以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.第1実施形態
1-1.計測システムの構成
本実施形態に係る構造物である橋梁の上部構造を通過する移動体は、重量が大きく、BWIMで計測可能な車両又は鉄道車両等である。BWIMは、Bridge Weigh in Motionの略であり、橋梁を「はかり」に見立て、橋梁の変形を計測することにより、橋梁を通過する移動体の重量、軸数などを測定する技術である。変形やひずみなどの応答から通過する移動体の重量を解析可能な橋梁の上部構造は、BWIMが機能する構造であり、橋梁の上部構造への作用と応答の間の物理的なプロセスを応用するBWIMシステムが通行する移動体の重量の計測を可能にする。以下では、移動体が鉄道車両である場合を例に挙げ、本実施形態の計測方法を実現するための計測システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係る計測システムの一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る計測システム10は、計測装置1と、橋梁5の上部構造7に設けられる少なくとも1つのセンサー2と、を備えている。また、計測システム10は、監視装置3を備えていてもよい。
橋梁5は上部構造7と下部構造8からなる。図2は、上部構造7を図1のA-A線で切断した断面図である。図1及び図2に示すように、上部構造7は、床板F、主桁G、不図示の横桁等からなる橋床7aと、支承7bと、レール7cと、枕木7dと、バラスト7eと、を含む。また、図1に示すように、下部構造8は、橋脚8aと、橋台8bと、を含む。上部構造7は、隣り合う橋台8bと橋脚8a、隣り合う2つの橋台8b、又は、隣り合う2つの橋脚8aのいずれか1つに渡された構造である。上部構造7の両端部は、隣り合う橋台8bと橋脚8aの位置、隣り合う2つの橋台8bの位置、又は、隣り合う2つの橋脚8aの位置にある。
鉄道車両6が上部構造7に進入すると、鉄道車両6の荷重によって上部構造7が撓むが、鉄道車両6は複数の車両が連結されているので、各車両の通過に伴って上部構造7の撓みが周期的に繰り返されるという現象が起きる。この現象は静的応答と呼ばれている。これに対して、上部構造7は構造物としての固有振動周波数を有しているため、鉄道車両6が上部構造7を通過することにより上部構造7の固有振動が励振される場合がある。上部構造7の固有振動が励振されることにより、上部構造7の撓みが周期的に繰り返されるという現象が起きる。この現象は動的応答と呼ばれている。
計測装置1と各センサー2とは、例えば、不図示のケーブルで接続され、CAN等の通信ネットワークを介して通信を行う。CANは、Controller Area Networkの略である。あるいは、計測装置1と各センサー2とは、無線ネットワークを介して通信を行ってもよい。
各センサー2は、移動体である鉄道車両6が構造物である上部構造7を移動したときの衝撃係数を算出するために用いられるデータを出力する。本実施形態では、各センサー2は加速度センサーであり、例えば、水晶加速度センサーであってもよいし、MEMS加速度センサーであってもよい。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略である。
本実施形態では、各センサー2は上部構造7の長手方向の中央部、具体的には、主桁Gの長手方向の中央部に設置されている。ただし、各センサー2は、衝撃係数を算出するための加速度を検出することができればよく、その設置位置は上部構造7の中央部に限定されない。なお、各センサー2を上部構造7の床板Fに設けると、鉄道車両6の走行によって破壊するおそれがあり、また橋床7aの局部的な変形により測定精度が影響を受けるおそれがあるため、図1及び図2の例では、各センサー2は上部構造7の主桁Gに設けられている。
上部構造7の床板Fや主桁G等は、上部構造7を通過する鉄道車両6による荷重によって、垂直方向に撓む。各センサー2は、上部構造7を通過する鉄道車両6の荷重による床板Fや主桁Gの撓みの加速度を検出する。
計測装置1は、各センサー2から出力される加速度データに基づいて、鉄道車両6が上部構造7を通過したときの衝撃係数を算出する。計測装置1は、例えば、橋台8bに設置される。
計測装置1と監視装置3とは、例えば、携帯電話の無線ネットワーク及びインターネット等の通信ネットワーク4を介して、通信を行うことができる。計測装置1は、鉄道車両6が上部構造7を通過したときの衝撃係数を含む計測データを監視装置3に送信する。監視装置3は、当該情報を不図示の記憶装置に記憶し、例えば、当該情報に基づいて鉄道車両6の監視や上部構造7の異常判定等の処理を行ってもよい。
なお、本実施形態では、橋梁5は、鉄道橋であり、例えば、鋼橋や桁橋、RC橋等である。RCは、Reinforced-Concreteの略である。
図2に示すように、本実施形態では、センサー2に対応付けて観測点Rが設定されている。図2の例では、観測点Rは、主桁Gに設けられたセンサー2の鉛直上方向にある上部構造7の表面の位置に設定されている。すなわち、センサー2は、観測点Rを観測する観測装置であり、構造物である上部構造7を移動する鉄道車両6の複数の部位の観測点Rへの作用に対する応答である物理量を検出し、検出した物理量を含むデータを出力する。例えば、鉄道車両6の複数の部位のそれぞれは車軸又は車輪であるが、以降では車軸であるものとする。また、本実施形態では、各センサー2は加速度センサーであり、物理量として加速度を検出する。センサー2は、鉄道車両6の走行により観測点Rに生じる加速度を検出可能な位置に設けられていればよいが、観測点Rの鉛直上に近い位置に設けられることが望ましい。
なお、センサー2の数及び設置位置は、図1及び図2に示した例には限定されず種々の変形実施が可能である。
計測装置1は、センサー2から出力される加速度データに基づいて、鉄道車両6が移動する上部構造7の面と交差する方向の加速度を取得する。鉄道車両6が移動する上部構造7の面は、鉄道車両6が移動する方向、すなわち上部構造7の長手方向であるX方向と、鉄道車両6が移動する方向と直交する方向、すなわち上部構造7の幅方向であるY方向とによって規定される。鉄道車両6の走行によって、観測点Rは、X方向及びY方向と直交する方向に撓むので、計測装置1は、撓みの加速度の大きさを正確に算出するために、X方向及びY方向と直交する方向、すなわち、床板Fの法線方向であるZ方向の加速度を取得するのが望ましい。
図3は、センサー2が検出する加速度を説明する図である。センサー2は、互いに直交する3軸の各軸方向に生じる加速度を検出する加速度センサーである。
鉄道車両6の走行による観測点Rの撓みの加速度を検出するために、センサー2は、3つの検出軸であるx軸、y軸、z軸のうち、1軸がX方向及びY方向と交差する方向となるように設置される。図1及び図2では、センサー2は、1軸がX方向及びY方向と交差する方向となるように設置される。観測点Rは、X方向及びY方向と直交する方向に撓むので、撓みの加速度を正確に検出するために、理想的には、センサー2は、1軸をX方向及びY方向と直交するZ方向、すなわち、床板Fの法線方向に合わせて設置される。
ただし、センサー2を上部構造7に設置する場合、設置場所が傾いている場合もある。計測装置1は、センサー2の3つの検出軸の1軸が、床板Fの法線方向に合わせて設置されなくても、概ね法線方向に向いていることで誤差は小さく無視できる。また、計測装置1は、センサー2の3つの検出軸の1軸が、床板Fの法線方向に合わせて設置されなくても、x軸、y軸、z軸の加速度を合成した3軸合成加速度によって、センサー2の傾斜による検出誤差の補正を行うことができる。また、センサー2は、少なくとも鉛直方向にほぼ平行な方向に生ずる加速度、あるいは、床板Fの法線方向の加速度を検出する1軸加速度センサーであってもよい。
以下、計測装置1が実行する本実施形態の計測方法の詳細について説明する。
1-2.計測方法の詳細
まず、計測装置1は、式(1)のように、加速度センサーであるセンサー2から出力される加速度データa(k)を積分して速度データv(k)を生成し、さらに、式(2)のように、速度データv(k)を積分して測定データu(k)を生成する。加速度データa(k)は、鉄道車両6が橋梁5を通過した時の変位変化を算出するために不要な加速度バイアスを除いた加速度変化のデータである。例えば、鉄道車両6が橋梁5を通過する直前の加速度を0として、以降の加速度変化を加速度データa(k)としても良い。式(1)及び式(2)において、kはサンプル番号であり、ΔTはサンプルの時間間隔である。測定データu(k)は、鉄道車両6の走行による観測点Rの変位のデータである。
サンプル番号kを変数とする測定データu(k)は、時刻t=kΔTとして、時刻tを変数とする測定データu(t)に変換される。図4に、測定データu(t)の一例を示す。測定データu(t)は、観測点Rを観測するセンサー2から出力される加速度データa(t)に基づいて生成されるので、上部構造7を移動する鉄道車両6の複数の車軸の観測
点Rへの作用に対する応答である加速度に基づくデータである。
次に、計測装置1は、測定データu(t)に含まれる基本周波数Ffの振動成分及びその高調波を低減させるために、測定データu(t)をフィルター処理した測定データulp(t)を生成する。フィルター処理は、例えば、ローパスフィルター処理であってもよいし、バンドパスフィルター処理であってもよい。
具体的には、まず、計測装置1は、測定データu(t)を高速フーリエ変換処理してパワースペクトラム密度を算出し、パワースペクトラム密度のピークを基本周波数Ffとして算出する。図5に、図4の測定データu(t)を高速フーリエ変換処理して得られたパワースペクトラム密度を示す。図5の例では、基本周波数Ffは約3Hzとして算出される。そして、計測装置1は、式(3)により、基本周波数Ffから基本周期Tfを算出し、式(4)のように、基本周期TfをΔTで除してデータの時間分解能に調整した移動平均区間kmfを算出する。基本周期Tfは、基本周波数Ffに対応する周期であり、Tf>2ΔTである。
そして、計測装置1は、フィルター処理として、式(5)により、基本周期Tfで測定データu(t)を移動平均処理して、測定データu(t)に含まれる振動成分を低減させた測定データulp(t)を生成する。この移動平均処理は、必要な計算量が小さいだけでなく、基本周波数Ffの信号成分及びその高調波成分の減衰量が非常に大きいので振動成分が効果的に低減された測定データulp(t)が得られる。図6に、測定データulp(t)の一例を示す。図6に示すように、測定データu(t)に含まれる振動成分がほとんど除かれた測定データulp(t)が得られる。
なお、計測装置1は、フィルター処理として、測定データu(t)に対して基本周波数Ff以上の周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行って測定データulp(t)を生成してもよい。FIRは、Finite Impulse Responseの略である。このFIRフィルター処理は、移動平均処理よりも計算量が大きいが、基本周波数Ff以上の周波数の信号成分をすべて減衰させることができる。
次に、計測装置1は、測定データulp(t)の振幅が、予め定められた係数CLと測定データulp(t)から算出される振幅uaとの積である閾値CLuaと一致し、又は、閾値CLuaを超える2つの時刻を、鉄道車両6の上部構造7に対する進入時刻ti及び進出時刻toとして算出する。但し、0<CL<1とし、振幅uaは、例えば、測定デ
ータulp(t)の振幅がシフトしている時刻t1から時刻t2までの区間の平均値とし、式(6)によって算出される。
進入時刻tiは、鉄道車両6の複数の車軸のうちの先頭の車軸が上部構造7の進入端を通過した時刻である。また、進出時刻toは、鉄道車両6の複数の車軸のうちの最後尾の車軸が上部構造7の進出端を通過した時刻である。図7に、測定データulp(t)と進入時刻ti及び進出時刻toとの関係の一例を示す。
次に、計測装置1は、式(7)により、進出時刻toと進入時刻tiとの差として、鉄道車両6が橋梁5の上部構造7を通過する通過時間tsを算出する。
また、計測装置1は、式(8)により、鉄道車両6の車両数CTとして、通過時間tsと基本周波数Ffとの積から1を減算した数以下の最大の整数を算出する。
計測装置1は、進入時刻ti、進出時刻to、通過時間ts及び車両数CTを含む観測情報を不図示の記憶部に記憶する。なお、図7の例では、進入時刻ti=7.155秒、進出時刻to=12.845秒、通過時間ts=5.69秒、車両数CT=16である。
そして、計測装置1は、観測情報と、予め作成された鉄道車両6の寸法及び上部構造7の寸法を含む環境情報とに基づいて、以降の処理を行う。
環境情報は、上部構造7の寸法として、例えば、上部構造7の長さLB及び観測点Rの位置Lxを含む。上部構造7の長さLBは、上部構造7の進入端と進出端との間の距離である。また、観測点Rの位置Lxは、上部構造7の進入端から観測点Rまでの距離である。また、環境情報は、鉄道車両6の寸法として、例えば、鉄道車両6の各車両の長さLC(Cm)、各車両の車軸数aT(Cm)及び各車両の車軸間の距離La(aw(Cm,n))を含む。Cmは車両番号であり、各車両の長さLC(Cm)は、先頭からCm番目の車両の両端の間の距離である。各車両の車軸数aT(Cm)は、先頭からCm番目の車両の車軸数である。nは、各車両の車軸番号であり、1≦n≦aT(Cm)である。各車両の車軸間の距離La(aw(Cm,n))は、n=1のときは先頭からCm番目の車両の先端と先頭から1番目の車軸との間の距離であり、n≧2のときは先頭からn-1番目の車軸とn番目の車軸との間の距離である。図8に、鉄道車両6のCm番目の車両の長さLC(Cm)及び車軸間の距離La(aw(Cm,n))の一例を示す。鉄道車両6の寸法や上部構造7の寸法は、公知の手法によって測定することができる。予め、橋梁5を通過する鉄道車両6の寸法のデータベースを作成し、通過時刻から該当する車両の寸法を参照しても良い。
なお、橋梁5の上部構造7を、寸法が同じである任意の数の車両が連結された鉄道車両6が走行すると想定される場合、環境情報は、1両分についての、車両の長さLC(Cm)、車両の車軸数aT(Cm)及び車軸間の距離La(aw(Cm,n))を含んでいればよい。
鉄道車両6の総車軸数TaTは、観測情報に含まれる車両数CTと環境情報に含まれる各車両の車軸数aT(Cm)を用いて、式(9)により算出される。
鉄道車両6の先頭の車軸からCm番目の車両のn番目の車軸までの距離Dwa(aw(Cm,n))は、環境情報に含まれる各車両の長さLC(Cm)、各車両の車軸数aT(Cm)及び各車両の車軸間の距離La(aw(Cm,n))を用いて、式(10)により算出される。なお、式(10)では、LC(Cm)=LC(1)であるものとしている。
計測装置1は、式(10)においてCm=CT、n=aT(CT)とした式(11)により、鉄道車両6の先頭の車軸から最後尾の車両の最後尾の車軸までの距離Dwa(aw(CT,aT(CT)))を算出する。
鉄道車両6の平均速度vaは、環境情報に含まれる上部構造7の長さLB、観測情報に含まれる通過時間ts及び算出した距離Dwa(aw(CT,aT(CT)))を用いて、式(12)により、鉄道車両6の平均速度vaを算出する。
計測装置1は、式(12)に式(11)を代入した式(13)により、鉄道車両6の平均速度vaを算出する。
次に、計測装置1は、以下のようにして、鉄道車両6の走行により生じる上部構造7のたわみ量を算出する。
本実施形態では、橋梁5の上部構造7において、床板Fと主桁Gなどで構成される橋床7aが1つ或いは複数の連続配置される構成として考え、計測装置1は、1つの橋床7aの変位を長手方向の中央部における変位として算出する。上部構造7に印加される荷重は上部構造7の一端から他端へ移動する。この時、荷重の上部構造7上の位置と荷重量を用いて、上部構造7の中間部の変位であるたわみ量を表すことができる。本実施形態では、鉄道車両6の車軸が上部構造7上を移動するときのたわみ変形を、1点荷重の梁上の移動によるたわみ量の軌跡として表すために、図9に示す構造モデルを考え、当該構造モデルにおいて、中央部におけるたわみ量を算出する。図9において、Pは荷重である。aは、鉄道車両6が進入する側の上部構造7の進入端からの荷重位置である。bは、鉄道車両6が進出する側の上部構造7の進出端からの荷重位置である。LBは、上部構造7の長さ、すなわち、上部構造7の両端の間の距離である。図9に示す構造モデルは、両端を支点とする両端を支持した単純梁である。
図9に示す構造モデルにおいて、上部構造7の進入端の位置をゼロとしてたわみ量の観測位置をxとしたとき、単純梁の曲げモーメントMは式(14)で表される。
式(14)において、関数Haは式(15)のように定義される。
式(14)を変形し、式(16)が得られる。
一方、曲げモーメントMは式(17)で表される。式(17)において、θは角度であり、Iは二次モーメントであり、Eはヤング率である。
式(17)を式(16)に代入し、式(18)が得られる。
式(18)を観測位置xについて積分する式(19)を計算し、式(20)が得られる。式(20)において、C1は積分定数である。
さらに、式(20)を観測位置xについて積分する式(21)を計算し、式(22)が得られる。式(22)において、C2は積分定数である。
式(22)において、θxはたわみ量を表し、θxをたわみ量wに置き換えて式(10)が得られる。
図9より、b=LB-aなので、式(23)は式(24)のように変形される。
x=0でたわみ量w=0として、x≦aよりHa=0であるから、式(24)にx=w=Ha=0を代入して整理すると、式(25)が得られる。
また、x=LBでたわみ量w=0として、x>aよりHa=1であるから、式(24)にx=LB,w=0,Ha=1を代入して整理すると、式(26)が得られる。
式(26)にb=LB-aを代入し、式(27)が得られる。
式(23)に式(25)の積分定数C1及び式(26)の積分定数C2を代入し、式(28)が得られる。
式(28)を変形し、荷重Pが位置aに印加された時の観測位置xにおけるたわみ量wは、式(29)で表される。
荷重Pが上部構造7の中央にある時の中央の観測位置xにおけるたわみ量w0.5LBは、x=0.5LB,a=b=0.5LB,Ha=0として、式(30)で表される。このたわみ量w0.5LBが、たわみ量wの最大振幅となる。
任意の観測位置xにおけるたわみ量wは、たわみ量w0.5LBで規格化される。荷重Pの位置aが観測位置xよりも進入端側にある場合、x>aより、式(30)にHa=1を代入して式(31)が得られる。
荷重Pの位置aをa=LBrとし、式(31)にa=LBr,b=LB(1-r)を代入して整理すると、式(32)により、たわみ量wが規格化されたたわみ量wstdが得られる。rは、上部構造7の長さLBに対する荷重Pの位置aの比を示す。
同様に、荷重Pの位置aが観測位置xよりも進出端側にある場合、x≦aより、式(30)にHa=0を代入して式(33)が得られる。
荷重Pの位置aをa=LBrとし、式(33)にa=LBr,b=LB(1-r)を代入して整理すると、式(34)により、たわみ量wが規格化されたたわみ量wstdが得られる。
式(32)、式(34)をまとめて、任意の観測位置x=Lxにおけるたわみ量wstd(r)は、式(35)で表される。式(35)において、関数R(r)は式(36)で表される。式(35)は、構造物である上部構造7のたわみの近似式であり、上部構造7の構造モデルに基づく式である。具体的には、式(35)は、上部構造7の進入端と進出端との中央位置におけるたわみの最大振幅で規格化された近似式である。
本実施形態では、荷重Pは鉄道車両6の任意の車軸の荷重である。鉄道車両6の任意の車軸が上部構造7の進入端から観測点Rの位置Lxに至るまでに要する時間txnは、式(12)によって算出される平均速度vaを用いて、式(37)により算出される。
また、鉄道車両6の任意の車軸が長さLBの上部構造7を通過するのに要する時間tlnは、式(38)により算出される。
鉄道車両6のCm番目の車両のn番目の車軸が上部構造7の進入端に到達する時刻t0(Cm,n)は、観測情報に含まれる進入時刻ti、式(10)によって算出される距離Dwa(aw(Cm,n))及び式(12)によって算出される平均速度vaを用いて、式(39)により算出される。
計測装置1は、式(37)、式(38)及び式(39)を用いて、式(40)により、Cm番目の車両のn番目の車軸による式(35)で表されるたわみ量wstd(r)を時間に置き換えたたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を算出する。式(40)において、関数R(t)は式(41)で表される。図10に、たわみ量wstd(aw(Cm,n),t)の一例を示す。
また、計測装置1は、式(42)により、Cm番目の車両によるたわみ量Cstd(Cm,t)を算出する。図11に、車軸数n=4のCm番目の車両によるたわみ量Cstd(Cm,t)の一例を示す。
さらに、計測装置1は、式(43)により、鉄道車両6によるたわみ量Tstd(t)を算出する。図12に、車両数CT=16の鉄道車両6によるたわみ量Tstd(t)の一例を示す。なお、図12において、破線は16個のたわみ量Cstd(1,t)~Cstd(16,t)を示す。
次に、計測装置1は、たわみ量Tstd(t)に含まれる基本周波数FMの振動成分及びその高調波を低減させるために、たわみ量Tstd(t)をフィルター処理したたわみ量Tstd_lp(t)を生成する。フィルター処理は、例えば、ローパスフィルター処理であってもよいし、バンドパスフィルター処理であってもよい。
具体的には、まず、計測装置1は、たわみ量Tstd(t)を高速フーリエ変換処理してパワースペクトラム密度を算出し、パワースペクトラム密度のピークを基本周波数FMとして算出する。そして、計測装置1は、式(44)により、基本周波数FMから基本周期TMを算出し、式(45)のように、基本周期TMをΔTで除してデータの時間分解能に調整した移動平均区間kmMを算出する。基本周期TMは、基本周波数FMに対応する周期であり、TM>2ΔTである。
