JP7842879B2 - 窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素粒子の製造方法、及び樹脂組成物 - Google Patents

窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素粒子の製造方法、及び樹脂組成物

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Description

本発明は、窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素粒子の製造方法、及び樹脂組成物に関する。
窒化ホウ素は、潤滑性、高熱伝導性、及び絶縁性を有しており、固体潤滑材、離型材、化粧料の原料、放熱材、並びに、耐熱性を有する絶縁性焼結体等の種々の用途に利用されている。
例えば、特許文献1には、樹脂に充填して得られる樹脂組成物に高い熱伝導性と高い絶縁耐力を付与することが可能な六方晶窒化ホウ素粉末として、六方晶窒化ホウ素の一次粒子からなる凝集粒子を含み、BET比表面積が0.7~1.3m/gであり、且つ、JIS K 5101-13-1に基づき測定される吸油量が80g/100g以下であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末が開示されている。
特開2016-160134号公報
本発明の主な目的は、新規な窒化ホウ素粒子を提供することである。
本発明は、いくつかの側面において、以下の[1]~[7]を提供する。
[1] 粒子内に複数の空隙を有する窒化ホウ素粒子であって、前記複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が30%以上である断面を有する、窒化ホウ素粒子。
[2] 粒子内に複数の空隙を有する窒化ホウ素粒子であって、前記複数の空隙の面積割合が、前記窒化ホウ素からなる領域及び前記複数の空隙の合計面積に対して45%以下である断面を有する、窒化ホウ素粒子。
[3] 前記断面において、前記複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が30%以上である、[2]に記載の窒化ホウ素粒子。
[4] 前記断面において、前記複数の空隙の全面積に対する円相当半径が2μm以上である空隙の面積割合が60%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の窒化ホウ素粒子。
[5] 前記断面において、前記複数の空隙の平均円相当半径が1.5μm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の窒化ホウ素粒子。
[6] 炭化ホウ素粒子を熱間等方圧加圧しながら窒化して、炭窒化ホウ素粒子を得る工程と、前記炭窒化ホウ素粒子を脱炭して、窒化ホウ素粒子を得る工程と、を備える、窒化ホウ素粒子の製造方法。
[7] [1]~[5]のいずれかに記載の窒化ホウ素粒子と、樹脂と、を含有する、樹脂組成物。
本発明の一側面によれば、新規な窒化ホウ素粒子を提供することができる。
実施例1~3の窒化ホウ素粒子のX線回折測定結果のグラフである。 実施例1の窒化ホウ素粒子の断面のSEM画像である。 比較例1の窒化ホウ素粒子の断面のSEM画像である。 実施例1の窒化ホウ素粒子の断面を二値化した画像である。 比較例1の窒化ホウ素粒子の断面を二値化した画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る窒化ホウ素粒子は、例えば、複数の窒化ホウ素片により構成されている。窒化ホウ素粒子は、複数の窒化ホウ素片間に形成された複数の空隙を有している。窒化ホウ素片は、窒化ホウ素により形成されており、例えば鱗片状の形状を有していてよい。
複数の窒化ホウ素片同士は、物理的に接触していてもよく、化学的に結合していてもよい。複数の窒化ホウ素片同士が化学的に結合していることは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、窒化ホウ素片同士の結合部分に窒化ホウ素片間の境界が観察されないことにより確認できる。
