JP7843216B2 - 風力発電設備用の異常診断システム、および、異常診断方法 - Google Patents

風力発電設備用の異常診断システム、および、異常診断方法

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Description

本開示は、風力発電設備の異常診断を行うための風力発電設備用の異常診断システム、および、異常診断方法に関する。
特許文献1で開示される風力発電設備は、油圧アクチュエータに対して作動油を供給する油圧供給装置と、油圧供給装置を構成する油圧回路に設置される油圧アキュムレータとを備える。同文献では、油圧アキュムレータのガス圧に基づき、油圧アキュムレータに異常があるか判定する。具体的には、油圧ポンプが停止した後の油圧アキュムレータのガス圧が規定時間経過後に圧力閾値を下回れば、油圧アキュムレータのガス圧の低下が著しいため蓄圧機能に異常があると判定される。
特許5022488号公報
油圧アキュムレータにおける異常は早期に検出されることが望ましい。
本開示の目的は、油圧アキュムレータにおける異常を早期に検出できる風力発電設備用の異常診断システム、および、異常診断方法を提供することである。
本開示の少なくとも一実施形態に係る風力発電設備用の異常診断システムは、
油圧式翼ピッチ機構を備える風力発電設備の異常診断を行うための風力発電設備用の異常診断システムであって、
風車翼がファイン位置に配置される状態でポンプモータの駆動が停止し、かつ、油圧アキュムレータから放出される作動油によって前記風車翼がフェザー位置に向けて移動する前記風力発電設備の第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記油圧アキュムレータの油圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおける前記風車翼のピッチ角が、規定ピッチ角よりもファイン側のピッチ角となるピッチ角異常条件が充足されるかを判定するためのピッチ角判定部と、
前記ピッチ角異常条件が充足されると判定された場合、前記油圧アキュムレータに異常があると診断するための第1アキュムレータ異常診断部と、
を備える。
本開示の少なくとも一実施形態に係る風力発電設備用の異常診断方法は、
油圧式翼ピッチ機構を備える風力発電設備の異常診断を行うための風力発電設備用の異常診断方法であって、
風車翼がファイン位置に配置される状態でポンプモータの駆動が停止し、かつ、油圧アキュムレータから放出される作動油によって前記風車翼がフェザー位置に向けて移動する前記風力発電設備の第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記油圧アキュムレータの油圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおける前記風車翼のピッチ角が、規定ピッチ角よりもファイン側のピッチ角となるピッチ角異常条件が充足されるかを判定するためのピッチ角判定ステップと、
前記ピッチ角異常条件が充足されると判定された場合、前記油圧アキュムレータに異常があると診断するための第1アキュムレータ異常診断ステップと、
を備える。
本開示によれば、油圧アキュムレータにおける異常を早期に検出できる風力発電設備用の異常診断システム、および、異常診断方法を提供できる。
一実施形態に係る異常診断システムと風力発電設備を示す概略図である。 一実施形態に係る異常診断システムのハードウェア構成を示す概略図である。 一実施形態に係る油圧式翼ピッチ機構および油供給ユニットを示す概略図である。 一実施形態に係る油圧アキュムレータを示す概略図である。 第1アキュムレータ作動試験モードにおけるピッチ角および油供給圧の時系列データの一例を示す概略的なグラフである。 一実施形態に係る異常診断システムの機能構成を示す概略的なブロック図である。 第2アキュムレータ作動試験モードにおけるピッチ角および油供給圧の時系列データの一例を示す概略的なグラフである。 一実施形態に係る異常診断システムの機能構成を示す別の概略的なブロック図である。 一実施形態に係るアキュムレータ作動試験処理を示すフローチャートである。 一実施形態に係る高頻度異常診断処理を示すフローチャートである。 一実施形態に係る低頻度異常診断処理を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
<1.異常診断システム40及び風力発電設備1の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る異常診断システム40と風力発電設備1を示す概略図である。本稿の異常診断は、風力発電設備1に異常があるか否かを判定することを含む。図1に示すように、風力発電設備1は、基礎等の上に立設される支柱2と、支柱2の上端に設置されるナセル3と、ナセル3の一端側に回転可能に設けられた風車ロータ4とを備える。風車ロータ4は、ロータヘッド5と、ロータヘッド5に放射状に取り付けられた複数枚の風車翼6とを含む。
ナセル3の内部には、風車ロータ4に増速機10を介して連結された発電機11が設置されている。風車ロータ4の回転が増速機10を介して発電機11に伝達されて発電機11を駆動することにより、発電機11から電力が出力される。
また、風力発電設備1は、風車翼6の各々のピッチ角を調節するための油圧式翼ピッチ機構12と、ナセル3のヨー角を調節するためのヨー旋回機構14とを備える。油圧式翼ピッチ機構12は、作動油の供給に伴って、風車翼6をフェザー位置とファイン位置との間で移動させるように構成される。油圧式翼ピッチ機構12の構成の詳細は後述する。ヨー旋回機構14は、ヨーモータ16と、ナセル3と一体的に回転するためのナセルギヤと、ナセルギヤとヨーモータ16とに連結される少なくとも1つのギヤとを含む。ヨーモータ16が駆動することによって、ナセル3はヨー方向に回転する。
風力発電設備1は、風力発電設備1を通過する風の風速を計測する風速計7と、風力発電設備1を通過する風の風向を計測する風向計8と、気温を計測する気温計9と、ピッチ角を計測するピッチ角センサ15と、ナセル3のヨー角を計測するヨー角センサ18とを備える。風速計7、風向計8、及び、気温計9はナセル3の外面(たとえばナセル3の上部等)に設けられている。風速計7は、例えば風杯式又は風車式の風速計であってもよい。風杯式風速計は、回転軸の周りに回転する風杯(カップ)の回転数をロータリーエンコーダ等で測定して風速を計測するものであり、風車式風速計は、回転軸の周りに回転するプロペラ状の羽根の回転数をロータリーエンコーダ等で測定して風速を計測するものである。風向計8は、例えば回転軸の周りに回転する矢羽根の向きの変化を電気抵抗の変化に変換するポテンショメータ式の風向計であってもよく、例えば所定の基準方位(例えば北方向)に対して風の流れの向きがなす角度を風向として計測する。ピッチ角センサ15は、どのようなタイプのセンサであってもよく、例えばホール素子を備える磁気変位センサである。ヨー角センサ18は、例えば、上記所定の基準方位に対して風車ロータ4の回転軸線がなす角度をナセル3のヨー角として計測する。
風力発電設備1の適所(例えばナセル3の内部又は支柱2の内部等)には、風力発電設備1の各種運転制御を行うための制御装置20が設けられている。制御装置20には、風速計7によって計測された風速、風向計8によって計測された風向、気温計9によって計測された気温、ピッチ角センサ15によって計測されたピッチ角、及び、ヨー角センサ18によって計測されたナセル3のヨー角等の各々を示す信号が入力される。さらに、制御装置20には、油圧式翼ピッチ機構12に供給される作動油の油圧を検出するための油圧検出部17の検出結果が信号として入力されるようになっている。油圧検出部17の詳細については後述する。制御装置20は、少なくとも1つのコントローラである。
制御装置20は、通信ネットワーク21を介して異常診断システム40と通信可能に構成されている。制御装置20は、風速計7で計測した風速、風向計8によって計測した風向、気温計9で計測した気温、ピッチ角センサ15で計測したピッチ角、ヨー角センサ18で計測したヨー角、及び、油圧検出部17の検出結果等の風力発電設備1で取得された信号を示すデータを異常診断システム40に送信する。異常診断システム40は、制御装置20から送信されたデータを保存し、後述のように風力発電設備1の異常診断に利用する。
