JP7842288B1 - 感熱記録体 - Google Patents

感熱記録体

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Abstract

【課題】非印字部のボイル耐性に優れる感熱記録体を提供すること。
【解決手段】本発明の感熱記録体1は、基材2上に、感熱記録層4および低接触角層5がこの順に積層された構造を有する。低接触角層5は感熱記録層4上に直接積層されている。感熱記録層4は顕色剤として下記式(1)で表される化合物を含む。さらに低接触角層5の水接触角は40°以下である。

(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基であり、複数のRは、同じであっても異なっていてもよい。Aは、炭素数1~4の炭化水素基である。Aが2つ以上ある場合、複数のAは、同じであっても異なっていてもよい。nは0~4の整数を表し、複数のnは、同じであっても異なっていてもよい。)
【選択図】図1

Description

本発明は、感熱記録体に関する。
感熱記録体は、サーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、記録画像が得られるものであり、ファクシミリや自動券売機、科学計測機等の記録用媒体としてだけでなく、食品パウチなどの各種商品に使われる感熱記録ラベルとしてなど広範な用途に使用されている。
ところで、食品パウチは、内容物の消毒のために熱水中に浸漬(ボイル)されることがある。しかし、感熱記録体の印字部は、通常、ボイルされると消失する性質があり、感熱記録体の非印字部は、ボイルされると発色することがあるため、感熱記録体が貼られた食品パウチをボイルすることは禁忌であった。このため、感熱記録体には、ボイルされても印字部が消失しない性能、すなわち印字部のボイル耐性が求められることがある。同様に、感熱記録体には、ボイルされても非印字部が発色しない性能、すなわち非印字部のボイル耐性が求められることがある。
印字部および非印字部のボイル耐性に優れる感熱記録体としては、例えば、基材上に特定の空隙率を有する中空粒子を含むアンダー層と、特定の顕色剤を含む感熱記録層と、特定の滑剤を含むトップコート層とがこの順に積層された感熱記録体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第7456711号公報
しかしながら、従来のボイル耐性に優れるとされる感熱記録体は、熱水から取り出した後、非印字部が明らかな発色には至らずとも、徐々に変色する場合がある。ボイル後の変色の程度が強い場合、印字部と非印字部のコントラスト差が低下し、印字部の視認性や美観が低下するといった問題がある。このため、ボイル中のみならずボイル後も非印字部の変色をよりいっそう抑制することができる性能、すなわち非印字部のボイル耐性がよりいっそう向上した感熱記録体が望まれている。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、非印字部のボイル耐性に優れる感熱記録体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の顕色剤を含む感熱記録層上に、40°以下という低い水接触角を有する低接触角層を備える感熱記録体によれば、非印字部のボイル耐性に優れることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、基材、感熱記録層、および低接触角層をこの順に備える感熱記録体であり、上記低接触角層は上記感熱記録層上に直接積層されており、上記感熱記録層は顕色剤として下記式(1)で表される化合物を含み、上記低接触角層の水接触角は40°以下である、感熱記録体を提供する。
(式(1)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基であり、複数のRは、同じであっても異なっていてもよい。Aは、炭素数1~4の炭化水素基である。Aが2つ以上ある場合、複数のAは、同じであっても異なっていてもよい。nは0~4の整数を表し、複数のnは、同じであっても異なっていてもよい。)
上記低接触角層はバインダーとしてコアシェル型樹脂を含むことが好ましい。
上記コアシェル型樹脂はコアシェル型アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
上記コアシェル型樹脂において、コア部の質量に対するシェル部の質量の比(シェル部の質量/コア部の質量)は0.5以上であることが好ましい。
上記低接触角層は、さらにエピクロロヒドリン系樹脂を含んでもよい。
上記バインダーの含有割合は、上記低接触角層の総固形分質量100質量%に対して80質量%以上であることが好ましい。
上記感熱記録層は、水溶性樹脂を含まないことが好ましい。
上記感熱記録層は、充填剤としてカオリン、焼成カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、およびカオリナイトからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
上記基材と上記感熱記録層との間にバインダーとしてアクリル系樹脂を含むアンカー層を備えることが好ましい。
上記バインダーの含有割合は、上記アンカー層の総固形分100質量%に対して50質量%以上であることが好ましい。
上記アクリル系樹脂の含有割合は、上記アンカー層中のバインダーの総量100質量%に対して、70質量%以上であることが好ましい。
上記アンカー層は、充填剤として中空粒子を含んでもよく、上記アンカー層が上記中空粒子を含む場合、上記中空粒子の含有割合は、上記アンカー層の総固形分100質量%に対して10質量%以下であることが好ましい。
上記アンカー層は、中空粒子を含まなくてもよい。
上記低接触角層の上記感熱記録層とは反対側の面にトップコート層を備えることが好ましい。
上記基材は、ラミネート紙、不織布、合成樹脂フィルム、または合成紙のいずれかであることが好ましい。
本発明によれば、非印字部のボイル耐性に優れる感熱記録体を提供することができる。
本発明の感熱記録体の一実施形態を示す模式的な断面図である。 本発明の感熱記録体の他の一実施形態を示す模式的な断面図である。
[感熱記録体]
本発明の感熱記録体は少なくとも基材、感熱記録層、および低接触角層を備える。上記低接触角層は上記感熱記録層上に直接積層されている。また、上記感熱記録層は少なくとも顕色剤を含む。さらに上記顕色剤は下記式(1)で表される化合物を含む。また、上記低接触角層の水接触角は40°以下である。
式(1)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基であり、複数のRは、同じであっても異なっていてもよい。Aは、炭素数1~4の炭化水素基である。Aが2つ以上ある場合、複数のAは、同じであっても異なっていてもよい。nは0~4の整数を表し、複数のnは、同じであっても異なっていてもよい。
以下、本発明の感熱記録体の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の感熱記録体の一実施形態を示す模式的な断面図である。図1において、感熱記録体1は、基材2と、感熱記録層4と、低接触角層5とをこの順に備える。このとき、低接触角層5は、感熱記録層4の片面上に直接接するように積層されている。
図2は、本発明の感熱記録体の他の一実施形態を示す模式的な断面図である。図2に示す感熱記録体1は、図1に示す感熱記録体1が、さらにアンカー層3と、トップコート層6とを備えた構造を有する。具体的には、アンカー層3は、基材2と感熱記録層4との間に備えられる層である。また、トップコート層6は、低接触角層4の感熱記録層3とは反対側の面に備えられる層である。このとき、基材2およびアンカー層3、アンカー層3および感熱記録層4、ならびに低接触角層5およびトップコート層6は、それぞれ直接接するように積層されている。また、感熱記録体1は、一方の表面にトップコート層6が位置し、他方の表面に基材2が位置している。
(基材)
基材2は、本発明の感熱記録体1における支持体として機能することができる。感熱記録体1は、基材2を備えることにより取り扱い性等により優れる。基材2としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等の紙、不織布等の多孔質材料、合成樹脂フィルム、および合成紙等を用いることができる。上記合成樹脂フィルムおよび合成紙を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記合成樹脂フィルムは、延伸されたものであってもよいし、延伸されていないものであってもよい。また、基材2は、単層であってもよいし、同一または組成や厚さ等が異なる複層であってもよい。
基材2は、ボイルされても強度を維持しやすいという観点から、ラミネート紙、不織布、合成樹脂フィルム、または合成紙のいずれか1種が好ましく、合成樹脂フィルムまたは合成紙のいずれか1種がより好ましい。
基材2の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm~150μmが好ましく、より好ましくは10μm~100μmである。上記厚さが上記範囲内であると、塗工性および支持性をより適切なものとしやすく、取り扱い性がより優れ得る。
