当技術分野において、補体関連状態を有する患者を処置するための治療分子を開発する必要性が存在する。本発明は、補体因子D(CFD)を標的とする治療薬を提供することによって、この必要性に対処する。一態様では、本発明は、補体因子D(CFD)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。いくつかの実施形態では、補体因子D(CFD)に特異的に結合する単離された抗体は、配列番号5、27、29、34もしくは36に対して少なくとも90%、95%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する重鎖可変領域アミノ酸配列、及び/または配列番号6、8、26、28、35もしくは37に対して少なくとも90%、95%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、補体因子D(CFD)に特異的に結合する単離された抗体は、配列番号5、27、29、34もしくは36と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び/または配列番号6、8、26、28、35もしくは37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLES(配列番号20)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号6、8、26、28、35または37に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号6、8、26、28、35または37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSASSNDDAV(配列番号18)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSASSNDDAV(配列番号18)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号5と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号6と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADLNDDAV(配列番号19)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADLNDDAV(配列番号19)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号5と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号8と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLES(配列番号20)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号29と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号28と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号27と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号26と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
一態様では、本発明は、補体因子D(CFD)と特異的に結合する単離された抗体であって、重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む、重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む、単離された抗体を提供する。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号34と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号35と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号36と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号35もしくは配列番号37に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン、配列番号34もしくは配列番号36に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン、及び/または(a)の軽鎖可変ドメイン及び(b)の重鎖可変ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号35または配列番号37に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号34または配列番号36に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体はモノクローナル抗体またはその断片である。
いくつかの実施形態では、単離された抗体はIgG定常領域をさらに含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号1、3、30または32に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号2、4、31または33に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は補体副経路を阻害する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は補体因子Bの切断を阻害する。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、pH7.4において、約1pM~約50pMの間の親和性解離定数(KD)でCFDに結合する。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、pH7.4において、約50pM未満、約45pM未満、約40pM未満、約35pM未満、約30pM未満、約25pM未満、約20pM未満、約15pM未満、約10pM未満、約9pM未満、約8pM未満、約7pM未満、約6pM未満、または約5pM未満の親和性解離定数(KD)でCFDに結合する。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、pH5.5において、約15nM~約150nMの間の親和性解離定数(KD)でCFDに結合する。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、pH5.5において、約15nM超、約20nM超、約25nM超、約30nM超、約35nM超、約40nM超、約45nM超、約50nM超、約100nM超、または約150nM超の親和性解離定数(KD)でCFDに結合する。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、pH5.5におけるCFDの抗体からのオフレートが、0.010s-1超、0.015s-1超、0.02s-1超、0.025s-1超、0.03s-1超、0.035s-1超、または0.04s-1超である。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、約5日超、約10日、約15日、約20日、約25日、約30日、約35日、約40日、約45日、約50日、約60日、約70日、約80日、約90日、約95日、約100日、または約125日以上の血清半減期を有する。
一態様では、本発明は、本明細書に記載される単離された抗体をコードする核酸配列を提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に記載される単離された抗体をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に記載される単離された抗体をコードする核酸配列を含む宿主細胞を提供する。
一態様では、本発明は、抗体を産生する方法であって、宿主細胞を抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む、方法を提供する。
一態様では、本発明は、医薬としての使用のための、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を提供する。
一態様では、本発明は、補体介在性疾患または障害を処置する方法であって、有効量の本明細書に記載される抗体を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、補体介在性疾患または障害は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)または発作性夜間血色素尿症(PNH)である。
いくつかの実施形態では、抗体の投与は血管内溶血及び血管外溶血を阻害する。
定義
AまたはAn:冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、その冠詞の文法的対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
親和性:本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、結合部分(例えば、抗原結合部分(例えば、本明細書に記載される可変ドメイン)及び/またはFc受容体結合部分(例えば、本明細書に記載されるFcRn結合部分))と標的(例えば、抗原(例えば、CFD)及び/またはFcR(例えば、FcRn))との間の結合相互作用の特徴を指し、結合相互作用の強さを示す。いくつかの実施形態では、親和性の尺度は、解離定数(KD)として表される。いくつかの実施形態では、結合部分は、標的に対して高い親和性(例えば、約10-7M未満、約10-8M未満、または約10-9M未満のKD)を有する。いくつかの実施形態では、結合部分は、標的に対して低い親和性(例えば、約10-7Mよりも高い、約10-6Mよりも高い、約10-5Mよりも高い、または約10-4Mよりも高いKD)を有する。いくつかの実施形態では、結合部分は、第1のpHにおいて標的に対して高い親和性を有し、第2のpHにおいて標的に対して低い親和性を有し、第1のpHと第2のpHとの間のpHレベルにおいて標的に対して中間の親和性を有する。
およそまたは約:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、1つまたは複数の目的の値に適用される場合、記述された参照値に類似する値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に明記されていない限り、または別段のことが文脈から明らかでない限り、いずれかの方向(より大きいまたはより小さい)に、記述された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%以下以内に収まる値の範囲を指す(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)。
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチド、例えば、免疫グロブリン可変ドメインまたは免疫グロブリン可変ドメイン配列を提供するアミノ酸配列を指す。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書においてVHと略記される)及び軽(L)鎖可変領域(本明細書においてVLと略記される)を含むことができる。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域及び2つの軽(L)鎖可変領域を含む。「抗体」という用語は、抗体の抗原結合断片(例えば、一本鎖抗体、Fab、F(ab’)2、Fd、Fv、及びdAb断片)、及び完全抗体、例えば、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM型(及びそのサブタイプ)の無傷免疫グロブリンを包含する。免疫グロブリンの軽鎖は、カッパまたはラムダ型であり得る。
結合部分:本明細書で使用される場合、「結合部分」とは、標的、例えば目的の標的(例えば、抗原(例えば、CFD)及び/またはFcR(例えば、FcRn))と特異的に結合することができる任意の分子または分子の一部である。結合部分としては、例えば、抗体、その抗原結合断片、Fc領域またはそのFc断片、抗体模倣体、ペプチド、及びアプタマーが挙げられる。
定常領域:本明細書で使用される場合、「定常領域」という用語は、抗体の1つまたは複数の定常領域免疫グロブリンドメインに対応するかまたはそれに由来するポリペプチドを指す。定常領域は、以下の免疫グロブリンドメイン:CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメイン、CH3ドメイン(IgA、IgD、IgG、IgE、またはIgMに由来する)、及びCH4ドメイン(IgEまたはIgMに由来する)のうちのいずれかまたは全てを含み得る。
Fc領域:本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、2つの「Fcポリペプチド」の二量体を指し、各「Fcポリペプチド」は、抗体の、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除く定常領域を含む。いくつかの実施形態では、「Fc領域」は、1つまたは複数のジスルフィド結合、化学リンカー、またはペプチドリンカーによって連結されている2つのFcポリペプチドを含む。「Fcポリペプチド」とは、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインを指し、これらのドメインのN末端側の可動性のヒンジの一部または全部もまた含み得る。IgGの場合、「Fcポリペプチド」は、免疫グロブリンドメインCガンマ2(Cγ2)及びCガンマ3(Cγ3)、ならびにCガンマ1(Cγ1)とCγ2との間のヒンジの下部を含む。Fcポリペプチドの境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fcポリペプチドは、通例、T223またはC226またはP230から始まる残基をそのカルボキシル末端に含むと定義され、ここで、ナンバリングは、Kabat et al.(1991,NIH Publication 91-3242,National Technical Information Services,Springfield,VA)と同様のEUインデックスに従っている。IgAの場合、Fcポリペプチドは、免疫グロブリンドメインCアルファ2(Cα2)及びCアルファ3(Cα3)、ならびにCアルファ1(Cα1)とCα2との間のヒンジの下部を含む。Fc領域は、合成、組換え、またはIVIGなどの天然源から生成されたものであり得る。
Ka:本明細書で使用される場合、「Ka」とは、特定の結合部分と標的との、結合部分/標的複合体を形成する会合速度を指す。
Kd:本明細書で使用される場合、「Kd」とは、特定の結合部分/標的複合体の解離速度を指す。
KD:本明細書で使用される場合、「KD」とは、KdのKaに対する比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指す。KD値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して、例えば、表面プラズモン共鳴を使用するか、またはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによって決定され得る。
参照:「参照」実体、「参照」システム、「参照」量、一連の「参照」条件などは、試験実体、試験システム、試験量、一連の試験条件などが本明細書に記載されているように比較される対象である。例えば、いくつかの実施形態では、「参照」抗体とは、本明細書に記載されるように操作されていない対照抗体である。
選択的結合:本明細書で使用される場合、「選択的結合」、「選択的に結合する」、「特異的結合」、または「特異的に結合する」とは、結合部分及び標的との関連において、結合部分の、標的ではない実体ではなく標的に対する優先的な会合を指す。結合部分と非標的との間に、ある程度の非特異的結合が生じてもよい。いくつかの実施形態では、結合部分は、結合部分と標的との間の結合が、結合部分と非標的との結合と比較して2倍超、5倍超、10倍超、または100倍超である場合、標的と選択的に結合する。いくつかの実施形態では、結合部分は、結合親和性が約10-5M未満、約10-6M未満、約10-7M未満、約10-8M未満、または約10-9M未満である場合、標的と選択的に結合する。
対象:「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、診断、予後、または療法が所望される任意の対象を意味する。例えば、対象は哺乳動物、例えばヒトまたは非ヒト霊長類(例えば、類人猿、サル、オランウータン、またはチンパンジー)、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ(cattle)、または乳牛(cow)であり得る。
標的:本明細書で使用される場合、「標的」とは、多重特異性結合分子の結合部分が特異的に結合する任意の分子である。いくつかの実施形態では、標的は本明細書に記載される抗原(例えば、CFD)である。いくつかの実施形態では、標的はFcR(例えば、FcRn)である。「第1の標的」及び「第2の標的」という用語は、本明細書では、同じ分子種の2つの分子ではなく、2つの別個の分子種の分子を指すために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の標的は血清タンパク質であり、第2の標的はFcRnである。
治療有効量:本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、処置される対象に対して、任意の医学的処置に適用可能な合理的な利益/危険比で治療効果を付与する治療分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)の量を指す。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果の兆候を示すかまたは効果を感じる)であり得る。特に、「治療有効量」は、特定の疾患または状態を処置、回復、または予防するか、あるいは、疾患と関連する症状を回復すること、疾患の発症を予防もしくは遅延すること、及び/またはさらには疾患の症状の重症度もしくは頻度を低減することなどによって検出可能な治療または予防効果を呈するのに効果的な治療分子または組成物の量を指す。治療有効量は、複数の単位用量を含み得る投薬レジメンにおいて投与することができる。いかなる特定の治療分子においても、治療有効量(及び/または効果的な投薬レジメンにおける適切な単位用量)は、例えば、投与経路、他の医薬品との組み合わせに応じて変動し得る。また、任意の特定の対象に対する具体的な治療有効量(及び/または単位用量)は、処置されている障害及びその障害の重症度;用いられる特定の医薬品の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;用いられる特定の治療分子の、投与時間、投与経路、及び/または排泄もしくは代謝速度;処置の期間;ならびに医学分野において周知の類似の因子を含む様々な因子に依存し得る。
処置:本明細書で使用される場合、「処置」(また、「処置する」または「処置すること」)という用語は、特定の疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を、部分的にまたは完全に、軽減する、回復する、緩和する、阻害する、その発症を遅延させる、その重症度を低下させる、及び/またはその発生率を低下させる治療分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)の任意の投与を指す。そのような処置は、関連する疾患、障害及び/または状態の徴候を呈しない対象、及び/または疾患、障害、及び/または状態の初期徴候のみを呈する対象の処置であってもよい。代替的にまたは付加的に、そのような処置は、関連する疾患、障害及び/または状態の1つまたは複数の確立された徴候を呈する対象の処置であってもよい。
本開示はさらに、下記態様を提供する。
[項目1]
配列番号5、27、29、34もしくは36に対して少なくとも90%、95%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する重鎖可変領域アミノ酸配列、及び/または
配列番号6、8、26、28、35もしくは37に対して少なくとも90%、95%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、補体因子D(CFD)に特異的に結合する単離された抗体。
[項目2]
配列番号5、27、29、34または36と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列を含む、項目1に記載の単離された抗体。
[項目3]
配列番号6、8、26、28、35または37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目4]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む、及び/または
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
項目1から3のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目5]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLES(配列番号20)を含む、及び/または
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
項目1から3のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目6]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む、及び/または
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
項目1から3のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目7]
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSASSNDDAV(配列番号18)を含む、
項目1から6のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目8]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む、
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSASSNDDAV(配列番号18)を含む、
項目7に記載の単離された抗体。
[項目9]
配列番号5と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号6と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目8に記載の単離された抗体。
[項目10]
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADLNDDAV(配列番号19)を含む、
項目1から6のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目11]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む、
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADLNDDAV(配列番号19)を含む、
項目10に記載の単離された抗体。
[項目12]
配列番号5と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号8と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目11に記載の単離された抗体。
[項目13]
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む、
項目1から6のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目14]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLES(配列番号20)を含む、
