JP7828694B2 - 電動機及びそれを備えた電気機器 - Google Patents
電動機及びそれを備えた電気機器Info
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Description
又、電食が進行した場合、軸受の内輪、軸受の外輪又は軸受のボールに波状摩耗現象が発生して異常音に至ることがあり、電動機における不具合の主要因の1つとなっている。
固定子巻線を巻装した固定子鉄心を含む固定子と、
前記固定子に対向して周方向に複数のマグネットを保持する、又は、中央からスポーク状に複数のマグネットを保持する回転体と、
前記回転体と、前記回転体の中央を貫通するように前記回転体を締結したシャフトとを含む回転子と、
前記回転体を支持する第1の軸受及び第2の軸受と、
前記第1の軸受を固定する第1の金属ブラケットと、前記第2の軸受を固定する第2の金属ブラケットとを備えた電動機であって、
前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか一方のブラケットと、前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間に静電容量Cnb1の容量性部材を設け、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記一方のブラケットとの間の静電容量をCsb1と定義し、
前記固定子巻線と前記固定子鉄心との間の静電容量Ciと、前記固定子鉄心と前記マグネットとの間の静電容量Cgと、前記固定子巻線と前記マグネットとの間の静電容量Csmと、前記マグネットの静電容量Cmを含む回転子側の静電容量を合成静電容量B1と定義し、
前記駆動回路のゼロ基準電位と前記シャフト間との間の静電容量をCnsと定義し、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか他方のブラケットとの間の静電容量をCsb2と定義し、
前記他方のブラケットと前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間の静電容量をCnb2と定義する時、
前記静電容量Csb1と前記静電容量Cnb1の比RX1(Csb1/Cnb1)と、前記合成静電容量B1と前記静電容量Cnsの比RY1(B1/Cns)とが近似し、又は一致し、
前記静電容量Csb2と前記静電容量Cnb2の比RX2(Csb2/Cnb2)と、前記静電容量Csb1と前記静電容量Cnb1の比RX1(Csb1/Cnb1)とが近似し、又は一致している。
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
従来、以下に示す文献に、軸受の電食を抑制するために、軸電圧を低減することで、軸受内部のグリースの油膜を絶縁破壊電圧以下にして、軸受のグリースの油膜の絶縁破壊を起こさない対策が、考案されている。又、軸電圧を低減することで軸受内部のグリースの油膜の絶縁破壊による放電エネルギーを小さくして、軸受内部の金属表面の損傷を小さくする対策が、以下の文献に考案されている。
図9は、特許文献1のインナーロータ型でブラシレスラジアル型の電動機50の断面の概略構成図である。特許文献1と非特許文献1とは、同じ構成である。
図9に示すように、電動機50は、第1の金属ブラケット1と、第2の金属ブラケット2と、第1の軸受5aと、第2の軸受5bと、シャフト4、回転子10と、固定子18とを有する。
回転体9は、回転子鉄心8と永久磁石であるマグネット11とを有する。回転子10は、回転体9とシャフト4とを有する。固定子18は、固定子鉄心6と固定子巻線3とを有する。
固定子巻線3と第1の金属ブラケット1との間の静電容量Csb1は、第1の軸受5aの電荷が貯まり、第1の軸電圧Vsh1が上がることを模式的に表現している。第1の軸電圧Vsh1が上がり、軸受内部のグリース油膜の絶縁破壊電圧に達すると、絶縁破壊が発生する。固定子巻線3と第2の金属ブラケット2との間の静電容量Csb2も静電容量Csb1同様、第2の軸受5bの電荷が貯まり、第2の軸電圧Vsh2が上がることを模式的に表現している。第2の軸電圧Vsh2が上がると、絶縁破壊が発生する。
