JP7818552B2 - 風力発電設備の点検方法 - Google Patents

風力発電設備の点検方法

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Description

本発明は、風力発電設備の点検方法および無人点検装置に関する。
一般に、風力発電設備のブレード(風車翼)の落雷対策として、ブレードの先端部等にレセプター(受雷部)が設けられている。レセプターで受けた雷撃電流は、ブレード内のダウンコンダクタ(引き下げ導線)によりタワーに誘導され、タワーから接地(アース)される。
このような接地の状態は経年変化により、あるいはブレード等に対する落雷により劣化するおそれがある。例えば、ダウンコンダクタが断線している場合は、レセプターで受雷しても、雷撃電流を大地等へ流すことが難しくなり、ブレードに損傷を与える可能性がある。そのため、ダウンコンダクタの導通試験を行い、接地の状態が適切であるか否か点検する必要がある。
従来、一般に作業者がレセプターまでロープワークで移動し、持参したテスター(抵抗測定を行うための計測器)で導通試験を行っているが、このような高所作業は作業者の作業負担が大きく、また作業時間が長時間に及んでしまう。そこで、近年では、安全かつ迅速に導通試験を行うため、ドローンなどの無人航空機に導通試験機を搭載した無人点検装置を用いて風力発電設備を点検する技術も知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2022-183996号公報 特開2021-143600号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、抵抗測定により導通試験を行うため、ドローンに搭載された導通試験機に導電性のケーブルを接続する必要がある(特許文献1の段落0025、図2参照)。そのため、ドローンがケーブルを牽引しながら飛行することになり、ドローンの安全飛行に支障を来す可能性がある。
そこで、特許文献2に開示される技術では、「引き下げ導線にブレードの根本側に設けた送信器から変調された信号電流を流し、引き下げ導線またはレセプターを介して変調された電磁波をブレード外部に送出しつつ、上記ブレードに対し、変調された電磁波の磁界信号を受信する受信器を備えた遠隔操縦式無人飛行体を接近させ、電磁波の磁界信号の受信の有無を確認する」ようにしている(特許文献2の段落0088参照)。しかしながら、特許文献2に開示される技術では、引き下げ導線が断線していても、断線距離が短い場合は誤って導通と判定してしまう可能性がある(後述する)。
本発明は、安全かつ確実に風力発電設備を点検することが可能な風力発電設備の点検方法および無人点検装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、無人点検装置を用いて風力発電設備を点検する点検方法であって、前記風力発電設備に設置された送信機が前記風力発電設備のブレードに設けられたダウンコンダクタに電磁波を印加するステップと、少なくとも前記電磁波の受信感度が高い第1のモードおよび前記第1のモードに比べて前記電磁波の受信感度が低い第2のモードを有する受信機を前記無人点検装置に搭載し、前記ブレードに設けられたレセプターの近傍に飛行させるステップと、前記無人点検装置が備える伸縮棒に取り付けられた撮影用カメラにより、その伸縮棒の前方を撮影し、前記撮影用カメラの撮影映像を元に画像認識を行い、前記レセプターを捕捉すると、前記伸縮棒の前方端に取り付けられた導通素材の接点器具を前記レセプターに接触させるステップと、前記受信機を前記第2のモードで動作させている状態で、且つ前記接点器具を前記レセプターに接触させている状態において、前記受信機が前記ダウンコンダクタに印加された電磁波を前記レセプターおよび前記接点器具を通じて受信したことにより導通を確認するステップとを含み、前記第1のモードおよび前記第2のモードの受信感度は、前記風力発電設備の点検対象が正常である時、前記受信機を前記第2のモードにした状態では、前記接点器具が前記レセプターに接触していないと前記電磁波を受信できないのに対して、前記受信機を前記第1のモードにした状態では、前記接点器具が前記レセプターに接触していなくても前記電磁波を受信できるとともに、前記風力発電設備の点検対象に異常がある時、前記受信機を前記第2のモードにした状態では、前記接点器具が前記レセプターに接触していても前記電磁波を受信できないのに対して、前記受信機を前記第1のモードにした状態では、前記点検対象の異常が特定の断線距離以下の断線であれば、前記接点器具が前記レセプターに接触していなくても前記電磁波を受信できる状態に、予め設定されている
