JP7745856B2 - 海藻を原料とする生分解性プラスチックの製造方法 - Google Patents

海藻を原料とする生分解性プラスチックの製造方法

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NPMD NITE P-03085
本発明は、海藻を含む培地でアルギン酸資化能およびポリヒドロキシアルカン酸(PHA)合成能を有する微生物を培養する工程(a)を含む、海藻を原料とするPHAの製造方法に関する。
生分解性プラスチックとは、微生物に接触しない条件では普通のプラスチックの場合と同様の性質・機能を有するが、自然環境またはコンポスト化装置においておくことで、微生物に資化され、最終的には二酸化炭素と水に分解される特性を有する、高分子材料である。生分解性プラスチックには、原料として化石資源を利用する生分解性石油由来プラスチックと、バイオマスを原料とする生分解性バイオプラスチックの2種類が存在する。二酸化炭素発生量の増加と地球温暖化が問題とされるなか、バイオプラスチックのようにバイオマスを原料とし、最終的には水と二酸化炭素に分解されて、環境に蓄積しない素材が求められている。
日本バイオプラスチック協会は、バイオマスプラ識別表示基準に適合する製品の条件として、バイオプラスチック度が25質量%以上の製品であることを挙げている。バイオプラスチック度が高い製品のほうが、環境への負荷が少ないといえる。100%バイオマス原料由来のバイオプラスチックとしては、ポリ乳酸やポリヒドロキシアルカン酸(PHA)などがある。
PHAは、微生物が合成する脂肪族ポリエステルであり、炭素源およびエネルギー化合物として生理的な役割を持っており、窒素やリン源などが不足した栄養枯渇条件下で炭素源が存在する時に、細胞内に蓄積される。最も研究が進んでいるPHAの1つであるポリヒドロキシブタン酸(P(3HB))は、1925年にLemoigne博士によって、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)から見いだされており、その後、水素細菌やラン藻類など300種類以上の細菌による合成が報告されている。このP(3HB)は、もろい性質(破壊伸び5%)であるため、融点や引張強度などが類似しているポリプロピレンと比べて商業的には劣る材料と考えられていた。しかし、1974年にWallenとRohwedderによって、3-ヒドロキシブタン酸ユニット(3HB)とは異なるヒドロキシアルカン酸(HA)ユニットが見だされて以降、様々なHAが報告され、現在は約150種類以上のモノマーユニットが報告されている。また、PHAの物性について3HB以外のモノマーユニットが組み込まれ、共重合体となることで物性が改善されることが様々な研究で示されている(非特許文献1~6)。
これまでに、さまざまな有機物を炭素源としたPHAの微生物生合成について報告されている。例えば、特許文献1は、リグニン誘導体および/またはそのポリヒドロキシアルカン酸生合成中間代謝物に資化性を有する、カプリアビダス(Cupriavidus)属、ラルストニア(Ralstonia)属またはアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物を、リグニン誘導体およびそのポリヒドロキシアルカン酸生合成中間代謝物からなる群から選択される少なくとも1つの物質を炭素源として含有する培地にて培養し、該微生物菌体からポリヒドロキシアルカン酸を回収することを含む、微生物によるポリヒドロキシアルカン酸の生産方法を開示する。特許文献2は、(i)糖類の存在下に、微生物に、ポリヒドロキシアルカン酸重合酵素変異遺伝子およびクロストリジウム(Clostridium)属微生物由来のロイシン代謝遺伝子が導入された形質転換体を培養し、(ii)得られた培養物から、3-ヒドロキシブタン酸と3-ヒドロキシ-4-メチル吉草酸とをモノマー単位として含むポリヒドロキシアルカン酸共重合体を採取することを特徴とする、ポリヒドロキシアルカン酸共重合体の製造法であって、糖類が単糖(グルコース)である方法を開示する。
特許文献3は、少なくとも3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシへキサン酸を含むモノマーユニットを重合して得られるポリヒドロキシアルカン酸の微生物による生産方法であって、構成脂肪酸としてラウリン酸を41重量%以上含有する油脂、および/または脂肪酸を炭素源とし、かつ培養開始時からのポリヒドロキシアルカン酸の平均時間生産性が1.5g/L/h以上になるよう、酸素移動速度を調整して微生物を培養することを特徴とするポリヒドロキシアルカン酸の微生物による生産方法を開示する。これらの他にも、炭素源を糖(グルコース、フルクトース、スクロース)、油脂または脂肪酸とする微生物によるポリヒドロキシアルカン酸またはポリヒドロキシアルカン酸共重合体の製造方法(特許文献4~7)、炭素源が、炭素数4のカルボン酸および/または炭素数4のアルコールおよびそれらの誘導体を含むことを特徴とする、微生物によるポリヒドロキシアルカン酸の発酵生産方法(特許文献8)、1-ヘキセンを単一炭素源として含む培地中でポリエステルを生産する能力を有する微生物を培養することを特徴とする、微生物ポリエステルの製造方法(特許文献9)、および酢酸またはその塩を単一炭素源として含む培地中で、酢酸またはその塩を資化することにより増殖し、かつポリヒドロキシアルカン酸を生産・蓄積する能力を有する微生物を培養することを特徴とするポリヒドロキシアルカン酸の製造方法(特許文献10)等がある。
一方、トウモロコシやサトウキビなどの可食原料から抽出される糖やアルコールなどを用いたPHA生産は、食糧と競合し、価格の上昇をもたらしている。そのため、未利用バイオマスを利用するための研究が、地球環境に低負荷な技術として期待されている。近年、未利用バイオマスのひとつとして海藻が世界的に注目されている。日本では海藻の生産・加工の段階で大量の海藻が破棄されており、ワカメ加工においては収穫量の約60%が廃棄されている(非特許文献7)。これら海藻廃棄物は産業廃棄物として処理しなくてはならず、漁師や企業にとっては大きな負担であり、海藻廃棄物の不法投棄も問題となっている。そのため、地球環境に低負荷なバイオプラスチックの原料として海藻の利用が期待されている。
特開2015-077103号公報 特開2015-33号公報 特開2013-9627号公報 WO2012/102371 WO2009/147918 特開2009-225662号公報 特願2006-238032号公報 特開2009-225775号公報 特開2001-178487号公報 特開2001-178484号公報
松本謙一郎, 土肥義治, 生分解性ポリエステルのバイオ合成:現状と展望, 有機合成化学協会誌, Vol. 61, No. 5, pp. 489-495, 2003 K. Sudesh, T Iwata, Sustainability of Biobased and Biodegradable Plastics, Clean 2008, 36(5-6), 433-442 K. Sudesh, H. Abe, Y. Doi, Synthesis, structure and properties of polyhydroxyalkanoates: biological polyesters, Prog. Polym. Sci., 25(10), 1503-1555, (2000) 岩田忠久, 微生物産生ポリエステルの構造, 物質および生分解性, 日本結晶学会誌, 55, 188-196(2013) Wallen LL, Rohwedder WK, Poly-β-hydroxyalkanoate from activated sludge, Environ Sci Technol 8: 576-579 (1974) J. M. L. Dias, P. C. Lemos, L. S. Serafim, C. Oliveria, M. Eiroa, M. G. E. Albuquerque, A. M. Ramos, R. Oliveira, M. A M. Reis, Recent Advances in Polyhydroxyalkanoate Production by Mixed Aerobic Culture: From the Substrate to the Final Product, Macromol. Biosci., 6(11), 885-906 (2006) 藤井紳一郎, 伊永隆史, ワカメ加工業における物質フロー解析とゼロエミッション化技術, 環境科学会誌13(5), 586-592, (2000) N. Azizi, G. Najafpour, H. Younesi, Acid pretreatment and enzymatic saccharification of brown seaweed for polyhydroxybutyrate (PHB) production using Cupriavidus necator, International Journal of Biological Macromolecules 101 (2017) 1029-1040
従来、糖や植物油、アルコールなどを炭素源とするPHA生合成が報告されているが、炭素源が食糧と競合するため、海藻廃棄物など未利用バイオマスを原料とするバイオプラスチックの製造方法の開発が求められていた。従来技術において、酸および酵素で処理された海藻加水分解物を原料とする、微生物(Cupriavidus necator)によるPHA合成が報告されている(非特許文献8)。しかしながら、海藻、特に褐藻そのものを原料とするバイオプラスチックの製造に関しては知られていない。したがって、本発明は、海藻、特に褐藻そのものを原料とするPHAの製造方法を提供すること、および海藻を原料としてPHAを合成可能な新規微生物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、海藻を炭素源としてPHAを合成可能な微生物、およびこの微生物を用いたPHAの製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の[1]から[13]を提供する。
[1] 海藻を含む培地でアルギン酸資化能およびポリヒドロキシアルカン酸(PHA)合成能を有する微生物を培養する工程(a)を含む、海藻を原料とするPHAの製造方法。
[2] 上記微生物がコベティア属(Cobetia)細菌である、[1]に記載の製造方法。
[3] 上記海藻が褐藻類である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 上記褐藻類がコンブ目またはヒバマタ目に属する褐藻類である、請求項3に記載の製造方法。
