JP7735697B2 - フィルム積層体 - Google Patents

フィルム積層体

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Description

本発明は、フィルム積層体に関する。
近年、電気、電子機器の高性能、高機能化に伴い、情報の高速通信対応が必要とされている。例えば、スマートフォンにおいては、5G(第五世代移動通信システム)の高速通信サービスの開始に伴い、民生分野だけではなく、産業分野(工場、自動車などの車両等)でも高速通信サービスが普及する状況にある。
5Gの高速大容量のデータ通信には、「ミリ波」(波長1~10mm、周波数30~300GHz)帯の電波が用いられる。ミリ波の長所としては、一度に送信できるデータが大容量であること、得られる画像が高精細化できること等が挙げられる。
一方で、回路基板に前記ミリ波のような高周波のデジタル信号を流すと、送信されたデジタル信号の一部が回路基板の配線上で熱として消費される誘電損失が起こり、減衰したデジタル信号として受信側に到達する、いわゆる「伝送損失」が発生する。そのため、使用する部材においても、伝送損失低減対策が必要とされる状況にある。前記伝送損失は、誘電損失と導体損失の総和であり、該誘電損失αは下記式(1)から算出される。
なお、fは周波数、cは光速、εは比誘電率、tanδは誘電正接である。
例えば、樹脂フィルムと銅箔で形成される柔軟な回路基板であるFPC(Flexible Printed Circuits)では、伝送損失低減として、樹脂フィルムには誘電損失αの低減が求められている。より具体的には、εやtanδを下げること、特にはtanδを下げる試みがなされている。
具体的には、FPCの材料として用いられるポリイミド(PI)に対して、誘電損失が約1/10である、液晶ポリマー(LCP)、誘電損失が約1/50である、シクロオレフィンポリマー(COP)、誘電損失が約1/100である、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられている(非特許文献1)。
しかしながら、LCP及びCOPは耐熱性が低いという問題があり、フッ素樹脂は銅箔などの他の部材との密着強度が低く、またUV吸収体の関係でUVレーザーによる穴あけ加工が困難であるとの問題がある。さらにフッ素樹脂は高価である。そこで、誘電損失が低く、かつ汎用性のある樹脂フィルムが要望されている。
汎用性が高い樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムが挙げられる。ポリエステルフィルムは、耐熱性、耐候性、機械的強度、透明性などに優れており、かつ、価格的にも入手し易いことから、包装材料、光学用途などの各種用途に使用されているが、低誘電特性に関してはあまり検討されていない。
例えば、特許文献1には、優れた低誘電特性を有するポリエステルフィルムとして、内部に5~45体積%の空洞を含有する積層二軸延伸ポリエステルフィルムが開示されている。空洞を含有することで、空隙(空気)を分散させることができ、低誘電率化や低誘電正接化を達成している。
ところで、今般、透明なフィルム上に、視認されない超微細金属メッシュ配線を形成した「透明アンテナフィルム」が検討されており、フィルムの誘電損失の低減、より具体的には、フィルムの低誘電率化や低誘電正接化が求められている。
前記ミリ波は、従来のマイクロ波に比べて近傍製品の影響を受けやすいため、アンテナ設置場所の自由度が低いといった課題や、電波の直進性が強いために従来以上の通信環境を確保するにはアンテナの設置数を増やすといった課題がある。
こうした課題に対して検討されている透明アンテナフィルムは、意匠性を損なうことがないため、モバイル機器のみならず、窓ガラスなどの建造物や車体のガラス等に貼付して5G電波を受信することができる。
特開2006-352470号公報
「高周波対応部材の開発動向と5G、ミリ波レーダーへの応用」、技術情報協会、第3章、第2節、p.77-84「高速、高周波対応FPCの開発動向と低伝送損失化」
上記特許文献1に記載の空洞含有積層二軸延伸ポリエステルフィルムは、異種材料を混合して空洞を形成するものであるが、このような場合、空洞のサイズあるいは異種材料の分散状態を制御することが難しく、例えば、異種材料の分散状態が不十分な場合には、所望する低誘電特性が得られないことがある。
さらに、使用する異種材料によっては、ポリエステルフィルム本来の透明性が得られない場合がある。それに加えて、空洞の界面で光が屈折することで、透明性が低下してしまう場合があった。
本発明で解決しようとする課題は、上記問題点を解決し、優れた低誘電特性及び透明性を有し、屋外使用可能なフィルム積層体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。本発明は、その一態様において以下の[1]~[23]を要旨とする。
[1]ポリエステル層(X)と、樹脂層(Y)とを備え、波長380nmにおける光線透過率が20%以下であり、前記ポリエステル層(X)は、2層以上の積層構成を有し、少なくとも一方の表層に、ジカルボン酸成分(a-1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a-2)として1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を有するポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを含む層Aを有する、フィルム積層体。
[2]前記ポリエステル層(X)と前記樹脂層(Y)との間に粘着層を有する、上記[1]に記載のフィルム積層体。
[3]前記粘着層の比誘電率が3.9以下である、上記[2]に記載のフィルム積層体。
[4]前記粘着層の厚みが、1~200μmである、上記[2]又は[3]に記載のフィルム積層体。
[5]前記ポリエステル層(X)の少なくとも一方の面側に硬化樹脂層(CFB)を有する、上記[1]~[4]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[6]前記硬化樹脂層(CFB)上に金属層を備える、上記[5]に記載のフィルム積層体。
[7]前記金属層がパターン化されている、上記[6]に記載のフィルム積層体。
[8]前記金属層が銅又は銀からなる、上記[6]又は[7]に記載のフィルム積層体。
[9]前記ポリエステル層(X)の前記硬化樹脂層(CFB)が積層された面とは反対の面側に、硬化樹脂層(CFA)を有する、上記[5]~[8]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[10]前記硬化樹脂層(CFA)及び前記硬化樹脂層(CFB)の少なくとも一方が、架橋剤を不揮発成分に対して70質量%以上含有する樹脂組成物から形成される、上記[5]~[9]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[11]前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートが、ジカルボン酸成分(a-1)として、イソフタル酸単位をさらに有する、上記[1]~[10]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[12]前記ポリエステル層(X)における前記層A以外の他の層が、ポリエチレンテレフタレートを含む、上記[1]~[11]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[13]前記層Aの28GHzにおける比誘電率が、3.0以下である、上記[1]~[12]のいずれかにに記載のフィルム積層体。
[14]前記層Aの28GHzにおける誘電正接が、0.0060以下である、上記[1]~[13]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[15]前記樹脂層(Y)が、ポリエステルフィルムである、上記[1]~[14]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[16]前記樹脂層(Y)が、紫外線吸収剤を含有する、上記[1]~[15]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[17]ヘーズが、4.0%以下である、上記[1]~[16]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[18]総厚みが、19~800μmである、上記[1]~[17]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[19]前記ポリエステル層(X)の総厚みが、9~300μmである、上記[1]~[18]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[20]前記樹脂層(Y)の厚みが、9~300μmである、上記[1]~[19]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[21]高速通信回路用である、上記[1]~[20]のいずれかに記載のフィルム積層体。
[22]透明アンテナフィルム用である、上記[21]に記載のフィルム積層体。
[23]屋外透明アンテナフィルム用である、上記[22]に記載のフィルム積層体。
本発明のフィルム積層体は、優れた低誘電特性を有するため、高速通信対応可能である。
さらに、本発明のフィルム積層体は、透明性にも優れているため、特に透明アンテナフィルム用部材として、好適である。また、フィルム積層体は、380nmにおける光線透過率が20%以下であり、優れた紫外線吸収性能を有するため、屋外使用も可能となる。
マイクロストリップラインの一例を示す模式断面図である。
本発明者は、高速通信回路用のような回路基板に高周波の電気信号を通過させると、電界強度は回路基板である導体配線の直下で最も大きくなるため、導体配線直下に配置されるフィルムを低誘電特性化、特には、低誘電正接化させることで、効率的に伝送損失を低減させられると考えた。
また、フィルム積層体を構成するポリエステル層(X)を低誘電特性化させて効率的に伝送損失を低減させることで、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表されるポリエステルフィルムが有する優れた耐熱性、耐候性、機械的強度、コストパフォーマンス性を損なうことがなく、汎用性の高いポリエステル層(X)を備えるフィルム積層体が提供できると考えた。
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明のフィルム積層体は、ポリエステル層(X)と、樹脂層(Y)とを備える。
<<ポリエステル層(X)>>
本発明のフィルム積層体を構成するポリエステル層(X)(以下、「本ポリエステル層(X)」とも称する)は、2層以上のポリエステル層を有する積層ポリエステルフィルムであり、少なくとも一方の表層にジカルボン酸成分(a-1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a-2)として1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を有するポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを含む層Aを有する。前記層Aの厚みが、ポリエステル層(X)の総厚みの10~70%であることが好ましく、28GHzにおける誘電正接が、0.0060以下であることが好ましい。
ポリエステル層(X)の「表層」とは、2層以上のポリエステル層を有するポリエステル層(X)の最も外側に配置される層を意味する。
なお、ポリエステル層(X)は2層以上のポリエステル層を積層させた積層フィルムであるが、ポリエステル層(X)と、樹脂層(Y)とが積層された構成を備える本発明のフィルム積層体とは、区別される。