図2は、本開示の一実施形態に係る異常診断システム40のハードウェア構成を示す概略図である。異常診断システム40は、例えばプロセッサ72、RAM(Random Access Memory)74、ROM(Read Only Memory)76、HDD(Hard Disk Drive)78、入力I/F80、出力I/F82、及び、表示器83を含み、これらがバス84を介して互いに接続されたコンピュータを用いて構成される。なお、異常診断システム40のハードウェア構成は上記に限定されず、制御回路と記憶装置との組み合わせにより実現されてもよい。また異常診断システム40は、異常診断システム40の各機能を実現するプログラムをコンピュータが実行することにより構成される。以下で説明する異常診断システム40における各部の機能は、プロセッサ72がROM76に記憶されるプログラムをRAM74にロードして実行することで実現される。プロセッサ72は、プログラムの実行に伴い生成される各種データをRAM74に一時的に記憶してもよい。
異常診断システム40を構成するハードウェアは、1つの場所に集約されていてもよいし、複数の場所に分散して設けられていてもよい。以下では、異常診断システム40が風力発電設備1から離れた場所に設けられていて風力発電設備1の異常診断を遠隔で行う場合の例を説明するが、異常診断システム40を構成する少なくとも1つの機能は、例えば風力発電設備1が備える制御装置20によって実現されてもよい。
<2.油圧式翼ピッチ機構12と油供給ユニット60の構成>
図3は、油圧式翼ピッチ機構12と、油圧式翼ピッチ機構12に動力源としての作動油を供給するための油供給ユニット60とを示す概略図である。図3では、説明を簡略化する都合、1枚の風車翼6のみが図示されており、当該風車翼6のピッチ角を変更するための構成を図示する。風車翼6の枚数に関わらず、風車翼6のピッチ角を変更する原理は同じである。
油圧式翼ピッチ機構12は、風車翼6をフェザー位置とファイン位置との間で移動させるように構成される。具体的には、油圧式翼ピッチ機構12は、油圧シリンダ22と、油圧シリンダ22および風車翼6に連結されるピッチリンク機構26とを含む。油圧シリンダ22は、シリンダ23と、シリンダ23を第1室23Aと第2室23Bに隔てるピストン24と、ピストン24およびピッチリンク機構26に連結されるピストンロッド25とを含む。ピッチリンク機構26は、ピストンロッド25の直進運動を風車翼6の回転力に変換するように構成されており、該回転力によって風車翼6のピッチ角は変更される。詳細な図示は省略するが、ピッチリンク機構26は、ピストン24に回転可能に連結される第1リンクと、風車翼6に回転可能に連結される第2リンクとを備えてもよい。第1リンクと第2リンクは回転可動に連結される。
油供給ユニット60は、作動油を貯留するための油タンク61と、油タンク61および油圧シリンダ22の間に設けられる供給ライン62と、供給ライン62に設けられる油圧バルブ85とを含む。供給ライン62は、作動油を油圧式翼ピッチ機構12の油圧シリンダ22に導くように構成される。
電磁バルブとしての油圧バルブ85は、Aポート、Bポート、Pポート、および、Tポートを含む4つのポートを有する。そして、供給ライン62は、第1室23AとAポートに接続される第1ライン101、第2室23BとBポートとに接続される第2ライン102、Pポートと油タンク61とに接続されるメインライン103とを有する。さらに、Tポートと油タンク61は、作動油を油タンク61に戻すための返送ライン68を介して接続されている。なお、メインライン103には、油タンク61に貯留される作動油を油圧シリンダ22に供給するためのポンプモータ63が設けられる。ポンプモータ63は、制御装置20から送られる制御指令に応じて駆動するように構成される。
ポンプモータ63と油圧シリンダ22の間に配置される油圧バルブ85は、メインライン103を流れる作動油の供給先を、第1室23Aまたは第2室23Bに切り替えるように構成される。具体的には、油圧バルブ85には制御指令としてのサーボ電流が供給されるようになっており、該制御指令に応じて、油圧バルブ85の各ポートの接続状態は切り替わるようになっている。AポートとPポートとが接続され且つBポートとTポートとが接続されると、メインライン103から供給される作動油は、第1ライン101を経由して第1室23Aに供給される。この場合、ピストン24の直進移動によって風車翼6はフェザー位置に向けて移動し、第2室23Bから排出される作動油は、第2ライン102と返送ライン68を順に流れて油タンク61に戻される。他方で、AポートとTポートが接続され且つBポートとPポートとが接続されると、作動油の供給先が第2室23Bに切り替わる。この場合、ピストン24の直進移動によって風車翼6はファイン位置に向けて移動し、第1室23Aから排出される作動油が油タンク61に戻る。
油供給ユニット60は、非常用の作動油を蓄える油圧アキュムレータ65をさらに含む。例えば停電などに起因して風力発電設備1の運転が突発的に停止した場合に、油圧アキュムレータ65は作動油をメインライン103に放出するようになっている。メインライン103に放出された作動油が第1室23Aに供給されて風車翼6がフェザー位置に移動すれば、風力発電設備1の停止中に風車翼6が制御装置20の管理下にない状態で回転するのを回避できる。なお、風力発電設備1の運転が突発的に停止する場合、油圧バルブ85の接続状態は、メインライン103から第1ライン101に作動油が流れ且つ第2ライン102から返送ライン68に作動油が流れるようになっている。
図4は、本開示の一実施形態に係る油圧アキュムレータ65を示す概略図である。油圧アキュムレータ65は、非常用の作動油を蓄えるアキュムレータ容器66と、アキュムレータ容器66内に収容されるブラダ67とを有する。アキュムレータ容器66はメインライン103(図3参照)に連通する。ブラダ67は、例えば窒素などのガスが封入されたゴム風船である。
油圧アキュムレータ65が非常用の作動油をメインライン103に放出する原理は、以下の通りである。アキュムレータ容器66内における油圧は、メインライン103(図3参照)における油圧とほぼ等しい。風力発電設備1が正常に運転される間、ポンプモータ63の駆動によってメインライン103における油圧は比較的高く維持されており、アキュムレータ容器66内で非常用の作動油が蓄えられる。このとき、アキュムレータ容器66における比較的高い油圧とブラダ67のガス圧とが均衡を保つよう、ブラダ67は収縮した状態を維持する。風力発電設備1の運転が突発的に停止すると、ポンプモータ63の駆動が停止し、メインライン103における油圧は低下する。アキュムレータ容器66における油圧がブラダ67のガス圧を大きく下回り、ブラダ67が膨張する結果、アキュムレータ容器66からメインライン103に非常用の作動油が放出される。なお、放出される作動油が油圧シリンダ22に供給されるにつれて、メインライン103における油圧および油圧アキュムレータ65における油圧はいずれも低下する。
図3に戻り、メインライン103には油圧検出部17が配置される。本開示の一実施形態に係る油圧検出部17は、メインライン103における油圧が第1規定圧力値以下であるかに応じて異なる信号を出力するように構成される圧力スイッチである。圧力スイッチの出力信号は、油圧が第1規定圧力値以下になったことを契機として、ON信号またはOFF信号のいずれか一方から他方に切り替わる。
油圧アキュムレータ65に貯留されていたほぼ全ての作動油が正常に油圧シリンダ22に供給される場合には、メインライン103における油圧は第1規定圧力値以下になることが期待される。つまり、油圧アキュムレータ65における油圧は第1規定圧力値以下になることが期待される。油圧検出部17の検出結果しての信号は、油圧検出部17から制御装置20に送られるようになっている。制御装置20は、油圧検出部17からの出力信号を示すデータを異常診断システム40に送信する。異常診断システム40に送信されるデータは、風力発電設備1の異常診断に利用される(詳細は後述する)。なお、第1規定圧力値は、一例として、油圧アキュムレータ65の定格圧力の75%以下であってもよいし、50%以下であってもよい。