[5] 培養工程(a)が、培養開始前のpHが3.0~9.0の範囲の培地で実施される、[1]~[4]のいずれか一に記載の製造方法。
[6] 上記微生物が、下記1)~3)から選択されるいずれかである、[1]~[5]のいずれか一に記載の製造方法。
1)受領番号NITE P-03085として寄託された微生物。
2)受託番号NITE P-02758またはNITE P-02759として寄託された微生物。
3)下記(a)または(b)の塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有する、微生物。
(a) 配列番号1から3のいずれかに記載の塩基配列。
(b) 配列番号1から3のいずれかに記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列。
[7] 上記微生物は、単離微生物、寄託微生物、遺伝子改変微生物である、[1]~[6]のいずれか一に記載の製造方法。
[8] 培養工程(a)で得られた培養物からPHAを抽出する工程(b)を更に含む、[1]~[7]のいずれか一に記載の製造方法。
[9] 上記PHAが、3-ヒドロキシブタン酸モノマー単位を含む、[1]~[8]のいずれか一に記載の製造方法。
[10] 上記PHAが、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸)である、[9]に記載の製造方法。
[11] [1]~[10]のいずれか一に記載の方法を実施してポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を得る工程、および
上記工程で得られたPHAを含むプラスチック製品を得る工程を含む、バイオプラスチック製品の製造方法。
[12] 受領番号NITE P-03085として寄託された微生物。
[13] 下記(a)または(b)の塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有する、コベティア属細菌。
(a) 配列番号1に記載の塩基配列。
(b) 配列番号1に記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列。
本発明によれば、海藻を炭素源としてバイオプラスチックを製造する方法を提供することができる。
図1は5-25-4-2株についてGC-MS法で得られた結果を示す。 図2は5-25-4-2株の1H-NMR分析結果を示す。 図3Aは5-25-4-2株の16S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号1)を示す。 図3Bは5-11-6-3株の16S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号2)を示す。 図3Cは5-28-6-1株の16S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号3)を示す。 図4はワカメを炭素源として5-11-6-3株から得られたポリマーの1H-NMR分析結果を示す。 図5はコンブを炭素源として5-25-4-2株から得られたポリマーの1H-NMR分析結果を示す。 図6はPHAの生合成経路を示す。
以下に記載する本発明の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<PHAの製造方法>
本発明の海藻を原料とするポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の製造方法は、海藻を含む培地でアルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を培養する工程(a)を含む。
本発明の製造方法を実施することにより、海藻を炭素源として、生分解性プラスチックであるPHAを製造することができる。本発明によれば、海藻を原料としてPHAを製造することができるので、地球環境に低負荷なバイオプラスチック製品を製造することができる。
(海藻を含む培地)
本発明の製造方法では、海藻を含む培地で、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を培養することにより、PHAを製造することができる。海藻、特に褐藻類はアルギン酸を含むため、上記微生物はアルギン酸からPHAを合成していると考えられる。アルギン酸は、褐藻類などに含まれる多糖類であり、2種類のウロン酸(β-D-マンヌロン酸(M)とそのC-5エピマーであるα-L-グルロン酸(G))が直鎖状に重合したポリマーである。
本発明者らは、これまでに、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を利用して、アルギン酸からPHAが製造できることを見出している。本発明者らは、本願において、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を利用して、海藻を原料としてPHAが製造できることを見出した。すなわち、海藻そのものを原料としてPHAが製造できるので、海藻からアルギン酸を抽出する工程を省くことができる。さらに、海藻は、エネルギー資源の乏しい我が国において、豊富に存在するバイオマスであることから、将来的にPHAの原料供給を輸入に頼らなくてよい可能性もある。
海藻の中でアルギン酸(AL-)は、カルシウムイオンなどにより無機イオン塩となって閉じ込められている。海藻からのアルギン酸の抽出は、例えば、特開2017-210534に開示によれば、海藻に炭酸ナトリウムを加え加熱して、ナトリウムイオン(Na+)とカルシウムイオン(Ca2+)をイオン交換させて、水溶性のアルギン酸ナトリウムとしてアルギン酸を抽出し、次にアルギン酸抽出液から炭酸カルシウムを除去し、炭酸カルシウム除去されたアルギン酸抽出液は、酸性にしてアルギン酸を沈殿させるか、またはカルシウムイオンを加えてアルギン酸カルシウムを沈殿させてろ過し、アルギン酸またはアルギン酸カルシウムとして得ることができる。
本発明によれば、海藻を原料としてPHAを製造することができるので、海藻類からアルギン酸を抽出することを前工程に含まなくてもよく、簡便な方法でPHAを製造することができる。
また、酸および酵素による海藻加水分解物を原料として用いた、微生物(Cupriavidus necator)によるPHA合成が報告されている(非特許文献8)。非特許文献8は、具体的には、原料として、ホンダワラ属(Sargassum sp.)の海藻を0.15N H2SO4の存在下で121℃で30分加熱し、さらにセルラーゼおよびセロビアーゼで処理して得られた加水分解物を用いており、この加水分解物は還元糖、特にセルロースに由来すると考えられるグルコースを含む。一方、本発明のPHAの製造方法では、加水分解といった前処理をせずに、海藻をそのまま原料として用いることができるため、より簡単な方法でPHAを製造することができる。
本発明の製造方法において、培地の海藻含有率は、海藻の種類や微生物の種類などにより適宜設定することができるが、例えば、乾燥重量で0.5質量%から20質量%の範囲が好ましく、1質量%から10質量%の範囲がより好ましく、1質量%から5質量%の範囲が特に好ましい。
本発明の一実施態様において、培養開始前において、海藻を含む培地のpHは約3.0~9.0の範囲、約3.0~8.0の範囲、約3.0~7.0の範囲、約3.0~6.5の範囲、約4.0~6.5の範囲、約4.5~6.5の範囲または約4.0~6.5の範囲に調製することができる。
本発明のPHAの製造方法に用いることができる海藻類は、褐藻類、紅藻類、緑藻類等から選択される大型藻類であり、褐藻類が好ましい。褐藻類は、アルギン酸を豊富に含むためである。褐藻類としては、コンブ目、ヒバマタ目、シオミドロ目、イソガワラ目、ナガマツモ目、カヤノモリ目、ウイキョウモ目、ムチモ目、クロガシラ目、アミジグサ目、ケヤリ目、ウルシグサ目、ウスバオオギ目に属する褐藻類を挙げることができるが、これらに限定されず、世界各地の海に生育する褐藻類を利用することができる。コンブ目(Laminariales)に属する褐藻類としては、コンブ科(Laminariaceae)のコンブ属(Laminaria)、トロロコンブ属(Kjellmaniella)、カジメ属(Ecklonia)、アラメ属(Eisenia)、アントクメ属(Eckloniopsis)、アナメ属(Agarum)、スジメ属(Costaria)、ネコアシコンブ属(Arthrothamnus)、オオウキモ属(Macrocystis)およびクロシオメ属(Hedophyllum)、チガイソ科(Alariaceae)のワカメ属(Undaria)およびアイヌワカメ属(Alaria)、ツルモ科(Chordaceae)のツルモ属(Chorda)、並びにレッソニア科(Lessoniaceae)のレッソニア属(Lessonia)等を挙げることができる。ヒバマタ目(Fucales)に属する褐藻類としては、ホンダワラ科(Sargassaceae)のホンダワラ属(Sargassum、ヒジキS.fusiformeを含む)、スギモク属(Coccophora)、ヤバネモク属(Cystoseira)、ジヨロモク属(Myagropsis)およびラッパモク属(Turbinaria)、並びにヒバマタ科(Fucaceae)のヒバマタ属(Fucus)およびエゾイシゲ属(Pelvetia)を挙げることができる。
シオミドロ目(Estocarpales)に属する褐藻類としては、シオミドロ科(Estocarpaceae)のシオミドロ属(Ectocarpus)、イソブドウ属(Botrytella)、ギフオルディア属(Giffordia)、およびピラエラ属(Pilayella)等を挙げることができる。イソガワラ目(Ralfsiales)に属する褐藻類としては、イソガワラ科(Ralfsiaceae)のイソガワラ属(Ralfsia)等を挙げることができる。ナガマツモ目(Chordariales)に属する褐藻類としては、ナガマツモ科(Chordariaceae)のクロモ属(Papenfusiella)、フトモズク属(Tinocladia)、ニセモズク属(Acrothrix)、マツモ属(Analipus)、ナガマツモ属(Chordaria)、オキナワモズク属(Cladosiphon)、ニセフトモズク属(Eudesme)、イワヒゲ属(Myelophycus)、チャソウメン属(Saundersella)およびイシモズク属(Sphaerotrichia)等、ナミマクラ科(Elachistaceae)のナミマクラ属(Elachista)およびソメワケグサ属(Halothrix)、ネバリモ科(Leathesiaceae)のネバリモ属(Leathesia)およびシワノカワ属(Petrospongium)、モズク科(Nemacystaceae)のモズク属(Nemacystis)、並びにイシゲ科(Ishigeaceae)のイシゲ属(Ishige)を挙げることができる。カヤモノリ目(Scytosiphonales)に属する褐藻類としては、カヤモノリ科(Scytosiphonaceae)のフクロノリ属(Colpomenia)、セイヨウハバノリ属(Petalonia)、カヤモノリ属(Scytosiphon)、コンブモドキ属(Akkesiphycus)、エゾフクロ属(Coilodesme)、ハバノリ属(Endarachne)、カゴメノリ属(Hydroclathrus)およびキタイワヒゲ属(Melanosiphon)等、ムラチドリ科(Chnoosporaceae)のムラチドリ属(Chnoospora)、並びにハバモドキ科(Punctariaceae)のハバモドキ属(Punctaria)を挙げることができる。