(アンカー層)
アンカー層3は、基材2と感熱記録層4との密着性などを向上させることを目的とした層である。アンカー層3は、必要としない場合には設けなくてもよく、その場合は基材2の片面に感熱記録層4を直接積層することができる。アンカー層3は、例えば、バインダーを含む。また、アンカー層3は、その他の成分を含んでもよい。上記その他の成分としては、例えば、帯電防止剤、濡れ剤、充填剤等が挙げられる。
上記バインダーとしては、例えば公知の樹脂が挙げられる。上記バインダーは、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、アクリル-ウレタン樹脂、アクリル-アミド樹脂、酢酸ビニル-アクリル樹脂等のアクリル系樹脂;マレイン酸樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、オレフィン-マレイン酸樹脂等のマレイン酸系樹脂等;スチレンブタジエンゴム(SBR);完全ケン化ポリビニルアルコール樹脂、部分ケン化ポリビニルアルコール樹脂等のポリビニルアルコール系樹脂(PVA)等が挙げられる。また、上記バインダーとしては、デンプン、カゼイン、ゼラチン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、メチルビニル-無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル等であってもよい。上記樹脂は、いずれも公知の方法で変性された変性樹脂であってもよい。これらのバインダーは、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
中でも、基材が樹脂を含む場合であっても良好な密着性を達成し得るという観点や、ボイルされても膨潤しづらいため安定性により優れる観点から、上記バインダーは、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
上記バインダーの含有割合は、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、上記バインダーの含有割合は、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、99質量%以下が好ましく、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
上記アクリル系樹脂の含有割合は、アンカー層3中のバインダーの総量100質量%に対して、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。また、アクリル系樹脂の含有割合は、アンカー層3中のバインダーの総量100質量%に対して、100質量%であってもよい。
本明細書において、「アクリル系樹脂」とは、アクリルモノマー((メタ)アクリロイル基を有するモノマー)を単独重合させることにより得られる樹脂(アクリル樹脂)、および/またはアクリルモノマーと、他のモノマー(アクリルモノマーと共重合可能なアクリルモノマー以外のモノマー)とを共重合させることにより得られる樹脂を意味する。ここで、上記アクリルモノマーおよび上記他のモノマーは、それぞれ、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、単に「アクリル」と記載した場合、特に記載がない限り、(メタ)アクリル酸(塩)および/または(メタ)アクリル酸エステルを意味する。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリル酸(塩)」とは、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸塩を意味する。
上記(メタ)アクリル酸塩における塩は特に限定されず、例えば、アンモニア等のアンモニウム塩;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン塩;メチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;ジエチレンアミン塩、ジエチレントリアミン塩等のポリアミン塩;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩;亜鉛、鉄等の多価金属塩等が挙げられる。これらの塩は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記樹脂を形成する組成物としては、固体であってもよく、エマルジョンであってもよく、溶液であってもよい。取り扱い性および塗工性に優れるという観点からは、エマルジョンまたは溶液であることが好ましい。
上記帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤等の低分子型帯電防止剤;アクリル・スチレン系共重合体等の高分子型帯電防止剤;酸化スズ等の導電性金属化合物等が挙げられる。これらの帯電防止剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記帯電防止剤の含有割合は特に限定されず、例えば、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、1質量%以上であってもよく、3質量%以上であってもよい。また、上記帯電防止剤の含有割合は、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。
上記濡れ剤としては、界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤としては、公知のものを適宜用いることができ、例えば、ジオクチオルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アセチレングリコール、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加物等のアセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。これらの濡れ剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記充填剤は、例えば、カオリン、焼成カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイト、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の無機系充填剤;中空粒子、非中空粒子等の有機系充填剤等が挙げられる。上記充填剤は、中空粒子を含んでもよいし、含まなくてもよい。これらの充填剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記中空粒子および非中空粒子を構成する材料は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂(特にポリメタクリル酸メチル:PMMA)、アクリルニトリル樹脂、アクリル-ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル-ポリ塩化ビニリデン-アクリルニトリル樹脂、アクリル-アクリルニトリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、アクリル-ウレタン樹脂、アクリル-アミド樹脂、酢酸ビニル-アクリル樹脂等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニリデン-アクリロニトリル樹脂等のポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;尿素-ホルマリン樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリブタジエン系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂は、公知の方法で変性された変性樹脂であってもよい。これら中空粒子および非中空粒子を構成する材料は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記中空粒子の平均粒子径は特に限定されず、例えば、0.5μm以上が好ましく、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上である。また、上記平均粒子径は、例えば、100μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。上記平均粒子径が上記範囲内であると、断熱性をより適切なものとしやすく、耐熱性や印字部の濃度がより優れ得る。なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法により測定される粒度分布における積算値50%における粒子径(D50、メディアン径)をいう。レーザー回折・散乱法による平均粒子径の測定は、例えば、マイクロトラック・ベル社製の商品名「MT3300EX-II」を用いて行うことができる。以下、「平均粒子径」とは、上記方法により測定されるメディアン径をいう。