本発明によれば、安全かつ確実に風力発電設備を点検することが可能な風力発電設備の点検方法および無人点検装置を提供することが可能である。
本発明の実施の形態における風力発電設備の点検方法の全体像を示す構成図である。 本発明の実施の形態におけるレセプターの先端部を示す模式図である。 本発明の実施の形態におけるダウンコンダクタの点検方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態におけるダウンコンダクタの点検方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態におけるダウンコンダクタが正常である時(導通時)を示す図である。 本発明の実施の形態におけるダウンコンダクタに異常がある時(断線時)を示す図である。 比較例としての無人点検装置の飛行を説明するための図である。 図7に示される導通試験(抵抗測定)を説明するための図である。 本発明の実施の形態における無人点検装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態における導通試験機の一例を示す外観図である。 本発明の実施の形態における導通試験例を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施の形態はあくまでも例示である。すなわち、以下に説明する実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、図面において同一符号を付した部分は、特に断らない限り同一若しくは同様の部分を表す。
[概要]
本発明の実施の形態における風力発電設備の点検方法は、導通試験機を搭載したドローンを用いて安全かつ確実にダウンコンダクタの導通試験を行うための技術である。導通を確認できない場合は断線位置を判定する。全てのブレード停止位置に対応でき、また全てのレセプター形状に対応できるため、簡便かつ迅速に導通試験を行うことが可能である。
[全体構成例]
図1は、本発明の実施の形態における風力発電設備200の点検方法の全体像を示す構成図である。ここでは、風力発電設備200が地上300に設置されている場合を例示して説明するが、洋上に設置されている場合も基本的な構成は同じである。
図1に示すように、地上300にいる作業員Uは、無人点検装置100を用いてダウンコンダクタ231の導通を確認している。作業員Uは、無人点検装置100を操作するためのプロポ(プロポーショナルシステム)等の端末Tを持ち、地上300に設置された2台のモニターM1,M2を参照できるものとする。モニターM1は、無人点検装置100に搭載されたブレード・レセプター撮影用カメラ106の撮影映像を出力するための表示装置である。モニターM2は、無人点検装置100に搭載された受信機撮影用カメラ105の撮影映像を出力するための表示装置である。モニターM1,M2の種類は特に限定されるものではなく、端末Tと一体型のモニターでも、外部モニターでも、タブレットなどの代替品モニターでもよい。
図1に示すように、風力発電設備200は、地上300に立設されたタワー210と、タワー210の上部に設けられたナセル(図示せず)と、ナセルの正面に設けられたハブ220と、ハブ220に支持された3枚のブレード230,240,250とを備える。ブレード230,240,250は、風を受けて回転する風車翼である。ハブ220は、ブレード230,240,250の根本部をローター軸に連結する部分である。ナセルは、ハブ220からローター軸を通じて連結された増速機、発電機などを収納している。タワー210は、ブレード230,240,250、ハブ220、ナセルを支え、各種のケーブルの通り道にもなる。
以下、ブレード230に着目して説明するが、他のブレード240,250についても同様である。すなわち、ブレード230は、風を受けて回転する風車翼であり、軽量で腐食等を生じ難い繊維強化プラスチック(FRP)等によって構成されている。ブレード230の先端部には、導電性材料(例えば銅)で形成されたレセプター232が設けられている。レセプター232は、雷撃電流を大地等に流すための受雷部である。レセプター232で受けた雷撃電流は、ブレード230に設けられたダウンコンダクタ231によりタワー210に誘導され、タワー210に設けられたダウンコンダクタ211を通じて大地に流れるようになっている。ダウンコンダクタ231は、通常使用される導電線(例えば銅線)でよい。ダウンコンダクタ211も、通常使用される避雷用の接地導線(例えば銅線)でよい。ブレード230の表面に複数のレセプター232を設ければ、より捕雷性能を高めることが可能である。