窒化ホウ素粒子は、複数の窒化ホウ素片が積層している領域を有する断面を有していてもよい。複数の窒化ホウ素片が積層していていることは、SEMを用いて窒化ホウ素粒子の断面を観察し、複数の窒化ホウ素片が窒化ホウ素片の厚さ方向に並んで配置されていることにより確認できる。
窒化ホウ素片の平均厚さは、0.5μm以上、1μm以上、又は1.5μm以上であってよく、5μm以下であってよい。窒化ホウ素片の長手方向の平均長さは、例えば、1μm以上であってよく、10μm以下であってよい。窒化ホウ素片の平均厚さ及び長手方向の平均長さは、SEMを用いて、倍率1000倍で窒化ホウ素粒子の断面を観察したSEM画像を画像解析ソフトウェア(例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-view」)に取り込み、当該SEM画像において測定される40個の窒化ホウ素片の厚さ及び長手方向の長さの平均値として定義される。
窒化ホウ素粒子の断面において、粒子内の複数の空隙の全面積(複数の空隙の累積面積)に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合(円相当半径が1μm未満である空隙の全面積の割合)は、30%以上であってよい。すなわち、本発明の一実施形態(第一実施形態)に係る窒化ホウ素粒子は、粒子内に複数の空隙を有し、複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が30%以上である断面を有する。
窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合は、35%以上、又は40%以上であってよい。複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が大きいほど、空隙の総数が同じ窒化ホウ素粒子と比較した場合、窒化ホウ素粒子内の空隙の総体積も小さくなる。また、窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が大きいほど、このような窒化ホウ素粒子を樹脂と混合して放熱材を作製する場合、放熱材の成形時の圧力が小さく、窒化ホウ素粒子の変形が小さくても、窒化ホウ素粒子内でパーコレーションが生じやすくなり、高い熱伝導率を有する放熱材を得やすくなる。複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合は、45%以上、50%以上、又は55%以上であってよく、70%以下、65%以下、又は60%以下であってもよい。
窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の面積割合(複数の空隙の全面積の割合)は、窒化ホウ素からなる領域及び複数の空隙の合計面積に対して、45%以下であってよい。すなわち、本発明の他の実施形態(第二実施形態)に係る窒化ホウ素粒子は、粒子内に複数の空隙を有し、複数の空隙の面積割合が、窒化ホウ素からなる領域及び複数の空隙の合計面積に対して45%以下である断面を有する。
窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の面積割合は、窒化ホウ素からなる領域及び複数の空隙の合計面積に対して、40%以下、35%以下、30%以下、又は25%以下であってよい。複数の空隙の面積割合が小さいほど、窒化ホウ素粒子内の空隙が少ないため、このような窒化ホウ素粒子は緻密な粒子になりやすい。そのため、このような窒化ホウ素粒子を樹脂と混合して放熱材を作製する場合、窒化ホウ素粒子を潰さなくても窒化ホウ素粒子の充填率が高くなり、高い熱伝導率を有する放熱材を得やすくなる。窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の面積割合は、窒化ホウ素からなる領域及び複数の空隙の合計面積に対して、24%以下、22%以下、20%以下、又は18%以下であってよく、10%以上、15%以上、又は20%以上であってよい。
