[0036]本明細書に記載した方法および装置は、栄養血管を用いて、以前は可能と思われていなかった様式で外膜の標的領域に1つまたは複数の薬剤を送達するように構成される。本明細書に記載した方法および装置は一般に、血管(特にかなりの量の栄養血管を有する血管)のセグメントを閉塞し、閉塞されたセグメントにおける静圧を増大させて閉塞されたセグメントから栄養血管を通して周囲組織へ薬物を円周方向に駆動し得る。
[0037]一般に、本明細書に記載した方法および装置は、標的領域を薬剤によって処置するために、栄養血管を含む(一部の場合には栄養血管の密度が十分に高い)動脈等の血管の領域を選択的に閉塞するステップ、および1つまたは複数の薬剤(例えば薬物、細胞等)を閉塞された血管の領域に適用し、それにより、薬剤が、栄養血管を損傷または閉塞しない様式で栄養血管によって取り込まれるステップを含み得る。一部の例では、薬剤の寸法は、栄養血管および/または標的の寸法(例えば最大寸法、平均寸法等)と一致する栄養血管を含む血管の領域の寸法と一致させてよい。これらの方法および装置のいずれも、栄養血管の存在、密度、および/または寸法を確認するように構成される。例えば、これらの方法および装置のいずれも、適切な撮像手段を用いる栄養血管の撮像を含み得る。例えば、これらの方法および装置のいずれも、栄養血管を特定し得るコントラスト強調撮像手段(例えば磁気共鳴およびCT)を含み得る。マイクロCT、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)、および磁気共鳴撮像(MRI)は、成功裡に栄養血管を検出し得る高分解能の撮像手段である。ドップラーおよびコントラスト強調超音波(CEU)が用いられる。高周波血管内超音波および/または超分解能超音波(SRU)も用いられる。
[0038]血管は3つの区別できる層、即ち内膜(内皮細胞からなる内側、反管腔側層)、中膜(中間、平滑筋、および弾性層)、および外膜(外側、繊維層)からなっている。栄養血管は、大きな動脈および静脈の中の微小血管のネットワークであり、大きな「宿主」血管の全体の健康に重要である。酸素および栄養を親の血管に送達する動脈栄養血管と、老廃物および細胞外液をそれぞれ近傍の静脈およびリンパ管に排出する静脈およびリンパ管の栄養血管が存在する。2つの型の栄養血管(例えば外膜層および内膜層)が記載されており、それらの解剖学的起源に基づいて特徴付けられている。
[0039]栄養血管の分布および密度は一様ではない。身体の一部の領域(例えば一部の動脈)は、他の領域よりも大きな密度の栄養血管を含む。したがって、本明細書に記載した方法は、本方法がその中で実施されるべき血管が栄養血管の密度を確認すること、および/または本明細書に記載したこれらの装置のいずれも、密度を確認するように構成されてよいことを確認し得る。さらに、これらの方法および装置のいずれも、栄養血管へのいかなる損傷も最小化するように構成され、栄養血管への損傷を限定する様式で実施される。
[0040]例えば、栄養血管は、上行胸部大動脈、腕頭動脈、冠状動脈にはより密に分布し得る。肋間動脈は下行胸部大動脈の栄養血管に栄養を供給しており、これらは上行胸部大動脈と同様に密である。栄養血管は腎臓下腹部大動脈において胸部大動脈におけるよりは密でなく、胸部大動脈におけるよりは中層に浸透しないであろう。脳底動脈および脊椎頭蓋内動脈のみが栄養血管を含むと考えられている。
[0041]一般に、栄養血管の密度は、様々な血管床の中の解剖学的位置によっても変動する。動脈栄養血管の密度は、ヒト大動脈の様々な領域にわたって変動し、大動脈弓では最大密度であり、末梢に向けて低下して、腎臓下腹部大動脈で最小に達する。腎臓下腹部大動脈の中ではリンパ栄養血管はより高密度になる。冠状動脈は大腿動脈および腎動脈と比較して栄養血管の密度が高く、頸動脈、大腿動脈、および腎動脈がこれに続き、検査した全ての血管の中で不規則な血管内分布がある。栄養血管は頭蓋外血管に存在するが、頭蓋内血管の中では稀である。
[0042]栄養血管は終動脈であり、これらが隣接する動脈に接続せず、局所組織の酸素化に関与する血管であることを意味している。動物モデルおよびヒトの検体の種々の正常な動脈および静脈について管腔直径の範囲が報告されている。一部の例では、直径50μm未満の栄養血管が、大動脈および肺動脈に存在し得る。ヒト大伏在静脈における栄養血管の管腔直径は、11~約36μmの範囲であり得る。ヒト大腿動脈、腹部大動脈、腸骨動脈、および腎動脈、ならびにヒト頸動脈の栄養血管の寸法の範囲が報告されている。例えば、所与の検体について測定された全ての血管の平均としての管腔直径の様々な範囲については、小(<50μm)、中サイズ(50~100μm)、および大(>100μm)である。検査した全患者検体についての平均±SDは40.0±15.5μmであり、全血管のほぼ4分の3の測定値は50μm未満(72.2±17.5%)であった。
[0043]親の動脈および静脈の中の栄養血管のネットワークは、動脈-細動脈-毛細血管と同様のヒエラルキーに従い、宿主血管の長軸に沿って配向した血管は、「一次」として知られ、寸法において細動脈と同様である。毛細血管の寸法範囲の「二次」血管は、一次血管から分岐し、宿主血管の周囲に円周方向に延在する。一次および二次の栄養血管は平滑筋細胞層を含む一方、より小さな二次血管(25μm未満)の栄養血管は、サブセット中のα-平滑筋発現を伴う周皮細胞カバレッジを呈する。栄養血管は生理学的刺激および神経刺激に対して血管反応性であるので、それら自体の状態を規制することもできる。
[0044]本明細書に記載した方法および装置のいずれにおいても、栄養血管の状態を変化させることを含めて、栄養血管を調整する(例えば退縮させる、または妨げる、および/またはさらなる栄養血管を取り除く、または成長させる)ために1つまたは複数の血管作動性薬剤を含ませられる。例えば、FGF受容体2-およびVEGFR2(またはその他の血管新生促進因子)が栄養血管の増殖を支配することがあり、血管新生促進因子および/または血管新生阻害因子が用いられる。本明細書に記載した方法および装置のいずれも、ニトログリセリン等の栄養血管を通しての送達を促進する薬剤を含み得る。ニトログリセリンを含むがそれに限らない血管作動性薬剤は、本明細書に記載したように血管を閉塞した後に局所的に送達される。例えば、約0.01mg~5mgのニトログリセリンが、血管の閉塞した領域への1つまたは複数の薬剤の送達の前にまたはこれと同時に、標的化された様式で与えられる。
[0045]一般に、本明細書に記載した方法および装置は、固形がん性腫瘍等であるがこれに限らない疾患を処置または改善し得る。一部の例では、以前の方法および装置と異なり、処置は、栄養血管等の元のままの(破壊されていない)微小血管系に送達され得る。例えば、これらの方法は、放射線によって微小血管系を破壊することなく実施される。化学療法を含むがこれに限らない薬剤の動脈内送達は、固形腫瘍の処置において有効かつ安全であり得る。
[0046]例えば、本明細書に記載した処置の一部として、腫瘍に最も近い血管系(例えば動脈)の近位部および遠位部が、ダブルバルーンカテーテルを用いて隔離される。側枝および終枝は排除してよく、これにより薬物の流出が防止される。したがって区域内の栄養血管は薬剤を取り込み得る。隔離された動脈セグメントの中の両方の拡張可能な閉塞子/閉塞部材(例えばバルーン)の拡張(例えば膨張)に際して、管腔内圧は例えば間質のレベル(典型的には10~20mmHg)まで低下させることによって調節される。例えば化学療法薬物等の治療剤を、隔離された動脈セグメントに注入することができる。隔離された領域への化学療法薬物の注入は、大きな流出を伴わず、隔離された血管セグメントにおける管腔内圧を少なくとも約30mmHg上昇させ得る。圧力勾配は注入された薬剤を強制的に動脈壁に横断させて、周囲組織、特に血管壁の周囲の栄養血管に進入させ、続いて治療剤を組織中へ流入させる。
[0047]一部の実施形態では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Devices,methods and kits for delivery of therapeutic materials to a target artery」と題して2014年6月2日に出願し、現在米国特許第9,457,171号として発行されている米国特許出願第14/293,603号、および「Occlusion catheter system and methods of use」と題して2015年12月3日に出願した米国特許出願第14/958,428号に記載されているようなカテーテルデバイスを、本明細書に記載した手法とともに使用することができ、および/または使用のために適合させることができる。図1は、例としてのカテーテルデバイス100を図示する。カテーテルデバイス100は、第1の閉塞要素102および第2の閉塞要素104を含む。閉塞要素102、104は、閉塞要素102、104が配置された体腔(例えば動脈)を選択的に制限、ブロック、妨害、または他の方法で閉塞するように構成された任意の好適なデバイスまたは機構であってよい。例えば、一部の実施形態では、閉塞要素102、104は、潰れた(例えば収縮した)構成と拡張した(例えば膨張した)構成との間で遷移することができる膨張可能なバルーン等であってよい。第1の閉塞要素102は第1のカテーテルの遠位端部分と連結することができ、第2の閉塞要素104は第2のカテーテルの遠位端部分と連結することができる。あるいは、一部の実施形態では、第1の閉塞要素102と第2の閉塞要素104は、カテーテルに沿った異なる点で単一のカテーテルと連結することができる。カテーテルデバイス100は、第1の閉塞要素102と第2の閉塞要素104との間で画定される空間の中で体腔(例えば動脈)のセグメント120を隔離するために用いることができる。セグメント120が隔離された後、隔離されたセグメント120の中で、例えば治療剤を隔離されたセグメント120および周囲組織110に送達するステップ等の手技を実施することができる。
[0048]カテーテルデバイス100は2つの閉塞要素102、104を有するように図示されているが、本明細書で開示した方法で用いることができる他のカテーテルデバイスは、体腔の一部を隔離するための必要に応じて、単一の閉塞要素または2つを超える閉塞要素(例えば3つの閉塞要素)を含んでもよい。例えば、単一の閉塞要素を有するカテーテルデバイスを用いて、血管の閉塞端または終端の近傍または付近の血管の一部を隔離することができる。あるいは、3つ以上の閉塞要素を有するカテーテルデバイスを用いて、1つまたは複数の分枝に分割される血管のセグメントを隔離することができる。