又、第2の軸受5bの外輪側(図10の2の箇所)と駆動回路のゼロ電位基準N(12)とに生じる電圧は、駆動回路のゼロ基準電位N(12)と固定子巻線3の中性点電位Sとの間に発生する電圧Vcomに対して、固定子側の静電容量分布により分圧された値となる。
第1の軸受5aの内輪側及び第2の軸受5bの内輪側(図10の4の箇所)と駆動回路のゼロ電位基準N(12)とに生じる電圧は、駆動回路のゼロ電位基準N(12)と固定子巻線3の中性点電位Sとの間に発生する電圧Vcomに対して、回転子側の静電容量分布により分圧された値となる。
又、第1の軸受5aの内輪側及び第2の軸受5bの内輪側と駆動回路のゼロ電位基準N(12)とに生じる電圧は、固定子巻線3と固定子鉄心6との間の静電容量Ci、固定子鉄心6とマグネット11との間の静電容量Cg、固定子巻線3とマグネット11との間の静電容量Csm及びマグネット11の静電容量Cmの合成静電容量B2と、駆動回路のゼロ基準電位Nとシャフト4間の静電容量Cnsとの分圧比RB2(合成静電容量B2/Cns)の逆数に電圧Vcomを掛けた電圧となる。
特許文献1では、結果として、静電容量Csb1、Csb2、Cnsは、合成静電容量B2より小さいため、静電容量を整合させるために、合成静電容量B2の静電容量が小さくなっていることが分かった。
図11は、特許文献2の電動機50の断面の概略構成図である。図12は、図11の電動機50について本発明者らが考えた静電容量分布のモデル図である。
図11に示す様に、第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2が、導通部材13にて短絡している。固定子鉄心6と、第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2のいずれか一方との間にインピーダンス調整部材14を挿入した構成である。図11は、固定子鉄心6と第2の金属ブラケット2との間に、インピーダンス調整部材14を挿入した構成である。
次に、特許文献3について、説明する。
図13は、特許文献3の電動機50の断面の概略構成図である。
特許文献3では、固定子鉄心6と第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2のいずれか一方とを短絡部材25で短絡させている。図13では、固定子鉄心6と第2の金属ブラケット2とを短絡させて、第1の軸電圧の低減を図っている。
このことは、固定子鉄心6と短絡された第2の金属ブラケット2との静電容量は大きくなるが、固定子鉄心6と短絡されていない第1の金属ブラケット1との間の静電容量は変わらないためと推察される。よって、第1の軸受5aの軸電圧は下がらず、電食抑制効果は少ないことが考察された。
図14は、特許文献4に示す電動機50について本発明者らが考えた静電容量分布のモデル図である。
図14に示す様に、第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2を電気的に絶縁し、固定子鉄心6と第1の金属ブラケット1との間の静電容量Csb1と、固定子鉄心6と第2の金属ブラケット2との間の静電容量Csb2とを近似あるいは一致するように設定し、軸電圧を低減する方法が開示されている。
又、回転子側の静電容量分布に対して、静電容量の整合調整機能が不十分であり、第1の軸電圧及び第2の軸電圧が下がりきることができない。そのため、第1の軸受5a及び第2の軸受5bのグリースの絶縁破壊現象である第1の軸電圧及び第2の軸電圧の波形崩れが発生し、長期の運転において電食寿命に課題があることが考察された。
図1は、本開示の電動機50の断面の概略構成図である。
図1に示すように、電動機50は、電動機50の両端に配置された第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2と、第1の軸受5a及び第2の軸受5b、シャフト4、回転子10と、固定子18とを有する。