本ポリエステル層(X)において、積層するポリエステル層の層数は、10層以下であることが好ましい。10層以下であれば、各層の厚みが十分となるため、製膜時の積層性が十分となり、フローマーク等が発生しにくくなり、フィルムの品質が十分保たれる。中でも製造コストを抑える観点から、2層以上3層以下が最も好ましい。
本ポリエステル層(X)は、2層以上のポリエステル層を有し、少なくとも一方の表層に前記ポリエステル層の少なくとも1つの層Aを有する。例えば、前記層A以外の他のポリエステル層を層Bとした場合、本ポリエステル層(X)は、層A及び層B以外のその他の層を有していてもよいが、製膜性、層間密着性の観点から、層Aと層Bのみから構成されていることが好ましい。
また、効率的に伝送損失を低減させる目的から、ポリエステル層(X)は層A/層Bの2層構成であればよいが、設備の汎用性を重視する場合は、層A/層B/層A又は層A/層B/層Bの3層構成であることが好ましい。
以下、本ポリエステル層(X)を構成する各ポリエステル層について詳細に説明するが、本発明に係る形態の一例として、少なくとも一方の表層のポリエステル層を層A、前記層A以外の他のポリエステル層を層Bとし、層A及び層Bのみから構成される場合を説明する。
なお、層Aと層Bは、同一のポリエステルからなる層であってもよいし、異なるポリエステルからなる層であってもよい。
<層A>
層Aは、本ポリエステル層(X)に低誘電特性を付与するためのポリエステル層であり、28GHzにおける誘電正接が0.0060以下であることが好ましい。層Aの誘電正接が0.0060以下であれば、リエステル層(X)全体の誘電正接を低下させることができ、十分な伝送損失の低減効果が得られる。以上の観点から、層Aの誘電正接は、より好ましくは0.0050以下、さらに好ましくは0.0045以下、よりさらに好ましくは0.0040以下である。下限値は、特に制限されないが、0.0010以上である。
また、同様の観点から、層Aの28GHzにおける比誘電率は、3.0以下であることが好ましく、2.9以下であることがより好ましく、2.8以下であることがさらに好ましい。下限値は、特に制限されないが、2.0以上である。
なお、層Aの誘電正接及び比誘電率は、実施例に記載の方法により測定した値である。
前記層Aの厚みは、ポリエステル層(X)の総厚みの10~70%であることが好ましい。前記層Aの厚みが10%以上であれば、十分な低誘電性が得られる。一方、前記層Aの厚みが70%以下であれば、耐熱性、耐候性、機械的強度等に十分であり、また汎用性に高く、コスト的にも有利である。
耐熱性、耐候性、機械的強度、コストなどのバランスや汎用性が良好であるとの観点から、層Aの厚みは、ポリエステル層(X)の総厚みの15~60%であることがより好ましく、20~50%であることがさらに好ましい。層Aの厚みは、ポリエステル層(X)を製造する際のポリエステル原料を押出すときの吐出量の比率によって調整することができる。
なお、層Aの厚みはSAICAS(登録商法)によりフィルムの斜め切削面を作成し、飛行時間型二次イオン質量分析機(TOF-SIMS)を用いて、イオンピーク強度データから層厚みを求めることができる。
また、本ポリエステル層(X)の総厚みは、9~300μmであることが好ましく、12~300μmであることがより好ましく、30~250μmであることがさらに好ましく、50~200μmであることがよりさらに好ましい。
総厚みが9μm以上であれば、フィルム強度が実用範囲内に保たれる。一方、総厚みが300μm以下であれば、モバイル機器等に組み込むことが容易である。
なお、ポリエステル層(X)の総厚みは、ポリエステル層(X)から一辺40mmの略正方形の試料片を切り出し、目量1/1000mmのダイヤルゲージにて、フィルム面内の任意の5箇所で厚みを測定し、その平均値を求めた。
上述のとおり、層Aは、低誘電特性を有するポリエステル層であり、低誘電特性を有するポリエステルを使用して形成することができる。
低誘電特性を有するポリエステルとしては、とりわけ、骨格としてナフタレン環やシクロヘキサン環等の環状構造を有するポリエステルを使用することが好ましい。前述の環状構造を有することで優れた低誘電特性を有する機構については、環状構造のスタッキングによって双極子運動を抑制することができ、低誘電正接化を図れるためだと推定している。
本発明において、層Aはジカルボン酸成分(a-1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a-2)として1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を有するポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを含むことを要する。上記のとおり、該ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートは、シクロヘキサン環状構造を有するため、低誘電特性に優れる。層Aに含まれるポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートは、骨格としてナフタレン環を有する単位をさらに含んでいてもよく、また、骨格としてナフタレン環やシクロヘキサン環等の環状構造を有する、低誘電特性を有するポリエステルをさらに含んでいてもよい。
前記ナフタレン環を有するポリエステルとしては、例えば、ジカルボン酸成分に、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等を含むポリエステルを挙げることができる。
また、前記ナフタレン環を有するポリエステルの前記ジカルボン酸成分は、該ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の主成分であることが好ましい。
なお、主成分とは、該ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分の中で最も含有割合の多い成分を意味し、好ましくは全ジカルボン酸成分中50モル%以上、より好ましくは全ジカルボン酸成分中70モル%以上を占める成分をいう。
ただし、前記ナフタレン環を有するポリエステルとしては、上記のものに制限されず、例えば、ジオール成分にナフタレン環を有していてもよい。
シクロヘキサン環を有するポリエステルとしては、例えば、ジオール成分に、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を含むポリエステルを挙げることができる。
また、前記シクロヘキサン環を有するポリエステルの前記ジオール成分は、該ポリエステルを構成するジオール成分の主成分であることが好ましい。
なお、主成分とは、該ポリエステルを構成する全ジオール成分の中で最も含有割合の多い成分を意味し、好ましくは全ジオール成分中50モル%以上、より好ましくは全ジオール成分中70モル%以上を占める成分をいう。
ただし、前記シクロヘキサン環を有するポリエステルとしては、上記のものに制限されず、例えば、ジカルボン酸成分にシクロヘキサン環を有していてもよい。
上述したとおり、層Aは、ジカルボン酸成分(a-1)としてテレフタル酸単位を、ジオール成分(a-2)として1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を有するポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを含むことを要する。層Aがポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを含むことにより、低誘電特性に優れ、かつ後述する層Bとの相関密着性を高めることができる。延伸加工性向上の観点から、前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートが、ジカルボン酸成分(a-1)として、さらに、イソフタル酸単位を有することが好ましい。
また、層Aが前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを含むことで、オリゴマーが析出・結晶化して起こるフィルム外観の白化による視認性低下抑制にも効果がある。
層Bとの層間密着性の観点から、ジカルボン酸成分(a-1)として、テレフタル酸単位を50モル%以上含有することがより好ましく、さらに好ましくは60モル%以上、特に好ましくは70モル%以上、とりわけ好ましくはジカルボン酸成分80モル%以上がテレフタル酸単位である。
また、延伸加工性の観点から、ジカルボン酸成分(a-1)として、さらにイソフタル酸単位を3モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは8モル%以上である。上限値は、結晶性の観点から、イソフタル酸単位は25モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下である。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートは、テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸成分を構成単位として含んでいてもよい。テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸成分(a-1)としては、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも成形性の観点から、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸が好ましい。これらのジカルボン酸成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸成分の含有量は、テレフタル酸及びイソフタル酸を含む全ジカルボン酸成分中10モル%以下であることが好ましい。
また、耐熱性及び延伸加工性の観点から、ジオール成分(a-2)として、1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を80モル%以上含有することがより好ましく、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくはジオール成分(a-2)の全て(100モル%)が1,4-シクロヘキサンジメタノール単位である。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを構成する、1,4-シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分(a-2)としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、ビスフェノール、スピログリコール、2,2,4,4,-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、イソソルバイド等が挙げられる。これらの中でも成形性の観点からエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。これらのジオール成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記1,4-シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分の含有量は、1,4-シクロヘキサンジメタノールを含む全ジオール成分中10モル%以下であることが好ましい。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えばチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物等が挙げられる。