既に説明したように、このような接地の状態は劣化するおそれがあるため、ダウンコンダクタ231の導通試験を行い、接地の状態が適切であるか否か点検する必要がある。本発明の実施の形態では、安全かつ確実にダウンコンダクタ231を点検するため、以下の手法を採用している。
すなわち、ハブ220にあるダウンコンダクタ231に予め送信機221を設置し、送信機221からダウンコンダクタ231に電磁波を印加する。図1では送信機221をハブ220の外に描いているが、現実にはハブ220の内部に送信機221が設置されている。
作業員Uは、図1中の矢印F1に示すように、端末Tをマニュアル操作して無人点検装置100を地上300から飛び立たせ、ブレード230に設けられたレセプター232の付近に到達すると、マニュアル操作から自律飛行に切り替える。無人点検装置100は、ドローンなどの無人航空機に導通試験機を搭載したものであるが、詳しい構成については後述する。
図1中の矢印F2に示すように、無人点検装置100がレセプター232に接近した後、伸縮棒に取り付けられたブレード・レセプター撮影用カメラ106の撮影映像を元にAI(Artificial Intelligence)による画像解析(画像認識)を行い、ターゲットとなるレセプター232を捕捉する。これにより、無人点検装置100がレセプター232を目標としてゆっくりと接近し、伸縮棒の前方端に取り付けられた接点器具102をレセプター232に接触させるようになっている。この接触時に導通していれば、無人点検装置100に搭載された受信機103が反応(例えばLEDランプが点滅)するため、受信機撮影用カメラ105の撮影映像を元に地上300のモニターM2で導通を確認することができる。受信機103が導通をブザー音で報知する場合、そのブザー音を無人点検装置100に搭載されたマイクで感知し、地上300の作業員Uが操作する端末T等に通知することも可能である。
なお、上記の説明では、無人点検装置100がレセプター232の付近に到達するとマニュアル飛行から自律飛行に切り替えることとしているが、マニュアル飛行とするか自律飛行とするかは本発明の主眼とするところではなく、特に限定されるものではない。例えば、ブレード・レセプター撮影用カメラ106の撮影映像を元に地上300のモニターM1を見ながら作業員Uが一連の飛行を全てマニュアル操作で行うようにしてもよい。
また、上記の説明では言及しなかったが、接点器具102がレセプター232に接触した時の衝撃を和らげるため、無人点検装置100の伸縮棒は緩衝機構を備えていてもよい。このような緩衝機構も本発明の主眼とするところではないため、ここでは詳しい説明を省略する。
[レセプター形式]
図2は、本発明の実施の形態における風力発電設備200のレセプター232の先端部を示す模式図であり、(A)はチップタイプ、(B)はディスクタイプ、(C)はロッドタイプを例示している。図2(A)(B)(C)に示すように、いずれのタイプのレセプター232もブレード230から露出しているため、ブレード230の形をブレード・レセプター撮影用カメラ106で撮影し、その撮影映像を元に画像認識し、レセプター232を捕捉することが可能である。もちろん、チップタイプ、ディスクタイプ、ロッドタイプ以外のタイプのレセプター232であっても同様の手法で捕捉することが可能である。
図2では、画像認識されたレセプター232を枠Wで囲んでいるが、画像認識の技術は本発明の主眼とするところではない。地上300のモニターM1を見ながら作業員Uがブレード230の先端部を目視で確認してもよい。いずれにしても、レセプター形状にかかわらず導通試験を行うことが可能である。
[導通試験手順]
図3は、本発明の実施の形態におけるダウンコンダクタ231の点検方法を示すフローチャートであり、図4は、その説明図である。以下、図3および図4を参照しながら導通試験手順の一例を説明する。ここでは、送信機221および受信機103として、株式会社グッドマンのケーブル・ブレーカー探索機PTR620を使用しているものとする。もちろん、この探索機は例示であり、現実には他の送信機221および受信機103を使用してもよい。
まず、点検対象のブレード230を選定し、予めハブ220内に送信機221を設置する(図3、ステップS1)。通常時(発電時)、ダウンコンダクタ231とダウンコンダクタ211とは電気的に接続され、ダウンコンダクタ231,211は接地されている。そのため、ダウンコンダクタ231とダウンコンダクタ211とを電気的に分離した状態で、送信機221のリード線222をハブ220にあるダウンコンダクタ231に接続するとともに、送信機221のリード線223をタワー210内のダウンコンダクタ211に接続する必要がある。ここでは、ハブ220内に送信機221を設置することとしているが、ナセル内に送信機221を設置してもかまわない。
