JP7800540B2 - 位相シフトマスク、検出素子、デフォーカス量検出方法、フォーカス調整方法、及びデバイスの製造方法 - Google Patents

位相シフトマスク、検出素子、デフォーカス量検出方法、フォーカス調整方法、及びデバイスの製造方法

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Description

本発明は、位相シフトマスク、検出素子、デフォーカス量検出方法、フォーカス調整方法、及びデバイスの製造方法に関する。
半導体素子、液晶表示素子、撮像装置(CCD等)、薄膜磁気ヘッド等のデバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程においては、マスクとしてのレチクルのパターンを、投影光学系を介してフォトレジストが塗布されたウエハ又はガラスプレート等(以下、感光性基板と称する)上に転写露光するために、投影露光装置が使用されている。デバイスの製造においては、デフォーカスによるパターンの像ぼけや色むらなどのない露光を行うことが重要である。
投影露光装置におけるフォーカス性能を評価する手段として、PSFM(Phase Shift Focus Monitor)が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の評価方法では、まず、計測マークが形成された位相シフトマスクを用いて露光を行う。このとき、デフォーカス状態で露光を行った場合に形成されるパターンの像が、フォーカス状態で露光を行った場合に形成されるそのパターンの像に対して、横方向(投影光学系の光軸に垂直な面内の方向)に位置ずれ(移動)するという現象が生じる。この現象を利用し、その位置ずれ量をデフォーカス量に換算して、フォーカス性能を評価する。
米国特許第5300786号明細書
第1の態様に従えば、位相シフトマスクであって、基材と、第1及び第2半透過層(第1及び第2位相シフト膜)と、遮光層(遮光膜)とを有し、前記基材の表面には、前記表面に平行な配列方向に沿って、第1半透過層(第1位相シフト膜)が配置されている第1領域と、前記基材表面が露出している第2領域と、前記遮光層(前記遮光膜)が配置されている第3領域と、第2半透過層(第2位相シフト膜)が配置されている第4領域と、前記基材表面が露出している第5領域とが、隣接して設けられているパターンを有する計測マークが形成されている、位相シフトマスクが提供される。
第2の態様に従えば、投影光学系を透過する所定波長の光のデフォーカス量を検出するための検出素子であって、基材と、第1及び第2半透過層(第1及び第2位相シフト膜)と、遮光層(遮光膜)とを有し、前記基材の表面には、前記表面に平行な配列方向に沿って、第1半透過層(第1位相シフト膜)が配置されている第1領域と、前記基材表面が露出している第2領域と、前記遮光層(前記遮光膜)が配置されている第3領域と、第2半透過層(第2位相シフト膜)が配置されている第4領域と、前記基材表面が露出している第5領域とが、隣接して設けられているパターンを有する計測マークが形成されている、検出素子が提供される。
第3の態様に従えば、第1の態様の前記位相シフトマスク、又は第2の態様の検出素子を用いて投影光学系のデフォーカス量を検出する方法であって、前記位相シフトマスク又は前記検出素子に所定波長の光を照射して前記投影光学系による前記計測マークの投影像を投影面上に形成することと、前記計測マークの投影像の前記投影面における所定位置からの位置ずれ量を計測することと、前記計測した前記位置ずれ量から前記デフォーカス量を算出することを含むデフォーカス量の検出方法が提供される。
第4の態様に従えば、第3の態様のデフォーカス量の検出方法により、前記投影光学系のデフォーカス量を検出することと、検出したデフォーカス量に基づいて、前記投影光学系のフォーカスを調整することを含む投影光学系のフォーカス調整方法が提供される。
第5の態様に従えば、第4の態様の前記フォーカス調整方法により調整した前記投影光学系を用いて所定パターンで感光性基板を露光することを含むデバイスの製造方法が提供される。
図1(a)は、実施形態の計測マークを有する位相シフトマスクの下面概略図(計測マークが形成されている面から見た図)であり、図1(b)は図1(a)のIB-IB線断面の概略図である。 図2(a)は図1(a)のIIAエリアの拡大図であり、図2(b)は図2(a)のIIB-IIB線断面の概略図である。 図3(a)は、フォーカスが合っている(デフォーカス量が0(ゼロ))の状態の実施形態の計測マーク(ボックスインボックスのパターン)の投影像を示す図であり、図3(b)は、フォーカスが合っていない(デフォーカス量が0(ゼロ)でない)の状態の計測マークの投影像を示す図である。図3(c)は、実施形態における、デフォーカス量とシフト量との関係を示す図である。 図4は、実施形態のデフォーカス量検出方法及びフォーカス調整方法を示すフローチャートである。 図5は、実施形態のデフォーカス量検出及びフォーカス調整を行う露光装置の概略図である。 図6(a)は、変形例における、複数の計測マークが設けられた位相シフトマスクの概略図であり、図6(b)は、複数の計測マークが露光された感光性基板の概略図である。図6(c)は、変形例における、フォーカス調整前の感光性基板上におけるデフォーカス量を示す図であり、図6(d)は、フォーカス調整後の感光性基板上におけるデフォーカス量を示す図である。 図7は、位相シフト膜PS1~PS14の成膜時のガス流量及び組成比を示す表である。 図8は、位相シフト膜PS1~PS14の膜厚及び波長302nmの光に対する光学特性を示す表である。 図9は、位相シフト膜PS1~PS14の膜厚及び波長313nmの光に対する光学特性を示す表である。 図10は、位相シフト膜PS1~PS14の膜厚及び波長334nmの光に対する光学特性を示す表である。 図11は、位相シフト膜PS1~PS14の膜厚及び波長365nmの光に対する光学特性を示す表である。 図12は、位相シフト膜PS1~PS14の膜厚及び波長405nmの光に対する光学特性を示す表である。 図13は、位相シフト膜PS1~PS14の膜厚及び波長436nmの光に対する光学特性を示す表である。 図14(a)~(f)は、実施形態における計測マークを有する位相シフトマスクの製造方法を説明する図である。 図15(a)~(f)は、実施形態における計測マークを有する位相シフトマスクの製造方法を説明する図である。 図16は、実施例で行ったシフト量とデフォーカス量との関係のシミュレーション結果である。 図17(a)は、十字パターンの計測マークを示す図であり、図17(b)は、フォーカスが合っている(デフォーカス量が0(ゼロ))の状態の計測マークの投影像を示す図であり、図17(c)は、フォーカスが合っていない(デフォーカス量が0(ゼロ)でない)の状態の計測マークの投影像を示す図である。 図18は、位相シフト膜を有さない、計測マーク付き位相シフトマスクである。
[位相シフトマスク]
図1に示す、計測マーク40を有する位相シフトマスク100について説明する。位相シフトマスク100は、例えば、投影露光装置に搭載される投影光学系を透過する所定波長の光(露光光)のデフォーカス量を検出するための検出素子として用いる。位相シフトマスク100は、基材10と、基材10の表面(基材表面)10aに形成された遮光膜(遮光層)30と、基材表面10aに形成された位相シフト膜(半透過膜・半透過層)20とを有する。位相シフト膜20は、遮光膜30の近傍に形成されている。遮光膜30は、計測マーク40を構成する。本実施形態では、計測マーク40として、同心正方形(または長方形)のペアからなる、所謂、ボックスインボックスのパターンを用いる。本実施形態で用いた計測マーク40の詳細については後述する。
基材表面10aにおける、位相シフト膜20と遮光膜30の基本配置について説明する。図2に示すように、位相シフト膜20と遮光膜30を横切るX方向に沿って、基材表面10aには、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されている。領域A1及びA2には、位相シフト膜20が配置されている。領域B1及びB2には、位相シフト膜20は存在せず、基材表面10aが露出している。領域Cには、遮光膜30が配置されている。計測マーク40は、少なくとも領域Cを含み、領域Cに加え領域A1、領域A2、領域B1、及び領域B2を含んでもよい。位相シフトマスクに所定波長の光(露光光)を照射したとき、領域A1及びA2を透過した光(第1光)の位相は同一であり、また、領域B1及びB2を透過した光(第2光)の位相は同一である。一方、位相シフト膜20が形成されているため、領域A1及びA2を透過した光の位相はシフトし、領域B1及びB2を透過した光の位相と異なる。尚、本実施形態の領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2は、それぞれ、本発明の「第1領域」、「第2領域」、「第3領域」、「第4領域」及び「第5領域」に対応する。また、本実施形態の「X方向」は、本発明の「配列方向」に対応する。また、領域A1に配置されている位相シフト膜20は、「第1位相シフト膜」、「第1半透過層」もしくは「第1半透過膜」に対応し、領域A2に配置されている位相シフト膜20は、「第2位相シフト膜」、「第2半透過層」もしくは「第2半透過膜」に対応する。更に、本実施形態の位相シフト膜20と遮光膜30の基本配置(領域A1,B1,C,A2,B2)は、本発明の「パターン」に対応する。