そして、計測装置1は、フィルター処理として、式(46)により、基本周期TMでたわみ量Tstd(t)を移動平均処理して、たわみ量Tstd(t)に含まれる振動成分を低減させたたわみ量Tstd_lp(t)を算出する。この移動平均処理は、必要な計算量が小さいだけでなく、基本周波数FMの信号成分及びその高調波成分の減衰量が非常に大きいので振動成分が効果的に低減されたたわみ量Tstd_lp(t)が得られる。図13に、たわみ量Tstd_lp(t)の一例を示す。図13に示すように、たわみ量Tstd(t)に含まれる振動成分がほとんど除かれたたわみ量Tstd_lp(t)が得られる。
なお、計測装置1は、フィルター処理として、たわみ量Tstd(t)に対して基本周波数FM以上の周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行ってたわみ量Tstd_lp(t)を算出してもよい。このFIRフィルター処理は、移動平均処理よりも計算量が大きいが、基本周波数Ff以上の周波数の信号成分をすべて減衰させることができる。
図14に、図6に示した測定データulp(t)と図13に示したたわみ量Tstd_lp(t)とを重ねて示す。たわみ量Tstd_lp(t)を、上部構造7を通過する鉄道車両6の荷重に比例するたわみ量と考え、たわみ量Tstd_lp(t)の1次関数が測定データulp(t)とほぼ等しくなると仮定する。すなわち、計測装置1は、式(47)のように、測定データulp(t)をたわみ量Tstd_lp(t)の1次関数で近似する。なお、近似する時間区間を進入時刻tiと進出時刻toの間、または、たわみ量Tstd_lp(t)の振幅が0でない時間区間とする。
そして、計測装置1は、式(47)で表される1次関数の1次係数c1及び0次係数c0を算出する。例えば、計測装置1は、最小二乗法により、式(48)で表される誤差e(t)、すなわち、測定データulp(t)と式(47)の1次関数との差が最小となる1次係数c1及び0次係数c0を算出する。
1次係数c1及び0次係数c0は、それぞれ、式(49)及び式(50)によって算出される。近似する時間区間に対応するデータ区間をka≦k≦kbとする。
そして、計測装置1は、式(51)のように、1次係数c1及び0次係数c0を用いてたわみ量Tstd_lp(t)を調整したたわみ量TEstd_lp(t)を算出する。式(51)で示されるように、たわみ量TEstd_lp(t)は、基本的に式(47)の右辺に相当するが、進入時刻tiよりも前の区間と進出時刻toよりも後の区間では0次係数c0を0としている。図15に、たわみ量TEstd_lp(t)の一例を示す。
また、式(52)のように、式(49)で算出された1次係数c1及び式(50)で算出された0次係数c0を用いたたわみ量Tstd(t)の1次関数が測定データu(t)とほぼ等しくなると仮定する。
1次係数c1及び0次係数c0を用いてたわみ量Tstd(t)を調整したたわみ量TEstd(t)は、式(53)によって算出される。式(53)の右辺は、式(51)の右辺のTstd_lp(t)をTstd(t)に置き換えたものである。図16に、たわみ量TEstd(t)の一例を示す。
次に、計測装置1は、t=kΔTとして、式(54)により、所定区間におけるたわみ量TEstd_lp(t)とたわみ量Tstd_lp(t)との振幅比RTを算出する。式(54)において、分子は、たわみ量TEstd_lp(t)の波形及びたわみ量Tstd_lp(t)の波形がシフトしている区間の一部の所定区間に含まれるたわみ量TEstd_lp(t)のn+1個のサンプルの平均値であり、分母は当該所定区間に含まれるたわみ量Tstd_lp(t)のn+1個のサンプルの平均値である。図17に、たわみ量TEstd_lp(t)及びたわみ量Tstd_lp(t)とそれらの平均値を算出する所定区間Tavgとの関係の一例を示す。
次に、計測装置1は、振幅比RTとたわみ量Tstd_lp(t)との積RTTstd_lp(t)を0次係数c0と比較してオフセットToffset_std(t)を算出する。具体的には、計測装置1は、式(55)のように、振幅比RTとたわみ量Tstd_lp(t)との積RTTstd_lp(t)の絶対値が0次係数c0の絶対値よりも大きい積RTTstd_lp(t)の区間を0次係数c0に置き換えてオフセットToffset_std(t)を算出する。図18に、オフセットToffset_std(t)の一例を示す。図18の例では、たわみ量Tstd_lp(t)の振幅が0又は負であるので、計測装置1は、積RTTstd_lp(t)の0次係数c0よりも小さい区間を0次係数c0に置き換えてオフセットToffset_std(t)を算出している。
次に、計測装置1は、式(56)のように、1次係数c1とたわみ量Tstd(t)との積c1Tstd(t)と、オフセットToffset_std(t)とを加算して、たわみ量TEOstd(t)を算出する。このたわみ量TEOstd(t)は、鉄道車両6が上部構造7を通過したときの静的応答に相当する。図19に、たわみ量TEOstd(t)の一例を示す。
そして、計測装置1は、静的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。衝撃係数iαは、静的応答がどのくらい動的応答に影響を及ぼしているのかを示す指標であり、静的応答の振動の最大振幅Ssと動的応答の最大振幅Sdの比として式(57)によって算出される。
本実施形態では、計測装置1は、測定データu(t)の最大振幅とたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、計測装置1は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとし、式(58)により、静的応答の振動の最大振幅Ssを算出する。式(58)において、min{TEOstd(t)}は、たわみ量TEOstd(t)の最小値を抽出する関数である。
同様に、計測装置1は、測定データu(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとし、式(59)により、動的応答の最大振幅Sdを算出する。式(59)において、min{u(t)}は、測定データu(t)の最小値を抽出する関数である。
図20に、たわみ量TEOstd(t)、測定データu(t)及び最大振幅Ss,Sdの関係を示す。ここでは、鉄道車両6が上部構造7を通過するときに、たわみ量TEOstd(t)及び測定データu(t)が負の値となり、たわみ量TEOstd(t)の最小値や測定データu(t)の最小値が最大振幅となるものとしている。ただし、鉄道車両6が上部構造7を通過するときに、たわみ量TEOstd(t)及び測定データu(t)が正の値となる場合は、たわみ量TEOstd(t)の最大値や測定データu(t)の最大値が最大振幅となるものとすればよい。
そして、計測装置1は、式(58)によって算出された最大振幅Ss及び式(59)によって算出された最大振幅Sdを式(57)に代入し、衝撃係数iαを算出する。
1-3.計測方法の手順
図21は、第1実施形態の計測方法の手順の一例を示すフローチャート図である。本実施形態では、計測装置1が図21に示す手順を実行する。
図21に示すように、まず、観測データ取得工程S10において、計測装置1は、観測装置であるセンサー2から出力される観測データである加速度データa(k)を取得する。
次に、第1測定データ生成工程S20において、計測装置1は、工程S10で取得した観測データである加速度データa(k)に基づいて、上部構造7を移動する鉄道車両6の複数の車軸の観測点Rへの作用に対する応答である物理量としての加速度に基づく第1の測定データである測定データu(t)を生成する。第1測定データ生成工程S20の手順の一例については後述する。
次に、第2測定データ生成工程S30において、計測装置1は、工程S20で生成した測定データu(t)をフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データである測定データulp(t)を生成する。例えば、計測装置1は、フィルター処理として、測定データu(t)の基本周波数Ff以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行う。第2測定データ生成工程S30の手順の一例については後述する。
次に、観測情報生成工程S40において、計測装置1は、鉄道車両6の上部構造7に対する進入時刻ti及び進出時刻toを含む観測情報を生成する。進入時刻tiは、鉄道車両6の複数の車軸のうちの先頭の車軸が上部構造7の進入端を通過した時刻であり、進出時刻toは、鉄道車両6の複数の車軸のうちの最後尾の車軸が上部構造7の進出端を通過した時刻である。本実施形態では、計測装置1は、工程S30で生成した測定データulp(t)に基づいて、進入時刻ti及び進出時刻toを算出する。更に、計測装置1は、車両数CTを生成する。観測情報生成工程S40の手順の一例については後述する。
次に、平均速度算出工程S50において、計測装置1は、工程S40で生成した観測情報と、予め作成された鉄道車両6の寸法及び上部構造7の寸法を含む環境情報とに基づいて、鉄道車両6の平均速度vaを算出する。環境情報は、上部構造7の長さLB、観測点Rの位置Lx、鉄道車両6の各車両の長さLC(Cm)、各車両の車軸数aT(Cm)及
び鉄道車両6の複数の車軸の各々の位置に相当する各車軸間の距離La(aw(Cm,n))を含む。平均速度算出工程S50の手順の一例については後述する。
次に、第1たわみ量算出工程S60において、計測装置1は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、工程S40で生成した観測情報と、環境情報と、工程S50で算出した鉄道車両6の平均速度vaとに基づいて、鉄道車両6による上部構造7の第1のたわみ量であるたわみ量Tstd(t)を算出する。具体的には、計測装置1は、上部構造7のたわみの近似式と、観測情報と、環境情報と、平均速度vaとに基づいて、複数の車軸のそれぞれによる上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を算出し、複数の車軸のそれぞれによる上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を加算してたわみ量Tstd(t)を算出する。第1たわみ量算出工程S60の手順の一例については後述する。
次に、第2たわみ量算出工程S70において、計測装置1は、工程S60で算出したたわみ量Tstd(t)をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量であるたわみ量Tstd_lp(t)を算出する。例えば、計測装置1は、フィルター処理として、たわみ量Tstd(t)の基本周波数FM以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行う。第2たわみ量算出工程S70の手順の一例については後述する。
次に、係数算出工程S80において、計測装置1は、工程S30で生成した測定データulp(t)を工程S70で算出したたわみ量Tstd_lp(t)の1次関数で近似し、当該1次関数の1次係数c1及び0次係数c0を算出する。具体的には、計測装置1は、前出の式(47)のように、測定データulp(t)をたわみ量Tstd_lp(t)の1次関数で近似し、最小二乗法を用いて前出の式(49)及び式(50)により、1次係数c1及び0次係数c0を算出する。
次に、第3たわみ量算出工程S90において、計測装置1は、工程S80で算出した1次係数c1及び0次係数c0と、工程S70で算出したたわみ量Tstd_lp(t)とに基づいて、第3のたわみ量であるたわみ量TEstd_lp(t)を算出する。具体的には、計測装置1は、前出の式(51)のように、進入時刻tiよりも前の区間及び進出時刻toよりも後の区間では1次係数c1とたわみ量Tstd_lp(t)との積c1Tstd_lp(t)であり、進入時刻tiと進出時刻toとの間の区間では積c1Tstd_lp(t)と0次係数c0との和であるたわみ量TEstd_lp(t)を算出する。
次に、オフセット算出工程S100において、計測装置1は、工程S80で算出した0次係数c0と、工程S70で算出したたわみ量Tstd_lp(t)と、工程S90で算出したたわみ量TEstd_lp(t)とに基づいて、オフセットToffset_std(t)を算出する。オフセット算出工程S100の手順の一例については後述する。
次に、静的応答算出工程S110において、計測装置1は、前出の式(56)のように、工程S80で算出した1次係数c1と工程S60で算出したたわみ量Tstd(t)との積c1Tstd(t)と、工程S100で算出したオフセットToffset_std(t)とを加算して、静的応答としてのたわみ量TEOstd(t)を算出する。
次に、衝撃係数算出工程S120において、計測装置1は、工程S110で算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、計測装置1は、工程S20で生成した測定データu(t)の最大振幅と工程S110で算出したたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを
算出する。具体的には、計測装置1は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとして前出の式(58)により静的応答の振動の最大振幅Ssを算出し、測定データu(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとして前出の式(59)により動的応答の最大振幅Sdを算出し、前出の式(57)により衝撃係数iαを算出する。
次に、計測データ出力工程S130において、計測装置1は、工程S120で算出した衝撃係数iαを含む計測データを監視装置3に出力する。具体的には、計測装置1は、計測データを、通信ネットワーク4を介して監視装置3に送信する。計測データは、衝撃係数iαに加えて、測定データu(t),ulp(t)、たわみ量Tstd(t),Tstd_lp(t),TEstd_lp(t),たわみ量TEOstd(t)等を含んでもよい。
そして、工程S140において計測を終了するまで、計測装置1は、工程S10~S130の処理を繰り返し行う。
図22は、図21の第1測定データ生成工程S20の手順の一例を示すフローチャート図である。
図22に示すように、工程S201において、計測装置1は、前出の式(1)のように、センサー2から出力される加速度データa(t)を積分して速度データv(t)を生成する。
そして、工程S202において、計測装置1は、前出の式(2)のように、工程S201で生成した速度データv(t)を積分して測定データu(t)を生成する。
このように、本実施形態では、測定データu(t)は、構造物である上部構造7を移動する移動体である鉄道車両6による上部構造7の変位のデータであり、鉄道車両6が移動する上部構造7の面と交差する方向の加速度を2回積分したデータである。したがって、測定データu(t)は、正方向又は負方向に凸の波形、具体的には、矩形波形、台形波形又は正弦半波波形のデータを含む。なお、矩形波形には、正確な矩形波形のみならず矩形波形に近似する波形も含まれる。同様に、台形波形には、正確な台形波形のみならず台形波形に近似する波形も含まれる。同様に、正弦半波波形には、正確な正弦半波波形のみならず正弦半波波形に近似する波形も含まれる。
図23は、図21の第2測定データ生成工程S30の手順の一例を示すフローチャート図である。
図23に示すように、工程S301において、計測装置1は、図22の工程S202で算出した測定データu(t)を高速フーリエ変換処理してパワースペクトラム密度を算出し、パワースペクトラム密度のピークを基本周波数Ffとして算出する。
そして、工程S302において、計測装置1は、測定データu(t)の基本周波数Ff以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行って測定データulp(t)を生成する。計測装置1は、ローパスフィルター処理として、前出の式(5)のように、基本周波数Ffに対応する基本周期Tfで測定データu(t)を移動平均処理して測定データulp(t)を生成してもよい。あるいは、計測装置1は、ローパスフィルター処理として、測定データu(t)に対して基本周波数Ff以上の周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行って測定データulp(t)を生成してもよい。
図24は、図21の観測情報生成工程S40の手順の一例を示すフローチャート図である。
図24に示すように、まず、工程S401において、計測装置1は、振幅uaとして、前出の式(6)により、図23の工程S302で生成した測定データulp(t)の振幅がシフトしている時刻t1から時刻t2までの区間の平均値を算出する。
次に、工程S402において、計測装置1は、進入時刻tiとして、測定データulp(t)の振幅が予め定められた係数CLと工程S401で算出した振幅uaとの積である閾値CLuaと一致し、又は、閾値CLuaを超える第1の時刻を算出する。
また、工程S403において、計測装置1は、進出時刻toとして、測定データulp(t)の振幅が閾値CLuaと一致し、又は、閾値CLuaを超える、第1の時刻よりも後の第2の時刻を算出する。
また、工程S404において、計測装置1は、前出の式(7)のように、通過時間tsとして、進出時刻toと進入時刻tiとの差を算出する。
次に、工程S405において、計測装置1は、前出の式(8)のように、鉄道車両6の車両数CTとして、工程S404で算出した通過時間tsと図23の工程S301で算出した基本周波数Ffとの積tsFfから1を減算した数以下の最大の整数を算出する。
そして、工程S406において、計測装置1は、工程S402で算出した進入時刻ti、工程S403で算出した進出時刻to、工程S404で算出した通過時間ts及び工程S405で算出した車両数CTを含む観測情報を生成する。
図25は、図21の平均速度算出工程S50の手順の一例を示すフローチャート図である。
工程S501において、計測装置1は、環境情報に基づいて、前出の式(11)により、鉄道車両6の先頭の車軸から最後尾の車軸までの距離Dwa(aw(CT,aT(CT)))を算出する。
また、工程S502において、計測装置1は、環境情報に基づいて、上部構造7の進入端から進出端までの距離を算出する。本実施形態では、上部構造7の進入端から進出端までの距離は、環境情報に含まれる上部構造7の長さLBである。
そして、工程S503において、計測装置1は、図24の工程S406で生成した観測情報に含まれる進入時刻ti及び進出時刻to、工程S501で算出した鉄道車両6の先頭の車軸から最後尾の車軸までの距離Dwa(aw(CT,aT(CT)))、及び、工程S502で算出した上部構造7の進入端から進出端までの距離である上部構造7の長さLBに基づいて、前出の式(12)により、鉄道車両6の平均速度vaを算出する。
図26は、図21の第1たわみ量算出工程S60の手順の一例を示すフローチャート図である。
まず、工程S601において、計測装置1は、環境情報に基づいて、前出の式(10)により、鉄道車両6の先頭の車軸からCm番目の車両のn番目の車軸までの距離Dwa(aw(Cm,n))をそれぞれ算出する。
次に、工程S602において、計測装置1は、環境情報に含まれる観測点Rの位置Lxと、図25の工程S503で算出した平均速度vaとを用いて、前出の式(37)により、鉄道車両6の任意の車軸が上部構造7の進入端から観測点Rの位置Lxに至るまでに要する時間txnを算出する。
また、工程S603において、計測装置1は、図25の工程S502で算出した上部構造7の進入端から進出端までの距離である上部構造7の長さLBと、平均速度vaとを用いて、前出の式(38)により、鉄道車両6の任意の車軸が上部構造7を通過するのに要する時間tlnを算出する。
さらに、工程S604において、計測装置1は、図24の工程S406で生成した観測情報に含まれる進入時刻tiと、工程S601で算出した距離Dwa(aw(Cm,n))と、平均速度vaとを用いて、前出の式(39)により、鉄道車両6のCm番目の車両のn番目の車軸が上部構造7の進入端に到達する時刻t0(Cm,n)をそれぞれ算出する。
次に、工程S605において、計測装置1は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、工程S602で算出した時間txnと、工程S603で算出した時間tlnと、工程S604で算出した時刻t0(Cm,n)とを用いて、前出の式(40)により、Cm番目の車両のn番目の車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)をそれぞれ算出する。
次に、工程S606において、計測装置1は、前出の式(42)により、車両毎に工程S605で算出した各車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を加算して、各車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を算出する。
そして、工程S607において、計測装置1は、前出の式(43)により、工程S606で算出した各車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を加算して、鉄道車両6による上部構造7のたわみ量Tstd(t)を算出する。
図27は、図21の第2たわみ量算出工程S70の手順の一例を示すフローチャート図である。
図27に示すように、工程S701において、計測装置1は、図26の工程S607で算出したたわみ量Tstd(t)を高速フーリエ変換処理してパワースペクトラム密度を算出し、パワースペクトラム密度のピークを基本周波数FMとして算出する。