オリゴマー成分の析出量を抑えるために、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルを原料としてフィルムを製造してもよい。オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えばポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
また、ポリエスエルは、エステル化もしくはエステル交換反応をした後に、さらに反応温度を高くして減圧下で溶融重縮合して得てもよい。
また、層Aには、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリエステル以外の他の樹脂を含むことができる。当該他の樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂(アラミド系樹脂を含む)、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、及び、フッ素系樹脂等が挙げられる。
層Aには、易滑性の付与及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有させることも可能である。粒子の種類は、易滑性の付与が可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、1種単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、通常5μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.01~3μmの範囲である。5μm以下であると、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎることがなく、後工程において各種の表面機能層を形成させる場合等に不具合が生じない。また、フィルムの透明性が十分となり好ましい。
なお、粒子の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)から算出される。
さらに、層A中の粒子含有量は、通常5質量%未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.0003~3質量%の範囲である。粒子が無い場合、あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり、透明性の点から良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるため、塗布層中に粒子を入れることにより、滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。一方、粒子含有量が5質量%未満であれば、フィルムの透明性が良好となる。
層A中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化又はエステル交換反応終了後、添加するのが好ましい。
なお、層A中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
<層B>
層Bを構成するポリエステルとしては、特に制限されるものではなく、下記のようなジカルボン酸成分(b-1)及びジオール成分(b-2)からなるものが挙げられる。
ジカルボン酸成分(b-1)としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
ジオール成分(b-2)としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノールA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウム等が挙げられる。
上記化合物の中から、それぞれ適宜1種以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステルを合成すればよい。
なお、層Bを構成するポリエステルは、前記層Aを構成するポリエステルと同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
上記ポリエステルのうち、耐熱性、耐候性、機械的強度、コストなどのバランスや汎用性向上の観点から、層Bには、ジカルボン酸成分(b-1)としてテレフタル酸単位を、ジオール成分(b-2)としてエチレングリコール単位を有するポリエチレンテレフタレートを含むことが好ましい。
結晶性及び耐熱性の観点から、ジカルボン酸成分(b-1)として、テレフタル酸単位を60モル%以上含有することがより好ましく、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、とりわけ好ましくはジカルボン酸成分(b-1)の全て(100モル%)がテレフタル酸単位である。
また、同様の観点から、ジオール成分(b-2)として、エチレングリコール単位を60モル%以上含有することがより好ましく、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、とりわけ好ましくはジオール成分(b-2)の全て(100モル%)がエチレングリコール単位である。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えばチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物等が挙げられる。
層Aと同様に、オリゴマー成分の析出量を抑えるために、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルを原料として層Bのフィルムを製造してもよい。オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えばポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
また、ポリエスエルは、エステル化もしくはエステル交換反応をした後に、さらに反応温度を高くして減圧下で溶融重縮合して得てもよい。
ポリエステル層(X)を構成する前記層A表面のオリゴマー析出量が、ポリエステル層(X)を構成する前記層B表面のオリゴマー析出量よりも少なくなる場合には、視認性低下抑制の観点からは、層A/層Bの2層構成や層A/層B/層Bの3層構成よりも層A/層B/層Aの3層構成が好ましい。
なお、層B中にも、層Aと同様、粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
<ポリエステル層(X)の製造方法>
本ポリエステル層(X)の製造方法について説明する。ただし、以下の説明はポリエステル層(X)を製造する方法の一例であり、かかる方法に限定されるものではない。
例えばポリエステル層(X)として二軸延伸フィルムを製造する場合、先に述べた、層Aおよび層Bのそれぞれ原料となるポリエステルを、複数の押出機を用いてダイから溶融シートとして共押出し、回転冷却ドラムで冷却固化して未延伸積層シートを得る方法が好ましい。この場合、積層シートの平面性を向上させるため積層シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法及び/又は液体塗布密着法が好ましく採用される。このようにして、未延伸積層シートを得る。
なお、原料となるポリエステルは、ペレットなどとして、適宜乾燥されたうえで押出機に供給されるとよい。また、粒子、紫外線吸収剤、その他の添加剤などは、適宜ペレットに配合されてもよい。
次に、前記方法により得られた未延伸積層シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、より好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、ポリエステル層(X)の製造に同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃で温度コントロールされた状態で長手方向及び幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4~50倍、好ましくは7~35倍、さらに好ましくは10~25倍である。
そして、引き続き、170~250℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式及びリニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
なお、フィルムの長手方向(MD)とは、フィルムの製造工程でフィルムが進行する方向、すなわちフィルムロールの巻き方向をいう。幅方向(TD)とは、フィルム面に平行かつ長手方向と直交する方向をいい、すなわち、フィルムロール状としたときロールの中心軸と平行な方向である。
<ポリエステル層(X)の物性>
本ポリエステル層(X)の28GHzにおける誘電正接は、0.0060以下であることが好ましい。誘電正接が0.0060以下であれば、十分な伝送損失の低減効果を得ることができる。以上の観点から、ポリエステル層(X)の誘電正接は、0.0058以下であることがより好ましく、0.0056以下であることがさらに好ましい。下限値は、特に制限されないが、0.0010以上である。
本ポリエステル層(X)の誘電正接が、かかる範囲であれば、本ポリエステル層(X)の低誘電特性が良好となり、高速通信回路用として好適に使用することができる。
なお、誘電正接は、層A及び層Bに使用するポリエステルや、ポリエステル層(X)の製膜及び延伸条件によって調整することができる。
本ポリエステル層(X)の28GHzにおける比誘電率は、3.5以下であることが好ましく、3.3以下であることがより好ましく、3.1以下であることがさらに好ましい。下限値は、特に制限されないが、2.0以上である。
本ポリエステル層(X)の比誘電率が、かかる範囲であれば、本ポリエステル層(X)の低誘電特性が良好となり、高速通信回路用として好適に使用することができる。
なお、ポリエステル層(X)の誘電正接及び比誘電率は、実施例に記載の方法で測定した値である。
本ポリエステル層(X)のヘーズは、4.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることがさらに好ましく、2.0%以下であることが特に好ましく、1.5%以下であることがとりわけ好ましく、1.0%以下であることが最も好ましい。下限値は、特に制限されないが、0.1%以上である。
ヘーズがかかる範囲にあれば、本ポリエステル層(X)が良好な透明性を有しているといえ、該ポリエステル層(X)を有するフィルム積層体を、特に透明アンテナフィルム用に好適に使用できる。
なお、ヘーズは実施例に記載の方法により測定した値である。
本ポリエステル層(X)の150℃、30分間熱処理後の熱収縮率は、長手方向(MD)及び幅方向(TD)のいずれも、-5~5%であることが好ましく、-3~3%であることがより好ましく、-2~2%であることがさらに好ましい。熱収縮率がかかる範囲であれば、フィルムとして十分な平面性及び耐熱性を有する。なお、熱収縮率は実施例に記載の方法により測定され、正の数値は収縮率であり、負の値は膨張率となる。
本ポリエステル層(X)の伝送損失低減率(%)は、実施例に記載のシミュレーションから得られた伝送損失(dB)を用いて以下のように算出した。
[伝送損失低減率(%)]=(1-[本ポリエステル層(X)を用いた場合の伝送損失(dB)]/[ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合の伝送損失(dB)])×100
伝送損失低減率は、5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。伝送損失低減率は高ければ高いほど好ましいが、5%以上であれば、低誘電特性化させた本ポリエステル層(X)を有するフィルム積層体を用いることで、効率的に伝送損失を低減させられるといえる。