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む、
項目13に記載の単離された抗体。
[項目15]
配列番号29と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号28と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目14に記載の単離された抗体。
[項目16]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む、
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む、
項目13に記載の単離された抗体。
[項目17]
配列番号27と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号26と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目16に記載の単離された抗体。
[項目18]
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む、
項目6に記載の単離された抗体。
[項目19]
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む、
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む、
項目18に記載の単離された抗体。
[項目20]
配列番号34と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号35と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目19に記載の単離された抗体。
[項目21]
配列番号36と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目19に記載の単離された抗体。
[項目22]
補体因子D(CFD)と特異的に結合する単離された抗体であって、
重鎖CDR1がアミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む、
重鎖CDR2がアミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む、
重鎖CDR3がアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む、
軽鎖CDR1がアミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む、
軽鎖CDR2がアミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む、及び/または
軽鎖CDR3がアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む、
前記単離された抗体。
[項目23]
配列番号34と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号35と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目22に記載の単離された抗体。
[項目24]
配列番号34と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号35と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目23に記載の単離された抗体。
[項目25]
配列番号36と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号37と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目22に記載の単離された抗体。
[項目26]
配列番号36と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び
配列番号37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列
を含む、項目25に記載の単離された抗体。
[項目27]
モノクローナル抗体またはその断片である、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目28]
IgG定常領域をさらに含む、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目29]
配列番号1、3、30または32に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目30]
配列番号2、4、31または33に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目31]
補体副経路を阻害する、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目32]
補体因子Bの切断を阻害する、項目31に記載の単離された抗体。
[項目33]
pH7.4において、約1pM~約50pMの間の親和性解離定数(K
D
)でCFDに結合する、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目34]
pH7.4において、約50pM未満、約45pM未満、約40pM未満、約35pM未満、約30pM未満、約25pM未満、約20pM未満、約15pM未満、約10pM未満、約9pM未満、約8pM未満、約7pM未満、約6pM未満、または約5pM未満の親和性解離定数(K
D
)でCFDに結合する、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目35]
pH5.5において、約15nM~約150nMの間の親和性解離定数(K
D
)でCFDに結合する、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目36]
pH5.5において、約15nM超、約20nM超、約25nM超、約30nM超、約35nM超、約40nM超、約45nM超、約50nM超、約100nM超、または約150nM超の親和性解離定数(K
D
)でCFDに結合する、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目37]
pH5.5におけるCFDの前記抗体からのオフレートが、0.010s
-1
超、0.015s
-1
超、0.02s
-1
超、0.025s
-1
超、0.03s
-1
超、0.035s
-1
超、または0.04s
-1
超である、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目38]
約5日超、約10日、約15日、約20日、約25日、約30日、約35日、約40日、約45日、約50日、約60日、約70日、約80日、約90日、約95日、約100日、または約125日以上の血清半減期を有する、先行項目のいずれか1項に記載の単離された抗体。
[項目39]
項目1から38のいずれか1項に記載の単離された抗体をコードする核酸配列。
[項目40]
項目39に記載の核酸配列を含むベクター。
[項目41]
項目39に記載の核酸配列または項目40に記載のベクターを含む宿主細胞。
[項目42]
抗体を産生する方法であって、項目41に記載の宿主細胞を前記抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む、前記方法。
[項目43]
医薬としての使用のための、項目1から38に記載の抗体またはその抗原結合断片。
[項目44]
補体介在性疾患または障害を処置する方法であって、有効量の項目1から38のいずれか1項に記載の抗体を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
[項目45]
前記補体介在性疾患または障害が、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)または発作性夜間血色素尿症(PNH)である、項目44に記載の方法。
[項目46]
前記抗体の投与が血管内溶血及び血管外溶血を阻害する、項目44または45に記載の方法。
図面は説明のみを目的としており、限定を目的としていない。
補体因子Dの阻害は副経路活性化を予防し得る。本開示は、部分的には、CFDの枯渇をもたらす、CFD(例えば、ヒトCFD)に対するpH依存性結合及び/またはFc受容体(例えば、FcRn)に対する変更された(例えば増加した、例えばpH依存性の)結合を驚くべきことに呈する操作された抗体の発見に基づく。本明細書に記載される抗体を使用するCFD阻害は、血管内及び血管外溶血を阻止する。
補体因子D
アディプシンとしても知られている補体因子D(CFD)は、補体系の副経路の開始に不可欠なセリンプロテアーゼである。ヒト補体因子Dは、シグナルペプチド(aa1~20)と、5残基活性化/プロペプチド(aa21~25)と、成熟鎖(aa26~253)とを含有する253アミノ酸前駆体として合成される。成熟ヒト因子Dは、チンパンジー因子Dと98%、アカゲザル因子Dと96%、ブタ因子Dと84%、マウス因子Dと66%のaa配列同一性を共有する。因子Dは、単球/マクロファージ、筋肉、坐骨神経、子宮内膜、腎臓、腸を含む複数の組織において発現し、脂肪細胞ではとりわけ高いレベルで発現する。
補体副経路の異常な活性化は、赤血球(RBC)の補体介在性破壊を引き起こす場合がある。例えば、赤血球(RBC)の表面におけるCD55/59欠損は、感受性のRBCに対して終末補体介在性沈着及び破壊を引き起こす。捕捉された酸化ヘモグロビンは、遊離ヘモグロビンを放出する溶血を引き起こし、一酸化窒素枯渇をもたらし得る。腎毒性は、溶血赤血球からの遊離ヘモグロビン鉄及びヘモジデリン沈着に起因する。毒性物質への繰り返しの曝露、血栓症及び壊死は、腎不全をもたらし得る。溶血はまた、腎不全、肺高血圧症及び胆石症を含む合併症を引き起こす場合もある。
抗体
本明細書に記載される抗CFD抗体は、副経路における因子B切断の阻害によって補体因子D(CFD)活性を阻害するように設計されている。この阻害活性は、血管内及び血管外溶血を阻止する。本発明による抗CFD抗体は、酸スイッチ半減期延長(ASHE)とCFD阻害の両方について、ヒト及びカニクイザル(cyno)に対する種交差反応性を実証する。いくつかの実施形態では、抗CFD抗体は、pH7.4において、pH5.5よりも高い親和性でCFDと結合するように操作されている。いくつかの実施形態では、pH7.4における抗体結合は20pM未満であるかまたはそれに等しい。いくつかの実施形態では、CFDは、酸性pH5.5:kd>20nM、オフレート>10E-2s-1で放出される。いくつかの実施形態では、抗CFD抗体は、cynoにおいておよそ20日、またはノックインhuFcRnマウスにおいて45日超の半減期を有する。
本明細書に記載される操作された抗体は、免疫グロブリン、重鎖抗体、軽鎖抗体、LRRベースの抗体、または抗体様特性を有する他のタンパク質足場、及び、例えば、Fab、Fab’、Fab’2、Fab2、Fab3、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、scFv、SMIP、抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、タンダブ(tandab)、DVD、BiTe、TandAbなどを含む当技術分野で公知の他の免疫学的結合部分、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。種々のクラスの抗体のサブユニット構造及び三次元配置は、当技術分野で公知である。
抗体は、4つのポリペプチド鎖、例えば2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖の免疫グロブリン分子であり得る。重鎖は、重鎖可変ドメイン及び重鎖定常ドメインを含み得る。重鎖定常ドメインは、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び一部の場合ではCH4領域を含み得る。好適な重鎖定常領域は、いかなる免疫グロブリン(例えば、IgA、IgG、またはIgE)に由来してもよい。いくつかの実施形態では、好適な重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来し得る。特定の実施形態では、好適な重鎖定常領域はIgG1に由来する。軽鎖は、軽鎖可変ドメイン及び軽鎖定常ドメインを含み得る。軽鎖定常ドメインは、カッパ軽鎖またはラムダ軽鎖のいずれかを含み得る。重鎖の重鎖可変ドメイン及び軽鎖の軽鎖可変ドメインは、典型的には、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域の間に挿入されている、相補性決定領域(CDR)と称される可変性の領域にさらに細分することができる。そのような重鎖及び軽鎖可変ドメインは、それぞれ、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって以下の順番で配置されている3つのCDR及び4つのフレームワーク領域、すなわち、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4を含むことができ、これらのうちの1つまたは複数は、本明細書に記載されるように操作することができる。
操作された重鎖
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖を含み得る。
EVQVQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSITTSYYAWSWIRQPPGKGLEWMGDIANDGSTYYSPSLESRTSISRDTSKNQFSLQLSSVTPEDTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTQVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALKFHYTQKSLSLSPGK(配列番号2)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖可変領域を含み得る。
EVQVQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSITTSYYAWSWIRQPPGKGLEWMGDIANDGSTYYSPSLESRTSISRDTSKNQFSLQLSSVTPEDTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTQVTVSS(配列番号27)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖を含み得る。
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISTSYYAWSWIRQPPGKGLEWIGDIANEGSTYYSPSLESRVTISRDTSKNQFSLQLSSVTAADTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALKFHYTQKSLSLSPG(配列番号4)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖を含み得る。
QVQVQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISTSYYAWSWIRQPPGKGLEWMGDIANDGSTYYSPSLESRVTISRDTSKNQFSLQLSSVTAQDTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALKFHYTQKSLSLSPG(配列番号31)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖を含み得る。
QVQVQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISTSYYAWSWIRQPPGKGLEWMGDIANDGSTYYSPSLESRVTISRDTSKNQFSLQLSSVTAQDTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTQVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALKFHYTQKSLSLSPG(配列番号33)
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号2、4、31または33に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号2、4、31または33と同一の重鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号2、4、31または33と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2つ以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号2、4、31または33と比べて、1、4、30、50、56、69、70、89、90、120、222、364、または366位のうちの1つまたは複数に1つまたは複数のアミノ酸置換を有する重鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖可変領域を含み得る。
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISTSYYAWSWIRQPPGKGLEWIGDIANEGSTYYSPSLESRVTISRDTSKNQFSLQLSSVTAADTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTLVTVSS(配列番号29)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖可変領域を含み得る。
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISTSYYAWSWIRQPPGKGLEWIGDIANEGSTYYSPSLKSRVTISRDTSKNQFSLQLSSVTAADTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTLVTVSS(配列番号5)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号34のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖可変領域を含み得る。
QVQVQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISTSYYAWSWIRQPPGKGLEWMGDIANDGSTYYSPSLESRVTISRDTSKNQFSLQLSSVTAQDTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTLVTVSS(配列番号34)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖可変領域を含み得る。
QVQVQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISTSYYAWSWIRQPPGKGLEWMGDIANDGSTYYSPSLESRVTISRDTSKNQFSLQLSSVTAQDTAVYYCARLRSLYTDYDPHYYDYWGQGTQVTVSS(配列番号36)
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号5、27、29、34または36に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号5、27、29、34または36と同一の重鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号5、27、29、34または36に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号5、27、29、34または36と同一の重鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号5、27、29、34または36と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2つ以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号5、27、29、34または36と比べて、1、4、30、50、56、69、70、89、90、120、または222位のうちの1つまたは複数に1つまたは複数のアミノ酸置換を有する重鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLES(配列番号20)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む重鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3を含む。
当業者によって理解され得るように、任意のそのような重鎖CDR配列は、例えば分子生物学の技法によって、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフォーマットの抗体または結合分子に存在し得るような、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフレームワーク領域、CDR、もしくは定常ドメイン、またはそれらの一部を含む、本明細書において提供されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意の他の抗体配列またはドメインと容易に組み合わせることができる。
操作された重鎖定常ドメイン
本明細書に記載される様々な操作された抗体において、重鎖定常ドメインは、いかなるクラス(またはサブクラス)のものであってもよい。本明細書に記載される様々な操作された抗体において、重鎖定常ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2などのサブクラスを含む、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEのうちの1つまたは複数のいずれかのアミノ酸配列を含み得る。様々な場合において、本明細書に記載される操作された抗体の定常ドメインは、免疫グロブリン重鎖定常ドメインの2つ以上のクラス(またはサブクラス)の混合物を含み得る。例えば、操作された抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEクラスの定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第1の部分と、第1のものとは異なる、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEクラスの定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第2の部分とを含み得る。一部の場合では、本明細書に記載される操作された抗体の定常ドメインは、定常ドメインの特定のクラスの2つ以上のサブクラスの混合物、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスの定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第1の部分と、第1のものとは異なる、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスの定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第2の部分との混合物を含み得る。いくつかの特定の実施形態では、定常ドメインは、IgG2定常ドメインの全部または一部とIgG4定常ドメインの全部または一部とを含む。
一部の場合では、操作された抗体は、1つまたは複数のFc受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、またはFcRn受容体)に対する(参照定常領域と比較して)変更された結合を呈する抗体定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、定常領域、Fc領域またはFc断片は、参照定常領域、Fc領域またはFc断片と比べて変更された様式で(例えば、pH感受性の様式で(例えば、pH感受性がより高くなったかまたはより低くなった様式で)及び/または減少もしくは増加した結合で)標的(例えば、FcRn受容体)に結合するように操作されている。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、1つまたは複数のFcγ受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、またはFcγRIV)に対する(参照定常領域と比較して)減少した結合を呈する抗体定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、血清pH及び/または細胞内pHにおいて、FcRn受容体に対する(参照定常領域と比較して)増加した結合を呈する抗体定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。