そして、工程S702において、計測装置1は、たわみ量Tstd(t)の基本周波数FM以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行ってたわみ量Tstd_lp(t)を算出する。計測装置1は、ローパスフィルター処理として、前出の式(46)のように、基本周波数FMに対応する基本周期TMでたわみ量Tstd(t)を移動平均処理してたわみ量Tstd_lp(t)を算出してもよい。あるいは、計測装置1は、ローパスフィルター処理として、たわみ量Tstd(t)に対して基本周波数FM以上の周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行ってたわみ量Tstd_lp(t)を算出してもよい。
図28は、図21のオフセット算出工程S100の手順の一例を示すフローチャート図である。
図28に示すように、工程S1001において、計測装置1は、前出の式(54)によ
り、所定区間における図21の工程S90で算出したたわみ量TEstd_lp(t)と図27の工程S702で算出したたわみ量Tstd_lp(t)との振幅比RTを算出する。
そして、工程S1002において、計測装置1は、前出の式(55)のように、工程S1001で算出した振幅比RTとたわみ量Tstd_lp(t)との積RTTstd_lp(t)の絶対値が図21の工程S80で算出した0次係数c0の絶対値よりも大きい積RTTstd_lp(t)の区間を0次係数c0に置き換えてオフセットToffset_std(t)を算出する。
1-4.観測装置、計測装置及び監視装置の構成
図29は、観測装置であるセンサー2、計測装置1及び監視装置3の構成例を示す図である。
図29に示すように、センサー2は、通信部21と、加速度センサー22と、プロセッサー23と、記憶部24と、を備えている。
記憶部24は、プロセッサー23が計算処理や制御処理を行うための各種のプログラムやデータ等を記憶するメモリーである。また、記憶部24は、プロセッサー23が所定のアプリケーション機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶している。
加速度センサー22は、3軸の各軸方向に生じる加速度を検出する。
プロセッサー23は、記憶部24に記憶された観測プログラム241を実行することにより、加速度センサー22を制御し、加速度センサー22が検出した加速度に基づいて観測データ242を生成し、生成した観測データ242を記憶部24に記憶させる。本実施形態では、観測データ242は、加速度データa(k)である。
通信部21は、プロセッサー23の制御により、記憶部24に記憶されている観測データ242を計測装置1に送信する。
図29に示すように、計測装置1は、第1通信部11と、第2通信部12と、記憶部13と、プロセッサー14と、を備えている。
第1通信部11は、センサー2から観測データ242を受信し、受信した観測データ242をプロセッサー14に出力する。前述の通り、観測データ242は、加速度データa(k)である。
記憶部13は、プロセッサー14が計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶するメモリーである。また、記憶部13は、プロセッサー14が所定のアプリケーション機能を実現するための各種のプログラムやデータ等を記憶している。また、プロセッサー14が通信ネットワーク4を介して各種のプログラムやデータ等を受信して記憶部13に記憶させてもよい。
プロセッサー14は、第1通信部11が受信した観測データ242及び予め記憶部13に記憶されている環境情報132に基づいて計測データ135を生成し、生成した計測データ135を記憶部13に記憶させる。
本実施形態では、プロセッサー14は、記憶部13に記憶された計測プログラム131を実行することにより、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測
定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152及び計測データ出力部153として機能する。すなわち、プロセッサー14は、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152及び計測データ出力部153を含む。
観測データ取得部141は、第1通信部11が受信した観測データ242を取得し、観測データ133として記憶部13に記憶させる。すなわち、観測データ取得部141は、図21における観測データ取得工程S10の処理を行う。
第1測定データ生成部142は、記憶部13に記憶されている観測データ133を読み出し、観測データ133である加速度データa(t)に基づいて、上部構造7を移動する鉄道車両6の複数の車軸の観測点Rへの作用に対する応答である物理量としての加速度に基づく第1の測定データである測定データu(t)を生成する。具体的には、第1測定データ生成部142は、前出の式(1)のように、観測データ133である加速度データa(t)を積分して速度データv(t)を生成し、さらに、前出の式(2)のように、速度データv(t)を積分して測定データu(t)を生成する。すなわち、第1測定データ生成部142は、図21における第1測定データ生成工程S20の処理、具体的には図22の工程S201,S202の処理を行う。
第2測定データ生成部143は、第1測定データ生成部142が生成した測定データu(t)をフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データである測定データulp(t)を生成する。例えば、第2測定データ生成部143は、フィルター処理として、測定データu(t)の基本周波数Ff以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行う。具体的には、第2測定データ生成部143は、測定データu(t)を高速フーリエ変換処理してパワースペクトラム密度を算出し、パワースペクトラム密度のピークを基本周波数Ffとして算出し、測定データu(t)の基本周波数Ff以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行って測定データulp(t)を生成する。第2測定データ生成部143は、ローパスフィルター処理として、前出の式(5)のように、基本周波数Ffに対応する基本周期Tfで測定データu(t)を移動平均処理して測定データulp(t)を生成してもよい。あるいは、第2測定データ生成部143は、ローパスフィルター処理として、測定データu(t)に対して基本周波数Ff以上の周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行って測定データulp(t)を生成してもよい。すなわち、第2測定データ生成部143は、図21における第2測定データ生成工程S30の処理、具体的には図23の工程S301,S302の処理を行う。
観測情報生成部144は、第2測定データ生成部143が生成した測定データulp(t)に基づいて、鉄道車両6の上部構造7に対する進入時刻ti及び進出時刻toを含む観測情報134を生成し、記憶部13に記憶させる。具体的には、まず、観測情報生成部144は、振幅uaとして、前出の式(6)により、測定データulp(t)の振幅がシフトしている時刻t1から時刻t2までの区間の平均値を算出する。次に、観測情報生成部144は、進入時刻tiとして、測定データulp(t)の振幅が予め定められた係数CLと振幅uaとの積である閾値CLuaと一致し、又は、閾値CLuaを超える第1の時刻を算出する。また、観測情報生成部144は、進出時刻toとして、測定データulp(t)の振幅が閾値CLuaと一致し、又は、閾値CLuaを超える、第1の時刻よりも後の第2の時刻を算出する。また、観測情報生成部144は、前出の式(7)のように
、通過時間tsとして、進出時刻toと進入時刻tiとの差を算出する。次に、観測情報生成部144は、前出の式(8)のように、鉄道車両6の車両数CTとして、通過時間tsと基本周波数Ffとの積tsFfから1を減算した数以下の最大の整数を算出する。そして観測情報生成部144は、進入時刻ti、進出時刻to、通過時間ts及び車両数CTを含む観測情報134を生成する。すなわち、観測情報生成部144は、図21における観測情報生成工程S40の処理、具体的には図24の工程S401~S406の処理を行う。
平均速度算出部145は、記憶部13に記憶されている観測情報134と、予め作成されて記憶部13に記憶されている鉄道車両6の寸法及び上部構造7の寸法を含む環境情報132とに基づいて、鉄道車両6の平均速度vaを算出する。具体的には、平均速度算出部145は、環境情報132に基づいて、前出の式(11)により、鉄道車両6の先頭の車軸から最後尾の車軸までの距離Dwa(aw(CT,aT(CT)))を算出する。また、平均速度算出部145は、環境情報132に基づいて、上部構造7の進入端から進出端までの距離である上部構造7の長さLBを算出する。そして、平均速度算出部145は、観測情報134に含まれる進入時刻ti及び進出時刻to、距離Dwa(aw(CT,aT(CT)))及び上部構造7の長さLBに基づいて、前出の式(12)により、鉄道車両6の平均速度vaを算出する。すなわち、平均速度算出部145は、図21における平均速度算出工程S50の処理、具体的には図25の工程S501,S502,S503の処理を行う。
第1たわみ量算出部146は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、記憶部13に記憶されている観測情報134と、記憶部13に記憶されている環境情報132と、平均速度算出部145が算出した鉄道車両6の平均速度vaとに基づいて、鉄道車両6による上部構造7の第1のたわみ量であるたわみ量Tstd(t)を算出する。具体的には、まず、第1たわみ量算出部146は、環境情報132に基づいて、前出の式(10)により、鉄道車両6の先頭の車軸からCm番目の車両のn番目の車軸までの距離Dwa(aw(Cm,n))を算出する。次に、第1たわみ量算出部146は、環境情報132に含まれる観測点Rの位置Lxと、平均速度vaとを用いて、前出の式(37)により、鉄道車両6の任意の車軸が上部構造7の進入端から観測点Rの位置Lxに至るまでに要する時間txnを算出する。また、第1たわみ量算出部146は、上部構造7の進入端から進出端までの距離である上部構造7の長さLBと、平均速度vaとを用いて、前出の式(38)により、鉄道車両6の任意の車軸が上部構造7を通過するのに要する時間tlnを算出する。さらに、第1たわみ量算出部146は、観測情報134に含まれる進入時刻tiと、距離Dwa(aw(Cm,n))と、平均速度vaとを用いて、前出の式(39)により、鉄道車両6のCm番目の車両のn番目の車軸が上部構造7の進入端に到達する時刻t0(Cm,n)を算出する。次に、第1たわみ量算出部146は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、時間txnと、時間tlnと、時刻t0(Cm,n)とを用いて、前出の式(40)により、Cm番目の車両のn番目の車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を算出する。次に、第1たわみ量算出部146は、たわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を用いて、前出の式(42)により、Cm番目の車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を算出する。そして、第1たわみ量算出部146は、たわみ量Cstd(Cm,t)を用いて、前出の式(43)により、鉄道車両6による上部構造7のたわみ量Tstd(t)を算出する。すなわち、第1たわみ量算出部146は、図21における第1たわみ量算出工程S60の処理、具体的には図26の工程S601~S607の処理を行う。
第2たわみ量算出部147は、第1たわみ量算出部146が算出したたわみ量Tstd(t)をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量であるたわみ量Tstd_lp(t)を算出する。例えば、第2たわみ量算出部147は、フィルター処理とし
て、たわみ量Tstd(t)の基本周波数FM以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行う。具体的には、第2たわみ量算出部147は、たわみ量Tstd(t)を高速フーリエ変換処理して基本周波数FMとして算出し、たわみ量Tstd(t)の基本周波数FM以上の周波数の振動成分を減衰させるローパスフィルター処理を行ってたわみ量Tstd_lp(t)を算出する。第2たわみ量算出部147は、ローパスフィルター処理として、前出の式(46)のように、基本周波数FMに対応する基本周期TMでたわみ量Tstd(t)を移動平均処理してたわみ量Tstd_lp(t)を算出してもよい。あるいは、第2たわみ量算出部147は、ローパスフィルター処理として、たわみ量Tstd(t)に対して基本周波数FM以上の周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行ってたわみ量Tstd_lp(t)を算出してもよい。すなわち、第2たわみ量算出部147は、図21における第2たわみ量算出工程S70の処理、具体的には図27の工程S701,S702の処理を行う。
係数算出部148は、第2測定データ生成部143が生成した測定データulp(t)を第2たわみ量算出部147が算出したたわみ量Tstd_lp(t)の1次関数で近似し、当該1次関数の1次係数c1及び0次係数c0を算出する。具体的には、係数算出部148は、前出の式(47)のように、測定データulp(t)をたわみ量Tstd_lp(t)の1次関数で近似し、最小二乗法を用いて前出の式(49)及び式(50)により、1次係数c1及び0次係数c0を算出する。すなわち、係数算出部148は、図21における係数算出工程S80の処理を行う。
第3たわみ量算出部149は、係数算出部148が算出した1次係数c1及び0次係数c0と、第2たわみ量算出部147が算出したたわみ量Tstd_lp(t)とに基づいて、第3のたわみ量であるたわみ量TEstd_lp(t)を算出する。具体的には、第3たわみ量算出部149は、前出の式(51)のように、進入時刻tiよりも前の区間及び進出時刻toよりも後の区間では1次係数c1とたわみ量Tstd_lp(t)との積c1Tstd_lp(t)であり、進入時刻tiと進出時刻toとの間の区間では積c1Tstd_lp(t)と0次係数c0との和であるたわみ量TEstd_lp(t)を算出する。すなわち、第3たわみ量算出部149は、図21における第3たわみ量算出工程S90の処理を行う。
オフセット算出部150は、係数算出部148が算出した0次係数c0と、第2たわみ量算出部147が算出したたわみ量Tstd_lp(t)と、第3たわみ量算出部149が算出したたわみ量TEstd_lp(t)とに基づいて、オフセットToffset_std(t)を算出する。具体的には、オフセット算出部150は、前出の式(54)により、所定区間におけるたわみ量TEstd_lp(t)とたわみ量Tstd_lp(t)との振幅比RTを算出する。そして、オフセット算出部150は、前出の式(55)のように、振幅比RTとたわみ量Tstd_lp(t)との積RTTstd_lp(t)の0次係数c0よりも小さい区間を0次係数c0に置き換えてオフセットToffset_std(t)を算出する。すなわち、オフセット算出部150は、図21におけるオフセット算出工程S100の処理、具体的には図28の工程S1001,S1002の処理を行う。
静的応答算出部151は、前出の式(56)のように、係数算出部148が算出した1次係数c1と第1たわみ量算出部146が算出したたわみ量Tstd(t)との積c1Tstd(t)と、オフセット算出部150が算出したオフセットToffset_std(t)とを加算して、静的応答としてのたわみ量TEOstd(t)を算出する。すなわち、静的応答算出部151は、図21における静的応答算出工程S110の処理を行う。
衝撃係数算出部152は、静的応答算出部151が算出した静的応答であるたわみ量T
EOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、衝撃係数算出部152は、第1測定データ生成部142が生成した測定データu(t)の最大振幅と静的応答算出部151が算出したたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、衝撃係数算出部152は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとして前出の式(58)により静的応答の振動の最大振幅Ssを算出し、測定データu(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとして前出の式(59)により動的応答の最大振幅Sdを算出し、前出の式(57)により衝撃係数iαを算出する。すなわち、衝撃係数算出部152は、図21における衝撃係数算出工程S120の処理を行う。
衝撃係数iαは、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶される。計測データ135は、衝撃係数iαに加えて、測定データu(t),ulp(t)、たわみ量Tstd(t),Tstd_lp(t),TEstd_lp(t),TEOstd(t)等を含んでもよい。
計測データ出力部153は、記憶部13に記憶されている計測データ135を読み出し、計測データ135を監視装置3に出力する。具体的には、計測データ出力部153の制御により、第2通信部12が、記憶部13に記憶されている計測データ135を、通信ネットワーク4を介して、監視装置3に送信する。すなわち、計測データ出力部153は、図21における計測データ出力工程S130の処理を行う。
このように、計測プログラム131は、図21に示したフローチャートの各手順を、コンピューターである計測装置1に実行させるプログラムである。
図29に示すように、監視装置3は、通信部31と、プロセッサー32と、表示部33と、操作部34と、記憶部35と、を備えている。
通信部31は、計測装置1から計測データ135を受信し、受信した計測データ135をプロセッサー32に出力する。
表示部33は、プロセッサー32の制御により、各種の情報を表示させる。表示部33は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであってもよい。ELは、Electro Luminescenceの略である。
操作部34は、ユーザーによる操作に対応する操作データをプロセッサー32に出力する。操作部34は、例えば、マウス、キーボード、マイクロフォン等の入力装置であってもよい。
記憶部35は、プロセッサー32が計算処理や制御処理を行うための各種のプログラムやデータ等を記憶するメモリーである。また、記憶部35は、プロセッサー32が所定のアプリケーション機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶している。
プロセッサー32は、通信部31が受信した計測データ135を取得し、取得した計測データ135に基づいて上部構造7の変位の経時的な変化を評価して評価情報を生成し、生成した評価情報を表示部33に表示させる。
本実施形態では、プロセッサー32は、記憶部35に記憶された監視プログラム351を実行することにより、計測データ取得部321及び監視部322として機能する。すなわち、プロセッサー32は、計測データ取得部321及び監視部322を含む。
計測データ取得部321は、通信部31が受信した計測データ135を取得し、取得した計測データ135を記憶部35に記憶される計測データ列352に追加する。
監視部322は、記憶部35に記憶される計測データ列352に基づいて、統計的に上部構造7のたわみ量の経時的な変化を評価する。そして、監視部322は、評価結果を示す評価情報を生成し、生成した評価情報を表示部33に表示させる。ユーザーは、表示部33に表示される評価情報に基づいて、上部構造7の状態を監視することができる。
監視部322は、記憶部35に記憶される計測データ列352に基づいて、鉄道車両6の監視や上部構造7の異常判定等の処理を行ってもよい。
また、プロセッサー32は、操作部34から出力される操作データに基づいて、計測装置1やセンサー2の動作状況を調整するための情報を、通信部31を介して計測装置1に送信する。計測装置1は、第2通信部12を介して受信した情報によって動作状況が調整される。また、計測装置1は、第2通信部12を介して受信したセンサー2の動作状況を調整するための情報を、第1通信部11を介してセンサー2に送信する。センサー2は、通信部21を介して受信した情報によって動作状況が調整される。
なお、プロセッサー14,23,32は、例えば各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよいし、或いは各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサー14,23,32はハードウェアを含み、そのハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。プロセッサー14,23,32は、CPU、GPU、或いはDSP等であってもよい。CPUはCentral Processing Unitの略であり、GPUはGraphics Processing Unitの略であり、DSPはDigital Signal Processorの略である。また、プロセッサー14,23,32は、ASICなどのカスタムICとして構成され、各部の機能を実現してもよいし、CPUとASICとによって各部の機能を実現してもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略であり、ICはIntegrated Circuitの略である。