計測マークに位相変更物質を配置すると、投影光学系を介した投影面上の計測マークの投影像は、そのデフォーカス量に応じて、投影光学系の光軸に直交する投影面内で位置がずれる。本実施形態の位相シフトマスク100では、上述のように計測マーク40を形成する遮光膜30と、位相シフト膜20とが特有の基本配置(領域A1,B1,C,A2,B2)を取る。この特有の基本配置により、計測マーク40の投影像のデフォーカス量と、投影面上の位置ずれ量との相関が強くなり、位相シフトマスク100を用いて容易かつ正確なデフォーカス量の検出が可能となる。この結果、フォーカス調整が容易となる。この理由としてマークを形成する領域Cの一方側で生じる、領域A1を透過した光と領域B1を透過した光との干渉と、領域Cの他方側で生じる、領域A2を透過した光と領域B2を透過した光との干渉とが関連していると推測される。
位相シフトマスクに所定波長の光(露光光)を照射したとき、位相シフト膜が配置される領域A1及びA2を透過した第1光と、基材表面10aが露出している領域B1とB2を透過した第2光との位相差は、90°±50°であり、好ましくは、90°±20°であり、より好ましくは90°±5°であり、更に好ましくは90°±3°である。位相差が上記範囲内であれば、位相シフトマスク100を用いたデフォーカス量の検出及びフォーカス調整がより容易となる。上記位相差は、位相シフトマスク100を透過する光(露光光)の波長に合わせて、位相シフト膜の屈折率、膜厚等を変更することで調整できる。即ち、位相シフト膜20は、位相差が上記範囲内となるように構成されることが好ましい。
位相シフトマスク100において、X方向における領域B1の幅Wb1及び領域A2の幅Wa2は、領域Cの幅Wcより小さい(Wc>Wb1、Wc>Wa2)。幅Wcに対する幅Wb1の比率(Wb1/Wc)は、0.1~0.2が好ましく、0.1~0.15がより好ましく、0、1~0.13が更に好ましい。幅Wcに対する幅Wa2の比率(Wa2/Wc)は、0.1~0.2が好ましく、0.1~0.15がより好ましく、0.1~0.13が更に好ましい。幅Wb1と幅Wa2は、略同一であってよい(Wb1=Wa2)。幅Wb1と幅Wa2は、領域A1の幅Wa1より小さくてよい。また、幅Wa1は幅Wcの2倍以上あれば好ましい。幅Wa1、幅Wb1、幅Wc、幅Wa2が上述の関係を有することで、デフォーカス量の検出及びフォーカス調整がより容易となる。
幅Wa1、幅Wb1、幅Wc、幅Wa2は、位相シフトマスク100が使用される投影露光装置の露光光の波長等を勘案して適宜設計され得る。
尚、本実施形態の計測マーク40は、直線が向かいあう部分を含むマークであれば形状は問わない。また、計測マーク40(遮光膜30)が直線部分を含み、遮光膜30が形成するパターンを横切るX方向は、直線部分の延在方向に直交する方向としてもよい。この場合、各領域の幅は直線部分の延在方向に直交する方向における幅(長さ)となる。
基材10の材料としては、位相シフトマスク100が使用される投影露光装置の露光光を充分に透過するものであれば特に限定されない。例えば、石英ガラスを用いてよい。基材10の厚さは、例えば5mm~30mm、又は7mm~20mmとしてよい。
遮光膜30の材料としては、位相シフトマスク100が使用される投影露光装置の露光光を充分に遮光するものであれば特に限定されない。例えば、クロム等の金属を用いてよい。具体的には酸化クロム(CrO)や窒化クロム(CrN)が挙げられる。遮光膜30の厚さは、例えば、50nm~300nmであり、好ましい下限値は80nm、より好ましい下限値は100nm、好ましい上限値は200nmであり、より好ましい上限値は150nmである。また、図2(b)に示すように、遮光膜30の下に位相シフト膜20が存在していてもよい。本実施形態では、位相シフト膜20が、基材表面10aの領域C及び領域A2に亘って、連続して形成されており、領域Cには、位相シフト膜20の上に遮光膜30が積層されて配置されている。即ち、領域Cに、位相シフト膜20と遮光膜30との積層構造が形成されている。積層構造であっても、遮光膜30により領域Cは十分に遮光される。また、このような積層構造であれば、後述する湿式エッチングを用いて形成マーク40全体を容易に形成できる。尚、領域Cには、位相シフト膜20が形成されておらず、遮光膜30のみが形成されていてもよい。
位相シフト膜20は、それを透過した光の位相をシフト(変更)する。位相シフト膜20は、例えば、ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)及び窒素(N)を含む膜であってよい。位相シフトマスク100では、領域A1、A2を透過した光と領域B1、B2を透過した光とが干渉する必要があるため、位相シフト膜20は露光光を透過させる必要がある。Zr、Si及びNを含む位相シフト膜20は、例えば、波長250nm~440nmの光を十分に透過する。また、Zr、Si及びNを含む位相シフト膜20が領域A1及びA2に形成された計測マーク40は、後述するように、デフォーカス量とシフト量とが広い範囲に亘って線形関係を示す(図3(c)参照)。この結果、位相シフトマスク100を用いたデフォーカス量の検出及びフォーカス調整が、より容易且つ正確に行える。
また、位相シフト膜20は、ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)及び窒素(N)に加えて、更に酸素(O)を含んでもよい。酸素(O)を含有することで、位相シフト膜20は、波長250nm~440nmの光の透過率が更に高まる。この結果、後述する計測マーク40における、デフォーカス量とシフト量とが更に広い範囲に亘って線形関係を示し(図3(c)参照)、この結果、位相シフトマスク100を用いたデフォーカス量の検出及びフォーカス調整が、更に、より容易且つ正確に行える。
波長250nm~400nmの光に対して位相シフト膜20の透過率を25%以上とするために、以下の(i)(ii)の2つの場合に分けて、位相シフト膜20の好ましい組成について説明する。(i)位相シフト膜20の原子比(O/Zr)が0.1未満の場合、原子比(N/Zr)が2.0以上であることが好ましい。また、(ii)位相シフト膜の原子比(O/Zr)が0.1以上の場合、原子比(N/Zr)は0~3.0の範囲であることが好ましい。(i)及び(ii)のいずれの場合においても、原子比(Si/Zr)は0.5~2.0又は0.8~1.2とすることが好ましい。
尚、位相シフト膜20は、Zr、Si、N及びO以外の元素を含んでもよいし、実質的にZr、Si、N及びOのみを含む膜であってもよい。位相シフト膜20は、Zr、Si、N及びO以外の元素を含まないか、又は効果に影響を与えない程度の少量の不純物として含んでもよい。また、本願明細書において、位相シフト膜20の原子比は、後述する実施例で説明するX線光電子分光法(XPS)を用いて測定できる。
位相シフト膜20の屈折率は、高ければ高いほど好ましい。その理由として、以下のことが挙げられる。屈折率が高くなることで、式:d=λ/(2(n-1))(d:位相シフト膜20の厚さ、λ:露光光の波長、n:波長λにおける位相シフト膜20の屈折率)で導かれる位相シフト膜20の厚さを薄くできる。成膜に必要な厚みを減らすことで基材10に、より均一に膜を成膜可能になる。また、膜厚を薄くできれば、所謂、サイドエッチング量を低減でき、より設計寸法に近いパターンを得られる。
位相シフト膜20の消衰係数(減衰係数)は、低ければ低いほど好ましい。その理由として、消衰係数が低くなることで光の吸収が小さくなり、位相シフト膜20の透過率が向上することが挙げられる。