[0049]本明細書に記載した方法および装置は、閉塞子(例えばバルーンまたは血管壁に対して作動する他のシール)に対しておよび閉塞子の間に印加される圧を厳密に規制し、流体を栄養血管へ駆動するために圧を加えることができる。これは、栄養血管および神経脈管が外部の機械的圧縮の影響を特に受けやすいからであり、これらの小血管に対する損傷は、障害および裂傷をもたらすことがある。さらに、栄養血管における裂傷は、大動脈解離をもたらす病的事象のカスケードを開始することがある。即ち、一般に、シールを形成するため(例えば血管壁に対して)およびシールされた領域の間で局所的に、これらの装置によって印加される圧を規制することは特に重要であり得る。一部の例では、「シール」するために血管壁に対して作用する圧は特に低く、栄養血管を損傷するリスクよりむしろ、いくらかの漏洩を許容することがある。例えば、壁に対するシール(例えば閉塞子)によって印加される圧はxmmHg未満であってよく、ここでxは10mmHg、15mmHg、20mmHg、25mmHg、30mmHg、35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、60mmHg、70mmHg、80mmHg、90mmHg、100mmHg、110mmHg、200mmHg、220mmHg、250mmHg、300mmHg、400mmHg、500mmHg、600mmHg、700mmHg、800mmHg、900mmHg、1000mmHg等である。
[0050]閉塞子の間に印加される圧はymmHg以下に限定してよい(例えば、yは10mmHg、15mmHg、20mmHg、25mmHg、30mmHg、35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、60mmHg、70mmHg、80mmHg、90mmHg、100mmHg、110mmHg、200mmHg、220mmHg、250mmHg、300mmHg、400mmHg、500mmHg、600mmHg、700mmHg、800mmHg、900mmHg、1000mmHg等であってよい)。一部の場合では、閉塞子の間に印加される相対圧および血管壁に対するシーリング閉塞子の圧は、一般にほぼ同じまたはそれ未満であってよい。
[0051]即ち、これらの装置のいずれも、一方または両方の閉塞子(例えばバルーン)の中の圧および/もしくは血管壁に対して閉塞子によって印加される圧をモニターするための1つまたは複数のセンサー、ならびに/または閉塞子の間の流体によって印加される圧を規制する1つまたは複数の圧レギュレーターを含み得る。
[0053]一部の例では、治療用のウイルス(例えば腫瘍溶解性ウイルス)および/またはナノ粒子(治療用ポリヌクレオチド、例えば治療用mRNAを送達するナノ粒子を含む)は、本明細書に記載したように、栄養血管の領域を通して局所的にかつ効率的に輸送することができる。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍に到達して細胞内で複製し、細胞を破壊するために、腫瘍内送達に依存して免疫による検出を回避し、続いて遠隔部位への全身的な活性化のために免疫系を活性化することが多い。残念なことに、腫瘍内送達は、大きな分布の変動を伴っている。さらに、膵がんでは、線維形成性組織の中に深く保持された腫瘍細胞がほとんどない。本明細書に記載した方法は、腫瘍溶解性ウイルスを送達するために用いられる。
[0054]一般に、腫瘍溶解性ウイルスは免疫チェックポイント阻害薬とともに与えられることも多く、この場合には肺臓炎、膵炎、および結腸炎に対する忍容性が制限的課題であった。以前の研究では、4種の種々のフィルターの試験によって4種全てのフィルターについて得られたウイルス回収率は25%未満であり、収率および産生物回収における膜の形態の重要性が強調された。圧も、最適の腫瘍溶解性ウイルスの送達において枢要な因子であることが示され、腫瘍溶解療法の腫瘍有効性は、腫瘍内の感染中心の密度および分布によって実質的に影響され、これはおそらく腫瘍微小血管内の透過性および血流によって影響される。以前の研究において研究者は、高い潅流圧による処置が低い潅流と比較して生存率の有意な増大をもたらすことを示した。本明細書に記載した手法は、これらの困難を回避し、本明細書に記載した方法および装置を用いて治療用ウイルス(例えば腫瘍溶解性ウイルス)を通過させることを可能にし得る。
[0055]本明細書に記載した方法および装置は、動脈壁を横断して外膜へ薬剤(例えば分子/薬物)を直接移送することを可能にする血管の「内部栄養血管」におけるチャネルに薬物を強制的に通過させ得る。図2は、管腔の閉塞および血管壁を横断して管腔内への染料の注入による(例えば経動脈微小潅流、即ちTAMPによる)、内部管腔から栄養血管に注入された青色色素の例を図示している。示したように、青色に染色された領域は、薬剤の標的された分布を示している(色で示す)。
[0056]図3A~図3Dは、血管中膜の中の最小浸透ビーズによる動脈壁を横断し栄養血管への本明細書に記載した手法(例えばTAMP)を用いる6nmの金ビーズの注入の電子顕微鏡イメージの例を示す。これは、移送の機構が、内膜-中膜を横断して外膜へのギャップ接合部を介する拡散より、むしろ外膜への直接の接続であることの証明である。図3Aでは、極めて少ない小さな散乱した金ナノ粒子201が、中膜のコラーゲンフィブリルの周囲に示されている。図3Bおよび図3Cでは、外膜の血管周囲空間に金ナノ粒子が示されている。図3Dでは、外膜の栄養血管の大きな血管の内部に金ナノ粒子が示されている。図3B、図3C、および図3Dに示す栄養血管内の粒子の分布、および栄養血管の一部ではない近傍組織の中に粒子が比較的存在しないことは、本明細書に記載した閉塞および圧の印加が、特に栄養血管を通して薬剤(例えば粒子)を送達しており、周囲組織全体にわたる薬剤の分布をもたらすと思われる拡散の結果ではないことを説明している。
[0057]図4Aは、材料(例えば本例ではマイクロフィル造影剤)の局所送達および記載した栄養血管を通した送達のための血管の一部(破線で示す)を閉塞するために閉塞デバイスが挿入される血管、例えば脾動脈505および上腸間膜動脈(SMA)507の領域を有する組織を示す例を説明する。図4Bは、組織全体を通したX線マイクロCTスキャン(例えば蛍光透視法を用いる)を示す。ダブルバルーンカテーテルを脾動脈に導入して膨張したバルーンで動脈セグメントを隔離し、続いてTAMPを用いてマイクロフィル造影剤を注入する(条件1)。同じ動物で、別のカテーテルを上腸間膜動脈(SMA)に導入し、動脈セグメントを隔離せずに同じ条件でマイクロフィルを注射した(TAMPなし動脈内-条件2)。
[0058]図5A~図5Cは、組織の領域の例を図示する。この場合には、図5Aに示すように、図5の脾動脈の周囲の組織の切除した切片を示し、この中に、図1に示すようなデバイスを、十分な密度の栄養血管を含む領域に挿入する。図5Aは組織領域(ブタ組織モデル由来)を示し、図5Bは、条件1でマイクロフィルを注射した後の「脾」動脈520の3D化したマイクロCTイメージ(5C)を示す。この例では、注射液のマイクロフィル染料(青色染料として示す)を、脾動脈の領域を閉塞した後で組織内に挿入し、示すように造影した。造影材料は血管から栄養血管を通過し、拡散律速でなく、またはギャップ接合に依存しない様式で、しかしその代わりに、栄養血管を通過して近傍の組織領域へ顕著な送達が提供された。充填された栄養血管は微細構造522、522’で示し、リザーバー領域522は造影材料によって標識している。
[0059]図5A~図5Cに示す例は、図6A~図6Bに示す血管が局所的に閉塞されていない例とは極めて異なっている。この例では、同様の組織領域(図6A~図6B)が処置されるが、血管の両方の領域の閉塞および材料の駆動がない。この例では造影材料は栄養血管を通しての注射による(条件2)。図6Bに示すように、造影材料は血管本体620、620’に限定されているが、栄養血管および近傍組織は実質的に存在しない。
[0060]一般に、本明細書に記載した方法および装置は、内部栄養血管(管腔内空間に起源する)を動員することによって、血管壁を横断して周囲組織へ薬剤(例えば薬物)を送達するために使用し得る。血管は通常、本明細書における使用のために記載した方法および装置で用いる指令において円周方向の圧を受けず、その代わりに長さ方向の圧(および流れ)を受けるが、これらの方法および装置は、標的化された円周方向の圧(例えば力)をもたらし、これがこれらの微小血管を動員して、薬剤を周囲組織に導入することができる。これは図3A~図3D、図4A~図4B、図5A~図5B、および図6A~図6Bに記載したように実験的に説明した。この中で、動脈内の造影剤の正常な層流は、栄養血管を通しての薬剤の通過をほとんどまたは全くもたらさなかった(例えば図6Bを参照)。
[0061]述べたように、本明細書に記載した方法および装置のいずれにおいても、装置は、血管に連続した栄養血管を確認、定量、および/またはモニターするために、イメージングセンサーを含み得る。例えば、これらの装置のいずれも、近傍組織において光コヒーレンストモグラフィー(OCT)を実施するための光センサーを含み得る。OCTは、血管壁を(造影剤とともにまたは造影剤なしで)撮像して元のままの栄養血管の存在を検出または確認するために用いられる。一部の例では、装置は、栄養血管を検出するための1つまたは複数の超音波センサーを含み得る。
[0062]これらの方法および装置は、腫瘍を処置するために構成される。例えば、がん性腫瘍を含む腫瘍の処置のための装置(例えばシステム、デバイス等)および方法が本明細書に記載される。
[0063]本明細書に記載した装置(例えば図1参照)のチャネルを通しての栄養血管の局所的調節のための1つまたは複数の薬剤の使用に加えてまたはその代わりに、これらの方法および装置のいずれも、一般に微小血管系を調節する処置または療法、例えば放射線療法とともに用いられる。即ち、固形腫瘍を含む区域を標的とする放射線療法のコースを用いてよく、区域内の微小血管系を調節してよい。これらの方法および装置は、放射線療法に続いて本明細書に記載したように用いられる。例えば、1つまたは複数の化学療法剤の用量が、その中で動脈セクションが栄養血管を含む固形腫瘍の付近の隔離された動脈セクションに送達される。
[0064]例えば、これらの方法は、標的された放射線の線量を、固形腫瘍を含む区域に施行するステップ、および例えば腫瘍に最も近い動脈セグメントを隔離することによってがん性腫瘍を含む区域を隔離するステップ、および局在化された治療有効用量の化学療法剤を、栄養血管を通して所定の時間内に(例えば微小血管系が縮小され得る前に)投与するステップを含み得る。これらの方法および装置は栄養血管を標的とし得るので、これらは、例えば以前考えられていたようにギャップ接合を通しての拡散に依拠するよりむしろ、薬物またはその他の薬剤を能動的に通過させ得る。これにより、著しく大きな薬剤、ならびに荷電または非荷電(または荷電と非荷電のある種の組合せ)である薬剤が可能になり得る。
