、フロント比率fおよびリア比率rを設定する。回生比率kと摩擦比率mとは、回生制動力Fkf、Fkrと摩擦制動力Fmf、Fmrとの配分比率であり、その合計が値1となるように値0から値1の間に設定される。また、フロント比率fとリア比率rとは、前輪2fに付与する制動力(Fkf、Fmf)と後輪2rに付与する制動力(Fkr、Fmr)との配分比率であり、その合計が値1となるように値0から値1の間に設定される。上記配分比率の具体的な設定手法は、後述する。ただし、回生制動力Fkf、Fkrは、少なくともバッテリ14の充電率(SOC:state of charge)や温度などに応じて設定される回生発電量の上限値の範囲内で設定される。図2に示す例では、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれると(時刻t1)、要求制動力Fbの変化に応じて回生発電量の上限値の範囲内で回生制動力Fkf、Fkrが出力され、要求制動力Fbに対する回生制動力Fkf、Fkrの不足分が摩擦制動力Fmf、Fmrとして出力される。
k=(Fkf+Fkr)/(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr) …(1)
m=(Fmf+Fmr)/(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr) …(2)
f=(Fkf+Fmf)/(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr) …(3)
r=(Fkr+Fmr)/(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr) …(4)
m=(Fmf+Fmr)/(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr) …(2)
f=(Fkf+Fmf)/(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr) …(3)
r=(Fkr+Fmr)/(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr) …(4)
(すり替え制御)
また、制御装置16は、回生協調制御の実行中に車両1の車速が所定のすり替え判定車速以下となると(時刻t2)、要求制動力Fbのうち回生制動力Fkf、Fkrの負担分を摩擦制動力Fmf、Fmrにすり替えるすり替え制御を実行する。所定のすり替え判定車速は、車両が停車に近づいたと判断可能であり、回生制動力Fkf、Fkrから摩擦制動力Fmf、Fmrへのすり替えを停車前に完了可能な車速に設定されればよい。ただし、回生制動力Fkf、Fkrから摩擦制動力Fmf、Fmrへのすり替えは、制動に滑りが生じない程度の時間をかけて行うことが好ましい。時刻t3ですり替え制御が完了すると、要求制動力Fbのうち回生制動力Fkf、Fkrで負担していた分がすべて摩擦制動力Fmf、Fmrですり替わる。これにより、フロントモータ10fおよびリアモータ10rからクリープトルクを出力可能な状態となり、時刻t4で車両1の停車した後、再発進する際にフロントモータ10f、リアモータ10rから速やかに駆動力を出力することが可能となる。
また、制御装置16は、回生協調制御の実行中に車両1の車速が所定のすり替え判定車速以下となると(時刻t2)、要求制動力Fbのうち回生制動力Fkf、Fkrの負担分を摩擦制動力Fmf、Fmrにすり替えるすり替え制御を実行する。所定のすり替え判定車速は、車両が停車に近づいたと判断可能であり、回生制動力Fkf、Fkrから摩擦制動力Fmf、Fmrへのすり替えを停車前に完了可能な車速に設定されればよい。ただし、回生制動力Fkf、Fkrから摩擦制動力Fmf、Fmrへのすり替えは、制動に滑りが生じない程度の時間をかけて行うことが好ましい。時刻t3ですり替え制御が完了すると、要求制動力Fbのうち回生制動力Fkf、Fkrで負担していた分がすべて摩擦制動力Fmf、Fmrですり替わる。これにより、フロントモータ10fおよびリアモータ10rからクリープトルクを出力可能な状態となり、時刻t4で車両1の停車した後、再発進する際にフロントモータ10f、リアモータ10rから速やかに駆動力を出力することが可能となる。
(車両のピッチング運動)
次に、車両1のピッチング運動について説明する。図3は、車両1の駆動時におけるピッチング運動を模式的に示した説明図であり、図4は、車両1の制動時におけるピッチング運動を模式的に示した説明図である。ここでは、駆動時および制動時における車両1のピッチ方向の姿勢変化や、それに伴う荷重移動の一般的な考え方を説明するため、図4では、車両1に摩擦制動力Fmf、Fmrのみが付与された場合の例を示している。
次に、車両1のピッチング運動について説明する。図3は、車両1の駆動時におけるピッチング運動を模式的に示した説明図であり、図4は、車両1の制動時におけるピッチング運動を模式的に示した説明図である。ここでは、駆動時および制動時における車両1のピッチ方向の姿勢変化や、それに伴う荷重移動の一般的な考え方を説明するため、図4では、車両1に摩擦制動力Fmf、Fmrのみが付与された場合の例を示している。
図3に示すように、前輪2f、後輪2rに駆動力Fdf、Fdrが付与されると、車両1には、リア側への慣性力Fiが作用する。それにより、車両1には、重心GにピッチモーメントMpが作用し、フロント側が上方に向けて傾く、いわゆるスクワットの姿勢変化が生じる。また、図4に示すように、摩擦制動力Fmf、Fmrが付与されると、車両1には、フロント側への慣性力Fiが作用する。それにより、車両1には、重心GにピッチモーメントMpが作用し、フロント側が下方に向けて傾く、いわゆるノーズダイブの姿勢変化が生じる。このとき、姿勢変化前後における車両1の重心Gを通る前後方向に延びる直線L1の傾きがピッチ角θpとなる。本実施形態では、ピッチ角θpは、車両1がノーズダイブ側に姿勢変化するほどピッチ角θpが正方向において大きくなり、車両1がスクワット側に姿勢変化するほどピッチ角θpが正方向において小さくなる(負方向に大きくなる)とする。
(アンチ角およびアンチフォース)
また、車両1には、車両諸元として予め定められたアンチ角θaに応じてアンチフォースが作用する。アンチ角θaは、アンチノーズアップ角θaU、アンチスクワット角θaS、アンチノーズダイブ角θaDおよびアンチテールリフト角θaLを含む。各アンチ角θaは、車両1の前輪2f、後輪2rに接続されたサスペンション18(フロントサスペンション18fおよびリアサスペンション18r)のジオメトリで決定される。