上記充填剤の含有割合は特に限定されず、例えば、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、1質量%以上であってもよく、3質量%以上、5質量%以上であってもよい。また、上記充填剤の含有割合は、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、40質量%以下であってもよく、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下であってもよい。また、上記中空粒子の含有割合は特に限定されず、例えば、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、上記範囲内であってもよい。また、上記中空粒子の含有割合は特に限定されず、例えば、アンカー層3の総固形分100質量%に対して、5質量%以下であってもよく、3質量%以下、1質量%以下であってもよい。
上記中空粒子の含有割合は特に限定されず、例えば、上記充填剤の総量100質量%に対して、50質量%以下であってもよく、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下であってもよい。また、上記含有割合は、上記充填剤の総量100質量%に対して、0質量%であってもよい。
アンカー層3の塗工量(乾燥質量)としては、例えば、好ましくは0.1g/m~10g/mであり、より好ましくは0.2g/m~5.0g/mである。上記塗工量が上記範囲内であると、断熱性、クッション性、基材2と感熱記録層4との密着性などがより適切なものにしやすい。なお、本明細書において「乾燥質量」とは、塗液やその原料に含まれる水等の溶媒(揮発成分)を除いた不揮発性分(固形分)の質量をいうものとする。
(感熱記録層)
感熱記録層4は、サーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、感熱記録体1に記録画像を形成する層である。感熱記録層4は、少なくとも顕色剤を含む。上記顕色剤は、少なくとも下記式(1)で表される化合物を含む。このような顕色剤を用いることにより、感度良く発色するという良好な発色性と、ボイルされても消色しないという良好なボイル耐性とを両立することができる。感熱記録層4は、さらに必要に応じてその他の成分を含有してもよい。上記その他の成分は、例えば、染料、バインダー、充填剤、滑剤、架橋剤、濡れ剤、増感剤等が挙げられる。
式(1)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基であり、複数のRは、同じであっても異なっていてもよい。Aは、炭素数1~4の炭化水素基である。Aが2つ以上ある場合、複数のAは、同じであっても異なっていてもよい。nは0~4の整数を表し、複数のnは、同じであっても異なっていてもよい。
上記式(1)中、複数のR-SO-は、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している。複数のR-SO-の置換位置は、一方のベンゼン環と他方のベンゼン環との間で互いに同じであっても異なっていてもよい。一方のベンゼン環上のR-SO-の置換位置および他方のベンゼン環上のR-SO-の置換位置は、互いに同一であることが好ましく、いずれも3位であることがより好ましい。なお、本明細書では上記式(1)中、ウレア基(-NH-CO-NH-)の窒素原子と結合しているベンゼン環上の炭素原子を1位とする。
上記式(1)中、上記Rの、「置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基」のうち、「炭素数1~12の炭化水素基」としては、例えば、炭素数1~12の直鎖状アルキル基、炭素数3~12の分岐鎖状アルキル基、炭素数3~12の脂環状アルキル基、炭素数6~12のアリール基、またはこれらの基のうち、互いに異なる2つ以上の基が結合した炭素数4~12の一価の基等が挙げられる。また、複数の「置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基」は、互いに同じであっても異なっていてもよい。なお、本明細書において、上記Rの「炭素数1~12の炭化水素基」の炭素数は、置換基が炭素原子を含む場合、置換基中の炭素数を含めた炭素の総数を意味するものとする。
上記「炭素数1~12の直鎖状アルキル基」は、直鎖状飽和アルキル基であってもよいし、直鎖状不飽和アルキル基であってもよい。上記「炭素数1~12の直鎖状アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、アリル基、n-ブチル基、3-ブテニル基、n-ヘキシル基、ラウリル基等が挙げられる。
上記「炭素数3~12の分岐鎖状アルキル基」は、分岐鎖状飽和アルキル基であってもよいし、分岐鎖状不飽和アルキル基であってもよい。上記「炭素数3~12の分岐鎖状アルキル基」としては、例えば、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、2-エチルへキシル基等が挙げられる。
上記「炭素数3~12の脂環状アルキル基」は、脂環状飽和アルキル基であってもよいし、脂環状不飽和アルキル基であってもよい。上記「炭素数3~12の脂環状アルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記「炭素数6~12のアリール基」としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の無置換のアリール基が挙げられる。
上記「これらの基のうち、互いに異なる2つ以上の基が結合した炭素数4~12の一価の基」としては、例えば、「アリール基と、1つまたは2つ以上の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」、「アリール基と、1つまたは2つ以上の分岐鎖状アルキル基とが結合した炭素数9~12の一価の基」、「脂環状アルキル基と、1つまたは2つ以上の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数4~12の一価の基」等が挙げられる。
上記「アリール基と、1つまたは2つ以上の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」としては、「フェニル基と1~3つの炭素数1~4の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」が好ましい。具体的には、例えば、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、メシチレン基、p-エチルフェニル基等が挙げられる。また、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、p-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、m-エチルベンジル基、p-エチルベンジル基等のアラルキル基であってもよい。また、上記「フェニル基と1~3つの炭素数1~4の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」は後述の置換基を有していてもよい。
上記「アリール基と、1つまたは2つ以上の分岐鎖状アルキル基とが結合した炭素数9~12の一価の基」としては、「フェニル基と1~2つの炭素数3~4の分岐鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」が好ましい。具体的には、例えば、p-i-プロピルフェニル基、p-t-ブチルフェニル基等が挙げられる。また、上記「フェニル基と1~2つの炭素数3~4の分岐鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」は後述の置換基を有していてもよい。
上記「脂環状アルキル基と、1つまたは2つ以上の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数4~12の一価の基」としては、「炭素数6~12の脂環状アルキル基と、1~3つの炭素数1~4の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」が好ましい。具体的には、例えば、4-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロオクチル基等が挙げられる。また、上記「炭素数6~12の脂環状アルキル基と、1~3つの炭素数1~4の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~12の一価の基」は後述の置換基を有していてもよい。
上記「置換基」は、少なくとも炭素原子および水素原子以外の原子(ヘテロ原子)を1つ有する基である。なお、本明細書では「置換基」中のヘテロ原子が、「炭素数1~12の炭化水素基」中の炭素原子と結合するものとする。上記「置換基」としては、具体的には、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、オキソ基(=O)等が挙げられる。また、上記「置換基」は、炭素原子を含んでもよいし、含まなくてもよい。上記「置換基」が炭素原子を含む場合、置換基中の炭素数としては、1~6が好ましく、1~4がより好ましい。上記「置換基」は、複数あってもよいし、なくてもよい。また複数の「置換基」の置換位置は、一方のベンゼン環上のRと他方のベンゼン環上のRとの間で、互いに同じであっても異なっていてもよい。一方のベンゼン環上のRにおける置換基の置換位置および他方のベンゼン環上のRにおける置換基の置換位置は、互いに同一であることが好ましい。