[0065]本方法は、固形腫瘍を含む区域に放射線療法のコースを施行するステップ、腫瘍に最も近い血管系の近位部および遠位部を隔離して、隔離された動脈セグメントを産生するステップ、隔離された動脈セグメントの管腔内圧を間質のレベルに低下させるステップ、および治療有効用量の化学療法剤を、栄養血管を通して投与するステップを含み得る。
[0066]一部の例では、本方法は、腫瘍を含む標的区域に放射線療法を送達するステップ、ならびに第1の閉塞部材、第2の閉塞部材、および注入ポートと流体連通している管腔を画定する本体を含むカテーテルデバイスを動脈に挿入するステップを含む。注入ポートは、第1の閉塞部材と第2の閉塞部材との間に配置されている。カテーテルは、栄養血管が多い血管または血管領域を標的とした後で位置決めされる。第1の閉塞部材および第2の閉塞部材は、栄養血管が十分に富化されている標的区域に最も近く配置された動脈の区域に移動させられる。第1の閉塞部材と第2の閉塞部材は、標的区域に最も近く配置された動脈の区域を隔離するように配置される。次いで化学療法剤の用量が、管腔および注入ポートを介して動脈の隔離された区域に送達される。化学療法剤は、動脈の隔離された区域から栄養血管を通して、腫瘍を含む標的区域へ浸透する。
[0067]一部の実施形態では、本方法は、腫瘍を含む標的区域に放射線の線量を施行するステップ、第1の閉塞子および第2の閉塞子を含むカテーテルデバイスを血管に挿入するステップ、第1の閉塞子および第2の閉塞子を用いて標的区域に最も近い血管のセグメントを隔離するステップ、ならびにカテーテルデバイスを介してセグメントに薬剤の用量を送達するステップを含む。
[0068]一部の実施形態では、本方法は、腫瘍を含む標的区域に放射線の線量を施行するステップ、標的区域に最も近い血管のセグメントを隔離するステップ、セグメントの管腔内圧を、血管と標的区域との間の間質空間の圧のレベルに調節するステップ、およびカテーテルデバイスを介して薬剤の用量をセグメントに送達するステップを含む。
[0069]一般に、本明細書に記載した方法は、組織(腫瘍組織を含む)を放射線で前処理して微小血管系を改変してよく、それにより、適用した化学療法薬の流出を制限または防止し得る。あるいは、これらの方法のいずれも、最初に放射線を照射せずに用いてよく、または照射の後、十分に早く(またはこれと並行して)実施してよく、それにより、栄養血管は療法を施行する前は元のままである。本方法は、栄養血管(例えば微小血管系)が十分に元のままである間に実施してよい。これらの方法のいずれも、標的組織またはその周囲における血管系の側枝をブロックまたは他の方法で排除するステップをさらに含み得る。例えば、側枝を排除するために1つまたは複数のコイルが用いられる。一部の例では、糊またはシーラントが用いられる。
[0070]放射線の照射は標的組織に対して局所的であってよい。例えば、局所照射カテーテルが用いられる。述べたように、放射線は、栄養血管を通しての薬剤の送達と同時にまたはその後に送達される。
[0071]あるいはまたはさらに、微小血管系の拡張を含む他の微小血管系の改質手法が用いられる。例えば、ニトログリセリンを含むがこれに限らない1つまたは複数の薬物が用いられる。
[0072](例えば放射線処置の後の)縮小および/または阻害が起こる前に微小血管系を通して送達することを含み得る、標的組織(腫瘍の組織および/または腫瘍を取り囲む組織を含む)における微小血管系の機能の調節の後、標的組織の中またはその近傍の管腔(動脈血管系および静脈血管系等の血管系を含むがそれに限らない)の中の2つ以上の閉塞子を用いることによって、薬剤(例えば化学療法剤)を標的組織に適用してよく、それにより、化学療法剤は、例えば制御された圧の下で、標的組織に局所的に適用される。
[0073]実際上いずれの腫瘍組織も、本明細書に記載したように処置される。2つ以上の閉塞子を含む装置は、標的腫瘍の中または近傍の任意の適切な管腔において用いられる。これらの装置は一般に、カテーテルデバイスと称される。例えば、本明細書に記載した方法は、治療剤(例えば化学療法剤)の送達のための2つ以上の閉塞子を含む装置を用いるステップを含み得る。薬剤は、それらに限らないが、胃-十二指腸動脈、肺動脈、固有肝動脈または左もしくは右の肝動脈、上腸間膜動脈、腹腔動脈、下膀胱動脈、中直腸動脈、内陰部動脈、肺動脈(およびその副分枝)、子宮動脈、膀胱の動脈(例えば内腸骨動脈の上膀胱分枝、下膀胱動脈、膣動脈、閉鎖筋および下臀の動脈)、腸間膜動脈、腸骨動脈(およびその副分枝)、および/または内頸動脈(およびその副分枝)等の動脈を含む標的管腔で用いられる。本明細書に記載した方法は、それだけに限らないが、静脈、気管支腔、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、結腸、直腸等)の管腔、胆管の管腔(例えば胆道および膵臓)、尿道、卵管等の標的管腔に治療剤(例えば化学療法剤)を送達するための本明細書に記載した2つ以上の閉塞子を含む装置を用いるステップも含み得る。
[0074]小分子化学療法剤、免疫化学療法剤、幹細胞、ホルモン、粒子(ナノ粒子、ミクロ粒子等)、およびこれらの組合せを含むが、それらに限らない、任意の適切な化学療法剤が用いられる。例えば、化学療法剤は、パクリタキセル、アブラキサン、エベロリムス、エルロチニブ塩酸、フルオロウラシル、イリノテカン塩酸、オラパリブ、マイトマイシン、イリノテカン塩酸リポソーム、スニチニブマレート、ランレオチドアセテート、およびルテチウムLu 177-ドタテートの1つまたは複数(組合せを含む)を含み得る。組合せの例は、それだけに限らないが、フォルフィリノクス(ロイコボリンカルシウム(ホリニン酸)-フルオロウラシル-イリノテカン塩酸-オキサリプラチン)、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、およびOFF(オキサリプラチン-フルオロウラシル-ロイコボリンカルシウム(ホリニン酸))を含む。その他の化学療法剤は、アルキル化剤、ニトロソウレア類、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害薬、有糸分裂阻害薬、コルチコステロイド、全トランスレチノイン酸、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、エリブリン、ヒドロキシウレア、イキサベピロン、ミトタン、オマセタキシン、ペグアスパラガーゼ、プロカルバジン、ロミデプシン、ボリノスタット、全トランスレチノイン酸、シスプラチン、エントレクチニブ、ラロトレクチニブサルフェート、ニトロソウレア、ペムブロリズマブ、テモゾロミド、カルムスチン、ベバシズマブ、ナキシタマブ、およびロムスチンの1つまたは複数(組合せを含む)を含み得る。
[0075]その他の化学療法剤は、腫瘍抗原、免疫療法剤、免疫調節剤(例えばサリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド等)、幹細胞、放射線療法粒子、ステロイド、ホルモン、凝固剤、硬化薬(例えばドキシサイクリン、チオテパ、ブレオマイシン、ミノサイクリン、5-フルオロウラシル等)、架橋剤等の1つまたは複数(組合せを含む)を含み得る。
[0076]上記の薬剤のいずれも、互いの組合せおよび/または蛍光透視可視化のための造影媒体との組合せで使用される。
[0077]実際上、本明細書に記載した方法は、本明細書に記載した装置のいずれかを用いて標的組織の中またはその直近の管腔を隔離するステップを含み得る。これらの装置は一般に、管腔を閉塞して管腔の中/外への流れを防止し、流体および/または薬剤(例えば化学療法剤)等の材料を2つ以上の閉塞子によってブロックされた管腔の部分に適用することによって管腔内の圧を局所的に制御することを可能にする2つ(または一部の例ではそれ以上、例えば3つ、4つ等)の閉塞子を含み得る。閉塞子は、閉塞子の間の間隔を含んで調節可能であってよい。
[0078]1つの非限定的な例では、本方法は、一対の閉塞子(例えば一例では一対のバルーン閉塞子)で動脈セグメント等の管腔セグメントを隔離し、閉塞子の間の長さを調節するステップを含み得る。隔離されたセグメント(例えば隔離された動脈セグメント)は次に、制御された圧で制御された時間、薬剤を含む流体によって満たされ、微小血管系が阻害される前に栄養血管を通して標的組織に薬剤が送達される。
[0079]あるいはまたはさらに、本明細書に記載した一部の例では、これらの方法のいずれかによる使用のための装置は、2つ以上の閉塞子の間の固定された距離を含み得る。装置は、2つ(またはそれ以上)の閉塞子の間の特定された長さをそれぞれ有する様々な装置から選択される。ユーザー(例えば医師)は、解剖学に基づいて適切な大きさを選択してよく、これは、CTスキャン、超音波、蛍光透視法、MRI、X線、または当技術で公知のその他の撮像手段を用いて、手技の前またはその間に可視化される。
[0080]一般に、閉塞子は、これが配置されたときに管腔をシールして、管腔の中の閉塞子を通過する流体の流れを防止する拡張可能な構造(フレーム、バルーン等)である。閉塞子は、拡張して管腔を閉塞する(および1つの部位でこれをシールする)配置された構成、および閉塞子が潰れて小さな輪郭になる送達用の構成を有し得る。閉塞子の例は、それだけに限らないが、バルーン、アンブレラ、シーリング膜を支持し得る拡張可能なフレームまたはメッシュ等を含む。例えば、閉塞子は拡張可能なパラシュート構造および/または拡張可能なアンブレラとして構成される。一部の例では、閉塞子は、いったん配置されれば、拡張したステント(非透過性または半透過性のコーティングによって完全にまたは部分的に覆われた)を通しての材料(血液等の流体等)の流れを防止するステント本体の中の1つまたは複数の膜を有する拡張可能なステントである。一部の場合には、閉塞子は、シーリング膜を支持する拡張可能な(例えばニチノール、ステンレススチール等の)フレームを含む。シーリング膜はポリマー材料であってよい。