また、車両1には、車両諸元として予め定められたアンチ角θaに応じてアンチフォースが作用する。アンチ角θaは、アンチノーズアップ角θaU、アンチスクワット角θaS、アンチノーズダイブ角θaDおよびアンチテールリフト角θaLを含む。各アンチ角θaは、車両1の前輪2f、後輪2rに接続されたサスペンション18(フロントサスペンション18fおよびリアサスペンション18r)のジオメトリで決定される。
車両1の駆動時には、駆動力Fdfの鉛直方向の分力としてのアンチノーズアップ力FaUがアンチノーズアップ角θaUに応じて車両1のフロント側に作用すると共に、駆動力Fdrの鉛直方向の分力としてのアンチスクワット力FaSがアンチスクワット角θaSに応じて車両1のリア側に作用する。アンチノーズアップ力FaUが下向きの力となり、アンチスクワット力FaSが上向きの力となるため、車両1のスクワットの姿勢変化が抑制される。
一方、車両1の制動時には、摩擦制動力Fmfの鉛直方向の分力としてのアンチノーズダイブ力FaDがアンチノーズダイブ角θaDに応じて車両1のフロント側に作用すると共に、摩擦制動力Fmrの鉛直方向の分力としてのアンチテールリフト力FaLがアンチテールリフト角θaLに応じて車両1のリア側に作用する。アンチノーズダイブ力FaDが上向きの力となり、アンチテールリフト力FaLが下向きの力となるため、車両1のノーズアップの姿勢変化が抑制される。
(荷重移動)
上述したようにスクワットの姿勢変化が生じた場合、車両1では、フロントサスペンション18fが伸長し、リアサスペンション18rが収縮する。一方、ノーズダイブの姿勢変化が生じた場合、車両1では、フロントサスペンション18fが収縮し、リアサスペンション18rが伸長する。この伸縮量に対応した力が、ピッチング運動が生じたときの車両1のサスペンション18よりも上に位置するインボード部分に作用する荷重移動量ΔWとなる。本実施形態では、回生協調制御時の荷重移動量ΔWを以下に説明する手法により算出し、荷重移動量ΔWとピッチ角θpとの関係に基づいて、回生協調制御における回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrを設定する。以下の説明では、車両1のサスペンション18よりも上のインボード部分を「バネ上」、サスペンション18よりも下に位置するアウトボード部分を「バネ下」と称する。
上述したようにスクワットの姿勢変化が生じた場合、車両1では、フロントサスペンション18fが伸長し、リアサスペンション18rが収縮する。一方、ノーズダイブの姿勢変化が生じた場合、車両1では、フロントサスペンション18fが収縮し、リアサスペンション18rが伸長する。この伸縮量に対応した力が、ピッチング運動が生じたときの車両1のサスペンション18よりも上に位置するインボード部分に作用する荷重移動量ΔWとなる。本実施形態では、回生協調制御時の荷重移動量ΔWを以下に説明する手法により算出し、荷重移動量ΔWとピッチ角θpとの関係に基づいて、回生協調制御における回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrを設定する。以下の説明では、車両1のサスペンション18よりも上のインボード部分を「バネ上」、サスペンション18よりも下に位置するアウトボード部分を「バネ下」と称する。
(瞬間回転中心)
ここで、回生協調制御時における車両1のバネ上のピッチング運動は、車両1に作用する各力の瞬間回転中心(ピッチング瞬間中心)を支点として重心Gに働くピッチモーメントにより生じる挙動と考えることができる。図5は、車両1の瞬間回転中心を模式的に示す説明図である。図示するように、回生制動力Fkf、Fkrは、バネ上に設けられたフロントモータ10fおよびリアモータ10rから出力される力である。そのため、本実施形態において、上記アンチノーズアップ角θaUに沿って延びる延長線L2と上記アンチスクワット角θaSに沿って延びる延長線L3との交点を回生制動力Fkf、Fkrが作用するときのピッチング運動の第1瞬間回転中心Aに設定する。一方、摩擦制動力Fmf、Fmrは、バネ下に設けられた摩擦制動装置30から出力される力である。そのため、本実施形態では、上記アンチノーズダイブ角θaDに沿って延びる延長線L4と上記アンチテールリフト角θaLに沿って延びる延長線L5との交点を摩擦制動力Fmf、Fmrが作用するときのピッチング運動の第2瞬間回転中心Bに設定する。
ここで、回生協調制御時における車両1のバネ上のピッチング運動は、車両1に作用する各力の瞬間回転中心(ピッチング瞬間中心)を支点として重心Gに働くピッチモーメントにより生じる挙動と考えることができる。図5は、車両1の瞬間回転中心を模式的に示す説明図である。図示するように、回生制動力Fkf、Fkrは、バネ上に設けられたフロントモータ10fおよびリアモータ10rから出力される力である。そのため、本実施形態において、上記アンチノーズアップ角θaUに沿って延びる延長線L2と上記アンチスクワット角θaSに沿って延びる延長線L3との交点を回生制動力Fkf、Fkrが作用するときのピッチング運動の第1瞬間回転中心Aに設定する。一方、摩擦制動力Fmf、Fmrは、バネ下に設けられた摩擦制動装置30から出力される力である。そのため、本実施形態では、上記アンチノーズダイブ角θaDに沿って延びる延長線L4と上記アンチテールリフト角θaLに沿って延びる延長線L5との交点を摩擦制動力Fmf、Fmrが作用するときのピッチング運動の第2瞬間回転中心Bに設定する。
(荷重移動量の算出)
次に、第1瞬間回転中心Aおよび第2瞬間回転中心Bに基づく、車両1のバネ上における荷重移動量ΔWの算出手法について説明する。車両1の回生制動時には、第1瞬間回転中心Aを支点として車両1のバネ上に作用する荷重移動量として、慣性力による荷重移動量ΔWA1と、反力トルクによる荷重移動量ΔWA2(図6参照)と、アンチフォースによる荷重移動量ΔWA3とが生じる。また、車両1の摩擦制動時には、第2瞬間回転中心Bを支点として車両1のバネ上に作用する荷重移動量として、慣性力による荷重移動量ΔWB1と、アンチフォースによる荷重移動量ΔWB2とが生じる。