ウイキョウモ目(Dictoysiphonales)に属する褐藻類としては、ウイキョウモ科(Dictyosiphonaceae)のウイキョウモ属(Dictyosiphon)を挙げることができる。ムチモ目(Cutleriales)に属する褐藻類としては、ムチモ科(Cutleriaceae)のムチモ属(Cutleria)等を挙げることができる。クロガシラ目(Sphacelariales)に属する褐藻類としては、クロガシラ科(sphacelariaceae)のクロガシラ属(Sphacelaria)等が挙げられる。アミジグサ目(Dictyotales)に属する褐藻類としては、アミジグサ科(Dictyotaceae)のヤハズグサ属(Dictyopteris)、アミジグサ属(Dictyota)、ニセアミジ属(Dilophus)、サナダグサ属(Pachydictyon)、ウミウチワ属(Padina)、コモングサ属(Spatoglossum)、フタエオウギ属(Distromium)、ヤレオウギ属(Homoeostrichus)、ハイオウギ属(Pockockiella)、ジガミグサ属(Stypopodium)およびシマオウギ属(Zonaria)等を挙げることができる。ケヤリモ目(Sporochnales)に属する褐藻類としては、ケヤリモ科(Sporochnaceae)のイチメガサ属(Carpomitra)およびケヤリモ属(Sporochnus)等を挙げることができる。ウルシグサ目(Desmarestiales)に属する褐藻類としては、ウルシグサ科(Desmarestiaceae)のウルシグサ属(Desmarestia)等を挙げることができる。ウスバオオギ目(Syringodermatales)のウスバオオギ科(Syringodermataceae)のウスバオオギ(Syringoderma)等を挙げることができる。
本発明の一実施態様において、PHAの製造方法に用いることができる海藻類は、コンブ(Laminaria sp.)、ワカメ(Undaria sp.)やオオウキモ(Macrocystis sp.)などコンブ目(Laminariales)や、ホンダワラ(Sargassum sp.)などヒバマタ目(Fucales)に属する褐藻類を挙げることができる。コンブやワカメといった褐藻類に属する海藻はアルギン酸を乾燥体重量当たり20-40%含むことが報告されている(Hiroyuki Takeda et al., Energy Environ. Sci., 4, 2575-2581, (2011))。また、褐藻類に含まれるアルギン酸の含量は一年を通してほぼ一定である(T. Kimura et al., Nippon Suisan Gakkaishi, 73(4), 739-744, (2007))。よって、褐藻類は非常に有望なバイオマスといえる。
海藻は、生のまま用いてもよいし、乾燥物(凍結乾燥物、天日乾燥物、自然乾燥物、送風乾燥物、除湿空気乾燥物、熱風乾燥物、遠赤外線乾燥物など)を用いてもよく、また、ゆでる、蒸すなどの加熱処理されたものを用いてもよい。培地を微生物、例えば後記のコベティア属細菌の生育に適した塩濃度やpH条件に維持するために、除塩処理した海藻を用いてもよい。海藻は、適当な大きさに分割または切断して、或いは乳鉢と乳棒、ミキサー、粉砕機などにより粉砕して培地に混合してもよい。本発明の一実施態様において、海藻は乳鉢と乳棒、ミキサー、粉砕機などにより粉砕して培地に添加し混合することができる。PHAの合成効率が向上すると考えられるためである。海藻は、1~3センチメートル四方程度、もしくは2~3ミリメートル四方程度の大きさに細断または粉砕して用いてもよいし、または0.5ミリメートル四方以下の大きさに細断または粉砕して用いてもよい。
海藻を含む培地は、海藻を含むPHA合成用培地であり、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物が生育可能な任意の培地を用いることができ、例えば、上記の海藻のほかに、無機窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素)を含むことができる。培地は、そのほかに、ミネラルや微量元素、例えばリン(P)、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、ナトリウム (Na)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)等の塩を含むことができる。ミネラルや微量元素を含む物質の具体例として、例えば、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化カルシウム、塩化コバルト、硫酸銅(II)、塩化ニッケル(II)、塩化クロム(III)を挙げることができる。本発明の好ましい実施態様において、海藻を含むPHA合成用培地は、海藻を含む窒素制限培地または窒素制限無機塩培地である。
(微生物)
本発明のPHAの製造方法は、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を用いて実施することができる。アルギン酸資化能は、アルギン酸を単一の炭素源として増殖できる性質である。PHA合成能は、PHAを生合成できる性質である。アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物は、アルギン酸を単一の炭素源としてPHAを合成する能力を有する微生物であるということができる。アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物は、アルギン酸の他に、アルギン酸分解物を資化し、PHA合成することができる微生物であってもよい。
微生物がアルギン酸資化能を有するかどうかは、アルギン酸を単一の炭素源として含む培地で培養して、微生物が増殖するかどうかにより判断することができる。例えば、試験微生物を、唯一の炭素源として濃度1質量%のアルギン酸ナトリウムを含む培地において、試験微生物の増殖に適した条件(温度、pH、酸素、ナトリウム塩濃度等)下で培養して、試験微生物が増殖した場合には、試験微生物はアルギン酸資化能を有すると判断することができる。試験微生物の増殖は、濁度法、平板培養法、および乾燥菌体重量法などにより測定することができる。
微生物がPHA合成能を有するかどうかは、窒素やリンが制限された培地で培養して、PHAを合成するかどうかにより判断することができる。例えば、試験微生物を、単一炭素源として濃度1~2%のグルコースを含む、窒素源が制限された無機塩培地において、試験微生物の増殖に適した条件下で培養して、試験微生物が体内にPHAを蓄積した場合には、試験微生物はPHA合成能を有すると判断することができる。PHAの蓄積は、Nile RedやNile Blue A染色法で確認することができるほか、透過型顕微鏡による細胞内におけるPHA顆粒の観察、乾燥菌体から得られたクロロホルム抽出物の1H-NMR分析、エタノリシス処理したクロロホルム抽出物のガスクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)などにより判断することができる。また、蓄積されたPHAがPHBである場合には、硫酸によるクロトン酸変換処理をしてから高速液体クロマトグラフィーで分析して、PHBの蓄積を判断することができる。
上記アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物は、例えばプロテオバクテリア門(Proteobacteria)に属する海洋細菌であってもよく、例えばハロモナス科(Halomonadaceae)に属する細菌であってもよい。プロテオバクテリア門に属する細菌は、グラム陰性細菌である。海洋細菌とは、海洋に生息する細菌であり、海水中でよく生育することができる。
上記アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物は、コベティア属(Cobetia)に属する細菌であってもよい。コベティア属に属する細菌としては、コベティア・マリナ(Cobetia marina)、コベティア・パシフィカ(Cobetia pacifica)、コベティア・アムフィレクティ(Cobetia amphilecti)、およびコベティア・リトラリス(Cobetia litoralis)並びにコベティア属に属することが16S rDNA配列から推測される未記載種などを挙げることができる。本発明では、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物は、コベティア属から選択することができ、コベティア・マリナ(Cobetia marina)およびその近縁種(未記載の種を含む)から選択することが好ましく、後記の実施例に記載する5-25-4-2株細菌、5-11-6-3株細菌および5-28-6-1株細菌が属する種から選択することがより好ましく、5-25-4-2株細菌、5-11-6-3株細菌および5-28-6-1株細菌を使用することが特に好ましい。なお、コベティア・マリナは、過去にアルスロバクター・マリヌス(Arthrobacter marinus)、シュードモナス・マリナ(Pseudomonas marina)、ダリア・マリナ(Dalya marina)、ハロモナス・マリナ(Halomonas marina)と分類されていた(Arahal DR, et al., (December 2002) Systematic and Applied Microbiology. 25 (2): 207-11)。