[0081]これらの装置(およびこれらを用いる方法)のいずれも、圧モニタリングを含み得る。特に、閉塞子の間の圧がモニターされる。圧モニタリングは、閉塞子の間の領域への1つまたは複数の開口部と流体連通した、装置のハンドルに位置決めされた1つまたは複数の圧センサーを用いるインラインモニタリングを含んでよく、したがって管腔の隔離された領域内の圧を検出することができる。閉塞子の全部または一部の中、特に流体圧によって拡張した閉塞子の中の圧を決定するために、1つまたは複数のさらなる圧センサーが用いられる。管腔の隔離された領域内の流体圧は、(例えば装置のコントローラーを用いて)推定され、および/または表示され、保存され、無線通信を含んで通信され、および/または管腔の隔離された領域内の圧を制御するためのフィードバックとして使用される。例えば、隔離された領域の圧は、例えば閉塞子の間の装置の中の1つまたは複数の開口部から本明細書に記載した薬剤のいずれかを含む流体を追加および/または除去することによって、所定の範囲内に維持される。
[0082]本明細書に記載した装置のいずれも、ワイヤ(例えばガイドワイヤ)のための管腔を含み、それにより、装置はガイドワイヤを通して送達される。ワイヤ管腔は、潤滑性の材料、例えば潤滑性材料のコーティングまたはスリーブ等を含み得る。例えば、これらの装置のいずれも、ワイヤ管腔の中に潤滑性のライナーを含み得る。一部の例では、装置は、装置の遠位端領域における迅速交換ワイヤチャネル領域を含む迅速交換および/またはモノレール装置として構成される。迅速交換領域は、閉塞子の遠位であってよく、閉塞子にわたってもよい。
[0083]これらの装置は、装置の全部または一部に、1つまたは複数の構造補強材、例えばブレード、コイル等を含み得る。例えば、閉塞子は補強された領域を含み得る。装置を形成するカテーテルは補強される(例えば、カテーテルの押し出しはブレード、コイル等を含む補強されたカテーテル押し出しであってよい)。
[0084]これらの装置のいずれも、体内における装置の位置を可視化するための1つまたは複数のマーカーを含み得る。例えば、装置は、装置の挿入、操作、および/または除去の間に装置を可視化するための1つまたは複数の放射線不透過性マーカーを含み得る。一部の例では、1つまたは複数の放射線不透過性マーカーは、閉塞子のそれぞれの上または近傍に位置決めされ、それにより、管腔の隔離された領域の位置および全長の表示が得られる。1つまたは複数のマーカーは、この領域の外側に位置決めされる(例えば、第3のマーカーが近位の閉塞子の近位に固定されてもよい)。マーカーは、放射線不透過(例えば蛍光透視撮像)、超音波マーカー(超音波撮像)等を含む任意の適切な可視化のためのマーカーを含み得る。
[0085]一部の例では、管腔の領域を隔離する方法は、分岐を含むかその近傍の管腔の領域を隔離する方法を含み得る。例えば一部の例では、本方法は、管腔の分岐領域内の閉塞子、分岐部で閉塞するように十分に適合した形状の閉塞子、分岐部のそれぞれの枝を個別に閉塞することができる分岐した閉塞子、または分岐部(および必要に応じて他の枝状血管)のそれぞれの枝を閉塞する2つ以上の独立した閉塞子を拡張するステップを含み得る。
[0086]本発明の他の目的は、以下の明細書および特許請求の範囲を読むことによって、当業者には明らかであろう。本明細書に記載した方法および装置の全ては本明細書において任意の組合せで意図されており、本明細書に記載した利点を達成するために用いることができる。
[0087]本開示は特定の方法論または記載した特定の組成物に限定されない。本出願の範囲は、添付した特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ限定されることになるので、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記述する目的のためのみであって、限定することを意図していないことも理解される。
[0088]他に定義しない限り、本明細書で用いる技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本出願の実施または試験において本明細書に記載したものと類似のまたは等価の任意の方法および材料を用いることができるが、好ましい方法および材料をここに記載する。
[0089]本明細書および添付した特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。即ち、例えば、用語「化学療法薬」は、単一の化学療法薬または化学療法薬の組合せを意味することを意図しており、「1コースの放射線療法」は、1つまたは複数の放射線療法のコース、またはそれらの組合せを意味することを意図しており、用語「薬剤」は、単一の薬剤または薬剤の組合せを意味することを意図している、等々である。
[0090]本開示に従って利用する場合、以下の用語は、他に指示しない限り、以下の意味を有すると理解されたい。
[0091]単語「近位」および「遠位」は、それぞれ、医用デバイスを患者に挿入する操作者(例えば外科医、医師、看護師、技師等)に近い方向および遠い方向を指し、デバイスの先端(即ち遠位端)が最初に患者の体内に挿入される。即ち、例えば、患者の体内に最初に挿入されるインプラントの端部がインプラントの遠位端となり、患者の体内に最後に入るインプラントの端部がインプラントの近位端となる。
[0092]がん性腫瘍を(の)「処置する」、「処置すること」、および「処置」は、がんの症状の頻度を低減すること(症状を完全に排除することを含む)、がんの発症を回避すること、および/またはがんの症状の重症度を低減することを指す。
[0093]「治療有効量」および「治療有効用量」は、がん性腫瘍を処置するために患者に投与した場合、そのような処置の効果を発揮させるために十分な化合物の量または投薬量を意味する。「治療有効量」または「治療有効用量」は、例えば化合物、腫瘍の大きさ、および処置される患者の年齢、体重等に応じて変動することになる。
[0094]1つまたは複数の腫瘍の周囲のまたは体腔(例えば動脈、静脈、または他の任意の体腔)と腫瘍の間の微小血管系を縮小、阻害、または抑制することなく(またはその前に)、栄養血管を含む隔離された血管領域を通して治療剤を適用することによって、固形腫瘍(がん性腫瘍を含む)を処置または改善するための方法も本明細書に記載される。一部の場合には、微小血管系(例えば栄養血管)の存在が確認されれば、例えばセグメントの端部を閉塞することによって体腔の領域(「セグメント」)を隔離し、圧の下に1つまたは複数の化学療法剤をセグメント内に適用し、それにより、不必要に組織を破壊することなく、1つまたは複数の腫瘍に化学療法剤を効果的に送達することができる。一部の場合には、微小血管系は、1つまたは複数の腫瘍を含み、かつ栄養血管を含む区域(「標的組織領域」)に最初におよび/または同時に投与されるニトログリセリン等(それに限らないが)の血管拡張剤によって処置される。治療有効量の薬剤は、栄養血管を通して、固形腫瘍付近の管腔の隔離されたセクションに局所的に投与される。一部の例では、管腔は動脈であってよい。セクション(例えば動脈のセクション)の隔離は、腫瘍に最も近い微小血管系の近位部および遠位部を隔離することによって達成され、それにより、管腔内圧は間質の(または一部の場合にはそれより高い)レベルにまで低下される。次いで治療有効用量の薬剤が、血管から栄養血管を通した注入を介して投与される。即ち、一部の例では、放射線療法と栄養血管を通した薬剤の投与の組合せが、組み合わせた場合に相乗的な臨床効果を有することがある。
[0095]TACおよびTACEを含む化学療法の動脈内送達はある種の固形腫瘍の処置において有効かつ安全であることが示されたが、効果的なTACまたはTACEのための前提条件は、近傍の動脈血管、より一般的には腫瘍それ自体に栄養を供給する血管の選択的な関与である。栄養供給血管または分枝血管の正確な関与は、膵臓腺癌を含むがそれに限らない固形腫瘍における経動脈化学送達(TAC)または経動脈化学塞栓(TACE)の使用を拡張するための主要な制限として残っている。腫瘍または関連の組織に供給する動脈の隔離は、いくつかの理由によって技術的に困難であり得る。例えば、a)これらの特定の臓器に供給する専用の単一の血管がない臓器がある。b)動脈の側枝および終枝が目的の区域を超えた組織および臓器に側副血流を生じることがある。c)腫瘍供給血管が血管造影による検出には小さすぎることがある。d)供給分枝/動脈が挿管できない。
[0096]これらの問題に対処するため、本明細書に開示した方法は、近傍の管腔と腫瘍との間の組織の領域における微小血管系がそのままであることおよび/または十分に密であることを確認した後で療法を施行することを含み得る。治療の後、腫瘍に最も近い管腔(例えば動脈、静脈等の血管系)の近位部および遠位部が、ダブルバルーンカテーテル等の2つ以上の閉塞子を有する装置を用いて隔離される。側枝と終枝の両方が排除され、それにより、薬物の流出が防止される。区域中の組織の中の微小血管系の縮小も、薬物の流出を低減させる。隔離された管腔セグメントにおける例えば両方のバルーンの膨張による閉塞子の拡張に際して、管腔内圧は間質のレベル(典型的には約10~20mmHg)を超えて増大し得る。例えば化学療法薬物等の治療剤を、元のままの栄養血管を通して隔離された動脈セグメントに注入することができる。隔離された領域における薬剤(例えば化学療法薬物)の注入は、大きな流出をなんら伴わず、隔離された管腔セグメントにおける管腔内圧を少なくとも約30mmHg上昇させ得る。圧力勾配は注入された薬剤を強制的に血管壁の周囲の栄養血管を通過させ、続いて治療剤を組織中に流入させる。本方法は動脈に限定されず、実質的にいずれの管腔でも用いられるが、便宜上、この手法を、栄養血管を通した「経動脈微小潅流」、即ちTAMPと称してよい。
[0097]治療剤(例えば薬物)は、栄養血管を通して管腔壁(例えば動脈、内皮、および中膜における)を横断し得る。達成される間質内濃度は、栄養血管の状態および印加した圧、例えば閉塞子(例えば一部の例ではバルーン)の間で達成された管腔内圧、管腔内薬物濃度、および注入の経過時間に依存し得る。これらのパラメーターを変化させることによって、薬物の流入および間質内濃度を変化させることができる。
[0098]一部の実施形態では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Devices,methods and kits for delivery of therapeutic materials to a target artery」と題して2014年6月2日に出願し、現在米国特許第9,457,171号として発行されている米国特許出願第14/293,603号、および「Occlusion catheter system and methods of use」と題して2015年12月3日に出願した米国特許出願第14/958,428号に記載されているようなカテーテルデバイスを、本明細書に記載した手法とともに使用することができ、および/または使用のために適合させることができる。