上記式(1)中、上記Rは、中でも、フェニル基と1~3つの炭素数1~4の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~10の一価の基が好ましく、フェニル基と1つの炭素数1~4の直鎖状アルキル基とが結合した炭素数7~10の一価の基がより好ましい。具体的には、上記Rは、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、メシチレン基が好ましく、中でもp-トリル基がより好ましい。このようなRである場合、発色性、保存性がより優れたものとなり得る。
上記式(1)中、上記Aは、ベンゼン環を構成する炭素原子のうち、上記R-SO-が結合していない炭素原子に結合し得る。また、Aが2つ以上ある場合、複数のAの置換位置は、一方のベンゼン環と他方のベンゼン環との間で互いに同じであっても異なっていてもよい。上記Aの置換位置は、2位、4位、5位、6位が好ましい。
上記Aの炭素数1~4の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等のアルキル基が挙げられる。
上記式(1)中、上記nは0~2の整数が好ましく、より好ましくは0~1の整数、さらに好ましくは0である。
上記式(1)で表される化合物は、具体的な化合物として、例えば、以下の化合物が挙げられるが、これら化合物に限定されるものでない。
すなわち、上記式(1)で表される化合物としては、N,N’-ジ-[3-(o-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)-4-メチル-フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(m-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-4-メチル-フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-4-エチル-フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-5-メチル-フェニル]尿素、N,N’-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-4-プロピル-フェニル]尿素等を挙げることができる。中でも、上記式(1)で表される化合物としては、下記式(1a)で表される化合物、すなわち、N,N’-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素が特に好ましい。
上記顕色剤は、上記式(1)で表される化合物を単独で含んでもよいし、2種以上の上記式(1)で表される化合物を含んでもよい。さらに、上記顕色剤は、上記式(1)で表される化合物以外の顕色剤(その他の顕色剤)を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
上記その他の顕色剤としては、例えば、3-[(3-フェニルウレイド)フェニル]-4-メチルベンゼンスルホナート(商品名:TG-MD)、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(商品名:PF-201)、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]-ベンゼンスルホンアミド(商品名:NKK-1304)、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン(商品名:UU)等の公知の非フェノール顕色剤、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(BPA)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(BPS)、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン(商品名:BPS-MAE)、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシ-ジフェニルスルホン(商品名:TGSA)、2,2’-ジアリル-4,4’-スルホニルジフェノール(商品名:TG-SH)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン(商品名:D-8)、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンおよびN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2’-メチレンビス(4-クロロフェノール)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、ポリ(4-ヒドロキシ安息香酸)、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、3,5-ビス(α-メチルベンジル)サリチル酸、ビス[4-(n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]、4,4’-ビス(p-トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4-ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、N-(2-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]アセトアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]アセトアミド、4-[4-(4-{4-[4-(1-メチルエトキシ)フェニルスルホニル]フェノキシ}ブトキシ)フェニルスルホニル]フェノール、4-tert-ブチルフェノール・ホルムアルデヒド重縮合物等の公知の顕色剤が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物の含有割合は、感熱記録層4中の顕色剤の総量100質量%に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。上記合計含有割合は、感熱記録層4中の顕色剤の総量100質量%に対して、実質的に100質量%であってもよい。上記合計含有割合が上記範囲内であると、ボイル耐性をより適切なものにしやすい。また、上記式(1a)で表される化合物の含有割合は、感熱記録層4中の顕色剤の総量100質量%に対して、上記範囲内であることが好ましい。
上記顕色剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。また、上記顕色剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、70質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
上記染料としては、例えば、2’-ブロモ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-4-アザフタリド、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-1(3H)-イソベンゾフラノン、1,2-ジヒドロ-1-エチル-8-[N-(4-メチルフェニル)-N-エチルアミノ]-2,2,4-トリメチルスピロ[11H]-クロメノ(2,3-g)キノリン-11,3’-フタリド、2’-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-6’-(ジエチルアミノ)-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-(9H)キサンテン]-3-オン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオロラン、2-アニリン-3メチル-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、3-(N-イソブチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソペンチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-o-クロロアニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エトキシプロピル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-n-プロピル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-p-トルイジノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-8-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジメチルアミノ-5-メチル-7-メチルフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、クリスタルバイオレットラクトン等を使用することができる。これらの染料は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記染料の平均粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましい。一般的に染料は融解して反応するため、平均粒子径を小さくすると、感度特性が向上する傾向にある。一方、平均粒子径を大きくすると、乾燥時の熱などによる予期していない発色を抑制しやすい傾向にある。上記平均粒子径が上記範囲内であると、染料の感度特性および発色温度をより適切に調整することができる。