第一実施形態に係る窒化ホウ素粒子の上記断面において、複数の空隙の面積割合(複数の空隙の全面積の割合)が上記の範囲であってもよい。また、第二実施形態に係る窒化ホウ素粒子の上記断面において、複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が上記の範囲であってもよい。以下で説明する事項は、特に断らない限り、第一実施形態に係る窒化ホウ素粒子及び第二実施形態に係る窒化ホウ素粒子の両方に共通する事項である。
窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の全面積に対する円相当半径が2μm以上である空隙の面積割合(円相当半径が2μm以上である空隙の全面積の割合)は、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、又は35%以下であってもよい。複数の空隙の全面積に対する円相当半径が2μm以上である空隙の面積割合が小さいほど、窒化ホウ素粒子内の大きな空隙は少なくなるため、このような窒化ホウ素粒子は緻密な粒子になりやすい。そのため、このような窒化ホウ素粒子を樹脂と混合して放熱材を作製する場合、窒化ホウ素粒子を潰さなくても窒化ホウ素粒子の充填率が高くなり、高い熱伝導率を有する放熱材を得やすくなる。複数の空隙の全面積に対する円相当半径が2μm以上である空隙の面積割合は、30%以下、又は25%以下であってよく、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、又は25%以上であってよい。
窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の平均円相当半径は、1.8μm以下、1.6μm以下、1.5μm以下、1.4μm以下、又は1.3μm以下であってよい。複数の空隙の平均円相当半径が小さいほど、窒化ホウ素粒子内の空隙の平均的なサイズも小さくなる傾向がある。そのため、このような窒化ホウ素粒子を樹脂と混合して放熱材を作製する場合、放熱材の成形時の圧力が小さく、窒化ホウ素粒子の変形が小さくても、窒化ホウ素粒子内でパーコレーションが生じやすくなり、高い熱伝導率を有する放熱材を得やすくなる。窒化ホウ素粒子の断面において、複数の空隙の平均円相当半径は、0.6μm以上、0.8μm以上、又は0.9μm以上であってよい。複数の空隙の平均円相当半径は、空隙の円相当半径の分布において、空隙の累積面積が50%となる空隙の円相当半径(メジアン径)を意味する。
窒化ホウ素粒子の断面における窒化ホウ素からなる領域の面積、並びに、複数の空隙それぞれの面積及び円相当半径は、以下の方法により測定することができる。
まず、窒化ホウ素粒子をエポキシ樹脂に包埋し、樹脂を硬化させて硬化物を得る。硬化物を研磨して窒化ホウ素粒子の断面を露出させて、測定用試料とする。測定用試料を、SEMを用いて倍率1000倍で観察を行い、1個の窒化ホウ素粒子の断面全体を確認できるbmp形式の画像を取得する。画像を画像処理ソフトウェア「imageJ」に取り込み、画像中の1個の窒化ホウ素粒子に着目し、着目した窒化ホウ素粒子の外縁に沿って縁取りを行う。画像を、縁取りを行った領域に外接する矩形にトリミングし、縁取りを行った領域の外側の領域(着目した窒化ホウ素粒子が存在しない領域)をマスクする。Medianフィルタ(1pixcel)によりフィルタ処理を行い、窒化ホウ素粒子からなる領域と、それ以外の領域(樹脂領域)とに大津法による二値化処理を行う。また、Maximumフィルタ(1pixcel)によりフィルタ処理を行い、Fill holes処理を行い、窒化ホウ素粒子の輪郭を抽出する。二値化処理を行った画像に対して、抽出した輪郭を適用し、輪郭の外側の領域をマスクし、解析用画像を得る。解析用画像を画像処理ソフトウェア「OpenCV」(言語Python)に取り込み、解析用画像から窒化ホウ素粒子の断面における窒化ホウ素からなる領域、及び窒化ホウ素粒子の断面における複数の樹脂領域(空隙)それぞれの面積を測定できる。また、複数の樹脂領域(空隙)それぞれの面積から、複数の樹脂領域(空隙)それぞれの円相当半径を算出できる。
窒化ホウ素粒子の最大長さは、例えば、20μm以上、30μm以上、又は40μm以上であってよく、120μm以下、100μm以下、又は80μm以下であってよい。窒化ホウ素粒子の最大長さとは、窒化ホウ素粒子をSEMで観察したときに、1個の窒化ホウ素粒子上の任意の2点間の直線距離のうち最大となる長さを意味する。最大長さの測定は、SEM画像を画像解析ソフトウェア(例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-view」)に取り込んで行ってもよい。