本発明の一実施態様では、上記アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物が、下記1)~3)から選択されるいずれかであってもよい。
1)受託番号NITE P-03085(受領番号NITE AP-03085として寄託された微生物。
2)受託番号NITE P-02758またはNITE P-02759として寄託された微生物。
3)下記(a)または(b)の塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有する、微生物。
(a) 配列番号1から3のいずれかに記載の塩基配列。
(b) 配列番号1から3のいずれかに記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を 有する塩基配列。
上記微生物は、配列番号1から3のいずれかに記載の塩基配列に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有し、且つアルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物であることができる。更には、上記微生物は、配列番号1から3のいずれかに記載の塩基配列に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有し、且つアルギン酸資化能およびPHA合成能を有する、コベティア属に属する微生物であることができる。また、配列番号1から3のいずれかに記載の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が置換、挿入、欠失および/または付加された塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有し、且つアルギン酸資化能およびPHA合成能を有する、コベティア属に属する微生物であることができる。
塩基配列は、常法により解析することができる。例えば、微生物のDNAから16S rRNA遺伝子を増幅させる方法としては、プライマーを用いるPCR法等が挙げられるがこれに限定されない。PCR法により得られた増幅産物を、DNAシークエンサー等に供し、塩基配列を解析することができる。
塩基配列同一性は、比較する2本の塩基配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならばギャップを導入した後、2本の塩基配列間で同一である塩基のパーセントとして定義される。塩基配列同一性は、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、ClustalXまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより決定することができる。
本明細書で言う「1もしくは数個の塩基が置換、挿入、欠失および/または付加された塩基配列」における「1もしく数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
上記微生物が、単離微生物、寄託微生物、遺伝子改変微生物であってもよい。また、上記コベティア属細菌が、単離菌株、寄託菌株、遺伝子改変遺伝子改変菌株であってもよい。単離微生物または単離菌株は、自然サンプルから分離された微生物または菌株である。自然サンプルの例として、海水、海中生物、海藻、汽水域の水、汽水域の生物、岩、土および砂を挙げることができる。自然サンプルを、任意の培地、例えばZoBell 2216E海水培地、MS培地、ダイゴIMK培地などで、10℃~42℃で、24~72時間、pH5~10の条件で培養し、コロニーを分離することができる。ZoBell 2216E海水培地やMS培地などを用いる培養の前に、ろ過海水中で予備培養することができる。単離したコロニーを、アルギン酸含有培地で培養し、アルギン酸含有培地で増殖性を示し、PHA合成していると判断されたコロニーを選択することができる。Nile Redは疎水性色素であり、生体内の中性脂質やPHAなどの疎水性物質と反応し赤く呈色するので、PHA合成能を有する微生物のスクリーニングに使用することができる。
さらに、PHA合成について、PHAを微生物乾燥菌体からクロロホルムなどの有機溶媒で抽出し、メタノールやヘキサン等の有機溶媒を加えてPHAを析出させ、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、NMR、IRなどの分析手法を用いて、スクリーニングすることができる。さらに、場合により、単離されたコロニーの菌株について、16S rDNA配列または菌学的性質をもとに、同定をすることができる。
寄託微生物または寄託菌株は、微生物の寄託物について、単離微生物について記載したものと同様の手法を用いて、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を選抜することによって得ることができる。例えば、ハロモナス科に属する海洋細菌の寄託物について、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を選抜することができる。更には、コベティア属に属する微生物の寄託物について、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物を選抜することができる。
遺伝子改変微生物または遺伝子改変菌株は、例えばアルギン酸分解酵素遺伝子、PHA合成酵素遺伝子および/またはそれらに関連する遺伝子が改変された微生物または菌株であることができる。
(PHA)
本発明により製造方法が提供されるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、ある種の微生物が体内に蓄積することが知られているポリエステルであり、以下の化学式:
[式中、Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数1~14の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、nは繰り返し数であり、2以上の整数であり、好ましくは100以上の整数であり、好ましくは100000以下の整数である]で表すことができる。
PHAの具体例には、以下の化学式:
を有するポリヒドロキシブタン酸(P(3HB)またはPHB)のほか、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリヒドロキシカプロン酸などを挙げることができる。また、代表的な共重合体としては3-ヒドロキシ吉草酸ユニットを導入したポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-3-ヒドロキシ吉草酸)[P(3HB-co-3HV)]、3-ヒドロキシカプロン酸ユニットを導入したポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-3-ヒドロキシカプロン酸)[P(3HB-co-3HHx)]、3-ヒドロキプロピオン酸ユニットを導入したポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-3-ヒドロキプロピオン酸)[P(3HB-co-3HP)]、4-ヒドロキシブタン酸ユニットを導入したポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-4-ヒドロキシブタン酸)[P(3HB-co-4HB)]、乳酸ユニットを導入したポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-乳酸)[P(3HB-co-LA)]、グリコール酸ユニットを導入したポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-グリコール酸)[P(3HB-co-GL)]などを挙げることができる。
PHAのうちP(3HB)の生合成経路は、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)においてよく研究されており、2分子のアセチルCoAがβ-ケトチオラーゼ(PhaA)によってアセトアセチルCoAに縮合され、NADPH-依存性アセトアセチルCoAレダクターゼ(PhaB)によって(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに還元されたのち、PHAシンターゼ(PhaC)によって重合されることが報告されている(図6)(山田美和ら, オレオサイエンス, 5 (11), 523-532 (2005); K. Sudesh et al., Prog. Polym. Sci. 25 (2000) 1503-1555)。また炭素数が6-14の中鎖長の3HA生合成はシュードモナス(Pseudomonas)属細菌やエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)において研究されており、脂肪酸のβ酸化と生合成経路が関わっていることが報告されている(図6)(松崎弘美ら,日本油化学会誌, 48(12), 1353-1363, 1999; T. Fukui et al., J. Bacteriol, 180(3), 667-673, 1998; T. Fukui et al., J. Bacteriol, 179(15), 4821-4830, 1997)。
本発明により製造方法が提供されるPHAは、20万~200万の分子量を有することができる。本発明により製造方法が提供されるPHAは、3-ヒドロキシブタン酸モノマー単位を含むものであることができる。3-ヒドロキシブタン酸モノマー単位を含むものとしては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-3-ヒドロキプロピオン酸)[P(3HB-co-3HP)]、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-3-ヒドロキシ吉草酸)[P(3HB-co-3HV)]、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-3-ヒドロキシカプロン酸)[P(3HB-co-3HHx)]、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-4-ヒドロキシブタン酸)[P(3HB-co-4HB)]、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-乳酸)[P(3HB-co-LA)]、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-グリコール酸)[P(3HB-co-GL)]などを挙げることができる。