次に、第1瞬間回転中心Aおよび第2瞬間回転中心Bに基づく、車両1のバネ上における荷重移動量ΔWの算出手法について説明する。車両1の回生制動時には、第1瞬間回転中心Aを支点として車両1のバネ上に作用する荷重移動量として、慣性力による荷重移動量ΔWA1と、反力トルクによる荷重移動量ΔWA2(図6参照)と、アンチフォースによる荷重移動量ΔWA3とが生じる。また、車両1の摩擦制動時には、第2瞬間回転中心Bを支点として車両1のバネ上に作用する荷重移動量として、慣性力による荷重移動量ΔWB1と、アンチフォースによる荷重移動量ΔWB2とが生じる。
(回生制動時の慣性力による荷重移動量)
車両1に回生制動力Fkf、Fkrを作用させたときに生じる慣性力による荷重移動量ΔWA1は、次式(5)にしたがって算出される。式(5)中の“M”は、車両1の重量であり、“Gx”は、車両1に作用する前後方向の減速度(減速側を正とした前後加速度)である。また、“L”は、前輪2fと後輪2rとの距離であるホイールベースであり、“hg”は、重心Gの高さであり、“ha”は、第1瞬間回転中心Aの高さである。
車両1に回生制動力Fkf、Fkrを作用させたときに生じる慣性力による荷重移動量ΔWA1は、次式(5)にしたがって算出される。式(5)中の“M”は、車両1の重量であり、“Gx”は、車両1に作用する前後方向の減速度(減速側を正とした前後加速度)である。また、“L”は、前輪2fと後輪2rとの距離であるホイールベースであり、“hg”は、重心Gの高さであり、“ha”は、第1瞬間回転中心Aの高さである。
ΔWA1=MGx(hg-ha)/L …(5)
(回生制動時の反力トルクによる荷重移動)
図6は、反力トルクによる荷重移動量ΔWA2を説明するための模式図である。車両1に回生制動力Fkf、Fkrを作用させたとき、サスペンション18を介さずにバネ上の車体フレーム1aに搭載されたデファレンシャルギヤのデフケース5を反対側に回そうとする反力トルクFcが発生する。車両1は、この反力トルクFcがサスペンション18を介することなく、デフケース5からさらに車体フレーム1aに制動側のトルクとして伝わるように構成されている。その結果、車両1のバネ上には、反力トルクFcに起因して、フロント側が持ち上げられると共にリア側が押し下げられる方向の荷重移動量ΔWA2が発生する。荷重移動量ΔWA2は、次式(6)にしたがって算出される。式(6)中の“Rt”は、前輪2f、後輪2rの半径である。
図6は、反力トルクによる荷重移動量ΔWA2を説明するための模式図である。車両1に回生制動力Fkf、Fkrを作用させたとき、サスペンション18を介さずにバネ上の車体フレーム1aに搭載されたデファレンシャルギヤのデフケース5を反対側に回そうとする反力トルクFcが発生する。車両1は、この反力トルクFcがサスペンション18を介することなく、デフケース5からさらに車体フレーム1aに制動側のトルクとして伝わるように構成されている。その結果、車両1のバネ上には、反力トルクFcに起因して、フロント側が持ち上げられると共にリア側が押し下げられる方向の荷重移動量ΔWA2が発生する。荷重移動量ΔWA2は、次式(6)にしたがって算出される。式(6)中の“Rt”は、前輪2f、後輪2rの半径である。
ΔWA2=MGx・Rt/L…(6)
(回生制動時のアンチフォース)
車両1の回生制動時には、図5に示すように、回生制動力Fkf、Fkrに応じたアンチフォースが生じる。回生制動時に生じるアンチフォースは、フロント側で駆動時のアンチノーズアップ力FaU(図3)とは反対方向の力となり、リア側でアンチスクワット力FaS(図3)とは反対方向の力となる。そこで、以下の回生制動に関する説明では、アンチノーズアップ角θaUを「回生フロント側アンチ角θkfa」と称し、回生制動力Fkfにより生じるアンチフォースを「回生フロント側アンチフォースFkfa」と称する。また、アンチスクワット角θaSを「回生リア側アンチ角θkra」と称し、回生制動力Fkrにより生じるアンチフォースを「回生リア側アンチフォースFkra」と称する。回生フロント側アンチフォースFkfa、回生リア側アンチフォースFkraは、次式(7)、(8)で算出される。回生フロント側アンチフォースFkfaと回生リア側アンチフォースFkraとの合計が荷重移動量ΔWA3となる。
車両1の回生制動時には、図5に示すように、回生制動力Fkf、Fkrに応じたアンチフォースが生じる。回生制動時に生じるアンチフォースは、フロント側で駆動時のアンチノーズアップ力FaU(図3)とは反対方向の力となり、リア側でアンチスクワット力FaS(図3)とは反対方向の力となる。そこで、以下の回生制動に関する説明では、アンチノーズアップ角θaUを「回生フロント側アンチ角θkfa」と称し、回生制動力Fkfにより生じるアンチフォースを「回生フロント側アンチフォースFkfa」と称する。また、アンチスクワット角θaSを「回生リア側アンチ角θkra」と称し、回生制動力Fkrにより生じるアンチフォースを「回生リア側アンチフォースFkra」と称する。回生フロント側アンチフォースFkfa、回生リア側アンチフォースFkraは、次式(7)、(8)で算出される。回生フロント側アンチフォースFkfaと回生リア側アンチフォースFkraとの合計が荷重移動量ΔWA3となる。
Fkfa=Fkf・tan(θkfa) …(7)
Fkra=Fkr・tan(θkra) …(8)
Fkra=Fkr・tan(θkra) …(8)
(摩擦制動による慣性力による荷重移動)
車両1に摩擦制動力Fmf、Fmrを作用させたときに生じる慣性力による荷重移動量ΔWB1は、次式(9)にしたがって算出することができる。式(9)中の“hb”は、第2瞬間回転中心Bの高さである。
車両1に摩擦制動力Fmf、Fmrを作用させたときに生じる慣性力による荷重移動量ΔWB1は、次式(9)にしたがって算出することができる。式(9)中の“hb”は、第2瞬間回転中心Bの高さである。
ΔWB1=MGx(hg-hb)/L …(9)
(摩擦制動力によるアンチフォース)
また、図5に示すように、車両1の摩擦制動時には、摩擦制動力Fmf、Fmrに応じたアンチフォースが生じる。摩擦制動時に生じるアンチフォースは、アンチノーズダイブ力FaDおよびアンチテールリフト力FaL(図4)である。以下の摩擦制動に関する説明では、アンチノーズダイブ角θaDを「摩擦フロント側アンチ角θmfa」と称し、摩擦制動力Fmfにより生じるアンチフォースを「摩擦フロント側アンチフォースFmfa」と称する。また、アンチテールリフト角θaLを「摩擦リア側アンチ角θmra」と称し、摩擦制動力Fmrにより生じるアンチフォースを「摩擦リア側アンチフォースFmra」と称する。摩擦フロント側アンチフォースFmfa、摩擦リア側アンチフォースFmraは、次式(10)、(11)で算出される。この摩擦フロント側アンチフォースFmfaおよび摩擦リア側アンチフォースFmraの合計が荷重移動量ΔWB2となる。