また、記憶部13,24,35は、例えば、ROMやフラッシュROM、RAM等の各種ICメモリーやハードディスク、メモリーカードなどの記録媒体等により構成される。ROMはRead Only Memoryの略であり、RAMはRandom Access Memoryの略であり、ICはIntegrated Circuitの略である。記憶部13,24,35は、コンピューターにより読み取り可能な装置や媒体である不揮発性の情報記憶装置を含み、各種のプログラムやデータ等は当該情報記憶装置に記憶されていてもよい。情報記憶装置は、光ディスクDVD、CD等の光ディスク、ハードディスクドライブ、或いはカード型メモリーやROM等の各種のメモリー等であってもよい。
なお、図29ではセンサー2は1つのみ図示されているが、複数のセンサー2がそれぞれ観測データ242を生成し、計測装置1に送信してもよい。この場合、計測装置1は、複数のセンサー2から送信された複数の観測データ242を受信して複数の計測データ135を生成し、監視装置3に送信する。また、監視装置3は、計測装置1から送信された複数の計測データ135を受信し、受信した複数の計測データ135に基づいて、複数の上部構造7の状態を監視する。
1-5.作用効果
以上に説明した第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、測定データu(t)をフィルター処理して振動成分を低減させた測定データulp(t)を、たわみ量Tstd(t)をフィルター処理して振動成分を低減させたたわみ量Tstd_lp(t)の1次関数で近似することにより、測定データu(t)に含まれる静的応答及び動的応答から
静的応答を分離して算出することができる。そして、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、測定データulp(t)を近似する1次関数の1次項である1次係数c1とたわみ量Tstd(t)との積c1Tstd(t)は鉄道車両6の荷重に比例する上部構造7の変位に相当し、オフセットToffset_std(t)は上部構造7のあそびや浮き等の鉄道車両6の荷重に比例しない変位に相当するので、積c1Tstd(t)とオフセットToffset_std(t)とを加算することにより、静的応答を精度良く算出することができる。
また、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、測定データu(t)に含まれる基本周波数Ff以上の振動成分が減衰された測定データulp(t)をたわみ量Tstd_lp(t)の1次関数で近似することにより、当該1次関数の1次係数c1及び0次係数c0の算出精度が向上するので、静的応答を精度良く算出することができる。
また、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、前出の式(55)により、鉄道車両6が上部構造7を通過する区間では上部構造7のあそびや浮き等の鉄道車両6の荷重に比例しない変位が生じ、それ以外の区間では上部構造7の変位が生じないことを反映したオフセットToffset_std(t)を算出するので、静的応答を精度良く算出することができる。
また、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、前出の式(8)により、鉄道車両6の上部構造7への進入時刻ti及び進出時刻toに基づいて鉄道車両6の車両数CTを算出することができるので、車両数CTが未知の鉄道車両6が上部構造7を移動したときの静的応答を精度良く算出することができる。
また、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、振動成分が低減された測定データulp(t)に基づいて、鉄道車両6の上部構造7への進入時刻ti及び進出時刻toを精度よく算出することができるので、静的応答を精度良く算出することができる。
したがって、第1実施形態の計測方法によれば、測定データu(t)と精度良く算出された静的応答とに基づいて、衝撃係数iαを精度良く算出することができる。
また、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、センサー2から出力される加速度データa(t)に基づいて測定データu(t)を生成し、測定データu(t)と橋梁5の上部構造7の構造を反映した構造モデルに基づくたわみの近似式である式(35)とに基づいて、鉄道車両6による上部構造7のたわみ量Tstd(t)を算出する。そして、計測装置1は、測定データu(t)とたわみ量Tstd(t)とを用いた比較的簡単な処理で、鉄道車両6が上部構造7を移動したときの衝撃係数iαを算出する。したがって、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、計算量が比較的小さい処理で衝撃係数iαを算出することができる。
また、第1実施形態の計測方法によれば、実際には鉄道車両6の速度はわずかに変化するもののほとんど変化しないため、計測装置1は、鉄道車両6が一定の平均速度vaで走行するものとして、平均速度vaに基づいてたわみ量Tstd(t)を算出することにより、たわみ量Tstd(t)の計算精度を維持しつつ計算量を大幅に低減させることができる。
また、第1実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、直接的に鉄道車両6の平均速度vaを測定することなく、センサー2から出力される加速度データa(t)に基づいて、式(13)による簡易な計算によって鉄道車両6の平均速度vaを算出することができる。
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付して第1実施形態と重複する説明を省略又は簡略し、主に第1実施形態と異なる内容について説明する。第2実施形態では、衝撃係数iαを算出方法が第1実施形態と異なる。
第2実施形態では、まず、計測装置1は、第1実施形態と同様、静的応答であるたわみ量TEOstd(t)を算出する。
次に、計測装置1は、式(60)のように、測定データu(t)からたわみ量TEOstd(t)を減算して、固有振動unv(t)を算出する。この固有振動unv(t)は、鉄道車両6が上部構造7を通過したときの動的応答に相当する。図30に、固有振動unv(t)の一例を示す。
式(60)により算出された第1の動的応答としての固有振動unv(t)は、基本波以外に不要な信号も含む。そのため、計測装置1は、固有振動unv(t)の基本波を抽出するために、第1の動的応答である固有振動unv(t)から不要な信号を減衰させるフィルター処理を行って第2の動的応答としての固有振動unv_3lp(t)を算出する。不要な信号は、例えば、基本波の周波数FNよりも低い周波数の信号成分や高調波成分である。
固有振動unv(t)から不要な信号を減衰させるフィルター処理は、固有振動unv(t)に含まれる基本周波数FNの振動成分の高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を補正するローパスフィルター処理を含む。さらに、固有振動unv(t)から不要な信号を減衰させるフィルター処理は、基本周波数FNよりも低い周波数の信号成分を減衰させるハイパスフィルター処理を含んでもよい。
例えば、計測装置1は、固有振動unv(t)に対して、ハイパスフィルター処理を行った後、さらに、ローパスフィルター処理を行ってもよい。具体的には、まず、計測装置1は、固有振動unv(t)に対して、固有振動unv(t)の基本周波数FNよりも低い周波数の信号成分を減衰させるハイパスフィルター処理を行って、固有振動unv_hp(t)を算出する。
具体的には、まず、計測装置1は、固有振動unv(t)を高速フーリエ変換処理してパワースペクトラム密度を算出し、パワースペクトラム密度のピークを基本周波数FNとして算出する。図31に、図30の固有振動unv(t)を高速フーリエ変換処理して得られたパワースペクトラム密度を示す。図31の例では、基本周波数FNは約3Hzとして算出される。そして、計測装置1は、式(61)により、基本周波数FNから基本周期TNを算出し、式(62)のように、基本周期TNをΔTで除してデータの時間分解能に調整した移動平均区間kmNを算出する。基本周期TNは、基本周波数FNに対応する周期であり、TN>2ΔTである。
そして、計測装置1は、式(63)により、固有振動unv(t)から、基本周期TNで固有振動unv(t)を移動平均処理して振動成分を低減させた低域信号成分を減算するハイパスフィルター処理を行って、固有振動unv_hp(t)を算出する。この移動平均処理は、必要な計算量が小さいだけでなく、基本周波数FNの信号成分及びその高調波成分の減衰量が非常に大きいので振動成分が効果的に低減された低域信号成分が得られる。そのため、式(63)により、低域信号成分が効果的に低減された固有振動unv_hp(t)が得られる。図32に、式(63)によるハイパスフィルターの周波数特性を示す。また、図33に、固有振動unv_hp(t)の一例を示す。
なお、計測装置1は、ハイパスフィルター処理として、固有振動unv(t)に対して基本周波数FNよりも低い周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行って固有振動unv_hp(t)を算出してもよい。
さらに、計測装置1は、固有振動unv_hp(t)に含まれる基本周波数FNの振動成分の高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を補正するローパスフィルター処理を行って、第2の動的応答としての固有振動unv_3lp(t)を算出する。例えば、図31に示した固有振動unv(t)のパワースペクトラム密度では3次高調波成分が大きい。そのため、計測装置1は、3次高調波成分を減衰させるために、式(64)のように、基本周期TNの3倍の周期をΔTで除してデータの時間分解能に調整した移動平均区間kmLを算出する。ただし、3TN>2ΔTである。
固有振動unv_hp(t)を移動平均区間kmLで移動平均処理すると、基本周波数FNとその3倍の周波数3FNとの周波数間隔が小さいので、図34に示すように、基本周波数FNの利得gNが1よりも小さくなる。移動平均フィルターの伝達特性は式(65)で表されるので、計測装置1は、式(65)より、ω=2πFNの時の利得gNを算出することができる。
したがって、基本周波数FNの利得を1に補正する補正係数をgN
-1とし、計測装置1は、式(66)により、固有振動unv(t)に含まれる3次高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を1に補正するローパスフィルター処理を行って
、第2の動的応答としての固有振動unv_3lp(t)を算出する。このようにして算出される固有振動unv_3lp(t)は、基本的に、固有振動unv(t)に含まれる基本周波数FNの振動成分とみなすことができる。図35に、固有振動unv_3lp(t)の一例を示す。
なお、固有振動unv(t)に含まれる2次高調波成分が大きい場合は、計測装置1は、2次高調波成分を減衰させる移動平均処理を行う。また、固有振動unv(t)に含まれる2次高調波成分と3次高調波成分がともに大きい場合は、計測装置1は、2次高調波成分を減衰させる移動平均処理と3次高調波成分を減衰させる移動平均処理の両方を行えばよい。一般化すると、固有振動unv(t)に含まれるn次高調波成分が大きい場合は、計測装置1は、n次高調波成分を減衰させる移動平均処理を行えばよい。
また、計測装置1は、ローパスフィルター処理として、固有振動unv_hp(t)に対して基本周波数FNよりも高い周波数の信号成分を減衰させるFIRフィルター処理を行って固有振動unv_3lp(t)を算出してもよい。
なお、計測装置1が固有振動unv(t)に対してハイパスフィルター処理を行った後にローパスフィルター処理を行う場合について説明したが、計測装置1は、固有振動unv(t)に対してローパスフィルター処理を行った後にハイパスフィルター処理を行ってもよい。また、固有振動unv(t)に含まれる基本周波数FNよりも低い周波数の信号成分が小さい場合には、計測装置1は、ハイパスフィルター処理を行わなくてもよい。
次に、計測装置1は、式(67)のように、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)と静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して変位波形umd(t)を算出する。
そして、計測装置1は、静的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、計測装置1は、変位波形umd(t)の最大振幅とたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、計測装置1は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとし、前出の式(58)により、静的応答の振動の最大振幅Ssを算出する。
また、計測装置1は、変位波形umd(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとし、式(68)により、動的応答の最大振幅Sdを算出する。式(68)において、min{umd(t)}は、変位波形umd(t)の最小値を抽出する関数である。
図36に、たわみ量TEOstd(t)、変位波形umd(t)及び最大振幅Ss,Sdの関係を示す。ここでは、鉄道車両6が上部構造7を通過するときに、たわみ量TEOstd(t)及び変位波形umd(t)が負の値となり、たわみ量TEOstd(t)の最小値や変位波形umd(t)の最小値が最大振幅となるものとしている。ただし、鉄道車両6が上部構造7を通過するときに、たわみ量TEOstd(t)及び変位波形umd(t)が正の値となる場合は、たわみ量TEOstd(t)の最大値や変位波形umd(t)の最大値が最大振幅となるものとすればよい。
そして、計測装置1は、前出の式(58)によって算出された最大振幅Ss及び式(68)によって算出された最大振幅Sdを前出の式(57)に代入し、衝撃係数iαを算出する。
図37は、第2実施形態の計測方法の手順の一例を示すフローチャート図である。図37において、図21の各工程と同様の処理を行う工程には同じ符号が付されている。本実施形態では、計測装置1が図37に示す手順を実行する。
図37に示すように、まず、第1実施形態と同様、計測装置1は、工程S10~S110の各処理を行う。
次に、第1動的応答算出工程S111において、計測装置1は、前出の式(60)のように、工程S20で生成した測定データu(t)から工程S110で算出した静的応答としてのたわみ量TEOstd(t)を減算して、第1の動的応答としての固有振動unv(t)を算出する。
次に、第2動的応答算出工程S112において、計測装置1は、工程S111で算出した第1の動的応答である固有振動unv(t)から不要な信号を減衰させるフィルター処理を行って第2の動的応答としての固有振動unv_3lp(t)を算出する。このフィルター処理は、固有振動unv(t)に含まれる基本周波数FNの振動成分の高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を補正するローパスフィルター処理を含んでもよい。さらに、このフィルター処理は、基本周波数FNよりも低い周波数の信号成分を減衰させるハイパスフィルター処理を含んでもよい。第2動的応答算出工程S112の手順の一例については後述する。
次に、変位波形算出工程S113において、計測装置1は、前出の式(67)のように、工程S112で算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)と工程S110で算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して変位波形umd(t)を算出する。
次に、衝撃係数算出工程S120において、計測装置1は、工程S110で算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、計測装置1は、工程S113で算出した変位波形umd(t)の最大振幅と工程S110で算出したたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、計測装置1は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとして前出の式(58)により静的応答の振動の最大振幅Ssを算出し、変位波形umd(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとして前出の式(68)により動的応答の最大振幅Sdを算出し、前出の式(57)により衝撃係数iαを算出する。
次に、計測データ出力工程S130において、計測装置1は、工程S120で算出した衝撃係数iαを含む計測データを監視装置3に出力する。具体的には、計測装置1は、計
測データを、通信ネットワーク4を介して監視装置3に送信する。計測データは、衝撃係数iαに加えて、測定データu(t),ulp(t)、たわみ量Tstd(t),Tstd_lp(t),TEstd_lp(t),たわみ量TEOstd(t)、固有振動unv(t),unv_3lp(t)、変位波形umd(t)等を含んでもよい。
そして、工程S140において計測を終了するまで、計測装置1は、工程S10~S130の処理を繰り返し行う。
図38は、図37の第2動的応答算出工程S112の手順の一例を示すフローチャート図である。
図38に示すように、工程S1121において、計測装置1は、前出の式(63)により、図37の工程S111で算出した固有振動unv(t)から、基本周期TNで固有振動unv(t)を移動平均処理して振動成分を低減させた低域信号成分を減算するハイパスフィルター処理を行って、固有振動unv_hp(t)を算出する。
さらに、工程S1122において、計測装置1は、前出の式(66)により、工程S1121で算出した固有振動unv_hp(t)に含まれる基本周波数FNの振動成分の高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を補正するローパスフィルター処理を行って、第2の動的応答としての固有振動unv_3lp(t)を算出する。
図42は、第2実施形態における計測装置1の構成例を示す図である。図42に示すように、第2実施形態における計測装置1は、第1実施形態と同様、第1通信部11と、第2通信部12と、記憶部13と、プロセッサー14と、を備えている。第1通信部11、第2通信部12及び記憶部13の機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態では、プロセッサー14は、記憶部13に記憶された計測プログラム131を実行することにより、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152、計測データ出力部153、第1動的応答算出部154、第2動的応答算出部155及び変位波形算出部156として機能する。すなわち、プロセッサー14は、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152、計測データ出力部153、第1動的応答算出部154、第2動的応答算出部155及び変位波形算出部156を含む。
観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151及び計測データ出力部153の機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。なお、観測データ取得部141は、図37の観測データ取得工程S10の処理を行う。また、第1測定データ生成部142は、図37の第1測定データ生成工程S20の処理を行う。また、第2測定データ生成部143は、図37の第2測定データ生成工程S30の処理を行う。また、観測情報生成部144は、図37の観測情報生成工程S40の処理を行う。また、平均速度算出部145は、図37の平均速度算出工程S50の処理を行う。また、第1たわみ量算出部146は、図37の第1たわ
み量算出工程S60の処理を行う。また、第2たわみ量算出部147は、図37の第2たわみ量算出工程S70の処理を行う。また、係数算出部148は、図37の係数算出工程S80の処理を行う。また、第3たわみ量算出部149は、図37の第3たわみ量算出工程S90の処理を行う。また、オフセット算出部150は、図37のオフセット算出工程S100の処理を行う。また、静的応答算出部151は、図37の静的応答算出工程S110の処理を行う。また、計測データ出力部153は、図37の計測データ出力工程S130の処理を行う。
第1動的応答算出部154は、前出の式(56)のように、第1測定データ生成部142が生成した測定データu(t)から静的応答算出部151が算出した静的応答としてのたわみ量TEOstd(t)を減算して、第1の動的応答としての固有振動unv(t)を算出する。第1動的応答算出部154が算出した固有振動unv(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、第1動的応答算出部154は、図37における第1動的応答算出工程S111の処理を行う。