上記染料の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、1質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。また、上記染料の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、40質量%以下が好ましく、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
上記バインダーとしては、例えば、アンカー層の項目で挙げたバインダーと同様のものが挙げられる。中でも、上記バインダーは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系樹脂が好ましい。また、感熱記録層4は、ボイル耐性を向上させる観点から、PVAなどの水溶性樹脂を含まないことが好ましい。これらのバインダーは、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記バインダーの含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。また、上記バインダーの含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
上記水溶性樹脂の含有割合は、上記バインダーの総量100質量%に対して、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。また、上記水溶性樹脂の含有割合は、上記バインダーの総量100質量%に対して、0質量%であることも好ましい。
上記充填剤としては、例えば、アンカー層の項目で挙げた充填剤と同様のものが挙げられる。中でも、上記充填剤としては、カオリン、焼成カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、およびカオリナイトからなる群より選択される1種以上が好ましく、カオリンおよび焼成カオリンからなる群より選択される1種以上がより好ましい。一般的に、ボイルなどの加熱への耐性(耐熱性)に優れる感熱記録体の場合、発色効率が低いことがある。このため、発色効率の向上を目的として、アンカー層が中空粒子を含む場合がある。しかしながら、本発明の一実施形態では、感熱記録層4がこれらの充填剤を含むことにより、アンカー層3が中空粒子を含まない場合であっても、発色効率をよりいっそう適切なものとすることができる。これらの充填剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記充填剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。また、上記充填剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
上記滑剤は、例えば、パラフィン、ポリエチレン、ポリスチレン等の炭化水素系ワックス類;カルナバワックス等のエステルワックス類;シリコンオイル、鯨油等の油類;オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類等が挙げられる。これらの滑剤は、単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
上記滑剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。また、上記滑剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
上記架橋剤としては、例えば、ジルコニウム化合物等の無機系架橋剤;エピクロロヒドリン系樹脂、オキサゾリン化合物等の有機系架橋剤等が挙げられる。上記ジルコニウム化合物としては、例えば、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニウム等が挙げられる。上記エピクロロヒドリン系樹脂としては、例えば、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂等が挙げられる。中でも、上記架橋剤としては、エピクロロヒドリン系樹脂が好ましい。これらの架橋剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記架橋剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、上記架橋剤の含有割合は、感熱記録層4の総固形分100質量%に対して、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
上記濡れ剤としては、例えば、アンカー層の項目で挙げた濡れ剤と同様のものが挙げられる。これらの濡れ剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記増感剤としては、例えば、ステアリン酸アマイド、メチロールステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド、ステアリン酸アニリド等の高級脂肪酸アニリド、1,2-ジフェノキシエタン、1,4-ジフェノキシブタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メトキシフェノキシ)エタン等の芳香族エーテル、1-ベンジルオキシナフタレン、2-ベンジルオキシナフタレン、2,6-ジイソプロピルナフタレン、シュウ酸ジ(p-クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p-メチルベンジル)、シュウ酸ジベンジル、p-ベンジルビフェニル、m-ターフェニル、ジフェニルスルホン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレフタル酸ジベンジル、p-トルエンスルホンアミド等の公知の増感剤が挙げられる。上記増感剤は、常温常圧(例えば25℃、1気圧)で固体であるものが好ましく、70℃以上の融点を有するものがより好ましい。これらの増感剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
感熱記録層4の塗工量(乾燥質量)としては、例えば、0.3g/m~10g/mが好ましく、より好ましくは2.0g/m~6.0g/mである。上記塗工量が上記範囲内であると、発色性をより適切なものにしやすい。
(低接触角層)
低接触角層5は、感熱記録層4と直接接する層である。また、低接触角層5は、水接触角が40°以下である。低接触角層5は、感熱記録層4の片面の少なくとも一部と直接接している。低接触角層5は、感熱記録層4の片面の全部と直接接していることが好ましい。低接触角層5は、このような構成を満たすことにより、感熱記録体1のボイル耐性(特に非印字部のボイル耐性)を向上させることができる。これは、例えば次のような理由が推定される。少なくとも感熱記録層4と低接触角層5との積層体である感熱記録体1は、ボイル後、熱水から取り出された後も、熱水が付着・浸透しているため、完全に乾いて冷めるまでに一定の時間を要する。このため、感熱記録体1は、熱水から取り出された後もしばらくの間、付着・浸透した熱水や、当該熱水が蒸発して生じる熱い水蒸気などの影響により熱されている。ここで一般的には、ある表面において、その表面の水接触角がより小さいほど、当該表面には水がより濡れ広がりやすいといえる。このため、低接触角層5の水接触角が小さく、水が濡れ広がりやすい場合には、上記付着・浸透した熱水や上記水蒸気が低接触角層5に素早く吸着して濡れ広がり、低接触角層5に沿って感熱記録層4から排出されやすいものと推定される。その結果、感熱記録層4は、熱水から取り出された後の温度が下がりやすく、非印字部の変色などが抑制されるものと考えられる。
本発明において、低接触角層5の水接触角は、低接触角層5の表面に純水を0.025g滴下し、30秒後に測定されるものである。上記測定には、デジタルマイクロスコープ等の顕微鏡を用いることができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。上記水接触角は、低接触角層5を構成する材料の種類や含有割合などにより調整することができる。