例えば、操作された抗体は、アミノ酸残基251~256、285~290、308~314、385~389、及び428~436(Kabatナンバリング(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,NIH))のうちの1つまたは複数のアミノ酸付加、欠失、または置換を含むように操作されたIgG抗体の定常領域、Fc領域またはFc断片を含み得る。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの定常領域、Fc領域、またはFc断片アミノ酸のうちの1つまたは複数は、Fc受容体、例えばFcRnとの相互作用を媒介すると考えられている。いくつかの実施形態では、これらの開示されるアミノ酸のうちの1つまたは複数は、ヒスチジン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで置換されている。いくつかの実施形態では、非ヒスチジン残基はヒスチジン残基で置換されている。いくつかの実施形態では、ヒスチジン残基は非ヒスチジン残基で置換されている。
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、308、309、311、312、及び314位のうちの1つまたは複数にアミノ酸修飾を有する、より具体的には、308、309、311、312及び314位のうちの1つまたは複数に、それぞれトレオニン、プロリン、セリン、アスパラギン酸及びロイシンでの置換を有するIgG抗体の定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、308、309、及び311位のうちの1つまたは複数の残基は、それぞれイソロイシン、プロリン、及びグルタミン酸で置換されている。さらに他の実施形態では、308、309、311、312、及び314位のうちの1つまたは複数の残基は、それぞれトレオニン、プロリン、セリン、アスパラギン酸、及びロイシンで置換されている。
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、251、252、254、255、及び256位のうちの1つまたは複数にアミノ酸修飾を有する、より具体的には、これらの位置のうちの1つまたは複数に置換を有するIgG抗体の定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、残基251はロイシンもしくはアルギニンで置換されている、残基252はロイシン、チロシン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファンもしくはトレオニンで置換されている、残基254はトレオニンもしくはセリンで置換されている、残基255はロイシン、グリシン、イソロイシンもしくはアルギニンで置換されている、及び/または残基256はセリン、フェニルアラニン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、アスパラギンもしくはトレオニンで置換されている。いくつかの実施形態では、残基251はロイシンで置換されている、残基252はチロシンもしくはロイシンで置換されている、残基254はトレオニンもしくはセリンで置換されている、及び/または残基255はアルギニンで置換されている。さらに他の実施形態では、残基252はフェニルアラニンで置換されている、及び/または残基256はアスパラギン酸で置換されている。いくつかの実施形態では、残基251はロイシンで置換されている、残基252はチロシンで置換されている、残基254はトレオニンもしくはセリンで置換されている、及び/または残基255はアルギニンで置換されている。
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、428、433、434、435、及び436位のうちの1つまたは複数にアミノ酸修飾を有する、より具体的には、これらの位置のうちの1つまたは複数に置換を有するIgG抗体の定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、残基428はメチオニン、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、もしくはセリンで置換されている、残基433はリジン、アルギニン、セリン、イソロイシン、プロリン、グルタミン、もしくはヒスチジンで置換されている、残基434はフェニルアラニン、チロシン、もしくはヒスチジンで置換されている、残基435はチロシンで置換されている、及び/または残基436はヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、トレオニン、リジン、メチオニン、もしくはトレオニンで置換されている。いくつかの実施形態では、433、434、435、及び436位のうちの1つまたは複数の残基は、それぞれリジン、フェニルアラニン、チロシン、及びヒスチジンで置換されている。いくつかの実施形態では、残基428はメチオニンで置換されている、及び/または残基434はチロシンで置換されている。
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、385、386、387、及び389位のうちの1つまたは複数にアミノ酸修飾を有する、より具体的には、これらの位置のうちの1つまたは複数に置換を有するIgG抗体の定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、残基385はアルギニン、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、ヒスチジン、リジン、もしくはアラニンで置換されている、残基386はトレオニン、プロリン、アスパラギン酸、セリン、リジン、アルギニン、イソロイシン、もしくはメチオニンで置換されている、残基387はアルギニン、ヒスチジン、セリン、トレオニン、アラニン、もしくはプロリンで置換されている、及び/または残基389はプロリンもしくはセリンで置換されている。いくつかの実施形態では、385、386、387、及び389位のうちの1つまたは複数の残基は、それぞれアルギニン、トレオニン、アルギニン、及びプロリンで置換されている。いくつかの実施形態では、385、386、及び389位のうちの1つまたは複数の残基は、それぞれアスパラギン酸、プロリン、及びセリンで置換されている。
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、以下の置換のうちの1つまたは複数、すなわち、残基251にロイシン、残基252にチロシンもしくはロイシン、残基254にトレオニンもしくはセリン、残基255にアルギニン、残基308にトレオニン、残基309にプロリン、残基311にセリン、残基312にアスパラギン酸、残基314にロイシン、残基385にアルギニン、残基386にトレオニン、残基387にアルギニン、残基389にプロリン、残基428にメチオニン、残基433にリジン、残基434にフェニルアラニンもしくはチロシン、435位にチロシン、及び/または436位にチロシンを有するIgG抗体の定常領域、Fc領域またはFc断片を含む。定常領域、Fc領域またはFc断片に含まれ得る追加のアミノ酸置換としては、例えば、米国特許第6,277,375号、同第8,012,476号、及び同第8,163,881号に記載されているものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、例えば、PCT公開番号WO94/28027及びWO98/47531、ならびにXu et al.(2000)Cell Immunol 200:16-26に記載されているAla-Ala変異を含む重鎖定常ドメインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、重鎖定常領域内にAla-Ala変異を含む1つまたは複数の変異を有する操作された抗体は、低下したエフェクター機能を有するかまたはエフェクター機能を有しない。これらの実施形態によれば、本明細書に記載される操作された抗体の定常領域は、234位におけるアラニンへの置換及び/または235位におけるアラニンへの変異(EUナンバリング)を含み得る。
当業者によって理解され得るように、任意のそのような重鎖定常ドメイン配列は、例えば分子生物学の技法によって、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフォーマットの抗体または結合分子に存在し得るような、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフレームワーク領域、CDR、もしくは定常ドメイン、またはそれらの一部を含む、本明細書において提供されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意の他の抗体配列またはドメインと容易に組み合わせることができる。
操作された軽鎖
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖を含み得る。
SSALTQPSALSVTKGQTAKITCQGDLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLIVYDDDIRPSGIPERFSGSNSGGVATLTIAGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTHLTVLSQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号1)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖を含み得る。
SYELTQPPALSVSPGQTARITCQGDLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLVIYDDDIRPSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTQLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号3)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖を含み得る。
SSALTQPPALSVSKGQTARITCQGNLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLIVYDDNIRPSGIPERFSGSNSGGVATLTISGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTQLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号30)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖を含み得る。
SSALTQPSALSVSKGQTARITCQGNLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLIVYDDNIRPSGIPERFSGSNSGGVATLTISGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTHLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号32)
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号1、3、30または32に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号1、3、30または32と同一の軽鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号1、3、30または32と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2つ以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号1、3、30または32と比べて、1、2、3、4、8、13、14、19、46、47、65、68、69、75、103、108位のうちの1つまたは複数に1つまたは複数のアミノ酸置換を有する軽鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖可変領域を含み得る。
SSALTQPSALSVTKGQTAKITCQGDLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLIVYDDDIRPSGIPERFSGSNSGGVATLTIAGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTHLTVLSQPKAAPSVTLFPPSS(配列番号26)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖可変領域を含み得る。
SYELTQPPALSVSPGQTARITCQGDLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLVIYDDDIRPSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTQLTVLGQPKAAPSVTL(配列番号28)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖可変領域を含み得る。
SYELTQPPALSVSPGQTARITCQGNLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLVIYDDNIRPSGIPERFSGSSSGTTATLTISGAQAEDEADYHCQSASSNDDAVFGGGTQLTVL(配列番号6)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖可変領域を含み得る。
SYELTQPPALSVSPGQTARITCQGNLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLVIYDDNIRPSGIPERFSGSSSGTTATLTISGAQAEDEADYHCQSADLNDDAVFGGGTQLTVL(配列番号8)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖可変領域を含み得る。
SSALTQPPALSVSKGQTARITCQGNLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLIVYDDNIRPSGIPERFSGSNSGGVATLTISGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTQLTVL(配列番号35)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号37のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖可変領域を含み得る。
SSALTQPSALSVSKGQTARITCQGNLLPRHYAHWYQQKTGQAPKLIVYDDNIRPSGIPERFSGSNSGGVATLTISGAQAEDEADYHCQSADSNDDAVFGGGTHLTVL(配列番号37)
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号6、8、26、28、35または37に対して少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号6、8、26、28、35または37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号6、8、26、28、35または37と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2つ以下のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号6、8、26、28、35または37と比べて、1、2、3、4、8、13、14、19、46、47、65、68、69、75、103、108位のうちの1つまたは複数に1つまたは複数のアミノ酸置換を有する軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSASSNDDAV(配列番号18)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADLNDDAV(配列番号19)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、アミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及び/またはアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
当業者によって理解され得るように、任意のそのような軽鎖CDR配列は、例えば分子生物学の技法によって、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフォーマットの抗体または結合分子に存在し得るような、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフレームワーク領域、CDR、もしくは定常ドメイン、またはそれらの一部を含む、本明細書において提供されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意の他の抗体配列またはドメインと容易に組み合わせることができる。
操作された軽鎖定常ドメイン
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、任意の軽鎖定常ドメイン配列、例えば、当業者に公知の軽鎖の定常配列を含む軽鎖を含む。当業者であれば認識し得るように、軽鎖定常ドメインは、カッパ軽鎖定常ドメインまたはラムダ軽鎖定常ドメインであり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される軽鎖の定常ドメインはカッパ軽鎖定常ドメインである。
様々な場合において、本明細書に記載される操作された抗体は、配列番号434のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖定常ドメインを含む。当業者によって理解され得るように、任意のそのような軽鎖定常ドメイン配列は、例えば分子生物学の技法によって、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフォーマットの抗体または結合分子に存在し得るような、本明細書に開示されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意のフレームワーク領域、CDR、もしくは定常ドメイン、またはそれらの一部を含む、本明細書において提供されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の任意の他の抗体配列またはドメインと容易に組み合わせることができる。
例示的な操作された抗体
操作された抗体は、本明細書に記載される様々な重鎖及び軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、2つの重鎖及び軽鎖を含み得る。様々な場合において、本開示は、本明細書に開示される少なくとも1つの重鎖及び/または軽鎖、本明細書に開示される少なくとも1つの重鎖及び/または軽鎖フレームワークドメイン、本明細書に開示される少なくとも1つの重鎖及び/または軽鎖CDRドメイン、及び/または本明細書に開示される任意の重鎖及び/または軽鎖定常ドメインを含む抗体を包含する。
様々な場合において、本明細書に開示される操作された抗体は、ホモ二量体モノクローナル抗体である。様々な場合において、本明細書に開示される操作された抗体は、ヘテロ二量体抗体である。様々な場合において、操作された抗体は、例えば、典型的な抗体もしくはダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、タンダブ、DVD、BiTe、scFv、TandAb、scFv、Fab、Fab2、Fab3、F(ab’)2など、またはそれらの任意の組み合わせである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された単離された抗体は、配列番号6、8、26、28、35または37のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる少なくとも1つの軽鎖可変ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された単離された抗体は、配列番号5、27、29、34または36のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる少なくとも1つの重鎖可変ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列QSASSNDDAV(配列番号18)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号5と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号6と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列QSADLNDDAV(配列番号19)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号5と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号8と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANEGSTYYSPSLKS(配列番号15)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列QSADLNDDAV(配列番号19)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号29と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号28と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGDLLPRHYAH(配列番号9)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDDIRPS(配列番号10)を含む軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号27と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号26と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された単離された抗体は、アミノ酸配列YYAWS(配列番号12)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列DIANDGSTYYSPSLES(配列番号13)を含む重鎖CDR2、アミノ酸配列LRSLYTDYDPHYYDY(配列番号14)を含む重鎖CDR3、アミノ酸配列QGNLLPRHYAH(配列番号16)を含む軽鎖CDR1、アミノ酸配列DDNIRPS(配列番号17)を含む軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列QSADSNDDAV(配列番号11)を含む軽鎖CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号34と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号35と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体は、配列番号36と同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号37と同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、軽鎖及び重鎖はシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、アミノ酸配列MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号21)、MAWTPLLLPLLTFCTVSEA(配列番号38)またはMKHLWFFLLLVAAPRWVLS(配列番号39)に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含む。