窒化ホウ素粒子は、実質的に窒化ホウ素のみからなってよい。窒化ホウ素粒子が実質的に窒化ホウ素のみからなることは、X線回折測定において、窒化ホウ素に由来するピークのみが検出されることにより確認できる。
以上説明したような新規な窒化ホウ素粒子は、一実施形態において、従来の窒化ホウ素粒子に比べて、粒子内の複数の空隙に占める小さな空隙の割合が多い。また、上記の新規な窒化ホウ素粒子は、他の一実施形態において、従来の窒化ホウ素粒子に比べて、粒子内の複数の空隙全体の割合が少ない。したがって、これらの新規な窒化ホウ素粒子は、例えば樹脂に混合されて熱伝導材料として用いられた場合に、従来の窒化ホウ素粒子に比べて、高い熱伝導率を発現し得る。
上記窒化ホウ素粒子は、その集合体である窒化ホウ素粉末として様々な用途に用いることができる。すなわち、本発明の他の一実施形態は、上記窒化ホウ素粒子の集合体である窒化ホウ素粉末である。窒化ホウ素粉末の平均粒子径は、例えば、20μm以上、30μm以上、又は40μm以上であってよく、120μm以下、100μm以下、又は80μm以下であってよい。窒化ホウ素粉末の平均粒子径は、体積累積粒度分布が50%となる粒子径(D50)を意味し、レーザー回折散乱法により測定できる。
上記窒化ホウ素粒子の製造方法について以下に説明する。上記窒化ホウ素粒子は、例えば、炭化ホウ素粒子を熱間等方圧加圧(「熱間静水圧加圧」とも呼ばれる)しながら窒化して、炭窒化ホウ素粒子を得る工程(窒化工程)と、炭窒化ホウ素粒子を脱炭して、窒化ホウ素粒子を得る工程(脱炭工程)と、を備える方法により製造することができる。すなわち、本発明の他の一実施形態は、このような窒化ホウ素粒子の製造方法である。
炭化ホウ素粒子は、例えば公知の製造方法により製造することができる。例えば、ホウ酸とアセチレンブラックとを混合した後、不活性ガス雰囲気中で、1800~2400℃にて、1~10時間加熱し、塊状の炭化ホウ素粒子を得る方法が挙げられる。この方法により得られた塊状の炭化ホウ素粒子に対して、粉砕、篩分け、洗浄、不純物除去、及び乾燥等を適宜行ってもよい。炭化ホウ素粒子の平均粒子径は、例えば、5μm以上、10μm以上、又は15μm以上であってよく、80μm以下、60μm以下、又は40μm以下であってよい。炭化ホウ素粒子の平均粒子径は、体積累積粒度分布が50%となる粒子径(D50)を意味し、レーザー回折散乱法により測定できる。
窒化工程では、窒化反応を進行させる雰囲気下で、炭化ホウ素粒子を容器に充填した状態で熱間等方圧加圧しながら加熱することにより、炭化ホウ素粒子を窒化して炭窒化ホウ素粒子を得る。容器は、例えば、カーボンルツボであってよい。熱間等方圧加圧は、例えば、熱間等方圧加圧装置(例えば、神戸製鋼所製)を用いて行うことができる。
窒化工程における窒化反応を進行させる雰囲気は、炭化ホウ素粒子を窒化する窒化ガス雰囲気であってよい。窒化ガスとしては、窒素ガス、アンモニアガス等であってよく、炭化ホウ素粒子を窒化しやすい観点及びコストの観点から、窒素ガスであってよい。窒化ガスは、1種単独又は2種以上を組合せて用いてよく、窒化ガス中の窒素ガスの割合は、95体積%以上、99体積%以上又は99.9体積%以上であってよい。
窒化工程における圧力は、50MPa以上、70MPa以上、又は100MPa以上であってよい。窒化工程における圧力は、200MPa以下又は150MPa以下であってよい。
窒化工程における加熱温度は、炭化ホウ素粒子を充分に窒化させる観点から、1600℃以上又は1700℃以上であってよい。窒化工程における加熱温度は、2200℃以下又は2000℃以下であってよい。
窒化工程における加圧及び加熱を行う時間は、炭化ホウ素粒子を充分に窒化させる観点から、3時間以上、5時間以上又は8時間以上であってよい。窒化工程における加圧及び加熱を行う時間は、30時間以下、20時間以下又は10時間以下であってよい。
脱炭工程では、窒化工程にて得られた炭窒化ホウ素粒子と、ホウ素源とを含む混合物を容器に充填した状態で加熱することにより、炭窒化ホウ素粒子を脱炭する。容器は、例えば、窒化ホウ素ルツボであってよい。