本発明により製造方法が提供されるPHAは、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸)であることができる。
(培養条件)
本発明の製造方法においてPHA生合成のための培養は、温度:約20℃~40℃の範囲、pH:約3~9の範囲で行うことができる。培養温度およびpHは、培養する微生物に合わせて、適宜調整することができる。例えば、上記微生物のうち、受託番号NITE P-03085(受領番号NITE AP-03085、受託番号NITE P-02758およびNITE P-02759として寄託されたコベティア属細菌は酸性条件下で、スクリーニングにより単離された微生物であるので、これらを使用するPHA合成のための培養は、酸性の培地で実施することができる。
アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する微生物として、海洋細菌を利用する場合、塩化ナトリウムの培地中濃度は、海洋細菌の種類などにより適宜設定することができるが、0.5質量%~20質量%の範囲に調製することが好ましく、1質量%~10質量%の範囲に調整することがより好ましく、1質量%~8質量%の範囲に調整することが特に好ましい。
本発明の製造方法においてPHA合成のための培養は、好気的条件で行い、通気撹拌型培養槽や気泡塔型培養槽などを使用することができる。培養槽のサイズは、例えば、150ミリリットル以上とすることができる。また、工業的規模で培養を実施する場合には、培養槽のサイズは、例えば30リットル以上、50リットル以上、100リットル以上とすることができる。連続的にまたは間欠的に炭素源や他の栄養源を供給しながら培養を行うことができる。培地中の炭素源濃度は、約0.5質量%~約5.0質量%の範囲に設定することができる。撹拌速度は、例えば100~120rpmとすることができる。培養日数は、1日~7日の範囲に設定することができるが、これに限定されない。温度、pH、海藻含有量、通気量、撹拌速度、培養時間などの条件を制御しながら、培養を行うことができる。
培地に接種する菌体は、予め種培養または前培養しておいてもよい。種培養または前培養に用いられる培地には、アルギン酸を添加してもよい。その他、無機窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素)、ミネラルや微量元素、例えばリン(P)、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、ナトリウム(Na)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)等の塩を含むことができる。ミネラルや微量元素を含む物質の具体例として、例えば、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化カルシウム、塩化コバルト、硫酸銅(II)、塩化ニッケル(II)、塩化クロム(III)を含むことができる。
(PHA回収)
微生物菌体内に蓄積されたPHAは、公知の方法によって回収することができる(例えば、特許文献3)。例えば、培養物から遠心分離機等の分離手段を用いて菌体を分離し、その菌体を蒸留水、メタノール等により洗浄し、乾燥させる。この乾燥菌体から、クロロホルム等の有機溶剤を用いてPHAを抽出する。このPHAを含んだ有機溶剤溶液から、濾過等によって菌体成分を除去し、そのろ液にメタノール、ヘキサン等の貧溶媒を加えてPHAを沈殿させる。さらに、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させてPHAを回収することができる。本発明では、培地は海藻を含有するので、菌体の遠心分離の前に、任意のろ過手段を用いて、培地から海藻を除去してもよい。
本発明は、上記の製造方法を実施してポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を得る工程、および前の工程で得られたPHAを含むプラスチック製品を得る工程を含む、バイオプラスチック製品の製造方法を提供する。PHAは生分解性プラスチックであり、これを用いてバイオプラスチック製品を製造すれば、近年海洋汚染の原因として懸念されるマイクロプラスチックの環境残留問題を解決できると期待される。
本発明の一実施態様では、PHAを25質量%以上含むプラスチック製品を製造することができる。日本バイオプラスチック協会は、バイオマスプラ識別表示基準に適合する製品の条件として、バイオプラスチック度が25重量%以上の製品であることを挙げている。バイオプラスチック度は、バイオマスプラスチック製品中のバイオマスプラスチックの成分質量の全質量に対する割合である。
本発明の製造方法により製造されたPHAは、各種プラスチック製品の原料として用いることができる。PHAを含むプラスチック製品の例としては、冷凍品用包装、緩衝材などとして利用できるフィルムやシート、ボールペンなどの文房具、ストロー、フォーク、スプーンや皿などの使い捨て食器、土木・建築用資材、農業水産用資材としての多目的フィルム、苗ポット、釣り糸、漁網などを挙げることができる。
(コベティア属細菌)
本発明者らは、岩手県大船渡市、大船渡湾の碁石海岸で採取した自然サンプルから微生物5-25-4-2株、5-11-6-3株および5-28-6-1株を単離した。微生物5-25-4-2株、5-11-6-3株および5-28-6-1株は、それぞれ順に配列番号1、2および3に記載の塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有する。16S rRNA遺伝子の塩基配列に基づく、相同性検索プログラムBLAST(Altschul S. F. et al., 1990 Basic local alignment search tool. J. Mol. Biol. Vol. 215, pp. 403-410)を用いたシークエンスデータベースの解析により、3株はコベティア属に属する可能性が示唆されている。
コベティア属細菌は、好気性を有し、温度4~42℃、pH4~11で生育すると報告されている(Romanenko LA et al., International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 63, 288-297, (2013)。また、グルコースを炭素源として細胞内にP(3HB)を蓄積することが報告されているが(Romanenko LA et al. 2013; Arahal DR et al., Appl. Microbiol. 25, 207-211, 2002)、海藻を炭素源とするPHA蓄積の報告は、本出願以前には無かった。
5-25-4-2株についてコベティア・マリナ(Cobetia marina)の基準株であるDSM4741株(Arahal DR et al, 2002、上掲)と表現性状を比較した結果、生育可能なNaCl濃度について、コベティア・マリナはNaCl濃度0%の培地で生育できるのに対して、5-25-4-2株細菌はNaCl濃度0%の培地では生育できないこと、L-アラビノースやD-マンノースの資化性が異なること(実施例2の表21)から、5-25-4-2株はコベティア属細菌であり、コベティア・マリナとは近縁であるものの、異なる種である可能性がある。
本発明は、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有する、コベティア属細菌を提供する。
本発明は、下記(a)または(b)の塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有する、コベティア属細菌を提供する。
(a) 配列番号1に記載の塩基配列、
(b) 配列番号1に記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列。
本発明は、下記(a)または(b)の塩基配列を含む16S rRNA遺伝子を有し、且つアルギン酸資化能およびPHA合成能を有する、コベティア属細菌を提供する。
(a) 配列番号1に記載の塩基配列、
(b) 配列番号1に記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列。
塩基配列および塩基配列同一性については、上述の方法により、解析することができる。また、細菌がアルギン酸資化能および/またはPHA合成能を有するかどうかについては、上述の方法により、判断することができる。
本発明のコベティア属細菌は、アルギン酸資化能およびPHA合成能を有するため、海藻類を原料とするバイオプラスチックの製造方法に利用することができる。
(P(3HB)蓄積率)
海藻を含む培地でコベティア属細菌を培養することにより、コベティア属細菌(例えば5-25-4-2株、5-11-6-3株および5-28-6-1株)は効率よくP(3HB)を合成し蓄積することができる。P(3HB)蓄積率は、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)法で、P(3HB)量を3HBエチルを標準物質として用いた検量線から求め、更にP(3HB)量を乾燥菌体重量で割ることにより算出することができる。本発明の一実施態様において、海藻を含む培地でコベティア属細菌を培養することにより、コベティア属細菌(例えば5-25-4-2株、5-11-6-3株および5-28-6-1株)は、5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%以上のP(3HB)蓄積率で、P(3HB)を合成し蓄積することができる。
後記の実施例において、乾燥コンブを5質量%添加した培地でコベティア属5-11-6-3株細菌を24時間培養した場合に、P(3HB)蓄積率が48%であることが示されている。濃度3%のアルギン酸ナトリウムを含む培地では、コベティア属5-11-6-3株細菌を24時間培養した場合のP(3HB)蓄積率が約46%であった(特願2019-142249)。すなわち、海藻を原料としても、アルギン酸ナトリウムを用いた場合と同等以上の効率で、コベティア属細菌によりP(3HB)が合成され蓄積されることが明らかとなった。
(微生物寄託)
5-25-4-2菌株は、国立大学法人岩手大学(住所:岩手県盛岡市上田三丁目18番8号)により、以下のとおり、寄託機関へ寄託申請を行った。5-25-4-2菌株の16S rRNA遺伝子は、配列番号1に記載の塩基配列をする。