[0099]上記の手法と組み合わせて、薬物の組織からの流出を減少させることができれば、体腔の隔離されたセグメント付近の薬物濃度は、有利に増加させられる。腫瘍がこの領域に位置している場合には、濃度の増加によって腫瘍に対する化学療法薬物の効果を増大させることができる。
[0100]本明細書に記載した方法は、腫瘍が隔離できる体腔(例えば動脈)によって提供されるそれ自体または近接した血液供給を有する、身体の任意の臓器から生じる固形がん性腫瘍を処置するために用いることができる。本明細書に記載した方法を用いて処置することができるがんの例としては、それだけに限らないが、膵がん、肺がん、肝がん、子宮がん、結腸がん、または脳がんがある。
[0101]例えば、本明細書に記載した装置および方法は、患者の組織の中の標的とした領域を隔離して腫瘍を処置するために用いることができる。そのような腫瘍は、それだけに限らないが、膵臓腫瘍、肺腫瘍、脳腫瘍、肝腫瘍、子宮腫瘍、および結腸腫瘍を含む。例えば、肺腫瘍を処置する場合、これらの方法は、本明細書に記載した方法を肺動脈の中で実施することを含み得る。これらの方法は、胃-十二指腸動脈でこの方法を実施することを含み得る。脳を処置する場合には、本方法は、処置すべき内頸動脈領域が十分な栄養血管ならびに/または前大脳動脈および/もしくは中大脳動脈を含んでいることを必要に応じて確認することを含み得る。一部の例では、これらの方法は、椎骨動脈で実施される。
[0102]一部の実施形態では、がん性腫瘍を処置する方法は、第1に固形がん性腫瘍を含む組織を標的とする放射線療法のコースを施行するステップ、第2に(または同時に)放射線の影響が完全になる(例えば血管系に対する放射線の破壊効果が生じる)前に栄養血管を通して薬剤を通過させるように処置するステップ、および第3に固形腫瘍の付近の体腔の隔離されたセクションに治療有効用量の化学療法剤を投与するステップを含み得る。標的とされる固形腫瘍は、例えば膵臓腫瘍、肺腫瘍、脳腫瘍、肝腫瘍、子宮腫瘍、結腸腫瘍、または実質的に任意の他の型の腫瘍であってよい。標的とされる組織の区域への放射線の施行は、例えば、ほぼ1~25のセッションでほぼ1~5週にわたってほぼ20~50Gyの放射線を送達するステップを含み得る。放射線療法の施行と化学療法剤の投与との間の間隔は、腫瘍の周囲の組織の血管減少を最小にするように選択することができる。放射線の特定のコースおよび特定の組織区域または臓器を含む種々の因子に応じて、この期間は、例えばほぼ数分、数時間、または数日以内であってよい。好適な化学療法剤の例は、ドキソルビシン、エルロチニブ塩酸、エベロリムス、5-FU、フルオロウラシル、フォルフィリノックス、ゲムシタビン塩酸、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、イリノテカン塩酸リポソーム、ロイコボリン、マイトマイシンC、ミトジトレックス、ムタマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、もしくはスニチナブマレート、またはこれらの薬物の組合せを含む。一部の実施形態では、がん性腫瘍の付近の体腔のセクションは、化学療法剤を送達するカテーテルデバイスの使用によって隔離することができる。一部の実施形態では、カテーテルデバイスを用いて、体腔の隔離されたセクションの管腔内圧を増大させ、組織への浸透を増大させることができる。好適な化学療法剤の例は、ドキソルビシン、エルロチニブ塩酸、エベロリムス、5-FU、フルオロウラシル、フォルフィリノックス、ゲムシタビン塩酸、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、イリノテカン塩酸リポソーム、ロイコボリン、マイトマイシンC、ミトジトレックス、ムタマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、もしくはスニチナブマレート、またはこれらの薬物の組合せを含む。
[0103]これらの方法および装置のいずれにおいても、周囲区域を可視化して、栄養血管がそのままであり、十分に密であることを決定することができる。例えば、注入ポートを通して造影剤を注射することによっても、隔離された区域に余分な血管または体腔が含まれていないことを保証することができる。所望であれば、カテーテルを移動させ、カテーテルが正しく位置決めされていることを臨床医が確認できるまで手技を繰り返してよい。カテーテルの位置決めが確認された後、注入ポートを通して治療用細胞/生物製剤/薬剤を隔離されたセグメントに導入することができる。
[0104]放射線の使用は、そうでなければ微小血管系を縮小させることがあり、したがって、本明細書に記載した方法を用いてこの区域に薬剤を送達する場合、微小血管系を縮小させる放射線の効果に先立って本方法を実施することが有益であろう。放射線処置の後で、微小血管系の接続の数(例えば隔離されたセクションから静脈系へ延びる微小血管)。
放射線療法
[0105]本明細書に記載した方法において、放射線療法は、例えば、X線、ガンマ線、陽子ビーム、またはその他の適切な線源によって送達される外部ビーム放射線療法を含み得る。放射線療法は、細胞がどのように増殖および分裂するかを制御する遺伝物質を破壊することによって、細胞を損傷する。健常な細胞とがん細胞の両方が放射線療法によって損傷されるが、放射線療法の目的は、正常で健康な細胞の破壊をできるだけ少なくすることである。本明細書に記載した放射線療法は、処置される固形腫瘍または固形腫瘍を密に取り巻く組織にできるだけ狭く標的化することができる。
[0106]典型的には、放射線処置計画は、患者の腫瘍およびその周囲の正常区域の位置を示す詳細な撮像スキャンに基づいて、患者について個別化される。身体の様々な部分における正常組織が安全に受けられる放射線量は、当業者には公知である。コンピューター断層撮影(CT)スキャンが最もしばしば採用されるが、磁気共鳴撮像(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)、および超音波スキャンも用いられる。放射線腫瘍医は、処置される正確な区域、腫瘍に送達される全放射線量、腫瘍周囲の正常組織に許される線量、および放射線送達の最も安全な角度(経路)を決定する。がんの処置のための放射線量はGyで測定される。これはヒト組織1kgによって吸収される放射線エネルギー量の尺度である。様々な型のがん細胞を殺滅するために、様々な放射線量が必要である。患者は、数週間の経過にわたる毎日の処置セッションにおいて外部ビーム放射線療法を受けることができる。処置セッションの数は、与えられる全放射線量を含む多くの因子に依存する。例えば、計画された全放射線量の一部を構成する1つの線量が毎日与えられる。異なる場合には、1日に2回の処置が与えられる。
[0107]当業者には認識されるように、本発明の方法における使用のために適した放射線療法のコースは、処置される特定のがん性腫瘍に依存することになる。放射線の特定の線量、照射の継続期間、および任意の特定の個人への処置の回数は、がんの型、腫瘍の大きさ、ならびに患者の年齢および例えば過去に受けた放射線量を含む病歴を含む種々の因子に依存することになる。同時進行中の化学療法も、与えられる放射線量に影響し得る。
[0108]例えば膵がんを処置する場合、放射線療法のコースは、ほぼ1~5週にわたるほぼ1~25回の処置でのほぼ20~50Gyの放射線の送達であってよい。あるいは、ほぼ1週間の期間にわたって2~5のセッションの照射を与えてよい。ある種の型のがんについては、送達される放射線療法の量は1Gyと低くてよい。好ましい実施形態では、放射線療法のコースは、ほぼ4~5週にわたるほぼ22~25回の処置でのほぼ40~50Gyの放射線の送達であってよい。
[0109]本明細書に記載した方法において、放射線療法を施行した後、元のまままたは比較的元のままの栄養血管を通して治療剤が送達される間、腫瘍組織が死滅する(例えばネクローシスする)ことができるように、医師は同時にまたは直ちに化学療法を送達する。
化学療法薬
[0110]具体的な化学療法薬は、処置すべき特定の固形腫瘍に基づいて選択してよい。例えば、以下の化学療法剤およびその他が、膵がんの処置において用いられる。ドキソルビシン、エルロチニブ塩酸、エベロリムス、5-FU、フルオロウラシル、フォルフィリノックス、ゲムシタビン塩酸、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、イリノテカン塩酸リポソーム、ロイコボリン、マイトマイシンC、ミトジトレックス、ムタマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、またはスニチナブマレート。一部の実施形態では、薬剤の組合せが採用される。例えば、膵がんを処置する場合、ゲムシタビン塩酸(Gemzar(登録商標))とパクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤(Abraxane(登録商標))の組合せが用いられる。
[0111]一般に、小分子化学療法剤、免疫化学療法剤、幹細胞、ホルモン、粒子(ナノ粒子、ミクロ粒子等)、およびこれらの組合せを含むが、それらに限らない、任意の適切な化学療法剤が用いられる。例えば、既に上記したものに加えて、化学療法剤は、パクリタキセル、アブラキサン、エベロリムス、エルロチニブ塩酸、フルオロウラシル、イリノテカン塩酸、オラパリブ、マイトマイシン、イリノテカン塩酸リポソーム、スニチニブマレート、ランレオチドアセテート、およびルテチウムLu 177-ドタテートの1つまたは複数(組合せを含む)を含み得る。組合せの例は、それだけに限らないが、フォルフィリノクス(ロイコボリンカルシウム(ホリニン酸)-フルオロウラシル-イリノテカン塩酸-オキサリプラチン)、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、およびOFF(オキサリプラチン-フルオロウラシル-ロイコボリンカルシウム(ホリニン酸))を含む。その他の化学療法剤は、アルキル化剤、ニトロソウレア類、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害薬、有糸分裂阻害薬、コルチコステロイド、全トランスレチノイン酸、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、エリブリン、ヒドロキシウレア、イキサベピロン、ミトタン、オマセタキシン、ペグアスパラガーゼ、プロカルバジン、ロミデプシン、ボリノスタット、全トランスレチノイン酸、シスプラチン、エントレクチニブ、ラロトレクチニブサルフェート、ニトロソウレア、ペムブロリズマブ、テモゾロミド、カルムスチン、ベバシズマブ、ナキシタマブ、およびロムスチンの1つまたは複数(組合せを含む)を含み得る。