次いで、送信機221から選定したブレード230内のダウンコンダクタ231に電磁波を印加する(図3、ステップS2)。この電磁波の周波数は、例えば33.3kHzなど、導線中を伝播しやすい低い周波数であるのが望ましい。「電磁波を印加する」とは、「探索信号を入力する」あるいは「入力信号を投入する」と言い換えることもできる。これにより、図4中の矢印D1に示すように、ハブ220内の送信機221からレセプター232にかけて電磁波が伝播する。
次いで、無人点検装置100に搭載された受信機103を弱モード(後述する)に設定し、点検対象のブレード230の先端部に設けられたレセプター232の近傍に無人点検装置100を飛行させる(図3、ステップS3)。無人点検装置100は、導通試験に必要な各種の試験機を搭載し、適切な動作モードに設定されているものとする。
次いで、無人点検装置100に取り付けられた接点器具102をレセプター232に接触させる(図3、ステップS4)。これにより、図4中の矢印D2に示すように、受信機103が電磁波(探索信号)を受信すれば、ダウンコンダクタ231に電気が流れること、すなわち導通を確認することができる(図3、ステップS5→S6)。一方、受信機103が電磁波を受信しなければ、ダウンコンダクタ231に電気が流れないこと、すなわち断線を検知することができる(図3、ステップS5→S7)。
更に、断線を検知した場合(図3、ステップS7)は、受信機103が電磁波を受信できる位置と受信できない位置を特定することでダウンコンダクタ231の断線位置を判定してもよい(図3、ステップS8)。詳しい説明については後述する。
ここでは、ブレード230のダウンコンダクタ231およびレセプター232を対象とした導通試験の手順を説明したが、同様の導通試験を3枚のブレード230,240,250全てに対して行う。風力発電設備200全体としては、ハブ220~ナセル~タワー210を対象とした導通試験も行う。ただし、ハブ220、ナセル、タワー210を対象とした導通試験は全て屋内で行うため、上記の手順に従う必要はない。
この例では、無人点検装置100の離陸時には受信機103を弱モードに設定済であるが(図3、ステップS3)、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、受信機103は、導通確認時に弱モードであればよい。例えば、離陸時に弱モードに設定されていない場合でも、離陸後に遠隔操作で弱モードに設定され、導通確認時に弱モードになっていればよい。
[接点器具接触の必要性]
本発明の実施の形態で使用する受信機103は、接触・非接触のどちらでも電磁波を受信することが可能であるが、電磁波の受信感度として、強モードと弱モードが存在する。強モードでは、電磁波が微弱であっても受信できるため、壁や天井内のケーブル探索など、特定の距離(例えば、最大3m程度)以下で対象物と離れているケース(≒非接触)に適している。弱モードでは、強い電磁波がなければ受信できないため、接触によりエラーの無い確実な試験に適している。
そこで、本発明の実施の形態では、誤検知の無い確実な導通試験を行うため、「弱モード&接触」により導通確認を行う。「弱モード&接触」とは、受信機103を弱モードで動作させている状態で、且つ接点器具102を対象物に接触させている状態をいう(以下、同様)。
図5は、本発明の実施の形態におけるダウンコンダクタ231が正常である時(導通時)を示す図である。図中の矢印D1は電磁波を示している。ダウンコンダクタ231が導通していれば、図5(A)の矢印D1に示すように、レセプター232までほぼ一定強度の電磁波が伝播する。そのため、図5(B)に示すように、「強モード&接触」「強モード&非接触」「弱モード&接触」では、正しく導通と判定できる。一方、「弱モード&非接触」では、導通と判定できない(不導通判定)。
言い換えると、正常時(導通時)においては、受信機103を弱モードにした状態では、接点器具102がレセプター232に接触していないと電磁波(探索信号)を受信しない。それに対して、受信機103を強モードにした状態では、接点器具102がレセプター232に接触していなくても電磁波を受信する。
図6は、本発明の実施の形態におけるダウンコンダクタ231に異常がある時(断線時)を示す図である。図中の矢印D1a,D1bは電磁波を示し、矢印D1a,D1bの横幅は定性的な電磁波強度を表す。ダウンコンダクタ231が断線していても、断線距離Lが例えば1mm程度の短い距離であれば、図6(A)の矢印D1bに示すように、電磁波は電波として伝播する。すなわち、ハブ220側のダウンコンダクタ231の断線端部231Aから放射された電磁波は、断線部分の空間を伝播して、対向するダウンコンダクタ231の断線部分の先端(レセプター232側のダウンコンダクタ231の断線端部231B)に誘導される。そのため、図6(B)に示すように、「強モード&接触」「強モード&非接触」では、誤って導通と判定してしまう可能性がある(誤検知の可能性)。一方、「弱モード&非接触」では、正しく断線と判定でき、「弱モード&非接触」では、導通と判定できない(不導通判定)。