第1の金属ブラケット1の中央部には、第1の金属ブラケット1に固定された第1の軸受5aが配置されている。第2の金属ブラケット2の中央部には、第2の金属ブラケット2に固定された第2の軸受5bが配置されている。シャフト4は、第1の軸受5aと第2の軸受5bとにより、支持され回転する。
回転体9は、回転子鉄心8と永久磁石であるマグネット11とを有する。回転子10は、回転体9とシャフト4とを有する。固定子18は、固定子鉄心6と固定子巻線3とを有する。
第1の金属ブラケット1と固定子巻線3に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位N(12)との間に、静電容量Cnb1の容量性部材15が設けられている。
ここでは、第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2のいずれか一方のブラケットとは、第1の金属ブラケット1として、他方のブラケットとは、第2の金属ブラケット2として説明する。
左側の固定子18側において、第1の金属ブラケット1とゼロ基準電位N(12)との間に静電容量Cnb1の容量性部材15が設けられている。固定子巻線3と第1の金属ブラケット1との間の静電容量は、Csb1である。第1の軸受5aの固定子18側において、静電容量Csb1と静電容量Cnb1とは、直列回路XX1を構成する。固定子18側の直列回路XX1の分圧比RX1は、静電容量Csb1/静電容量Cnb1である。分圧比RX1のことを、単に、静電容量Csb1と静電容量Cnb1の比RX1(Csb1/Cnb1)と呼んでもよい。
固定子巻線3と第2の金属ブラケット2との間の静電容量は、Csb2である。第2の金属ブラケット2と固定子巻線3に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位N(12)との間の静電容量は、Cnb2である。静電容量Csb2と静電容量Cnb2とは、直列回路XX2を構成する。固定子18側の直列回路XX2の分圧比RX2は、静電容量Csb2/静電容量Cnb2である。分圧比RX2のことを、単に、静電容量Csb2と静電容量Cnb2の比RX2(Csb2/Cnb2)と呼んでもよい。
固定子18側において、直列回路XX1と直列回路XX2とは、並列回路を構成している。直列回路XX1及び直列回路XX2には、固定子巻線3に印加される電圧Vcomが引加される。
右側の回転子10側において、固定子巻線3と固定子鉄心6との間の静電容量Ciと、固定子鉄心6とマグネット11との間の静電容量Cgと、固定子巻線3とマグネット11間の静電容量Csmと、マグネット11の静電容量Cmとは、直列及び/又は並列に回路構成され、直列並列合成回路が構成される。直列並列合成回路の静電容量は、直列並列合成静電容量B1(以下、単に、合成静電容量B1と言う)である。
シャフト4と駆動回路のゼロ基準電位N(12)との間の静電容量は、Cnsである。 第1の軸受5a及び第2の軸受5bの回転子10側において、合成静電容量B1と静電容量Cnsとは、直列回路YY1を構成する。回転子10側の直列回路YY1の分圧比RY1は、合成静電容量B1/静電容量Cnsである。分圧比RY1のことを、単に、合成静電容量B1と静電容量Cnsの比RY1(B1/Cns)と呼んでもよい。
直列回路YY1は、直列回路XX1及び直列回路XX2と並列回路を構成する。直列回路YY1には、固定子巻線3に印加される電圧Vcomが引加される。
上記したように、本発明者らは、第1の軸電圧Vsh1及び第2の軸電圧Vsh2を低減するには、固定子側の静電容量分布と回転子側の静電容量分布を一致もしくは近似させることが有効であるということを見出した。
本開示においては、第1の金属ブラケット1と固定子巻線3に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位N(12)との間に、静電容量Cnb1の容量性部材15を設け、比RX1(Csb1/Cnb1)と比RY1(B1/Cns)とを近似、又は一致させる。さらに、比RX2(Csb2/Cnb2)と比RX1(Csb1/Cnb1)とを近似、又は一致させることで、固定子側の静電容量分布と、回転子側の静電容量分布との整合をとり(一致もしくは近似させる)、軸電圧を低減するものである。
以上の考察に基づき、本発明者らは、以下に説明する本開示の態様に想到した。