<<樹脂層(Y)>>
本発明のフィルム積層体は樹脂層(Y)を有する。該樹脂層(Y)としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高分子を膜状に形成した樹脂フィルムを挙げることができる。また、フィルム化が可能であれば、これらの材料を混合したもの(ポリマーブレンド)や構成単位を複合化したもの(共重合体)であっても構わない。
上記例示したフィルムの中でも、ポリエステルフィルムは、耐熱性、平面性、光学特性、強度などの物性が優れており、特に好ましい。上記ポリエステルフィルムは単層でも、性質の異なる2以上の層を有する多層フィルム(すなわち、積層フィルム)でもよい。ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分樹脂とするフィルムである。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。したがって、二軸延伸ポリエステルフィルムがよりさらに好ましい。
<紫外線吸収剤>
本樹脂層(Y)は、紫外線吸収剤を含有するのが好ましい。紫外線吸収剤を含有することで、得られるフィルム積層体が屋外使用可能となる。さらに多層構成のポリエステルフィルムからなる場合、少なくとも一層のポリエステル層に紫外線吸収剤を含んでいるのがよい。さらに好ましくは紫外線吸収剤のブリードアウト防止の観点から、中間層(YA/YB/YC構成の場合にはYB層、YB/YA/YB構成の場合には、YA層)に紫外線吸収剤を含有することがさらに好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-オクチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-ノニルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-デシルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-アクリロイルオキシエトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等が例示される。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等が例示される。
ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)等が例示される。
これらの中で、塗布型偏光素子への到達光を効果的に抑制する観点から、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤の含有量の下限値は、耐光信頼性を向上させる観点から、紫外線吸収剤を含む基材フィルム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。
一方、紫外線吸収剤の含有量の上限値は、ブリードアウトを抑制し、耐黄変性を向上させる観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、特に好ましくは8質量部以下、最も好ましくは7質量部以下である。
樹脂層(Y)の厚みは、好ましくは9~300μmであり、より好ましくは12~250μm、その中でも特に25~125μmである。
<<硬化樹脂層>>
本発明のフィルム積層体は、上記ポリエステル層(X)の少なくとも一方の面側に硬化樹脂層(CFB)を有することが好ましく、樹脂層(Y)、ポリエステル層(X)、硬化樹脂層(CFB)の順に有することがより好ましい。また、本発明のフィルム積層体は、ポリエステル層(X)の、上記硬化樹脂層(CFB)が積層された面とは反対の面側に、硬化樹脂層(CFA)を有することが好ましく、樹脂層(Y)、任意に粘着層、硬化樹脂層(CFA)、ポリエステル層(X)の順に有することがより好ましい。特に、金属層(任意に含まれる層、後述する)に対する密着性向上を目的として、硬化樹脂層(CFB)を備えることが好ましい。前記硬化樹脂層(CFA)及び前記硬化樹脂層(CFB)の少なくとも一方が、より好ましくは硬化樹脂層(CFB)が、架橋剤を不揮発成分に対して70質量%以上含有する樹脂組成物から形成されることが好ましい。硬化樹脂層(CFA)および硬化樹脂層(CFB)の双方が、架橋剤を不揮発成分に対して70質量%以上含有する樹脂組成物から形成されることがより好ましい。
なお、硬化樹脂層(CFB)とポリエステル層(X)との間、ポリエステル層(X)と前記硬化樹脂層(CFA)との間、前記硬化樹脂層(CFA)と粘着層との間、または粘着層と樹脂層(Y)との間には、さらなる密着性向上などの機能付与のために、その他の層を有していてもよい。
前記架橋剤としては、種々公知の架橋剤が使用でき、例えば、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。
これらの中でも、硬化樹脂層上に金属層を設ける場合、耐久密着性が向上するという観点から、オキサゾリン化合物が好適に用いられる。
また、加熱によるフィルム表面へのオリゴマーの析出防止や、硬化樹脂層の耐久性向上という観点からは、メラミン化合物が好適に用いられる。
(オキサゾリン化合物)
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン及び2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限はなく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基及びシクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上のモノマーを使用することができる。
塗膜の耐久性向上の観点から、オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、好ましくは0.5~10mmol/g、より好ましくは3~9mmol/g、さらに好ましくは5~8mmol/gの範囲である。
(メラミン化合物)
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えばアルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール及びイソブタノール等が好適に用いられる。
また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えばエピクロロヒドリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン及びビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物や、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。
ポリエポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。ジエポキシ化合物としては、例えばネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。モノエポキシ化合物としては、例えばアリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル及びフェニルグリシジルエーテル等が、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)及びイソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物及びカルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネート又は脂環式イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール及びエチルフェノールなどのフェノール系化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール及びエタノールなどのアルコール系化合物;イソブタノイル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタムなどのラクタム系化合物;ジフェニルアニリン、アニリン及びエチレンイミンなどのアミン系化合物;アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム及びシクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
また、イソシアネート化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
(カルボジイミド化合物)
カルボジイミド化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物であるが、より良好な密着性等のために、分子内に2つ以上のカルボジイミド構造を有するポリカルボジイミド化合物がより好ましい。
カルボジイミド化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
カルボジイミド化合物に含有されるカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド当量(カルボジイミド基1molを与えるためのカルボジイミド化合物の重さ[g])で、通常100~1000、好ましくは250~700、より好ましくは300~500の範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上する。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩及びヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
(シランカップリング化合物)
シランカップリング化合物とは、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基などの加水分解基を有する有機ケイ素化合物である。例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有化合物;p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシランなどのスチリル基含有化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有化合物;トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート基含有化合物;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基含有化合物などが挙げられる。
これらの架橋剤は、単独でも2種以上の併用であってもよいが、2種以上併用することにより、加熱後のオリゴマーの析出防止性を向上させることができる。また、架橋剤を2種以上併用することにより、例えば、フィルム積層体が硬化樹脂層上にさらに金属層を有する場合に、硬化樹脂層と金属層との密着性を向上させることができる。その中でも、特に硬化樹脂層上の金属層との密着性を向上させられるオキサゾリン化合物と、加熱後のオリゴマーの析出防止性が良好なメラミン化合物との組み合わせが好ましい。
また、本フィルム積層体が、硬化樹脂層上にさらに金属層を有する場合に、硬化樹脂層と金属層との密着性をより向上させるためには、3種以上の架橋剤を組み合わせることがより好ましく、3種以上の架橋剤の組み合わせとしては、架橋剤の1つとしてメラミン化合物を選択することが好適であり、メラミン化合物と組み合わせる架橋剤としては、オキサゾリン化合物とエポキシ化合物、カルボジイミド化合物とエポキシ化合物がさらに好ましい。