(i) 受領機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NITE-NPMD) (住所:日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122室)
(ii) 受領日:2019年11月29日
(iii) 受託番号NITE P-03085(受領番号NITE AP-03085(Cobetia sp. IU190790JP01(5-25-4-2)株)
5-11-6-3菌株は、国立大学法人岩手大学(住所:岩手県盛岡市上田三丁目18番8号)により、以下のとおり、寄託機関へ寄託されている。5-11-6-3菌株の16S rRNA遺伝子は、配列番号2に記載の塩基配列をする。
(i)寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NITE-NPMD)
(住所:日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122室)
(ii) 受託日(寄託日):2018年8月8日
(iii) 受託番号NITE P-02758(Cobetia sp. IU180733JP01 (5-11-6-3)株)
5-28-6-1菌株は、国立大学法人岩手大学(住所:岩手県盛岡市上田三丁目18番8号)により、以下のとおり、寄託機関へ寄託されている。5-28-6-1菌株の16S rRNA遺伝子は配列番号3に記載の塩基配列をする。
(i)寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NITE-NPMD)
(住所:日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122室)
(ii) 受託日(寄託日):2018年8月8日
(iii) 受託番号NITE P-02759(Cobetia sp. IU180733JP01 (5-28-6-1)株)
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、本明細書において、特に記載しない限り、「%」は質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
試薬および装置
実施例に使用した試薬および装置は以下のとおりである。
実施例1
<コベティア属細菌の単離>
コベティア属細菌は、以下の手順で自然サンプルから単離同定した。
自然サンプルは2017年6月20日岩手県大船渡市碁石海岸近郊から採取した海水、海藻類、貝殻、ウミウシである。採取した自然サンプルは、2~3日間培養した(スケール:5mL試験管、温度:30℃、撹拌数:111rpm、培地:ZoBell 2216E 海水培地、pH:5)。
自然サンプルを加えて培養した海水培地から、単コロニーを取得するために単菌分離を、表7の培地を用い、培養温度30℃、培養時間3日間の条件で行った。色、形態および大きさが異なるコロニーが複数得られた。
次に一次スクリーニングとして、単菌分離によって得られた株をNile Redを含む培地で培養することで、PHA合成候補株の選抜を行った。Nile Redは疎水性色素で、細胞内の中性脂質と反応し赤く呈色することから、目視で候補株の取得が可能である。Nile Redを含む培地と含まない培地2種類を用意し、両方のプレートに植菌することで色の変化を肉眼で観察した。赤く呈色したコロニーに関しては次の実験まで4℃で保存した。
Nile Redを含む培地の組成を、表8に記載する。培地は加圧滅菌(121℃、15min)を行い、Trace Elementはフィルター殺菌(Minisart(登録商標)-RC25、sartorius、RC、pore size 0.45μm)を行い、アルギン酸ナトリウムは培地と別に加圧滅菌(121℃、15min)を行った。Nile Redはジメチルスルホキシドに溶解させ滅菌せずに使用した。培地中のアルギン酸ナトリウムの終濃度は1%とした。ZoBell 2216E 海水プレートから色および形態の異なるコロニーを選抜し、爪楊枝で採り、2プレートに植菌した。プレートは30℃で5日間培養し、Nile Red含有プレートは遮光して培養した。プレートの観察は毎日肉眼で行い、赤く呈色した株を複数取得した。
次に二次スクリーニングとして、GC-MS法による選抜を行った。一次スクリーニングで選抜した菌株を培養後、PHAポリマーを抽出し、抽出物をエタノリシス化したものについて、GC-MS法PHAのモノマーの検出を行い、更なる選抜を行った。
(培養)一次スクリーニングで得たPHA合成候補株の培養を試験管(10mL)で行った。培地は、表9に記載の培地を加圧滅菌(121℃、15min)し、Trace Elementとアルギン酸ナトリウムは上記と同様の方法で別に殺菌後に培地に添加して調整した。一次スクリーニングで得たPHA合成候補株のコロニーを爪楊枝で分取し、爪楊枝ごと培地にいれ、振盪培養を行った。炭素源としてアルギン酸ナトリウムを使用し、終濃度は1%とした。培養は、温度30℃、撹拌数111rpmで、72時間行い、生育が遅いサンプルはさらに培養時間を延長した。
(PHA抽出)培養終了後、培養液のpHとOD660を測定し、RO水(逆浸透膜処理した水)による2回の懸濁と3回の遠心によって菌体を回収した。遠心は8,490×g、または7,670×gによって行った。回収した菌体は-30℃で予備凍結を行った。その後、菌体の入ったチューブをパラフィルムによって蓋をし、そこへ穴を開け、凍結乾燥機によって最低24時間凍結乾燥を行った。凍結乾燥終了後、乾燥菌体重量を測定し細かく砕いた後、菌体をねじ口試験管に移し、クロロホルムを菌体200~300mg当たり5mL添加した。ボルテックス後70℃で二日間加熱した。この際、適宜ボルテックスした。加熱後は、フィルターに通すことで菌体を除き、ろ液をドラフト内で加熱し乾固させた。抽出物重量はろ過前後のねじ口試験管の重量を測定することで求めた。乾固したサンプルは常温で保存した。
(GC-MS法試料の調製)抽出物にクロロホルム1mLを添加後、加熱によって溶解させた。そこに99.5%エタノールを3.4mLとHCl(原液)400μLを加え、1分間ボルテックスにより撹拌し、100℃で4時間ヒートブロックを使用して加熱した(エタノリシス処理)(Y. Arai, et al., Plant Cell Physiol. 43(5), 555-562, (2002))。なお、加熱時は30分毎に1分間ボルテックスした。氷中で一旦冷却し、0.65M NaOH+0.9M NaCl混合液を4mLと0.25M Na2HPO4を2mL添加後、1分間ボルテックスし、pH試験紙でクロロホルム層が中性であることを確認した。次いでこの溶液を800×gで5分間遠心し、クロロホルム層を下層に集めた。パスツールピペットにガラスウールとNa2SO4を詰めて作製したカラムにクロロホルム層を通し、予め180℃で2時間乾熱したMolecular sievesを入れたねじ口試験管にクロロホルム層を移すことで脱水した。これをサンプルとし、分析まで-30℃で保存した。
合成されたPHA量を測定するため、最もメジャーなPHAの1つであるP(3HB)をエタノリシス処理し、3HBエチルの標準物質として検量線を作成した。検量線の作成には、P(3HB)をクロロホルムで希釈して、濃度が10、50、100、500、1000μg/mLのものを用意し、それぞれエタノリシス処理した試料を用いた。
(GC-MS法条件)
HP-5カラム(長さ30 m、膜厚0,25μm、内径0.25 mm)を使用した。分析条件は表10に記載のとおりである。
3HBエチル標準物質のマススペクトルのピークは、保持時間4.7付近で確認された。P(3HB)に由来すると考えられる3HBエチルのマススペクトルを示すピークが複数のサンプルで検出された。保持時間4.76~5.00のピークを示したサンプルをPHA合成候補株として選抜した。複数株で、最もメジャーなPHAのひとつであるP(3HB)のエタノリシス産物である3HBエチルが検出された。保持時間4.76~5.00のピークを示した複数株のうち、5-25-4-2株の分析結果を図1に示す。
P(3HB)量は3HBエチルを標準物質として用いた検量線から求め、P(3HB)蓄積率は、P(3HB)量を乾燥菌体重量で割ることで求めた(表11)。
次に、ポリマーの合成を確認するために1H-Nuclear Magnetic Resonance (1H-NMR) 分析を行った。5-25-4-2株について、坂口フラスコによるスケールアップ培養を行い、培養物から、クロロホルム抽出物を得た。これを少量のクロロホルムで溶解させ、そこに過剰量(10倍以上)のヘキサンを加えることで、ポリマーを析出させ、ポリマーの精製を行った。精製したポリマーに1 vol% TMS含有重クロロホルム(富士フィルム和光純薬株式会社)2mLを添加し、加熱することで溶解させた。
1H-NMR分析の結果、P(3HB)ホモポリマーに特異的なピーク(1.26-1.28, 2.44-2.64, 5.24-5.28 ppm)が観察され、モノマーである3HBのピークは検出されなかった。図2に5-25-4-2株の分析結果を示す。なお、3HBのピークは、1.20-1.21, 2.30-2.43, 4.13-4.19 ppm に観察されるため、P(3HB)ホモポリマーは、3HBから区別することができる。また1.5 ppm付近に検出されたピークは残存した水であり、7.26 ppm付近のピークは重クロロホルムであると考えられる。
実施例2
<5-25-4-2株の同定>
種同定:16S rRNA塩基配列の決定
5-25-4-2株の菌体から核酸を抽出し、エタノール沈殿後、核酸の濃度測定とアガロースゲル電気泳動を行った。DNA抽出が確認できたことから次の操作に供した。DNA抽出物について16S rDNAまたは18S rDNAのPCR増幅を行った。本菌株は細菌か真菌か判明していないため16S rRNA用プライマーと18S rRNA用プライマーの両方を使用した。
PCRは、TaKaRa Ex Taq を用いて、反応液組成(TaKaRa Ex Taq (5U/μL) 0.25μL; 10×Ex Taq Buffer 5μL; dNTP Mixture (each 2.5 mM) 4 μL; Primer (10μM) 各3μL; Template (<500 ng) 3-5μL; 滅菌MQ水 up to 50μL)を使用して、98℃10秒→55℃30秒を30サイクル→72℃90秒の反応条件で行った。結果、16S rRNAに相当する約1.5 kbpのバンドが確認された。PCR産物をシークエンス解析に供し、16SrDNA配列の一部を決定した。その後得られた配列を用いてBLASTデータベースにおける相同性検索を行った。