操作された融合タンパク質
いくつかの実施形態では、本開示は、(i)本明細書に記載される1つまたは複数の抗原結合領域(例えば、免疫グロブリン、重鎖抗体、軽鎖抗体、LRRベースの抗体、または抗体様特性を有する他のタンパク質足場の抗原結合領域、及び、例えば、Fab、Fab’、Fab’2、Fab2、Fab3、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、scFv、SMIP、抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、タンダブ、DVD、BiTe、TandAbなどを含む当技術分野で公知の他の抗原結合部分)、例えば、本明細書に記載される1つもしくは複数の可変ドメイン、またはその一部(例えば、本明細書に記載される1つまたは複数のCDR)と、(ii)1つまたは複数の追加のポリペプチドとを含む融合タンパク質を提供する。例えば、アルブミンは、FcRnとの相互作用によって媒介されるpH依存性のリサイクルによって分解から保護される豊富な血清タンパク質である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つもしくは複数の可変ドメインもしくは操作された抗体、またはその一部(例えば、本明細書に記載される1つまたは複数のCDR)は、アルブミン、その一部(例えばFcRnに結合するアルブミンの一部)、及び/または向上した親和性でFcRnに結合するアルブミンの操作されたバリアントと融合する。他の場合では、本明細書に記載される1つもしくは複数の可変ドメインもしくは操作された抗体、またはその一部(例えば、本明細書に記載される1つまたは複数のCDR)は、ポリペプチドと融合し、このポリペプチドはアルブミンに結合して融合タンパク質-アルブミン複合体を形成し、この複合体はFcRnに結合することができる。いくつかの実施形態では、アルブミンに結合するポリペプチドは、一本鎖可変断片(scFv)である。アルブミンまたはその一部は、アルブミンまたはその一部のFcRnに対する結合を改変することができる1つまたは複数のアミノ酸の変異を含み得る。そのような変異は、当技術分野で公知である(例えば、Andersen et al.,Nature Communications 3:610 doi:10.1038/nocmms1607(2012)を参照のこと)。
他の場合では、本明細書に記載される1つもしくは複数の可変ドメインもしくは操作された抗体、またはその一部(例えば、本明細書に記載される1つまたは複数のCDR)は、トランスフェリンと融合する。トランスフェリンは、トランスフェリン受容体に結合することによってリサイクルされる(例えば、Widera et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.55:1439-66(2003)を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される1つもしくは複数の可変ドメインもしくは操作された抗体、またはその一部と、FcRnに結合する1つまたは複数の追加のポリペプチド及び/またはscFvとを含む融合タンパク質を提供する。
ヌクレオチド配列
本開示は、本明細書に開示される、1つまたは複数の重鎖、重鎖可変ドメイン、重鎖フレームワーク領域、重鎖CDR、重鎖定常ドメイン、軽鎖、軽鎖可変ドメイン、軽鎖フレームワーク領域、軽鎖CDR、軽鎖定常ドメイン、または他の免疫グロブリン様配列、抗体、もしくは結合分子をコードするヌクレオチド配列を含む。様々な場合において、そのようなヌクレオチド配列は、ベクターに存在してもよい。様々な場合において、そのようなヌクレオチドは、細胞、例えば処置を必要とする対象の細胞または抗体の産生のための細胞、例えば抗体の産生のための哺乳動物細胞のゲノムに存在してもよい。
PEG化
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、モノまたはポリ(例えば2~4つの)PEG部分を含むようにPEG化することができる。そのようなPEG化抗体は、非PEG化参照抗体、例えば、同じアミノ酸配列を有するが、PEG化が異なるか、PEG化の量が異なるか、またはPEG化されていない抗体と比較して増加した半減期を示し得る。
PEG化は、当技術分野で公知の任意の好適な反応によって行うことができる。PEG化タンパク質を調製するための方法は、概して、(a)ポリペプチドをポリエチレングリコール(例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)と、ポリペプチドが1つまたは複数のPEG基に結合するようになる条件下で反応させることと、(b)反応生成物(複数可)を取得することとを含み得る。概して、反応のための条件は、公知のパラメータ及び所望の結果に基づいて個別的に決定することができる。
当業者に利用可能ないくつかのPEG結合方法が存在する。例えば、本明細書に記載される多重特異性結合分子をPEG化するステップは、反応性ポリエチレングリコール分子とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して行うことができる。
操作された抗体とCFD及び/またはFc受容体とのpH依存性結合
本明細書に記載される操作された抗体は、CFDに対する親和性(例えば、本明細書に記載される1つまたは複数の可変ドメインによって媒介される)、及び/またはFcRnに対する変更された(例えば増加した、例えばpH依存性の)親和性(例えば、本明細書に記載される1つまたは複数の定常ドメインによって媒介される)において、pH依存性または増強したpH依存性を呈する。例えば、いくつかの実施形態では、CFDと結合することができる抗体、またはCFDと結合することができる可変ドメインは、血清pH(例えば、中性pHまたは7.4よりも高いpH)において、区画(例えばエンドソーム)pH(例えば、酸性pHまたはpH6.0に等しいかもしくはそれ未満のpH)におけるよりも高い親和性でCFDと結合する。CFDがpH依存性CFD結合を有する抗体によって結合される様々な場合において、pHの血清pHから区画pHへの(例えば、血清からエンドソームへの)移行は、区画pHにおける、及び/または特定の区画、例えばエンドソーム中でのCFDと抗体との分離(すなわち、「結合解除」)を容易にする。様々な場合において、そのようなpH依存性結合は、抗体リサイクル及び/またはCFD分解を媒介し得る。特定の場合では、血清pHから区画pHへの(例えば、血清からエンドソームへの)移行は、区画pHにおける、及び/または特定の区画、例えばエンドソーム中でのCFDと抗体との分離(すなわち、「結合解除」)を容易にし、その結果、抗体はFcRnによってリサイクルされ、抗原はリソソームにおいて分解される。一部のそのような場合では、CFD結合のpH依存性は、少なくとも、リサイクルされた場合に抗体が血清に戻り標的循環CFDと自由に結合することができるという点において、抗体の「処理能力」を改善する。一部の場合では、pH依存性CFD結合を示す抗体のリサイクルは、抗体が最終的に分解するかまたは分解されるまで継続することができ、単一の抗体分子は、この時まで、1つのみではなく複数のCFD分子と結合し、その不活性化を媒介していた可能性がある。
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される操作された抗体は、FcRnなどのFc受容体に対して、対照(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と比べて増加した親和性を示す定常ドメイン(例えば、Fcドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、対照と比べて増加したそのような親和性は、血清のpH値(例えば、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpH)におけるものである。いくつかの実施形態では、対照と比べて増加したそのような親和性は、区画pH(例えば、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpH)におけるものである。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される操作された抗体は、FcRnなどのFc受容体に対する親和性において、pH依存性(または対照、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体と比べて増強したpH依存性)を示す定常ドメイン(例えば、Fcドメイン)を含む。新生児Fc受容体(FcRn)とは、IgG及びアルブミンを異化から保護するように機能し、IgGの上皮細胞を越える輸送を媒介し、プロフェッショナル抗原提示細胞による抗原提示に関与する、MHCクラスI様分子である。IgG抗体亜型は、主に、IgGを細胞外にリサイクルするFcRnによる、抗体のエンドソームからの除去のために、長い血清半減期を呈する。
いくつかの特定の例では、本明細書に記載される操作された抗体は、本明細書に記載される抗体が、血清pHと区画(例えばエンドソーム)pHとの間(または血清とエンドソームとの間)において、内因性IgGよりも大きい、親和性の絶対的及び/または相対的な差分変化を示すという点で、FcRnとの結合において、内因性IgGよりも大きいpH依存性を示す。一部の場合では、FcRnとのpH依存性結合を有する抗体は、区画(例えばエンドソーム)pH(例えば、酸性pHまたはpH6.0に等しいかもしくはそれ未満のpH)において、内因性IgGよりも大きいFcRnに対する結合を示す。一部の場合では、FcRnとのpH依存性結合を有する抗体は、血清pH(例えば、中性pHまたはpH7.4よりも高いpHの血清中)において、内因性IgGよりも大きいFcRnに対する結合を示す。
ある特定の場合では、本明細書に記載される操作された抗体は、FcRnとの結合において、pH依存性または増強したpH依存性を示し、FcRnとの相互作用に関して内因性IgGと競合する。したがって、一部の場合では、本明細書に記載される操作された抗体は、内因性IgG分子よりも高いレベルでFcRnと結合する(すなわち、FcRnに対するより大きい親和性の結果として、FcRnとの結合に関して内因性IgG分子を打ち負かす)、及び/または内因性IgG分子と比べて、FcRn親和性増強抗体のリサイクルの速度の純増加をもたらす。一部の場合では、本明細書に記載される操作された抗体とFcRnとの、内因性IgG分子と比べて優先的なそのような相互作用は、参照抗体と比較して増加した抗体半減期をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、a)酸性pHもしくは区画pHにおける、血清pHにおけるものと比べて増加したFcRnに対する親和性、及び/またはb)酸性pHもしくは区画pHにおける、血清pHにおけるものと比べて減少したCFDに対する親和性を呈する。一部の場合では、そのような特徴の組み合わせは、抗原の分解を容易にする抗体の処理能力の相乗的な増加をもたらす、抗原-抗体複合体の構築を減少する、及び/または、抗原-抗体複合体が抗体それ自体よりも速く排除される場合、それは、抗体の半減期を有意に増加させる。この手法は、CFDの高度に効果的な標的化及び排除を可能にする。
操作された抗体が、血清pHにおいて区画pH(例えば、エンドソームpH)におけるよりも高いCFDに対する親和性を有し、血清pHにおいて区画pH(例えば、エンドソームpH)におけるよりも低いFcRnに対する親和性を有するFcRn結合部分をさらに含むいくつかの実施形態では、そのような抗体は、高い親和性で血清CFDと結合して、抗体/CFD複合体を形成する。抗体/CFD複合体の、細胞による(例えば、ピノサイトーシスによる)、血清pHよりも低いpHを有する内部区画(例えばエンドソーム)への内在化において、抗体のCFDに対するより低い親和性は、抗体とCFDとの分離を容易にし、その後、放出されたCFDは、細胞機構によって(例えばリソソームによって)分解され得る。さらに、区画pHにおけるFcRnに対する増加した親和性は、抗体/FcRn複合体の形成を容易にし、この複合体は、FcRnリサイクル経路(この経路内で、複合体は血清または血清様pH条件に曝露され、このpHは抗体のFcRn複合体からの、例えば血清中への放出を容易にする)を介して血清中にリサイクルされ得る。そのようなプロセスの最終結果の1つは、CFDの血清半減期の減少であり得る。そのようなプロセスの別の最終結果は、抗体の血清半減期の増加であり得る。
本明細書に開示される様々な場合において、血清pHは、例えば、血清に典型的もしくは特徴的なpHもしくはpH範囲、1つもしくは複数の対象の個々のもしくは平均の血清pHもしくはpH範囲、血清の標準的なpH値、血清の測定されたpH値、血清の推定されたpH値、または血清の選択されたpH値であり得る。本明細書に開示される様々な場合において、血清pHは、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpHであり得る。様々な場合において、血清pHは、6.8~8.2、7.0~8.0、7.0~7.8、7.0~7.6、7.0~7.4、または7.0~7.2の範囲のpHである。いくつかの実施形態では、血清pHはpH7.4または約pH7.4である。
本明細書に開示される様々な場合において、区画pHは、例えば、エンドソーム区画(例えばエンドソーム内)に典型的もしくは特徴的なpHもしくはpH範囲、1つもしくは複数の対象の個々のもしくは平均のエンドソーム区画pHもしくはpH範囲、エンドソーム区画の標準的なpH値、エンドソーム区画の測定されたpH値、エンドソーム区画の推定されたpH値、またはエンドソーム区画の選択されたpH値であり得る。本明細書に開示される様々な場合において、区画pHは、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpHであり得る。様々な場合において、区画pHは、5.0~7.2、5.0~7.0、5.0~6.8、5.0~6.6、5.0~6.4、5.0~6.2、5.0~6.0、5.0~5.8、5.0~5.6、5.0~5.4、または5.0~5.2の範囲のpHである。
いくつかの実施形態では、血清CFDタンパク質の血清半減期は低下する。例えば、操作された抗体の血清CFDへの結合は、CFDの血清半減期を約7、6、5、4、3、2、もしくは1日未満、または約24、18、12、もしくは6時間未満に減少させる。
いくつかの実施形態では、操作された抗体の血清半減期は増加する。例えば、操作された抗体のFcRnへの結合は、抗体の血清半減期を約4日~約45日、例えば、約5日~約30日、約10日~約30日、または約20日~約30日に増加させる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、約5日、約10日、約15日、約20日、約25日、約30日、約35日、約40日、約45日、または約50日以上の血清半減期を有する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、CFDに対する親和性のpH依存性変化を呈する。親和性は、抗体及び抗原のKD(平衡解離定数)として測定することができ、KDと親和性は逆数の関係にある。様々な実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体の、血清pH(例えば、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpH)または血清条件下におけるCFDに対するKDは、約10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、または10-15M未満である。ある特定の場合では、本明細書に記載される抗体の、血清pHにおけるCFDに対するKDは、0.001~1nMの間、例えば、0.001nM、0.005nM、0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、または1nMである。いくつかの実施形態では、区画pH(例えば、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpH)または区画条件下におけるCFDに対するKDは、同じ抗体の、血清pHまたは血清条件下におけるCFDに対するKDよりも、例えば、少なくとも2倍、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2,000倍、3,000倍、4,000倍、5,000倍、6,000倍、7000倍、8,000倍、9,000倍、または10,000倍以上高い(及び/または抗体の、区画pHもしくは区画条件下におけるCFDに対する親和性は、血清pHもしくは血清条件下における親和性と比べて同じ割合だけ減少し得る)。いくつかの実施形態では、区画pH(例えば、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpH)または区画条件下におけるCFDに対するKDは、例えば、10-15、10-14、10-13、10-12、10-11、10-10、10-9、10-8、10-7、10-6、10-5、10-4、または10-3M超であり得る。ある特定の場合では、本明細書に記載される操作された抗体の、区画pHまたは区画条件下におけるCFDに対するKDは、例えば、1nMに等しいかまたはそれよりも大きい、例えば、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、または1mM以上であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、受容体、例えばFc受容体、例えばFcRnに対する親和性のpH依存性変化を呈する。様々な実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体の、区画pH(例えば、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpH)または区画条件下におけるFcRnに対するKDは、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、または10-15M未満であり得る。いくつかの実施形態では、血清pH(例えば、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpH)または血清条件下におけるFcRnに対するKDは、同じ抗体の、区画pHまたは区画条件下におけるFcRnに対するKDよりも高い、例えば、少なくとも2倍、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2,000倍、3,000倍、4,000倍、5,000倍、6,000倍、7000倍、8,000倍、9,000倍、または10,000倍以上高い(及び/または抗体の、血清pHもしくは血清条件下におけるFcRnに対する親和性は、区画pHもしくは区画条件下における親和性と比べて同じ割合だけ減少し得る)。いくつかの実施形態では、血清pH(例えば、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpH)または血清条件下おけるFcRnに対するKDは、例えば、10-15、10-14、10-13、10-12、10-11、10-10、10-9、10-8、10-7、10-6、10-5、10-4、または10-3M超である。ある特定の場合では、本明細書に記載される操作された抗体の、血清pHまたは血清条件下におけるFcRnに対するKDは、例えば、1nMに等しいかまたはそれよりも大きい、例えば、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、または1mM以上である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、CFDに対する親和性のpH依存性変化と、Fc受容体、例えばFcRnに対する親和性のpH依存性変化の両方を呈する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、血清条件下または血清pHにおいて区画条件下または区画pHよりも大きいCFDに対する親和性を呈し、また、区画条件下または区画pHにおいて血清条件下または血清pHよりも大きいFcRnに対する親和性を呈する。様々な実施形態では、操作された抗体の、血清pH(例えば、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpH)または血清条件下におけるCFDに対するKDは、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、または10-15M未満であり得る。ある特定の場合では、操作された抗体の、血清pHにおけるCFDに対するKDは、0.001~1nMの間、例えば、0.001nM、0.005nM、0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、または1nMである。ある特定の場合では、本明細書に記載される操作された抗体の、区画pHにおけるCFDに対するKDは、0.001~1nMの間、例えば、0.001nM、0.005nM、0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、または1nMである。いくつかの実施形態では、区画pH(例えば、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpH)または区画条件下におけるCFDに対するKDは、同じ抗体の、血清pHまたは血清条件下におけるCFDに対するKDよりも、例えば、少なくとも2倍、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2,000倍、3,000倍、4,000倍、5,000倍、6,000倍、7000倍、8,000倍、9,000倍、または10,000倍以上高い(及び/または抗体の、区画pHもしくは区画条件下におけるCFDに対する親和性は、血清pHもしくは血清条件下における親和性と比べて同じ割合だけ減少する)。いくつかの実施形態では、区画pH(例えば、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpH)または区画条件下におけるCFDに対するKDは、例えば、10-15、10-14、10-13、10-12、10-11、10-10、10-9、10-8、10-7、10-6、10-5、10-4、または10-3M超である。ある特定の場合では、操作された抗体の、区画pHまたは区画条件下におけるCFDに対するKDは、例えば、1nMに等しいかまたはそれよりも大きい、例えば、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、または1mM以上である。いくつかの実施形態では、操作された抗体の、血清pH(例えば、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpH)または血清条件下におけるFcRnに対するKDは、同じ抗体の、区画pHまたは区画条件下におけるFcRnに対するKDよりも、例えば、少なくとも2倍、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2,000倍、3,000倍、4,000倍、5,000倍、6,000倍、7000倍、8,000倍、9,000倍、または10,000倍以上高い(及び/または抗体の、血清pHもしくは血清条件下におけるFcRnに対する親和性は、区画pHもしくは区画条件下における親和性と比べて同じ割合だけ減少する)。いくつかの実施形態では、操作された抗体の、血清pH(例えば、6.8超、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、または8.2以上のpH)または血清条件下におけるFcRnに対するKDは、例えば、10-15、10-14、10-13、10-12、10-11、10-10、10-9、10-8、10-7、10-6、10-5、10-4、または10-3M超である。ある特定の場合では、操作された抗体の、血清pHまたは血清条件下におけるFcRnに対するKDは、例えば、1nMに等しいかまたはそれよりも大きい、例えば、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、または1mM以上である。