少なくとも一方の硬化樹脂層を形成する樹脂組成物中の全不揮発成分に対する割合として、前記架橋剤は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。硬化樹脂層を形成する樹脂組成物中の全不揮発成分に対する架橋剤の割合が70質量%以上であれば、加熱後のオリゴマー析出防止性が良好となるため好ましく、本フィルム積層体が硬化樹脂層上にさらに金属層を有する場合には、硬化樹脂層と金属層との密着性が良好となるため好ましい。
硬化樹脂層(CFA)および硬化樹脂層(CFB)の双方について、硬化樹脂層を形成する樹脂組成物中の不揮発性成分に対する架橋剤の割合が上記範囲であることが好ましい。
前記樹脂組成物は、硬化樹脂層の外観の向上や、硬化樹脂層上に設けられ得る金属層との密着性向上等のために、本発明の主旨を損なわない範囲において、バインダー樹脂を含有することも可能である。
前記バインダー樹脂としては、従来公知のものを使用できるが、硬化樹脂層上に設ける層との密着性向上の観点から、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を使用することが好ましい。
また、前記樹脂組成物は、ブロッキング、滑り性改良を目的として、粒子を含有することも可能である。その平均粒径は、フィルムの透明性の観点から、1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。一方、滑り性をより効果的に向上させるために、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、特に好ましくは硬化樹脂層の膜厚よりも大きい範囲である。
なお、粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等が挙げられる。
さらに、本発明の主旨を損なわない範囲において、前記樹脂組成物には必要に応じて、架橋触媒、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することが可能である。
硬化樹脂層の膜厚(乾燥後)としては、0.003~1.0μmが好ましく、0.005~0.5μmがより好ましく、0.01~0.2μmがさらに好ましい。膜厚が1.0μm以下であれば、硬化樹脂層の外観や耐ブロッキング性が十分である。一方、膜厚が0.003μm以上であれば、フィルムから析出するオリゴマー析出量が少なく、良好となる。
前記樹脂組成物は、一般的に、水、有機溶剤、又はこれらの混合液により希釈されていることが好ましく、硬化樹脂層は、樹脂組成物の希釈液を、ポリエステル層(X)の表面に塗布液としてコーティングして、乾燥することにより形成するとよい。
本フィルム積層体においては、ポリエステル層(X)の少なくとも一方の面側に上記樹脂組成物をコーティングすることにより、硬化樹脂層(CFB)を、樹脂層(Y)、ポリエステル層(X)、硬化樹脂層(CFB)の順に形成するとよい。また、ポリエステル層(X)の両面に上記樹脂組成物をコーティングすることにより、ポリエステル層(X)の両表層上に前記硬化樹脂層(CFA)および硬化樹脂層(CFB)を形成するとよい。硬化樹脂層の形成方法としては、インラインコーティング及びオフラインコーティングが挙げられるが、インラインコーティングで行うことが好ましい。インラインコーティングは、ポリエステル層(X)製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、原料であるポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸積層シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のポリエステル層(X)の何れかにコーティングするが、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に幅方向(横方向)に延伸する方法が好ましい。
<硬化樹脂層の物性>
本発明のフィルム積層体が硬化樹脂層を有する場合には、加熱によるフィルム表面へのオリゴマーの析出防止にも効果がある。オリゴマーの析出を低減させることで、オリゴマーが析出・白化して起こるフィルム外観の白化による視認性低下を抑制することができる。さらに、本発明のフィルム積層体がさらに金属層を有する場合には、硬化樹脂層のオリゴマーの析出を低減させることにより、金属層との密着性を向上させることができる。
本発明のフィルム積層体における、少なくとも一方の硬化樹脂層表面のオリゴマー(エステル環状三量体)析出量は、0.50mg/m以下であることが好ましく、0.45mg/m以下であることがより好ましく、0.43mg/m以下であることがさらに好ましい。オリゴマー析出量が0.50mg/m以下であれば、表面にオリゴマーが析出・結晶化して起こるフィルム外観の白化による視認性の低下、後加工での欠陥の発生及び工程内や部材の汚染などがなく好ましい。下限値は特に制限されないが、0.01mg/m以上である。
硬化樹脂層表面のオリゴマー析出量は、使用するポリエステルや、ポリエステル層(X)の層構成から調整することができる。
なお、オリゴマー析出量は実施例に記載の方法により得られる値である。
<<粘着層>>
本発明のフィルム積層体は、上記ポリエステル層(X)と上記樹脂層(Y)との間に粘着層を有することが好ましい。該粘着層を構成する粘着剤組成物(「本粘着剤組成物」と称する)は、(メタ)アクリル系重合体(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、およびラジカル重合開始剤(C)を含むことが好ましい。
<(メタ)アクリル系重合体(A)>
上記(メタ)アクリル系重合体としては、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体の他、これと共重合可能なモノマー成分とを重合することにより得られる共重合体が挙げられる。共重合体としては、例えば、主成分として側鎖の炭素数が4~18のアルキル(メタ)アクリレート(a1)と、これと共重合可能なモノマー成分とを共重合したものが挙げられる。
上記主成分とは、(メタ)アクリル系重合体(A)の特性に大きな影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、(メタ)アクリル系重合体(A)全体の30質量%以上、好ましくは35質量%以上である。
また、上記(メタ)アクリル系重合体(A)は、加工性、粘着力、応力緩和性、耐熱信頼性、耐湿熱ヘーズ性を担保する観点から、ガラス転移温度の異なる(メタ)アクリル系重合体を2種以上含んでいてもよい。
上記側鎖の炭素数4~18のアルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の分岐アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)の含有量は、粘着シート又は粘着層としたときの応力緩和性や耐熱信頼性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)の成分全体に対して3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、特に好ましくは10質量%以上、最も好ましくは12質量%以上である。
また、上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)の含有量は、粘着力が低下を抑制する観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)の成分全体に対して80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは65質量%以下である。
上記側鎖の炭素数が4~18のアルキル(メタ)アクリレート(a1)と共重合可能なモノマー成分としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)、側鎖の炭素数が1~3の(メタ)アクリレートモノマー又はビニルエステル系モノマー(a3)、官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)、その他の共重合性モノマー(a5)等が挙げられる。
上記水酸基含有モノマー(a2)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記水酸基含有モノマー(a2)の中でも、耐湿熱性と耐熱性のバランスに優れる点で、1級水酸基含有モノマー、特に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、とりわけ2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a2)の含有量の下限値は、耐湿熱性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)の成分全体に対して、通常3質量%以上であり、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは12質量%以上である。
一方、上記水酸基含有モノマー(a2)の含有量の上限値は、粘着剤組成物の自己架橋反応を抑制し、加工性や耐熱信頼性を向上させる観点から通常60質量%以下であり、45質量%以下が好ましく、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
側鎖の炭素数が1~3の(メタ)アクリレートモノマー又はビニルエステル系モノマー(a3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。これらのモノマー(a3)は単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記(a3)成分の中でも、粘着剤として使用した場合の凝集力向上の観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
上記(a3)成分を含有する場合の含有量の下限値は、粘着剤として使用した場合の凝集力向上の観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)の成分全体に対して、5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。また、上記(a3)成分を含有する場合の含有量の上限値は、加工性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)の成分全体に対して、40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、窒素原子を有する官能基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられる。
これらの中でも、凝集力や架橋促進作用を付与する点で、窒素原子を有する官能基含有モノマーが好ましく、より好ましくはアミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマーであり、さらに好ましくはアミノ基含有モノマーである。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド、N,N-ジアリル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。イソシアネート基はメチルエチルケトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、マロン酸ジエチル等のブロック化剤で保護されていてもよい。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これらの官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)の含有量の上限値は、粘着剤組成物の耐熱性や耐光性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)の成分全体に対して、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