ホウ素源としては、ホウ酸、酸化ホウ素、又はその混合物が挙げられる。混合物は、必要に応じて当技術分野で用いられるその他の添加物を更に含有していてもよい。炭窒化ホウ素粒子とホウ素源との混合割合は、適宜選定される。ホウ素源としてホウ酸又は酸化ホウ素を用いる場合、ホウ酸又は酸化ホウ素の割合は、炭窒化ホウ素100質量部に対して、例えば50質量部以上又は80質量部以上であってよく、300質量部以下又は250質量部以下であってよい。
脱炭工程における雰囲気は、常圧(大気圧)の雰囲気又は加圧された雰囲気であってよい。脱炭工程における圧力は、例えば0.5MPa以下又は0.3MPa以下であってよく、0.01MPa以上又は0.03MPa以上であってよい。
脱炭工程では、例えば、まず、所定の温度(脱炭開始可能な温度)まで昇温した後に、所定の温度で保持温度まで更に昇温する。所定の温度(脱炭開始可能な温度)は、例えば、1000℃以上であってよく、1500℃以下又は1200℃以下であってよい。所定の温度(脱炭開始可能な温度)から保持温度へ昇温する速度は、例えば5℃/分以下、4℃/分以下、3℃/分以下、又は2℃/分以下であってよい。
保持温度は、粒子成長が良好に起こりやすい観点から、1800℃以上又は2000℃以上であってよい。保持温度は、2200℃以下又は2100℃以下であってよい。
保持温度における保持時間は、粒子成長が良好に起こりやすい観点から、例えば、0.5時間以上、1時間以上、3時間以上、又は5時間以上であってよい。保持温度における保持時間は、例えば40時間以下、30時間以下、又は20時間以下であってよい。
以上のようにして得られる窒化ホウ素粒子に対して、篩によって所望の粒子径を有する窒化ホウ素粒子が得られるように分級する工程(分級工程)を実施してもよい。
以上説明した窒化ホウ素粒子は、例えば、放熱部材に好適に用いられる。窒化ホウ素粒子は、放熱部材に用いられる場合、例えば樹脂と共に混合された樹脂組成物として用いられる。すなわち、本発明の他の一実施形態は、樹脂と、上記の窒化ホウ素粒子とを含有する樹脂組成物である。
上記の窒化ホウ素粒子の含有量は、樹脂組成物の全体積を基準として、樹脂組成物の熱伝導率を向上させ、優れた放熱性能が得られやすい観点から、50体積%以上、55体積%以上、60体積%以上、65体積%以上、又は70体積%以上であってよい。窒化ホウ素粉末の含有量は、樹脂組成物の全体積を基準として、成形時に空隙の発生、並びに、絶縁性及び機械強度の低下を抑制できる観点から、85体積%以下、80体積%以下、又は75体積%以下であってよい。
樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、及びAES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂が挙げられる。
樹脂の含有量は、樹脂組成物の全体積を基準として、15体積%以上、20体積%以上、又は25体積%以上であってよく、50体積%以下、45体積%以下、40体積%以下、35体積%以下、又は30体積%以下であってよい。
樹脂組成物は、樹脂を硬化させる硬化剤を更に含有していてよい。硬化剤は、樹脂の種類によって適宜選択される。例えば、樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、フェノールノボラック化合物、酸無水物、アミノ化合物、及びイミダゾール化合物が挙げられる。硬化剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上又は1.0質量部以上であってよく、15質量部以下又は10質量部以下であってよい。
樹脂組成物は、その他の成分を更に含有してもよい。その他の成分は、硬化促進剤(硬化触媒)、カップリング剤、湿潤分散剤、表面調整剤等であってよい。
硬化促進剤(硬化触媒)としては、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルフォスフェイト等のリン系硬化促進剤、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤、三フッ化ホウ素モノエチルアミン等のアミン系硬化促進剤などが挙げられる。
カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミネート系カップリング剤等が挙げられる。これらのカップリング剤に含まれる化学結合基としては、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等が挙げられる。
湿潤分散剤としては、リン酸エステル塩、カルボン酸エステル、ポリエステル、アクリル共重合物、ブロック共重合物等が挙げられる。
表面調整剤としては、アクリル系表面調整剤、シリコーン系表面調整剤、ビニル系調整剤、フッ素系表面調整剤等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒子径(D50)が26μmである炭化ホウ素粒子をカーボンルツボに充填し、熱間等方圧加圧装置(神戸製鋼所製、02-SYSTEM15×型)を用いて窒素ガス雰囲気で、1750℃、196MPaの条件で1.5時間HIP法により加熱及び加圧し、炭化ホウ素粒子を窒化して炭窒化ホウ素粒子(BCN)を得た。得られた炭窒化ホウ素粒子100質量部と、ホウ酸150質量部とをヘンシェルミキサーを用いて混合した後、混合物を窒化ホウ素ルツボに充填し、抵抗加熱炉を用いて、常圧、窒素ガス雰囲気で、保持温度2000℃、0.03MPaの条件で、保持時間5時間で加熱することにより、粗大な粒子を得た。粗大な粒子を乳鉢により10分間解砕した後、篩目175μmのナイロン篩にて分級を行った。これにより、粒子の集合体(粉末)を得た。
(実施例2)
炭化ホウ素粒子を窒化する際の温度を1800℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粒子の集合体(粉末)を得た。
(実施例3)
ホウ酸の量を100質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様にして粒子の集合体(粉末)を得た。
(比較例1)
抵抗加熱炉を用いて窒素ガス雰囲気で、2000℃、0.85MPaの条件で25時間加熱及び加圧し、炭化ホウ素粒子を窒化して炭窒化ホウ素粒子を得たこと以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粒子の集合体(粉末)を得た。
[X線回折測定]
各実施例において得られた粒子の一部を回収し、X線回折装置(株式会社リガク製、「ULTIMA-IV」)を用いてX線回折測定した。そのX線回折測定結果、及び比較対象として比較例1で得られた窒化ホウ素粒子のX線回折測定結果をそれぞれ図1に示す。図1から分かるように、窒化ホウ素に由来するピークのみが検出され、各実施例において窒化ホウ素粒子が得られたことを確認した。
[窒化ホウ素粒子の断面における空隙の面積及び円相当半径の測定]
窒化ホウ素粒子をエポキシ樹脂に包埋し、樹脂を硬化させて硬化物を得た。硬化物を研磨して窒化ホウ素粒子の断面を露出させて、測定用試料とした。測定用試料を、SEMを用いて倍率1000倍で観察を行い、1個の窒化ホウ素粒子の断面全体を確認できるbmp形式の画像を取得した。画像を画像処理ソフトウェア「imageJ」に取り込み、画像中の1個の窒化ホウ素粒子に着目し、着目した窒化ホウ素粒子の外縁に沿って縁取りを行った。画像を、縁取りを行った領域に外接する矩形にトリミングし、縁取りを行った領域の外側の領域(着目した窒化ホウ素粒子が存在しない領域)をマスクした。Medianフィルタ(1pixcel)によりフィルタ処理を行った後、窒化ホウ素粒子からなる領域と、それ以外の領域(樹脂領域)とに大津法による二値化処理を行った。Maximumフィルタ(1pixcel)によりフィルタ処理を行った後、Fill holes処理を行い、窒化ホウ素粒子の輪郭を抽出した。二値化処理を行った画像に対して、抽出した輪郭を適用し、輪郭の外側の領域をマスクし、解析用画像を得た。解析用画像を画像処理ソフトウェア「OpenCV」(言語Python)に取り込み、解析用画像から窒化ホウ素粒子の断面における窒化ホウ素からなる領域、及び窒化ホウ素粒子の断面における複数の樹脂領域(空隙)それぞれの面積を測定し、複数の樹脂領域(空隙)それぞれの面積から、複数の樹脂領域(空隙)それぞれの円相当半径を算出した。