[0112]その他の化学療法剤は、腫瘍抗原、免疫療法剤、免疫調節剤(例えばサリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド等)、幹細胞、放射線療法粒子、ステロイド、ホルモン、凝固剤、硬化薬(例えばドキシサイクリン、チオテパ、ブレオマイシン、ミノサイクリン、5-フルオロウラシル等)、架橋剤等の1つまたは複数(組合せを含む)を含み得る。
[0113]上記の薬剤のいずれも、互いの組合せおよび/または蛍光透視可視化のための造影媒体との組合せで使用される。
[0114]上記の化学療法剤は、ヒトへの使用のためにそのような薬剤について提供の許可を得た種々の供給源から入手可能である。非独占の化学療法薬のジェネリックな製剤は、典型的には種々のメーカーから入手可能である。これらの許可を得た供給業者のリストは、米国食品医薬品局の、一般に「オレンジブック」として知られている「Approved Drug Products with Therapeutic Evaluations」から入手可能である(http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/ob/)。独占的な化学療法薬は、典型的にはこれもオレンジブックで特定可能な1つのメーカーから入手可能である。例えば、Gemzar(登録商標)の企業供給元はEli Lilly and Company(Indianapolis、Ind.)であり、Celgene Corporation(Summit、N.J.)はAbraxane(登録商標)を供給している。
[0115]本明細書に記載した方法は、腫瘍の処置において治療に有効であることが知られている量の化学療法剤を用いることができる。例えば、用いられる化学療法剤の量は、特定の化学療法薬物についての処方情報に基づいてよい。医師は、化学療法剤の量を、本明細書に記載した手法による使用のために適切な量に調節することができる。
装置
[0116]一部の例では、本明細書に記載した方法を実施する使用のための装置は、カテーテルデバイスまたはシステムを含み得る。一部の例では、本明細書に記載した方法は、例えば2つ以上の閉塞子を含むデバイス、一部の例ではダブル閉塞バルーンデバイス等のカテーテルデバイスを用いて、体腔(例えば動脈)のセグメントを隔離し、閉塞子が膨張した後で、閉塞子の間の隔離されたセグメントの中に治療剤(例えば化学療法薬物)を注入することができる。例えば、本明細書で開示した方法では、参照により本明細書に組み込まれる、「Devices,methods and kits for delivery of therapeutic materials to a target artery」と題して2014年6月2日に出願し、現在米国特許第9,457,171号として発行されている米国特許出願第14/293,603号、および「Occlusion catheter system and methods of use」と題して2015年12月3日に出願した米国特許出願第14/958,428号に記載されているようなカテーテルデバイスを用いてもよい。簡単に述べれば、固形腫瘍付近の体腔のセクションを隔離するために適したカテーテルデバイスは、それだけに限らないが、例えば、(1)治療剤を固形腫瘍に標的送達するための動脈の部分の標的部分の選択的隔離、(2)第1にがん組織に栄養を供給している動脈の分枝の起点の直接可視化を可能にするための隔離されたセグメントへの造影剤の注射および第2に化学療法薬物の導入を可能にする注入ポート、および(3)手技が完了した後で容易に回収できる内蔵型アセンブリーユニットのような特徴および機能を含む。一実施形態では、カテーテルデバイスは、目的の体腔の近位端および遠位端を隔離するために用いることができる膨張可能なバルーンの形態の拡張可能な閉塞子を含む。
[0117]上で説明したように、一部の例では、装置は、閉塞子の間の距離を調節(増大または減少)できるように調節される。
[0118]本明細書に記載した方法は、例えば、装置(例えばカテーテルデバイス)を膵臓の脾動脈等の管腔またはその他の標的腫瘍の近傍のおよび/またはその中の適切な体腔に導入するステップを含み得る。装置は、例えば少なくとも2つの管腔、即ちバルーン/閉塞要素の膨張/配置のための1つ、および2つのバルーンの間の空間に注入液(例えば治療剤)を導入するための2つめを有し得る。カテーテルは、脾動脈の標的部分に進めることができる。一部の実施形態では、本方法は、カテーテルデバイスの少なくとも一部を、患者の解剖構造に応じて、腹腔動脈の小孔、その肝分枝(およびその分枝)、または必要であれば上腸間膜動脈に進めるステップを含み得る。一部の実施形態では、側枝が除外されたことを確認するため、注入液を注射する前に、隔離された領域に造影染料が注射される。
[0119]一部の実施形態では、装置は、腫瘍の特定の解剖構造への所望の効果を達成するための1つまたは複数の特徴を有し得る。例えば、(1)近位部および遠位部における様々な大きさの閉塞子/バルーンを可能にする、近位部および遠位部の閉塞子/バルーンのための個別の膨張管腔、(2)閉塞子/バルーンの間の距離の調節を可能にするためのスライド可能なカテーテル、および(3)体腔の隔離されたセグメントにおける圧をモニターするための先端のセンサーがあってよい。
[0120]一部の実施形態では、カテーテルデバイスは、がん処置(例えばTAMP手技)の方法の間、注入された物質の経動脈拡散を最適化するための、閉塞された動脈セグメントの中の最適な圧の達成を補助し得る圧トランスデューサー等のセンサーを有し得る。圧トランスデューサーは、隔離された動脈セグメントの中のカテーテルデバイスに沿って配置される(例えば、第1の閉塞子と第2の閉塞子との間に配置される)。圧トランスデューサーは、カテーテルの1つの上に配置してよく、閉塞子の1つの上に配置してもよい。圧トランスデューサーは、隔離されたセグメントの管腔内圧を測定するように設計してよい。圧の測定は、隔離されたセグメントの管腔内圧を所定のまたは最適の圧レベルに調節するために用いられる。医師は、隔離されたセグメントの管腔内圧を低下または上昇させるために、圧の測定を用いて、隔離されたセグメントに薬物またはその他の治療用材料を注入する速度を決定してよい。例えば、医師は、薬物の注入速度を増大し、隔離されたセグメントの管腔内圧を隔離されたセグメントの周囲組織の圧より高く(例えば間質の圧より高く)増大させ、管腔内空間と周囲組織との間の圧力勾配を創成して、注入された薬物の動脈壁を通して組織への浸透を増大させることができる。さらにまたはその代わりに、医師は、2つの閉塞子の相互の位置を調節する(例えば2つの閉塞子を相互に近くまたはさらに離して移動させる)ことによって、隔離されたセグメントの管腔内圧を上昇または低下させることができる。セグメントの外側のセンサーは、遠位または近位に存在してよい。
[0121]上記の方法の例は典型的には動脈の一部にアクセスして隔離するステップを含むが、これらの方法および装置のいずれも、静脈を含む他の体腔にも用いられる。一部の場合では、さらなる処置サイクルのために同じ標的管腔により容易に再アクセスすることを可能にするシャントまたはグラフトを通して標的管腔にアクセスすることが有利であり得る。即ち、その代わりにまたはさらに、これらの方法および装置は、動静脈(A-V)シャントを有する患者において用いられ、これは本明細書に記載したように用いられる。一部の場合では、シャントは患者に適合させてよく、また腫瘍の近位またはその中の領域に、本明細書で提供したように、処置を送達するためのアクセスを提供するために用いられる。
[0122]一般に、本明細書に記載した方法は、腫瘍を処置するために任意の標的組織で用いられる。具体的には、2つ以上の閉塞子を含む装置は、標的組織の中または近傍の任意の適切な管腔で用いられる。例えば、本明細書に記載した方法は、治療剤(例えば化学療法剤)の送達のための2つ以上の閉塞子を含む装置を用いるステップを含み得る。薬剤は、それだけに限らないが、胃-十二指腸動脈、肺動脈、固有肝動脈または左もしくは右の肝動脈、上腸間膜動脈、腹腔動脈、下膀胱動脈、中直腸動脈、内陰部動脈、肺動脈、子宮動脈、膀胱の動脈(例えば内腸骨動脈の上膀胱分枝、下膀胱動脈、膣動脈、閉鎖筋および下臀部の動脈)、腸間膜動脈、腸骨動脈(およびその副分枝)、および/または内頸動脈(およびその副分枝)等の標的動脈で用いられる。本明細書に記載した方法は、それだけに限らないが、静脈(または一部の例では静脈に連結されたシャント)、気管支腔、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、結腸、直腸等)の管腔、胆管の管腔(例えば胆道および膵)、尿道、卵管等の標的管腔に治療剤(例えば化学療法剤)を送達するための本明細書に記載した2つ以上の閉塞子を含む装置を用いるステップも含み得る。
[0123]図7は、栄養血管を通して薬剤を送達する方法の一例を図式的に説明する。この例では、本方法は最初に、標的領域に近い(例えばその付近の)血管にデバイス(例えばカテーテル)を挿入するステップを含み得る。本方法は、標的領域に最も近く、かつ十分な密度の栄養血管を含む血管の領域を特定するステップを含み得る(701)。上記のように、十分な密度は、約10μmより大きい(例えば約20μmより大きく、約30μmより大きく、約40μmより大きく、約50μmより大きい等の)平均直径を有する栄養血管の集団を含み得る。栄養血管の密度(例えば存在、濃度、分布等)が測定および/または推定される。一部の例では、栄養血管は、本明細書に記載した撮像手段(例えばOCT、超音波等)を用いて検出される。一部の例では、栄養血管は、カテーテルの末端領域(閉鎖領域)の位置に基づいて推測される。いったん確認されれば、カテーテルは栄養血管を有する標的領域に最も近い血管の領域に位置決めされ、その領域が隔離される。例えば、血管の上流領域および血管の下流領域を閉塞する(例えば閉塞子を拡張する)ことによって、血管の特定された領域が隔離される(703)。隔離は、圧センサーを含む1つまたは複数のセンサーによって構成される。いったん隔離されれば、隔離された領域内の流体圧を維持しつつ、閉塞された特定された領域内に薬剤を適用することによって、栄養血管を通して薬剤が送達される(705)。