固定子巻線を巻装した固定子鉄心を含む固定子と、
前記固定子に対向して周方向に複数のマグネットを保持する、又は、中央からスポーク状に複数のマグネットを保持する回転体と、
前記回転体と、前記回転体の中央を貫通するように前記回転体を締結したシャフトとを含む回転子と、
前記回転体を支持する第1の軸受及び第2の軸受と、
前記第1の軸受を固定する第1の金属ブラケットと、前記第2の軸受を固定する第2の金属ブラケットとを備えた電動機であって、
前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか一方のブラケットと、前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間に静電容量Cnb1の容量性部材を設け、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記一方のブラケットとの間の静電容量をCsb1と定義し、
前記固定子巻線と前記固定子鉄心との間の静電容量Ciと、前記固定子鉄心と前記マグネットとの間の静電容量Cgと、前記固定子巻線と前記マグネットとの間の静電容量Csmと、前記マグネットの静電容量Cmを含む回転子側の静電容量を合成静電容量B1と定義し、
前記駆動回路のゼロ基準電位と前記シャフト間との間の静電容量をCnsと定義し、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか他方のブラケットとの間の静電容量をCsb2と定義し、
前記他方のブラケットと前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間の静電容量をCnb2と定義する時、
前記静電容量Csb1と前記静電容量Cnb1の比RX1(Csb1/Cnb1)と、前記合成静電容量B1と前記静電容量Cnsの比RY1(B1/Cns)とが近似し、又は一致し、
前記静電容量Csb2と前記静電容量Cnb2の比RX2(Csb2/Cnb2)と、前記静電容量Csb1と前記静電容量Cnb1の比RX1(Csb1/Cnb1)とが近似し、又は一致している。
上記態様によれば、容量性部材の静電容量Cnb1を調整して、前記比RX1(Csb1/Cnb1)と前記比RY1(B1/Cns)とを近似、又は一致させ、さらに、前記比RX2(Csb2/Cnb2)と前記比RX1(Csb1/Cnb1)とを近似、又は一致させることで、固定子側の静電容量分布と回転子側の静電容量分布を近似、又は一致させ、電動機における軸受の電食の発生を抑制することができる。
以下、本開示の一態様を示す電動機について図面を用いて説明する。
図1に示すように、電動機50の両端には、導電性を有する第1の金属ブラケット1と導電性を有する第2の金属ブラケット2とが配置されている。第2の金属ブラケット2の外径は、第1の金属ブラケット1の外径と同じか、又は大きい。そのことにより、安定に軸受が支承されシャフト4を回転できる。
第1の金属ブラケット1と第2の金属ブラケット2の中央部には、第1の金属ブラケット1に固定された第1の軸受5aと、第2の金属ブラケット2に固定された第2の軸受5bが配置されている。シャフト4は、第1の軸受5aと第2の軸受5bとにより、支持され回転する。シャフト4は、第2の金属ブラケット2から突出している。
固定子18は、回転磁界を発生させ、回転磁界により回転子10を回転させるものである。固定子18の内側には、固定子18と空隙を介して回転子10が挿入されている。
固定子18は、固定子鉄心6と巻線である固定子巻線3とを有する。固定子鉄心6には、固定子鉄心6を絶縁するための樹脂7が介在して、固定子巻線3が巻装されている。そして、固定子18は、第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2等の他の固定部材ともに樹脂でモールド成型されている。実施形態1では、これらの部材をモールド一体成型することにより、外形が概略円筒形状をなす固定子18が構成されている。モールド一体成型したものは、電動機50の筐体としての機能としても働く。第1の金属ブラケット1及び第2の金属ブラケット2は、固定子鉄心6と、空間とにより絶縁されていてもよい。