種同定:5-25-4-2株の表現性状
オキシダーゼ試験
チトクローム・オキシダーゼ試験用ろ紙「ニッスイ」(日水製薬)をシャーレに入れ、数滴のMQ水を試験紙に滴下して全体を湿らせ、ここに白金耳で菌体を塗布した。これを放置して1分以内に深青色を示せば陽性、呈色が確認されなければ陰性と判断した。試験には、PHA合成寒天培地(表14)で48時間 培養した5-25-4-2株のコロニーを使用した。
栄養性試験
培地はVentosaらの培地組成に従い調製した(表15)(Anotonio Ventosa, Emilia Quesada, Francisco Rodoriguez-Valera, Francisco Ruiz-Berraquero & Alberto Ramos-cormenzana. (1982). Numerical taxonomy of moderately halophilic Gram-negative rods. J. Gen. Microbiol. 128, 1959-1968.)。炭素源はL-アラビノース、D-グルコース、グリセロール、myo-イノシトール、D-マンニトール、D-マンノース、D-ソルビトール、スクロースを使用し、濃度を10%に調整しフィルター滅菌(Minisart(登録商標)-RC25、sartorius、RC、pore size 0.45μm)を行った。それ以外の培地成分はオートクレーブ滅菌を行った。培地のpHはKOHを用いて7.5に調整した。菌体は4℃で保存していた菌体を使用した。培養液5 mLにコロニーを爪楊枝ごといれ培養(30℃、振盪数120 rpm)を行った。その後、生育が確認できたものに関しては再度新鮮な培地に菌液100μLを添加することで、炭素源を資化できるかどうか判断した。
運動性試験
OF培地はRudolphらの培地組成(Rudolph Hugh, Einar Leifson, The taxonomic significance of fermentative versus oxidative metabolism of carbohydrates by various gram negative bacteria, J Bacteriol. 1953 Jul;66(1):24-26.)を改変し、NaCl濃度を2%に調製した(表16)。使用するマンニトールおよびグルコースはフィルター滅菌(Minisart(登録商標)-RC25、sartorius、RC、pore size 0.45μm)を行い、アルギン酸ナトリウムおよびそれ以外の培地成分はオートクレーブ滅菌を行った。クリーンベンチ内で炭素源と培地成分を混ぜ合わせ、培地を試験管に約5cm分注した。菌体は4℃で保存していたプレート培地から白金耳で植菌した。
顕微鏡での観察はSW5液体培地、PHA合成液体培地、PHA合成寒天培地(表17)で培養したものを用いた。また、コントロールとしてCobetia sp. 5-11-6-3株を用いた。SW5液体培地はAntonioらの方法に従い表20に示す組成で作成した(Anotonio Ventosa, Emilia Quesada, Francisco Rodoriguez-Valera, Francisco Ruiz-Berraquero & Alberto Ramos-cormenzana. (1982). Numerical taxonomy of moderately halophilic Gram-negative rods. J. Gen. Microbiol. 128, 1959-1968.)。ただし、Yeast extract(Difco)が既に販売終了してしまっていたために、代替としてYeast extract(Bacto)を用いた。30% Marine salts(表21)は調製後、終濃度5%となるよう培地に添加した。KOHとHClでpHは7.5に調製した。SW5液体培地およびPHA合成液体培地試料は10 mLの培地に植菌し30℃、120 rpm、48時間で振盪培養したものを用いた。PHA合成寒天培地試料は4℃で保存していたプレートの菌体を100μLのPHA合成液体培地で懸濁して作成した。
温度条件
温度条件はSW5培地を用いて実験を行った。培地組成はAntonioらの方法に従い調製した(Anotonio Ventosa, Emilia Quesada, Francisco Rodoriguez-Valera, Francisco Ruiz-Berraquero & Alberto Ramos-cormenzana. (1982). Numerical taxonomy of moderately halophilic Gram-negative rods. J. Gen. Microbiol. 128, 1959-1968)。ただし、Yeast extract(Difco)が既に販売終了してしまっていたために、代替としてYeast extract(Bacto)を用いた。30% Marine saltsは調製後、フィルター滅菌(Minisart(登録商標)-RC25、sartorius、RC、pore size 0.45μm)を行い、終濃度5%となるよう培地に添加した。KOHとNaClでpHは7.5に調製した。まず4℃で保存していた菌体を爪楊枝でかきとり、SW5液体培地で培養した(48時間、30℃、振盪数120 rpm)。その後、培養液をSW5培地で1/10に希釈し、100μL添加した。温度条件は4, 15, 25, 37, 42, 45℃で行った。4℃で生育させるプレートはクリーンベンチ内の操作を氷上で行い、培養はチャンバー内で行った。それ以外の温度は常温で操作し、培養は恒温器を使用して行った。
生育可能NaCl濃度
生育可能NaCl濃度試験のためにSW5寒天培地で生育試験を行った。SW培地は以下SW-NaCl濃度(%)という表記とする(例:SW5 =NaCl濃度5%SW培地)。培地組成はAntonioらの方法に従い調製した(Anotonio Ventosa, Emilia Quesada, Francisco Rodoriguez-Valera, Francisco Ruiz-Berraquero & Alberto Ramos-cormenzana. (1982). Numerical taxonomy of moderately halophilic Gram-negative rods. J. Gen. Microbiol. 128, 1959-1968)。SW5液体培地は表19に示す組成で作成した。各NaCl濃度のSW寒天培地は表20に示す組成で作成した。また30% Marine saltsは調製後、各終濃度となるよう培地に添加した。KOHとHClでpHは7.5に調製した。
まず4℃で保存していた菌体を爪楊枝でかきとり、SW5液体培地で培養した(48時間、30℃、振盪数120 rpm)。その後、培養液をSW5培地で1/10に希釈し、100μL添加した。NaCl条件は0、0.5、3、5、10、15、20、25%で行った。培養温度は37℃で行い、生育の有無は1週間培養して判断した。
5-25-4-2株について16S rRNA遺伝子増幅用プライマーに挟まれた領域の一部である1434bpの塩基配列を決定した(図3B)。BLASTによる相同性検索を行った。その結果、Cobetia marinanaなどの16S rRNAと99%の相同性を示した。よって、5-25-4-2株微生物はCobetia属細菌である可能性が示唆された(表13)。また、Cobetia sp. 5-11-6-3株(特願2018-159148で同定した株)と5-25-4-2株の16SrDNA配列は、4塩基異なっていた。
また、形態学的な特徴や生理・生化学的な性状を調べた結果を表21にまとめた。5-25-4-2株は、Cobetia marinaと比較すると、栄養性試験においてL-Arabinoseを資化することがでない点が一致しなかった。一方で、Cobetia sp. 5-11-6-3株とは形態学的な特徴や生理・生化学的な性状が全て一致した。よって、16SrDNA配列の結果と同様に、5-25-4-2株微生物はCobetia属細菌であると結論付けた。
Cobetia marina DSM4741T株(参考文献参照)、Cobetia sp. 5-1 1-6-3株(特願2018-159148で同定した株)と5-25-4-2株の特徴
参考文献:DAVID R. ARAHAL et al, Proposal of Cobetia marina gen. nov., comb. nov., within the Family Halomonadaceae, to Include the Species Halomonas marina System. Appl. Microbiol. 25, 207-211 (2002)
・Lyudmila A. Romanenko, Naoto Tanaka, Vassilii I. Svetashev & Enevold Falsen. (2013). Description of Cobetia amphilecti sp. nov., Cobetia litoralis sp. nov. and Cobetia pacifica sp. nov., classification of Halomonas halodurans as a later heterotypic synonym of Cobetia marina and emended descriptions of the genus Cobetia and Cobetia marina
実施例3
<ワカメを原料としたPHA合成実験>
実験方法:
培養
Cobetia sp. 5-11-6-3株またはCobetia sp. 5-25-4-2 株をPHA合成用培地で培養した菌体を掻き取り、10 mLのPHA合成用液体培地(表22)に植菌し、30℃で2日間120 rpmで振盪培養し、種培養を行った。続いて、粉砕した凍結乾燥ワカメを2 wt%添加したPHA合成用液体培地(表23)を坂口フラスコに150 mL作成し、種培養液を3 mLずつ植菌した。これを30℃で1~2日間120 rpmで振盪培養し、本培養した。培地に添加した粉砕した凍結乾燥ワカメは、密閉していないビニール袋に入れ、-80℃で一晩予備凍結した後に凍結乾燥を行い、凍結乾燥後、粉状になるまで乳鉢と乳棒で摩砕したものを使用した。
本培養後の培養液をキムワイプを用いてろ過し、海藻を分離した。その後菌液を遠沈管に移し、7,700×gで15分間遠心分離後、上清をデカンテーションで捨てた。この後、RO水で菌体を懸濁し、7,700×gで10分間遠心分離、上清をデカンテーションで捨てる作業を2回行い、菌体を洗浄した。得られた菌体を-80℃で一晩以上凍結し、凍結乾燥機(EYELA FDS-1000型、東京理化器械(株))で凍結乾燥した。実験は2連で行った。