位相シフト膜20の波長302nmの光における屈折率は、1.7~3.0であり、好ましい下限値は1.75であり、好ましい上限値は2.9である。また、位相シフト膜20の波長302nmの光の減衰係数は0.6以下であり、好ましい下限値は10-6であり、好ましい上限値は、0.55である。ここで、位相シフトマスク100において、基材10に位相シフト膜20が形成されている部分の透過率を「素子透過率」とし、「素子透過率」は反射も考慮した外部透過率とも言う。「素子透過率」は、基材10及び位相シフト膜20の透過率である。位相シフト膜20が波長302nmの光に対して180°の位相シフトを与える膜厚を有するとき、波長302nmの光に対する素子透過率は、25%以上が好ましく、40%以上が好ましく、60%以上が更に好ましい。
位相シフト膜20の波長313nmの光における屈折率は、1.7~3.0であり、好ましい下限値は1.75であり、好ましい上限値は2.9である。また、位相シフト膜20の波長313nmの光の減衰係数は0.5以下であり、好ましい下限値は10-6であり、好ましい上限値は、0.45である。更に、位相シフト膜20が波長313nmの光に対して180°の位相シフトを与える膜厚を有するとき、波長313nmの光に対する素子透過率は、30%以上が好ましく、40%以上が好ましく、60%以上が更に好ましい。
位相シフト膜20の波長334nmの光における屈折率は、1.7~3.0であり、好ましい下限値は1.75であり、好ましい上限値は2.9である。また、位相シフト膜20の波長334nmの光の減衰係数は0.4以下であり、好ましい下限値は10-6であり、好ましい上限値は、0.35である。更に、位相シフト膜20が波長334nmの光に対して180°の位相シフトを与える膜厚を有するとき、波長334nmの光に対する素子透過率は、40%以上が好ましく、50%以上が好ましく、70%以上が更に好ましい。
位相シフト膜20の波長365nmの光における屈折率は、1.7~3.0であり、好ましい下限値は1.72であり、好ましい上限値は2.85である。また、位相シフト膜20の波長365nmの光の減衰係数は0.2以下であり好ましい下限値は10-6であり、好ましい上限値は、0.18である。更に、位相シフト膜20が波長365nmの光に対して180°の位相シフトを与える膜厚を有するとき、波長365nmの光に対する素子透過率は、50%以上が好ましく、60%以上が好ましく、70%以上が更に好ましい。
位相シフト膜20は、上述のように投影露光装置で露光光としての使用される波長250nm~440nmの光の透過率が高い方が好ましい。代表的な露光光としては、例えば、深紫外線(DUV、波長:302nm、313nm、334nm)、i線(波長:365nm)、h線(波長:405nm)、g線(波長:436nm)等が挙げられる。例えば、位相シフト膜20が配置されている第1領域及び第4領域における、波長250nm~440nmの光の透過率は、25%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。尚、第1領域及び第4領域の透過率は、上述の素子透過率に対応する。
位相シフト膜20の厚さは、位相シフト膜20の屈折率等の光学特性、透過する光(露光光)の波長を勘案して、領域A1及びA2を透過した光と、領域B1とB2を透過した光との位相差が適当な範囲(例えば、90°±50°)となるよう設計できる。例えば、位相シフト膜20の厚さは、40nm~150nmとしてよい。
以上説明したように、本実施形態では、領域A1及びA2に位相シフト膜20を設けることで、領域A1及びA2を透過する第1光と、領域B1とB2を透過する第2光との間に位相差を生じさせる。これに対して、位相シフト膜20を設ける代わりに、図18に示すように、基材10の領域B1及びB2の厚さを薄くし、基材表面10aに高低差(段差)を設けることによっても、同様の位相差を生じさせることができる。しかし、基材表面10aに設ける段差は露光光の波長によって決定される。例えば、波長365nmの露光光を用いて、90°の位相差を得る場合、石英ガラス製(屈折率:1.47)の基材表面10aに設ける段差は192nmとなる。基材表面10aの段差は、例えば、エッチング加工によって形成されるが、均一に192nm段差をエッチング加工することは非常に難しい。段差加工の精度の低下は、位相シフトマスクのデフォーカス検出の精度低下に繋がる。特に、エッチングする面積が増える程、即ち、位相シフトマスクが大面積化して計測マーク40の数が増える程、この問題は顕著になる。
本実施形態の位相シフトマスク100では、基材表面10aに段差を形成することなく、位相シフト膜20を形成する。位相シフト膜20は、大面積に均一な膜厚を形成することが比較的容易である。このため、位相シフトマスク100が大面積化して計測マーク40の数が増えた場合でも、デフォーカス検出の精度を高められる。例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)等の大面積デバイスの製造には、大型の位相シフトマスクが求められる。本実施形態の位相シフトマスク100は、FPD等の大面積デバイスの製造に好適に用いることができる。
[位相シフトマスクの製造方法]
計測マーク40を有する位相シフトマスク100の製造方法は、特に限定されず、汎用の方法を用いることができる。例えば、位相シフトマスク100は、反応性スパッタリング、及びウェットエッチング(図14及び図15参照)を用いて計測マーク40を形成して製造してもよい。
図14及び図15に示す位相シフトマスクの製造方法の一例について説明する。まず、基材10と、基材表面10a上に形成された位相シフト膜20とを有する位相シフトマスクブランクス150を用意する(図14(a))。位相シフトマスクブランクス150は、例えば、基材表面10aに反応性スパッタリングにより位相シフト膜20を成膜して作製してもよい。
次に、計測マーク40を形成する(パターニングする)。計測マーク40の形成は、例えば、ウェットエッチングを用いて形成してよい。まず、位相シフト膜20上に、遮光膜30として、Cr膜を反応性スパッタリングにより形成する。ここで、遮光膜30は、窒化クロム層31と酸化クロム層32が積層されて形成されていてもよい(不図示)。遮光膜30上に、レジストをスピンコートにより塗布し、第1フォトレジスト層51を形成する(図14(b))。尚、図14には、ポジ型レジストを用いた実施形態を示すが、ネガ型レジストを用いてもよい。
第1遮光マスクを用いて、第1フォトレジスト層51を所定の波長の光で露光する。所定の波長の光は特に限られず、レジストが感光する波長の光であればよく、例えば365nmの光が挙げられる。第1遮光マスクには、基材表面10a上の領域A1,A2,Cが覆われ、領域B1,B2が露出するようなパターンが形成される。これにより、領域B1,B2上の第1フォトレジスト層51が露光され、第1露光部51Eが形成される(図14(c))。
露光した基材10を現像液に浸漬させ、これにより、第1感光部51Eが溶解、除去される(図14(d))。次に、基材10を遮光膜30用エッチング液に浸漬する。これにより、第1フォトレジスト層51で覆われていない領域B1,B2上の遮光膜30が除去され、位相シフト膜20が露出する(図14(e))。
基材10を位相シフト膜20用エッチング液に浸漬する。これにより、第1フォトレジスト層51で覆われていない領域B1,B2上の位相シフト膜20が除去され、基材表面10aが露出する(図14(f))。
次に、基材10をレジスト剥離液に浸漬する。これにより、基材10上に残存していた全ての第1フォトレジスト層51を溶解・除去する(図15(a))。第1フォトレジスト層51を除去した後、基材表面10a全体に第2フォトレジスト層52を形成する(図15(b))。第2フォトレジスト層52は、第1フォトレジスト層51と同じ材料を用いて同じ方法で形成し、同じ厚さとしてもよい。
第2遮光マスクを用いて、第2フォトレジスト層52を所定の波長の光で露光する。第2遮光マスクには、基材表面10a上の領域A1,A2が露出するようなパターンが形成されている。これにより、領域A1,A2上の第2フォトレジスト層52が露光され、第2露光部52Eが形成される(図15(c))。
露光した基材10を現像液に浸漬する。これにより、第2露光部52Eが溶解、除去される(図15(d))。次に、基材10を遮光膜30用エッチング液に浸漬する。これにより、領域A1,A2上の遮光膜30が除去され、位相シフト膜20が露出する(図15(e))。次に、基材10をレジスト剥離液に浸漬する。これにより、基材10上に残存した第2フォトレジスト層52が全て溶解・除去される(図15(f))。以上の工程により、図15(f)に示す計測マーク40が形成された位相シフトマスク100を得ることができる。尚、計測マーク40のパターニング法として、図14及び図15に示すウェットエッチングを説明したが、本実施形態はこれに限定されず、計測マーク40は、公知の方法を用いてパターニングしてよい。
[計測マークの構造及び動作原理]