回転子10は、電動機50において回転するもので、シャフト4と回転体9とを有する。回転体9は、回転子鉄心8とフェライト磁石である永久磁石のマグネット11とを有する。回転子10は、回転子鉄心8の外周に複数のマグネット11を保持し、回転子鉄心8の中央を貫通するようにシャフト4を有する。又、回転子10は、固定子18に対向し、中央からスポーク状に配置される複数のマグネット11を保持していてもよい。
容量性部材15の両端には、導線である導通部材13が接続されている。
容量性部材15の右側に接続している導通部材13の一方の端部が、第1の金属ブラケット1と電気的に接続され、導通部材13の他方の端部が、容量性部材15と電気的に接続されている。容量性部材15の左側に接続している導通部材13の一方の端部が、容量性部材15と電気的に接続され、導通部材13の他方の端部が駆動回路のゼロ基準電位N(12)と電気的に接続されている。
容量性部材15は、電動機50の内部であればどこに配置されていてもよく、例えば、電動機50の筐体と固定子18との間に配置され、筐体の内壁に配置されている。
図2において、中央に位置する第1の軸受5a及び第2の軸受5bを境にして、左側が固定子18側の静電容量分布を表し、右側が回転子10側の静電容量分布を表している。
駆動回路により固定子巻線3に印加される電圧Vcomは、中性点電位S(3)とゼロ基準電位N(12)との電位差である。
左側の固定子18側において、第1の金属ブラケット1とゼロ基準電位N(12)との間に静電容量Cnb1の容量性部材15が設けられている。固定子巻線3と第1の金属ブラケット1との間の静電容量は、Csb1である。第1の軸受5aの固定子18側において、静電容量Csb1と静電容量Cnb1とは、直列回路XX1を構成する。固定子18側の直列回路XX1の分圧比RX1は、静電容量Csb1/静電容量Cnb1である。
固定子巻線3と第2の金属ブラケット2との間の静電容量は、Csb2である。第2の金属ブラケット2と固定子巻線3に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位N(12)との間の静電容量は、Cnb2である。静電容量Csb2と静電容量Cnb2とは、直列回路XX2を構成する。固定子18側の直列回路XX2の分圧比RX2は、静電容量Csb2/静電容量Cnb2である。
右側の回転子側において、固定子巻線3と固定子鉄心6との間の静電容量Ciと、固定子鉄心6とマグネット11との間の静電容量Cgと、固定子巻線3とマグネット11間の静電容量Csmと、マグネット11の静電容量Cmとは、直列及び/又は並列に回路構成され、直列並列合成回路が構成される。直列並列合成回路の静電容量は、合成静電容量B1である。
直列回路YY1は、直列回路XX1及び直列回路XX2と並列回路を構成する。直列回路YY1には、固定子巻線3に印加される電圧Vcomが引加される。
(条件1) 直列回路XX1の分圧比RX1(Csb1/Cnb1)と直列回路YY1の分圧比RY1(B1/Cns)とを近似、又は一致させる。
(条件2) 直列回路XX2の分圧比RX2(Csb2/Cnb2)と直列回路XX1の分圧比RX1(Csb1/Cnb1)とを近似、又は一致させる。
実験において、マグネット11の静電容量Cmが21pF、回転子10の直径が51mm、第1の軸受5a及び第2の軸受5bには、ミネベア製608を使用した。この時の回転体9の静電容量は、10pFである。
第1の軸受5a及び第2の軸受5bのグリースは、ちょう度が239のものを使用した。固定子巻線3の中性点電位S(3)の電源電圧を391Vとし、回転数1000r/minにて、回転子10を回転させた。
第1の軸電圧Vsh1及び第2の軸電圧Vsh2の測定は、第1の軸受5a及び第2の軸受5bの外輪を基準に内輪の電圧を測定し、外輪に対し内輪の電圧が高い場合をプラス、外輪に対し内輪の電圧が低い場合をマイナスとした。
第1の軸電圧Vsh1のグラフは、実線の黒丸のグラフであり、第2の軸電圧Vsh2のグラフは、実線の黒い四角のグラフである。比(RX1/RY1)のグラフは、点線の黒い四角のグラフであり、比(RX2/RX1)のグラフは、点線の黒丸のグラフである。