いくつかの実施形態では、操作された抗体の、区画pH(例えば、7.2未満、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0以下のpH)または区画条件下におけるFcRnに対するKDは、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、または10-15M未満である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、対象に、例えば対象の血清に投与した場合、参照抗体(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)よりも大きい半減期を呈する。様々な場合において、参照抗体(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)の血清中半減期は、例えば250~300時間であり得る。様々な場合において、本明細書に記載される操作された抗体の血清中半減期は、例えば少なくとも250時間、例えば、少なくとも260、270、280、290、または300時間であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体の血清中半減期は、少なくとも300時間、例えば、少なくとも350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000時間であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体の血清中半減期は、少なくとも1,000時間、例えば、少なくとも1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、または15,000時間以上であり得る。様々な実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体の血清中半減期は、少なくとも12日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月以上であり得る。様々な場合において、本明細書に記載される操作された抗体の血清中半減期は、参照抗体(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と比較して、少なくとも、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、または100倍以上増加し得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、(例えば参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体と比べて)増加した血漿中半減期、血漿中での増加した平均保持時間、及び/または増加したCFDクリアランスレベルを呈する。これらのパラメータは、当業者に公知の方法(例えば、Nestorov et al.,J.Clin.Pharmacol.48:406-417(2008)、Leveque et al.,Anticancer Research 25:2327-2344(2005)、Igawa et al.,PLoS One 8:e63236.doi:10.1371/journal.pone.0063236(2013)に記載されている)によって決定することができる。例えば、本明細書に記載される操作された抗体(例えば、そのような操作された抗体の単回用量)は、CFDの血漿中レベルを、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体と比べて、多くとも10分の1、50分の1、100分の1、250分の1、500分の1、750分の1、1000分の1、または1500分の1以下に低下させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、CFDの切断(及び/またはCFDの血清中レベル)を阻害する。様々な実施形態では、本明細書に開示される操作された抗体は、同じ患者からの事前の測定値または参照値と比較して、CFDの切断(及び/またはCFDの血清中レベル)を阻害する。特定の実施形態では、本明細書に開示される操作された抗体の投与は、CFD切断のレベルまたは量(及び/またはCFDaのレベルもしくは量及び/またはCFDbのレベルもしくは量)を、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体の同等の投与よりも減少させる(例えば、レベルを約10%超、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、または2005以上減少させる)。
操作された多重特異性分子
操作された抗CFD抗体の文脈における、本明細書に記載される方法及び組成物は、多重特異性結合分子を作製するためにさらなるタンパク質に適用することができる。本開示による多重特異性結合分子は、1つまたは複数の目的の標的とpH依存性の様式で特異的に結合する1つまたは複数の結合部分を含むように操作されている。多重特異性結合分子は、核酸(例えばRNA及びDNA)、タンパク質(例えば抗体)、及びそれらの組み合わせを包含する。pH依存性結合部分は、例えば、核酸(例えばRNA及びDNA)及びアプタマー、ポリペプチド(例えば、抗体またはその断片、アルブミン、受容体、リガンド、シグナルペプチド、アビジン、及びプロテインA)、多糖類、ビオチン、疎水基、親水基、薬物、ならびに受容体に結合する任意の有機分子であり得るか、またはそれを含み得る。
結合部分としての抗体またはその断片
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子は操作された抗体である。一部の場合では、本明細書に記載される1つまたは複数の結合部分は、抗体、その抗原結合断片、及び/またはそのFc領域(またはFc断片)であるかまたはそれを含む。IgG抗体の基本構造は、ジスルフィド結合によって一緒に連結されている2つの同一のポリペプチド軽鎖と2つの同一のポリペプチド重鎖とからなる。各鎖のアミノ末端に位置する第1のドメインはアミノ酸配列が可変であり、個々の各抗体に見出される抗体結合特異性を提供する。これらは、可変重(VH)及び可変軽(VL)領域として公知である。各鎖の他のドメインは、アミノ酸配列が比較的不変であり、定常重(CH)及び定常軽(CL)領域として公知である。IgG抗体の場合、軽鎖は1つの可変領域(VL)及び1つの定常領域(CL)を含む。IgG重鎖は、可変領域(VH)、第1の定常領域(CH1)、ヒンジ領域、第2の定常領域(CH2)、及び第3の定常領域(CH3)を含む。IgE及びIgM抗体では、重鎖はさらなる定常領域(CH4)を含む。
本明細書に記載される抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体、ならびに上記のいずれかの抗原結合断片を挙げることができる。抗体は、いかなるタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)またはサブクラスのものであってもよい。
「Fc断片」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるFc機能及び/または活性、例えばFc受容体に対する結合を保持するFc領域の1つまたは複数の断片を指す。抗体の「抗原結合断片」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の「抗原結合断片」という用語に包含される結合断片の例としては、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、dAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546)、及び単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技法を使用して取得することができ、断片は、有用性に関して、無傷抗体と同様にスクリーニングすることができる。
抗体または断片は、当技術分野で公知の、抗体を合成するための任意の方法によって作製することができる(例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、Brinkman et al.,1995,J.Immunol.Methods 182:41-50、WO92/22324、WO98/46645を参照のこと)。キメラ抗体は、例えば、Morrison,1985,Science 229:1202に記載されている方法を使用して作製することができ、ヒト化抗体は、例えば米国特許第6,180,370号に記載されている方法によって作製することができる。
本明細書に記載される組成物及び方法の追加の抗体は、例えば、Segal et al.,J.Immunol.Methods 248:1-6(2001)、及びTutt et al.,J.Immunol.147:60(1991)に記載されているような二重特異性抗体及び多価抗体である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性分子は、操作された抗体である(例えば、抗原及びFcRnに対するpH感受性結合を有するように操作されている)。
操作された多重特異性分子の操作された抗原結合領域
いくつかの実施形態では、結合部分は、参照抗体または抗原結合断片と比べて変更された様式で(例えばpH感受性の様式で、例えばpH感受性がより高くなったかまたはより低くなった様式で)標的(すなわち抗原)に結合するように操作されている抗体(例えばIgG抗体、例えば、IgG1、IgG2、またはIgG3抗体)または抗原結合断片であるかまたはそれを含む。例えば、抗体は、1つもしくは複数の抗体CDRの内部及び/または抗体CDR構造に関与する位置におけるアミノ酸を改変することによって(例えば、付加、欠失、または置換することによって)操作することができる。改変され得る例示的かつ非限定的な抗体の部位としては、以下のものが挙げられる(アミノ酸位は、Kabatナンバリング(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,NIH)に基づいて示される)。
重鎖:H27、H31、H32、H33、H35、H50、H58、H59、H61、H62、H63、H64、H65、H99、H100b、及びH102
軽鎖:L24、L27、L28、L32、L53、L54、L56、L90、L92、及びL94。
いくつかの実施形態では、これらの開示されるアミノ酸のうちの1つまたは複数は、ヒスチジン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで置換され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの位置のうちの1つまたは複数のアミノ酸をヒスチジンで置換することで、pH依存性の抗原結合特性を有する抗体を得ることができると考えられている。いくつかの実施形態では、非ヒスチジン残基はヒスチジン残基で置換されている。いくつかの実施形態では、ヒスチジン残基は非ヒスチジン残基で置換されている。さらなる操作された抗原結合領域としては、例えば、米国公開第20110229489号に記載されているものが挙げられる。
操作された多重特異性分子の操作された定常領域
一部の場合では、結合部分は、1つまたは複数のFc受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、またはFcRn受容体)と結合する抗体定常領域、Fc領域またはFc断片であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、定常領域、Fc領域またはFc断片は、参照定常領域、Fc領域またはFc断片と比べて変更された様式で(例えばpH感受性の様式で、例えばpH感受性がより高くなったかまたはより低くなった様式で)標的(例えばFc受容体)に結合するように操作されている。
一部の場合では、結合部分は、本明細書に記載されるアミノ酸残基(例えば、251~256、285~290、308~314、385~389、及び428~436(Kabatナンバリング(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,NIH)))のうちの1つまたは複数のアミノ酸付加、欠失、または置換を含むように操作されているIgG抗体の定常領域、Fc領域またはFc断片であり得るかまたはそれを含み得る。
多重特異性結合分子の作製
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子は、公知の技法を使用した変異導入によって、1つまたは複数の標的に対するpH感受性結合を呈する1つまたは複数の結合部分を含むように操作されている。例えば、参照ポリペプチド(例えば、治療抗体または治療融合タンパク質)の配列を取得することができ、1つまたは複数のアミノ酸残基を付加、欠失、または置換することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸残基は、ヒスチジン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで置換されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸はヒスチジンで置換されている。理論に拘束されることを望むものではないが、アミノ酸残基のヒスチジンでの置換は、結合部分のpH感受性を高めることができるプロトン化部位の挿入をもたらすと考えられている。ポリペプチドは、標準的な方法を使用して作製し、本明細書に記載される目的の標的に対する結合についてアッセイすることができる。結合部分のpH感受性を高めるさらなる方法は、例えば、Sarkar et al.,Nature Biotechnology 20:908-913(2002)、Murtaugh et al.,Protein Science 20:1619-1631(2011)、及び米国公開第20110229489号に記載されている。
いくつかの実施形態では、第1の目的の標的が選択され、標的に選択的に結合する抗体が、(例えば、本明細書に記載される公知の方法を使用して)提供、取得、及び/または作製される。抗原結合領域及び/またはFc領域の1つまたは複数のアミノ酸が、(例えば、ヒスチジン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで)置換され、標的(及び付加的にまたは代替的にFcRn)に対する結合のpH感受性が決定される。所望の結合親和性を実証する抗体が多重特異性結合分子として選択される。
いくつかの実施形態では、目的の標的に天然に結合するポリペプチドが提供、取得、及び/または作製される。ポリペプチドは、公知の方法を使用して、(例えば、所望の結合親和性でFcRnに結合する)本明細書に記載されるFc領域またはFc断片にコンジュゲートする。例えば、ポリペプチドとFc領域またはFc断片とは、化学的手段によって、または組換え発現によって融合タンパク質としてコンジュゲートすることができる。付加的にまたは代替的に、ポリペプチドの1つまたは複数のアミノ酸は、(例えば、ヒスチジン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで)置換されていてもよく、ポリペプチドと標的との結合のpH感受性が決定される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子は、スクリーニングによって同定及び/または選択された1つまたは複数の結合部分を含むように操作されている。例えば、pH感受性の様式で抗原と結合する抗原結合部分は、抗原結合部分を発現するライブラリー、例えばファージライブラリーを使用して同定することができる。そのようなライブラリーは、第1のpH(例えば、pH7.4)において抗原に対して第1の親和性を有し、第2のpH(例えば、pH5.5)において抗原に対して第2の親和性を有する抗原結合部分についてスクリーニングすることができる。本明細書に記載される多重特異性結合分子は、そのような同定されたpH感受性抗原結合部分を含むように操作することができる。付加的に及び/または代替的に、pH感受性の様式でFcRnと結合するFcRn結合部分は、ライブラリーを使用して同定することができる。組換え抗体ライブラリーをスクリーニングする方法は公知である(例えば、Hoogenboom,Nature Biotech.23:1105-1116(2005)、米国特許第5,837,500号、米国特許第5,571,698号、WO2012/044831を参照のこと)。
結合部分と標的との相互作用の測定
本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)の標的(例えば、CFD及び/またはFcRn)に対する結合特性は、当技術分野で公知の方法、例えば、以下の方法:BIACORE解析、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、x線結晶構造解析、配列解析及び系統的変異導入のうちの1つによって測定することができる。抗体とCFD及び/またはFcRnとの結合相互作用は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して解析することができる。SPRまたは生体分子間相互作用解析(BIA)は、相互作用物質のいずれも標識することなく、生体特異的相互作用をリアルタイムで検出する。BIAチップの結合表面における質量の変化(結合事象を示す)は、表面付近の光の屈折率の変更をもたらす。屈折度の変化は、生体分子間のリアルタイム反応の指標として測定される検出可能なシグナルを生成する。SPRを使用する方法は、例えば、米国特許第5,641,640号、Raether(1988)Surface Plasmons Springer Verlag、Sjolander and Urbaniczky(1991)Anal.Chem.63:2338-2345、Szabo et al.(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699-705、及びBIAcore International AB(Uppsala、Sweden)によって提供されるオンライン情報源に記載されている。加えて、Sapidyne Instruments(Boise、Id.)から利用可能なKinExA(登録商標)(結合平衡除外法)アッセイもまた使用することができる。
SPRからの情報は、結合部分の標的への(例えば、操作された抗体のCFD及び/またはFcRnへの)結合に関する平衡解離定数(KD)ならびにKon及びKoffを含む動的パラメータの正確かつ定量的な尺度を得るために使用することができる。そのようなデータは、異なる分子を比較するために使用することができる。SPRからの情報はまた、構造活性相関(SAR)を明らかにするために使用することもできる。例えば、様々なpHレベルにおける、特定の結合部分の標的への動的及び平衡結合パラメータを評価することができる。特定のpHレベルにおける特定の結合パラメータ、例えば、高い親和性、低い親和性、及び遅いKoffと相関する、所与の位置におけるバリアントアミノ酸を同定することができる。
処置の方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、1つまたは複数の補体関連状態を処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、医薬としての使用のためのものである。補体関連状態としては、限定されないが、上昇もしくは低下した補体活性によって全てもしくは一部が生じる症状によって引き起こされる状態、または上昇もしくは低下した補体活性と共に生じることが公知である状態を挙げることができる。CFDは、病理学に重要であり、とりわけ血液、神経及び腎障害においてCFD遮断薬の影響を受けやすい。補体関連状態の例としては、限定されないが、末梢神経障害、クリオグロブリン血症、クリオグロブリン血症性神経障害、神経サルコイドーシス、加齢黄斑変性症(AMD)、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、抗リン脂質症候群(または抗リン脂質抗体症候群またはヒューズ症候群)、血管性神経障害、反射性交感神経性ジストロフィー、複合性局所疼痛症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)、喘息、アテローム動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、自己免疫性溶血性貧血、脳損傷、C3腎症、毛細血管漏出症候群、心肺バイパス術及び血液透析、心血管障害、劇症型抗リン脂質症候群、脳血管障害、慢性炎症性脱髄性神経障害、寒冷凝集素症(CAD)、デゴス病、デンスデポジット病(DDD)、皮膚炎、炎症性ミオパチー、皮膚筋炎、筋炎、抗体誘導性筋炎、糖尿病性血管症、糖尿病網膜症、拡張型心筋症、播種性血管内凝固(DIC)、肝酵素上昇、表皮水疱症、エリテマトーデス関連血管炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、HELLP症候群、溶血、鎌状赤血球症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病腎炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、心筋梗塞に起因する傷害、虚血再灌流傷害、川崎病、狼瘡腎炎、免疫複合体血管炎、黄斑変性症(例えば、加齢黄斑変性症(AMD))、腸間膜/腸管血管障害、多巣性運動神経障害、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、新生児同種免疫性血小板減少症(NAITP)、視神経脊髄炎、臓器もしくは組織移植、発作性寒冷ヘモグロビン尿症、発作性夜間血色素尿症(PNH)、微量免疫型血管炎、天疱瘡、経皮的冠動脈形成、末梢血管障害、輸血後紫斑病、乾癬、習慣性流産、腎血管障害、ステント留置後再狭窄、移植片及び/または再移植片に対する血行再生、回転式アテレクトミー、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強皮症、敗血症、敗血症性ショック、志賀毒素E.coli関連溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)、脊髄損傷(spinal cord injury)、自然流産、全身性炎症反応、糸球体腎炎、全身性狼瘡、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性エリテマトーデス関連血管炎、高安病、胸腹部大動脈瘤、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、移植片拒絶反応、外傷性脳損傷、I型糖尿病、典型的もしくは感染性溶血性尿毒症症候群、血管炎、関節リウマチと関連する血管炎、ならびに静脈ガス塞栓、または任意の補体関連炎症反応が挙げられる。
補体関連障害としては、補体関連肺障害、例えば、これらに限定されないが、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患、α1アンチトリプシン欠乏症、肺気腫、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、肺胞炎、サルコイドーシス、肺線維症、及びコラーゲン血管障害が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、移植片拒絶/移植片対宿主病(GVHD)、再灌流傷害(例えば、心肺バイパス術または組織移植後の)、及び熱傷(例えば、重症熱傷)、鈍的外傷、脊椎損傷(spinal injury)、または凍傷などの他の形態の外傷性損傷後の組織損傷を処置するために使用することができる。いくつかの実施形態では、単独のまたは第2の抗炎症剤と組み合わされた本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、炎症性障害、例えば、これらに限定されないが、RA(上記)、炎症性腸疾患、敗血症(上記)、敗血症性ショック、急性肺傷害、播種性血管内凝固(DIC)、またはクローン病を処置するために使用することができる。いくつかの実施形態では、第2の抗炎症剤は、NSAID、コルチコステロイド、メトトレキセート、ヒドロキシクロロキン、エタネルセプト及びインフリキシマブなどの抗TNF剤、リツキシマブなどのB細胞枯渇剤、インターロイキン-1アンタゴニスト、またはアバタセプトなどのT細胞共刺激遮断剤からなる群から選択されるものであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、高IgE症候群/ヨブ症候群、食物アレルギー、発作性夜間血色素尿症(PNH)、炎症性腸疾患及び/または他の大型臓器サイトカイン媒介性炎症状態を処置するのに有用である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、PNHまたはaHUSを処置する方法において使用される。発作性夜間血色素尿症(PNH)(以前はマルキアファーヴァ・ミケリ症候群)は、補体系による赤血球の破壊を特徴とする、珍しい、後天性の、生命を脅かす血液の疾患である。