ポリマー抽出
乾燥菌体を乳鉢によって破砕し、重量を測定した。乾燥菌体200-300 mgあたり5 mL程度のクロロホルムを添加し、ヒートブロックを用いて70℃で48時間抽出を行った。抽出後、フィルター(DISMIC(登録商標)-25HP、Advantec、PTFE、pore size 45μm)を用いて菌体を濾過し、ヒートブロックを用いて70℃で加熱し抽出液を乾固させた。抽出物が汚い場合は少量のクロロホルムで溶かした後、過剰量(約10倍以上)のヘキサンを加え、ポリマーを析出させた後ヘキサンを除き乾固させた。析出したポリマー重量を実験前後の試験管重量から算出し、乾燥菌体重量からポリマーの蓄積率を算出した。
1H-NMR分析
試料濃度が5 mg/mLになるように、精製したポリマーを精密天秤で10 mg分採取し、0.05 vol% TMS含有重クロロホルム(富士フィルム和光純薬株式会社)約2 mLに添加した後、70℃で加熱しながら溶解させた。この分析サンプルをNMR専用試料管に規定量になるように入れ、JNM-AL400 (400 MHz)を用いて1H-NMR分析を行った。内部標準にはテトラメチルシラン(TMS)を用い、積算回数は20回で行なった。
粉砕した凍結乾燥ワカメを2 wt%添加した培地でCobetia sp. 5-11-6-3株およびCobetia sp. 5-25-4-2 株の培養を行った結果、どちらもわずかにポリマー様白色固体が確認された。そこで、得られたポリマー様固体を1H-NMR分析に供した結果、典型的なPHAであるポリ-3-ヒドロキシブタン酸 [P(3HB)]であることが確認された(図4)。この際のP(3HB)蓄積率は、5-11-6-3株で4.9 wt%、5-25-4-2 株で4.5 wt%であり同程度であった(表24)。以上の結果より、5-11-6-3株と5-25-4-2 株は、乾燥ワカメを主原料としてP(3HB)を合成可能であることが示された。
実施例4
<コンブを原料としたPHA合成実験:培地への乾燥コンブ添加量の検討>
実験方法
培養
Cobetia sp. 5-11-6-3株またはCobetia sp. 5-25-4-2株をPHA合成用寒天培地で培養し、その後培養した菌体を掻き取り、10 mLのPHA合成用液体培地(表22)に植菌して、30℃で2日間120 rpmで振盪培養し、種培養を行った。続いて、粉砕した乾燥コンブを2または5 wt%添加したPHA合成用液体培地(表25)を坂口フラスコに150 mL作成し、種培養液を3 mLずつ植菌した。これを30℃で1~2日間120 rpmで振盪培養し、本培養した。培地に添加した粉砕した乾燥コンブは、水道水およびRO水で洗浄後、約3×3 cmに細断し、密閉していないビニール袋に入れ、-80℃で一晩予備凍結した後に凍結乾燥を行い、凍結乾燥後、粉砕機(New Power MILL PM-2005m、大阪ケミカル株式会社)を用い、約6,000 rpmで2,3 mm四方のサイズになるように粉砕して準備した。
本培養後の培養液をキムワイプを用いてろ過し、海藻を分離した。その後菌液を遠沈管に移し、7,700×gで15分間遠心分離後、上清をデカンテーションで捨てた。この後、RO水で菌体を懸濁し、7,700×gで10分間遠心分離、上清をデカンテーションで捨てる作業を2回行い、菌体を洗浄した。得られた菌体を-80℃で一晩以上凍結し、凍結乾燥機(EYELA FDS-1000型、東京理化器械(株))で凍結乾燥した。実験は2連で行った。
ポリマー抽出
乾燥菌体を乳鉢によって破砕し、重量を測定した。乾燥菌体200-300 mgあたり5 mL程度のクロロホルムを添加し、ヒートブロックを用いて70℃で48時間抽出を行った。抽出後、フィルター(DISMIC(登録商標)-25HP、Advantec、PTFE、pore size 45μm)を用いて菌体を濾過し、ヒートブロックを用いて70℃で加熱し抽出液を乾固させた。抽出物が汚い場合は少量のクロロホルムで溶かした後、過剰量(約10倍以上)のヘキサンを加え、ポリマーを析出させた後ヘキサンを除き乾固させた。析出したポリマーの重量を実験前後の試験管重量から算出し、乾燥菌体重量からポリマーの蓄積率を算出した。
1H-NMR分析
試料濃度が5 mg/mLになるように、精製したポリマーを精密天秤で10 mg分採取し、0.05 vol% TMS含有重クロロホルム(富士フィルム和光純薬株式会社)約2 mLに添加した後、70 ℃で加熱しながら溶解させた。この分析サンプルをNMR専用試料管に規定量になるように入れ、JNM-AL400 (400 MHz)を用いて1H-NMR分析を行った。内部標準にはテトラメチルシラン(TMS)を用い、積算回数は20回で行なった。
粉砕した凍結乾燥コンブを2 wt%添加した培地でCobetia sp. 5-11-6-3株およびCobetia sp. 5-25-4-2株の培養を行った結果、どちらもポリマー様白色固体が確認された。そこで、得られたポリマー様固体を1H-NMR分析に供した結果、両菌株でP(3HB)を合成していると確認された(図5)。
この際のP(3HB)蓄積率は、5-11-6-3株で17.5 wt%、5-25-4-2株で28.3 wt%であった(表26)。また、培地に添加する乾燥コンブ量を2 wt%から5 wt%とした際、5-11-6-3株ではP(3HB)蓄積率が27.7 wt%と増加したが、5-25-4-2株では5.3 wt%へと減少した。培地に添加する乾燥コンブ量を増加させたにも関わらず、P(3HB)蓄積量が低下した原因として、乾燥コンブ添加量が増加すると植菌前の培地のpHが低下してしまう現象が一因と考えられたため、続いて培地のpHが乾燥コンブ添加培地でのP(3HB)合成量に与える影響について検討することとした。
乾燥コンブ添加培地におけるCobetia sp. 5-11-6-3株およびCobetia sp. 5-25-4-2 株によるP(3HB)合成
実施例5
<コンブを原料としたP(3HB)合成実験:培地pHの検討>
実験方法
培養
Cobetia sp. 5-11-6-3株またはCobetia sp. 5-25-4-2株をPHA合成用培地で培養した菌体を掻き取り、10 mLのPHA合成用液体培地(表22)に植菌し、30℃で2日間120 rpmで振盪培養し、種培養を行った。続いて、粉砕した乾燥コンブを5 wt%添加したPHA合成用液体培地(表25)を坂口フラスコに150 mL作成し、種培養液を3 mLずつ植菌した。この際、培地の初発pHをpH 5.0, 5.5, 6.0とした。植菌後、30℃で1日間120 rpmで振盪培養し、本培養した。なお、初発pHとは、培地調整後、オートクレーブ処理前に測定したpHである。
本培養後の培養液をキムワイプを用いてろ過し、海藻を分離した。その後菌液を遠沈管に移し、6,500×gで15分間遠心分離後、上清をデカンテーションで捨てた。この後、RO水で菌体を懸濁し、6,500×gで10分間遠心分離、上清をデカンテーションで捨てる作業を2回行い、菌体を洗浄した。得られた菌体を-80℃で一晩以上凍結し、凍結乾燥機(EYELA FDS-1000型、東京理化器械(株))で凍結乾燥した。実験は2連で行った。
ポリマー抽出
乾燥菌体を乳鉢によって破砕し、重量を測定した。乾燥菌体100 mgあたり5 mL程度のクロロホルムを添加し、ヒートブロックを用いて70℃で48時間抽出を行った。抽出後、フィルター(DISMIC(登録商標)-25HP、Advantec、PTFE、pore size 45μm)を用いて菌体を濾過し、ヒートブロックを用いて70℃で加熱し抽出液を乾固させた。抽出物が汚い場合は少量のクロロホルムで溶かした後、過剰量(約10倍以上)のヘキサンを加え、ポリマーを析出させた後ヘキサンを除き乾固させた。析出したポリマーの重量を実験前後の試験管重量から算出し、乾燥菌体重量からポリマーの蓄積率を算出した。
乾燥コンブを5wt%添加した培地の初発pHを変化させた結果、5-11-6-3株は、培地pHをpH 5.0とした際に最もP(3HB)蓄積率が高くなった(48.3 wt%)(表27)。また、5-25-4-2株では、pH 6.0でP(3HB)蓄積率が最大となった(50.0 wt%)。よって、5-11-6-3株と5-25-4-2株は、乾燥コンブを主原料としてもP(3HB)を合成可能であることが示された。
本発明はプラスチック工業分野において有用である。
配列番号1:微生物5-25-4-2株の16S rRNA遺伝子塩基配列
配列番号2:微生物5-11-6-3株の16S rRNA遺伝子塩基配列
配列番号3:微生物5-28-6-1株の16S rRNA遺伝子塩基配列
配列番号4:16S rRNA遺伝子増幅用プライマー
配列番号5:16S rRNA遺伝子増幅用プライマー
配列番号6:18S rRNA遺伝子増幅用プライマー
配列番号7:18S rRNA遺伝子増幅用プライマー

Claims (9)

  1. 受託番号NITE P-03085として寄託された微生物。
  2. 海藻を含む培地でアルギン酸資化能およびポリヒドロキシアルカン酸(PHA)合成能を有する微生物を培養して、海藻を炭素源としてPHA合成する工程(a)を含み、前記微生物が請求項1に記載の微生物である、海藻を原料とするPHAの製造方法。
  3. 前記海藻が褐藻類である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記褐藻類がコンブ目またはヒバマタ目に属する褐藻類である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 培養工程(a)が、培養開始前のpHが3.0~9.0の範囲の培地で実施される、請求項2~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 培養工程(a)で得られた培養物からPHAを抽出する工程(b)を更に含む、請求項2~のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記PHAが、3-ヒドロキシブタン酸モノマー単位を含む、請求項2~のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記PHAが、ポリ(3-ヒドロキシブタン酸)である、請求項に記載の製造方法。
  9. 請求項2~のいずれか一項に記載の方法を実施してポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を得る工程、および
    前記工程で得られたPHAを含むプラスチック製品を得る工程を含む、バイオプラスチック製品の製造方法。
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