言い換えると、異常時(断線時)においては、受信機103を弱モードにした状態では、接点器具102がレセプター232に接触していても電磁波を受信しない。それに対して、受信機103を強モードにした状態では、点検対象の異常が特定の断線距離以下の断線であれば、接点器具102がレセプター232に接触していなくても電磁波を受信する。
以上のことより、誤検知の無い確実な導通試験を行うためには、「弱モード&接触」により導通確認を行う必要がある。特許文献2(特開2021-143600号公報)では、レセプター232に接触させることなく電磁波を受信する手法を採用しているため(特許文献2の段落0054、0059参照)、ダウンコンダクタ231が断線していても、断線距離Lが短い場合は誤って導通と判定してしまう可能性がある。それに対して、本発明の実施の形態では、「弱モード&接触」により導通確認を行うため、断線距離Lが短い場合でも誤検知の無い確実な導通試験を行うことが可能となる。
なお、ここでは、受信機103が強モードと弱モードの2つの動作モードを有する場合を例示しているが、受信機103のモード数や各モードの受信感度はこれに限定されるものではない。すなわち、受信機103は、少なくとも、電磁波の受信感度が高い第1のモードと、第1のモードに比べて電磁波の受信感度が低い第2のモードを有していればよい。例えば、受信機103がA,B,C,Dの4つのモードを有する場合でも、その4つのモードの中に第1のモードと第2のモードに相当するモードが含まれていれば、上記と同様の導通試験を行うことができる。このように、受信機103のモード数や各モードの受信感度は、上記した例に限定されるもではなく、適宜、調整(設定)することが可能である。
[無線式導通試験機によるブレード停止角への適用性]
図7は、比較例としての無人点検装置100の飛行を説明するための図である。ここでは、抵抗測定により導通試験を行う場合を想定し、無人点検装置100に取り付けられた接点器具102にリード線401が接続されている場合を例示している。図7に示すように、導通試験機の起点をハブ220にすれば、ブレード230,240,250の中間位置を起点にすることができる。そのため、特許文献1の図2に示されるように地上を起点にする場合に比べ、リード線長(リード線重量)が最大で半分以上に軽減され、ドローン飛行(リード線が受ける風の影響、ペイロード)に有利である。
図7は、模式的な図であり、各部の比率などは現実のものと異なるが、以下、図7(B)を参照しながら更に詳しく説明する。例えば、図7(B)に示すように、タワーボトムからハブ220までの高さが150mであり、タワーボトムからブレード230の上端までの高さが250mであるとする。この場合、無人点検装置100に取り付けられた接点器具102をレセプター232に接触させるためには、地上を起点にすると無人点検装置100を250m程度も上昇させる必要があるのに対して、ハブ220を起点にすると無人点検装置100を100m程度上昇させれば済む。すなわち、上記したように、リード線長が最大で半分以上に軽減されることが分かる。
ただし、このように導通試験機の起点をハブ220にした場合でも、図7(A)に示すように、無人点検装置100が下向きに飛行する際、リード線401が無人点検装置100のプロペラに絡まる可能性がある。また、図7(B)や図7(C)に示すように、無人点検装置100が上向きや横向きに飛行する際、リード線401そのものの重量やリード線401が受ける風圧などの負荷がかかり、無人点検装置100の安全飛行に支障を来す可能性がある。
それに対して、本発明の実施の形態では、無人点検装置100に搭載された導通試験機にリード線を接続する必要がないため(図1参照)、図3に示される各ステップS1~S8をブレード230の停止角に依存することなく実施することできる。ここでいう停止角にはピッチ角も含まれる。このように、本発明の実施の形態によれば、ブレード230の停止角に依存しない簡便・安全・迅速な導通試験を行うことが可能である。
[有線式導通試験(抵抗測定)の詳細]
図8は、図7に示される導通試験(抵抗測定)を説明するための図である。図8に示すように、抵抗測定を行う場合は、ハブ220内にデジタルマルチメーター400を取り付ける。デジタルマルチメーター400は、複数の電気の基本要素(電圧、電流、抵抗)を1台で測定できる計測器(テスター)である。測定対象に対してデジタルマルチメーター400を接続し、既知の電流を流してその間の電圧変化から抵抗値を求める。