また、複数の空隙の面積及び円相当半径から、複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満の空隙の面積割合、複数の空隙の全面積に対する円相当半径が2μm以上の空隙の面積割合、窒化ホウ素からなる領域及び複数の空隙の合計面積に対する複数の空隙の面積割合、平均円相当半径、及び最大円相当半径を算出した。算出結果を表1に示す。また、実施例1の窒化ホウ素粒子の断面のSEM画像を図2に、比較例1の窒化ホウ素粒子の断面のSEM画像を図3に、実施例1の窒化ホウ素粒子の断面を二値化した画像を図4に、比較例1の窒化ホウ素粒子の断面を二値化した画像を図5にそれぞれ示す。
[窒化ホウ素粒子の最大長さの測定]
窒化ホウ素粒子を、SEMを用いて観察し、窒化ホウ素粒子の最大長さを測定した。測定結果を表1に示す。
[熱伝導率の測定]
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、HP4032)100質量部と、硬化剤としてイミダゾール化合物(四国化成社製、2E4MZ-CN)10質量部とを混合し、次いで、実施例2及び3並びに比較例1において得られた窒化ホウ素粒子を窒化ホウ素粒子の充填率が70体積%となるように混合して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、500Paの減圧脱泡を10分間行い、PET製シート上に厚みが1.0mmになるように塗布した。その後、温度150℃、圧力160kg/cm条件で60分間のプレス加熱加圧を行って、0.5mmのシート状の放熱材を作製した。作製した放熱材から10mm×10mmの大きさの測定用試料を切り出し、キセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製、LFA447NanoFlash)を用いたレーザーフラッシュ法により、測定用試料の熱拡散率A(m/秒)を測定した。また、測定用試料の比重B(kg/m)をアルキメデス法により測定した。また、測定用試料の比熱容量C(J/(kg・K))を、示差走査熱量計(株式会社リガク製、ThermoPlusEvoDSC8230)を用いて測定した。これらの各物性値を用いて、熱伝導率H(W/(m・K))をH=A×B×Cの式から求めた。実施例2において得られた窒化ホウ素粒子を用いて作製した放熱材の熱伝導率は22W/(m・K)であり、実施例3において得られた窒化ホウ素粒子を用いて作製した放熱材の熱伝導率は24W/(m・K)であり、比較例1において得られた窒化ホウ素粒子を用いて作製した放熱材の熱伝導率は17W/(m・K)であった。

Claims (7)

  1. 粒子内に複数の空隙を有する窒化ホウ素粒子であって、
    前記複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が30%以上60%以下である断面を有する、窒化ホウ素粒子。
  2. 粒子内に複数の空隙を有する窒化ホウ素粒子であって、
    前記複数の空隙の面積割合が、前記窒化ホウ素からなる領域及び前記複数の空隙の合計面積に対して35%以下である断面を有する、窒化ホウ素粒子。
  3. 前記断面において、前記複数の空隙の全面積に対する円相当半径が1μm未満である空隙の面積割合が30%以上である、請求項2に記載の窒化ホウ素粒子。
  4. 前記断面において、前記複数の空隙の全面積に対する円相当半径が2μm以上である空隙の面積割合が60%以下である、請求項1又は2に記載の窒化ホウ素粒子。
  5. 前記断面において、前記複数の空隙の平均円相当半径が1.5μm以下である、請求項1又は2に記載の窒化ホウ素粒子。
  6. 炭化ホウ素粒子を熱間等方圧加圧しながら窒化して、炭窒化ホウ素粒子を得る工程と、
    前記炭窒化ホウ素粒子を脱炭して、窒化ホウ素粒子を得る工程と、
    を備える、窒化ホウ素粒子の製造方法。
  7. 請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ホウ素粒子と、樹脂と、を含有する、樹脂組成物。

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