図3から明らかなように、静電容量Cnb1の値が小さい場合は、第1の軸電圧Vsh1はマイナスの小さな電圧となり、第2の軸電圧Vsh2はプラスの大きな電圧となる。静電容量Cnb1の値を大きくしていくと、第1の軸電圧Vsh1は徐々に大きな値となり、第2の軸電圧Vsh2は徐々に小さな値となることが分かる。
第1の軸電圧Vsh1及び第2の軸電圧Vsh2は、第1の軸受5a及び第2の軸受5bの外輪の電圧と内輪の電圧との間の電位差である。
図3に示す様に、静電容量Cnb1を調整することで、第1の軸電圧Vsh1及び第2の軸電圧Vsh2は、一般的な軸受のグリースの絶縁破壊の目安とされる±5V以下(|5V|以下)まで減少させることができた。この時、第1の軸受5a及び第2の軸受5bのグリース油膜の絶縁破壊の現象である軸電圧波形の波形崩れが、生じないことも確認した。
この時、図3の比(RX1/RY1)のグラフより、比(RX1/RY1)の範囲は、0.6以上1.0以下である。つまり、静電容量Cnb1を調整して、比RX1(Csb1/Cnb1)と比RY1(B1/Cns)とを近似、又は一致させることができる。図3の比(RX2/RX1)のグラフより、比(RX2/RX1)の範囲は、0.75以上1.25以下である。つまり、静電容量Cnb1を調整して、比RX2(Csb2/Cnb2)と比RX1(Csb1/Cnb1)とを近似、又は一致させることができる。
尚、第1の軸電圧Vsh1及び第2の軸電圧Vsh2が|5V|以下を満たす容量性部材15の静電容量Cnb1の範囲は、回転体9の静電容量によって変化する。
図2に示すように、本開示は、第1の金属ブラケット1と駆動回路のゼロ基準電位N(12)との間に静電容量Cnb1を有する容量性部材15が設けられている。
直列回路XX1、直列回路XX2及び直列回路YY1は、並列回路を構成し、固定子巻線3に印加される電圧Vcomが引加される。
図3に示すように、静電容量Cnb1を増加させていくと、点線の黒い四角のグラフである比(RX1/RY1)が、左上から右下に変化する。そして、第1の軸電圧Vsh1及び第2の軸電圧Vsh2の電圧が|5V|の範囲に入る比(RX1/RY1)の領域は、0.6以上1.0以下であることが分かる。よって、静電容量Cnb1を調整して、分圧比RX1(Csb1/Cnb1)と分圧比RY1(B1/Cns)とについて整合させることができる。
図3に示すように、静電容量Cnb1を増加させていくと、点線の黒丸のグラフである比(RX2/RX1)が、左下から右上に変化する。そして、第1の軸電圧Vsh1及び第2の軸電圧Vsh2の電圧が|5V|の範囲に入る比(RX2/RX1)の領域は、0.75以上1.25以下であることが分かる。よって、静電容量Cnb1を調整して、分圧比RX2(Csb2/Cnb2)とについて整合させることができる。
(条件1) 直列回路XX1の分圧比RX1(Csb1/Cnb1)と直列回路YY1の分圧比RY1(B1/Cns)とを近似、又は一致させる。
(条件2) 直列回路XX2の分圧比RX2(Csb2/Cnb2)と直列回路XX1の分圧比RX1(Csb1/Cnb1)とを近似、又は一致させる。
又、実施形態1に係る電動機50は、容量性部材15がコンパクトであるため、電動機50の外径寸法、形状が大きくなることもない。
(変形例)
図4は、変形例を示す電動機50の断面の概略構成図である。
図1と異なる点は、図4に示すように、第1の金属ブラケット1と固定子巻線3との間に、プリント基板12を配置した点である。そして、第2の金属ブラケット2と、固定子巻線3に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位N(12)との間に、静電容量Cnb2の容量性部材15を配置した点である。
図4の電動機50の静電容量分布のモデル図は、図2の静電容量Cnb2を静電容量Cnb2の容量性部材15に置き換えたものとなる。又、図2の静電容量Cnb1の容量性部材15は、単なる静電容量Cnb1となる。
(実施形態2)
本開示にかかる電気機器の例として、エアコン室内機の構成を実施形態2として、詳細に説明する。本開示にかかる電気機器は、必ずしもこれらの一例に限定されるものではない。