本発明においては、アクリル系樹脂の共重合成分として、その他の共重合性モノマー(a5)を必要に応じて用いることができる。
上記その他の共重合性モノマー(a5)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーや、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン及びこれらの混合物等のベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のビニル系モノマーが挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体(A)は、側鎖に重合性炭素二重結合基が導入されていてもよい。これにより、本粘着剤組成物の架橋感度を高めることができ、より低エネルギーの活性エネルギー線照射により本粘着剤組成物を架橋し、凝集力や耐熱性を付与することができる。
(メタ)アクリル系重合体(A)の側鎖に重合性炭素二重結合基を導入する方法としては、例えば、上述した水酸基含有モノマー(a2)や官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)を含む共重合体を作製し、その後、これらの官能基と反応しうる官能基と重合性炭素二重結合基とを有する化合物(a6)を、重合性炭素二重結合基の活性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
これらの官能基の組み合わせとしては、エポキシ基(グリシジル基)とカルボキシル基、アミノ基とカルボキシル基、アミノ基とイソシアネート基、エポキシ基(グリシジル基)とアミノ基、水酸基とエポキシ基、水酸基とイソシアネート基等が挙げられる。これらの官能基の組み合わせの中でも、反応制御のし易さから水酸基とイソシアネート基との組み合わせが好ましい。中でも共重合体がヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する組み合わせが好適である。
重合性炭素二重結合基を有するイソシアネート化合物としては、上述した2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
前記化合物(a6)の添加量は、粘着性や応力緩和性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、10部以下であることが好ましく、より好ましくは8部以下、さらに好ましくは5部以下、特に好ましくは3部以下である。
(メタ)アクリル系重合体(A)の質量平均分子量は、凝集力の高い粘着剤組成物が得られる観点から、10万以上であるのが好ましく、30万以上であるのがより好ましく、50万以上であるのがさらに好ましい。
また、(メタ)アクリル系重合体(A)の質量平均分子量の上限値は、流動性や応力緩和性の高い粘着剤組成物が得られる観点から、200万以下であるのが好ましく、150万以下であるのがより好ましく、100万以下であるのがさらに好ましい。
<多官能(メタ)アクリレート(B)>
多官能(メタ)アクリレート(B)は、本粘着剤組成物に架橋構造を形成する化合物乃至組成物であり、2以上の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーや(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。
本粘着剤組成物が、多官能(メタ)アクリレート(B)を含むことにより、本粘着剤組成物が架橋構造を形成し、本粘着シートに凝集力や耐久性を付与することができる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)クリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
中でも、硬化物に適度な靭性を付与する観点から、(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、その中でも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリル系モノマーがより好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーの分子量は、硬化物に適度な柔軟性を付与する観点から、200以上が好ましく、300以上がより好ましく、400以上がさらに好ましく、500以上が特に好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。
中でも、硬化物に適度な靭性を付与する観点から、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーの分子量は、硬化物に適度な柔軟性を付与する観点から、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、8000以上がさらに好ましく、10000以上が特に好ましい。
多官能(メタ)アクリレート(B)の含有量は、粘着シートの形状安定性や、積層体としたときの耐久性を付与することができる観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましく、10質量部以上が特に好ましい。
多官能(メタ)アクリレート(B)の含有質量の上限値に関しては、粘着性を担保する観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
<ラジカル重合開始剤(C)>
ラジカル重合開始剤は、光等の活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光ラジカル重合開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光ラジカル重合開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光ラジカル重合開始剤と、に大別される。
これらのうちの開裂型光ラジカル重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると反応開始剤としての機能をもたなくなる。このため、架橋反応が終了した後の粘着剤中に活性種として残存することがなく、粘着剤に予期せぬ光劣化等をもたらす可能性がないため、好ましい。
他方、水素引抜型光ラジカル重合開始剤は、複数回光照射されても反応開始剤としての機能を維持することができるばかりか、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光ラジカル重合開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着体へのダメージを低減させることができる点で有用である。
光ラジカル重合開始剤を用いる場合は、例えば380nm~700nmの波長領域の光線の照射によって、ラジカルを発生させて本粘着剤組成物の架橋反応の起点となる開始剤であるのが好ましい。
前記開裂型光ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシ酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイドや、それらの誘導体などを挙げることができる。
この中でも、反応後に分解物となり消色する観点から、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光開始剤が好ましい。
前記水素引抜型光ラジカル重合開始剤としては、例えばビス(2-フェニル-2-オキソ酢酸)オキシビスエチレン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]エチルエステルとオキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]エチルエステルの混合物、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、カンファーキノンやその誘導体などを挙げることができる。
この中でも、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]エチルエステルとオキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]エチルエステルの混合物からなる群より選択される何れか1種又は2種以上であるのが好ましい。
なお、光ラジカル重合開始剤は、上記に挙げた物質に限定するものではない。上記に挙げた光ラジカル重合開始剤のうちのいずれか一種又はその誘導体を使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。熱ラジカル重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤(C)の含有量は特に制限されるものではないが、重合反応を十分に進行させて、粘着シートの形状安定性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、1.5質量部以上が特に好ましい。
また、ラジカル重合開始剤(C)の含有量の上限値は、粘着性を担保する観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましく、4質量部以下が特に好ましい。
本粘着剤組成物は、例えば有機溶剤に希釈したのち、離型フィルム上に塗布し、乾燥させて、粘着シートとすることができる。当該粘着シートを、ポリエステル層(X)と樹脂層(Y)との間に、本発明のフィルム積層体が硬化樹脂層(CFA)を有する場合には硬化樹脂層(CFA)上に積層させた後、露光して用いることができる。
本粘着剤組成物が活性エネルギー線硬化性を有する場合、硬化樹脂層(CFA)上に粘着シートを積層した後、又は本粘着シート上に樹脂層(Y)を積層させた後に、光照射して本組成物を硬化させることで、硬化樹脂層(CFA)と樹脂層(Y)とがより強固に密着することから、積層体の信頼性を向上することができる。用いる光源は、フィルムへのダメージ抑制や反応制御の観点から紫外線及び可視光線が好適である。
照射時間や照射手段に関しては特に限定されないが、ポリエステル層(X)の硬化樹脂層(CFA)面とは反対面(硬化樹脂層(CFB)面)から光照射するのが好ましい。
また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などに関しては特に限定されず、開始剤を活性化させて(メタ)アクリレート成分を重合できればよい。
粘着層の厚みは、ポリエステル層(X)を保護する観点から1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましく、20μm以上が特に好ましい。一方、厚さの上限値は、フィルム積層体の薄肉化に寄与する観点から200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
粘着層は、その比誘電率が3.9以下であり、且つ段差吸収性を有することが好ましい。
粘着層の比誘電率が3.9以下であれば、フィルム積層体が有するポリエステル層(X)の優れた低誘電特性を損なうことがないため好ましい。粘着層の比誘電率は、好ましくは3.8以下である。
粘着層の比誘電率は、実施例に記載の方法により測定した値である。
(粘着層の貼合方法)