PNH患者では、赤血球(RBC)に対する制御されないAP活性化が溶血性貧血を引き起こす。PNHを有する患者のおよそ15~30%が、C5阻害によって顕在化する血管外溶血を有し、療法にもかかわらず、習慣的な輸血を必要とし続ける。およそ1~5%の患者は、C5及びCR1の多型のために一部のC5処置に応答しない。ワクチン接種にもかかわらず、Neisseria meningitidis感染症が、一部のC5処置において処置された少数の患者に生じ得る。C5阻害療法が利用可能であるにもかかわらず、補体障害(例えばPNH及びaHUS)において満たされていない医学的必要性が存在する。
処置をしない場合、PNH赤血球は血管内溶血を起こし得る。抗C5療法の存在下において、C3断片沈着は、ブレークスルー及び血管外溶血を引き起こし得る。肝臓及び脾臓におけるRESマクロファージを介したC3オプソニン化もまた生じ得る。因子D阻害薬を用いる処置は、PNH赤血球を血管内溶血と血管外溶血の両方から保護し得る。
様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、PNHの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーを処置するか、軽減するか、その有病率を低下させるか、その頻度を低下させるか、またはそのレベルもしくは量を低下させる。PNHの症状及びバイオマーカーとしては、限定されないが、溶血、腹痛(例えば、重度の腹痛または胃痛)、下肢痛、下肢腫脹、頭痛(例えば、重度の頭痛)、背部痛、脱力、疲労(fatigue)(例えば、疲れ(tiredness)、日常活動の実施困難、集中力の低下、浮動性めまい、脱力)、息切れ、嚥下困難、皮膚の黄染、眼の黄染、勃起不全、貧血、肺高血圧症、反復感染、感染に対する感受性、有色尿(例えば暗色)、バッド・キアリ症候群、心臓の動悸、骨髄形成異常、急性白血病、月経過多、もうろう状態、易怒性、尿中の赤い血液、血栓症(例えば静脈における血栓症、例えば肝静脈血栓症または矢状静脈血栓症)、平滑筋ジストニア、腹部収縮、食道痙攣、慢性腎疾患、ハム酸溶血検査結果、スクロース溶血検査結果、細胞結合補体制御因子(CD59、CD24、CD66b、CD16、蛍光標識エロリジン(FLAER))に対するモノクローナル抗体の末梢血試料への結合、高血清乳酸脱水素酵素、血清クレアチニンレベル、線維素溶解、プラスミン媒介性血塊分解、D二量体レベル、及び当技術分野で公知の他のものが挙げられる。症状は、感染、アルコール、運動、またはストレスのいずれかの後に増加し得る。具体的な症状及び症状の進行は対象間で異なる。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、それを必要とする対象、例えば、発作性夜間血色素尿症(PNH)を有する対象または非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する対象に投与される。
様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)の投与は、本明細書に記載されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知のPNHの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーの有病率、頻度、レベル、及び/または量の減少、例えば、対象における事前の測定値または参照値と比較して、1つまたは複数の症状またはバイオマーカーの少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)のPNHを有する対象への投与は、同等の条件下の参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも大きな、PNHの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーの減少または改善をもたらす。したがって、PNHを有する対象の処置は、感染、アルコール、運動、またはストレスのいずれかの後に症状が増加する頻度または可能性の低下をもたらし得る。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、主に腎機能に影響を及ぼす疾患である。この状態は、あらゆる年齢で生じる可能性があり、腎臓の小血管に異常な血液の塊(血栓)を形成させる可能性がある。これらの血塊は、血流を制限または遮断する場合、重篤な医学的問題を引き起こすおそれがある。非典型溶血性尿毒症症候群は、異常な凝固に関連する3つの主要な特徴、すなわち、溶血性貧血、血小板減少症、及び腎臓不全を特徴とする。非典型溶血性尿毒症症候群と関連する遺伝子の変異は、補体系の制御されない活性化を引き起こす。過剰活性の系は、腎臓の血管を裏打ちする細胞を攻撃し、炎症及び異常な血塊の形成を引き起こす。これらの異常は、腎損傷、ならびに多くの場合、腎臓不全及びESRDを引き起こす。
様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、aHUSの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーを処置するか、軽減するか、その有病率を低下させるか、その頻度を低下させるか、またはそのレベルもしくは量を低下させる。aHUSの症状としては、限定されないが、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ(呼吸困難)、疲労、貧血、血小板減少症、腎損傷、腎臓不全、末期腎疾患、脳卒中、胃腸の問題(例えば、重度の胃痛)、結腸炎症、血管損傷、心臓発作、神経学的問題(例えば発作)、貧血、溶血、蒼白、黄疸、浮腫、頻拍、眼の黄染、血栓性微小血管症(TMA)、移植関連血栓性微小血管症(TA-TMA)、脳卒中、心臓発作、倦怠感、微小血管障害性貧血、血性下痢、肺合併症、膵炎、破砕赤血球、脳症、昏睡、悪性高血圧症、タンパク尿、血小板の減少、ヘモグロブリンの減少、ヘプタグロビンの減少、乳酸脱水素酵素(LDH)の増加、クレアチンの増加、及び/または血中尿素窒素の増加が挙げられる。
様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される抗体)のaHUSを有する対象への投与は、本明細書に記載されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知のaHUSの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーの有病率、頻度、レベル、または量の減少、例えば、対象における事前の測定値または参照値と比較して、1つまたは複数の症状の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)のaHUSを有する対象への投与は、同等の条件下の参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも大きな、aHUSの1つまたは複数の症状の減少または改善をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、後天性微小血栓性疾患を処置する方法において使用される。血小板減少症、溶血性貧血、腎不全を特徴とする後天性微小血栓性疾患は、世界中で100万人当たり4人、米国では造血幹細胞レシピエントの20%(米国では1年当たり8000人)に影響を及ぼす。血栓性微小血管症(TMAと略記)は、内皮傷害のために毛細血管及び細動脈の血栓症をもたらす病態である。これらの疾患は、aHUSなどの遺伝的補体変異の結果であり得る。これらはまた、一部の薬物治療、幹細胞移植、感染症関連事象、妊娠、外科的処置、悪性腫瘍、またはSTEC関連事象に続発する可能性がある。これは、血小板減少症、貧血、紫斑病及び腎不全と関連して確認される場合がある。古典的TMAは、溶血性尿毒症症候群及び血栓性血小板減少性紫斑病である。TMAを伴う他の状態としては、非典型溶血性尿毒症症候群、播種性血管内凝固、強皮症腎クリーゼ、悪性高血圧症、抗リン脂質抗体症候群、及び薬物毒性、例えばカルシニューリン阻害薬毒性が挙げられる。TMAは、多くの場合、内皮血栓抵抗性の低下、損傷した内皮への白血球付着、補体消費、血管剪断応力の増強、及びフォン・ヴィレブランド因子(vWF)の異常な断片化をもたらす。
移植関連血栓性微小血管症(TA-TMA)は、感染症、移植片対宿主病、及び播種性血管内凝固、ならびに免疫抑制薬の副作用を含む移植それ自体の合併症がTMAを模倣する可能性があることを呈し得る。TA-TMAの病態生理は十分に解明されていないため、現在の処置の選択肢は最適以下であり、この状態は非常に高い死亡率をもたらす。様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、TMAまたはTA-TMAの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーを処置するか、軽減するか、その有病率を低下させるか、その頻度を低下させるか、またはそのレベルもしくは量を低下させる。TA-TMAの症状としては、限定されないが、発熱、微小血管障害性溶血性貧血(血液塗抹標本における破砕赤血球を確認する)、腎不全、血小板減少症、神経学的所見が挙げられ、脳、腎臓、心臓、肝臓、及び他の主要な臓器に影響を及ぼす多臓器不全または損傷もまたあり得る。
大多数のTA-TMA患者は、ADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテアーゼ、メンバー13)活性の抑制を正常の5%~10%未満まで欠いており、血漿交換に対して完全な応答を有しない。加えて、TA-TMAの発現は高度に不均一であり、無症候性、低レベルの赤血球断片化から劇症疾患まで存在する。TA-TMAの診断は、赤血球断片に関する末梢血膜の検査によって最も確実に行われる。
様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される抗体)のTA-TMAを有する対象への投与は、本明細書に記載されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知のTA-TMAの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーの有病率、頻度、レベル、または量の減少、例えば、対象における事前の測定値または参照値と比較して、1つまたは複数の症状の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)のTA-TMAを有する対象への投与は、同等の条件下の参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも大きな、TA-TMAの1つまたは複数の症状の減少または改善をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、C3糸球体症(C3G)を処置する方法において使用される。C3糸球体症(C3G)は、免疫グロブリン沈着物を伴わないC3沈着を特徴とする珍しい腎疾患群である。これらの腎疾患は、組織学に基づいて、デンスデポジット病(DDD)及びC3糸球体腎炎(C3GN)に細分することができる。C3G患者は共通して、補体副経路遺伝子における変異、C3腎炎因子の存在、及びESRDと腎移植後の疾患の再発との両方に関する実質的なリスクを有する。C3転換酵素自己抗体は、C3転換酵素複合体を安定化させ、副経路補体の局所生成を増加させる。腎臓不全は、50%の患者に10年以内に生じ、C3疾患における腎移植は、移植後の50%の再発及び移植片喪失により限定的である。
デンスデポジット病(DDD)は、腎臓生検時の腎糸球体における豊富なC3を特徴とし、電子顕微鏡を使用して糸球体基底膜(GBM)に認められる極度に高密度の沈着物のために命名された、非常に珍しい腎臓疾患である。DDDとC3GNの両方では、GBMにおけるC3及び他のタンパク質の沈着物により腎臓機能が妨害される。糸球体に対する進行性の損傷が生じ、最終的に腎臓不全をもたらす。腎臓不全が生じる場合、透析を開始しなければならないか、または移植を実施しなければならない。末期腎臓不全までの進行速度及び透析は、DDDとC3GNの両方で類似していると考えられる。腎臓における高密度の沈着物に加えて、DDDを有する人は、眼に沈着物を生じる可能性がある。DDD及びC3GNの徴候及び症状は類似しており、血尿、タンパク尿、尿中白血球;浮腫、高血圧、尿量減少;及び覚醒低下を含むがこれらに限定されない。
C3G(DDDまたはC3GNのいずれか)が疑われる場合、免疫蛍光分析は糸球体毛細血管に豊富なC3を示すはずである。C3に加えて、糸球体は、他の補体系タンパク質を含有し、血液循環中の補体タンパク質のレベルは低下し得る。補体制御不全の原因は、補体制御タンパク質における遺伝子バリアント及び転換酵素に対する自己抗体[5、9、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29];補体因子H(CFH)、補体因子I(CFI)、MCP(膜補因子タンパク質またはCD46とも称される)、補体因子B(CFB)、補体因子C3及びCFHR5の変異であり得る。補体制御不全はまた、後天性因子に起因する場合もある。
様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される抗体)のDDDまたはC3GNを有する対象への投与は、本明細書に記載されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知のDDDまたはC3GNの1つまたは複数の症状またはバイオマーカーの有病率、頻度、レベル、または量の減少、例えば、対象における事前の測定値または参照値と比較して、1つまたは複数の症状の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)のDDDまたはC3GNを有する対象への投与は、同等の条件下の参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも大きな、DDDまたはC3GNの1つまたは複数の症状の減少または改善をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、多発性神経障害を処置する方法において使用される。傷害中の末梢ニューロンにおける補体活性化は、多発性神経障害の亜型、例えば、遺伝性/家族性アミロイド神経障害;運動、感覚、及び自律神経線維を損傷し得る脱髄性神経障害であるギラン・バレー症候群(GBS);糖尿病性神経障害などをもたらす。末梢神経障害(PN)は、神経の炎症または損傷によって引き起こされ得る。これは、身体の任意の部位に刺痛、知覚麻痺及び灼熱痛をもたらし得るが、一般的には手、足及び下腿に感じられる。一部の患者は、疼痛に対する感受性の増加、温度に対する感受性の低下、神経損傷による感覚運動機能障害を経験し得る。
全身性アミロイドーシスは、異常なアミロイド線維の沈着により多臓器機能不全を引き起こし得る多様な障害群である。遺伝性アミロイド末梢神経障害は、疾患経過を引き起こすアミロイドタンパク質の種類によってさらに分類することができる。これらには、トランスサイレチン、アポタンパク質A1、ゲルゾリン、及びAβ2-ミクログロブリンが含まれる。TTR遺伝子の変異は、最も一般的な形態の遺伝性のアミロイドーシスを引き起こし、アミロイド軽鎖(AL)アミロイドーシスは、最も一般的な後天性の形態である。末梢神経系の関与は一般的であり、長さ依存性感覚運動多発神経障害、局所神経障害、多巣性神経障害、または自律神経障害として出現し得る。家族性アミロイド多発神経障害(FAP)は、典型的には末梢感覚運動及び/または自律神経系に関与する顕著な臨床所見を有する一群の遺伝性アミロイドーシスを指す。
ギラン・バレー症候群(GBS)は、末梢神経系を損傷する免疫系によって引き起こされる、急速に発症する筋力低下である。初期症状は、典型的には筋力低下を伴う感覚または疼痛の変化であり、足及び手から始まり、両側が関与しながら腕及び上半身に広がっていく。ギラン・バレー症候群の症状は、多くの場合、足及び脚から始まり、上半身及び腕に広がっていく刺痛及び脱力、発話、咀嚼または嚥下を含む眼または顔面運動の困難、重度の疼痛、膀胱の制御または腸機能に関する困難、頻拍、低または高血圧、ならびに呼吸の困難から始まる。GBSが進行するにつれて、筋力低下は麻痺に発展することがある。ギラン・バレー症候群は、現在、いくつかの形態で生じることが公知である。主要なタイプは、急性炎症性脱髄性多発根神経炎(AIDP)、ミラー・フィッシャー症候群(MFS)、急性運動軸索型神経障害(AMAN)、及び急性運動感覚性軸索型神経障害(AMSAN)である。
糖尿病性神経障害は、糖尿病によって引き起こされる神経障害の一系統である。糖尿病を有する人々は、経時的に、身体全体に神経損傷を起こす可能性がある。神経損傷を有する一部の人々は症状を有しない。他の人々は、疼痛、刺痛、または知覚麻痺、すなわち手、腕、足、及び脚の感覚の喪失などの症状を有し得る。消化管、心臓、及び生殖器を含むあらゆる臓器系において神経の問題が生じ得る。神経損傷の症状としては、足趾、足、脚、手、腕、及び手指における知覚麻痺、刺痛、もしくは疼痛、筋消耗、消化不良、悪心、または嘔吐、下痢もしくは便秘、起立後もしくは着座後の血圧低下による浮動性めまいもしくは失神性めまい、排尿に関する困難、男性における勃起不全、または女性における膣の乾燥を挙げることができる。
様々な場合において、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される抗体)の末梢神経障害を有する対象への投与は、本明細書に記載されるかまたはそうでなければ当技術分野で公知の末梢神経障害の1つまたは複数の症状またはバイオマーカーの有病率、頻度、レベル、または量の減少、例えば、対象における事前の測定値または参照値と比較して、1つまたは複数の症状の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)の末梢神経障害を有する対象への投与は、同等の条件下の参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも大きな、末梢神経障害の1つまたは複数の症状の減少または改善をもたらす。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、参照タンパク質(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と比較して減少した有効用量を呈する。例えば、本明細書に記載される操作された抗体の有効用量は、例えば、1,000mg/用量未満、例えば、900mg/用量未満、800mg/用量、700mg/用量、600mg/用量、500mg/用量、550mg/用量、400mg/用量、350mg/用量、300mg/用量、200mg/用量、100mg/用量、50mg/用量、または25mg/用量以下であり得る。ある特定の場合では、本明細書に開示される操作された抗体の有効用量は、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体の有効または推奨または承認投与量よりも低く、その参照抗体の投与量は、例えば900mg/用量または600mg/用量であり得る。代替的に、または本明細書に開示される投与量と組み合わせて、本明細書に記載される操作された抗体は、1週間当たり1回未満、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、または1年ごとに1回未満の頻度で効果的にまたは有用に投与され得る。ある特定の場合では、本明細書に開示される操作された抗体の有効または有用な投与頻度は、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体の有効または推奨または承認投与頻度よりも低く、参照抗体の投与頻度は、毎週(例えば、対象の体重に応じて300~600mgの投与量)または2週間ごとに(例えば、対象の体重に応じて300~1200mgの投与量)投与され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体と比較して減少した投薬量で投与することができるが、操作された抗体が、参照(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と、同一、同等、もしくは実質的に同等の製剤及び/または同一、同等、もしくは実質的に同等の投与経路で投与される場合、等しい、等しく効果的、比較的効果的、または実質的に効果的なアウトカムを達成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、参照抗体(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と比較して増加した間隔で投与することができるが、操作された抗体が、参照(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と、同一、同等、もしくは実質的に同等の製剤及び/または同一、同等、もしくは実質的に同等の投与経路で投与される場合、等しい、等しく効果的、比較的効果的、または実質的に効果的なアウトカムを達成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、参照抗体(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と比較して減少した数の単位投与量及び/または短縮された処置期間で投与することができるが、操作された抗体が、参照(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)と、同一、同等、もしくは実質的に同等の製剤及び/または同一、同等、もしくは実質的に同等の投与経路で投与される場合、等しい、等しく効果的、比較的効果的、または実質的に効果的なアウトカムを達成する。
そのようないくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される操作された抗体の投与される用量は、対象に投与される場合に、有害応答、例えば有害免疫応答を誘発する可能性が、有効用量の参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも低いと考えられる。したがって、様々な実施形態では、本明細書に開示される操作された抗体は、投与される活性単位当たりにおいて、有害反応または副作用を誘導する可能性が、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも低いと考えられる。様々な実施形態では、本明細書に開示される操作された抗体は、投与される活性単位当たりにおいて、特定の程度の重症度を有する有害反応または副作用を誘導する可能性が、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも低いと考えられる。様々な実施形態では、本明細書に開示される操作された抗体は、投与される活性単位当たりにおいて、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも小さい程度で、またはそれよりも少ない患者に、1つまたは複数の有害反応または副作用を誘導し得る。CFDと結合することができる抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体などの従来の抗体の投与と関連し得る有害反応または副作用の例としては、頭痛、鼻咽頭炎、背部痛、悪心、下痢、高血圧症、上気道感染症、腹痛、嘔吐、貧血、咳、末梢浮腫、及び/または尿路感染症を挙げることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)の投与は、血清中のCFD価を減少させる。CFDの典型的なヒト血漿中濃度は約0.37μMである。1つまたは複数の用量の本明細書に開示される操作された抗体を投与する場合、対象におけるヒトCFDの血漿中濃度は、同じ対象における事前の測定濃度と比較してまたは標準的な値と比較して、例えば約0.37μMの値と比較して低下し得る。様々な場合において、1つもしくは複数の対象または対象の集団のいずれかに任意の期間(例えば、1~4週間、1~12か月、または1~3年以上)にわたり投与される任意の数の用量(例えば、1用量、3用量、または数か月もしくは数年の期間にわたり処方されるいくつかの用量)を含む操作された抗体の投与後のCFDの血清中濃度は、例えば、0.35μM、0.325μM、0.30μM、0.275μM、0.25μM、0.225μM、0.20μM、0.175μM、0.15μM、0.125μM、0.10μM、0.075μM、0.05μM、または0.025μMに等しいかまたはそれ未満であり得る。いくつかの実施形態では、対象に投与される場合、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、同等の条件下の参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体よりも大きな、血清中のCFD価の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、対象に(例えば単回用量で)投与される場合、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、投与後の定義された時間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日以上)の血漿において、同じ定義された時間における対照(例えば参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)のレベルと比べて上昇したレベルで測定される。例えば、単回用量の投与後の定義された時間において、本明細書に記載される操作された抗体のレベルは、参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体の対応するレベルよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、または500%高い。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、(例えば単回用量の)投与後の定義された時間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日以上)の血漿において、同じ定義された時間における対照(例えば参照タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)のレベルと比べて上昇したレベルで測定される。例えば、投与後の定義された時間において、本明細書に記載される操作された抗体のレベルは、参照抗体(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体)の対応するレベルよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、または500%高い。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、(例えば対照、例えば参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体と比べて)増加した半減期を有し、したがって、操作された抗体は、増加した投与間隔で対象に投与することができる。例えば、操作された抗体は、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、またはそれよりも長い期間に1回投与することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)の治療有効量は、参照治療タンパク質、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体の有効量の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%である。いくつかの実施形態では、単回用量の本明細書に記載される操作された抗体は、2用量以上の参照抗体、例えば配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む参照抗体と同等の治療効果を達成する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、対象の血清における標的抗原(例えば、CFD)の濃度の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%の用量で投与される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、静脈内投与以外の経路、例えば、皮下投与によって投与されてもよい。したがって、様々な実施形態では、本明細書に開示される抗体は、皮下投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、例えば単一処置戦略の構成要素として、静脈内及び皮下経路によって投与することができる。静脈内及び皮下投与は同時であっても同時でなくてもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、いくつかの診断及び治療用途において使用することができる。例えば、検出可能に標識された形態の本明細書に記載される操作された抗体は、試料(例えば生体試料)におけるCFDの存在または量を検出するアッセイにおいて使用することができる。本明細書に記載される操作された抗体は、CFD活性及び/または切断の阻害を研究するためのインビトロアッセイにおいて使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、補体活性を阻害するかまたはそうでなければ補体関連障害を処置するのに有用なさらなる新規化合物を同定するように設計されたアッセイにおいて、陽性対照として使用することができる。例えば、本明細書に記載される操作された抗体は、CFD産生またはMACの形成を減少または抑制するさらなる化合物(例えば、低分子、アプタマー、または抗体)を同定するアッセイにおいて、陽性対照として使用することができる。
本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、対象、例えば、1つまたは複数の補体関連状態を有するか、有する疑いがあるか、発生するリスクがあるか、または処置されている対象のモニタリングにおいて使用されてもよい。モニタリングには、対象における、例えば対象の血清におけるCFDの量または活性を決定することが含まれ得る。いくつかの実施形態では、評価は、本明細書に記載される操作された抗体の投与の少なくとも一(1)時間後、例えば、少なくとも2、4、6、8、12、24、もしくは48時間、または少なくとも1日、2日、4日、10日、13日、もしくは20日以上、または少なくとも1週間、2週間、4週間、10週間、13週間、もしくは20週間以上後に実施される。対象は、以下の期間:処置の開始前、処置の間、または処置の1つもしくは複数の要素が投与された後のうちの1つまたは複数において評価することができる。評価には、さらなる処置の必要性を評価すること、例えば、投与量、投与頻度、または処置の期間を変更すべきか否かを評価することが含まれ得る。評価にはまた、選択された治療モダリティを追加または削除する必要性を評価すること、例えば、本明細書に記載される補体関連障害のための処置のいずれかを追加または削除することが含まれ得る。
製剤化及び投与
様々な実施形態では、本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)は、医薬組成物に組み込むことができる。そのような医薬組成物は、例えば、疾患、例えばPNH及び/またはaHUS、または他の補体関連障害の予防及び/または処置に有用であり得る。医薬組成物は、当業者に公知の方法(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,ed.Alfonso R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1985)に記載されている)によって製剤化することができる。
好適な投与手段は、対象の年齢及び状態に基づいて選択され得る。本明細書に記載される多重特異性結合分子(例えば、本明細書に記載される操作された抗体)を含有する医薬組成物の単回用量は、0.001~1000mg/kg体重の範囲から選択され得る。他方、用量は、0.001~100000mg/kg体重の範囲で選択され得るが、本開示はそのような範囲に限定されない。投与の用量及び方法は、患者の体重、年齢、状態などに応じて変動し、当業者が必要に応じて好適に選択することができる。
様々な場合において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含むように製剤化することができる。薬学的に許容される担体の例としては、限定されないが、生理学的に適合性のあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などが挙げられる。本発明の組成物は、薬学的に許容される塩、例えば酸付加塩または塩基付加塩を含み得る。
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体を含む組成物、例えば注射用滅菌製剤は、ビヒクルとして注射用蒸留水を使用する従来の薬学的慣行に従って製剤化することができる。例えば、グルコースと、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、及び塩化ナトリウムなどの他の補充物質とを含有する生理食塩水または等張溶液は、任意選択で好適な可溶化剤、例えば、エタノールなどのアルコール、及びプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの多価アルコール、及びポリソルベート80(商標)、HCO-50などの非イオン性界面活性剤などと組み合わせて、注射用水溶液として使用され得る。
本明細書に開示されるように、医薬組成物は、当技術分野で公知のいかなる形態であってもよい。そのような形態としては、例えば、液体、半固形及び固形剤形、例えば、液体溶液(例えば、注射液及び注入液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸剤、粉末、リポソーム及び坐剤が挙げられる。
任意の特定の形態の選択または使用は、部分的には、所期の投与様式及び治療用途に依存し得る。例えば、全身または局所送達が意図された組成物を含有する組成物は、注射液または注入液の形態であり得る。したがって、組成物は、非経口様式(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射)による投与のために製剤化され得る。本明細書で使用される場合、非経口投与とは、通常は注射による、経腸及び局所的投与以外の投与様式を指し、限定されないが、静脈内、鼻腔内、眼内、肺、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内及び胸骨内注射及び注入を含む。
投与経路は、非経口、例えば、注射による投与、経鼻投与、経肺投与、または経皮投与であり得る。投与は、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射による全身または局所投与であり得る。
様々な実施形態では、本発明の医薬組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散剤、リポソーム、または高濃度での安定な保存に好適な他の秩序構造として製剤化することができる。滅菌注射液は、必要量の本明細書に記載される組成物を、上に列挙した成分のうちの1つまたはその組み合わせを有する適切な溶媒に組み込み、必要な場合、それに続けて濾過滅菌することによって調製することができる。概して、分散剤は、本明細書に記載される組成物を、ベースとなる分散媒と上に列挙したものからの他の必要とされる成分とを含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、調製のための方法としては、本明細書に記載される組成物の粉末と、任意の追加の所望の成分(下記を参照のこと)の事前に滅菌濾過された溶液からのその成分とを得る真空乾燥及び凍結乾燥が挙げられる。溶液の適度な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散剤の場合における必要とされる粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる試薬、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。
医薬組成物は、水中または別の薬学的に許容される液体中の滅菌溶液または懸濁液を含む注射用製剤の形態において非経口投与することができる。例えば、医薬組成物は、治療分子を薬学的に許容されるビヒクルまたは培地、例えば、滅菌水及び生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、着香賦形剤、希釈剤、ビヒクル、保存剤、結合剤と好適に組み合わせ、それに続けて、一般に認められている薬学的慣行に必要とされる単位用量形態において混合することによって製剤化することができる。医薬調製物に含まれる有効成分の量は、指定された範囲内の好適な用量が提供されるような量である。油性液体の非限定的な例としては、ゴマ油及びダイズ油が挙げられ、これは、可溶化剤としての安息香酸ベンジルまたはベンジルアルコールと組み合わされてもよい。含まれ得る他の項目としては、リン酸緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液、プロカイン塩酸塩などの鎮痛剤、ベンジルアルコールまたはフェノールなどの安定剤、及び酸化防止剤である。製剤化された注射剤は、好適なアンプルに包装することができる。
いくつかの実施形態では、組成物は、0℃未満(例えば、-20℃または-80℃)の温度での保存のために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、2~8℃(例えば4℃)での最大2年(例えば、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、1 1/2年、または2年)間の保存のために製剤化され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、2~8℃(例えば4℃)での少なくとも1年間の保存において安定である。
特定の場合では、医薬組成物は、溶液として製剤化することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、好適な濃度の、2~8℃(例えば4℃)での保存に好適な緩衝溶液として製剤化することができる。
本明細書に記載される1つまたは複数の操作された抗体を含む組成物は、免疫リポソーム組成物に製剤化することができる。そのような製剤は、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。循環時間が増大したリポソームは、例えば米国特許第5,013,556号に開示されている。
ある特定の実施形態では、組成物は、埋込剤及びマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤などの、急速な放出に対して化合物を保護し得る担体と共に製剤化することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための多くの方法は当技術分野で公知である。例えば、J.R.Robinson(1978)「Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems」,Marcel Dekker,Inc.,New Yorkを参照のこと。
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒトなどの哺乳動物への肺内投与(例えば、吸入器またはネブライザーを介した投与)に好適な組成物に製剤化することができる。そのような組成物を製剤化するための方法は当技術分野で周知である。乾燥粉末吸入製剤及び製剤の投与に好適なシステムもまた当技術分野で公知である。肺投与は、経口及び/または経鼻であり得る。肺送達のための医薬品用デバイスの例としては、定量吸入器、乾燥粉末吸入器(DPI)、及びネブライザーが挙げられる。例えば、本明細書に記載される組成物は、乾燥粉末吸入器によって対象の肺に投与することができる。これらの吸入器は、分散性かつ安定な乾燥粉末製剤を肺に送達する、噴霧剤不要のデバイスである。乾燥粉末吸入器は、医学分野で周知であり、限定されないが、TURBOHALER(登録商標)(AstraZeneca;London、England)、AIR(登録商標)吸入器(ALKERMES(登録商標);Cambridge、Mass.)、ROTAHALER(登録商標)(GlaxoSmithKline;London、England)、及びECLIPSE(商標)(Sanofi-Aventis;Paris、France)が挙げられる。例えば、PCT公開番号WO04/026380、WO04/024156、及びWO01/78693もまた参照のこと。DPIデバイスは、インスリン及び成長ホルモンなどのポリペプチドの肺投与のために使用されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、定量吸入器によって肺内投与することができる。これらの吸入器は、別々の用量の化合物を肺に送達するために、噴霧剤に依存する。さらなるデバイス及び肺内投与方法は、例えば、米国特許出願公開第20050271660号及び同第20090110679号に記載されており、そのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、組成物は、眼への送達のために、例えば、薬学的に許容される溶液、懸濁液または軟膏の形態で製剤化することができる。眼の処置における使用のための調製物は、例えば追加の成分、例えば、これらに限定されないが、保存剤、緩衝液、張性剤、酸化防止剤、及び安定剤、非イオン性湿潤または清澄剤、ならびに増粘剤を含有する滅菌水溶液の形態であり得る。本明細書に記載される調製物は、処置を必要とする対象(例えば、AMDに罹患している対象)の眼に従来の方法によって、例えば、点眼薬の形態で、または眼を1つもしくは複数の組成物を含有する治療溶液に浸すことによって局所的に投与することができる。
ある特定の実施形態では、薬物を眼の硝子体腔に導入するための様々なデバイスが、本明細書に記載される組成物の投与に適切であり得る。例えば、米国公開第2002/0026176号は、硝子体腔に突出して医薬品を硝子体腔に送達するように、強膜を貫通して挿入することができる医薬品含有プラグを記載している。別の例では、米国特許第5,443,505号は、薬物の眼の内部への徐放のための、上脈絡膜腔または無血管領域への導入のための埋め込み型デバイスを記載している。米国特許第5,773,019号及び同第6,001,386号はそれぞれ、眼の強膜表面に付着可能な埋め込み型薬物送達デバイスを開示している。治療剤の眼への送達のためのさらなる方法及びデバイス(例えば、経強膜パッチ及びコンタクトレンズを介した送達)は、例えば、Ambati and Adamis(2002)Prog Retin Eye Res 21(2):145-151、Ranta and Urtti(2006)Adv Drug Delivery Rev 58(11):1164-1181、Barocas and Balachandran(2008)Expert Opin Drug Delivery 5(1):1-10(10)、Gulsen and Chauhan(2004)Invest Opthalmol Vis Sci 45:2342-2347、Kim et al.(2007)Ophthalmic Res 39:244-254、及びPCT公開番号WO04/073551に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体の投与は、抗体をコードする核酸を対象に投与することによって達成される。本明細書に記載される治療抗体をコードする核酸は、細胞内で抗体を発現及び産生するために使用することができる核酸を送達するための遺伝子治療プロトコルの一部として使用される遺伝子構築物に組み込むことができる。そのような構成成分の発現構築物は、治療上効果的な任意の担体、例えば、構成成分遺伝子を細胞にインビボで効果的に送達することができる任意の製剤または組成物において投与され得る。手法には、組換えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、及び単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)を含むウイルスベクター、または組換え細菌もしくは真核生物プラスミドへの対象遺伝子の挿入が含まれる。ウイルスベクターは、細胞に直接トランスフェクトすることができ、プラスミドDNAは、例えば、カチオン性リポソーム(リポフェクション)もしくは誘導体化ポリリジンコンジュゲート、グラミシジンS、人工ウイルスエンベロープ、または他のそのような細胞内担体、及び遺伝子構築物の直接注射またはCaPO4沈殿(例えば、WO04/060407を参照のこと)を用いて送達することができる。好適なレトロウイルスの例としては、pLJ、pZIP、pWE及びpEMが挙げられ、これらは当業者に公知である(例えば、Eglitis et al.(1985)Science 230:1395-1398、Danos and Mulligan(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85:6460-6464、Wilson et al.(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85:3014-3018、Armentano et al.(1990)Proc Natl Acad Sci USA 87:6141-6145、Huber et al.(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:8039-8043、Ferry et al.(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:8377-8381、Chowdhury et al.(1991)Science 254:1802-1805、van Beusechem et al.(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:7640-7644、Kay et al.(1992)Human Gene Therapy 3:641-647、Dai et al.(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:10892-10895、Hwu et al.(1993)J Immunol 150:4104-4115、米国特許第4,868,116号及び同第4,980,286号、ならびにPCT公開番号WO89/07136、WO89/02468、WO89/05345、及びWO92/07573を参照のこと)。別のウイルス遺伝子送達系は、アデノウイルス由来ベクターを利用する(例えば、Berkner et al.(1988)BioTechniques 6:616、Rosenfeld et al.(1991)Science 252:431-434、及びRosenfeld et al.(1992)Cell 68:143-155を参照のこと)。アデノウイルス株Ad5型dl324またはアデノウイルスの他の株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)に由来する好適なアデノウイルスベクターは当業者に公知である。対象遺伝子の送達に有用なさらに別のウイルスベクター系は、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。例えば、Flotte et al.(1992)Am J Respir Cell Mol Biol 7:349-356、Samulski et al.(1989)J Virol 63:3822-3828、及びMcLaughlin et al.(1989)J Virol 62:1963-1973を参照のこと。
様々な実施形態では、皮下投与は、シリンジ、充填済みシリンジ、自動注射器(例えば、使い捨てまたは再使用可能)、ペン型注射器、パッチ型注射器、ウェアラブル注射器、皮下注入セットを備えた携帯型シリンジ注入ポンプ、または皮下注射のための、抗体薬物と組み合わせるための他のデバイスなどのデバイスによって遂行することができる。