図1に示す、本実施形態で用いた計測マーク40の構造について説明する。図1(a)に示すように、計測マーク40は、2つの略四角形から構成される「ボックスインボックス」パターンである。計測マーク40は、外四角形(第1マーク)41と、外四角形41の中に配置された、外四角形41と同心の内四角形(第2マーク)42とから構成される。外四角形41は、内四角形42よりも大きい。外四角形41は、基材表面10a上において、基材表面10aと平行なX方向(「第1配列方向」の一例)に延びる横辺411xと412xと、基材表面10aと平行で、且つX方向に直交するY方向(「第2配列方向」の一例)に延びる縦辺411yと412yとを含む。横辺411xと412xと、縦辺411yと412yは、結合して完全な四角形を形成してもよいし、一部又は全部が離間して配置されて不完全な四角形を形成してもよい。本実施形態では、図1(a)に示すように、外四角形41は不完全な四角形である。
内四角形42は、基材表面10a上において、X方向に延びる横辺421xと422xと、Y方向に延びる縦辺421yと422yとを含む。横辺421xと422xと縦辺421yと422yとは、結合して完全な四角形を形成してもよいし、一部又は全部が離間して配置されて不完全な四角形を形成してもよい。本実施形態では、図1(a)に示すように、内四角形42は、不完全な四角形である。
図1(b)に示すように、外四角形41の縦辺411yと412yと、内四角形42の縦辺421yと422yの近傍には、共に、位相シフト膜20及び遮光膜30を横切るX方向に沿って、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されている。即ち、計測マーク40は、上述した位相シフト膜20と遮光膜30との基本配置を有する。但し、縦辺411y近傍と、縦辺412y近傍とでは、基本配置の向きが同じであり、縦辺412y近傍と、縦辺422y近傍とでは、基本配置の向きが逆である。縦辺411y近傍と、縦辺421y近傍とでは、基本配置の向きが逆である。縦辺411y、縦辺412y(外四角形41)では、X方向の一方側から他方側への向きX1(図1(b)の左から右に向かう向き)に、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されている。一方、縦辺421y、縦辺422y(内四角形42)では、X方向の他方側から一方側への向きX2(図1(b)の右から左に向かう向き)に、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されている。
外四角形41の横辺411x及び横辺412xと、内四角形42の横辺421x及び横辺422xとの近傍には、共に、位相シフト膜20及び遮光膜30を横切る方向Yに沿って、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されているが、配置の向きが逆である。横辺411x、横辺412x(外四角形41)では、Y方向の一方側から他方側への向きY1(図1(b)の下から上に向かう向き)に、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されている。一方、横辺421x、横辺422x(内四角形42)では、Y方向の他方側から一方側への向きY2(図1(b)の上から下に向かう向き)に、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されている。
また、本実施形態では、図1(b)に示すように、外四角41(縦辺411y)と内四角42(縦辺421y)は、その間に存在する領域B2を、それぞれの基本配置のB2として共有している。また、外四角41(縦辺412y)と内四角42(縦辺422y)は、その間に存在する領域A1を、それぞれの基本配置のA1として共有している。これにより、マーク40の省スペース化が図れる。また、外四角形41と内四角形42の間に存在する領域B2の幅Wb2は計測マーク40(位相シフトマスク200)に露光光を投影する時に、外四角形41と内四角形42にそれぞれ含まれる領域Cの空間像を分解できるだけの幅が必要である。したがって、領域B2の幅Wb2は、外四角形41の領域Cの幅Wcの2倍以上、又は内四角形42の領域Cの幅Wcの2倍以上であると好ましい。尚、縦辺411y(第1パターン)、縦辺421y(第2パターン)、縦辺422y(第3パターン)、縦辺412y(第4パターン)を第1部分と呼び、横辺411x(第5パターン)、横辺421x(第6パターン)、横辺422x(第7パターン)、横辺412x(第8パターン)を第2部分と呼ぶ。
このように、外四角形41と内四角形42とは、X方向における領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2の配置の向きが逆であり、且つY方向における同領域の配置の向きも逆である。このような外四角形41と、内四角形42の投影光学系を介した投影像は、デフォーカス量に応じて、投影面内の同一直線上において互いに反対方向に位置ずれを生じる。
例えば、図3(a)に示すように、投影光学系のフォーカスが合っている場合、即ち、デフォーカス量が0(ゼロ)の場合、投影光学系を介した計測マーク40の投影面上の投影像40Pにおいて、外四角形41の投影像41Pの中心41Cと、内四角形42の投影像42Pの中心42Cとは一致している。一方、図3(b)に示すように、投影光学系のフォーカスが合っていない場合、即ち、デフォーカスが生じている場合、投影像40Pにおいて、中心41C及び42Cで位置ずれが生じる。
位置ずれが生じる理由の前提として、フォトマスクを介して基板に任意のパターンを露光する際、フォトマスクから出射した光線の出射角度(射出角度)が垂直な場合、デフォーカス時における基板に形成されるパターンの投影像の中心位置は、フォーカス時における基板に形成されるパターンの投影像の中心位置とほぼ同じ位置に形成される。一方、フォトマスクから出射した光線の出射角度が垂直とは異なる角度(90°±α:αは任意)である場合、デフォーカス時における基板に形成されるパターンの投影像の中心位置は、フォーカス時の基板に形成される投影像の中心位置とは異なる位置に形成される。また、射出角度は基板に入射される光の入射角度に相当する。
上述した計測マーク40を形成し、領域A1及び領域B1、領域A2及び領域B2を形成することにより、フォトマスクから出射した光線の出射角度を垂直とは異なる角度(90°±α:αは任意)とすることができる。より具体的には、計測マーク40の領域A1と領域B1の位相差、領域A2と領域B2の位相差によって射出角度を垂直とは異なる角度にすることができる。
また、縦辺411y近傍及び縦辺421y近傍から構成される構成1では、縦辺411y近傍と縦辺421y近傍のマークの配置が反対であるため、縦辺411y近傍の領域A1と領域B1、領域A2と領域B2を通過した出射光と、縦辺421y近傍の領域A1と領域B1、領域A2と領域B2を通過した射出光の出射角度は、反対向きになる。これにより、基板に形成された縦辺411yと縦辺421yのパターン像は、フォーカス位置よりもZ軸方向(重力方向とは反対方向)が上の位置で縦辺411yと縦辺421yの投影像が形成されたとき(プラスデフォーカスと呼ぶ)は、縦辺411yと縦辺421yの投影像が近づき、フォーカス位置よりもZ軸方向が下の位置で縦辺411yと縦辺421yのパターンが形成されたとき(マイナスデフォーカスと呼ぶ)では、縦辺412yと縦辺421yの投影像が離れる。
また、縦辺412y近傍及び縦辺422y近傍から構成される構成2では、縦辺412y近傍と縦辺422y近傍のマークの配置が構成1とは異なる。それにより、基板に形成された縦辺412yと縦辺422yのパターン像は構成1とは反対の挙動を示す。すなわち、基板に形成された縦辺412yと縦辺422yの投影像は、プラスデフォーカスのときは、縦辺412yと縦辺422yの投影像が離れ、マイナスデフォーカスのときは、縦辺412yと縦辺422yの投影像が近づく。
以上で述べた原理を用いて、外四角形41及び内四角形42の投影像40Pを得る。投影像40Pの対角線L上において、中心41Cに対する中心42Cの位置ずれ量を「シフト量」と定義する。シフト量が「正」の時は、プラスデフォーカスを指し、シフト量「負」の時は、マイナスデフォーカスを指す。図3(c)には、計測マーク40の投影像40Pのデフォーカス量とシフト量の関係を示す。実線は線形近似の直線を示し、点線はシミュレーションの値を示す。これより、計測マーク40の投影像40Pにおいて、デフォーカス量とシフト量は強い相関があり、広い範囲に亘って線形関係を示すことがわかる。このため、シフト量を測定し、そのシフト量からデフォーカス量の検出及びフォーカス調整が容易且つ正確に行える。具体的には、図3(a)に示されるように中心41Cと中心42Cとが一致している場合、シフト量は0(ゼロ)である。例えば、図3(b)のように中心41Cを基準にして中心42Cが右上方向にずれるときは、シフト量は「負」であり、マイナスデフォーカスであることが分かる。また、シフト量は、中心41C及び中心42C間の最短距離で算出してもよいし、最短距離を基板の二次元方向(X方向、Y方向)の2成分(X成分、Y成分)に分解してもよい。