第2動的応答算出部155は、第1動的応答算出部154が算出した第1の動的応答である固有振動unv(t)から不要な信号を減衰させるフィルター処理を行って第2の動的応答としての固有振動unv_3lp(t)を算出する。このフィルター処理は、固有振動unv(t)に含まれる基本周波数FNの振動成分の高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を補正するローパスフィルター処理を含んでもよい。さらに、このフィルター処理は、基本周波数FNよりも低い周波数の信号成分を減衰させるハイパスフィルター処理を含んでもよい。例えば、第2動的応答算出部155は、前出の式(63)により、固有振動unv(t)から、基本周期TNで固有振動unv(t)を移動平均処理して振動成分を低減させた低域信号成分を減算するハイパスフィルター処理を行って、固有振動unv_hp(t)を算出する。さらに、第2動的応答算出部155は、前出の式(66)により、固有振動unv_hp(t)に含まれる基本周波数FNの振動成分の高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を補正するローパスフィルター処理を行って、第2の動的応答としての固有振動unv_3lp(t)を算出する。第2動的応答算出部155が算出した固有振動unv_3lp(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、第2動的応答算出部155は、図37における第2動的応答算出工程S112の処理、具体的には図38の工程S1121,S1122の処理を行う。
変位波形算出部156は、前出の式(67)のように、第2動的応答算出部155が算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)と静的応答算出部151が算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して変位波形umd(t)を算出する。変位波形算出部156が算出した変位波形umd(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、変位波形算出部156は、図37における変位波形算出工程S113の処理を行う。
衝撃係数算出部152は、静的応答算出部151が算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、衝撃係数算出部152は、変位波形算出部156が算出した変位波形umd(t)の最大振幅と静的応答算出部151が算出したたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、衝撃係数算出部152は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとして前出の式(58)により静的応答の振動の最大振幅Ssを算出し、変位波形umd(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとして前出の式(68)により動的応答の最大振幅Sdを算出し、前出の式(57)により衝撃係数iαを算出する。衝撃係数算出部152が算出した衝撃係数iαは、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶される。すなわち、衝撃係数算出部1
52は、図37における衝撃係数算出工程S120の処理を行う。
このように、計測プログラム131は、図37に示したフローチャートの各手順を、コンピューターである計測装置1に実行させるプログラムである。
以上に説明した第2実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、前出の式(60)により、測定データu(t)から精度良く算出された静的応答であるたわみ量TEOstd(t)を減算して第1の動的応答である固有振動unv(t)を算出し、さらに、不要な信号を減衰させるフィルター処理を行うことにより、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)を精度よく算出することができる。
特に、計測装置1は、固有振動unv(t)に対して、基本周波数FNよりも低い周波数の信号成分を減衰させるハイパスフィルター処理を行うことにより、低周波ノイズや環境振動等に起因する信号成分が低減された固有振動unv_hp(t)が得られる。さらに、計測装置1は、固有振動unv_hp(t)に対して、基本周波数FNの振動成分の高調波成分を減衰させるとともに、基本周波数FNにおける利得を補正するローパスフィルター処理を行うことにより、高調波成分が低減されて基本周波数の信号成分が強調された固有振動unv_3lp(t)が得られる。
したがって、第2実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、精度良く算出された第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)と静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して精度の良い変位波形umd(t)が得られるので、変位波形umd(t)に基づいて衝撃係数iαを精度よく算出することができる。
その他、第2実施形態の計測方法によれば、第1実施形態の計測方法と同様の効果を奏することができる。
3.第3実施形態
以下、第3実施形態について、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付して第1実施形態又は第2実施形態と重複する説明を省略又は簡略し、主に第1実施形態及び第2実施形態と異なる内容について説明する。第3実施形態では、衝撃係数iαを算出方法が第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
第3実施形態では、まず、計測装置1は、第2実施形態と同様、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)を算出する。
次に、計測装置1は、固有振動unv_3lp(t)の包絡線振幅unv_mag(t)を算出する。具体的には、固有振動unv_3lp(t)はほぼ基本周波数FNの振動成分とみなすことができるので、計測装置1は、波高率をπ/2として、式(69)により、固有振動unv_3lp(t)の絶対値をローパスフィルター処理して包絡線振幅unv_mag(t)を算出する。図40に、包絡線振幅unv_mag(t)の一例を示す。
固有振動unv_3lp(t)の絶対値は、基本周波数FNの2倍の周波数の信号成分を含むので、ローパスフィルター処理の通過帯域は2FNよりも低い範囲とすることが望ましい。例えば、ローパスフィルター処理が式(69)のように移動平均処理である場合、移動平均区間長tMAを、整数kを基本周波数FNで除した値とし、k=4,FN=2.7917Hz,ΔT=0.012秒とすると、式(70)のようにtMA=118ΔTに設定すればよい。
次に、計測装置1は、式(71)のように、包絡線振幅unv_mag(t)が増大する区間の少なくとも一部の第1区間T1において、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近する漸近線の仮の振幅ucstから、包絡線振幅unv_mag(t)を減算した振幅の対数unv_c(t)を算出する。
第1区間T1は時刻tex1から時刻tex2までの区間であり、第1区間T1の開始時刻tex1は、包絡線振幅unv_mag(t)の増大が開始する時刻以降である。また、第1区間T1の終了時刻tex2は、進出時刻to以前である。例えば、計測装置1は、式(72)により、鉄道車両6の最後尾の車軸の上部構造7からの退出時刻toutを算出し、式(73)を満たす時刻tの範囲を第1区間T1としてもよい。前出の式(7)、前出の式(12)及び式(72)の関係から、退出時刻toutは進出時刻toと等しいので、式(73)を満たす第1区間T1の終了時刻tex2は、進出時刻to以前である。
図41に、包絡線振幅unv_mag(t)及び第1区間T1の一例を示す。また、図42に、仮の振幅ucstから包絡線振幅unv_mag(t)を減算した振幅の対数unv_c(t)及び第1区間T1の一例を示す。
第1区間T1における対数unv_c(t)は式(74)で示される1次関数usl(t)で近似される。
計測装置1は、最小二乗法により、式(75)で表される誤差e(t)、すなわち、対数unv_c(t)と式(74)の1次関数usl(t)との差が最小となる1次係数e
x1及び0次係数ex0を算出する。
1次係数ex1及び0次係数ex0は、それぞれ、式(76)及び式(77)によって算出される。ここで、近似する時間区間に対応するデータ区間をtex1≦t≦tex2とする。
式(71)、式(74)及び式(75)より、式(78)が導かれる。
次に、計測装置1は、式(79)により、第1区間T1において、仮の振幅ucstをパラメーターとして変化させた時の対数unv_c(t)である対数unv_c(ucst,t)と1次関数usl(t)との差の2乗の積算値E(ucst)を算出する。
図43に、仮の振幅ucstと積算値E(ucst)との関係を示す。また、図44は、仮の振幅ucstが1以上5以下の範囲で図43を拡大した図である。また、図45は、仮の振幅ucstが1.36以上1.39以下の範囲で図43を拡大した図である。図45より、仮の振幅ucstが1.36以上1.39以下の範囲では、式(80)のように、積算値E(ucst)は仮の振幅ucstを変数とする2次関数で近似される。
計測装置1は、最小二乗法により、式(81)で表される誤差y(ucst)、すなわち、積算値E(ucst)と式(80)の2次関数との差が最小となる2次係数c2、1
次係数c1及び0次係数c0を算出する。
2次係数c2、1次係数c1及び0次係数c0は、それぞれ、式(82)、式(83)及び式(84)によって算出される。ここで、近似する時間区間に対応するデータ区間をucst1≦ucst≦ucst2とし、式(82)、式(83)及び式(84)において、Σの区間は当該データ区間である。
積算値E(ucst)が最小となる仮の振幅ucstを振幅ucst_cとすると、式(85)が成立する。
式(85)より、振幅ucst_cは式(86)によって算出される。図46に、積算値E(ucst)と振幅ucst_cとの関係を示す。図46において、点線は式(80)の2次関数である。
なお、計測装置1は、積算値E(ucst)を仮の振幅ucstの2次関数で近似して振幅ucst_cを算出しているが、積算値E(ucst)を仮の振幅ucstの任意の多項式で近似して振幅ucst_cを算出してもよい。図47は、仮の振幅ucstが1.3以上1.5以下の範囲で図44を拡大した図である。図47において、点線で示すように、仮の振幅ucstが1.3以上1.5以下の範囲では、積算値E(ucst)は仮の振幅ucstを変数とする3次関数で近似される。
次に、計測装置1は、式(87)のように、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近す
る漸近線の振幅が振幅ucst_cであるものとし、式(87)のように、振幅ucst_cから包絡線振幅unv_mag(t)を減算した振幅の対数unv_cc(t)を算出する。
計測装置1は、最小二乗法により、式(88)で表される誤差e(t)、すなわち、対数unv_c(t)と1次関数ex3t+ex2との差が最小となる1次係数ex3及び0次係数ex2を算出する。
1次係数ex3及び0次係数ex2は、それぞれ、式(89)及び式(90)によって算出される。ここで、近似する時間区間に対応するデータ区間をtex1≦t≦tex2とする。
式(87)及び式(88)より、式(91)が導かれる。
式(91)より、包絡線振幅unv_mag(t)が増大する区間を近似する励振曲線uenv_a(t)は、式(92)によって算出される。
次に、計測装置1は、固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分が減衰する区間の少なくとも一部の第2区間T2において包絡線振幅unv_mag(t)を指数関数で近似する。第2区間T2は時刻te0から時刻te1までの区間であり、第2区間T2の開始時刻te0は、進出時刻to以降である。例えば、計測装置1は、前出の式(72)によって算出した退出時刻tout以降であって、式(93)を満たす時刻tの範囲を
第2区間T2としてもよい。前述の通り、退出時刻toutは進出時刻toと等しいので、式(93)を満たす第2区間T2の開始時刻te0は、進出時刻to以降である。
第2区間T2の開始時刻te0及び終了時刻te1は、例えば、式(94)で示される包絡線振幅unv_mag(t)の対数y(t)が凡そ直線となる範囲で選択される。図48に、包絡線振幅unv_mag(t)の対数y(t)及び第2区間T2の一例を示す。
図48に示すように、鉄道車両6の通過後、上部構造7の振動が減衰する第2区間T2で対数y(t)はほぼ直線となる。第2区間T2における対数y(t)は式(95)で示される1次関数Q(t)で近似される。
計測装置1は、最小二乗法により、式(96)で表される誤差e(t)、すなわち、対数y(t)と式(95)の1次関数Q(t)との差が最小となる1次係数q1及び0次係数q0を算出する。
1次係数q1及び0次係数q0は、それぞれ、式(97)及び式(98)によって算出される。ここで、近似する時間区間に対応するデータ区間をte0≦t≦te1とする。
第2区間T2において包絡線振幅unv_mag(t)を近似する指数関数を減衰振動曲線uenv_b(t)とすると、減衰振動曲線uenv_b(t)は、1次係数q1及び0次係数q0を用いて、式(99)によって算出される。
次に、計測装置1は、式(100)のように、励振曲線uenv_a(t)と減衰振動曲線uenv_b(t)を合成して包絡線uenv(t)を算出する。
図49に、励振曲線uenv_a(t)、減衰振動曲線uenv_b(t)及び包絡線uenv(t)の関係を示す。また、図50に、包絡線振幅unv_mag(t)と包絡線uenv(t)との関係を示す。また、図51に、包絡線振幅unv_mag(t)、励振曲線uenv_a(t)、減衰振動曲線uenv_b(t)及び漸近線の振幅ucst_cの関係を示す。
次に、計測装置1は、基本周波数FNと包絡線uenv(t)とに基づいて、式(101)により、第3の動的応答としての固有振動umv(t)を算出する。式(101)において、φは位相調整係数である。図52に、固有振動umv(t)の一例を示す。
次に、計測装置1は、式(102)のように、第3の動的応答である固有振動umv(t)と静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して変位波形umdf(t)を算出する。
そして、計測装置1は、静的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、計測装置1は、変位波形umdf(t)の最大振幅とたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、計測装置1は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとし、前出の式(58)により、静的応答の振動の最大振幅Ssを算出する。
また、計測装置1は、変位波形umdf(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとし、式(103)により、動的応答の最大振幅Sdを算出する。式(103)において、min{umdf(t)}は、変位波形umdf(t)の最小値を抽出する関数である。
図53に、たわみ量TEOstd(t)、変位波形umdf(t)及び最大振幅Ss,Sdの関係を示す。ここでは、鉄道車両6が上部構造7を通過するときに、たわみ量TE
Ostd(t)及び変位波形umdf(t)が負の値となり、たわみ量TEOstd(t)の最小値や変位波形umdf(t)の最小値が最大振幅となるものとしている。ただし、鉄道車両6が上部構造7を通過するときに、たわみ量TEOstd(t)及び変位波形umdf(t)が正の値となる場合は、たわみ量TEOstd(t)の最大値や変位波形umdf(t)の最大値が最大振幅となるものとすればよい。
そして、計測装置1は、前出の式(58)によって算出された最大振幅Ss及び式(103)によって算出された最大振幅Sdを前出の式(57)に代入し、衝撃係数iαを算出する。
図54は、第3実施形態の計測方法の手順の一例を示すフローチャート図である。図54において、図37の各工程と同様の処理を行う工程には同じ符号が付されている。本実施形態では、計測装置1が図54に示す手順を実行する。
図54に示すように、まず、第2実施形態と同様、計測装置1は、工程S10~S112の各処理を行う。
次に、包絡線振幅算出工程S114において、計測装置1は、工程S112で算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)の包絡線振幅unv_mag(t)を算出する。具体的には、計測装置1は、前出の式(69)のように、固有振動unv_3lp(t)の絶対値をローパスフィルター処理し、かつ、π/2を乗算して、包絡線振幅unv_mag(t)を算出する。
次に、漸近線振幅算出工程S115において、計測装置1は、工程S114で算出した包絡線振幅unv_mag(t)が増大して漸近する漸近線の振幅ucst_cを算出する。漸近線振幅算出工程S115の手順の一例については後述する。
次に、励振曲線算出工程S116において、計測装置1は、工程S114で算出した包絡線振幅unv_mag(t)と工程S115で算出した漸近線の振幅ucst_cとに基づいて、工程S112で算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の励振曲線uenv_a(t)を算出する。励振曲線算出工程S116の手順の一例については後述する。
次に、減衰振動曲線算出工程S117において、計測装置1は、工程S114で算出した包絡線振幅unv_mag(t)に基づいて、工程S112で算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の減衰振動曲線uenv_b(t)を算出する。減衰振動曲線算出工程S117の手順の一例については後述する。
次に、第3動的応答算出工程S118において、計測装置1は、工程S111で算出した第1の動的応答である固有振動unv(t)の基本周波数FNと、工程S116で算出した励振曲線uenv_a(t)と、工程S117で算出した減衰振動曲線uenv_b(t)とに基づいて、第3の動的応答としての固有振動umv(t)を算出する。第3動的応答算出工程S118の手順の一例については後述する。
次に、変位波形算出工程S119において、計測装置1は、前出の式(102)のように、工程S118で算出した第3の動的応答である固有振動umv(t)と、工程S110で算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して、変位波形umdf(t)を算出する。
次に、衝撃係数算出工程S120において、計測装置1は、工程S110で算出した静
的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、計測装置1は、工程S119で算出した変位波形umdf(t)の最大振幅と工程S110で算出したたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、計測装置1は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとして前出の式(58)により静的応答の振動の最大振幅Ssを算出し、変位波形umdfの最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとして前出の式(103)により動的応答の最大振幅Sdを算出し、前出の式(57)により衝撃係数iαを算出する。
次に、計測データ出力工程S130において、計測装置1は、工程S120で算出した衝撃係数iαを含む計測データを監視装置3に出力する。具体的には、計測装置1は、計測データを、通信ネットワーク4を介して監視装置3に送信する。計測データは、衝撃係数iαに加えて、測定データu(t),ulp(t)、たわみ量Tstd(t),Tstd_lp(t),TEstd_lp(t),たわみ量TEOstd(t)、固有振動unv(t),unv_3lp(t),umv(t)、変位波形umdf(t)、包絡線振幅unv_mag(t)、励振曲線uenv_a(t)、減衰振動曲線uenv_b(t)等を含んでもよい。
そして、工程S140において計測を終了するまで、計測装置1は、工程S10~S130の処理を繰り返し行う。
図55は、図54の漸近線振幅算出工程S115の手順の一例を示すフローチャート図である。
図55に示すように、まず、工程S1151において、計測装置1は、前出の式(71)のように、図54の工程S114で算出した包絡線振幅unv_mag(t)が増大する区間の少なくとも一部の第1区間T1において、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近する漸近線の仮の振幅ucstをパラメーターとして、仮の振幅ucstから包絡線振幅unv_mag(t)を減算した振幅の対数unv_c(t)を算出する。第1区間T1の開始時刻tex1は、包絡線振幅unv_mag(t)の増大が開始する時刻以降であり、第1区間T1の終了時刻tex2は、進出時刻to以前である。
次に、工程S1152において、計測装置1は、前出の式(76)及び式(77)により、工程S1151で算出した対数unv_c(t)を近似する前出の式(74)の1次関数usl(t)を算出する。
次に、工程S1153において、計測装置1は、仮の振幅ucstをパラメーターとして、前出の式(79)により、工程S1151で算出した対数unv_c(ucst,t)と工程S1152で算出した1次関数usl(t)との差の2乗の積算値E(ucst)を算出する。
そして、工程S1154において、計測装置1は、工程S1153で算出した積算値E(ucst)が最小となる仮の振幅ucstを、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近する漸近線の振幅ucst_cとして算出する。具体的には、計測装置1は、仮の振幅ucstをパラメーターとして、積算値E(ucst)を仮の振幅ucstの多項式で近似し、当該多項式の極値を漸近線の振幅ucst_cとして算出する。この多項式は、例えば、前出の式(80)の2次関数であってもよいし、3次関数であってもよい。