低接触角層5の水接触角は、40°以下であり、38°以下、35°以下、33°以下、または30°以下であってもよい。上記接触角が40°以下であると、ボイル耐性(特に非印字部のボイル耐性)に優れる。また、感熱記録層4の水接触角に対する低接触角5の水接触角の比(低接触角5の水接触角/感熱記録層4の水接触角)は特に限定されないが、例えば、0.1~0.88であってもよく、0.2~0.85、0.3~0.8であってもよい。
低接触角層5は、例えば、樹脂などのバインダーを含む。低接触角層5は、さらに必要に応じてその他の成分を含有してもよい。上記その他の成分は、例えば、架橋剤、濡れ剤等が挙げられる。上記バインダーとして親水性や成膜性が高いものを用いることで水接触角を低減させることができる。
上記バインダーとしては、例えば、アンカー層の項目で挙げたバインダーと同様のものが挙げられる。中でも、上記バインダーとしては、アクリル系樹脂が好ましい。上記アクリル系樹脂は、カルボキシ基および/またはエステル結合といった親水性の高い部位を有するため、水接触角を低減させやすい。
上記バインダーは、低接触角層5の成膜性を向上させて強度を確保し、ボイル等の負荷による層の剥離などを抑制する観点から、コアシェル型樹脂が好ましく、コアシェル型アクリル系樹脂がより好ましい。なお、コアシェル型樹脂とは、疎水性のコア粒子(コア部)を水溶性のシェルポリマー(シェル部)でコーティングした構造を有する樹脂であり、代表的には、組成の異なるモノマーを段階的に重合させることにより得られる。このとき、コア粒子中に架橋構造を形成する、あるいは分子量やガラス転移温度などを調整することにより、コア粒子を造膜時に融着しやすいもの、または融着しにくいものとすることができる。例えば、水溶性樹脂成分で構成されるシェル部およびガラス転移温度が比較的高いコア部からなるコアシェル型樹脂を含む塗液を用いて低接触角層5を形成した場合、シェル部同士は塗液中で混和しやすいことから塗工後の乾燥時に被膜化しやすいため、成膜性を向上させることができる。また、コア部は溶融しにくいため、低接触角層5を形成後もコア部が層中に点在し、コア部の疎水性に起因して層の耐水性などを向上させることができる。これらのバインダーは、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。また、本明細書において、上記シェルポリマー部分を有しない樹脂を特に非コアシェル型樹脂と称する場合がある。
低接触角層5を親水的かつ平滑な層とし、水接触角をよりいっそう低減させる観点から、上記コアシェル型樹脂において、コア部の質量に対するシェル部の質量の比は、より大きいことが好ましい。上記コアシェル型樹脂において、コア部の質量に対するシェル部の質量の比(シェル部の質量/コア部の質量)としては、例えば、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは1以上、さらに好ましくは1.5以上、特に好ましくは2以上である。また、上記比(シェル部の質量/コア部の質量)は、例えば、50以下であってもよく、30以下、20以下、10以下、または5以下であってもよい。
上記コアシェル型アクリル系樹脂は、アンカー層の項目でバインダーとして例示したものと同様の樹脂であり、かつコアシェル型のものが挙げられる。具体的には、コアシェル型アクリル樹脂、コアシェル型スチレン-アクリル樹脂、コアシェル型アクリル-ウレタン樹脂、コアシェル型アクリル-アミド樹脂、コアシェル型酢酸ビニル-アクリル樹脂等のコアシェル型アクリル系樹脂等が挙げられる。
上記コアシェル型アクリル系樹脂は、コアシェル型カルボキシ基含有アクリル系樹脂であることが好ましい。コアシェル型カルボキシ基含有アクリル系樹脂は、シェルポリマー中にカルボキシ基を有すると考えられ、このような構造であると、上記カルボキシ基が上記架橋剤と反応し、架橋構造をより形成しやすいため、低接触角層5の強度がより向上し得る。
上記バインダーが樹脂を含む場合、上記樹脂のガラス転移温度は、15~48℃が好ましく、より好ましくは20~45℃、特に好ましくは22~40℃である。また、上記コアシェル型樹脂のコア部のガラス転移温度は、上記範囲内であることが好ましい。上記ガラス転移温度が上記範囲内であると、塗工時に適度に融着し、良好な成膜性が得られるため、上記水接触角をよりいっそう適切な範囲にしやすいと考えられる。また、上記ガラス転移温度が上記範囲内であると成膜性に優れるため、ボイルされたときに、層の剥離をよりいっそう抑制することができる。
上記バインダーの含有割合は、低接触角層5の総固形分100質量%に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。また、上記含有割合は、低接触角層5の総固形分100質量%に対して、95質量%以上であってもよく、97質量%以上であってもよく、99質量%以上であってもよく、実質的に100質量%であってもよい。上記含有割合が上記範囲内であると、水接触角をよりいっそう適切な範囲にしやすい。
上記コアシェル型樹脂の含有割合は、低接触角層5中のバインダーの総量100質量%に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。上記含有割合は、低接触角層5中のバインダーの総量100質量%に対して、実質的に100質量%であってもよい。また、上記コアシェル型アクリル系樹脂の含有割合は、低接触角層5中のバインダーの総量100質量%に対して、上記範囲内であることが好ましい。
上記架橋剤としては、例えば、感熱記録層の項目で挙げた架橋剤と同様のものが挙げられる。中でも、上記架橋剤としては、上記アクリル系樹脂と架橋構造を形成しやすいという観点から、エピクロロヒドリン系樹脂が好ましい。これらの架橋剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記架橋剤の含有割合は、低接触角層5の総固形分100質量%に対して、0.1質量%以上であってもよく、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上であってもよい。また、上記架橋剤の含有割合は、低接触角層5の総固形分100質量%に対して、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。なお、本明細書において、上記エピクロロヒドリン系樹脂は、上記バインダーとしての含有割合には含まず、架橋剤としての含有割合に含めるものとする。
上記濡れ剤としては、例えば、アンカー層の項目で挙げた濡れ剤と同様のものが挙げられる。これらの濡れ剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
低接触角層5の塗工量(乾燥質量)としては、例えば、0.1g/m~10g/mが好ましく、より好ましくは1.0g/m~5.0g/mである。上記塗工量が上記範囲内であると、ボイル耐性をより適切なものにしやすい。
(トップコート層)
トップコート層6は、サーマルヘッドに対する感熱記録体1のマッチング性の向上、すなわちヘッドの滑り性の向上やヘッドへのカス付着の抑制を目的とした層である。トップコート層6は、必要としない場合には設けなくてもよい。マッチング性を向上させる観点からは、感熱記録体1は、一方の端面にトップコート層6を備えることが好ましい。トップコート層6は、例えば、バインダー、充填剤、滑剤、架橋剤、濡れ剤等を含んでもよい。
上記バインダーとしては、例えば、アンカー層の項目で挙げたバインダーと同様のものが挙げられる。中でも、上記バインダーとしては、アクリル系樹脂が好ましい。また、上記バインダーは、コアシェル型樹脂を含んでもよいし、コアシェル型樹脂を含まなくてもよい。これらのバインダーは、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記バインダーの含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。また、上記バインダーの含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、60質量%以下が好ましく、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。また、上記樹脂の含有割合は、トップコート層6中の樹脂の総量100質量%に対して、上記範囲内であることが好ましい。
上記充填剤としては、例えば、アンカー層の項目で挙げた充填剤と同様のものが挙げられる。中でも、上記充填剤としては、無機系充填剤が好ましい。また、場合によっては、アンカー層の項目で挙げた有機系充填剤(例えばPMMA粒子など)を添加してもよい。これらのバインダーは、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記充填剤の含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。また、上記充填剤の含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、60質量%以下が好ましく、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