また、例えば、図17(a)に示すように、計測マークは、略十字形パターンの計測マーク80としてもよい。計測マーク80は、外十字(第1マーク)81を構成する4つの略L字部分と、外十字81と同心の内十字(第2マーク)82を構成する4つの略L字部分とからなる。外十字81と、内十字82の近傍には、共に、遮光膜30を横切るX方向に沿って、領域A1、領域B1、領域C、領域A2及び領域B2がこの順に隣接して配置されている。例えば、X方向は、計測マーク80の直線部分に直交する方向であってよい。図17(b)及び(c)に示すように、外十字81と、内十字82の投影光学系を介した投影像81P,82Pは、デフォーカス量に応じて、投影面内の同一直線L80上において互いに反対方向に位置ずれを生じる。ここで、計測マーク80の投影像80Pにおいて、中心81Cに対する中心82Cの位置ずれ量を「シフト量」と定義する。投影像80Pにおいても、デフォーカス量とシフト量は線形関係を示す。このため、シフト量を測定し、そのシフト量からデフォーカス量の検出及びフォーカス調整が可能である。
また、計測マーク40は、図1のようなボックスインボックス構造だけではなくてもよい。例えば、外側の構造が四角形(角がつながっていなくてもよい)であり、内側の構造が十字でもよい。これは、図3では、外側の四角形の中心41Cの位置を基準とし、内側の四角形の中心42Cの位置を基準として、2つの基準位置間の距離を計測してシフト量を算出している。これと同様に外側の図形で基準となる位置と内側の図形で基準となる位置をそれぞれ定め、2つの基準位置間の距離を計測することによってシフト量を算出することができる。そのため、外側・内側の計測マーク40の形状は、適宜設計され得る。
[デフォーカス量検出方法、及びフォーカス調整方法]
計測マーク40を有する位相シフトマスク100を用いた、投影露光装置におけるデフォーカス量の検出方法及びフォーカス調整方法について、図4に示すフローチャートに従って説明する。
まず、デフォーカス量検出及びフォーカス調整を行う、図5に示す露光装置500について説明する。露光装置500は、光源LSと、照明光学系502と、投影光学系504と、投影光学系コントローラ508と、位相シフトマスク100を保持するマスクステージ503と、マスクステージ駆動機構507と、露光対象物である感光性基板515を保持する基板ステージ505と、基板ステージ駆動機構506とを備える。更に、露光装置500は、マスクステージ駆動機構507、投影光学系コントローラ508及び基板ステージ駆動機構506を含む露光装置500全体を制御する主コントローラ509を備える。投影光学系コントローラ508は、投影光学系504を構成する各レンズエレメントに対応する駆動素子を制御し、各レンズエレメントの位置及び角度を調整可能である。マスクステージ駆動機構507は、マスクステージ503を水平面内及び投影光学系504の光軸方向に移動可能である。基板ステージ駆動機構506は、基板ステージ505を水平面内及び光軸方向に移動可能である。
マスクステージ駆動機構507及び基板ステージ駆動機構506は、それぞれ、マスクステージ503及び基板ステージ505の傾きの調整も可能である。マスクステージ駆動機構507及び/又は基板ステージ駆動機構506により、位相シフトマスク100と感光性基板515との光軸方向の間隔の微調整、即ち、フォーカス調整が可能である。また、投影光学系コントローラ508は、投影光学系504を構成するレンズの少なくとも1つの位置及び/又は傾きを微調整することで、フォーカス調整が可能である。このように、マスクステージ駆動機構507、投影光学系コントローラ508及び基板ステージ駆動機構506は、露光装置500におけるフォーカス調整機構である。フォーカス調整機構は、主コントローラ509により制御される。
露光装置500におけるデフォーカス量の検出方法(図4のステップS1~S3)について説明する。まず、図5に示す露光装置500において、マスクステージ503に位相シフトマスク100を配置する。また、基板ステージ505にフォトレジストが塗布された感光性基板515を配置する。
次に、位相シフトマスク100の計測マーク40を感光性基板515に投影し、露光する(図4のステップS1)。まず、露光装置500の光源LSから露光光を出射する。照明光としては、例えば、深紫外線(DUV、302nm、313nm、334nm)、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)等の光が用いられる。出射した露光光は、照明光学系502に入射して所定光束に調整され、マスクステージ503に保持された位相シフトマスク100に照射される。位相シフトマスク100を通過した光は位相シフトマスク100に描かれた計測マーク40のパターンを有しており、このパターンが投影光学系504を介して基板ステージ505に保持された感光性基板515の表面(投影面)の所定位置に照射される。これにより、位相シフトマスク100の計測マーク40が、感光性基板515に所定倍率で結像露光される。
次に、感光性基板515に露光された計測マーク40の投影像40Pにおいて、中心41Cに対する中心42Cの位置ずれ量(シフト量)を測定する(図3(b)参照)(図4のステップS2)。シフト量は、例えば、計測マーク40の投影像40Pを光学顕微鏡で観察して計測できる。
次に、測定したシフト量からデフォーカス量を算出する(図4のステップS3)。上述のように、デフォーカス量とシフト量とは線形関係を示すため(図3(c)参照)、測定したシフト量から容易且つ正確にデフォーカス量を算出できる。尚、図3(c)に示すようなデフォーカス量とシフト量との関係性については、例えば、以上説明したデフォーカス量の検出(図4のステップS1~S3)に先立って、シミュレーション、実験等を行い、データを得ていてもよい。
次に、露光装置500におけるフォーカス調整方法(図4のステップS1~S4)について説明する。まず、上述した方法により、デフォーカス量を検出する(図4のステップS1~S3)。次に、検出したデフォーカス量に基づき、露光装置500のフォーカス調整機構(506,507,508)により、デフォーカス量を正す(キャンセルする)ようにフォーカス調整を行う(図4のステップS4)。具体的には、例えば、マスクステージ駆動機構507及び/又は基板ステージ駆動機構506により、マスクステージ503及び/又は基板ステージ505の傾き及び光軸方向の位置の微調整を行い、位相シフトマスク100と感光性基板515との光軸方向の間隔の微調整を行って、フォーカスを調整してもよい。これに加えて、又はこれに代えて、投影光学系コントローラ508により、投影光学系504を構成するレンズの少なくとも1つの位置及び/又は傾きを微調整することで、フォーカス調整をおこなってもよい。
以上説明したデフォーカス量の検出、フォーカス調整は、例えば、半導体や液晶パネル等のデバイス製造において、露光装置を用いたフォトリソグラフィ工程に先立って実施してよい。即ち、上述したフォーカス調整方法により調整した投影光学系を用いて露光を行い、デバイスを製造してよい。フォーカスを調整した投影光学系を用いることで、露光工程における回路パターン不良を低減でき、デバイスを効率よく製造できる。
[変形例]
上記実施形態では、1つの計測マーク40を用いたデフォーカス量検出方法、及びフォーカス調整について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、本実施形態の位相シフトマスク100は、計測マーク40が1つのみ設けられていてもよいし、計測マーク40が複数設けられていてもよい。また、感光性基板515には、1つの計測マーク40のみを露光してもよいし、複数の計測マーク40を露光してもよい。
また、上記実施形態では、投影光学系を1個のみ搭載する図5に示す投影露光装置500を用いたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、特開2018-54847号公報に開示されるような複数の投影光学系を搭載する投影露光装置、所謂、マルチレンズ方式の露光装置においても、位相シフトマスク100を用いて、デフォーカス量の検出及びフォーカス調整を同様に行うことができる。この場合には、以下に説明するように、複数の計測マークを用いて、それぞれの投影光学系のデフォーカス量の検出及びフォーカス調整を同時に行うことができる。なお、マルチレンズ方式露光装置は、大面積の露光に適しており、例えば、液晶/有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造において、薄膜トランジスタ(TFT)回路パターンの露光に使用される。