経年劣化などに起因して油圧アキュムレータ65に何かしらの異常があると、風力発電設備1の運転の停止後に風車翼6がフェザー位置まで戻れない虞がある。異常の一例として、ブラダ67におけるガス圧の低下が挙げられる。ブラダ67のガス圧が一定程度下がると、油圧アキュムレータ65の作動時にブラダ67が十分に膨張できず、油圧アキュムレータ65から作動油が十分に放出されない。異常の他の例として、ブラダ67の破損が挙げられる。ブラダ67に生じた割れ目などの破損は、ブラダ67が収縮しているとき、ブラダ67の蓄圧機能に大きな影響を及ぼさない。しかしながら、油圧アキュムレータ65の作動によりブラダ67が膨張する過程では、ブラダ67のガスが漏れる為、油圧アキュムレータ65から作動油が放出されない。これではブラダ67は十分に膨張できず、油圧アキュムレータ65から作動油が十分に放出されない。
そこで、本開示の一実施形態では、油圧アキュムレータ65に異常がないかを異常診断システム40が判定するための作動試験モードが、風力発電設備1の運転モードとして用意されている。風力発電設備1の運転モードは、風力発電設備1の発電量を目標値に一致させるための通常の運転モードから、作動試験モードに定期的に切り替わるようになっている。運転モードの切り替えは制御装置20によって実行される。そして、作動試験モードの運転中に制御装置20に入力される各種信号を示すデータが異常診断システム40に送られ、油圧アキュムレータ65などの異常診断に利用される。風力発電設備1の運転モードとしての作動試験モードは、第1アキュムレータ作動試験モードと第2アキュムレータ作動試験モードを含む。
<3.第1アキュムレータ作動試験モード>
図5、図6を参照し、第1アキュムレータ作動試験モードと、第1アキュムレータ作動試験モードにおける異常診断を行うための異常診断システム40の機能構成を説明する。
<3-1.作動試験の詳細>
図5は、第1アキュムレータ作動試験モードにおけるピッチ角および油供給圧の時系列データを示す概略的なグラフである。油供給圧は、メインライン103における油圧であり、アキュムレータ容器66における油圧とほぼ等しいとみなすことができる。同グラフの横軸は時間を示す。左側の縦軸はピッチ角を示し、θfiはファイン位置に相当するピッチ角であり、θfeはフェザー位置に相当するピッチ角である。右側の縦軸は油供給圧を示す。
第1アキュムレータ作動試験モードでは、風車翼6がファイン位置からフェザー位置まで移動するようにポンプモータ63、油圧アキュムレータ65、および、油圧バルブ85が作動する。具体的には、ポンプモータ63の駆動によって油圧シリンダ22は風車翼6をファイン位置まで移動させる。風車翼6がファイン位置に配置される状態でポンプモータ63の駆動が停止し(図5の時刻Ts)、同時に油圧バルブ85の接続状態が切り替わる。油圧アキュムレータ65から作動油が放出され、油圧シリンダ22の第1室23Aに供給される。結果、風車翼6はフェザー位置に向けた移動を開始する。
図5における実線N1は、油供給圧の経時的変化を示す。油供給圧は、作動油が油圧シリンダ22に供給されるにつれて低下する。第1アキュムレータ作動試験モードでは、風車翼6がファイン位置からフェザー位置に向けて移動するため、油圧シリンダ22に供給される作動油の量は多い。従って、風車翼6に動作不良が起こるか否かに関わらず、油供給圧は第1規定圧力値を下回る。また、第1アキュムレータ作動試験モードでは、風車翼6の動作不良が起こる場合と動作不良が起こらない場合との間で、油供給圧の低下傾向は大きく変わることはない。従って、図5では説明を簡略化する都合、油供給圧の経時的変化として実線N1のみを図示する。
図5における太実線L1は、風車翼6の正常な移動を示し、太破線L2,L3は、風車翼6の異常な移動を示す。太実線L1が示すように、風車翼6が正常に動作する場合には、風車翼6の移動が遅くなることはない。より具体的には、油供給圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおけるピッチ角が、閾値としての規定ピッチ角よりもフェザー側のピッチ角になる。ここで、油供給圧が第1規定圧力値になるタイミングは時刻Tdに該当し、規定ピッチ角はθに該当する。他方で、太破線L2,L3が示すように、風車翼6の動作不良が起こると、時刻Tdにおけるピッチ角はファイン側のピッチ角になる。以下、油供給圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおける風車翼6のピッチ角が規定ピッチ角よりもファイン側のピッチ角となる条件を「ピッチ角異常条件」という場合がある。ピッチ角異常条件が充足される場合には、風車翼6の動作不良が発生している。
本例の第1アキュムレータ作動試験モードでは、油圧アキュムレータ65における異常の他に、ピッチリンク機構26における異常も診断できる。いずれの異常が発生してもピッチ角異常条件は充足されるが、発生する異常に応じて、風車翼6の移動速度は著しく変わる。そこで本例では、ポンプモータ63の駆動が停止してから風車翼6がフェザー位置に到達するまでの所要時間が第1許容時間以内となるかも判定される。詳細は次の通りである。
ピッチリンク機構26を構成する第1リンクまたは第2リンクなどにおいて破損または錆びなどが発生すると、ピッチリンク機構26はスムーズに動作できず、風車翼6の速度は著しく低下する(太破線L2参照)。ピッチリンク機構26における異常は、油圧アキュムレータ65における異常と共に発生することもあり得るが、所要時間が第1許容時間を超えるのはピッチリンク機構26における異常が主要因である。従って、所要時間が第1許容時間を超えるのであれば、風車翼6の動作不良は、ピッチリンク機構26における異常に起因すると特定できる。
他方で、ピッチリンク機構26が正常でありかつ油圧アキュムレータ65に異常があるのであれば、太破線L3が示すように、風車翼6の所要時間は第1許容時間以内となる。従って、ピッチ角異常条件が充足され、かつ、所要時間が第1許容時間以内となるのであれば、風車翼6の動作不良は、油圧アキュムレータ65における異常に起因すると特定できる。
なお、ピッチリンク機構26に異常がある場合も、ピッチ角異常条件は充足されるので、ピッチ角異常条件が充足されるかを判定する前に、所要時間が第1許容時間以内となるかを判定することが好ましい。所要時間が第1許容時間以内であればピッチリンク機構26は正常であるとみなすことができ、この場合にピッチ角異常条件が充足されるのであれば、異常が起きているの風力発電設備1の構成要素は油圧アキュムレータ65であると絞り込むことができる。
<3-2.異常診断システム40の機能構成>
第1アキュムレータ作動試験モードにおける異常の特定は、図6に示す異常診断システム40の機能構成によって実現される。図6で示される異常診断システム40の機能構成は、図2で例示される異常診断システム40のハードウェア構成によって実現される(図8で示される異常診断システム40の機能構成も同様である)。本例の異常診断システム40は、第1取得部41、所要時間判定部44、ピッチリンク機構異常診断部45、ピッチ角判定部42、および、第1アキュムレータ異常診断部43を備える。
第1取得部41は、油圧検出部17の検出結果(出力信号)とピッチ角センサ15の計測結果(出力信号)とを少なくとも示す第1データを取得するように構成される。第1データは、第1油圧時系列データ、第1ピッチ角時系列データ、および、第1ポンプモータ制御時系列データを含む。第1データは、第1取得部41によって生成されてもよいし、制御装置20で生成されてから第1取得部41に送信されてもよい。
第1油圧時系列データは、風力発電設備1が第1アキュムレータ作動試験モードで運転される間に油圧検出部17が出力した信号の時系列データである。油圧検出部17として油圧スイッチが採用されるのでれば、第1油圧時系列データは、油圧スイッチの出力信号であるON信号およびOFF信号と時間とを対応付ける。第1ピッチ角時系列データは、風力発電設備1が第1アキュムレータ作動試験モードで運転される間にピッチ角センサ15から出力された信号によって示されるピッチ角の時系列データである。第1ピッチ角時系列データは、例えば図5の太実線L1および太破線L2,L2によって示される。第1ポンプモータ制御時系列データは、制御装置20からポンプモータ63に入力される制御指令と時間とを対応付ける。