また、図5に示すように、車両1の摩擦制動時には、摩擦制動力Fmf、Fmrに応じたアンチフォースが生じる。摩擦制動時に生じるアンチフォースは、アンチノーズダイブ力FaDおよびアンチテールリフト力FaL(図4)である。以下の摩擦制動に関する説明では、アンチノーズダイブ角θaDを「摩擦フロント側アンチ角θmfa」と称し、摩擦制動力Fmfにより生じるアンチフォースを「摩擦フロント側アンチフォースFmfa」と称する。また、アンチテールリフト角θaLを「摩擦リア側アンチ角θmra」と称し、摩擦制動力Fmrにより生じるアンチフォースを「摩擦リア側アンチフォースFmra」と称する。摩擦フロント側アンチフォースFmfa、摩擦リア側アンチフォースFmraは、次式(10)、(11)で算出される。この摩擦フロント側アンチフォースFmfaおよび摩擦リア側アンチフォースFmraの合計が荷重移動量ΔWB2となる。
Fmfa=Fmf・tan(θmfa) …(10)
Fmra=Fmr・tan(θmra) …(11)
Fmra=Fmr・tan(θmra) …(11)
(バネ上の荷重移動量の総和)
以上の荷重移動量ΔWA1、ΔWA2、ΔWA3の和である第1荷重移動量と、荷重移動量ΔWB1、ΔWB2の和である第2荷重移動量とを、回生比率kおよび摩擦比率mを考慮しながら合算することで、次式(12)に示すように、バネ上の荷重移動量ΔWが算出される。なお、式(12)における車両1に作用する前後方向の力である“MGx”は、回生制動力Fkf、Fkrと摩擦制動力Fmf、Fmrとの和として算出することができる。また、式(12)中の“tan(θ)”は、ピッチ角θpの絶対値が十分に小さい場合、近似値として各アンチ角θaを用いてもよい。
以上の荷重移動量ΔWA1、ΔWA2、ΔWA3の和である第1荷重移動量と、荷重移動量ΔWB1、ΔWB2の和である第2荷重移動量とを、回生比率kおよび摩擦比率mを考慮しながら合算することで、次式(12)に示すように、バネ上の荷重移動量ΔWが算出される。なお、式(12)における車両1に作用する前後方向の力である“MGx”は、回生制動力Fkf、Fkrと摩擦制動力Fmf、Fmrとの和として算出することができる。また、式(12)中の“tan(θ)”は、ピッチ角θpの絶対値が十分に小さい場合、近似値として各アンチ角θaを用いてもよい。
ΔW=kΔWA1+kΔWA2+ΔWA3+mΔWB1+ΔWB2=kMGx(hg-ha)/L+kMGx・Rt/L-Fkf・tan(θkfa)-Fkr・tan(θkra)+mMGx(hg-hb)/L-Fmf・tan(θmfa)-Fmr・tan(θmra) …(12)
(ピッチ角の算出)
ピッチ角θpは、次式(13)によって算出される。式(13)中の“Kpf”は、フロントサスペンション18fのバネ定数であり、“Kpr”は、リアサスペンション18rのバネ定数である。式(13)中の“Kpf”、“Kpr”、“L”は車両諸元で決まる定数であるため、ピッチ角θpは、式(12)により算出される荷重移動量ΔWに応じて変化することになる。
ピッチ角θpは、次式(13)によって算出される。式(13)中の“Kpf”は、フロントサスペンション18fのバネ定数であり、“Kpr”は、リアサスペンション18rのバネ定数である。式(13)中の“Kpf”、“Kpr”、“L”は車両諸元で決まる定数であるため、ピッチ角θpは、式(12)により算出される荷重移動量ΔWに応じて変化することになる。
θp=ΔW/(2(Kpf+Kpr)・L) …(13)
(ピッチ角θpの計算結果例)
次に、上記式(12)、(13)で算出されるピッチ角θpの計算結果例について説明する。表1は、車両1のアンチ角θaの一例を示す。本実施形態の車両1では、回生リア側アンチ角θkraが回生フロント側アンチ角θkfaより大きく、摩擦リア側アンチ角θmraが摩擦フロント側アンチ角θmfaより大きい。また、摩擦フロント側アンチ角θmfaが回生フロント側アンチ角θkfaより大きく、摩擦リア側アンチ角θmraが回生リア側アンチ角θkraより大きい。さらに、すべてのアンチ角θaのなかで摩擦リア側アンチ角θmraが最大であり、残りのアンチ角θa同士の差に比較して、摩擦リア側アンチ角θmraと残りのアンチ角θaとが大きな差を呈するように設定されている。つまり、車両1においては、摩擦リア側アンチフォースFmraが最も大きく作用する。
次に、上記式(12)、(13)で算出されるピッチ角θpの計算結果例について説明する。表1は、車両1のアンチ角θaの一例を示す。本実施形態の車両1では、回生リア側アンチ角θkraが回生フロント側アンチ角θkfaより大きく、摩擦リア側アンチ角θmraが摩擦フロント側アンチ角θmfaより大きい。また、摩擦フロント側アンチ角θmfaが回生フロント側アンチ角θkfaより大きく、摩擦リア側アンチ角θmraが回生リア側アンチ角θkraより大きい。さらに、すべてのアンチ角θaのなかで摩擦リア側アンチ角θmraが最大であり、残りのアンチ角θa同士の差に比較して、摩擦リア側アンチ角θmraと残りのアンチ角θaとが大きな差を呈するように設定されている。つまり、車両1においては、摩擦リア側アンチフォースFmraが最も大きく作用する。
図7は、回生比率k、摩擦比率m、フロント比率fおよびリア比率rを変更したときのピッチ角θpの一例をプロットした説明図である。図7の斜線を付した領域に示したピッチ角θpの値は、減速度および要求制動力Fb(=Fkf+Fkr+Fmf+Fmr)を一定とした場合に、表1に示す車両諸元を用いて式(12)、(13)に基づいて算出されたものである。図7では、車両1の制動時に重心Gの高さhgや第1瞬間回転中心Aの高さha、第2瞬間回転中心Bの高さhgが変動しない場合を想定している。この場合、上記式(12)における変数は、回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrのみとなり、ピッチ角θpは、回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrに応じて変化する値として扱うことができる。なお、高さhg、ha、hbが車両1の姿勢によって変動する場合、車体位置を検出する図示しないセンサによりこれらの値を取得すればよい。