例えば、デジタルマルチメーター400のマイナス端子をリード線401で無人点検装置100に接続し、プラス端子をリード線402でダウンコンダクタ231に接続する。これにより、デジタルマルチメーター400から無人点検装置100に電流を供給し、無人点検装置100に搭載された導電性の接点器具102をレセプター232に接触させ、導通試験を行う。ダウンコンダクタ231が断線している場合は電流が流れなくなり、測定不可(オーバーレンジ)となるため、ダウンコンダクタ231の異常(導通していないこと)を検知することが可能である。
[無人点検装置]
図9は、本発明の実施の形態における無人点検装置100を示す構成図である。この無人点検装置100は、ドローンなどの無人航空機に導通試験機を搭載したものである。
具体的には、図9に示すように、本体部101の周囲に腕部120が取り付けられ、この腕部120にプロペラ130が接続されている。また、本体部101の下方に脚部140が取り付けられている。本体部101は、制御装置101aやドローンバッテリー101bなどを収容している。制御装置101aは、ドローンを制御するためのコントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリを含むマイクロコンピュータなどによって構成されている。ドローンバッテリー101bは、ドローン用のバッテリーであり、例えば、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池などである。
本体部101の下方には、送信機221からの電磁波を受信する受信機103が搭載され、またその受信機103を撮影するための受信機撮影用カメラ105が取り付けられている。受信機103のブザー音を感知するマイクが取り付けられていてもよい。
本体部101の上方には、接点器具102やブレード・レセプター撮影用カメラ106を取付けるための支えとなる伸縮棒109が取り付けられている。すなわち、伸縮棒109の前方端に導通素材(例えば銅)の接点器具102が取り付けられ、接点器具102から伸縮棒109に沿って延長ケーブル104が伸び、接点器具102と受信機103とが電気的に接続されている。また、伸縮棒109には、前方に向けてブレード・レセプター撮影用カメラ106が取り付けられている。ブレード・レセプター撮影用カメラ106は、ブレード230やレセプター232を撮影するためのカメラであり、その撮影映像を元に画像認識を行うことができる。更に、ブレード・レセプター撮影用カメラ106のやや前方に緩衝機構108が設けられている。緩衝機構108は、接点器具102がレセプター232に接触した時の衝撃を和らげるためのものであり、例えばダンパーなどで構成されている。
ところで、受信機103は、充電して無給電状態で使用する。また、無信号(電磁波を受信しない状態)が例えば5分など一定時間続くと、バッテリー温存のため電源が自動で切れる。一方、無信号の場合でも電源が切れないよう、常時電源ONモードを備える。ダウンコンダクタ231の導通試験では、無信号状態(断線状態)の継続もあり得るため、常時電源ONモードで使用するのが望ましい。ただ、この場合、バッテリー(残量)の減りが早く、何度も充電し直す(あるいは機器を複数所有し、電源がなくなる度に交換する)必要が生じる。そこで、本発明の実施の形態では、受信機103の常時給電用ケーブル110をドローンバッテリー101bに接続し、ドローンバッテリー101bから受信機103に常時給電されるようにしている。このような給電方法を採用すれば、より安定して受信機103を動作させることができるため、より確実に導通試験を行うことが可能となる。
その他、図9には描いていないが、無人点検装置100は、一般的なドローンが備える各種の機能部を備えている。例えば、端末Tと通信するための通信機、GPS(Global Positioning System)受信機、慣性計測ユニットなども備えている。受信機撮影用カメラ105の撮影映像や、ブレード・レセプター撮影用カメラ106の撮影映像は、無人点検装置100の通信機により送出され、地上300のモニターM1,M2に出力されるようになっている。
[無線式導通試験機]
図10は、本発明の実施の形態における導通試験機の一例を示す外観図である。上記の説明では、株式会社グッドマンのケーブル・ブレーカー探索機PTR620を使用することとしているが、他の導通試験機を使用することも可能である。図10に示す導通試験機はあくまでも一例であり、現実のものと異なる場合があることは勿論である。