[0124]図8は、栄養血管を通して薬剤(例えば薬物)を送達するように構成された装置(例えばシステム)の一例を説明する。図8において、装置は、カテーテル本体801を有するカテーテルを含むシステム800として示されている。カテーテルの遠位端領域は、拡張または収縮(図8では拡張した構成として示されている)して血管を閉塞できる一対の拡張可能な閉塞子803、805(例えば第1の閉塞子803および第2の閉塞子805)を含む。閉塞子の間に出口809が位置決めされており、カテーテル本体を通して延在する流体ラインと流体連通し得る。カテーテル本体の近位端は必要に応じてハンドルを含んでよく、1つまたは複数のプロセッサーを含むコントローラー815に連結し得る。流体ラインはまた、1つまたは複数のリザーバー、例えば薬剤リザーバー819および必要に応じて専用の血管拡張剤リザーバー(821)に接続し得る。コントローラーは、制御された流量および/または圧で、流体(例えば薬剤)を閉塞子803、805の間の領域に駆動し得るポンプ817(例えばペリスタポンプ、シリンジポンプ等)を制御し得る。コントローラーは、圧および/または流量の感知サブシステム825を含む1つまたは複数のサブシステムからの入力を受容し得る。装置は、必要に応じて、栄養血管を検出するために用いることができるイメージングセンサー813およびイメージングセンサーサブシステム823を含み得る。イメージングセンサーは、光センサー(例えばOCT)センサーおよびサブシステム、超音波センサーおよびサブシステム等を含む任意の適切なイメージングセンサーであってよい。図8において、イメージングセンサーは閉塞子の間の領域に示されているが、一部の場合には、これは遠位端領域、例えば閉塞子の遠位にあってよく、および/または閉塞子の上にあってもよい(これを血管壁に逆らって駆動することを可能にするため)。一部の場合には、イメージングセンサーは、例えばカテーテル本体の管腔を通して挿入されるアクセッサーデバイスの一部であってよい。
[0125]一般に、システムは、ユーザーによる制御およびシステムの操作のための入力827および例えば1つまたは複数のLED、ディスプレイ、タッチスクリーン、オーディオアウトプット等である出力829を含み得る。入力は、タッチスクリーン、1つまたは複数のボタン、コントロール、ノブ、ダイヤル、ペダル等を含み得る。
[0126]種々の実施形態を上に記載したが、これらは例としてのみ提示され、限定ではないことを理解されたい。上記の概念図および/または実施形態がある特定の配向または位置に配置されたある特定の成分を示す場合、成分の配置は改変され得る。実施形態が特に示され記載されているが、形態および詳細において種々の変更が行なわれることが理解されよう。種々の実施形態を特定の特徴および/または成分の組合せを有するものとして記載したが、上で論じた実施形態のいずれかからの任意の特徴および/または成分の組合せを有する他の実施形態も可能である。例えば、種々の成分の大きさおよび特定の形状は、示された実施形態とは異なることがあるが、それでも本明細書に記載した機能を提供する。さらに、本明細書で開示するそれぞれの特徴は、他に明示的に述べない限り、同じ、等価の、または同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられる。即ち、他に明示的に述べない限り、開示されるそれぞれの特徴は、等価または同様の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
[0127]上記の方法および/または事象がある順序で生じるある特定の事象および/または手順を示す場合には、ある特定の事象および/または手順の順序は改変され得る。さらに、ある特定の事象および/または手順は、可能な場合には並行したプロセスで同時に実施され、また上記のように連続して実施され得る。
[0128]本明細書に記載した方法(ユーザーインターフェースを含む)のいずれも、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアとして実行され、またプロセッサー(例えばコンピューター、タブレット、スマートフォン等)によって実行することができる一組の命令を保存する非一時的コンピューター可読保存媒体として記述され、この命令は、プロセッサーによって実行された場合、プロセッサーに、ディスプレイ、ユーザーとの通信、解析、パラメーター(タイミング、頻度、強度、圧、流量、温度等を含む)の改変、決定、警告等を含むが、これらに限定されないステップのいずれかの実施を制御させる。
[0129]上述の概念および以下により詳細に論じるさらなる概念の全ての組合せは(そのような概念が互いに矛盾しないという前提で)、本明細書で開示する発明主題の一部であることが意図され、本明細書に記載した利点を達成するために用いられることを認識されたい。
[0130]ある特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素の「上にある」と称される場合には、それは他の特徴または要素の上に直接あってもよく、または介在する特徴および/または要素が存在してもよい。対照的に、ある特徴または要素が別の特徴または要素の「上に直接」あると称される場合には、介在する特徴または要素は存在しない。ある特徴または要素が別の特徴または要素に「接続された」、「結合された」、または「連結された」と称される場合には、これは他の特徴または要素に直接接続され、結合され、または連結されていてもよく、または介在する特徴または要素が存在してもよいことも理解されよう。対照的に、ある特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続された」、「直接結合された」、または「直接連結された」と称される場合には、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して記載しまたは示したが、そのように記載しまたは示した特徴および要素は、他の実施形態にも適用することができる。別の特徴の「近傍に」配置された構造または特徴への言及は、近傍の特徴と重複するかその下にある部分を有し得ることも、当業者には認識されよう。
[0131]用語「含む」および/または「含んでいる」は、本明細書で用いる場合、既述した特徴、ステップ、操作、要素、および/または成分の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、成分、および/またはそれらの群の存在または付加を排除しないことがさらに理解されよう。本明細書で用いる場合、用語「および/または」は、関連する列挙した項目の1つまたは複数のあらゆる組合せを含み、「/」と略記され得る。
[0132]空間的に関連する用語、例えば「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」等は、図に示したようにある要素または特徴の別の要素または特徴との関係を記述する記述を容易にするために本明細書で用いられる。空間的に関連する用語は、図示した配向に加えて使用または操作におけるデバイスの異なる配向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中のデバイスが逆転された場合、他の要素または特徴の「下(under)」または「下(beneath)」と記載された要素は、他の要素または特徴の「上(over)」に配向されることになる。即ち、例示的な用語「下(under)」は、上と下の両方の配向を包含することができる。デバイスは他の方法で配向(90°または他の配向で回転)してよく、本明細書で用いた空間的に関連する記述子もそれに応じて解釈される。同様に、用語「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」等は、具体的に他が指示されない限り、本明細書において説明のためのみに用いられる。
[0133]用語「第1」および「第2」は、本明細書において種々の特徴/要素(ステップを含む)を記述するために用いられるが、これらの特徴/要素は、文脈が他を指示しない限り、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために用いられる。即ち、本発明の教示から逸脱することなく、以下で論じる第1の特徴/要素は第2の特徴/要素と称することができ、同様に、以下で論じる第2の特徴/要素は第1の特徴/要素と称することができる。
[0134]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈が他を要求しない限り、用語「含む(comprise)」およびその変形、例えば「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」は、方法および物品(例えばデバイスおよび方法を含む組成物および装置)において種々の成分を併せて採用できることを意味する。例えば、用語「含んでいる」は、表明した任意の要素またはステップを含むが他の任意の要素またはステップを排除しないことを暗示していると理解されよう。
[0135]一般に、本明細書に記載した装置および方法のいずれも包括的であると理解されるべきであるが、成分および/またはステップの全部または部分集合はその代わりに排他的であってよく、種々の成分、ステップ、サブ成分、またはサブステップ「からなる」、またはその代わりに「から本質的になる」と表現され得る。
[0136]本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、実施例で用いられる場合を含めて、他に明示的に特定されない限り、全ての数は、この用語が明示的に出現しなくても、用語「約」または「ほぼ」が前置されているように読むことができる。語句「約」または「ほぼ」は、記載された値および/または位置が、期待される妥当な値および/または位置の範囲内にあることを示す規模および/または位置を記述する場合に用いられる。例えば、数値は、記述した値(または値の範囲)の±0.1%、記述した値(または値の範囲)の±1%、記述した値(または値の範囲)の±2%、記述した値(または値の範囲)の±5%、記述した値(または値の範囲)の±10%等である値を有し得る。本明細書で与えられた任意の数値は、文脈が他を指示しない限り、約またはほぼその値を含むとも理解するべきである。例えば、値「10」が開示されれば、「約10」も開示されている。本明細書で言及する任意の数値範囲は、その中に包含される全てのサブ範囲を含むことを意図している。値「以下」の値が開示される場合、当業者によって適切に理解されるように、「値以上」および値の間の可能な範囲も開示されていることも理解される。例えば、値「X」が開示された場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えばXが数値である場合)も開示されている。本出願を通じて、データはいくつかの異なるフォーマットで提供され、このデータは終点および開始点ならびにこのデータ点の任意の組合せについての範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示されれば、10と15の間の数のみならず、10および15より大、10および15以上、10および15未満、10および15以下、ならびに10および15に等しい数も開示されているとみなされることが理解される。2つの特定の単位の間のそれぞれの単位も開示されていることも理解される。例えば、10および15が開示されれば、11、12、13、および14も開示されている。