図示するように、車両1では、回生比率kが大きいほどピッチ角θpが大きくなると共に摩擦比率mが大きいほどピッチ角θpが小さくなる。これは、摩擦フロント側アンチ角θmfaが回生フロント側アンチ角θkfaより大きく、かつ、摩擦リア側アンチ角θmraが回生リア側アンチ角θkraより大きいためである。すなわち、摩擦比率mを大きくすると摩擦側のアンチフォース(Fmfa、Fmra)が比較的に大きくなりやすく、ピッチ角θpが小さくなりやすい。一方で、回生比率kを大きくしても回生側のアンチフォース(Fkfa、Fkra)が比較的に大きくなりづらく、ピッチ角θpが小さくなりづらい。
また、車両1では、フロント比率fが大きいほどピッチ角θpが大きくなると共にリア比率rが大きいほどピッチ角θpが小さくなる。これは、回生リア側アンチ角θkraが回生フロント側アンチ角θkfaより大きく、かつ、摩擦リア側アンチ角θmraが摩擦フロント側アンチ角θmfaより大きいためである。すなわち、リア比率rを大きくするとリア側のアンチフォース(Fkra、Fmra)が比較的に大きくなりやすく、ピッチ角θpが小さくなりやすい。一方で、フロント比率fを大きくしてもフロント側のアンチフォース(Fkfa、Fmfa)が比較的に大きくなりづらく、ピッチ角θpが小さくなりづらい。
また、図8は、回生協調制御を行ったときのピッチ角θpの時間変化の一例を示す説明図である。図8に示すピッチ角θpは、車両1において回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrの挙動を図2に示す例とし、フロント比率fおよびリア比率rを値0から値1の間で変化させた場合の解析結果である。図示するように、図2に示す要求制動力Fbの変化に応じてピッチ角θpは変化するものの、フロント比率fが大きいほどピッチ角θpが大きくなり、リア比率rが大きいほどピッチ角θpが小さくなる傾向は変わらない。また、例えば時刻t2から時刻t3の間のピッチ角θpの変化に示すように、すり替え制御が実行開始されて摩擦比率mが大きくなると、ピッチ角θpが小さくなる傾向となることがわかる。
以上のように、車両1では、フロント比率fおよび回生比率kのいずれか一方が大きくなるほどピッチ角θpが大きくなり、リア比率rおよび摩擦比率mのいずれか一方が大きくなるほどピッチ角θpが小さくなる。また、車両1においてピッチ角θpの変化傾向は、図8に示すように、要求制動力Fbが変化しても同様である。つまり、車両1は、要求制動力Fbの大きさに関わらず、アンチフォースの荷重移動量ΔWA3、ΔWB2によるピッチ角θpの変化傾向への寄与度が、他の荷重移動量ΔWA1、ΔWA2、ΔWB1によるピッチ角θpの変化傾向への寄与度よりも大きくなるような車両諸元を有している。
(制動時の重心位置の変化)
次に、車両1の制動時の姿勢変化による重心Gの位置の変化について説明する。図9は、実施形態の車両1において、前輪2fにのみ摩擦制動力Fmf、Fmrを付与したときの車体のピッチング運動の一例を示す説明図である。また、図10は、実施形態の車両1において、後輪2rにのみ摩擦制動力Fmf、Fmrを付与したときの車体のピッチング運動の一例を示す説明図である。図9に示す例では、車両1に摩擦フロント側アンチフォースFmfaが作用する。しかしながら、上述したように、摩擦フロント側アンチフォースFmfaは比較的に小さいため、フロント側が下方に沈み込み、リア側が上方に持ち上がったノーズダイブの姿勢変化が車両1に生じやすい。このとき、重心Gの上下方向における位置はほぼ変動しない傾向となる。一方で、図10に示す例では、車両1の重心Gが破線で示す制動前の位置よりも下方側に移動しつつ、ピッチ角θpが図9に示す例よりも0度に近くなっている。これは、摩擦リア側アンチフォースFmraが摩擦フロント側アンチフォースFmfaよりも大きく、車体のリア側が図9に示す例よりも下方に沈み込んだことによるものである。
次に、車両1の制動時の姿勢変化による重心Gの位置の変化について説明する。図9は、実施形態の車両1において、前輪2fにのみ摩擦制動力Fmf、Fmrを付与したときの車体のピッチング運動の一例を示す説明図である。また、図10は、実施形態の車両1において、後輪2rにのみ摩擦制動力Fmf、Fmrを付与したときの車体のピッチング運動の一例を示す説明図である。図9に示す例では、車両1に摩擦フロント側アンチフォースFmfaが作用する。しかしながら、上述したように、摩擦フロント側アンチフォースFmfaは比較的に小さいため、フロント側が下方に沈み込み、リア側が上方に持ち上がったノーズダイブの姿勢変化が車両1に生じやすい。このとき、重心Gの上下方向における位置はほぼ変動しない傾向となる。一方で、図10に示す例では、車両1の重心Gが破線で示す制動前の位置よりも下方側に移動しつつ、ピッチ角θpが図9に示す例よりも0度に近くなっている。これは、摩擦リア側アンチフォースFmraが摩擦フロント側アンチフォースFmfaよりも大きく、車体のリア側が図9に示す例よりも下方に沈み込んだことによるものである。
(接地面荷重移動)
そして、ここまでに説明してきたピッチング運動が生じた場合、前輪2fおよび後輪2rの接地面に作用する荷重の移動量である接地面荷重移動量ΔWGは、次式(14)で算出される。式(14)で算出される接地面荷重移動量ΔWGは、式(12)で算出されるバネ上の荷重移動量ΔWに、バネ下の荷重移動量を加えた車両1全体の荷重移動量に相当する。ここで、図10に示す例では、図9に示す例に比べて重心Gの位置が下方に移動するため、式(14)中の重心Gの高さhg(図5参照)が小さくなる。したがって、図10に示す例での接地面荷重移動量ΔWG2は、図9に示す例での接地面荷重移動量ΔWG1よりも小さくなる。このように、重心Gの高さが変化した場合、接地面荷重移動量ΔWGの値が変化する。
そして、ここまでに説明してきたピッチング運動が生じた場合、前輪2fおよび後輪2rの接地面に作用する荷重の移動量である接地面荷重移動量ΔWGは、次式(14)で算出される。式(14)で算出される接地面荷重移動量ΔWGは、式(12)で算出されるバネ上の荷重移動量ΔWに、バネ下の荷重移動量を加えた車両1全体の荷重移動量に相当する。ここで、図10に示す例では、図9に示す例に比べて重心Gの位置が下方に移動するため、式(14)中の重心Gの高さhg(図5参照)が小さくなる。したがって、図10に示す例での接地面荷重移動量ΔWG2は、図9に示す例での接地面荷重移動量ΔWG1よりも小さくなる。このように、重心Gの高さが変化した場合、接地面荷重移動量ΔWGの値が変化する。
ΔWG=MGx・hg/L …(14)
(旋回制動時の回生協調制御)