図10(A)に示すように、送信機221は、本体221Aの上部に接続部221C,221Dを備えている。一方の接続部221Cをリード線222でダウンコンダクタ231に接続し、もう一方の接続部221Dをリード線223でダウンコンダクタ211に接続する。図10(B)に示すように、本体221Aの上部に接続部221Eを1つだけ備え、その接続部221Eに接続されたリード線が二股に分かれ、二股に分かれた一方をダウンコンダクタ231に、もう一方をダウンコンダクタ211に接続するようにしてもよい。電源ボタン221Bを押すとダウンコンダクタ231に電磁波が印加されるようになっている。
図10(C)に示すように、受信機103は、本体103Aの上部にアンテナ部103Eを備えている。アンテナ部103Eに延長ケーブル104を接続する。強モードボタン103Bを押すと強モードで動作し、弱モードボタン103Cを押すと弱モードで動作するようになっている。受信機103が電磁波(探索信号)を受信している時は、LEDランプ103Dが点滅する。このようにLEDランプ103Dで報知する方法ではなく、ブザー音で報知するようにしてもよい。あるいは、LEDランプ103Dで報知するとともに、ブザー音でも報知するようにしてもよい。
[導通試験例]
図11は、本発明の実施の形態における導通試験例を説明するための図である。既に説明した通り、図11(A)に示すように、ダウンコンダクタ231が断線している場合、受信機103を弱モードにした状態で、ブレード230の先端部に設けられたレセプター232を通じて導通を確認できない。この場合、現在の試験位置よりハブ220寄りに断線箇所があるため、無人点検装置100をハブ220寄りに移動させて導通試験を行うのが望ましい。例えば、図11(B)に示すように、受信機103を強モードに切り替え、ダウンコンダクタ231の沿線に無人点検装置100を移動させ、接点器具102をレセプター232に接触させることなく導通試験を行ってもよい。これにより、受信機103が電磁波を受信できる位置と受信できない位置を特定することができるため、断線している箇所を判定することが可能である(図3、ステップS8)。
[特徴的な構成とその効果]
以上説明したように、本発明の実施の形態における風力発電設備200の点検方法は、無人点検装置100を用いて風力発電設備200を点検する点検方法であって、風力発電設備200に設置された送信機221が風力発電設備200のブレード230に設けられたダウンコンダクタ231に電磁波を印加するステップと、少なくとも電磁波の受信感度が高い第1のモード(例えば強モード)および第1のモードに比べて電磁波の受信感度が低い第2のモード(例えば弱モード)を有する受信機103を無人点検装置100に搭載し、ブレード230に設けられたレセプター232の近傍に飛行させるステップと、受信機103に接続された導通素材の接点器具102をレセプター232に接触させるステップと、弱モードで動作する受信機103がダウンコンダクタ231に印加された電磁波をレセプター232および接点器具102を通じて受信したことにより導通を確認するステップとを含む。これにより、断線距離Lが短い場合でも誤検知の無い確実な導通試験を行うことができるため、安全かつ確実に風力発電設備200を点検する点検方法を提供することが可能となる。
更に、導通を確認できない場合は、受信機103が電磁波を受信できる位置と受信できない位置を特定することでダウンコンダクタ231の断線位置を判定するステップを含んでもよい。これにより、迅速に風力発電設備200を点検することが可能である。
具体的には、受信機103を弱モードにした状態で、ブレード230の先端部に設けられたレセプター232を通じて導通を確認できない場合は、受信機103を強モードに切り替え、ダウンコンダクタ231の沿線に無人点検装置100を移動させ、接点器具102をレセプター232に接触させることなく導通試験を行ってもよい。これにより、受信機103が電磁波を受信できる位置と受信できない位置を特定することができるため、断線している箇所を判定することが可能である。
また、送信機221は、ブレード230を支持するハブ220にあるダウンコンダクタ231に接続されていてもよい。これにより、容易に送信機221を設置することができる。もちろん、送信機221を設置する位置はハブ220内に限定されるものではなく、ブレード230の根本部から先端部にかけて電磁波が伝播すればよい。
また、上述した各ステップをブレード230の停止角に依存することなく実施する。言い換えると、本発明の実施の形態における風力発電設備200の点検方法は、全てのブレード停止位置に対応可能である。