所要時間判定部44は、第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、ポンプモータ63の駆動が停止してから風車翼6がフェザー位置に到達するまでの所要時間が第1許容時間以内となるかを判定するように構成される。判定処理の一例は以下の通りである。第1取得部41によって取得される第1ポンプモータ制御時系列データに基づき、ポンプモータ63の停止時刻が特定される。さらに、所要時間判定部44は、風車翼6がフェザー位置に到達した時刻を第1ピッチ角時系列データに基づいて特定する。特定された時刻が、ポンプモータ63の停止時刻から第1許容時間経過した時刻と同じ又はその時刻よりも前であれば、所要時間は第1許容時間以内であると判定できる。
ピッチリンク機構異常診断部45は、上述の所要時間が第1許容時間を超えると所要時間判定部44によって判定された場合、ピッチリンク機構26に異常があると診断するように構成される。具体的には、ピッチリンク機構異常診断部45は、ピッチリンク機構26に異常があることを示す情報を表示器83に表示するための表示指令を生成する。表示器83において表示される情報は、文字によって表現されるテキストメッセージ、英数字によって表現されるエラーコード、または、図形などによって表現されるマークであってもよい。
ピッチ角判定部42は、上述のピッチ角異常条件が充足されるかを第1取得部41の取得結果に基づき判定するように構成される。油圧検出部17として圧力センサが採用される場合、具体的な判定処理の一例は以下の通りである。油圧スイッチの出力信号が切り替わった時刻が第1油圧時系列データに基づき特定される。そして、当該時刻におけるピッチ角が第1ピッチ角時系列データに基づき特定される。特定されたピッチ角と規定ピッチ角とを比較することで、ピッチ角異常条件が充足されるか判定される。本例のピッチ角判定部42は、所要時間が第1許容時間以内であると所要時間判定部44によって判定された場合にのみ、ピッチ角異常条件が充足されるかを判定するように構成される。
第1アキュムレータ異常診断部43は、ピッチ角異常条件が充足されるとピッチ角判定部42によって判定された場合、油圧アキュムレータ65に異常があると診断するように構成される。具体的には、第1アキュムレータ異常診断部43は、ブラダ67におけるガス圧の低下といった異常が油圧アキュムレータ65にあることを示す情報を表示器83に表示するための表示指令を生成する。表示器83において表示される情報は、文字によって表現されるテキストメッセージ、英数字によって表現されるエラーコード、または、図形などによって表現されるマークであってもよい。表示器83に表示される情報を確認した異常診断システム40のユーザが、ブラダ67のガス圧の封入といった風力発電設備1の修理作業を手配すれば、油圧アキュムレータ65の異常を解消することができる。
第1アキュムレータ作動試験モードでは、風車翼6がファイン位置からフェザー位置まで移動するため、油圧アキュムレータ65から放出される作動油の量が多い。そのため、油圧アキュムレータ65が作動油を放出する過程においてたとえ軽微であっても異常があると、ファイン位置からフェザー位置への風車翼6の移動において、移動速度の低下といった動作不良が現れる。結果、ピッチ角異常条件が充足されると判定され、第1アキュムレータ異常診断部43は油圧アキュムレータ65に異常があると診断する。よって、油圧アキュムレータ65の異常を早期に検出できる風力発電設備用の異常診断システム40が実現される。具体例を挙げると、油圧アキュムレータ65のブラダ67に封入されるガスの圧力が低下して間もないタイミングであっても、ピッチ角異常条件が充足される。よって、第1アキュムレータ異常診断部43は、油圧アキュムレータ65の蓄圧機能に軽微な異常があると診断できる。この場合、異常診断システム40のユーザが風力発電設備1の点検または修正の作業を手配し、ブラダ67にガスを充填する作業が実行されれば、油圧アキュムレータ65における異常は解消する。
また、上述したように一実施形態に係るピッチ角判定部42は、所要時間が第1許容時間以内であると判定された場合に、ピッチ角異常条件が充足されるかを判定するように構成される。上記構成によれば、ピッチ角異常条件が充足されるかの判定は、ピッチリンク機構26に異常がないことを前提に実行される。従って、ピッチ角異常条件が充足されると判定される場合には、異常が発生している構成要素が油圧アキュムレータ65であると適切に特定できる。また、ポンプモータ63が停止してから風車翼6がフェザー位置に到達するまでの所要時間が第1許容時間を超えると判定されると、ピッチリンク機構異常診断部45はピッチリンク機構26に異常があると診断できる。
また、上述したように、一実施形態に係るピッチ角判定部42は、第1取得部41の取得結果に基づき、ピッチ角異常条件が充足されるか判定するように構成される。上記構成によれば、第1アキュムレータ作動試験モードにおける油供給圧とピッチ角とを示すデータを取得できるので、ピッチ角異常条件が充足されるかをピッチ角判定部42は精度よく判定できる。
また、上述したように、一実施形態に係る油圧検出部17は、油供給圧が第1規定圧力値以下になったことを契機とし出力信号を切り替えるように構成された圧力スイッチである。上記構成によれば、油供給圧を連続的に計測する油圧センサが油圧検出部17として採用される場合に比べて、第1取得部41が油圧検出部17の出力信号を取得する処理をより簡易化することができる。また、風力発電設備1の構成もより簡素にできる。
なお、ブラダ67のガス圧の低下よりも深刻な異常が油圧アキュムレータ65に発生している場合においても、ピッチ角異常条件は充足される。例えば、ブラダ67に破損が生じている場合、第1アキュムレータ異常診断部43が油圧アキュムレータ65の異常を診断してからブラダ67にガス圧が充填されても、その後の第1アキュムレータ作動試験モードにおいてピッチ角異常条件は充足されない。そこで、図6で例示される異常診断システム40は、アキュムレータ重度異常診断部46をさらに備えてもよい。
アキュムレータ重度異常診断部46は、第1アキュムレータ異常診断部43によって異常があると診断される回数が所定期間内に2回以上である場合、第1アキュムレータ異常診断部43によって診断された異常よりも深刻な異常が油圧アキュムレータ65にあると診断するように構成される。
より詳細には、第1アキュムレータ異常診断部43によって異常が診断された後、風力発電設備1における修理作業が行われる。修正作業が行われた日時は、異常診断システム40のHDD78に記憶される。修理作業によって、異常が解消されたとみなされた後、第1アキュムレータ異常診断部43が再び異常を診断した場合には、修理作業が行われてから再び異常の診断が下されるまでの期間が所定期間を下回るかどうか判定される。所定期間は、数日、数週間、または数か月である。第1アキュムレータ異常診断部43による異常診断の回数が所定期間内に2回以上であると判定されると、アキュムレータ重度異常診断部46は、深刻な異常が油圧アキュムレータ65にあると診断する。この場合、第1アキュムレータ異常診断部43は、油圧アキュムレータ65に深刻な異常があることを示す情報を表示器83に表示するための表示指令を生成してもよい。これにより、異常診断システム40のユーザは、ブラダ67の交換作業などの手配を行うことができる。
上記構成によれば、アキュムレータ重度異常診断部46が油圧アキュムレータ65に深刻な異常があると診断することができる。よって、復旧困難な程度の故障が風力発電設備1において発生する前に、ブラダ67の交換作業といった対処を行うことができる。
<3-3.補足>
なお、異常診断システム40は、ピッチリンク機構26における異常があるかを判定する構成を備えなくてもよい。例えば、ピッチリンク機構26の耐久性が十分に保障されるのであれば、図5の太破線L2で示すような風車翼6の動作は発生しづらい。この場合には、異常診断システム40は、所要時間判定部44およびピッチリンク機構異常診断部45を備えなくてもよい。そして、ピッチ角異常条件が充足されない場合に、油圧アキュムレータ65に異常があると診断してもよい。また、油圧検出部17は、メインライン103における油圧を計測するように構成された圧力センサであってもよい。圧力センサは油圧を連続的に計測できるため、圧力センサから出力される信号は、油圧が第1規定圧力値以下であるかに応じて異なる。この場合、上述の第1油圧時系列データは、計測される油供給圧の時系列データを示す。このような時系列データを用いても、ピッチ角異常条件が充足されるかを判定することは可能である。
<4.第2アキュムレータ作動試験モード>