本変形例では、図6(a)に示す複数の計測マーク40が設けられた位相シフトマスク200を用いた、マルチレンズ方式露光装置におけるデフォーカス量の検出方法及びフォーカス調整方法の一例について説明する。本変形例で用いるマルチレンズ方式露光装置は、3個の投影光学系PL1~PL3を有する。また、本変形例で用いるマルチレンズ方式露光装置は、スキャニング・ステッパ(スキャナ)である。即ち、位相シフトマスク200と感光性基板とを投影光学系PL1~PL3に対して同一方向(X方向)に同一速度で駆動することで、位相シフトマスク200に形成された計測マーク40を感光性基板上に露光する。その他の基本的な構造は、図5に示す露光装置500と同様である。
デフォーカス量の検出方法(図4のステップS1~S3)の一例について説明する。まず、マルチレンズ方式露光装置に、図6(a)に示す位相シフトマスク200を配置する。位相シフトマスク200は、基材10の基材表面10aに複数の計測マーク40が設けられている。それ以外の構造は、図1に示す位相シフトマスク100と同様である。位相シフトマスク200の基材表面10aには、X方向に並んだ複数の計測マーク40で構成される3つの列M1,M2,M3が、X方向に直交するY方向に並んでいる。また、マルチレンズ方式露光装置には、感光性基板215もセットする。
次に、位相シフトマスク200の計測マーク40を感光性基板215に投影し、露光する(図4のステップS1)。まず、マルチレンズ方式露光装置の制御装置の指示に従い、マスクステージ及び基板ステージをX方向に同期駆動し、感光性基板215上の1つめのショット領域215A及び2つめのショット領域215Bへの走査露光を行う。これにより、図6(b)に示す、3つの計測マーク像の列M1P,M2P,M3Pが基板215上に形成される。列M1P,M2P,M3Pは、X方向に並ぶ複数の計測マーク40の像40Pから構成される。1つめのショット領域215A及び2つめのショット領域215Bに対する走査露光が終了すると、制御装置は、基板ステージ505を3つめのショット領域215C及び4つめのショット領域215Dに対応する位置へ移動(ステッピング)する。そして、3つめのショット領域215C及び4つめのショット領域215Dに対する走査露光を行う。これにより、更に3つの計測マーク像の列M11P,M12P,M13Pが基板215上に形成される。こうして、感光性基板215を、複数の計測マーク40の投影像41Pで露光する。尚、計測マーク像の列M1P,M11Pは投影光学系PL1により形成され、計測マーク像の列M2P,M12Pは投影光学系PL2により形成され、計測マーク像の列M3P,M13Pは投影光学系PL3により形成される。
次に、感光性基板215に露光された計測マーク40の投影像40Pのシフト量を検出し(図4のステップS2)、検出したシフト量に基づいてデフォーカス量を算出する(図4のステップS3)。本変形例では、感光性基板215に形成した複数のマーク40の投影像ごとにデフォーカス量が検出できる。図6(c)に、3つの計測マーク像の列M1P,M2P,M3Pについて、グラフの中心を感光性基板215のX軸の中心とY軸の中心の交点とし、感光性基板215上における投影像40Pの位置(X方向における位置)と、その位置におけるデフォーカス量(Z方向)との関係を示す。このように、本変形例では、感光性基板215全面に亘るデフォーカス量を同時に検出できる。尚、位相シフトマスク200は、1つ以上の計測マーク40とデバイスを製造するためのパターンを有していてもよい。
次に、フォーカス調整方法(図4のステップS1~S4)の一例について説明する。まず、上述した方法により、マルチレンズ方式露光装置おけるデフォーカス量を感光性基板215の全面に亘って検出する(図4のステップS1~S3)。次に、検出したデフォーカス量に基づき、各投影光学系のフォーカス調整を行う(図4のステップS4)。フォーカス調整は、投影露光装置500と同様に、検出したデフォーカス量に基づき、各投影光学系のフォーカス調整機構により独立してデフォーカス量を正す(キャンセルする)ようにフォーカス調整を行う(図4のステップS4)。
本変形例では、感光性基板215の全面に亘るデフォーカス量を同時に検出できるため、フォーカス調整を効率的に行うことができる。図6(d)に、フォーカス調整後に、再度、同様のデフォーカス量の検出(図4のステップS1~S3)を行った検出結果を示す。図6(c)及び(d)から、感光性基板215表面の広い範囲に亘って、フォーカスが最適化されていることがわかる。
本変形例のデフォーカス量の検出方法、及びフォーカス調整方法によれば、感光性基板215表面の広い範囲に亘って、効率よくデフォーカス量の検出及びフォーカス調整が可能である。したがって、大面積の露光が行われるFPDの製造において、本変形例のデフォーカス量の検出方法、及びフォーカス調整方法は好適に用いられる。FPDの製造において、TFT回路パターンの露光にデフォーカスが生じると、TFT回路パターンの電気特性を左右する線幅誤差を発生させ、完成品であるディスプレイの品質を悪化させる虞がある。本変形例のデフォーカス量の検出方法、及びフォーカス調整方法は、感光性基板全体に亘るフォーカスを容易かつ正確に最適化できるため、このような完成品(ディスプレイ)の品質悪化を抑制できる。
また、計測マーク40と共に解像力チャート45を設けることもできる。解像力チャート45を設けることで、投影露光装置で露光できる線幅を確認することができる。解像力チャート45は、1つの線幅だけ有していてもよいし、2以上の異なる線幅を有していてもよい。また、解像力チャートは、図6の計測マーク40と同様に基板全体に配置されてもよい。これにより、投影露光装置が基板全体の各位置における露光可能な線幅を確認することができる。
尚、上記実施形態及び変形例では、計測マーク40が形成されたデフォーカス検査用の位相シフトマスク100を例に挙げて説明したが、マスクには感光性基板を露光するための回路パターン(デバイスパターン)やアライメントに必要なアライメントマークなどの他のパターンが形成されていてもよい。この場合、位相シフト膜20は、検出マーク及びデバイスパターンの両方を形成してよい。また、位相シフト膜20は、検出マーク40を有さず、デバイスパターンを有する位相シフトマスクに用いることもできる。この場合、位相シフト膜20は、デバイスパターンを形成してよい。
以下に、実施例及び比較例により、位相シフトマスク(検出素子)、デフォーカス量検出方法、及びフォーカス調整方法について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されない。
位相シフト膜の形成
[位相シフト膜PS1]
位相シフト膜PS1は、反応性スパッタリングにより形成した。まず、基材10として石英ガラスの円形の平行平板を用意した(サイズ:直径3インチ、厚さ0.5ミリ)。DCマグネトロンスパッタ装置を使用し、スパッタリングターゲットとしてZrSi合金ターゲットを用い、Ar-N2混合ガスを導入しながら、容量結合型マグネトロン直流プラズマ方式の反応性スパッタリングを行い、厚さ100nmの位相シフト膜PS1を形成した。ZrSi合金ターゲットの組成(原子比)は、Zr:Si=1:2とした。成膜条件は、混合ガス全圧0.3Pa、Ar流量47.5sccm、N2流量2.5sccm、DC出力1.5kwとした。
[位相シフト膜PS2~PS5]
Ar-N2混合ガスのAr流量とN2流量との比率を図7のように変更したこと以外は、位相シフト膜PS1と同様の方法で、基材10上に位相シフト膜PS2~PS5を形成した。
[位相シフト膜PS11]
Ar-N2混合ガスに代えて、Ar-N2-O2混合ガスを用いたこと以外は、位相シフト膜PS1と同様の方法で、基材10の上に位相シフト膜PS11を形成した。成膜条件は、混合ガス全圧0.3Pa、Ar流量30sccm、N2流量19sccm、O2流量1sccm、DC出力1.5kwとした。
[位相シフト膜PS12~PS14]
混合ガスのAr流量、N2流量、O2流量の比率を図7のように変更したこと以外は、位相シフト膜PS11と同様の方法で基材10の上に位相シフト膜PS12~PS14を形成した。
位相シフト膜の物性評価
(1)組成分析
位相シフト膜PS1~PS5及びPS11~PS14に関して、X線光電子分光法(XPS)により組成分析を行った。結果を図7に示す。XPSは、Ar+イオンスパッタリングにより、各位相シフト膜の表面を約10nm掘った後に測定した。