[0137]種々の説明的な実施形態が上に記載されているが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態に対していくつかの変更のいずれかを行なってよい。例えば、記載した種々の方法ステップを実施する順序は、代替の実施形態においてしばしば変更してよく、他の代替の実施形態において1つまたは複数の方法ステップを全く省略してもよい。種々のデバイスおよびシステムの実施形態の必要に応じた特徴をいくつかの実施形態で含ませてよく、他の実施形態で含ませなくてよい。したがって、前述の説明は一次的には例示の目的で提供され、特許請求の範囲で示す本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
[0138]本明細書に含まれる実施例および説明図は、例示であって限定ではなく、主題を実施する特定の実施形態を示す。述べたように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行なうために、他の実施形態を利用しそれから誘導してよい。本発明主題のそのような実施形態は、本明細書で単に便宜上「発明」という用語によって個別にまたは集合的に言及することがあり、実際に2つ以上が開示されている場合、本出願の範囲を任意の単一の発明または発明概念に自発的に限定することを意図していない。即ち、本明細書で特定の実施形態を説明し記述してきたが、同じ目的を達成するために予測される任意の配置を、示された特定の実施形態と置き換えてよい。本開示は、種々の実施形態のあらゆる適合化および変更を包含することを意図している。上記の実施形態の組合せおよび本明細書で具体的に記載されていない他の実施形態は、上の記述を精査することによって、当業者には明らかになるであろう。
[0139]本明細書で述べた全ての出版物および特許出願は、それぞれの個別の出版物または特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されているかのように同程度に、参照により全体として本明細書に組み込まれる。さらに、上述の概念および以下により詳細に論じるさらなる概念の全ての組合せは(そのような概念が互いに矛盾しないという前提で)、本明細書で開示する発明主題の一部であることが意図され、本明細書に記載した利点を達成するために用いられることを認識されたい。
国際出願時の特許請求の範囲
[項1]
標的領域の最も近くにあり、かつ栄養血管を含む血管の領域を特定するステップ、
前記血管の上流領域および前記血管の下流領域を閉塞することによって、前記特定された血管の領域を隔離するステップ、ならびに
前記隔離された領域内の血管壁を(前記栄養血管を通して)横断して薬剤を強制的に通過させるために十分な流体圧を維持しつつ、前記閉塞された特定された領域内に前記薬剤を適用することによって、前記栄養血管を通して前記薬剤を送達するステップ
を含む方法。
[項2]
前記薬剤を送達するステップが、前記薬剤を血管拡張剤と同時に送達するステップを含む、請求項1に記載の方法。
[項3]
前記薬剤を送達するステップが、前記薬剤をニトログリセリンとともに送達するステップを含む、請求項1に記載の方法。
[項4]
前記薬剤を送達するステップが、前記標的領域を放射線で処置した後3時間未満以内に前記薬剤を送達するステップを含む、請求項1に記載の方法。
[項5]
前記血管が動脈である、請求項1に記載の方法。
[項6]
前記標的領域が腫瘍を含む、請求項1に記載の方法。
[項7]
前記血管の領域を特定するステップが、約40μmより大きな平均直径を有する栄養血管を含む領域を特定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
[項8]
前記標的領域の最も近くにある前記血管の領域を特定するステップが、撮像手段によるスキャニングを含む、請求項1に記載の方法。
[項9]
前記撮像手段が光コヒーレンストモグラフィー(OCT)を含む、請求項8に記載の方法。
[項10]
前記流体圧が150mmHg未満で維持される、請求項1に記載の方法。
[項11]
前記流体圧が100mmHg未満で維持される、請求項1に記載の方法。
[項12]
前記流体圧が5分以下の間維持される、請求項1に記載の方法。
[項13]
前記薬剤の直径が500nmより大きい、請求項1に記載の方法。
[項14]
前記薬剤がウイルスである、請求項1に記載の方法。
[項15]
前記薬剤が、二十面体またはらせん対称、脂質エンベロープ、外皮またはマトリックス、および物理的破壊に対する不定の感受性の1つまたは複数を有するウイルスである、請求項1に記載の方法。
[項16]
前記薬剤が、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、コクサッキーウイルス、セネカバレーウイルス、ポリオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、およびポックスウイルスの1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
[項17]
前記薬剤がナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
[項18]
前記薬剤が細胞療法である、請求項1に記載の方法。
[項19]
前記標的領域が膵臓の領域である、請求項1に記載の方法。
[項20]
前記薬剤が遺伝子療法である、請求項1に記載の方法。
[項21]
前記薬剤が抗体である、請求項1に記載の方法。
[項22]
前記薬剤が免疫アクチベーター(例えばIL-12、IL-2、IL-15、TLR9アゴニスト、TLR7/8アゴニスト)である、請求項1に記載の方法。
[項23]
栄養血管を通して薬剤を送達するための方法であって、
標的領域の最も近くにある血管の領域を特定するステップであって、前記領域が栄養血管を含む、ステップ、
前記特定された領域から上流および下流の両方の領域を閉塞することによって、前記特定された血管の領域を隔離するステップ、ならびに
前記隔離された領域内に前記薬剤を適用することによって、前記栄養血管を通して前記薬剤を送達するステップであって、前記隔離された領域内の流体圧が維持される、ステップ
を含む方法。
[項24]
栄養血管を通して薬剤を送達するための方法であって、
標的領域の最も近くにある血管の領域を特定するステップであって、前記領域が栄養血管を含む、ステップ、
前記特定された領域から上流および下流の両方の領域を閉塞することによって、前記特定された血管の領域を隔離するステップ、ならびに
前記隔離された領域内に前記薬剤を適用することによって、前記栄養血管を血管拡張剤によって拡張しつつ、前記栄養血管を通して前記薬剤を送達するステップであって、前記隔離された領域内の流体圧が維持される、ステップ
を含む方法。
[項25]
標的領域の最も近くにあり、かつ10μm以上の平均直径寸法を有する栄養血管の密度を有する血管の領域を特定するステップ、
前記特定された領域から上流の領域および下流の領域を閉塞することによって、前記特定された血管の領域を隔離するステップ、ならびに
前記栄養血管に薬剤を駆動する圧の下に、前記隔離された特定された領域内に前記薬剤を送達するステップであって、前記圧が150mmHg以下で維持される、ステップ
を含む方法。
[項26]
栄養血管を通して薬剤を適用するためのシステムであって、
直列に配置された第1の拡張可能な閉塞子および第2の拡張可能な閉塞子を含むカテーテル本体、
前記第1の拡張可能な閉塞子と前記第2の拡張可能な閉塞子との間に位置決めされた出口であって、前記カテーテル本体から近位ポートまで近位方向に延在する流体ラインと流体連通する出口、
前記第1の拡張可能な閉塞子と前記第2の拡張可能な閉塞子との間の前記カテーテル本体の外側の領域の圧を感知するように構成された圧センサー、ならびに
前記カテーテル本体の遠位端領域において栄養血管を検出するように構成されたイメージングセンサー
を含むシステム。
[項27]
前記イメージングセンサーが光コヒーレンストモグラフィー(OCT)センサーを含む、請求項26に記載のシステム。
[項28]
前記イメージングセンサーが超音波センサーを含む、請求項26に記載のシステム。
[項29]
前記イメージングセンサーに連結され、前記イメージングセンサーから栄養血管を検出し、前記カテーテル本体の前記遠位端領域における栄養血管の存在の指標を出力するように構成された1つまたは複数のプロセッサーをさらに含む、請求項26に記載のシステム。
[項30]
前記イメージングセンサーが前記第1の拡張可能な閉塞子と前記第2の拡張可能な閉塞子との間に位置決めされている、請求項26に記載のシステム。
[項31]
前記イメージングセンサーが、前記第1の拡張可能な閉塞子と前記第2の拡張可能な閉塞子の一方または両方の上にある、請求項26に記載のシステム。
[項32]
前記第1の拡張可能な閉塞子が第1の拡張可能なバルーンを含み、前記第2の拡張可能な閉塞子が第2の拡張可能なバルーンを含む、請求項26に記載のシステム。
[項33]
前記イメージングセンサーを用いて栄養血管の存在を確認した後で、前記第1の拡張可能な閉塞子と前記第2の拡張可能な閉塞子の拡張を調整することによって、前記栄養血管を通した送達のための前記出口から薬剤を適用するように構成されたコントローラーをさらに含む、請求項26に記載のシステム。
[項34]
さらに、前記コントローラーが、前記出口から前記薬剤を送達している間、前記第1の拡張可能な閉塞子と前記第2の拡張可能な閉塞子との間の流体圧を維持するように構成される、請求項33に記載のシステム。
[項35]
前記コントローラーが、前記流体圧を150mmHg以下に維持するように構成される、請求項34に記載のシステム。
[項36]
前記コントローラーが、前記流体圧を10分以下の間維持するように構成される、請求項34に記載のシステム。
[項37]
前記流体ラインに流体連結された血管拡張剤のリザーバーをさらに含む、請求項26に記載のシステム。
[項38]
前記血管拡張剤のリザーバーがニトログリセリンのリザーバーを含む、請求項37に記載のシステム。