図7、図8を参照し、第2アキュムレータ作動試験モードと、第2アキュムレータ作動試験モードにおける異常診断を行うための異常診断システム40の機能構成を説明する。図8では、上述した第1取得部41、ピッチ角判定部42、および、第1アキュムレータ異常診断部43をまとめて、「第1異常診断構成部31」と表記している(図8参照)。
<4-1.作動試験の詳細>
図7は、第2アキュムレータ作動試験モードにおけるピッチ角および油供給圧の時系列データを示す概略的なグラフである。同グラフの横軸は時間を示す。左側の縦軸はピッチ角を示し、θfeはフェザー位置に相当するピッチ角であり、θは中途位置を示す。中途位置は、風車翼6の移動経路上にある位置であり、かつ、フェザー位置とファイン位置の間にある位置である。本例では、フェザー位置から中途位置までの風車翼6の移動距離は、フェザー位置からファイン位置までの風車翼6の移動距離に対して2分の1以下であり、より詳細には3分の1以下であり、さらに詳細には4分の1以下である。また、グラフの右側の縦軸は油供給圧を示す。
第2アキュムレータ作動試験モードでは、風車翼6がフェザー位置と中途位置との間を往復移動するように、ポンプモータ63、および、油圧アキュムレータ65、および、油圧アキュムレータ65は作動する。具体的には、ポンプモータ63の駆動によって油圧アキュムレータ65は風車翼6をフェザー位置まで移動させる。風車翼6がフェザー位置に配置される状態でポンプモータ63の駆動が停止し(図7の時刻Tx)、同時に油圧バルブ85の接続状態が切り替わる。油圧アキュムレータ65から作動油が放出され、油圧シリンダ22の第2室23Bに供給される。風車翼6は中途位置に向けた移動を開始する。風車翼6が中途位置に到達すると、油圧バルブ85の接続状態が再び切り替わり、第1室23Aに作動油が供給され、風車翼6はフェザー位置まで戻る。
油圧アキュムレータ65が正常に作動する場合、風車翼6の移動速度は適正な水準に達する。そのため、太実線K1によって示されるように、風車翼6の往復移動時間は第2許容時間以内となる。他方で、油圧バルブ85に深刻な異常がある場合、風車翼6の動作遅延により、風車翼6の移動速度は適正な水準を下回る。そのため、太破線K2によって示されるように、風車翼6の往復移動時間は第2許容時間を超える。なお、第2許容時間は上述の第1許容時間よりも長い時間である。
なお、第2アキュムレータ作動試験モードにおいて油圧アキュムレータ65に異常が発生していると、油供給圧の低下傾向も大きく変わる。図7における実線J1によって示されるように、油圧アキュムレータ65が正常に作動する場合、油供給圧は閾値としての第2規定圧力値以下になることはない。第2規定圧力値は、一例として、油圧アキュムレータ65の定格圧力の75%以下であってもよいし、50%以下であってもよい。第2規定圧力値は、一例として、第1規定圧力値と同じ値である。他方で、破線J2によって示されるように、油圧アキュムレータ65の作動に異常がある場合、油供給圧は、風車翼6の初期動作において第2規定圧力値以下になる。初期動作は、フェザー位置からファイン位置までの移動距離に対し4分の1未満の距離だけ風車翼6がフェザー位置を起点に移動する動作である。また、発明者らの知見によれば、油圧アキュムレータ65の圧力低下が起きていると、風車翼6の中期動作において油供給圧は低下する。中期動作は、風車翼6の往復動作において、初期動作以降の動作である。中期動作は、初期動作以降のファイン位置に向けた移動であってもよい。
以上のような第2アキュムレータ作動試験モードにおける異常の特定は、次に示す異常診断システム40の機能構成によって実現される。
<4-2.異常診断システム40の機能構成>
図8は、一実施形態に係る異常診断システム40の機能構成を示す概略的なブロック図である。本例の異常診断システム40は、第1異常診断構成部31に加えて、第2取得部47、往復移動時間判定部48、油圧バルブ異常診断部49、油圧低下判定部51、および、第2アキュムレータ異常診断部53を備える。
第2取得部47は、油圧検出部17の検出結果(出力信号)とピッチ角センサ15の計測結果(出力信号)とを少なくとも示す第2データを取得するように構成される。本例の第2データは、第2油圧時系列データ、第2ピッチ角時系列データ、および、第2ポンプモータ制御時系列データを含む。第2データは、第2取得部47によって生成されてもよいし、制御装置20で生成されてから第2取得部47に送信されてもよい。
第2油圧時系列データは、風力発電設備1が第2アキュムレータ作動試験モードで運転される間に油圧検出部17が出力した信号の時系列データである。油圧検出部17として油圧スイッチが採用されるのでれば、第2油圧時系列データは、油圧スイッチの出力信号であるON信号およびOFF信号と時間とを対応付ける。第2ピッチ角時系列データは、風力発電設備1が第2アキュムレータ作動試験モードで運転される間にピッチ角センサ15から出力された信号によって示されるピッチ角の時系列データである。第2ピッチ角時系列データは、例えば図7の太実線K1および太破線K2によって示される。第2ポンプモータ制御時系列データは、制御装置20からポンプモータ63に入力される制御指令と時間とを対応付ける。
往復移動時間判定部48は、第2アキュムレータ作動試験モードにおいて風車翼6の往復移動時間が第2許容時間以内となるかを判定するように構成される。当該判定は、第2データに基づき判定される。具体的な判定処理の一例は以下の通りである。第2ポンプモータ制御時系列データに基づき、ポンプモータ63の停止時刻が特定される。あわせて、風車翼6がフェザー位置まで戻る時刻が、上述の第2ピッチ角時系列データに基づき特定される。これにより、風車翼6の往復移動時間が特定され、風車翼6の往復移動時間が第2許容時間以内か判定される。
油圧バルブ異常診断部49は、往復移動時間が第2許容時間を超えると往復移動時間判定部48によって判定された場合、油圧アキュムレータ65に異常があると判定するように構成される。具体的には、油圧バルブ異常診断部49は、油圧アキュムレータ65に異常があることを示す情報を表示器83に表示するための表示指令を生成する。
上記構成によれば、第2アキュムレータ作動試験モードでは、風車翼6がフェザー位置と中途位置との間で往復移動するので、油圧アキュムレータ65から放出される作動油の放出量は抑制される。にも関わらず、風車翼6の往復移動時間が第2許容時間を超えるのであれば、油圧アキュムレータ65において深刻な異常が発生していると特定できる。こういった場合に、油圧バルブ異常診断部49は油圧アキュムレータ65の異常を診断するので、油圧アキュムレータ65の異常を検出し損ねることを回避できる。
油圧低下判定部51は、第2アキュムレータ作動試験モードにおいて、ポンプモータ63の停止後の風車翼6の初期動作中において、油供給圧が第2規定圧力値以下になったかを判定するように構成される。当該判定は、第2油圧時系列データに基づき実行される。これにより、油供給圧が第2規定圧力値以下であるか判定できる。
第2アキュムレータ異常診断部53は、初期動作における油供給圧が第2規定圧力値以下になったと油圧低下判定部51によって判定された場合に、油圧アキュムレータ65に異常があると判定するように構成される。具体的には、第2アキュムレータ異常診断部53は、油圧アキュムレータ65に異常があることを示す情報を表示器83に表示するための表示指令を生する。
なお、往復移動時間判定部48は、油供給圧が第2規定圧力値を上回ると油圧低下判定部51によって判定された場合に、往復移動時間が第2許容時間以内であるかを判定するように構成されてもよい。第2アキュムレータ作動試験モードにおいて、ブラダ67が破損していると油供給圧は第2規定圧力値以下になる傾向がある。しかしながら、作動油の供給ライン62のメインライン103に残存する作動油の油圧の影響により、ブラダ67が破損していても油圧が第2規定圧力値以下にならないことがある。これでは油圧アキュムレータ65の異常を検出し損ねる可能性がある。この点、上記構成によれば、油圧が第2規定圧力値を上回ると判定されても、往復移動時間判定部48は、往復移動時間が第2許容時間以内であるかを判定する。そして、ブラダ67の破損が起きていれば、風車翼6は往復移動に時間を要するので、往復移動時間は第2許容時間を上回る。この場合、油圧バルブ異常診断部49は油圧バルブ85に異常があると診断できるので、油圧バルブ85における異常を検出し損ねるのを回避できる。
<4-3.その他>