(実施形態3)
本開示にかかる電気機器の例として、エアコン室外機の構成を実施形態3として、詳細に説明する。
(実施形態4)
本開示にかかる電気機器の例として、給湯器の構成を実施形態4として、詳細に説明する。
図8において、左側の導通部材13は、プリント基板12に備えられた駆動回路のゼロ基準電位N(12)と容量性部材15とを電気的に接続するものである。左側の導通部材13は、電動機50の筐体の設けられた開口部(図示せず)を通って、電動機50の内部から電動機50の外部に至る。右側の導通部材13は、容量性部材15と第1の金属ブラケット1とを電気的に接続するもので、電動機50の筐体の外部に配置される。
このことにより、さらに電動機50をコンパクトにできる。図8の態様は、実施形態1に限られることなく、実施形態2~4にも適用可能である。
尚、実施形態1の図1において、駆動回路を備えたプリント基板12を電動機50の内部に設けたが、駆動回路を備えたプリント基板12を電動機50の外部に設けてもよい。その場合、電動機50をコンパクトにできる。
尚、実施形態2~4に、電動機50が回転するものとして、送風ファンを使用したが、電動機50で回転されるものであればよく、特に限定されない。
尚、実施形態1~4に係る発明は、矛盾が生じない限り、置き換えたり、組合せたりすることができる。
固定子巻線を巻装した固定子鉄心を含む固定子と、
前記固定子に対向して周方向に複数のマグネットを保持する、又は、中央からスポーク状に複数のマグネットを保持する回転体と、
前記回転体と、前記回転体の中央を貫通するように前記回転体を締結したシャフトとを含む回転子と、
前記回転体を支持する第1の軸受及び第2の軸受と、
前記第1の軸受を固定する第1の金属ブラケットと、前記第2の軸受を固定する第2の金属ブラケットとを備えた電動機であって、
前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか一方のブラケットと、前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間に静電容量Cnb1の容量性部材を設け、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記一方のブラケットとの間の静電容量をCsb1と定義し、
前記固定子巻線と前記固定子鉄心との間の静電容量Ciと、前記固定子鉄心と前記マグネットとの間の静電容量Cgと、前記固定子巻線と前記マグネットとの間の静電容量Csmと、前記マグネットの静電容量Cmを含む回転子側の静電容量を合成静電容量B1と定義し、
前記駆動回路のゼロ基準電位と前記シャフト間との間の静電容量をCnsと定義し、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか他方のブラケットとの間の静電容量をCsb2と定義し、
前記他方のブラケットと前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間の静電容量をCnb2と定義する時、
前記静電容量Csb1と前記静電容量Cnb1の比RX1(Csb1/Cnb1)と、前記合成静電容量B1と前記静電容量Cnsの比RY1(B1/Cns)とが近似し、又は一致し、
前記静電容量Csb2と前記静電容量Cnb2の比RX2(Csb2/Cnb2)と、前記静電容量Csb1と前記静電容量Cnb1の比RX1(Csb1/Cnb1)とが近似し、又は一致している電動機。
前記一方のブラケットが前記第1の金属ブラケットであり、前記他方のブラケットが前記第2の金属ブラケットである項目1に記載の電動機。
前記比RX2(Csb2/Cnb2)と前記比RX1(Csb1/Cnb1)の比(RX2/RX1)の値が、0.75以上1.25以下である項目1又は2に記載の電動機。
前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットは、絶縁樹脂又は空間により、前記固定子鉄心と絶縁されている項目1乃至3のいずれかに記載の電動機。
前記容量性部材が、前記電動機の内部に設けられた項目1乃至4のいずれかに記載の電動機。