上記したとおり、粘着層は好ましくは段差吸収性を有する。本発明フィルム積層体において、例えば、硬化樹脂層(CFA)上にアンテナ配線を設けた面に貼合する場合、予め、粘着層を熱処理などにより、一次硬化させておくことが好ましい。粘着層を一次硬化させることにより、アンテナ配線の段差部に粘着層を十分追従させることができる。また、粘着層を一次硬化により柔軟すぎることのない程度に架橋することで、段差部に追従して気泡などを発生させることなく、アンテナ配線の隅々まで粘着層が十分に追従し、かつ段差部による応力を緩和することができ、さらには、段差部に接する部分が、高温高湿環境下に晒されたり、急激な温度変化に晒されたりしても、貼合界面での発泡や剥離が生じないようにできる。そして、貼合後、さらに二次硬化させることで、所望する粘着力を発現できる。
上述の通り、二段階の硬化方式を採用することで、粘着層自体に段差吸収性を付与することができる。
<<金属層>>
本発明のフィルム積層体は、前記硬化樹脂層(CFB)上に金属層を有していてもよく、たとえば、樹脂層(Y)、ポリエステル層(X)、硬化樹脂層(CFB)、金属層の順に有していてもよい。なお、前記硬化樹脂層(CFB)と金属層との間には、その他の層をさらに有していてもよい。
金属層は、金属を主成分として含有する層である。ここでいう、主成分とは、金属層の50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上を金属が占めるという意味である。
使用する金属に関しては、銅、銅合金、銀、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金などが挙げられるが、電磁波遮蔽特性の観点から、銅、銀が好ましく、柔軟性(フレキシブル性)の観点から、銅がより好ましい。
金属層は、フィルム積層体が有する透明性を保持する観点から、例えば、メッシュ形状やワイヤー形状のようにパターン化されていることが好ましい。
金属層の厚みは、0.001~30μmが好ましく、さらに好ましくは0.01~20μm、特に0.01~15μm、その中でも0.01~10μmであることがより好ましい。金属層の厚みが上記下限値以上であると、導電性が十分に担保され、上記上限値以下であると金属層を設けた際に視認性を低減することができるため好ましい。
金属層は蒸着、スパッタにより設ける、あるいは金属箔の形態で設けてもよく、目的に応じて、適宜選択できる。
なお、金属層の厚みはサンプル断面を電子顕微鏡で観察する方法により、測定できる。
<<フィルム積層体>>
本発明のフィルム積層体は、ポリエステル層(X)と、樹脂層(Y)とを備える。本発明のフィルム積層体は、上記ポリエステル層(X)および樹脂層(Y)の他に、硬化樹脂層(CFB)、硬化樹脂層(CFA)および/または粘着層をさらに備えることが好ましく、硬化樹脂層(CFB)と、ポリエステル層(X)と、硬化樹脂層(CFA)と、粘着層と、樹脂層(Y)とを順次積層した構成を有することがより好ましい。
(光線透過率)
本実施形態のフィルム積層体は、380nmにおける光線透過率が20%以下であることを要する。フィルム積層体の380nmにおける光線透過率が20%を超えると、屋外用途に適さない。
本実施形態のフィルム積層体の380nmにおける光線透過率は、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下である。
(フィルム積層体の厚み)
以上説明したとおりポリエステル層(X)と、樹脂層(Y)とを備え、任意に、硬化樹脂層(CFB)、硬化樹脂層(CFA)および/または粘着層をさらに備える本発明のフィルム積層体は、19~800μmの総厚みを有することが好ましい。フィルム積層体の総厚みが19μm以上であれば、強度が実用範囲内に保たれるため好ましい。フィルム積層体の総厚みが800μm以下であれば、モバイル機器等に組み込むことが容易となるため好ましい。
本発明のフィルム積層体の総厚みは、より好ましくは30~750μm、さらに好ましくは50~700μm、よりさらに好ましくは100~500μm、特に好ましくは200~400μmである。
(ヘーズ)
本発明のフィルム積層体は、4.0%以下のヘーズ値を有することが好ましい。ヘーズ値が4.0%以下であれば、フィルム積層体は優れた透明性を有することができる。
本発明のフィルム積層体は、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.5%以下、よりさらに好ましくは2.0%以下、特に好ましくは1.8%以下、最も好ましくは1.6%以下のヘーズ値を有する。
<<用途>>
本発明のフィルム積層体は、透明性を損なわず、優れた低誘電特性を有する。
したがって、高速通信回路用に好適に用いることができる。高速通信回路用途としては、樹脂フィルムと銅箔で形成される柔軟な回路基板であるFPC(Flexible Printed Circuits)や、透明なフィルム上に視認されない超微細金属メッシュ配線を形成した透明アンテナフィルム等が挙げられる。中でも、高い透明性が求められる透明アンテナフィルム用として好適に用いることができる。
さらには、本発明のフィルム積層体は、380nmにおける光線透過率が低く、紫外性吸収性能が良好であるため、屋外使用可能な透明アンテナフィルム用としても好適である。
<<語句の説明など>>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
(1)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)硬化樹脂層(CFA)とポリエステル層(X)と硬化樹脂層(CFB)との順に積層した積層体(以下、硬化樹脂層付きポリエステルフィルムということがある)の誘電正接と比誘電率、並びに粘着層の誘電比率
実施例及び比較例で用いられた、硬化樹脂層付きポリエステルフィルムについて、株式会社エーイーティー社製の誘電率測定システム(空洞共振器(TEモード)、制御ソフトウェア、ベクトルネットワークアナライザMS46122B(アンリツ株式会社製))を用いてJIS R1641:2007に準じて、周波数28GHzにおける誘電正接及び比誘電率を、粘着層については比誘電率を測定した。
(3)層Aおよび層Bの誘電正接と比誘電率(ポリエステル層(X))
層Aの原料を小型二軸スクリュー押出機に投入し、300℃で溶融押出を行い、厚さ200μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、バッチ式小型ニ軸延伸機によって、100℃で3.0×3.0の倍率で延伸し、二軸延伸フィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルについて、上記と同様の方法を用いて、周波数28GHzにおける層Aの誘電正接及び比誘電率を測定した。結果を表1に示す。
層Bについても、層Aと同様にフィルムサンプルを得て、周波数28GHzにおける誘電正接と比誘電率を測定した。同様に、結果を表1に示す。
(4)ポリエステル層(X)およびフィルム積層体のヘーズ
JIS K7136:2000に準拠し、日本電色工業(株)製ヘーズメーター DH-2000を用いて測定した。
(5)熱収縮率(ポリエステル層(X))
1.5cm×15cmの試料フィルムを無張力状態で所定の温度(150℃)に保った熱風式オーブン中、30分間熱処理を施し、その前後の試料フィルムの長さを測定して下記式にて算出した。なお、フィルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)のそれぞれについて測定した。
熱収縮率(%)={(熱処理前のサンプル長)-(熱処理後のサンプル長)}÷(熱処理前のサンプル長)×100
(6)シミュレーションによる伝送損失評価(ポリエステル層(X))
フィルム回路基板上のパターンとして、マイクロストリップラインにて、特性インピーダンスが50Ωとなる適切な線路幅(50Ω線路幅)と伝送損失(挿入損失、S21)を求める電磁界シミュレーションを実施した。
シミュレーションモデルとして、ポリエステルフィルム(基板)の厚みを125μmとした。なお、シミュレーションに使用したポリエステル層(X)の28GHzにおける比誘電率及び誘電正接は、表1に記載のとおりである。
また、ポリエステル層(X)からなる基板上に金属層(銅箔、厚み18μm、表面粗さ(Rz)1.0μm、線路長100mm)を積層したシミュレーションモデルを作製した。
電磁界シミュレーションは、特性インピーダンスを50Ω、周波数を28GHzとする条件で行った。
図1は、マイクロストリップラインの一例を示す断面図である。マイクロストリップライン10は、基板11と、金属層からなるマイクロストリップ線路12と、金属層からなるグランド面13とを有する。
(7)加熱による硬化樹脂層表面のオリゴマー(エステル環状三量体)析出量
実施例および比較例のフィルム積層体を構成する、硬化樹脂層(CFA)および硬化樹脂層(CFB)のそれぞれについて、縦300mm、横225mmのサイズの試料サンプルとして、所定の温度(180℃)に保った熱風式オーブン中、120分間熱処理を施した。熱処理後、測定面を内面として、縦200mm、横125mmの上部が開いている箱型の形状を作製した。
次いで、上記の箱型形状の中にDMF(ジメチルホルムアミド)10mLを入れて3分放置した後、DMFを回収し、液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製:LC-7A 移動相A:アセトニトリル、移動相B:2%酢酸水溶液、カラム:三菱ケミカル株式会社製「MCI GEL ODS 1HU」、カラム温度:40℃、流速:1mL/分、検出波長:254nm)に供給して、DMF中のエステル環状三量体量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、硬化樹脂層表面のオリゴマー(エステル環状三量体)量(mg/m)とした。DMF中のエステル環状三量体は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
なお、標準試料は、予め分取したエステル環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し、作製した。
硬化樹脂層(CFA)および硬化樹脂層(CFB)それぞれの表面オリゴマー量は以下の通りである。
(CFA面)0.21(mg/m)/(CFB面)0.43(mg/m
(8)フィルム積層体の380nmにおける光線透過率
実施例及び比較例で作製したフィルム積層体の波長域380nmにおける光線透過率を分光光度計(島津製作所株式会社製;機器名「UV2450」)にて測定した。
<使用した材料>
[ポリエステル原料]
原料A:ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(ジカルボン酸成分:テレフタル酸(TPA)/イソフタル酸(IPA)(モル比)=92/8、ジオール成分:1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)100モル%)(固有粘度=0.80dl/g)
原料B:ホモポリエチレンテレフタレート(固有粘度=0.64dl/g)
原料C:ホモポリエチレンテレフタレート(固有粘度=0.585dl/g)
原料D:ホモポリエチレンテレフタレートに、平均粒径3μmのシリカ粒子を0.7質量%配合したマスターバッチ(固有粘度=0.590dl/g)
原料E:ホモポリエチレンテレフタレートに、紫外線吸収剤(サンケミカル社製、サイアソーブUV-3638F)を10質量%配合したマスターバッチ(固有粘度=0.610dl/g)
[硬化樹脂層]
硬化樹脂層を形成するための樹脂組成物としては下記を用いた。
(A1):ヘキサメトキシメチロールメラミン
(A2):オキサゾリン化合物であるエポクロス(株式会社日本触媒製) オキサゾリン基量7.7mmоl/g
(A3):ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