上述した第1異常診断構成部31のピッチ角判定部42は、風車翼6の往復移動時間が第2許容時間以内になると往復移動時間判定部48によって判定された場合に、ピッチ角異常条件が充足されるかを判定してもよい。換言すると、第1アキュムレータ作動試験モードに基づく異常診断は、第2アキュムレータ作動試験モードに基づく異常診断で風力発電設備1が正常であると診断された場合に実行されてもよい。本構成によれば、油圧アキュムレータ65において深刻な異常が発生していない場合に、ピッチ角異常条件が充足されるか判定される。従って、ピッチ角異常条件が充足される場合には、油圧アキュムレータ65における異常は、重度の異常ではなく、一般に早期の検出が困難な軽度の異常であると特定できる。これにより、油圧アキュムレータ65における異常を早期に検出できる。
油圧検出部17は、油圧スイッチに代えて圧力センサであってもよい。この場合、第2規定圧力値は、第1規定圧力値と異なる油供給圧であってもよい。また、図8で示される異常診断システム40が、所要時間判定部44とピッチリンク機構異常診断部45をさらに備えてもよいし、アキュムレータ重度異常診断部46をさらに備えてもよい。
<5.風力発電設備1のアキュムレータ作動試験処理>
図9を参照し、風力発電設備1の運転モードが第1アキュムレータ作動試験モードまたは第2アキュムレータ作動試験モードに切り替わるためのアキュムレータ作動試験処理を説明する。アキュムレータ作動試験処理は、制御装置20を構成するコントローラによって繰り返し実行される。アキュムレータ作動試験処理が開始される前、風力発電設備1は、発電量を目標発電量にするための通常の運転モードで運転されている。
第1アキュムレータ作動試験モードは第1規定期間が経過する度に実行され、第2アキュムレータ作動試験モードは第2規定期間が経過する度に実行される。本例では、第2アキュムレータ作動試験モードの運転が、第1アキュムレータ作動試験モードの運転よりも高い頻度で実行される。即ち、第2規定期間は第1規定期間よりも短い期間である。例えば、第1規定期間は数週間または数か月であり、第2規定期間は数日または数週間である。また、油圧アキュムレータ65に重度の異常が発生しているかの判定の基準として利用される上述した所定期間は、第1規定期間よりも長い期間である。本例の所定期間は、例えば数か月である。以下、制御装置20を構成するコントローラを単に「コントローラ」という場合がある。
はじめに、コントローラは、第1アキュムレータ作動試験モードの運転が最後に実行されてから第1規定期間が経過したかを判定する(S11)。第1規定期間が経過してないと判定された場合(S11:NO)、コントローラは、第2アキュムレータ作動試験モードの運転が最後に実行されてから第2規定期間が経過したかを判定する(S13)。第2規定期間が経過していないと判定された場合(S13:NO)、コントローラはアキュムレータ作動試験処理を終了する。
第2規定期間が経過したと判定された場合(S13:YES)、コントローラは、第2アキュムレータ作動試験モードにおける運転を開始する(S15)。ポンプモータ63および油圧バルブ85に所定の制御指令が入力されることで、第2アキュムレータ作動試験モードの運転は開始される。
コントローラは、油圧検出部17の検出結果(出力信号)およびピッチ角センサ15の計測結果(出力信号)を示すデータを異常診断システム40に送信する(S17)。データは、油圧検出部17またはピッチ角センサ15が信号を出力するたびに送信されてもよい。あるいは、第2アキュムレータ作動試験モードの運転中に油圧検出部17およびピッチ角センサ15から出力された信号が時間に対応付けられることで時系列データが生成され、コントローラが時系列データを異常診断システム40に送信してもよい。S17で異常診断システム40に送信されるデータは、第2アキュムレータ作動試験モードにおける異常診断に利用される(詳細は後述する)。
その後、コントローラは、第2アキュムレータ作動試験モードの運転を終了し(S19)、アキュムレータ作動試験処理を終了する。運転の終了タイミングは風車翼6がフェザー位置まで戻るタイミングである。コントローラは、風車翼6がフェザー位置に戻ったかをピッチ角センサ15の計測結果に基づき判定する。
第1規定期間が経過したと判定された場合(S11:YES)、コントローラは、第1アキュムレータ作動試験モードにおける運転を開始する(S21)。ポンプモータ63および油圧バルブ85に所定の制御指令が入力されることで、第1アキュムレータ作動試験モードの運転は開始される。
コントローラは、油圧検出部17の検出結果(出力信号)およびピッチ角センサ15の計測結果(出力信号)を示すデータを異常診断システム40に送信する(S23)。S23はS17と同様の処理である。S23で異常診断システム40に送信されるデータは、第1アキュムレータ作動試験モードにおける異常診断に利用される(詳細は後述する)。
その後、コントローラは、第1アキュムレータ作動試験モードの運転を終了し(S25)、アキュムレータ作動試験処理を終了する。運転の終了タイミングは風車翼6がフェザー位置まで戻るタイミングであり、S19と同様である。
<6.高頻度異常診断処理>
図10を参照し、第2アキュムレータ作動試験モードにおける異常診断である高頻度異常診断処理を説明する。高頻度異常診断処理は、第2アキュムレータ作動試験モードで風力発電設備1が運転されるたびに実行される。
はじめにプロセッサ72は、アキュムレータ作動試験処理(図9参照)のS17において送信されるデータを受信することで、第2データを取得する(S30)。S17において受信されるデータが第2データであってもよいし、あるいは、受信されるデータに基づいて、プロセッサ72が第2データを生成してもよい。S30を実行するプロセッサ72は、第2取得部47の一例である。
プロセッサ72は、第2アキュムレータ作動試験モードの風車翼6の初期動作中における油供給圧が第2規定圧力値以下であるかを、第2データに基づき判定する(S31)。S31を実行するプロセッサ72は、油圧低下判定部51の一例である。
油供給圧が第2規定圧力値以下であると判定されると(S31:YES)、プロセッサ72は、ブラダ67のガス圧低下またはブラダ67の破損といった重度の異常が油圧アキュムレータ65にあると診断する(S32)。S32を実行するプロセッサ72は、第2アキュムレータ異常診断部53の一例である。S32を実行したプロセッサ72は、高頻度異常診断処理を終了する。
油供給圧が第2規定圧力値を上回ると判定されると(S31:NO)、プロセッサ72は、第2アキュムレータ作動試験モードの風車翼6の中期動作中における油供給圧が低下したかを、第2データに基づき判定する(S33)。低下していると判定された場合(S33:YES)、プロセッサ72は、油圧アキュムレータ65のガス圧の低下といった軽度の異常があると診断し(S34)、処理を終了する。中期動作中のガス圧低下が起きていないと判定された場合(S33:NO)、上述した風車翼6の往復移動時間が第2許容時間以内であるかを、第2データに基づいて判定する(S37)。S37を実行するプロセッサ72は、往復移動時間判定部48の一例である。往復移動時間判定部48が第2許容時間以内であると判定される場合(S37:YES)、油圧アキュムレータ65は正常であるとみなされ、プロセッサ72は高頻度異常診断処理を終了する。
往復移動時間が第2許容時間を上回ると判定されると(S37:NO)、プロセッサ72は、油圧バルブ85の異常があると診断する(S39)。S39を実行するプロセッサ72は油圧バルブ異常診断部49の一例である。S39を実行したプロセッサ72は、高頻度異常診断処理を終了する。
<7.低頻度異常診断処理>
図11を参照し、第1アキュムレータ作動試験モードにおける異常診断である低頻度異常診断処理を説明する。低頻度異常診断処理は、第1アキュムレータ作動試験モードで風力発電設備1が運転されるたびに実行される。
はじめにプロセッサ72は、アキュムレータ作動試験処理(図9参照)のS23において送信されるデータを受信することで、第1データを取得する(S51)。S23において受信されるデータが第1データであってもよいし、あるいは、受信されるデータに基づいて、プロセッサ72が第1データを生成してもよい。S51を実行するプロセッサ72は、第1取得部41の一例である。