上記滑剤としては、例えば、感熱記録層の項目で挙げた滑剤と同様のものが挙げられる。これらの滑剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記滑剤の含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、1質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。また、上記滑剤の含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
上記架橋剤としては、例えば、感熱記録層の項目で挙げた架橋剤と同様のものが挙げられる。中でも、金属イオンを含む架橋構造を形成することにより耐熱性を向上させてサーマルヘッドへの適正を高めるという観点から、上記架橋剤としては、無機系架橋剤が好ましく、ジルコニウム化合物がより好ましい。これらの架橋剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記架橋剤の含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。また、上記架橋剤の含有割合は、トップコート層6の総固形分100質量%に対して、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
上記濡れ剤としては、例えば、アンカー層の項目で挙げた濡れ剤と同様のものが挙げられる。これらの濡れ剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
[感熱記録体の製造方法]
本発明の感熱記録体の製造方法は特に限定されず、公知乃至慣用の方法を適用することができる。上記感熱記録体の製造方法の一実施形態について、図1を用いて説明する。まず、感熱記録層4および低接触角層5は、各層に含まれる成分を含む塗液を塗工することにより形成することができる。例えば、感熱記録層用塗液は、感熱記録層4に含まれる成分を水等の溶媒中に分散させることにより調製することができ、同様の手段で低接触角層用塗液を調製することもできる。次いで、上記感熱記録層用塗液を基材2の片面に塗工し、乾燥させることで感熱記録層4を形成することができ、さらに上記低接触角層用塗液を感熱記録層4の表面に塗工し、乾燥させることで低接触角層5を形成することができる。このようにして図1に示す感熱記録体1を得ることができる。
(調製工程)
上記感熱記録層用塗液は、各材料を全て同じ溶媒中にあらかじめ分散させることにより調製してもよい。また、お互いに反応する染料と顕色剤とを、別々の分散液として調製してから両者を混合し、感熱記録層用塗液としてもよい。その際、その他の成分は染料を含む分散液、および顕色剤を含む分散液のどちらに添加してもよく、両者に添加してもよい。上記感熱記録層用塗液を調製する方法としては、例えば、撹拌、超音波処理、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー等を用いた解砕処理等が挙げられる。また、上記低接触角層用塗液も、同様の手段で調製することができる。これらの方法は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(塗工工程)
上記感熱記録層用塗液を塗工する方法としては、例えば、剥離ライナー等に塗工した後、剥離ライナーを剥離する方法や、基材を用いる場合には基材の片面に直接塗工する方法等が挙げられる。塗工する方法としては、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等が挙げられる。ワイヤーバーを用いた手塗りでもよい。また、上記低接触角層用塗液も、同様の手段で塗工することができる。これらの方法は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(乾燥工程)
上記で塗工した感熱記録層用塗液を乾燥させる方法としては、例えば、加熱乾燥、常温乾燥、真空乾燥等が挙げられる。これらの方法は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの方法により感熱記録層4を形成することができる。また、低接触角層5も、同様の手段で形成することができる。
本発明の感熱記録体が、基材、感熱記録層、および低接触角層以外のその他の層を備える場合、その他の層を形成する方法としては、上述の方法を援用することができる。例えば、図2に示す感熱記録体1は、アンカー層3に含まれる成分を水等の溶媒中に分散させて調製したアンカー層用塗液を基材2の片面に塗工し、乾燥させてアンカー層3を形成し、次いでアンカー層3上に、感熱記録層4および低接触角層5を上記と同様の手法で積層し、次いでトップコート層6に含まれる成分を水等の溶媒中に分散させて調製したトップコート層用塗液を低接触角層5の表面に塗工し、乾燥させてトップコート層6を形成することにより作製することができる。
本発明の感熱記録体の製造方法では、各層を例えばカーテンコータ等によって多層同時塗工してもよいし、個別に順次形成してもよい。また、一部の層を同時塗工し、一部の層を個別に順次形成してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例に記載の質量は、各成分の質量(すなわち、層形成後の乾燥時における質量)を意味するものとする。
実施例1
(感熱記録体の作製)
<アンカー層>
バインダーであるスチレン-アクリル樹脂を84質量%と、帯電防止剤であるアクリル・スチレン系共重合体を15質量%と、濡れ剤である界面活性剤を1質量%と、水とを混合し、アンカー層用塗液(固形分濃度11質量%)を常法により調製した。得られたアンカー層用塗液を基材である合成紙の片面上に常法により塗工、乾燥させて塗工量0.4g/m(乾燥質量)のアンカー層を形成した。
<感熱記録層>
顕色剤であるN,N’-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素(商品名「S-176」、三光株式会社製)を90質量%と、バインダーであるアクリル系樹脂を10質量%と、水とを混合し、A剤分散液(固形分濃度39質量%)を常法により調製した。次いで、上記A剤分散液を60質量%と、充填剤であるカオリンを15質量%と、バインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)を23質量%と、滑剤であるポリエチレンを2質量%と、水とを混合し、B剤分散液(固形分濃度36質量%)を常法により調製した。次いで、染料である3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(ODB-2)を83質量%と、バインダーであるアクリル系樹脂を17質量%と、水とを混合し、C剤分散液(固形分濃度34質量%)を常法により調製した。次いで、上記B剤分散液を82質量%と、上記C剤分散液を17質量%と、架橋剤であるポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を1質量%と、水とを混合し、感熱記録層用塗液(固形分濃度24質量%)を常法により調製した。得られた感熱記録層用塗液を上記アンカー層の表面に常法により塗工、乾燥させることにより、塗工量4.4g/m(乾燥質量)の感熱記録層を形成した。
<低接触角層>
樹脂Aであるコアシェル型アクリル系樹脂を含むエマルジョンに水を添加して常法により調製した低接触角層用塗液(固形分濃度14質量%)を上記感熱記録層の表面に常法により塗工し、乾燥させることにより、塗工量1.6g/m(乾燥質量)の低接触角層Aを形成し、実施例1の感熱記録体を得た。
実施例2~3、比較例1~6
低接触角層の作製工程において、樹脂Aに代えて表1に示す樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして実施例2~3および比較例1~6の感熱記録体を作製した。なお、比較例1~6において、実施例の低接触角層に相当する位置に形成された層は、後述する水接触角が高いため、保護層と称する。
参考例1
低接触角層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、基材、アンカー層、および感熱記録層からなる積層体を作製した。
[評価]
実施例および比較例で作製した感熱記録体、ならびに参考例で作製した積層体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)水接触角の測定
低接触角層の表面に純水を0.025g滴下し、30秒後の接触角をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、装置名:VHX-8000)を用いて測定した。なお、参考例1は、感熱記録層の水接触角を上記と同様の手順で測定した。
(2)ボイル試験
感熱記録体または積層体を沸騰した湯(100℃)に1分間浸漬させた。
(3)層の剥離、溶解の評価
(2)のボイル試験後の感熱記録体または積層体を目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
〇:層の剥離および溶解が確認されなかった
×:層の剥離または溶解のいずれか1つ以上が確認された
(4)L値の測定
(2)のボイル試験後の感熱記録体または積層体の非印字部のL値を分光濃度・測色計(X-rite社製、装置名:eXact)を用いて測定した。
(5)ボイル耐性の評価