(B1):平均粒径0.07μmのシリカ粒子
また、実施例で用いた塗布液の組成は表2に示すとおりである。
[粘着層]
[(メタ)アクリル系重合体(A)]
・2-エチルヘキシルアクリレート(a1):65質量%、メチルアクリレート(a3):6質量%、エチルアクリレート(a3):11質量%、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a2):13質量%、4-ヒドロキシブチルアクリレート(a2):5質量%を共重合させたもので、GPC測定による前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーのMwは900000であった。
[多官能(メタ)アクリレート(B)]
・ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート(新中村化学社製、APG-700)
[ラジカル開始剤(C)]
・2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(IGM Resins社製、Omnirad TPO H)
[その他]
・溶剤:酢酸エチル
・シランカップリング剤:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製、KBM-403)
・防錆剤:1,2,3-トリアゾール
(粘着シートの作製)
上記(メタ)アクリル系重合体(A)溶液(希釈溶剤:酢酸エチル 固形分濃度:50質量%)を200質量部、上記多官能(メタ)アクリレート開始剤(B)を25質量部、上記ラジカル開始剤(C)を3質量部、シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製、KBM-403)を0.3質量部、防錆剤である1,2,3-トリアゾールを0.3質量部及び酢酸エチル101質量部を均一混合し、粘着剤樹脂組成物を作製した。
シリコーン離型処理された厚さ100μmの離型フィルム(三菱ケミカル社製 ダイアホイルMRV(V04))上に、溶剤乾燥後の粘着剤組成物の厚みが100μmとなるようにシート状に展開した。
次に、離型フィルムと共に当該シート状の粘着剤組成物を、95℃に加熱した乾燥機内に入れて10分保持し、粘着剤組成物が含有する溶剤を揮発させた。
さらに、溶剤を乾燥させた当該シート状の粘着剤組成物の上に、シリコーン離型処理された、厚さ75μmの離型フィルム(三菱ケミカル社製 ダイアホイルMRQ)を積層して積層体を形成し、高圧水銀ランプを用いて、離型フィルムを越しに前記粘着剤組成物に対して、波長365nmの積算照射量が1000mJ/cm、波長405nmの積算照射量が1400mJ/cmとなるように光照射を行い、表裏両側に離型フィルムが積層された離型フィルム付き粘着シート(粘着シート厚み:100μm)を得た。
(樹脂層(Y))
二軸延伸ポリエステルフィルム(Y1)(紫外線吸収剤入り)
表層の原料として原料B及びDを質量比92:8で混合し、中間層の原料として原料B、C及びEを質量比25:69:6で混合した。
表層及び中間層の各混合原料をそれぞれ別の二軸スクリュー押出機に投入し、それぞれ280℃で共押出をして、25℃に設定した冷却ロール上で冷却固化させることで、2種3層(表層/中間層/表層)の未延伸フィルムを得た。
次いで、得られた未延伸フィルムをロール延伸機で長手方向(MD)に85℃で3.3倍に延伸した。さらに、テンター内にて80℃で予熱した後、幅方向(TD)に110℃で3.6倍に延伸した。最後に200℃で熱処理を施し、厚み50μm(各表層:2.5μm、中間層:45μm)の二軸延伸ポリエステルフィルム(Y1)を得た。
二軸延伸ポリエステルフィルム(Y2)(紫外線吸収剤なし)
表層の原料として原料B及びDを質量比91:9で混合し、中間層の原料として原料B及びCを質量比61:39で混合した。
表層及び中間層の各混合原料をそれぞれ別の二軸スクリュー押出機に投入し、それぞれ280℃で共押出をして、25℃に設定した冷却ロール上で冷却固化させることで、2種3層(表層/中間層/表層)の未延伸フィルムを得た。
次いで、得られた未延伸フィルムをロール延伸機で長手方向(MD)に85℃で3.5倍に延伸した。さらに、テンター内にて80℃で予熱した後、幅方向(TD)に124℃で4.6倍に延伸した。最後に237℃で熱処理を施し、厚み50μm(各表層:2.5μm、中間層:45μm)の二軸延伸ポリエステルフィルム(Y2)を得た。
(ポリエステル層(X))
原料Aを層Aの原料とし、原料Bを層Bの原料とした。そして、表層の原料として上記層Aの原料Aを、中間層の原料として原料Bを、もう一方の表層の原料として原料Bを、それぞれ別に二軸スクリュー押出機に投入し、層Aは290℃、層Bは280℃で共押出をして、15℃に設定した冷却ロール上で冷却固化させることで、層A/層B/層Bの2種3層の未延伸積層シートを得た。
次いで、得られた未延伸積層シートをロール延伸機で長手方向(MD)に88℃で3.0倍に延伸した。さらに、膜厚(乾燥後)が0.04μmになるように前記塗布液を塗布した後、テンター内にて120℃で予熱した後、幅方向(TD)に130℃で3.7倍に延伸した。最後に250℃で熱処理を施し、厚み125μm(層A/層B/層B=50/50/25(μm))の硬化樹脂層付き二軸延伸ポリエステル層(X)を得た。
得られた硬化樹脂層付きポリエステル層(X)の特性は、上記の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
上記ポリエステル層(X)の作製方法において、長手方向(MD)延伸後、幅方向(TD)延伸前に、一軸延伸積層ポリエステルフィルムの両面に、膜厚(乾燥後)が0.04μmになるように上記した硬化樹脂層を形成する樹脂組成物の塗布液を両面に塗布した後、上記した通りの条件で幅方向の延伸・熱処理を行うことにより、膜厚(乾燥後)が0.04μmの硬化樹脂層(CFA)、ポリエステル層(X)および膜厚(乾燥後)が0.04μmの硬化樹脂層(CFB)の順に積層した、二軸延伸積層ポリエステルフィルム(硬化樹脂層付きポリエステルフィルム)を得た。
(実施例1)
作製した離型フィルム付き粘着シートから、厚さ75μmの離型フィルム(MRQ75)を剥離して、上記のとおり作製した、硬化樹脂層付きポリエステルフィルムの硬化樹脂層(CFA)面と粘着シートとを貼りわせた。
さらに、ポリエステル層(X)に積層させた粘着シートから、厚さ100μmの離型フィルム(MRV100(V04))を剥離して粘着層を形成した後、露出する粘着層表面に二軸延伸ポリエステルフィルム(Y1)を貼合して、フィルム積層体を得た。得られたフィルム積層体の特性は、上記の方法により評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例1)
実施例1で用いた二軸延伸ポリエステルフィルム(Y1)を、二軸延伸ポリエステルフィルム(Y2)に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、フィルム積層体を得た。得られたフィルム積層体の特性は、上記の方法により評価した。評価結果を下記表4に示す。
実施例1及び比較例1の結果から、本発明のフィルム積層体は380nmにおける光線透過率が低いため紫外性吸収性能が良好であり、またヘーズ値が低く、透明性が高いことがわかる。
さらに構成部材として用いる、ポリエステル層(X)は、伝送損失の低減率が高く、汎用樹脂であるポリエチレンテレフタレートを用いたフィルム構成であるため、かかるポリエステル層(X)を有するフィルム積層体は、低誘電特性フィルムとしての可能性が期待できる。また、フィルムを構成する硬化樹脂層表面からのオリゴマー(主としてポリエステルフィルム由来の環状三量体)析出量が低いため、本発明のフィルム積層体は、前記オリゴマー析出に伴う、異物付着のリスクが小さく、視認性良好であり、かつ屋外使用も可能であり、透明アンテナフィルム用部材として好適である。
本発明のフィルム積層体は紫外線吸収性能を有するとともに、高い透明性と高い耐屈曲性とを有する。また、本発明のフィルム積層体は、優れた低誘電特性および透明性を有するポリエステル層を有することから、高速通信回路用途として、屋外使用も可能であり、透明アンテナフィルム用部材として非常に有用である。
10 マイクロストリップライン
11 基板
12 マイクロストリップ線路
13 グランド面

Claims (21)

  1. ポリエステル層(X)と、樹脂層(Y)とを備え、
    波長380nmにおける光線透過率が20%以下であり、
    ヘーズが、4.0以下であり、
    前記ポリエステル層(X)は、2層以上の積層構成を有し、少なくとも一方の表層に、ジカルボン酸成分(a-1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a-2)として1,4-シクロヘキサンジメタノール単位を有するポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを含む層Aを有し、
    前記層Aの28GHzにおける誘電正接が、0.0060以下である、フィルム積層体。
  2. 前記ポリエステル層(X)と前記樹脂層(Y)との間に粘着層を有する、請求項1に記載のフィルム積層体。
  3. 前記粘着層の比誘電率が3.9以下である、請求項2に記載のフィルム積層体。
  4. 前記粘着層の厚みが、1~200μmである、請求項2又は3に記載のフィルム積層体。
  5. 前記ポリエステル層(X)の少なくとも一方の面側に硬化樹脂層(CFB)を有する、請求項1~4のいずれかに記載のフィルム積層体。
  6. 前記硬化樹脂層(CFB)上に金属層を備える、請求項5に記載のフィルム積層体。
  7. 前記金属層がパターン化されている、請求項6に記載のフィルム積層体。
  8. 前記金属層が銅又は銀からなる、請求項6又は7に記載のフィルム積層体。
  9. 前記ポリエステル層(X)の前記硬化樹脂層(CFB)が積層された面とは反対の面側に、硬化樹脂層(CFA)を有する、請求項5~8のいずれかに記載のフィルム積層体。
  10. 前記硬化樹脂層(CFA)及び前記硬化樹脂層(CFB)の少なくとも一方が、架橋剤を不揮発成分に対して70質量%以上含有する樹脂組成物から形成される、請求項5~9のいずれかに記載のフィルム積層体。
  11. 前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートが、ジカルボン酸成分(a-1)として、イソフタル酸単位をさらに有する、請求項1~10のいずれかに記載のフィルム積層体。
  12. 前記ポリエステル層(X)における前記層A以外の他の層が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1~11いずれかに記載のフィルム積層体。
  13. 前記層Aの28GHzにおける比誘電率が、3.0以下である、請求項1~12のいずれかに記載のフィルム積層体。
  14. 前記樹脂層(Y)が、ポリエステルフィルムである、請求項1~13のいずれかに記載のフィルム積層体。
  15. 前記樹脂層(Y)が、紫外線吸収剤を含有する、請求項1~14のいずれかに記載のフィルム積層体。
  16. 総厚みが、19~800μmである、請求項1~15のいずれかに記載のフィルム積層体。
  17. 前記ポリエステル層(X)の総厚みが、9~300μmである、請求項1~16のいずれかに記載のフィルム積層体。
  18. 前記樹脂層(Y)の厚みが、9~300μmである、請求項1~17のいずれかに記載のフィルム積層体。
  19. 高速通信回路用である、請求項1~18のいずれかに記載のフィルム積層体。
  20. 透明アンテナフィルム用である、請求項19に記載のフィルム積層体。
  21. 屋外透明アンテナフィルム用である、請求項20に記載のフィルム積層体。
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