次いで、プロセッサ72は、上述した所要時間が第1許容時間以内であるかを第1データに基づいて判定する(S53)。S53を実行するプロセッサ72は所要時間判定部44の一例である。所要時間が第1許容時間を超えると判定されると(S53:NO)、プロセッサ72は、ピッチリンク機構26に異常があると診断する(S55)。例えばプロセッサ72は、表示器83に所定の表示指令を送る。S55を実行するプロセッサ72はピッチリンク機構異常診断部45の一例である。S55を実行したプロセッサ72は、低頻度異常診断処理を終了する。
所要時間が第1許容時間以内であると判定されると(S53:YES)、プロセッサ72は、ピッチ角異常条件が充足されるかを第1データに基づき判定する(S57)。S57を実行するプロセッサ72は、ピッチ角判定部42の一例である。ピッチ角異常条件が充足されないと判定された場合(S57:NO)、ピッチリンク機構26と油圧アキュムレータ65はいずれも正常であるとみなされ、プロセッサ72は低頻度異常診断処理を終了する。
ピッチ角異常条件が充足されると判定されると(S57:YES)、プロセッサ72は、ピッチ角異常条件が充足されないと最後に判定されてから所定期間が経過しているかを判定する(S59)。所定期間が経過していると判定された場合(S59:YES)、プロセッサ72は、ブラダ67のガス圧の低下といった異常が油圧アキュムレータ65にあると診断する(S61)。所定期間が経過していないと判定された場合(S59:NO)、プロセッサ72は、ブラダ67の破損といった重度の異常が油圧アキュムレータ65にあると診断する(S63)。S61を実行するプロセッサ72は、第1アキュムレータ異常診断部43の一例であり、S63を実行するプロセッサ72は、アキュムレータ重度異常診断部46の一例である。S61またはS63を実行したプロセッサ72は、低頻度異常診断処理を終了する。
<8.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る風力発電設備用の異常診断システム(40)は、
油圧式翼ピッチ機構(12)を備える風力発電設備(1)の異常診断を行うための風力発電設備用の異常診断システムであって、
風車翼(6)がファイン位置に配置される状態でポンプモータ(63)の駆動が停止し、かつ、油圧アキュムレータ(65)から放出される作動油によって前記風車翼がフェザー位置に向けて移動する前記風力発電設備の第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記油圧アキュムレータの油圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおける前記風車翼のピッチ角が、規定ピッチ角よりもファイン側のピッチ角となるピッチ角異常条件が充足されるかを判定するためのピッチ角判定部(42)と、
前記ピッチ角異常条件が充足されると判定された場合、前記油圧アキュムレータに異常があると診断するための第1アキュムレータ異常診断部(43)と、
を備える。
第1アキュムレータ作動試験モードでは、風車翼がファイン位置からフェザー位置まで移動するため、油圧アキュムレータから放出される作動油の量が多い。そのため、油圧アキュムレータが作動油を放出する過程においてたとえ軽微であっても異常があると、ファイン位置からフェザー位置への風車翼の移動において、移動速度の低下といった動作不良が現れる。結果、ピッチ角異常条件が充足されると判定され、第1アキュムレータ異常診断部は油圧アキュムレータに異常があると診断する。よって、油圧アキュムレータの異常を早期に検出できる風力発電設備用の異常診断システムが実現される。具体例を挙げると、油圧アキュムレータのブラダに封入されるガスの圧力の低下が起きて間もないタイミングであっても、ピッチ角異常条件が充足される。よって、第1アキュムレータ異常診断部は、油圧アキュムレータの蓄圧機能に軽微な異常があると診断できる。
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の風力発電設備用の異常診断システムであって、
前記第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記ポンプモータの駆動が停止してから前記風車翼が前記フェザー位置に到達するまでの所要時間が第1許容時間以内となるかを判定するための所要時間判定部(44)と、
前記所要時間が前記第1許容時間を超えると判定された場合、油圧シリンダ(22)のピストン(24)と前記風車翼とに連結されるピッチリンク機構(26)に異常があると診断するためのピッチリンク機構異常診断部(45)と、
をさらに備え、
前記ピッチ角判定部は、前記所要時間が前記第1許容時間以内であると判定された場合に、前記ピッチ角異常条件が充足されるかを判定するように構成される。
ピッチリンク機構に異常がある場合、たとえ油圧アキュムレータが正常であっても、第1アキュムレータ作動試験モードにおいて風車翼はフェザー位置まで正常に移動できない。この点、上記2)の構成によれば、ポンプモータが停止してから風車翼がフェザー位置に到達するまでの所要時間が第1許容時間を超えると判定されると、ピッチリンク機構異常診断部はピッチリンク機構に異常があると診断できる。また、ピッチ角異常条件が充足されるかの判定は、ピッチリンク機構に異常がないことを前提に実行される。従って、ピッチ角異常条件が充足されると判定される場合には、異常が発生している構成要素が油圧アキュムレータであると適切に特定できる。
3)幾つかの実施形態では、上記1)または2)に記載の風力発電設備用の異常診断システムであって、
前記第1アキュムレータ異常診断部によって異常があると診断される回数が所定期間内に2回以上である場合、前記第1アキュムレータ異常診断部によって診断された前記異常よりも深刻な異常が前記油圧アキュムレータにあると診断するためのアキュムレータ重度異常診断部(46)をさらに備える。
第1アキュムレータ異常診断部が油圧アキュムレータに軽微な異常あると診断した後、点検または修理の作業などによって当該異常は解消される。しかしながら、第1アキュムレータ異常診断部によって異常があると所定期間内に再び診断されるのであれば、油圧アキュムレータにおけるブラダの破損など深刻な異常の発生が想定される。この点、上記3)の構成によれば、このような場合に、アキュムレータ重度異常診断部が油圧アキュムレータに深刻な異常があると診断することができる。よって、復旧困難な程度の故障が風力発電設備において発生する前に、ブラダの交換作業としった対処を行うことができる。
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)のいずれかに記載の風力発電設備用の異常診断システムであって、
前記油圧アキュムレータの前記油圧が第1規定値圧力値以下であるかに応じて異なる信号を出力するように構成される油圧検出部(17)の検出結果と、前記風力発電設備のピッチ角センサ(15)の計測結果とを示すデータを取得するための第1取得部(41)をさらに備え、
前記ピッチ角判定部は、前記第1取得部の取得結果に基づき、前記ピッチ角異常条件が充足されるか判定するように構成される。
上記4)の構成によれば、第1アキュムレータの作動試験モードにおける油圧とピッチ角とを示すデータを取得できるので、ピッチ角異常条件が充足されるかをピッチ角判定部は精度よく判定できる。
5)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の風力発電設備用の異常診断システムであって、
前記油圧検出部は、前記油圧が第1規定圧力値以下になったことを契機として出力信号を切り替えるように構成された圧力スイッチである。
上記5)の構成によれば、油圧を連続的に計測する油圧センサが油圧検出部として採用される場合に比べて、第1取得部が油圧検出部の出力信号を取得する処理をより簡易化することができる。また、風力発電設備の構成もより簡素にできる。
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)のいずれかに記載の風力発電設備用の異常診断システムであって、
前記風車翼が前記フェザー位置に配置される状態で前記ポンプモータの駆動が停止し、かつ、前記油圧アキュムレータから放出される前記作動油によって、前記風車翼が前記フェザー位置から中途位置まで移動しさらに前記フェザー位置まで戻る前記風力発電設備の第2アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記風車翼の往復移動時間が第2許容時間以内となるかを判定するための往復移動時間判定部(48)と、