前記容量性部材が、前記電動機の外部に設けられた項目1乃至4のいずれかに記載の電動機。
前記駆動回路を備えたプリント基板が、前記電動機の内部に設けられた項目1乃至6のいずれかに記載の電動機。
前記駆動回路を備えたプリント基板が、前記電動機の外部に設けられた項目1乃至6のいずれかに記載の電動機。
項目1乃至8のいずかに記載の電動機と前記電動機により駆動される送風ファンとを搭載した電気機器。
2 第2の金属ブラケット
3 固定子巻線
4 シャフト
5a 第1の軸受
5b 第2の軸受
6 固定子鉄心
7 樹脂
8 回転子鉄心
9 回転体
10 回転子
11 マグネット
12 プリント基板
13 導通部材
14 インピーダンス調整部材
15 容量性部材
18 固定子
20 誘電体層
50 電動機
Claims (8)
- 固定子巻線を巻装した固定子鉄心を含む固定子と、
前記固定子に対向して周方向に複数のマグネットを保持する、又は、中央からスポーク状に複数のマグネットを保持する回転体と、
前記回転体と、前記回転体の中央を貫通するように前記回転体を締結したシャフトとを含む回転子と、
前記回転体を支持する第1の軸受及び第2の軸受と、
前記第1の軸受を固定する第1の金属ブラケットと、前記第2の軸受を固定する第2の金属ブラケットとを備えた電動機であって、
前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか一方のブラケットと、前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間に静電容量Cnb1の容量性部材を設け、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記一方のブラケットとの間の静電容量をCsb1と定義し、
前記固定子巻線と前記固定子鉄心との間の静電容量Ciと、前記固定子鉄心と前記マグネットとの間の静電容量Cgと、前記固定子巻線と前記マグネットとの間の静電容量Csmと、前記マグネットの静電容量Cmを含む回転子側の静電容量を合成静電容量B1と定義し、
前記駆動回路のゼロ基準電位と前記シャフト間との間の静電容量をCnsと定義し、
前記固定子側の前記固定子巻線と、前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットのいずれか他方のブラケットとの間の静電容量をCsb2と定義し、
前記他方のブラケットと前記固定子巻線に電圧を加える駆動回路のゼロ基準電位との間の静電容量をCnb2と定義する時、
前記静電容量C sb1 と前記静電容量C nb1 の比R X1 (C sb1 /C nb1 )と、前記合成静電容量B1と前記静電容量C ns の比R Y1 (B1/C ns )の比(R X1 /R Y1 )の値が、0.6以上1.0以下であり、
前記静電容量C sb2 と前記静電容量C nb2 の比R X2 (C sb2 /C nb2 )と、前記静電容量C sb1 と前記静電容量C nb1 の比R X1 (C sb1 /C nb1 )の比(R X2 /R X1 )の値が、0.75以上1.25以下である電動機。 - 前記一方のブラケットが前記第1の金属ブラケットであり、前記他方のブラケットが前記第2の金属ブラケットである請求項1に記載の電動機。
- 前記第1の金属ブラケット及び前記第2の金属ブラケットは、絶縁樹脂又は空間により、前記固定子鉄心と絶縁されている請求項1又は2に記載の電動機。
- 前記容量性部材が、前記電動機の内部に設けられた請求項1乃至3のいずれかに記載の電動機。
- 前記容量性部材が、前記電動機の外部に設けられた請求項1乃至3のいずれかに記載の電動機。
- 前記駆動回路を備えたプリント基板が、前記電動機の内部に設けられた請求項1乃至5のいずれかに記載の電動機。
- 前記駆動回路を備えたプリント基板が、前記電動機の外部に設けられた請求項1乃至5のいずれかに記載の電動機。
- 請求項1乃至7のいずかに記載の電動機と前記電動機により駆動される送風ファンとを搭載した電気機器。
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