下記評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
〇:下記項目1~2をすべて満たす
×:下記項目1~2のいずれか1つ以上を満たさない
項目1.(3)の評価結果が○であること
項目2.(4)で測定されるL値が90以上であること
表1に示すように、低接触角層が積層されない場合(参考例1)、ボイル後の非印字部のL値が最も高い値(95.07)を示し、非印字部の白色を最も保っていた。これは、参考例1では感熱記録層が積層体の端面に位置することから、当該積層体に付着・浸透した熱水はボイル後、素早く蒸発し、感熱記録層が冷めやすいため、発色が抑制されたものと推定される。そして、低接触角層が積層されても、低接触角層の水接触角が40°以下の場合(実施例1~3)、L値は高い値(91.87~93.04)を示し、非印字部の白色を維持することができていたため、非印字部のボイル耐性に優れると判断された。これは、低接触角層の水接触角が低い場合、水の濡れ性に優れることから、熱水や水蒸気が低接触角層に素早く吸着して濡れ広がり、低接触角層に沿って感熱記録層から排出されやすいため、発色が抑制されたものと推定される。一方、実施例の低接触角層に相当する位置に形成された保護層の水接触角が40°超の場合(比較例1~3)、水接触角が40°以下のときよりもL値は低い値(86.18~87.62)を示し、非印字部の白色度の維持率に劣っており、非印字部のボイル耐性に劣ると判断された。
また、保護層をガラス転移温度が50℃以上の樹脂のみから形成した場合(比較例4~5)、水接触角が40°以下となる例は見出されず、さらにボイル後において層の剥離が確認された。この理由は定かではないが、例えば次のような理由が考えられる。まず、ガラス転移温度が比較的高い樹脂のみから形成される場合、塗工時に樹脂が融着しづらいため、保護層中に粒子状の樹脂が残存しやすいと考えられる。このような保護層は層が不均一となり水がなじみにくいため、感熱記録体に付着・浸透した熱水が保護層に吸収されづらく、かつ濡れ広がりにくくなることから、感熱記録層と保護層との間に水滴が存在しやすくなる。このため、水膨れなどが発生しやすくなり、剥離が促進されやすくなったと考えられる。
また、保護層を水溶性樹脂であるPVAで形成した場合(比較例6)、水に溶解するため、水接触角が正確に測定できず、さらにボイル後には層の溶解が観察された。
なお、表1に示す各種原料は以下の通りである。
樹脂A:コアシェル型アクリル系樹脂(コア部のガラス転移温度:30℃)
樹脂B:コアシェル型アクリル系樹脂(コア部のガラス転移温度:36℃)
樹脂C:コアシェル型アクリル系樹脂(コア部のガラス転移温度:36℃)
樹脂D:非コアシェル型SBR(ガラス転移温度:8℃)
樹脂E:非コアシェル型スチレンアクリル樹脂(ガラス転移温度:4℃)
樹脂F:非コアシェル型スチレンアクリル樹脂(ガラス転移温度:14℃)
樹脂G:非コアシェル型アクリル系樹脂(ガラス転移温度:60℃)
樹脂H:非コアシェル型アクリル系樹脂(ガラス転移温度:50℃)
樹脂I:PVA樹脂(水溶性樹脂)
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記する。
[付記1]基材、感熱記録層、および低接触角層をこの順に備える感熱記録体であり、前記低接触角層は前記感熱記録層上に直接積層されており、前記感熱記録層は顕色剤として上記式(1)で表される化合物を含み、前記低接触角層の水接触角は40°以下である、感熱記録体。
[付記2]前記低接触角層はバインダーとしてコアシェル型樹脂を含む、付記1に記載の感熱記録体。
[付記3]前記コアシェル型樹脂はコアシェル型アクリル系樹脂を含む、付記2に記載の感熱記録体。
[付記4]前記コアシェル型樹脂において、コア部の質量に対するシェル部の質量の比(シェル部の質量/コア部の質量)は0.5以上である、付記2または3に記載の感熱記録体。
[付記5]前記低接触角層は、さらにエピクロロヒドリン系樹脂を含む、付記1~4のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記6]前記バインダーの含有割合は、前記低接触角層の総固形分質量100質量%に対して80質量%以上である、付記2~5のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記7]前記感熱記録層は、水溶性樹脂を含まない、付記1~6のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記8]前記感熱記録層は、充填剤としてカオリン、焼成カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、およびカオリナイトからなる群より選択される1種以上を含む、付記1~7のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記9]前記基材と前記感熱記録層との間にバインダーとしてアクリル系樹脂を含むアンカー層を備える、付記1~8のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記10]前記バインダーの含有割合は、前記アンカー層の総固形分100質量%に対して50質量%以上である、付記9に記載の感熱記録体。
[付記11]前記アクリル系樹脂の含有割合は、前記アンカー層中のバインダーの総量100質量%に対して、70質量%以上である、付記9または10に記載の感熱記録体。
[付記12]前記アンカー層は、充填剤として中空粒子を含んでもよく、前記アンカー層が前記中空粒子を含む場合、前記中空粒子の含有割合は、前記アンカー層の総固形分100質量%に対して10質量%以下である、付記9~11のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記13]前記アンカー層は、中空粒子を含まない、付記9~12のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記14]前記低接触角層の前記感熱記録層とは反対側の面にトップコート層を備える、付記1~13のいずれか1つに記載の感熱記録体。
[付記15]前記基材は、ラミネート紙、不織布、合成樹脂フィルム、または合成紙のいずれかである、付記1~14のいずれか1つに記載の感熱記録体。
1 感熱記録体
2 基材
3 アンカー層
4 感熱記録層
5 低接触角層
6 トップコート層

Claims (13)

  1. 基材、感熱記録層、および低接触角層をこの順に備える感熱記録体であり、
    前記低接触角層は前記感熱記録層上に直接積層されており、
    前記感熱記録層は顕色剤として下記式(1)で表される化合物を含み、
    前記低接触角層の水接触角は40°以下である、感熱記録体。
    (式(1)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の炭化水素基であり、複数のRは、同じであっても異なっていてもよい。Aは、炭素数1~4の炭化水素基である。Aが2つ以上ある場合、複数のAは、同じであっても異なっていてもよい。nは0~4の整数を表し、複数のnは、同じであっても異なっていてもよい。)
  2. 前記低接触角層はバインダーを含み、
    前記バインダーの含有割合は、前記低接触角層の総固形分質量100質量%に対して50質量%以上である、請求項1に記載の感熱記録体。
  3. 前記バインダーの含有割合は、前記低接触角層の総固形分質量100質量%に対して80質量%以上である、請求項2に記載の感熱記録体。
  4. 前記低接触角層は、さらにエピクロロヒドリン系樹脂を含む、請求項2に記載の感熱記録体。
  5. 前記感熱記録層は、水溶性樹脂を含まない、請求項1または2に記載の感熱記録体。
  6. 前記感熱記録層は、充填剤としてカオリン、焼成カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、およびカオリナイトからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1または2に記載の感熱記録体。
  7. 前記基材と前記感熱記録層との間にバインダーとしてアクリル系樹脂を含むアンカー層を備える、請求項1または2に記載の感熱記録体。
  8. 前記バインダーの含有割合は、前記アンカー層の総固形分100質量%に対して50質量%以上である、請求項7に記載の感熱記録体。
  9. 前記アクリル系樹脂の含有割合は、前記アンカー層中のバインダーの総量100質量%に対して、70質量%以上である、請求項7に記載の感熱記録体。
  10. 前記アンカー層は、充填剤として中空粒子を含んでもよく、
    前記アンカー層が前記中空粒子を含む場合、前記中空粒子の含有割合は、前記アンカー層の総固形分100質量%に対して10質量%以下である、請求項7に記載の感熱記録体。
  11. 前記アンカー層は、中空粒子を含まない、請求項7に記載の感熱記録体。
  12. 前記低接触角層の前記感熱記録層とは反対側の面にトップコート層を備える、請求項1または2に記載の感熱記録体。
  13. 前記基材は、ラミネート紙、不織布、合成樹脂フィルム、または合成紙のいずれかである、請求項1または2に記載の感熱記録体。
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