前記往復移動時間が前記第2許容時間を超えると判定された場合、油圧バルブに異常があると診断するための油圧バルブ異常診断部であって、前記油圧バルブは、前記作動油の供給先を、前記油圧式翼ピッチ機構の油圧シリンダ(22)においてピストン(24)によって隔てられる第1室(23A)と第2室(23B)との間で切り替えるように構成されたバルブである油圧バルブ異常診断部(49)と、
をさらに備える。
上記6)の構成によれば、油圧バルブの異常を検出し損ねることを回避できる。
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載の風力発電設備用の異常診断システムであって、
前記ピッチ角判定部は、前記風車翼の前記往復移動時間が前記第2許容時間以内になると判定された場合に、前記ピッチ角異常条件が充足されるかを判定するように構成される。
上記7)の構成によれば、油圧アキュムレータにおいて深刻な異常が発生していない場合に、ピッチ角異常条件が充足されるか判定される。従って、ピッチ角異常条件が充足される場合には、油圧アキュムレータにおける異常は軽度の異常であると特定できる。これにより、油圧アキュムレータにおける異常を早期に検出できる風力発電設備用の異常診断システムが実現される。
8)本開示の少なくとも一実施形態に係る、風力発電設備用の異常診断方法は、
油圧式翼ピッチ機構(12)を備える風力発電設備(1)の異常診断を行うための風力発電設備用の異常診断方法であって、
風車翼(6)がファイン位置に配置される状態でポンプモータ(63)の駆動が停止し、かつ、油圧アキュムレータ(65)から放出される作動油によって前記風車翼がフェザー位置に向けて移動する前記風力発電設備の第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記油圧アキュムレータの油圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおける前記風車翼のピッチ角が、規定ピッチ角よりもファイン側のピッチ角となるピッチ角異常条件が充足されるかを判定するためのピッチ角判定ステップ(S57)と、
前記ピッチ角異常条件が充足されると判定された場合、前記油圧アキュムレータに異常があると診断するための第1アキュムレータ異常診断ステップ(S61)と、
を備える。
上記8)の構成によれば、上記1)と同様の理由によって、油圧アキュムレータの異常を早期に検出できる風力発電設備用の異常診断方法が実現される。
1 :風力発電設備
6 :風車翼
12 :油圧式翼ピッチ機構
15 :ピッチ角センサ
17 :油圧検出部
22 :油圧シリンダ
23 :シリンダ
24 :ピストン
26 :ピッチリンク機構
40 :異常診断システム
41 :第1取得部
42 :ピッチ角判定部
43 :第1アキュムレータ異常診断部
44 :所要時間判定部
45 :ピッチリンク機構異常診断部
46 :アキュムレータ重度異常診断部
48 :往復移動時間判定部
49 :油圧バルブ異常診断部
51 :油圧低下判定部
63 :ポンプモータ
65 :油圧アキュムレータ

Claims (8)

  1. 油圧式翼ピッチ機構を備える風力発電設備の異常診断を行うための風力発電設備用の異常診断システムであって、
    風車翼がファイン位置に配置される状態でポンプモータの駆動が停止し、かつ、油圧アキュムレータから放出される作動油によって前記風車翼がフェザー位置に向けて移動する前記風力発電設備の第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記油圧アキュムレータの油圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおける前記風車翼のピッチ角が、規定ピッチ角よりもファイン側のピッチ角となるピッチ角異常条件が充足されるかを判定するためのピッチ角判定部と、
    前記ピッチ角異常条件が充足されると判定された場合、前記油圧アキュムレータに異常があると診断するための第1アキュムレータ異常診断部と、
    を備える、
    風力発電設備用の異常診断システム。
  2. 前記第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記ポンプモータの駆動が停止してから前記風車翼が前記フェザー位置に到達するまでの所要時間が第1許容時間以内となるかを判定するための所要時間判定部と、
    前記所要時間が前記第1許容時間を超えると判定された場合、油圧シリンダのピストンと前記風車翼とに連結されるピッチリンク機構に異常があると診断するためのピッチリンク機構異常診断部と、
    をさらに備え、
    前記ピッチ角判定部は、前記所要時間が前記第1許容時間以内であると判定された場合に、前記ピッチ角異常条件が充足されるかを判定するように構成される、
    請求項1に記載の風力発電設備用の異常診断システム。
  3. 前記第1アキュムレータ異常診断部によって異常があると診断される回数が所定期間内に2回以上である場合、前記第1アキュムレータ異常診断部によって診断された前記異常よりも深刻な異常が前記油圧アキュムレータにあると診断するためのアキュムレータ重度異常診断部をさらに備える、
    請求項1または2に記載の風力発電設備用の異常診断システム。
  4. 前記油圧アキュムレータの前記油圧が第1規定圧力値以下であるかに応じて異なる信号を出力するように構成される油圧検出部の検出結果と、前記風力発電設備のピッチ角センサの計測結果とを示すデータを取得するための第1取得部をさらに備え、
    前記ピッチ角判定部は、前記第1取得部の取得結果に基づき、前記ピッチ角異常条件が充足されるか判定するように構成される、
    請求項1または2に記載の風力発電設備用の異常診断システム。
  5. 前記油圧検出部は、前記油圧が第1規定圧力値以下になったことを契機として出力信号を切り替えるように構成された圧力スイッチである、
    請求項4に記載の風力発電設備用の異常診断システム。
  6. 前記風車翼が前記フェザー位置に配置される状態で前記ポンプモータの駆動が停止し、かつ、前記油圧アキュムレータから放出される前記作動油によって、前記風車翼が前記フェザー位置から中途位置まで移動しさらに前記フェザー位置まで戻る前記風力発電設備の第2アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記風車翼の往復移動時間が第2許容時間以内となるかを判定するための往復移動時間判定部と、
    前記往復移動時間が前記第2許容時間を超えると判定された場合、油圧バルブに異常があると診断するための油圧バルブ異常診断部であって、前記油圧バルブは、前記作動油の供給先を、前記油圧式翼ピッチ機構の油圧シリンダにおいてピストンによって隔てられる第1室と第2室との間で切り替えるように構成されたバルブである油圧バルブ異常診断部と、
    をさらに備える、
    請求項1または2に記載の風力発電設備用の異常診断システム。
  7. 前記ピッチ角判定部は、前記風車翼の前記往復移動時間が前記第2許容時間以内になると判定された場合に、前記ピッチ角異常条件が充足されるかを判定するように構成される、
    請求項6に記載の風力発電設備用の異常診断システム。
  8. 油圧式翼ピッチ機構を備える風力発電設備の異常診断を行うための風力発電設備用の異常診断方法であって、
    風車翼がファイン位置に配置される状態でポンプモータの駆動が停止し、かつ、油圧アキュムレータから放出される作動油によって前記風車翼がフェザー位置に向けて移動する前記風力発電設備の第1アキュムレータ作動試験モードにおいて、前記油圧アキュムレータの油圧が第1規定圧力値まで下がったタイミングにおける前記風車翼のピッチ角が、規定ピッチ角よりもファイン側のピッチ角となるピッチ角異常条件が充足されるかを判定するためのピッチ角判定ステップと、
    前記ピッチ角異常条件が充足されると判定された場合、前記油圧アキュムレータに異常があると診断するための第1アキュムレータ異常診断ステップと、
    を備える、
    風力発電設備用の異常診断方法。

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