図56は、図54の励振曲線算出工程S116の手順の一例を示すフローチャート図である。
図56に示すように、まず、工程S1161において、計測装置1は、前出の式(87)のように、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近する漸近線の振幅ucst_cから包絡線振幅unv_mag(t)を減算した振幅の対数unv_cc(t)を算出する。
次に、工程S1162において、計測装置1は、前出の式(89)及び式(90)により、工程S1161で算出した対数unv_cc(t)を近似する前出の式(88)の1次関数の係数ex3,ex2を算出する。
そして、工程S1163において、計測装置1は、工程S1162で算出した係数ex3,ex2に基づいて、前出の式(92)により、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の励振曲線uenv_a(t)を算出する。
図57は、図54の減衰振動曲線算出工程S117の手順の一例を示すフローチャート図である。
図57に示すように、工程S1171において、計測装置1は、図54の工程S112で算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分が減衰する区間の少なくとも一部の第2区間T2において、図57の工程S114で算出した包絡線振幅unv_mag(t)を指数関数で近似して指数関数の冪の係数q1,q0を算出する。第2区間T2の開始時刻te0は、進出時刻to以降である。例えば、計測装置1は、前出の式(95)のように、第2区間T2において包絡線振幅unv_mag(t)の対数y(t)を1次関数Q(t)で近似し、前出の式(97)及び式(98)により、冪の係数q1,q0を算出する。
そして、工程S1172において、計測装置1は、工程S1171で算出した冪の係数q1,q0に基づいて、前出の式(99)により、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の減衰振動曲線uenv_b(t)を算出する。
図58は、図54の第3動的応答算出工程S118の手順の一例を示すフローチャート図である。
図58に示すように、工程S1181において、計測装置1は、前出の式(100)のように、図54の工程S116で算出した励振曲線uenv_a(t)と工程S117で算出した減衰振動曲線uenv_b(t)を合成して、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の包絡線uenv(t)を算出する。
そして、工程S1182において、計測装置1は、基本周波数FNと工程S1181で算出した包絡線uenv(t)とに基づいて、前出の式(101)により、第3の動的応答としての固有振動umv(t)を算出する。
図59は、第3実施形態における計測装置1の構成例を示す図である。図59に示すように、第3実施形態における計測装置1は、第1実施形態及び第2実施形態と同様、第1通信部11と、第2通信部12と、記憶部13と、プロセッサー14と、を備えている。第1通信部11、第2通信部12及び記憶部13の機能は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態では、プロセッサー14は、記憶部13に記憶された計測プログラム131を実行することにより、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算
出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152、計測データ出力部153、第1動的応答算出部154、第2動的応答算出部155、包絡線振幅算出部157、漸近線振幅算出部158、励振曲線算出部159、減衰振動曲線算出部160、第3動的応答算出部161及び変位波形算出部162として機能する。すなわち、プロセッサー14は、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152、計測データ出力部153、第1動的応答算出部154、第2動的応答算出部155、包絡線振幅算出部157、漸近線振幅算出部158、励振曲線算出部159、減衰振動曲線算出部160、第3動的応答算出部161及び変位波形算出部162を含む。
観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151及び計測データ出力部153の機能は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また、第1動的応答算出部154及び第2動的応答算出部155の機能は、第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。なお、観測データ取得部141は、図54の観測データ取得工程S10の処理を行う。また、第1測定データ生成部142は、図54の第1測定データ生成工程S20の処理を行う。また、第2測定データ生成部143は、図54の第2測定データ生成工程S30の処理を行う。また、観測情報生成部144は、図54の観測情報生成工程S40の処理を行う。また、平均速度算出部145は、図54の平均速度算出工程S50の処理を行う。また、第1たわみ量算出部146は、図54の第1たわみ量算出工程S60の処理を行う。また、第2たわみ量算出部147は、図54の第2たわみ量算出工程S70の処理を行う。また、係数算出部148は、図54の係数算出工程S80の処理を行う。また、第3たわみ量算出部149は、図54の第3たわみ量算出工程S90の処理を行う。また、オフセット算出部150は、図54のオフセット算出工程S100の処理を行う。また、静的応答算出部151は、図54の静的応答算出工程S110の処理を行う。また、計測データ出力部153は、図54の計測データ出力工程S130の処理を行う。また、第1動的応答算出部154は、図54の第1動的応答算出工程S111の処理を行う。また、第2動的応答算出部155は、図54の第2動的応答算出工程S112の処理を行う。
包絡線振幅算出部157は、第2動的応答算出部155が算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)の包絡線振幅unv_mag(t)を算出する。具体的には、包絡線振幅算出部157は、前出の式(69)のように、固有振動unv_3lp(t)の絶対値をローパスフィルター処理し、かつ、π/2を乗算して、包絡線振幅unv_mag(t)を算出する。包絡線振幅算出部157が算出した包絡線振幅unv_mag(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、包絡線振幅算出部157は、図54における包絡線振幅算出工程S114の処理を行う。
漸近線振幅算出部158は、包絡線振幅算出部157が算出した包絡線振幅unv_mag(t)が増大して漸近する漸近線の振幅ucst_cを算出する。具体的には、まず、漸近線振幅算出部158は、前出の式(71)のように、包絡線振幅unv_mag(t)が増大する区間の少なくとも一部の第1区間T1において、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近する漸近線の仮の振幅ucstをパラメーターとして、仮の振幅ucstから包絡線振幅unv_mag(t)を減算した振幅の対数unv_c(t)を算出する。第1区間T1の開始時刻tex1は、包絡線振幅unv_mag(t)の増大が開始す
る時刻以降であり、第1区間T1の終了時刻tex2は、進出時刻to以前である。次に、漸近線振幅算出部158は、前出の式(76)及び式(77)により、対数unv_c(t)を近似する前出の式(74)の1次関数usl(t)を算出する。次に、漸近線振幅算出部158は、仮の振幅ucstをパラメーターとして、前出の式(79)により、対数unv_c(ucst,t)と1次関数usl(t)との差の2乗の積算値E(ucst)を算出する。そして、漸近線振幅算出部158は、積算値E(ucst)が最小となる仮の振幅ucstを、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近する漸近線の振幅ucst_cとして算出する。具体的には、漸近線振幅算出部158は、仮の振幅ucstをパラメーターとして、積算値E(ucst)を仮の振幅ucstの多項式で近似し、当該多項式の極値を漸近線の振幅ucst_cとして算出する。この多項式は、例えば、前出の式(80)の2次関数であってもよいし、3次関数であってもよい。すなわち、漸近線振幅算出部158は、図54における漸近線振幅算出工程S115の処理、具体的には図55の工程S1151,S1152,S1153,S1154の処理を行う。
励振曲線算出部159は、包絡線振幅算出部157が算出した包絡線振幅unv_mag(t)と漸近線振幅算出部158が算出した漸近線の振幅ucst_cとに基づいて、第2動的応答算出部155が算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の励振曲線uenv_a(t)を算出する。具体的には、まず、励振曲線算出部159は、前出の式(87)のように、包絡線振幅unv_mag(t)が漸近する漸近線の振幅ucst_cから包絡線振幅unv_mag(t)を減算した振幅の対数unv_cc(t)を算出する。次に、励振曲線算出部159は、前出の式(89)及び式(90)により、工程S1161で算出した対数unv_cc(t)を近似する前出の式(88)の1次関数の係数ex3,ex2を算出する。そして、励振曲線算出部159は、係数ex3,ex2に基づいて、前出の式(92)により、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の励振曲線uenv_a(t)を算出する。励振曲線算出部159が算出した励振曲線uenv_a(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、励振曲線算出部159は、図54における励振曲線算出工程S116の処理、具体的には図56の工程S1161,S1162,S1163の処理を行う。
減衰振動曲線算出部160は、包絡線振幅算出部157が算出した包絡線振幅unv_mag(t)に基づいて、第2動的応答算出部155が算出した第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の減衰振動曲線uenv_b(t)を算出する。具体的には、減衰振動曲線算出部160は、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分が減衰する区間の少なくとも一部の第2区間T2において、包絡線振幅unv_mag(t)を指数関数で近似して指数関数の冪の係数q1,q0を算出する。第2区間T2の開始時刻te0は、進出時刻to以降である。例えば、減衰振動曲線算出部160は、前出の式(95)のように、第2区間T2において包絡線振幅unv_mag(t)の対数y(t)を1次関数Q(t)で近似し、前出の式(97)及び式(98)により、冪の係数q1,q0を算出する。そして、減衰振動曲線算出部160は、冪の係数q1,q0に基づいて、前出の式(99)により、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の減衰振動曲線uenv_b(t)を算出する。減衰振動曲線算出部160が算出した減衰振動曲線uenv_b(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、減衰振動曲線算出部160は、図54における減衰振動曲線算出工程S117の処理、具体的には図57の工程S1171,S1172の処理を行う。
第3動的応答算出部161は、第1動的応答算出部154が算出した第1の動的応答である固有振動unv(t)の基本周波数FNと、励振曲線算出部159が算出した励振曲線uenv_a(t)と、減衰振動曲線算出部160が算出した減衰振動曲線uenv_
b(t)とに基づいて、第3の動的応答としての固有振動umv(t)を算出する。具体的には、第3動的応答算出部161は、前出の式(100)のように、励振曲線uenv_a(t)と減衰振動曲線uenv_b(t)を合成して、第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)に含まれる振動成分の包絡線uenv(t)を算出する。そして、第3動的応答算出部161は、基本周波数FNと包絡線uenv(t)とに基づいて、前出の式(101)により、第3の動的応答としての固有振動umv(t)を算出する。第3動的応答算出部161が算出した固有振動umv(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、第3動的応答算出部161は、図54における第3動的応答算出工程S118の処理、具体的には図58の工程S1181,S1182の処理を行う。
変位波形算出部162は、前出の式(102)のように、第3動的応答算出部161が算出した第3の動的応答である固有振動umv(t)と、静的応答算出部151が算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して、変位波形umdf(t)を算出する。変位波形算出部162が算出した変位波形umdf(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、変位波形算出部162は、図54における変位波形算出工程S119の処理を行う。
衝撃係数算出部152は、静的応答算出部151が算出した静的応答であるたわみ量TEOstd(t)に基づいて、衝撃係数iαを算出する。本実施形態では、衝撃係数算出部152は、変位波形算出部162が算出した変位波形umdf(t)の最大振幅と静的応答算出部151が算出したたわみ量TEOstd(t)の最大振幅とに基づいて、衝撃係数iαを算出する。具体的には、衝撃係数算出部152は、たわみ量TEOstd(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅Ssとして前出の式(58)により静的応答の振動の最大振幅Ssを算出し、変位波形umdfの最大振幅を動的応答の最大振幅Sdとして前出の式(103)により動的応答の最大振幅Sdを算出し、前出の式(57)により衝撃係数iαを算出する。衝撃係数算出部152が算出した衝撃係数iαは、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶される。すなわち、衝撃係数算出部152は、図54における衝撃係数算出工程S120の処理を行う。
このように、計測プログラム131は、図54に示したフローチャートの各手順を、コンピューターである計測装置1に実行させるプログラムである。
以上に説明した第3実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、前出の式(69)により、不要な信号が減衰された第2の動的応答である固有振動unv_3lp(t)の包絡線振幅unv_mag(t)に基づいて、前出の式(92)により励振曲線uenv_a(t)を精度良く算出し、前出の式(99)により減衰振動曲線uenv_b(t)を精度良く算出することができる。特に、第3実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、仮の振幅ucstをパラメーターとして、積算値E(ucst)を仮の振幅ucstの多項式で近似し、当該多項式の極値を漸近線の振幅ucst_cとして算出することにより、漸近線の振幅ucst_cを精度良く算出することができるので、励振曲線uenv_a(t)を精度良く算出することができる。
さらに、第3実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、精度良く算出された励振曲線uenv_a(t)及び減衰振動曲線uenv_b(t)に基づいて、前出の式(100)により包絡線uenv(t)を算出し、包絡線uenv(t)に基づいて、式(101)により、第3の動的応答としての固有振動umv(t)を精度良く算出することができる。
したがって、第3実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、精度良く算出された第
3の動的応答である固有振動umv(t)と静的応答であるたわみ量TEOstd(t)とを加算して精度の良い変位波形umdf(t)が得られるので、変位波形umdf(t)に基づいて衝撃係数iαを精度よく算出することができる。
その他、第3実施形態の計測方法によれば、第1実施形態又は第2実施形態の計測方法と同様の効果を奏することができる。
4.第4実施形態
以下、第4実施形態について、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付して第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と重複する説明を省略又は簡略し、主に第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と異なる内容について説明する。
前出の式(92)によって算出される励振曲線uenv_a(t)は、上部構造7が継続して励振された場合に動的応答の振幅が増大し、漸近線の振幅ucstで飽和する曲線である。鉄道車両6の車両数が無限であると仮定した場合、減衰振動が開始しないため、動的応答の包絡線umv_a(t)は、前出の式(100)において減衰振動曲線uenv_b(t)を励振曲線uenv_a(t)に置き換えて、式(104)のようになる。
鉄道車両6の車両数が無限であると仮定した場合の動的応答である固有振動umv_aa(t)は、基本周波数FNと包絡線umv_a(t)とに基づいて、式(105)によって得られる。図60に、固有振動umv_aa(t)の一例を示す。
このように、上部構造7が継続して励振された場合、動的応答の最大振幅Sdは時間の経過とともに増大して振幅ucstに漸近する。したがって、衝撃係数iαは励振の継続とともに増大する。
そこで、第4実施形態では、計測装置1は、鉄道車両6が上部構造7を通過したときに得られる情報に基づいて、仮に任意の車両数CT’の仮想鉄道車両6’が橋梁5の上部構造7を走行した場合の衝撃係数である仮想衝撃係数iαXを算出する。仮想鉄道車両6’は仮想移動体の一例である。
まず、計測装置1は、仮想鉄道車両6’が上部構造7を走行した場合の上部構造7のたわみ量である仮想たわみ量TstdX(t)を算出する。具体的には、計測装置1は、前出の式(10)により、仮想鉄道車両6’の先頭の車軸からCm番目の車両のn番目の車軸までの距離Dwa(aw(Cm,n))を算出する。また、計測装置1は、前出の式(39)により、仮想鉄道車両6’のCm番目の車両のn番目の車軸が上部構造7の進入端に到達する時刻t0(Cm,n)を算出する。また、計測装置1は、前出の式(40)により、仮想鉄道車両6’のCm番目の車両のn番目の車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を算出する。さらに、計測装置1は、前出の式(42)
により、仮想鉄道車両6’のCm番目の車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を算出する。そして、計測装置1は、前出の式(43)により、仮想鉄道車両6’による上部構造7のたわみ量Tstd(t)を算出し、仮想たわみ量TstdX(t)とする。
次に、計測装置1は、式(106)のように、前出の式(49)によって算出される1次係数c1と仮想たわみ量TstdX(t)との積c1TstdX(t)と、前出の式(55)によって算出されるオフセットToffset_std(t)とを加算して、仮想静的応答としての仮想たわみ量TEOstdX(t)を算出する。この仮想たわみ量TEOstdX(t)は、仮想鉄道車両6’が上部構造7を通過したときの静的応答に相当する。図61に、30両の仮想鉄道車両6’が上部構造7を通過した場合の仮想たわみ量TEOstdX(t)の一例を示す。
次に、計測装置1は、仮想鉄道車両6’が上部構造7を走行した場合の減衰振動曲線である仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を算出する。
車両数CT’の仮想鉄道車両6’の最後尾の車軸の上部構造7からの進出時刻である仮想進出時刻toutXは、式(107)によって算出される。図62に、車両数CT’=30の仮想鉄道車両6’による上部構造7の仮想たわみ量TEOstdX(t)と仮想進出時刻toutXとの関係を示す。なお、比較のため、図62には、車両数CT=16の鉄道車両6が上部構造7を通過したときに前出の式(56)によって算出される静的応答としてのたわみ量TEOstd(t)及び進出時刻tоも示されている。
仮想鉄道車両6’が上部構造7を通過したと仮定した場合の減衰振動曲線である仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)は、式(108)のように、前出の式(99)によって算出される減衰振動曲線uenv_b(t)を、仮想進出時刻toutXと進出時刻tоとの差の時間分シフトすることによって算出される。なお、式(108)において、進出時刻tоを、前出の式(72)によって算出される退出時刻toutに置き換えてもよい。
次に、計測装置1は、仮想鉄道車両6’が上部構造7を通過したと仮定した場合の動的応答である仮想動的応答としての仮想固有振動umvX(t)を算出する。
式(109)のように、励振曲線uenv_a(t)と仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を合成して仮想包絡線uenvX(t)が算出される。図63に、仮想包絡線uenvX(t)の一例を示す。なお、比較のため、図63には、前出の式(100)によって算出される包絡線uenv(t)も点線で示されている。