(2)屈折率、減衰係数、膜厚及び素子透過率のシミュレーション
位相シフト膜PS1~PS5及びPS11~PS14に関して、エリプソメトリ法により、6種の波長(DUV(波長302nm、313nm、334nm)、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm))における屈折率及び減衰係数を測定した。屈折率の測定結果から、6種類の波長それぞれにおいて、90度の位相シフトを与える位相シフト膜PS1~PS5及びPS11~PS14の膜厚を算出した。更に、算出した膜厚の位相シフト膜PS1~PS5及びPS11~PS14が形成された素子(基材及び位相シフト膜)の透過率(素子透過率)をシミュレーションにより算出した。シミュレーションはシミュレーションソフト「TFCalc」を用いて行い、エリプソメトリ法で得られた6種類の各波長における屈折率と消衰係数の測定結果から、各波長それぞれにおいて90°の位相シフトを与える膜厚を用いて該膜厚における位相シフト膜PS1~PS5及びPS11~PS14の透過率を算出した。ここで、透過率は反射も考慮した外部透過率(素子透過率)のことである。測定した屈折率及び減衰係数、並びに算出した膜厚及び素子透過率を図8~13に示す。
位相シフトマスクブランクス150の作製
図1に示す位相シフトマスク100上に設けられるボックスインボックスのパターンの計測マーク40をシミュレーションするために、2種類の位相シフトマスクブランクス150a及び150bを作製し、位相シフト膜20の物性値を得た。位相シフトマスクブランクス150aには、上述した位相シフト膜PS4を用いた。位相シフトマスクブランクス150bには、上述した位相シフト膜PS13を用いた。
<位相シフトマスクブランクス150aの作製>
まず、基材10として石英ガラスの正方形の平行平板を用意した(サイズ:一辺6インチ、厚さ0.25インチ)。基材10の上に、位相シフト膜20として、図7に示す組成を有する位相シフト膜PS4を上述した反応性スパッタリングにより形成した。位相シフト膜PS4の膜厚は、図11に示す波長365nmの光に対して位相シフト量が90°を示す膜厚51.6nmとした(図14(a))。
<位相シフトマスクブランクス150bの作製>
基材10の上に、位相シフト膜PS4に代えて位相シフト膜PS13を形成したこと以外は、位相マスクブランクス150aと同様の方法により、位相シフトマスク150bを作製した。膜厚は、図11に示す波長365nmの光に対して位相シフト量が90°を示す膜厚120.7nmとした。
<位相シフトマスク100A及び100Bの設計>
作製した位相シフトマスクブランクス150a及び150bに、図1に示すボックスインボックスのパターンの計測マーク40を設けた位相シフトマスク100A及び100Bを設計した。位相シフトマスク100A及び100Bに形成する計測マーク40のサイズ(設計値)は下記の通りである。
外四角形41のX方向の幅及びY方向の幅:X:90μm、Y:90μm
内四角形42のX方向の幅及びY方向の幅:X:46μm、Y:46μm
横辺411x,412x,421x,422x及び縦辺411y,412y,421y,422yの幅(Wc):8μm
領域A1の幅(Wa1):16μm
領域A2の幅(Wa2):1μm
領域B1の幅(Wb1):1μm
外四角形41と内四角形42との間に存在する領域B2の幅(Wb2):16μm
尚、ここで、外四角形41のX方向の幅とは、X方向における外四角形41の一方の端部から他方の端部までの長さであり、Y方向の幅とは、Y方向における外四角形41の一方の端部から他方の端部までの長さである。同様に、内四角形42のX方向の幅とは、X方向における内四角形42の一方の端部から他方の端部までの長さであり、Y方向の幅とは、Y方向における内四角形42の一方の端部から他方の端部までの長さである。
<シフト量とデフォーカス量との関係に関するシミュレーション>
作製した位相シフトマスクブランクス150aから計測した屈折率、減衰係数、膜厚及び素子透過率と、計測マークの設計値を用いて、位相シフトマスク100Aを投影露光装置に配置し、波長365nmの光で投影光学系を介して投影した投影像40P(図3(a)及び(b)参照)に関して、シフト量とデフォーカス量との関係をシミュレーションした。結果を図16に示す。同様に、位相シフトマスク100Bに関してもシフト量とデフォーカス量との関係をシミュレーションした。結果を併せて図16に示す。
図16に示すように、位相シフトマスク100A及び100Bの計測マーク40において、シフト量とデフォーカス量とは、広い範囲に亘り線形関係を示す。シフト量とデフォーカス量とが線形関係を示す領域においては、例えば、計測マーク40のシフト量を光学顕微鏡で測定し、それに基づき容易且つ正確にデフォーカス量を算出できる。そして、このデフォーカス量を正す(キャンセルする)ように、投影露光装置においてフォーカス調整を容易に行うことができる。このように、位相シフトマスク100A及び100Bは、投影光学系を透過する光のデフォーカス量を検出するための検出素子として機能する。
図16において、位相シフトマスク100A,100Bのシミュレーション結果を比較する。位相シフト膜PS4を採用した位相シフトマスク100Aと比較して、位相シフト膜PS13を採用した位相シフトマスク100Bは、より広い範囲においてシフト量とデフォーカス量が線形関係を示す。このため、シフトマスク100Bの方がより大きいデフォーカス量まで検出できる。位相シフトマスク100Aが-30μm~+15μmの範囲のデフォーカス量を検出できるのに対し、位相シフトマスク100Bは、より広い-30μm~+25μmの範囲のデフォーカス量を検出できる。この原因として図11に示すように、365nmの光に対する、位相シフトマスク100Aに採用した位相シフト膜PS4の素子透過率(56.94%)よりも、位相シフトマスク100Bに採用した位相シフト膜PS13の素子透過率(94.08%)の方が高いことが一因だと推測される。素子透過率は、位相シフトマスク100A,100Bの領域A1及びA2における透過率に相当する。位相シフト膜PS4の素子透過率(56.94%)と比較して位相シフト膜PS13の素子透過率(94.08%)の方が高い原因は、位相シフト膜PS4よりも位相シフト膜PS13の方が、ジルコニウム(Zr)に対する酸素(O)の原子比(O/Zr)が高いためである。原子比(O/Zr)が高くなると、膜材料のバンドギャップが大きくなり、減衰係数が減少する。これにより、透過率が高くなる。
図7に示すように、位相シフト膜PS1~PS5は、成膜時に酸素ガスを導入しない。このため、位相シフト膜PS1~PS5において、ジルコニウム(Zr)に対する酸素(O)の原子比(O/Zr)は、0.1未満である。位相シフト膜PS1~PS5に含まれる酸素は、積極的に導入したものではなく、酸化により空気中の酸素が取り込まれたものである。一方で、位相シフト膜PS11~14は、成膜時に積極的に酸素ガスを導入する。このため、位相シフト膜PS11~PS14において、ジルコニウム(Zr)に対する酸素(O)の原子比(O/Zr)は、0.1以上である。
図11に示す、位相シフト膜PS1~PS5及びPS11~PS14の365nmの光(i線)における物性を比較する。原子比(O/Zr)が0.1以上である位相シフト膜PS11~PS14は、原子比(O/Zr)が0.1未満である位相シフト膜PS1~PS5と比較して素子透過率が高い。原子比(O/Zr)が0.1以上である位相シフト膜PS11~PS14は、365nmの光(i線)に対して十分に高い透過率を示す。この結果から、原子比(O/Zr)が0.1以上である位相シフト膜PS11~PS14を用いた位相シフトマスク100は、365nmの光(i線)を用いた場合の投影光学系のデフォーカス量の検出素子として優れると推測される。尚、位相シフト膜PS11~PS14においては、原子比(Si/Zr)は0.8~1.2、原子比(N/Zr)は0.04~2.3、原子比(O/Zr)は0.1~3.4であった。
また、原子比(O/Zr)が0.1未満である位相シフト膜PS1~PS5においても、例えば、原子比(Si/Zr)が1.00~1.20であり、原子比(N/Zr)が2.1~2.6である位相シフト膜PS3~PS5は、原子比(Si/Zr)及び原子比(N/Zr)が上記範囲外である位相シフト膜PS1及びPS2と比較して素子透過率が高い。この結果から、原子比(Si/Zr)が1.00~1.20、原子比(N/Zr)が2.1~2.6である位相シフト膜PS3~PS5を用いた位相シフトマスク100は、365nmの光(i線)を用いた場合の投影光学系のデフォーカス量の検出素子として十分に使用可能だと推測される。