本開示の注射システムは、米国特許第5,308,341号に記載されている送達ペンを用いてもよい。ペン型デバイスは、糖尿病を有する患者へのインスリンの自己送達のために最も一般的に使用されており、当技術分野で周知である。そのようなデバイスは、少なくとも1つの注射針(例えば、約5~8mm長の31ゲージ針)を含み得、典型的には1つまたは複数の治療単位用量の治療溶液が充填済みであり、可能な限り少ない疼痛で溶液を対象に急速に送達するのに有用である。1本の投薬ペンは、治療用の薬または他の薬のバイアルが収納され得るバイアルホルダを備える。ペンは、完全に機械的なデバイスであってもよく、または使用者に注射される薬の投与量を正確に設定及び/または表示するために電子回路と組み合わされていてもよい。例えば、米国特許第6,192,891号を参照のこと。いくつかの実施形態では、ペン型デバイスの針は使い捨てであり、キットは1つまたは複数の使い捨て交換針を含む。本発明の特徴を有する組成物のいずれか1つの送達に好適なペン型デバイスは、例えば米国特許第6,277,099号、同第6,200,296号、及び同第6,146,361号に記載されており、そのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。マイクロニードルベースのペン型デバイスは、例えば米国特許第7,556,615号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。Scandinavian Health Ltdによって製造されている高精度ペン型注射器(PPI)デバイスMOLLY(商標)もまた参照のこと。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、局所投与によって対象に治療的に送達することができる。本明細書で使用される場合、「局所投与」または「局所送達」とは、組成物または薬剤の、所期の標的組織または部位への血管系を介した輸送に依存しない送達を指す場合がある。例えば、組成物は、組成物もしくは薬剤の注射もしくは埋め込みによって、または組成物もしくは薬剤を含有するデバイスの注射もしくは埋め込みによって送達され得る。ある特定の実施形態では、標的組織または部位の近傍での局所投与後、組成物もしくは薬剤、またはその1つもしくは複数の構成成分は、投与部位ではない所期の標的組織または部位に拡散し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、関節(例えば、関節の結合部)に局所投与することができる。例えば、障害が関節炎である複数の実施形態では、治療上適切な組成物は、関節(例えば、関節空間)に直接、または関節の近傍に投与することができる。本明細書に記載される組成物を局所投与することができる関節内関節(intraarticular joint)の例としては、例えば、腰、膝、肘、手首、胸鎖、側頭下顎骨、手根、足根、足首、及び関節炎の状態になりやすい任意の他の関節が挙げられる。本明細書に記載される組成物は、滑液包、例えば、肩峰、二頭筋橈骨、肘橈骨(cubitoradial)、三角筋、膝蓋下、坐骨滑液包、及び医学分野で公知の任意の他の滑液包にも投与することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される組成物は、自己投与に好適であり得る単位剤形で存在する。そのような単位剤形は、容器、典型的には、例えばバイアル、カートリッジ、充填済みシリンジまたは使い捨てペンにおいて提供され得る。米国特許第6,302,855号に記載されている投与装置デバイスなどの投与装置もまた、例えば本明細書に記載される注射システムと共に使用され得る。
対象における障害を処置または予防することができる本明細書に記載される組成物の好適な用量は、例えば、処置される対象の年齢、性別、及び体重、ならびに使用される特定の阻害化合物を含む様々な因子に依存し得る。例えば、RAを有する対象を処置するために、本明細書に記載される抗体を含むある組成物の、その抗体の異なる製剤の用量と比較して異なる用量が必要とされる場合がある。対象に投与される用量に影響を及ぼす他の因子としては、例えば、障害の種類または重症度が挙げられる。例えば、RAを有する対象は、PNHを有する対象と異なる投与量の投与を必要とする場合がある。他の因子としては、例えば、対象に同時にまたは過去に影響を及ぼしている他の医学的障害、対象の全身の健康状態、対象の遺伝的素因、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、及び対象に投与される任意の他の追加の治療薬を挙げることができる。任意の特定の対象に対する特定の投与量及び処置レジメンもまた処置を行う医師の判断に基づいて調整することができるということもまた理解されるべきである。
本明細書に記載される組成物は、固定用量、またはミリグラム/キログラム(mg/kg)用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、用量はまた、組成物における1つまたは複数の抗原結合分子に対する抗体の産生または他の宿主免疫応答を減少または回避するように選択され得る。限定を意図するものではないが、本明細書に記載される組成物などの抗体の例示的な投与量としては、例えば、1~1000mg/kg、1~100mg/kg、0.5~50mg/kg、0.1~100mg/kg、0.5~25mg/kg、1~20mg/kg、及び1~10mg/kgが挙げられる。本明細書に記載される組成物の例示的な投与量としては、限定されないが、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4mg/kg、8mg/kg、または20mg/kgが挙げられる。
医薬溶液は、本明細書に記載される組成物の治療有効量を含み得る。そのような有効量は、部分的には、投与される組成物の効果、または2つ以上の薬剤が使用される場合は組成物と1つもしくは複数の追加の活性剤との組み合わせ効果に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。本明細書に記載される組成物の治療有効量はまた、個体の病状、年齢、性別、及び体重、ならびに組成物(及び1つまたは複数の追加の活性剤)の、個体に所望の応答、例えば、少なくとも1つの状態パラメータの回復、例えば、補体介在性障害の少なくとも1つの症状の回復を誘発する能力などの因子に応じて変動し得る。例えば、本明細書に記載される組成物の治療有効量は、特定の障害、及び/または当技術分野で公知であるかもしくは本明細書に記載されるその特定の障害の症状のいずれか1つを阻害(その重症度を低減またはその発生を排除)及び/または予防することができる。治療有効量はまた、組成物の任意の毒性効果または有害な効果よりも治療上有益な効果が上回る量でもある。
本明細書に記載される組成物のいずれかの好適なヒト用量は、例えば、第I相用量漸増研究においてさらに評価することができる。例えば、van Gurp et al.(2008)Am J Transplantation 8(8):1711-1718、Hanouska et al.(2007)Clin Cancer Res 13(2,part 1):523-531、及びHetherington et al.(2006)Antimicrobial Agents and Chemotherapy 50(10):3499-3500を参照のこと。
組成物の毒性及び治療有効性は、細胞培養または実験動物(例えば、本明細書に記載される補体介在性障害のいずれかの動物モデル)における公知の薬学的手順によって決定することができる。これらの手順は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療上効果的な用量)を決定するために使用することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数となり、これはLD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を呈する本明細書に記載される組成物が好ましい。毒性の副作用を呈する組成物を使用してもよいが、そのような化合物を患部組織の部位にターゲティングする送達系を設計すること、及び正常細胞に対する潜在的な損傷を最小限にし、それによって副作用を低減することに注意を払うべきである。
当業者は、細胞培養アッセイ及び動物研究から取得されたデータが、ヒトへの使用のための投与量の範囲を決めるのに使用可能であることを理解するだろう。本明細書に記載される組成物の適切な投与量は、概して、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む組成物の循環濃度の範囲内に存在する。投与量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本明細書に記載される組成物の場合、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。用量は、細胞培養において決定されるICFD0(すなわち、症状の半数阻害を達成する抗体の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する動物モデルにおいて決めることができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。例えば局所投与(例えば、眼または関節への)が所望されるいくつかの実施形態では、細胞培養または動物モデリングは、局所部位内の治療有効濃度を達成するために必要とされる用量を決定するために使用することができる。
併用療法
様々な実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体は、対象への少なくとも1つの追加の薬剤の投与をさらに含む処置のコースに含まれてもよい。様々な場合において、本明細書に記載される操作された抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、補体を阻害する薬剤、例えば、終末補体を阻害する薬剤であり得る。様々な場合において、本明細書に記載される抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、炎症を阻害する薬剤であり得る。様々な場合において、本明細書に記載される抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、PNHの症状を処置する薬剤であり得る。様々な場合において、本明細書に記載される抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、aHUSの症状を処置する薬剤であり得る。
いくつかの実施形態では、方法は、補体関連障害のための他の療法と共に実施することができる。例えば、組成物は、プラズマフェレーシス、IVIG療法、または血漿交換と同時、その前、またはその後に対象に投与することができる。例えば、Appel et al.(2005)J Am Soc Nephrol 16:1392-1404を参照のこと。いくつかの実施形態では、組成物は、腎臓移植と同時、その前、またはその後に対象に投与することができる。
様々な場合において、本明細書に記載される操作された抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、操作された抗体と同時に、操作された抗体と同じ日に、または操作された抗体と同じ週に投与され得る。様々な場合において、本明細書に記載される操作された抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、操作された抗体と共に単一の製剤において投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体の投与から時間的に離れた様式で、例えば、操作された抗体の投与の1時間以上前もしくは後、1日以上前もしくは後、1週間以上前もしくは後、または1か月以上前もしくは後に投与される追加の薬剤。様々な実施形態では、1つまたは複数の追加の薬剤の投与頻度は、本明細書に記載される操作された抗体の投与頻度と同じであっても、類似していても、異なっていてもよい。
本明細書に記載される2つの別個の抗体の投与を含む処置レジメン及び/または本明細書に記載される抗体の、複数の製剤及び/または投与経路による投与を含む処置レジメンは、併用療法に包含される。
いくつかの実施形態では、組成物は、1つまたは複数の追加の治療剤、例えば、対象における補体関連障害(例えば、AP関連障害またはCP関連障害)を処置または予防するための追加の療法と共に製剤化することができる。対象における補体関連障害を処置するための追加の薬剤は、処置される特定の障害に応じて様々であり得、限定されないが、降圧薬(例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害薬)[例えば、HELLP症候群の処置における使用のため]、抗凝固薬、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、または免疫抑制剤(例えば、ビンクリスチンまたはシクロスポリンA)を挙げることができる。抗凝固薬の例としては、例えば、ワルファリン(クマジン)、アスピリン、ヘパリン、フェニンジオン、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、及びトロンビン阻害薬(例えば、アルガトロバン、レピルジン、ビバリルジン、またはダビガトラン)が挙げられる。本明細書に記載される組成物は、補体関連障害の処置のための線維素溶解剤(例えば、アンクロド、ε-アミノカプロン酸、アンチプラスミン-a1、プロスタサイクリン、及びデフィブロチド)と共に製剤化することもできる。いくつかの実施形態では、組成物は、ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素の阻害薬などの脂質低下剤と共に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、リツキシマブ(RITUXAN(商標);Biogen Idec、Cambridge、Mass.)などの抗CD20剤と共に、またはそれとの使用のために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、例えば、RAの処置のために、組成物は、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標);Centocor,Inc.)及びメトトレキセート(RHEUMATREX(登録商標)、TREXALL(登録商標))の一方または両方と共に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と共に製剤化することができる。多くの異なるNSAIDが利用可能であり、一部のOTCとしては、イブプロフェン(ADVIL(登録商標)、MOTRIN(登録商標)、NUPRIN(登録商標))及びナプロキセン(ALLEVE(登録商標))が挙げられ、メロキシカム(MOBIC(登録商標))、エトドラク(LODINE(登録商標))、ナブメトン(RELAFEN(登録商標))、スリンダク(CLINORIL(登録商標))、トレメンチン(TOLECTIN(登録商標))、サリチル酸コリンマグネシウム(TRILASATE(登録商標))、ジクロフェナク(CATAFLAM(登録商標)、VOLTAREN(登録商標)、ARTHROTEC(登録商標))、ジフルニサル(DOLOBID(登録商標))、インドメタシン(INDOCIN(登録商標))、ケトプロフェン(ORUDIS(登録商標)、ORUVAIL(登録商標))、オキサプロジン(DAYPRO(登録商標))、及びピロキシカム(FELDENE(登録商標))を含む多くの他のNSAIDは処方により入手可能である。いくつかの実施形態では、組成物は、降圧薬、抗発作剤(例えば硫酸マグネシウム)、または抗血栓剤との使用のために製剤化することができる。降圧薬としては、例えば、ラベタロール、ヒドララジン、ニフェジピン、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ニトログリセリン、またはニトロプルシドナトリウムが挙げられる。(例えば、Mihu et al.(2007)J Gastrointestin Liver Dis 16(4):419-424を参照のこと)。抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン、アンチトロンビン、プロスタサイクリン、または低用量アスピリンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された抗体を含む組成物は、眼の補体関連障害の処置における使用のための1つまたは複数の追加の治療剤との投与のために製剤化することができる。そのような追加の治療剤は、例えば、いずれもRoche Pharmaceuticals,Inc.によって販売されているベバシズマブもしくはベバシズマブのFab断片またはラニビズマブ、及びペガプタニブナトリウム(MUCOGEN(登録商標);Pfizer,Inc.)であり得る。そのようなキットはまた、任意選択で、組成物を対象に投与するための説明書を含み得る。
いくつかの例では、併用療法は、COPDまたは喘息などの補体関連肺障害を有するか、発生するリスクがあるか、または有する疑いがある対象に治療上の利益を提供する1つまたは複数の追加の薬剤(例えば、抗IgE抗体、抗IL-4抗体、抗IL-5抗体、または抗ヒスタミン)を対象に投与することを含み得る。
いくつかの実施形態では、肺内投与のために製剤化された組成物は、肺障害を処置するための少なくとも1つの追加の活性剤を含み得る。少なくとも1つの活性剤は、例えば、抗IgE抗体(例えばオマリズマブ)、抗IL-4抗体もしくは抗IL-5抗体、抗IgE阻害薬(例えばモンテルカストナトリウム)、交感神経作動薬(例えばアルブテロール)、抗生物質(例えばトブラマイシン)、デオキシリボヌクレアーゼ(例えばPULMOZYME(登録商標))、抗コリン作動薬(例えばイプラトロピウム臭化物)、コルチコステロイド(例えばデキサメタゾン)、β-アドレナリン受容体アゴニスト、ロイコトリエン阻害薬(例えばジロートン)、5-リポキシゲナーゼ阻害薬、PDE阻害薬、CD23アンタゴニスト、IL-13アンタゴニスト、サイトカイン放出阻害薬、ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミン、抗炎症剤(例えばクロモリンナトリウム)、またはヒスタミン放出阻害薬であり得る。
いくつかの実施形態では、組成物は、ガンマグロブリン静注療法(IVIG)、プラズマフェレーシス、血漿補充、または血漿交換を伴う対象への投与のために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、腎臓移植の前、その間またはその後の使用のために製剤化することができる。
組成物が第2の活性剤と組み合わせて使用される場合、組成物は、第2の薬剤と合剤にされていてもよく、または組成物は、第2の薬剤の製剤と別個に製剤化されていてもよい。例えば、それぞれの医薬組成物は、例えば投与直前に混合されても、一緒に投与されてもよく、または別個に、例えば同じもしくは異なる時間に投与されてもよい。
本明細書に記載される組成物は、過去にまたは現在投与されている療法に取って代わり得るかまたはそれを増強することができる。例えば、本明細書に記載される組成物を用いて処置する場合、1つまたは複数の追加の活性剤の投与は、中止または減少し得る、例えば、より低いレベルで投与され得る、例えば、本明細書に記載される操作された抗体の投与後に、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むより低いレベルの参照抗体が投与され得る。いくつかの実施形態では、過去の療法の投与は維持され得る。いくつかの実施形態では、過去の療法は、組成物のレベルが治療効果をもたらすのに十分なレベルに達するまで維持され得る。2つの療法は組み合わせて投与され得る。
組換え遺伝子技術
本開示によれば、当技術分野の技術範囲内の従来の分子生物学、微生物学、及び組換えDNA技法を用いることができる。そのような技法は、文献に記載されている(例えば、Sambrook,Fritsch&Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985)、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984)、Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames&S.J.Higgins eds.(1985))、Transcription And Translation(B.D.Hames&S.J.Higgins,eds.(1984))、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1986))、Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,(1986))、B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984)、F.M.Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.(1994)を参照のこと)。
本明細書に記載される操作された抗体などのポリペプチドをコードする核酸などの遺伝子の組換え発現は、ポリペプチドをコードする核酸を含有する発現ベクターの構築を含み得る。ポリヌクレオチドが取得されたら、ポリペプチドの産生のためのベクターが、当技術分野で公知の技法を使用する組換えDNA技術によって作製され得る。公知の方法は、ポリペプチドコード配列と適切な転写及び翻訳制御シグナルとを含有する発現ベクターを構築するために使用することができる。これらの方法としては、例えば、インビトロ組換えDNA技法、合成技法、及びインビボ遺伝子組換えが挙げられる。
発現ベクターは、従来の技法によって宿主細胞に移入することができ、トランスフェクトされた細胞は、次いで、従来の技法によって培養されて、ポリペプチドを産生することができる。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図していない。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法及び材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を本明細書に記載する。
以下の実施例は、本発明をなす及び実施するいくつかの好ましい形態を記載する。しかしながら、これらの実施例は、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきである。
実施例1.抗CFD mAb阻害の効力の評価のためのインビトロアッセイ
本実施例は、抗CFD mAb阻害の効力の評価のためのインビトロアッセイを実証する。図2Aに示すように、溶血レベルは、放出されたヘモグロビンからの光学密度(OD)によって測定することができ、MACレベルは、終末補体複合体(TCC)キットアッセイにおいて補体活性化を使用して測定することができる。プールされたヒトまたはcyno血清を抗CFD mAb1または抗CFD mAb2(軽鎖 配列番号1、重鎖 配列番号2)と組み合わせた。図2Bに示すように、CFD枯渇血清はいかなる副経路活性も示さなかった。
図3は、溶血アッセイフォーマットを使用したRBCへのC3沈着の最大幾何平均パーセントを示す。ウサギRBCに接触したC5枯渇血清は、FACSによって可視化されるウサギ赤血球へのC3b沈着を実証していると考えられた。抗CFD抗体2は、ベンチマーク抗体(抗CFD抗体1)と同様に、ウサギRBCへのC3b沈着を阻害する。
実施例2.抗CFD抗体の酸スイッチ及び半減期延長
この実施例は、本明細書に記載される抗CFD抗体がヒト及びcyno CFDに対する酸スイッチ特性を実証することを示す。図4及び表1に示すように、抗CFD抗体2は、ヒトCFD及びcyno CFDに対して、pH7.4ではピコモル範囲の結合親和性、pH5.5ではnM親和性を実証する。ノックインヒトFcRnマウスにおける半減期実験は、抗CFD抗体2が45日を超えて半減期に達することを示した(図5)。
実施例3.非ヒト霊長類(NHP)における抗CFD mAbの薬物動態及び薬力学的(PK/PD)評価
この実施例は、非ヒト霊長類(NHP)における抗CFD mAbの(PK/PD)評価を示す。1つの研究では、動物に30mg/kgの抗CFD抗体1の単回注射を静脈内投与したか、または30mg/kgの抗CFD抗体2の単回注射を静脈内もしくは皮下投与した。各処置群はn=3の動物を含んだ。抗体2は、カニクイザルにおいて、抗体1を注射した動物と比較して延長されたPKを実証した。図6に示すように、総hIgGのレベルにおける2logの差が、抗CFD mAb2を注射した動物において観察された。抗CFD抗体2によって実証されたASHE特性は、有意に改善されたPD期間に変換される。図7に示すように、PDの期間は、ASHE mAb(抗体2)では、ASHE特性を有しない対照CFD抗体と比較しておよそ10倍延長された。PDの期間は、遊離標的CFDの抑制に関連付けられた(図8)。
第2の研究では、動物を、静脈内への50mg/kg、5mg/kg、1mg/kg、または皮下への25mg/kgの抗CFD抗体2の複数回注射を用いて処置した。注射は、1日目(時間0)、22日目(528時間)、29日目(696時間)、及び36日目(864時間)に投与した。2匹の動物を各用量群に含めた。図9に示すように、総hIgGにおける、PKに対する複数回注射の蓄積効果がIV及びSC注射後に観察された。改善されたPD期間もまた、複数回注射を用いて処置した動物において観察された。0時間、528時間(22日)、696時間(29日)及び864時間(36日)に投与された抗体2の4回の皮下注射は、504時間(21日)を超えて完全な阻害を維持した(図11)。皮下注射された抗CFD ASHE mAbは、2週間を超える長いPD期間を示した。ASHE特性を有しないIV投与された抗CFD抗体(抗体1)は、2日のPD期間を有した。
他の実施形態
本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載されているが、本開示及び実施例は、本発明の他の方法及び組成物を提供するように変更されてもよい。したがって、本発明の範囲は、例として示された具体的な実施形態に加えて、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきことが理解されるだろう。本明細書に引用される全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。