次に、上記重心Gの位置の変化や接地面荷重移動量ΔWGの変化を利用した車両1の旋回制動時における回生協調制御について説明する。制御装置16は、車両1の旋回制動時の回生協調制御において、車両1の運動性能向上や乗り心地の向上を図るため、走行モードに応じて表2に示す制動力の第1配分調整および第2配分調整のいずれかを実行する。第1配分調整および第2配分調整のいずれを実行する場合でも、少なくとも要求制動力Fbを各制動力の総和(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr)で満たすように制御する。
次に、上記重心Gの位置の変化や接地面荷重移動量ΔWGの変化を利用した車両1の旋回制動時における回生協調制御について説明する。制御装置16は、車両1の旋回制動時の回生協調制御において、車両1の運動性能向上や乗り心地の向上を図るため、走行モードに応じて表2に示す制動力の第1配分調整および第2配分調整のいずれかを実行する。第1配分調整および第2配分調整のいずれを実行する場合でも、少なくとも要求制動力Fbを各制動力の総和(Fkf+Fkr+Fmf+Fmr)で満たすように制御する。
まず、表2に示すように、車両1は、スポーツモードとコンフォートモードとを含む走行モードを選択可能に構成されている。本実施形態におけるスポーツモードは、車両1の乗り心地よりも運動性能向上を優先する走行モードであり、コンフォートモードは、車両1の運動性能よりも乗り心地を優先する走行モードである。走行モードは、図示しない運転席に設けられた切り替えスイッチを運転者が操作することで変更可能とされればよい。そして、制御装置16は、車両1の旋回度合いを表す指標値に応じて、走行モードがスポーツモードに設定されている場合には第1配分調整および第2配分調整のいずれかを実行し、走行モードがコンフォートモードに設定されている場合には第2配分調整を実行する。
車両1の旋回度合いを表す指標値は、例えば、舵角、横加速度、ヨーレートおよび後輪2rのスリップ角を含む。制御装置16は、車両1の図示しないステアリングの操作量に基づいて舵角を算出する。また、制御装置16は、図示しない加速度センサにより検出された横加速度、図示しないヨーレートセンサにより検出されたヨーレートを取得する。また、制御装置16は、図示しない車速センサにより検出された車速、車両1の重心Gにおける加速度、舵角や車両諸元などに基づいて、後輪2rのスリップ角を算出する。
(スポーツモードにおける第1配分調整)
まず、走行モードがスポーツモードに設定されており、第1配分調整を行う場合について、図11を参照しながら説明する。図11は、車両1の旋回制動時に制動力を第1配分調整で調整したときの様子を模式的に示す説明図である。図中の破線矢印は第1配分調整を実行前の回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrの大きさを示し、実線矢印は第1配分調整を実行後の回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrの大きさを示している。
まず、走行モードがスポーツモードに設定されており、第1配分調整を行う場合について、図11を参照しながら説明する。図11は、車両1の旋回制動時に制動力を第1配分調整で調整したときの様子を模式的に示す説明図である。図中の破線矢印は第1配分調整を実行前の回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrの大きさを示し、実線矢印は第1配分調整を実行後の回生制動力Fkf、Fkrおよび摩擦制動力Fmf、Fmrの大きさを示している。
この場合、制御装置16は、上記指標値を舵角および横加速度の少なくともいずれか一方とする。そして、制御装置16は、舵角および横加速度の少なくともいずれか一方が大きいほど、前輪2fの回生制動力Fkfを小さくしながら後輪2rの回生制動力Fkrを大きくし、前輪2fの摩擦制動力Fmfを大きくしながら後輪2rの摩擦制動力Fmrを小さくする第1配分調整を実行する。
これにより、リア側の摩擦制動力Fmrが小さくなることで、摩擦リア側アンチフォースFmraが小さくなる。また、リア側の回生制動力Fkrが大きくなっても、回生リア側アンチフォースFkraは摩擦リア側アンチフォースFmraに比べて大きくなりづらい。その結果、車両1のリア側が比較的に沈み込みづらい(浮き上がりやすい)傾向となる。一方、フロント側では、リア側に比べると、摩擦制動力Fmfが大きくなっても摩擦フロント側アンチフォースFmfaが大きくなりづらい。したがって、第1配分調整を実行した場合、車両1には、図9で示したような重心Gの高さが大きく変動することなくノーズダイブ側の姿勢変化が生じやすくなる。
その結果、接地面荷重移動量ΔWG(ΔWG1)が大きくなり、前輪2fの接地面に加わる荷重が大きくなるため、図11に示すように、前輪2fのフリクションサークルCfが第1配分調整前よりも大きくなる。フリクションサークルは、車輪のグリップ限界を模式的に示すものであり、図中では、配分調整前のフリクションサークルを破線円、配分調整後のフリクションサークルを実線円とし、図中下側を減速領域として示している。このように、前輪2fのフリクションサークルCfを大きくすることで、操舵輪としての前輪2fのグリップ限界が大きくなり、旋回制動時における車両1の運動性能が向上する。
(スポーツモードにおける第2配分調整)
次に、走行モードがスポーツモードに設定されており、第2配分調整を行う場合について、図12を参照しながら説明する。図12は、車両1の旋回制動時に制動力を第2配分調整で調整したときの様子を模式的に示す説明図である。図中の各矢印や円の定義は、図11と同様である。制御装置16は、上記指標値をヨーレートおよび後輪2rのスリップ角の少なくともいずれか一方とする。そして、制御装置16は、ヨーレートおよび後輪2rのスリップ角の少なくともいずれか一方が大きいほど、回生制動力Fkfを大きくしながら回生制動力Fkrを小さくし、摩擦制動力Fmfを小さくしながら摩擦制動力Fmrを大きくする第2配分調整を実行する。
次に、走行モードがスポーツモードに設定されており、第2配分調整を行う場合について、図12を参照しながら説明する。図12は、車両1の旋回制動時に制動力を第2配分調整で調整したときの様子を模式的に示す説明図である。図中の各矢印や円の定義は、図11と同様である。制御装置16は、上記指標値をヨーレートおよび後輪2rのスリップ角の少なくともいずれか一方とする。そして、制御装置16は、ヨーレートおよび後輪2rのスリップ角の少なくともいずれか一方が大きいほど、回生制動力Fkfを大きくしながら回生制動力Fkrを小さくし、摩擦制動力Fmfを小さくしながら摩擦制動力Fmrを大きくする第2配分調整を実行する。