そして、基本周波数FNと仮想包絡線uenvX(t)とに基づいて、式(110)により、仮想動的応答としての仮想固有振動umvX(t)が算出される。図64に、仮想固有振動umvX(t)と仮想たわみ量TEOstdX(t)の関係を示す。また、図65に、仮想固有振動umvX(t)と前出の式(101)によって算出される固有振動umv(t)との関係を示す。
次に、計測装置1は、式(111)のように、仮想動的応答である仮想固有振動umvX(t)と仮想静的応答TEOstdX(t)とを加算して、仮想鉄道車両6’が上部構造7を通過したと仮定した場合の上部構造7の変位波形である仮想変位波形umdfX(t)を算出する。
そして、計測装置1は、仮想変位波形umdfX(t)の最大振幅と仮想静的応答である仮想たわみ量TEOstdX(t)の最大振幅とに基づいて、仮想鉄道車両6’が上部構造7を通過したと仮定した場合の衝撃係数である仮想衝撃係数iαXを算出する。具体的には、計測装置1は、仮想たわみ量TEOstdX(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅SsXとし、式(112)により、静的応答の振動の最大振幅SsXを算出する。式(112)において、min{TEOstdX(t)}は、仮想たわみ量TEOstdX(t)の最小値を抽出する関数である。
同様に、計測装置1は、仮想変位波形umdfX(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅SdXとし、式(113)により、動的応答の最大振幅SdXを算出する。式(113)において、min{umdfX(t)}は、仮想変位波形umdfX(t)の最小値を抽出する関数である。
図66に、仮想たわみ量TEOstdX(t)、仮想変位波形umdfX(t)及び最大振幅SsX,SdXの関係を示す。ここでは、仮想鉄道車両6’が上部構造7を通過したと仮定した場合に、仮想たわみ量TEOstdX(t)及び仮想変位波形umdfX(t)が負の値となり、仮想たわみ量TEOstdX(t)の最小値や仮想変位波形umdfX(t)の最小値が最大振幅となるものとしている。ただし、仮想鉄道車両6’が上部
構造7を通過するときに、仮想たわみ量TEOstdX(t)及び仮想変位波形umdfX(t)が正の値となると仮定した場合は、仮想たわみ量TEOstdX(t)の最大値や仮想変位波形umdfX(t)の最大値が最大振幅となるものとすればよい。
そして、計測装置1は、式(112)によって算出された最大振幅SsX及び式(113)によって算出された最大振幅SdXを式(114)に代入し、仮想衝撃係数iαXを算出する。
図67は、第4実施形態の計測方法の手順の一例を示すフローチャート図である。図67において、図54の各工程と同様の処理を行う工程には同じ符号が付されている。本実施形態では、計測装置1が図67に示す手順を実行する。
図67に示すように、まず、第3実施形態と同様、計測装置1は、工程S10~S120の各処理を行う。
次に、仮想たわみ量算出工程S121において、計測装置1は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、工程S40で生成した観測情報と、環境情報と、工程S50で算出した鉄道車両6の平均速度vaとに基づいて、仮に鉄道車両6とは車両数が異なる仮想鉄道車両6’が上部構造7を走行した場合の仮想鉄道車両6’による上部構造7の仮想たわみ量TstdX(t)を算出する。具体的には、計測装置1は、上部構造7のたわみの近似式と、観測情報と、環境情報と、平均速度vaとに基づいて、仮想鉄道車両6’の複数の車軸のそれぞれによる上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を算出し、仮想鉄道車両6’の複数の車軸のそれぞれによる上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を加算して仮想たわみ量TstdX(t)を算出する。仮想たわみ量算出工程S121の手順の一例については後述する。
次に、仮想静的応答算出工程S122において、計測装置1は、前出の式(106)のように、工程S80で算出した1次係数c1と工程S121で算出した仮想たわみ量TstdX(t)との積c1TstdX(t)と、工程S100で算出したオフセットToffset_std(t)とを加算して、仮想静的応答としての仮想たわみ量TEOstdX(t)を算出する。
次に、仮想減衰振動曲線算出工程S123において、計測装置1は、工程S40で生成した観測情報と、環境情報と、工程S50で算出した平均速度vaと、工程S117で算出した減衰振動曲線uenv_b(t)とに基づいて、仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を算出する。仮想減衰振動曲線算出工程S123の手順の一例については後述する。
次に、仮想動的応答算出工程S124において、計測装置1は、第1の動的応答である固有振動unv(t)の基本周波数FNと、工程S116で算出した励振曲線uenv_a(t)と、工程S123で算出した仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)とに基づいて、仮想動的応答である仮想固有振動umvX(t)を算出する。仮想動的応答算出工程S124の手順の一例については後述する。
次に、仮想変位波形算出工程S125において、計測装置1は、前出の式(111)の
ように、工程S124で算出した仮想動的応答である仮想固有振動umvX(t)と工程S122で算出した仮想静的応答である仮想たわみ量TEOstdX(t)とを加算して仮想変位波形umdfX(t)を算出する。
次に、仮想衝撃係数算出工程S126において、計測装置1は、工程S125で算出した仮想変位波形umdfX(t)の最大振幅と工程S122で算出した仮想たわみ量TEOstdX(t)の最大振幅とに基づいて、仮想衝撃係数iαXを算出する。具体的には、計測装置1は、仮想たわみ量TEOstdX(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅SsXとして前出の式(112)により静的応答の振動の最大振幅SsXを算出し、仮想変位波形umdfX(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅SdXとして前出の式(113)により動的応答の最大振幅SdXを算出し、前出の式(114)により仮想衝撃係数iαXを算出する。
次に、計測データ出力工程S130において、計測装置1は、工程S120で算出した衝撃係数iαを含む計測データを監視装置3に出力する。具体的には、計測装置1は、計測データを、通信ネットワーク4を介して監視装置3に送信する。計測データは、衝撃係数iαに加えて、測定データu(t),ulp(t)、たわみ量Tstd(t),Tstd_lp(t),TEstd_lp(t),たわみ量TEOstd(t)、固有振動unv(t),unv_3lp(t),umv(t)、変位波形umdf(t)、包絡線振幅unv_mag(t)、励振曲線uenv_a(t)、減衰振動曲線uenv_b(t)、仮想たわみ量TstdX(t),TEOstdX(t)、仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)、仮想固有振動umvX(t)、仮想変位波形umdfX(t)、仮想衝撃係数iαX等を含んでもよい。
そして、工程S140において計測を終了するまで、計測装置1は、工程S10~S130の処理を繰り返し行う。
図68は、図67の仮想たわみ量算出工程S121の手順の一例を示すフローチャート図である。
図68に示すように、まず、工程S1211において、計測装置1は、環境情報に基づいて、前出の式(10)により、仮想鉄道車両6’の先頭の車軸からCm番目の車両のn番目の車軸までの距離Dwa(aw(Cm,n))をそれぞれ算出する。
さらに、工程S1212において、計測装置1は、図67の工程S40で生成した観測情報に含まれる進入時刻tiと、工程S1211で算出した距離Dwa(aw(Cm,n))と、平均速度vaとを用いて、前出の式(39)により、仮想鉄道車両6’のCm番目の車両のn番目の車軸が上部構造7の進入端に到達する時刻t0(Cm,n)をそれぞれ算出する。
次に、工程S1213において、計測装置1は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、図26の工程S602で算出した時間txnと、図26の工程S603で算出した時間tlnと、工程S1212で算出した時刻t0(Cm,n)とを用いて、前出の式(40)により、仮想鉄道車両6’のCm番目の車両のn番目の車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)をそれぞれ算出する。
次に、工程S1214において、計測装置1は、前出の式(42)により、車両毎に工程S1213で算出した各車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を加算して、各車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を算出する。
そして、工程S1215において、計測装置1は、前出の式(43)により、工程S1214で算出した各車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を加算して、仮想鉄道車両6’による上部構造7の仮想たわみ量TstdX(t)を算出する。
図69は、図67の仮想減衰振動曲線算出工程S123の手順の一例を示すフローチャート図である。
図69に示すように、工程S1231において、計測装置1は、図67の工程S40で生成した観測情報に含まれる進入時刻tiと、環境情報と、図67の工程S50で算出した平均速度vaとを用いて、前出の式(107)により、仮想鉄道車両6’の複数の車軸のうちの最後尾の車軸が上部構造7の進出端を通過すると仮想される仮想進出時刻toutX(t)を算出する。
そして、工程S1232において、計測装置1は、前出の式(108)のように、図67の工程S117で算出した減衰振動曲線uenv_b(t)を、工程S1231で算出した仮想進出時刻toutX(t)と図67の工程S40で生成した観測情報に含まれる進出時刻toとの差の時間分シフトした仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を算出する。
図70は、図67の仮想動的応答算出工程S124の手順の一例を示すフローチャート図である。
図70に示すように、工程S1241において、計測装置1は、前出の式(109)のように、図67の工程S116で算出した励振曲線uenv_a(t)と図67の工程S123で算出した仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を合成して、仮想包絡線uenvX(t)を算出する。
そして、工程S1242において、計測装置1は、基本周波数FNと工程S1241で算出した仮想包絡線uenvX(t)とに基づいて、前出の式(110)により、仮想固有振動umvX(t)を算出する。
図71は、第4実施形態における計測装置1の構成例を示す図である。図71に示すように、第4実施形態における計測装置1は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同様、第1通信部11と、第2通信部12と、記憶部13と、プロセッサー14と、を備えている。第1通信部11、第2通信部12及び記憶部13の機能は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態では、プロセッサー14は、記憶部13に記憶された計測プログラム131を実行することにより、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152、計測データ出力部153、第1動的応答算出部154、第2動的応答算出部155、包絡線振幅算出部157、漸近線振幅算出部158、励振曲線算出部159、減衰振動曲線算出部160、第3動的応答算出部161、変位波形算出部162、仮想たわみ量算出部163、仮想静的応答算出部164、仮想減衰振動曲線算出部165、仮想動的応答算出部166、仮想変位波形算出部167及び仮想衝撃係数算出部168として機能する。すなわち、プロセッサー14は、観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部1
46、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151、衝撃係数算出部152、計測データ出力部153、第1動的応答算出部154、第2動的応答算出部155、包絡線振幅算出部157、漸近線振幅算出部158、励振曲線算出部159、減衰振動曲線算出部160、第3動的応答算出部161、変位波形算出部162、仮想たわみ量算出部163、仮想静的応答算出部164、仮想減衰振動曲線算出部165、仮想動的応答算出部166、仮想変位波形算出部167及び仮想衝撃係数算出部168を含む。
観測データ取得部141、第1測定データ生成部142、第2測定データ生成部143、観測情報生成部144、平均速度算出部145、第1たわみ量算出部146、第2たわみ量算出部147、係数算出部148、第3たわみ量算出部149、オフセット算出部150、静的応答算出部151及び計測データ出力部153の機能は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また、第1動的応答算出部154及び第2動的応答算出部155の機能は、第2実施形態及び第3実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また、包絡線振幅算出部157、漸近線振幅算出部158、励振曲線算出部159、減衰振動曲線算出部160、第3動的応答算出部161及び変位波形算出部162の機能は、第3実施形態と同様であるため、その説明を省略する。なお、観測データ取得部141は、図67の観測データ取得工程S10の処理を行う。また、第1測定データ生成部142は、図67の第1測定データ生成工程S20の処理を行う。また、第2測定データ生成部143は、図67の第2測定データ生成工程S30の処理を行う。また、観測情報生成部144は、図67の観測情報生成工程S40の処理を行う。また、平均速度算出部145は、図67の平均速度算出工程S50の処理を行う。また、第1たわみ量算出部146は、図67の第1たわみ量算出工程S60の処理を行う。また、第2たわみ量算出部147は、図67の第2たわみ量算出工程S70の処理を行う。また、係数算出部148は、図67の係数算出工程S80の処理を行う。また、第3たわみ量算出部149は、図67の第3たわみ量算出工程S90の処理を行う。また、オフセット算出部150は、図67のオフセット算出工程S100の処理を行う。また、静的応答算出部151は、図67の静的応答算出工程S110の処理を行う。また、計測データ出力部153は、図67の計測データ出力工程S130の処理を行う。また、第1動的応答算出部154は、図67の第1動的応答算出工程S111の処理を行う。また、第2動的応答算出部155は、図67の第2動的応答算出工程S112の処理を行う。また、包絡線振幅算出部157は、図67の包絡線振幅算出工程S114の処理を行う。また、漸近線振幅算出部158は、図67の漸近線振幅算出工程S115の処理を行う。また、励振曲線算出部159は、図67の励振曲線算出工程S116の処理を行う。また、減衰振動曲線算出部160は、図67の減衰振動曲線算出工程S117の処理を行う。また、第3動的応答算出部161は、図67の第3動的応答算出工程S118の処理を行う。また、変位波形算出部162は、図67の変位波形算出工程S119の処理を行う。
仮想たわみ量算出部163は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、記憶部13に記憶されている観測情報134と、記憶部13に記憶されている環境情報132と、平均速度算出部145が算出した鉄道車両6の平均速度vaとに基づいて、仮に鉄道車両6とは車両数が異なる仮想鉄道車両6’が上部構造7を走行した場合の仮想鉄道車両6’による上部構造7の仮想たわみ量TstdX(t)を算出する。具体的には、まず、仮想たわみ量算出部163は、環境情報132に基づいて、前出の式(10)により、仮想鉄道車両6’の先頭の車軸からCm番目の車両のn番目の車軸までの距離Dwa(aw(Cm,n))をそれぞれ算出する。さらに、仮想たわみ量算出部163は、観測情報134に含まれる進入時刻tiと、距離Dwa(aw(Cm,n))と、平均速度vaとを用いて、前出の式(39)により、仮想鉄道車両6’のCm番目の車両のn番目の車軸が上部構造7の進入端に到達する時刻t0(Cm,n)をそれぞれ算出する。次に、仮想たわみ量算出部163は、前出の式(35)である上部構造7のたわみの近似式と、
第1たわみ量算出部146が算出した時間txnと、第1たわみ量算出部146が算出した時間tlnと、時刻t0(Cm,n)とを用いて、前出の式(40)により、仮想鉄道車両6’のCm番目の車両のn番目の車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)をそれぞれ算出する。次に、仮想たわみ量算出部163は、前出の式(42)により、車両毎に各車軸による上部構造7のたわみ量wstd(aw(Cm,n),t)を加算して、各車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を算出する。そして、仮想たわみ量算出部163は、前出の式(43)により、各車両による上部構造7のたわみ量Cstd(Cm,t)を加算して、仮想鉄道車両6’による上部構造7の仮想たわみ量TstdX(t)を算出する。仮想たわみ量算出部163が算出した仮想たわみ量TstdX(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、仮想たわみ量算出部163は、図67における仮想たわみ量算出工程S121の処理、具体的には図68の工程S1211~S1215の処理を行う。
仮想静的応答算出部164は、前出の式(106)のように、係数算出部148が算出した1次係数c1と仮想たわみ量算出部163が算出した仮想たわみ量TstdX(t)との積c1TstdX(t)と、オフセット算出部150が算出したオフセットToffset_std(t)とを加算して、仮想静的応答としての仮想たわみ量TEOstdX(t)を算出する。仮想静的応答算出部164が算出した仮想たわみ量TEOstdX(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、仮想静的応答算出部164は、図67における仮想静的応答算出工程S122の処理を行う。
仮想減衰振動曲線算出部165は、記憶部13に記憶されている観測情報134と、記憶部13に記憶されている環境情報132と、平均速度算出部145が算出した平均速度vaと、減衰振動曲線算出部160が算出した減衰振動曲線uenv_b(t)とに基づいて、仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を算出する。具体的には、仮想減衰振動曲線算出部165は、観測情報134に含まれる進入時刻tiと、環境情報132と、平均速度vaとを用いて、前出の式(107)により、仮想鉄道車両6’の複数の車軸のうちの最後尾の車軸が上部構造7の進出端を通過すると仮想される仮想進出時刻toutX(t)を算出する。そして、仮想減衰振動曲線算出部165は、前出の式(108)のように、減衰振動曲線uenv_b(t)を、仮想進出時刻toutX(t)と観測情報134に含まれる進出時刻toとの差の時間分シフトした仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を算出する。仮想減衰振動曲線算出部165が算出した仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、仮想減衰振動曲線算出部165は、図67における仮想減衰振動曲線算出工程S123の処理、具体的には図69の工程S1231,S1232の処理を行う。
仮想動的応答算出部166は、第1動的応答算出部154が算出した第1の動的応答である固有振動unv(t)の基本周波数FNと、励振曲線算出部159が算出した励振曲線uenv_a(t)と、仮想減衰振動曲線算出部165が算出した仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)とに基づいて、仮想動的応答である仮想固有振動umvX(t)を算出する。具体的には、仮想動的応答算出部166は、前出の式(109)のように、励振曲線uenv_a(t)と仮想減衰振動曲線uenv_bX(t)を合成して、仮想包絡線uenvX(t)を算出する。そして、仮想動的応答算出部166は、基本周波数FNと仮想包絡線uenvX(t)とに基づいて、前出の式(110)により、仮想固有振動umvX(t)を算出する。仮想動的応答算出部166が算出した仮想固有振動umvX(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、仮想動的応答算出部166は、図67における仮想動的応答算出工程S124の処理、具体的には図70の工程S1241,S1242の処理を行う。
仮想変位波形算出部167は、前出の式(111)のように、仮想動的応答算出部166が算出した仮想動的応答である仮想固有振動umvX(t)と仮想静的応答算出部164が算出した仮想静的応答である仮想たわみ量TEOstdX(t)とを加算して仮想変位波形umdfX(t)を算出する。仮想変位波形算出部167が算出した仮想変位波形umdfX(t)は、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、仮想変位波形算出部167は、図67における仮想変位波形算出工程S125の処理を行う。