また、本発明の実施の形態における無人点検装置100は、風力発電設備200を点検する無人点検装置100であって、無人航空機と、無人航空機を制御するための制御装置101aと、少なくとも電磁波の受信感度が高い第1のモード(例えば強モード)および第1のモードに比べて電磁波の受信感度が低い第2のモード(例えば弱モード)を有する受信機103と、受信機103に接続された導通素材の接点器具102とを備え、風力発電設備200のブレード230に設けられたレセプター232の近傍に飛行し、接点器具102をレセプター232に接触させ、弱モードで動作する受信機103に、ブレード230に設けられたダウンコンダクタ231に印加された電磁波をレセプター232および接点器具102を通じて受信させる。これにより、断線距離Lが短い場合でも誤検知の無い確実な導通試験を行うことができるため、安全かつ確実に風力発電設備200を点検する無人点検装置100を提供することが可能となる。
更に、ドローンバッテリー101bを備え、受信機103は、常時電源がONの状態で使用されるとともに、ドローンバッテリー101bから常時給電されてもよい。このような給電方法を採用すれば、より安定して導通試験を行うことが可能となる。
100 無人点検装置
101 本体部
101a 制御装置
101b ドローンバッテリー
102 接点器具
103 受信機
104 延長ケーブル
105 受信機撮影用カメラ
106 ブレード・レセプター撮影用カメラ
108 緩衝機構
109 伸縮棒
110 常時給電用ケーブル
120 腕部
130 プロペラ
140 脚部
200 風力発電設備
210 タワー
211 ダウンコンダクタ
220 ハブ
221 送信機
230 ブレード
231 ダウンコンダクタ
232 レセプター
240 ブレード
250 ブレード
M1 モニター
M2 モニター
T 端末

Claims (5)

  1. 無人点検装置を用いて風力発電設備を点検する点検方法であって、
    前記風力発電設備に設置された送信機が前記風力発電設備のブレードに設けられたダウンコンダクタに電磁波を印加するステップと、
    少なくとも前記電磁波の受信感度が高い第1のモードおよび前記第1のモードに比べて前記電磁波の受信感度が低い第2のモードを有する受信機を前記無人点検装置に搭載し、前記ブレードに設けられたレセプターの近傍に飛行させるステップと、
    前記無人点検装置が備える伸縮棒に取り付けられた撮影用カメラにより、その伸縮棒の前方を撮影し、前記撮影用カメラの撮影映像を元に画像認識を行い、前記レセプターを捕捉すると、前記伸縮棒の前方端に取り付けられた導通素材の接点器具を前記レセプターに接触させるステップと、
    前記受信機を前記第2のモードで動作させている状態で、且つ前記接点器具を前記レセプターに接触させている状態において、前記受信機が前記ダウンコンダクタに印加された電磁波を前記レセプターおよび前記接点器具を通じて受信したことにより導通を確認するステップと
    を含み、
    前記第1のモードおよび前記第2のモードの受信感度は、
    前記風力発電設備の点検対象が正常である時、前記受信機を前記第2のモードにした状態では、前記接点器具が前記レセプターに接触していないと前記電磁波を受信できないのに対して、前記受信機を前記第1のモードにした状態では、前記接点器具が前記レセプターに接触していなくても前記電磁波を受信できるとともに、
    前記風力発電設備の点検対象に異常がある時、前記受信機を前記第2のモードにした状態では、前記接点器具が前記レセプターに接触していても前記電磁波を受信できないのに対して、前記受信機を前記第1のモードにした状態では、前記点検対象の異常が特定の断線距離以下の断線であれば、前記接点器具が前記レセプターに接触していなくても前記電磁波を受信できる状態に、
    予め設定されている
    風力発電設備の点検方法。
  2. 更に、前記導通を確認できない場合は、前記受信機が前記電磁波を受信できる位置と受信できない位置を特定することで前記ダウンコンダクタの断線位置を判定するステップを含む請求項1に記載の風力発電設備の点検方法。
  3. 前記受信機を前記第2のモードにした状態で、前記ブレードの先端部に設けられたレセプターを通じて導通を確認できない場合は、前記受信機を前記第1のモードに切り替え、前記ダウンコンダクタの沿線に前記無人点検装置を移動させ、前記接点器具を前記レセプターに接触させることなく導通試験を行う請求項2に記載の風力発電設備の点検方法。
  4. 前記送信機は、前記ブレードを支持するハブにあるダウンコンダクタに接続されている請求項1に記載の風力発電設備の点検方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の各ステップを前記ブレードの停止角に依存することなく実施する風力発電設備の点検方法。
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