これにより、リア側の摩擦制動力Fmrが大きくなることで摩擦リア側アンチフォースFmraがより大きくなる。また、回生リア側アンチフォースFkraは、回生制動力Fkrが小さくなっても摩擦リア側アンチフォースFmraに比べて小さくなりづらい。さらに、回生リア側アンチフォースFkraは、そもそも摩擦リア側アンチフォースFmraに比べて小さいため、変化しても影響が小さい。その結果、車両1のリア側が沈み込みやすい傾向となる。したがって、第2配分調整を実行した場合、車両1には、上記図10で示したような重心Gの高さが下方側に移動し、ピッチ角θpが比較的に0度に近くなる姿勢変化が生じやすい。
その結果、接地面荷重移動量ΔWG(ΔWG2)が小さくなり、後輪2rの接地面に加わる荷重が大きくなるため、図12に示すように、後輪2rのフリクションサークルCrが第2配分調整前よりも大きくなる。このように、後輪2rのフリクションサークルCrを大きくすることで、後輪2rのグリップ限界が大きくなり、後輪2rのスリップが抑制され、車両1にスピンが生じることが抑制される。
(スポーツモードにおける第1配分調整と第2配分調整との選択)
スポーツモードにおいて第1配分調整と第2配分調整とのいずれを実行するかは、車両1の運動特性に応じてフリクションサークルCf、Crのいずれを大きくするかを選択してもよいし、他の条件により選択してもよい。他の条件としては、例えば、車両1の旋回開始から所定時間の間は、上記指標値のうち舵角、横加速度に応じて第1配分調整を実行し、旋回開始から所定時間が経過した後には、ヨーレート、後輪2rのスリップ角に応じて第2配分調整を実行するようにしてもよい。それにより、旋回開始初期の前輪2fのグリップ限界を高めスムーズな旋回を図りつつ、車両1がスピン傾向となり得る旋回中期から後期に後輪2rのグリップ限界を高めスピンを抑制することができる。また、例えば、指標値ごとに所定の閾値を設けておき、舵角、横加速度が所定の閾値を超えたときに第1配分調整を実行し、ヨーレート、後輪2rのスリップ角が所定の閾値を超えたときに第2配分調整を実行するものとしてもよい。その場合、第1配分調整を実行している間にヨーレート、後輪2rのスリップ角が所定の閾値を超えたとき、第2配分調整に切り替えるものとしてもよい。
スポーツモードにおいて第1配分調整と第2配分調整とのいずれを実行するかは、車両1の運動特性に応じてフリクションサークルCf、Crのいずれを大きくするかを選択してもよいし、他の条件により選択してもよい。他の条件としては、例えば、車両1の旋回開始から所定時間の間は、上記指標値のうち舵角、横加速度に応じて第1配分調整を実行し、旋回開始から所定時間が経過した後には、ヨーレート、後輪2rのスリップ角に応じて第2配分調整を実行するようにしてもよい。それにより、旋回開始初期の前輪2fのグリップ限界を高めスムーズな旋回を図りつつ、車両1がスピン傾向となり得る旋回中期から後期に後輪2rのグリップ限界を高めスピンを抑制することができる。また、例えば、指標値ごとに所定の閾値を設けておき、舵角、横加速度が所定の閾値を超えたときに第1配分調整を実行し、ヨーレート、後輪2rのスリップ角が所定の閾値を超えたときに第2配分調整を実行するものとしてもよい。その場合、第1配分調整を実行している間にヨーレート、後輪2rのスリップ角が所定の閾値を超えたとき、第2配分調整に切り替えるものとしてもよい。
(コンフォートモードにおける第2配分調整)
また、走行モードがコンフォートモードである場合、制御装置16は、上記指標値を舵角および横加速度の少なくともいずれか一方とする。そして、制御装置16は、舵角および横加速度の少なくともいずれか一方が大きいほど、回生制動力Fkfを大きくしながら回生制動力Fkrを小さくし、摩擦制動力Fmfを小さくしながら摩擦制動力Fmrを大きくする第2配分調整を実行する。このように、コンフォートモードにおいて第2配分調整を実行することで、車両1には、上記図10で示したような重心Gの高さが下方側に移動しつつ、ピッチ角θpが比較的に0度に近くなる姿勢変化が生じやすい。したがって、舵角または横加速度が大きく運転者が乗り心地の変化を感じやすい状況であるほど、車両1のノーズダイブ傾向の姿勢変化が抑制され、運転者の乗り心地が向上する。
また、走行モードがコンフォートモードである場合、制御装置16は、上記指標値を舵角および横加速度の少なくともいずれか一方とする。そして、制御装置16は、舵角および横加速度の少なくともいずれか一方が大きいほど、回生制動力Fkfを大きくしながら回生制動力Fkrを小さくし、摩擦制動力Fmfを小さくしながら摩擦制動力Fmrを大きくする第2配分調整を実行する。このように、コンフォートモードにおいて第2配分調整を実行することで、車両1には、上記図10で示したような重心Gの高さが下方側に移動しつつ、ピッチ角θpが比較的に0度に近くなる姿勢変化が生じやすい。したがって、舵角または横加速度が大きく運転者が乗り心地の変化を感じやすい状況であるほど、車両1のノーズダイブ傾向の姿勢変化が抑制され、運転者の乗り心地が向上する。
以上説明したように、実施形態の制御装置16(制動制御装置)は、回生協調制御の実行中に、上記第1配分調整と上記第2配分調整とのいずれか一方を実行する。この構成により、第1配分調整を実行した場合は、旋回度合いを表す指標値が大きいほど前輪2fのグリップ限界を高め、車両1の運動性能を向上させることが可能となる。また、第2配分調整を実行した場合は、旋回度合いを表す指標値が大きいほど後輪2rのグリップ限界を高め、車両1のスピンを抑制し、運動性能を向上させることが可能となる。さらに、車両1のリア側を沈み込みやすくすることで、車両1のピッチ角θpを0度に近づけるように調整することが可能となる。したがって、実施形態の制御装置16によれば、回生協調制御を行う車両1の旋回制動時に運動性能や乗り心地を適切に調整可能となる。
加えて、第1配分調整および第2配分調整ともに、前輪2fおよび後輪2rのいずれか一方の回生制動力Fkf、Fkrや摩擦制動力Fmf、Fmrを大きくした場合は、他方の回生制動力Fkf、Fkrや摩擦制動力Fmf、Fmrを小さくするように調整する。そのため、フロント比率f、リア比率r、回生比率kおよび摩擦比率mへの影響を小さくすることができる。その結果、フロント比率f、リア比率r、回生比率kおよび摩擦比率mに応じた車両1の姿勢制御が行いやすくなり、また、回生発電量の低下を抑制することができる。なお、第1配分調整および第2配分調整ともに、フロント比率f、リア比率r、回生比率kおよび摩擦比率mが維持されるように各制動力を調整することが好ましい。