図8~10及び図12~13に示す、365nm以外の波長の光に対しても、位相シフト膜PS1~PS5及びPS11~PS14は、図11に示す365nmの光に対する素子透過率と同様の傾向を示す。したがって、位相シフト膜PS3~PS5及びPS11~PS14は、波長302nm(DUV、図8)、313nm(DUV、図9)、334nm(DUV、図10)、405nm(h線、図12)及び436nm(g線、図13)の光を用いた場合の投影光学系のデフォーカス量の検出素子に十分に使用可能だと推測される。
尚、本実施例で用いた位相シフト膜PS3~PS5及び位相シフト膜PS11~PS14は、検出マークとデバイスパターンの両方を有する位相シフトマスクに用いることができ、この場合、検出マーク及びデバイスパターンの両方を形成してよい。また、位相シフト膜PS3~PS5及び位相シフト膜PS11~PS14は、検出マークを有さず、デバイスパターンを有する位相シフトマスクにも用いることができ、この場合、デバイスパターンを形成してよい。
本実施形態の位相シフトマスク100は、投影光学系のデフォーカス量の検出素子として利用可能である。本実施形態の位相シフトマスク100は、露光装置に留まらず、光学計測機、レーザ加工機の等のデフォーカス量の検出素子としても利用可能である。
10 基材
20 位相シフト膜
30 遮光膜
40 計測マーク
100,200 位相シフトマスク
500 露光装置
LS 光源
502 照明光学系
504 投影光学系
508 投影光学系コントローラ
503 マスクステージ
507 マスクステージ駆動機構
505 基板ステージ
506 基板ステージ駆動機構
509 主コントローラ
A1 基材表面の領域(第1領域)
A2 基材表面の領域(第4領域)
B1 基材表面の領域(第2領域)
B2 基材表面の領域(第5領域)
C 基材表面の領域(第3領域)

Claims (26)

  1. 基材と、
    第1半透過層及び第2半透過層と、
    遮光層とを有し、
    前記基材の表面には、前記表面に平行な配列方向に沿って、
    第1半透過層が配置されている第1領域と、
    前記基材表面が露出している第2領域と、
    前記遮光層が配置されている第3領域と、
    第2半透過層が配置されている第4領域と、
    前記基材表面が露出している第5領域とが、隣接して設けられているパターンを有する計測マークが形成されており、
    前記計測マークに所定波長の光を照射したとき、第1領域及び第4領域を透過した第1光と、第2領域及び第5領域を透過した第2光との位相差が90°±50°であり、
    前記第1半透過層及び前記第2半透過層は、ジルコニウム(Zr)及びケイ素(Si)を含み、
    前記第1半透過層及び前記第2半透過層の波長250nm~440nmの光に対する透過率が40%以上である、検出素子。
  2. 前記計測マークは、第1の前記配列方向に沿って、第1の前記パターンと、第2の前記パターンと、第3の前記パターンと、第4の前記パターンの順で配置される、第1部分を有し、
    前記第1の前記パターンと前記第4の前記パターンにおいて、第1の前記配列方向の一方側から他方側に向かって、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、及び第5領域がこの順に配置され、
    前記第2の前記パターンと前記第3の前記パターンにおいて、第1の前記配列方向の他方側から一方側に向かって、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、及び第5領域がこの順に配置されている、請求項1に記載の検出素子。
  3. 前記計測マークは、第1の前記配列方向とは異なる第2の前記配列方向に沿って、第5の前記パターンと第6の前記パターンと、第7の前記パターンと、第8の前記パターンの順で配置される、第2部分を有し、
    前記第5の前記パターンと前記第8の前記パターンにおいて、第2の前記配列方向の一方側から他方側に向かって、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、及び第5領域がこの順に配置され、
    前記第6の前記パターンと前記第7の前記パターンにおいて、第2の前記配列方向の他方側から一方側に向かって、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域、及び第5領域がこの順に配置されている、請求項2に記載の検出素子。
  4. 前記計測マークは、前記第1部分と前記第2部分を有する、請求項3に記載の検出素子。
  5. 前記第2領域の幅及び前記第4領域の幅は、前記配列方向において前記第3領域の幅より小さい、請求項1に記載の検出素子。
  6. 前記計測マークは前記パターンで形成された第1マークと、前記パターンで形成された第2マークとを有し、
    前記第1マークは、前記第2マークよりも大きい、請求項1に記載の検出素子。
  7. 前記第1マーク又は前記第2マークは、略四角形である、請求項6に記載の検出素子。
  8. 前記第1マーク又は前記第2マークは、略十字形である、請求項6に記載の検出素子。
  9. 前記第1光と前記第2光との位相差は、90°±20°である、請求項1に記載の検出素子。
  10. 前記第1光と前記第2光との位相差は、90°±5°である、請求項9に記載の検出素子。
  11. 前記第1半透過層及び前記第2半透過層は、ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)及び窒素(N)を含む、請求項1に記載の検出素子。
  12. 前記第1半透過層及び前記第2半透過層は、更に酸素(O)を含む、請求項11に記載の検出素子。
  13. 前記第1半透過層及び前記第2半透過層において、前記ジルコニウムに対する前記酸素の原子比(O/Zr)が0.1以上である請求項12に記載の検出素子。
  14. 前記第1半透過層及び前記第2半透過層において、
    前記ジルコニウムに対する前記ケイ素の原子比(Si/Zr)が0.8~1.2であり、
    前記ジルコニウムに対する前記窒素の原子比(N/Zr)が0.04~2.3であり、
    前記ジルコニウムに対する前記酸素の原子比(O/Zr)が0.1~3.4である請求項13に記載の検出素子。
  15. 前記第1半透過層及び前記第2半透過層において、
    前記ジルコニウムに対する前記ケイ素の原子比(Si/Zr)が1.00~1.20であり、
    前記ジルコニウムに対する前記窒素の原子比(N/Zr)が2.1~2.6である請求項11に記載の検出素子。
  16. 前記第1半透過層及び前記第2半透過層において、
    前記ジルコニウムに対する酸素の原子比(O/Zr)が0.1未満である、請求項15に記載の検出素子。
  17. 前記第1半透過層及び前記第2半透過層の波長365nmの光における屈折率が1.7~3.0である請求項1に記載の検出素子。
  18. 前記第1半透過層及び第2半透過層の波長365nmの光における減衰係数が0.2以下である請求項1に記載の検出素子。
  19. 請求項1に記載の検出素子を備えた、位相シフトマスク。
  20. 前記位相シフトマスクは、解像力チャートを有する、請求項19に記載の位相シフトマスク。
  21. 前記計測マークを複数有する、請求項19に記載の位相シフトマスク。
  22. 前記第2半透過層が、前記基材の表面の第3領域及び第4領域に亘って、連続して形成されており、
    第3領域には、前記第2半透過層の上に、前記遮光層が積層されて配置されている請求項19に記載の位相シフトマスク。
  23. 請求項19に記載の位相シフトマスクを用いて投影光学系のデフォーカス量を検出する方法であって、
    前記位相シフトマスクに所定波長の光を照射して前記投影光学系による前記計測マークの投影像を投影面上に形成することと、
    前記計測マークの投影像の前記投影面における所定位置からの位置ずれ量を計測することと、
    前記計測した前記位置ずれ量から前記デフォーカス量を算出することを含むデフォーカス量の検出方法。
  24. 前記投影面に感光性基板を設置し、前記計測マークのパターンで前記感光性基板を露光する請求項23に記載のデフォーカス量の検出方法。
  25. 請求項23に記載のデフォーカス量の検出方法により、前記投影光学系のデフォーカス量を検出することと、
    検出したデフォーカス量に基づいて、前記投影光学系のフォーカスを調整することを含む投影光学系のフォーカス調整方法。
  26. 請求項25に記載の前記フォーカス調整方法により調整した前記投影光学系を用いて所定パターンで感光性基板を露光することを含むデバイスの製造方法。
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