また、車両1の走行モードが乗り心地よりも運動性能向上を優先するスポーツモードである場合、指標値を舵角および横角速度の少なくともいずれか一方として、第1配分調整を実行する。この構成により、スポーツモードにおいて、車両1の旋回度合いに応じた配分調整を実現しながら、前輪2fのグリップ限界を高めて旋回制動時の運動性能を向上させることができる。また、指標値として舵角や横加速度を用いれば、車両の旋回度合いに応じた配分調整を実現することができる。
また、車両1の走行モードが乗り心地よりも運動性能向上を優先するスポーツモードである場合、指標値をヨーレートおよび後輪2rのスリップ角の少なくともいずれか一方として、第2配分調整を実行する。この構成により、車両1のスピン度合いに応じた配分調整を実現しながら、スポーツモードにおいて後輪2rのグリップ限界を高めて車両1のスピンを抑制することができる。また、指標値としてヨーレートや後輪のスリップ角を用いれば、車両のスピン度合いに応じた配分調整を実現することができる。
また、車両1の走行モードが運動性能向上よりも乗り心地を優先するコンフォートモードである場合、指標値を舵角および横角速度の少なくともいずれか一方として、第2配分調整を実行する。この構成により、車両1の旋回度合いに応じた配分調整を実現しながら、車両1のピッチ角を0度に近づけ、乗り心地の変化を感じやすい旋回時の姿勢変化を抑えることが可能となる。また、指標値として舵角や横加速度を用いれば、車両の旋回度合いに応じた配分調整を実現することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、車両1の旋回度合いを表す指標値を舵角、横加速度、ヨーレートおよび後輪2rのスリップ角のいずれかとしたが、指標値は、例えば前輪2fのスリップ角など他の値を含んでもよい。また、制御装置16は、車両1の走行モードがスポーツモードおよびコンフォートモードのいずれの場合においても、上記指標値の少なくともいずれか1つを用いて第1配分調整、第2配分調整を実行してもよい。
1 車両
2f 前輪
2r 後輪
10f フロントモータ
10r リアモータ
16 制御装置(制動制御装置)
18 サスペンション
18f フロントサスペンション
18r リアサスペンション
20 回生制動装置
30 摩擦制動装置
A 第1瞬間回転中心
B 第2瞬間回転中心
Cf、Cr フリクションサークル
f フロント比率
Fb 要求制動力
Fc 反力トルク
Fdf、Fdr 駆動力
Fi 慣性力
Fkf、Fkr 回生制動力
Fkfa 回生フロント側アンチフォース
Fkra 回生リア側アンチフォース
Fmf、Fmr 摩擦制動力
Fmfa 摩擦フロント側アンチフォース
Fmra 摩擦リア側アンチフォース
G 重心
k 回生比率
L1 直線
L2、L3、L4、L5 延長線
m 摩擦比率
r リア比率
ΔW、ΔWA1、ΔWA2、ΔWA3、ΔWB1、ΔWB2 荷重移動量
ΔWG、ΔWG1、ΔWG2 接地面荷重移動量
θa アンチ角
θkfa 回生フロント側アンチ角(アンチノーズアップ角)
θkra 回生リア側アンチ角(アンチスクワット角)
θmfa 摩擦フロント側アンチ角(アンチノーズダイブ角)
θmra 摩擦リア側アンチ角(アンチテールリフト角)
θp ピッチ角
2f 前輪
2r 後輪
10f フロントモータ
10r リアモータ
16 制御装置(制動制御装置)
18 サスペンション
18f フロントサスペンション
18r リアサスペンション
20 回生制動装置
30 摩擦制動装置
A 第1瞬間回転中心
B 第2瞬間回転中心
Cf、Cr フリクションサークル
f フロント比率
Fb 要求制動力
Fc 反力トルク
Fdf、Fdr 駆動力
Fi 慣性力
Fkf、Fkr 回生制動力
Fkfa 回生フロント側アンチフォース
Fkra 回生リア側アンチフォース
Fmf、Fmr 摩擦制動力
Fmfa 摩擦フロント側アンチフォース
Fmra 摩擦リア側アンチフォース
G 重心
k 回生比率
L1 直線
L2、L3、L4、L5 延長線
m 摩擦比率
r リア比率
ΔW、ΔWA1、ΔWA2、ΔWA3、ΔWB1、ΔWB2 荷重移動量
ΔWG、ΔWG1、ΔWG2 接地面荷重移動量
θa アンチ角
θkfa 回生フロント側アンチ角(アンチノーズアップ角)
θkra 回生リア側アンチ角(アンチスクワット角)
θmfa 摩擦フロント側アンチ角(アンチノーズダイブ角)
θmra 摩擦リア側アンチ角(アンチテールリフト角)
θp ピッチ角
Claims (6)
- 車両の前輪および後輪に回生制動力を付与する回生制動装置と、前記前輪および前記後輪に摩擦制動力を付与する摩擦制動装置とを用いて、車両の制動に要求される要求制動力を前記回生制動力と前記摩擦制動力とで協調して出力する回生協調制御を実行する制動制御装置において、
前記回生協調制御の実行中に、
前記車両の旋回度合いを表す指標値が大きいほど、前記前輪に付与される前記回生制動力を小さくしながら前記後輪に付与される前記回生制動力を大きくし、前記前輪に付与される前記摩擦制動力を大きくしながら前記後輪に付与される前記摩擦制動力を小さくする第1配分調整と、
前記指標値が大きいほど、前記前輪に付与される前記回生制動力を大きくしながら前記後輪に付与される前記回生制動力を小さくし、前記前輪に付与される前記摩擦制動力を小さくしながら前記後輪に付与される前記摩擦制動力を大きくする第2配分調整と
のいずれか一方を実行する制動制御装置。 - 前記車両の走行モードが乗り心地よりも運動性能向上を優先するスポーツモードである場合、前記第1配分調整を実行する請求項1に記載の制動制御装置。
- 前記車両の走行モードが運動性能向上よりも乗り心地を優先するコンフォートモードである場合、前記第2配分調整を実行する請求項1に記載の制動制御装置。
- 前記指標値は、前記車両の舵角および横角速度の少なくともいずれか一方である請求項2または請求項3に記載の制動制御装置。
- 前記車両の走行モードが乗り心地よりも運動性能向上を優先するスポーツモードである場合、前記第2配分調整を実行する請求項1に記載の制動制御装置。
- 前記指標値は、前記車両のヨーレートおよび前記後輪のスリップ角の少なくともいずれか一方である請求項5に記載の制動制御装置。
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|---|---|---|---|
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