仮想衝撃係数算出部168は、仮想変位波形算出部167が算出した仮想変位波形umdfX(t)の最大振幅と仮想静的応答算出部164が算出した仮想たわみ量TEOstdX(t)の最大振幅とに基づいて、仮想衝撃係数iαXを算出する。具体的には、仮想衝撃係数算出部168は、仮想たわみ量TEOstdX(t)の最大振幅を静的応答の振動の最大振幅SsXとして前出の式(112)により静的応答の振動の最大振幅SsXを算出し、仮想変位波形umdfX(t)の最大振幅を動的応答の最大振幅SdXとして前出の式(113)により動的応答の最大振幅SdXを算出し、前出の式(114)により仮想衝撃係数iαXを算出する。仮想衝撃係数算出部168が算出した仮想衝撃係数iαXは、計測データ135の少なくとも一部として記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、仮想衝撃係数算出部168は、図67における仮想衝撃係数算出工程S126の処理を行う。
このように、計測プログラム131は、図67に示したフローチャートの各手順を、コンピューターである計測装置1に実行させるプログラムである。
以上に説明した第4実施形態の計測方法によれば、計測装置1は、鉄道車両6が橋梁5の上部構造7を走行したときの観測データに基づいて算出された各種の情報に基づいて、任意の車両数の仮想鉄道車両6’が上部構造7を走行したと仮定した場合の衝撃係数である仮想衝撃係数iαXを仮想的に算出することができる。
その他、第4実施形態の計測方法によれば、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態の計測方法と同様の効果を奏することができる。
5.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
上記の各実施形態では、観測装置であるセンサー2は、加速度データa(k)を出力する加速度センサーであるが、観測装置は加速度センサーに限られない。例えば、観測装置は、衝撃センサー、感圧センサー、歪計、画像測定装置、ロードセル又は変位計であってもよい。
衝撃センサーは、鉄道車両6の各車軸の観測点Rへの作用に対する応答として衝撃加速度を検出する。感圧センサー、歪計、ロードセルは、鉄道車両6の各車軸の観測点Rへの作用に対する応答として応力変化を検出する。画像測定装置は、画像処理により、鉄道車両6の各車軸の観測点Rへの作用に対する応答として変位を検出する。変位計は、例えば、接触式変位計、リング式変位計、レーザー変位計、感圧センサー又は光ファイバーによる変位計測機器等であり、鉄道車両6の各車軸の観測点Rへの作用に対する応答として変位を検出する。
一例として、図41に、観測装置としてリング式変位計を用いた計測システム10の構成例を示す。また、図42に、観測装置として画像測定装置を用いた計測システム10の
構成例を示す。図41及び図42において、図1と同じ構成要素には同じ符号が付されており、その説明を省略する。図41に示す計測システム10では、リング式変位計40の上面とその直上にある主桁Gの下面との間にピアノ線41が固定されており、リング式変位計40が上部構造7の撓みによるピアノ線41の変位を計測し、計測した変位データを計測装置1に送信する。計測装置1は、リング式変位計40から送信され変位データに基づいて計測データ135を生成する。また、図42に示す計測システム10では、カメラ50が、主桁Gの側面に設けられたターゲット51を撮影した画像を計測装置1に送信する。計測装置1は、カメラ50から送信された画像を処理し、上部構造7の撓みによるターゲット51の変位を算出して変位データを生成し、生成した変位データに基づいて計測データ135を生成する。図42の例では、計測装置1が、画像測定装置として変位データを生成しているが、計測装置1とは異なる不図示の画像測定装置が画像処理によって変位データを生成してもよい。
また、上記の各実施形態では、橋梁5は鉄道橋であり、橋梁5を移動する移動体は鉄道車両6であるが、橋梁5が道路橋であり、橋梁5を移動する移動体が自動車、路面電車、トラック、建設車両等の車両であってもよい。同様に、仮想移動体は、鉄道車両の他、自動車、路面電車、トラック、建設車両等の車両であってもよい。図43に、橋梁5が道路橋であり、橋梁5を車両6aが移動する場合の計測システム10の構成例を示す。図43において、図1と同じ構成要素には同じ符号が付されている。図43に示すように、道路橋である橋梁5は、鉄道橋と同様、上部構造7と下部構造8からなる。図44は、上部構造7を図43のA-A線で切断した断面図である。図43及び図44に示すように、上部構造7は、床板F、主桁G、不図示の横桁等からなる橋床7aと、支承7bと、を含む。また、図43に示すように、下部構造8は、橋脚8aと、橋台8bと、を含む。上部構造7は、隣り合う橋台8bと橋脚8a、隣り合う2つの橋台8b、又は、隣り合う2つの橋脚8aのいずれか1つに渡された構造である。上部構造7の両端部は、隣り合う橋台8bと橋脚8aの位置、隣り合う2つの橋台8bの位置、又は、隣り合う2つの橋脚8aの位置にある。橋梁5は、例えば、鋼橋や桁橋、RC橋等である。
各センサー2は上部構造7の長手方向の中央部、具体的には、主桁Gの長手方向の中央部に設置されている。ただし、各センサー2は、上部構造7の変位を算出するための加速度を検出することができればよく、その設置位置は上部構造7の中央部に限定されない。なお、各センサー2を上部構造7の床板Fに設けると、車両6aの走行によって破壊するおそれがあり、また橋床7aの局部的な変形により測定精度が影響を受けるおそれがあるため、図43及び図44の例では、各センサー2は上部構造7の主桁Gに設けられている。
図44に示すように、上部構造7は、移動体である車両6aが移動し得る2つのレーンL1,L2及び3個の主桁Gを有している。図43及び図44の例では、上部構造7の長手方向の中央部において、両端の2つの主桁のそれぞれにセンサー2が設けられており、一方のセンサー2の鉛直上方向にあるレーンL1の表面の位置に観測点R1が設けられ、他方のセンサー2の鉛直上方向にあるレーンL2の表面の位置に観測点R2が設けられている。すなわち、2つのセンサー2は、それぞれ観測点R1,R2を観測する観測装置である。観測点R1,R2をそれぞれ観測する2つのセンサー2は、車両6aの走行により観測点R1,R2に生じる加速度を検出可能な位置に設けられていればよいが、観測点R1,R2に近い位置に設けられることが望ましい。なお、センサー2の数及び設置位置やレーンの数は、図43及び図44に示した例には限定されず種々の変形実施が可能である。
計測装置1は、各センサー2から出力される加速度データに基づいて、車両6aの走行によるレーンL1,L2の撓みの変位を算出し、レーンL1,L2の変位の情報を、通信
ネットワーク4を介して、監視装置3に送信する。監視装置3は、当該情報を不図示の記憶装置に記憶し、例えば、当該情報に基づいて車両6aの監視や上部構造7の異常判定等の処理を行ってもよい。
また、上記の各実施形態では、各センサー2は、それぞれ上部構造7の主桁Gに設けられているが、上部構造7の表面や内部、床板Fの下面、橋脚8a等に設けられていてもよい。また、上記の各実施形態では、構造物として橋梁の上部構造を例に挙げたが、これに限られず、構造物は移動体の移動によって変形するものであればよい。
また、上記の各実施形態では、計測装置1は、観測点Rを観測する観測装置から出力される観測データに基づいて進入時刻tiを算出しているが、上部構造7の進入端を観測する他の観測装置から出力される観測データに基づいて進入時刻tiを算出してもよい。同様に、上記の各実施形態では、計測装置1は、観測点Rを観測する観測装置から出力される観測データに基づいて進出時刻toを算出しているが、上部構造7の進出端を観測する他の観測装置から出力される観測データに基づいて進出時刻toを算出してもよい。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
計測方法の一態様は、
構造物の観測点を観測する観測装置から出力される観測データに基づいて、前記構造物を移動する移動体の複数の部位の前記観測点への作用に対する応答である物理量に基づく第1の測定データを生成する第1測定データ生成工程と、
前記第1の測定データをフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データを生成する第2測定データ生成工程と、
前記移動体の前記構造物に対する進入時刻及び進出時刻を含む観測情報を生成する観測情報生成工程と、
前記観測情報と、予め作成された前記移動体の寸法及び前記構造物の寸法を含む環境情報とに基づいて、前記移動体の平均速度を算出する平均速度算出工程と、
前記構造物のたわみの近似式と、前記観測情報と、前記環境情報と、前記平均速度とに基づいて、前記移動体による前記構造物の第1のたわみ量を算出する第1たわみ量算出工程と、
前記第1のたわみ量をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量を算出する第2たわみ量算出工程と、
前記第2の測定データを前記第2のたわみ量の1次関数で近似し、前記1次関数の1次係数及び0次係数を算出する係数算出工程と、
前記1次係数及び前記0次係数と、前記第2のたわみ量とに基づいて、第3のたわみ量を算出する第3たわみ量算出工程と、
前記0次係数と、前記第2のたわみ量と、前記第3のたわみ量とに基づいて、オフセットを算出するオフセット算出工程と、
前記1次係数と前記第1のたわみ量との積と、前記オフセットとを加算して、静的応答
を算出する静的応答算出工程と、
前記静的応答に基づいて、衝撃係数を算出する衝撃係数算出工程と、
を含む。
この計測方法によれば、第1の測定データをフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データを、第1のたわみ量をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量の1次関数で近似することにより、第1の測定データに含まれる静的応答及び動的応答から静的応答を分離して算出することができる。そして、この計測方法によれば、第1のたわみ量を近似する1次関数の1次項である1次係数と第1のたわみ量との積は移動体の荷重に比例する構造物の変位に相当し、オフセットは構造物のあそびや浮き等の移動体の荷重に比例しない変位に相当するので、1次係数と第1のたわみ量との積とオフセットとを加算することにより、静的応答を精度良く算出することができる。したがって、この計測方法によれば、精度良く算出された静的応答に基づいて、衝撃係数を精度良く算出することができる。
また、この計測方法では、観測データに基づいて生成される第1の測定データと、構造物のたわみの近似式に基づいて生成される第1のたわみ量とを用いた比較的簡単な処理で、移動体が構造物を移動したときの衝撃係数が算出される。したがって、この計測方法によれば、計算量が比較的小さい処理で衝撃係数を算出することができる。
また、この計測方法によれば、実際には移動体の速度はわずかに変化するもののほとんど変化しないため、移動体が一定の平均速度で移動するものとして、平均速度に基づいて第1のたわみ量を算出することにより、第1のたわみ量の計算精度を維持しつつ計算量を大幅に低減させることができる。
前記計測方法の一態様において、
前記衝撃係数算出工程では、
前記第1の測定データの最大振幅と前記静的応答の最大振幅とに基づいて、衝撃係数を算出してもよい。
前記計測方法の一態様は、
前記第1の測定データから前記静的応答を減算して、第1の動的応答を算出する第1動的応答算出工程と、
前記第1の動的応答から不要な信号を減衰させるフィルター処理を行って第2の動的応答を算出する第2動的応答算出工程と、
を含んでもよい。
この計測方法によれば、第1の測定データから精度良く算出された第1の静的応答を減算し、かつ、不要な信号を減衰させることにより、第2の動的応答を精度よく算出することができる。
前記計測方法の一態様は、
前記第2の動的応答と前記静的応答とを加算して変位波形を算出する変位波形算出工程を含み、
前記衝撃係数算出工程では、
前記変位波形の最大振幅と前記静的応答の最大振幅とに基づいて、衝撃係数を算出してもよい。
この計測方法によれば、不要な信号が減衰された第2の動的応答と前記静的応答とを加算して精度の良い変位波形が得られるので、当該変位波形に基づいて衝撃係数を精度よく
算出することができる。
前記計測方法の一態様は、
前記第2の動的応答の包絡線振幅を算出する包絡線振幅算出工程と、
前記包絡線振幅が増大する区間の少なくとも一部の第1区間において、前記包絡線振幅が漸近する漸近線の仮の振幅をパラメーターとして、前記仮の振幅から前記包絡線振幅を減算した振幅の対数を近似する1次関数を算出し、前記対数と前記1次関数との差の2乗の積算値が最小となる前記仮の振幅を前記漸近線の振幅として算出する漸近線振幅算出工程と、
前記漸近線の振幅から前記包絡線振幅を減算した振幅の対数を近似する1次関数の係数に基づいて、前記第2の動的応答に含まれる振動成分の励振曲線を算出する励振曲線算出工程と、
前記包絡線振幅に基づいて、前記第2の動的応答に含まれる前記振動成分の減衰振動曲線を算出する減衰振動曲線算出工程と、
を含んでもよい。
この計測方法によれば、不要な信号が減衰された第2の動的応答の包絡線振幅に基づいて、前記第2の動的応答に含まれる振動成分の励振曲線及び減衰振動曲線を精度良く算出することができる。
前記計測方法の一態様において、
前記進出時刻は、前記移動体の前記複数の部位のうちの最後尾の部位が前記構造物の進出端を通過した時刻であり、
前記第1区間の開始時刻は、前記包絡線振幅の増大が開始する時刻以降であり、
前記第1区間の終了時刻は、前記進出時刻以前であってもよい。
前記計測方法の一態様において、
前記漸近線振幅算出工程では、
前記仮の振幅をパラメーターとして、前記積算値を前記仮の振幅の多項式で近似し、前記多項式の極値を前記漸近線の振幅として算出してもよい。
この計測方法によれば、漸近線の振幅を精度良く算出することができるので、励振曲線を精度良く算出することができる。
前記計測方法の一態様は、
前記第1の動的応答の基本周波数と、前記励振曲線と、前記減衰振動曲線とに基づいて、第3の動的応答を算出する第3動的応答算出工程と、
前記第3の動的応答と前記静的応答とを加算して変位波形を算出する変位波形算出工程と、
を含み、
前記衝撃係数算出工程では、
前記変位波形の最大振幅と前記静的応答の最大振幅とに基づいて、衝撃係数を算出してもよい。
この計測方法によれば、不要な信号が減衰された第3の動的応答と前記静的応答とを加算して精度の良い変位波形が得られるので、当該変位波形に基づいて衝撃係数を精度よく算出することができる。
前記計測方法の一態様は、
前記構造物のたわみの近似式と、前記観測情報と、前記環境情報と、前記平均速度とに
基づいて、仮に前記移動体とは車両数が異なる仮想移動体が前記構造物を移動した場合の前記仮想移動体による前記構造物の仮想たわみ量を算出する仮想たわみ量算出工程と、
前記1次係数と前記仮想たわみ量との積と、前記オフセットとを加算して、仮想静的応答を算出する仮想静的応答算出工程と、
前記進入時刻と前記環境情報と前記平均速度とに基づいて、前記仮想移動体の複数の部位のうちの最後尾の部位が前記構造物の進出端を通過すると仮想される仮想進出時刻を算出し、前記減衰振動曲線を、前記仮想進出時刻と前記進出時刻との差の時間分シフトした仮想減衰振動曲線を算出する仮想減衰振動曲線算出工程と、
前記第1の動的応答の基本周波数と、前記励振曲線と、前記仮想減衰振動曲線とに基づいて、仮想動的応答を算出する仮想動的応答算出工程と、
前記仮想動的応答と前記仮想静的応答とを加算して仮想変位波形を算出する仮想変位波形算出工程と、
前記仮想変位波形の最大振幅と前記仮想静的応答の最大振幅とに基づいて、仮想衝撃係数を算出する仮想衝撃係数算出工程と、
を含んでもよい。
この計測方法によれば、移動体が構造物を移動したときの観測データに基づいて算出された各種の情報に基づいて、任意の車両数の仮想移動体が構造物を移動したと仮定した場合の衝撃係数を仮想的に算出することができる。
前記計測方法の一態様において、
前記構造物は、橋梁の上部構造であってもよい。
この計測方法によれば、計算量が比較的小さい処理で移動体が橋梁の上部構造を移動したときの衝撃係数を算出することができる。
前記計測方法の一態様において、
前記移動体は、車両又は鉄道車両であり、
前記複数の部位のそれぞれは車軸又は車輪であってもよい。
この計測方法によれば、計算量が比較的小さい処理で車両又は鉄道車両が構造物を移動したときの衝撃係数を算出することができる。
前記計測方法の一態様において、
前記構造物のたわみの近似式は、前記構造物の構造モデルに基づく式であってもよい。
この計測方法によれば、移動体が移動する構造物の構造を反映した第1のたわみ量を算出し、衝撃係数を精度良く算出することができる。
前記計測方法の一態様において、
前記構造モデルは、両端を支持した単純梁であってもよい。
この計測方法によれば、移動体が単純梁に近い構造の構造物を移動したときの衝撃係数を精度良く算出することができる。
前記計測方法の一態様において、
前記観測装置は、加速度センサー、衝撃センサー、感圧センサー、歪計、画像測定装置、ロードセル又は変位計であってもよい。
この計測方法によれば、加速度、応力変化又は変位のデータを用いて衝撃係数を精度良
く計測することができる。
前記計測方法の一態様において、
前記構造物は、BWIM(Bridge Weigh in Motion)が機能する構造であってもよい。
計測装置の一態様は、
構造物の観測点を観測する観測装置から出力される観測データに基づいて、前記構造物を移動する移動体の複数の部位の前記観測点への作用に対する応答である物理量に基づく第1の測定データを生成する第1測定データ生成部と、
前記第1の測定データをフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データを生成する第2測定データ生成部と、
前記移動体の前記構造物に対する進入時刻及び進出時刻を含む観測情報を生成する観測情報生成部と、
前記観測情報と、予め作成された前記移動体の寸法及び前記構造物の寸法を含む環境情報とに基づいて、前記移動体の平均速度を算出する平均速度算出部と、
前記構造物のたわみの近似式と、前記観測情報と、前記環境情報と、前記平均速度とに基づいて、前記移動体による前記構造物の第1のたわみ量を算出する第1たわみ量算出部と、
前記第1のたわみ量をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量を算出する第2たわみ量算出部と、
前記第2の測定データを前記第2のたわみ量の1次関数で近似し、前記1次関数の1次係数及び0次係数を算出する係数算出部と、
前記1次係数及び前記0次係数と、前記第2のたわみ量とに基づいて、第3のたわみ量を算出する第3たわみ量算出部と、
前記0次係数と、前記第2のたわみ量と、前記第3のたわみ量とに基づいて、オフセットを算出するオフセット算出部と、
前記1次係数と前記第1のたわみ量との積と、前記オフセットとを加算して、静的応答を算出する静的応答算出部と、
前記静的応答に基づいて、衝撃係数を算出する衝撃係数算出部と、
を含む。
この計測装置によれば、第1の測定データをフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データを、第1のたわみ量をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量の1次関数で近似することにより、第1の測定データに含まれる静的応答及び動的応答から静的応答を分離して算出することができる。そして、この計測装置によれば、第1のたわみ量を近似する1次関数の1次項である1次係数と第1のたわみ量との積は移動体の荷重に比例する構造物の変位に相当し、オフセットは構造物のあそびや浮き等の移動体の荷重に比例しない変位に相当するので、1次係数と第1のたわみ量との積とオフセットとを加算することにより、静的応答を精度良く算出することができる。したがって、この計測装置によれば、精度良く算出された静的応答に基づいて、衝撃係数を精度良く算出することができる。
また、この計測装置では、観測データに基づいて生成される第1の測定データと、構造物のたわみの近似式に基づいて生成される第1のたわみ量とを用いた比較的簡単な処理で、移動体が構造物を移動したときの衝撃係数が算出される。したがって、この計測装置によれば、計算量が比較的小さい処理で衝撃係数を算出することができる。
また、この計測装置によれば、実際には移動体の速度はわずかに変化するもののほとんど変化しないため、移動体が一定の平均速度で移動するものとして、平均速度に基づいて第1のたわみ量を算出することにより、第1のたわみ量の計算精度を維持しつつ計算量を
大幅に低減させることができる。
計測システムの一態様は、
前記計測装置の一態様と、
前記観測装置と、
を備える。
計測プログラムの一態様は、
構造物の観測点を観測する観測装置から出力される観測データに基づいて、前記構造物を移動する移動体の複数の部位の前記観測点への作用に対する応答である物理量に基づく第1の測定データを生成する第1測定データ生成工程と、
前記第1の測定データをフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データを生成する第2測定データ生成工程と、
前記移動体の前記構造物に対する進入時刻及び進出時刻を含む観測情報を生成する観測情報生成工程と、
前記観測情報と、予め作成された前記移動体の寸法及び前記構造物の寸法を含む環境情報とに基づいて、前記移動体の平均速度を算出する平均速度算出工程と、
前記構造物のたわみの近似式と、前記観測情報と、前記環境情報と、前記平均速度とに基づいて、前記移動体による前記構造物の第1のたわみ量を算出する第1たわみ量算出工程と、
前記第1のたわみ量をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量を算出する第2たわみ量算出工程と、
前記第2の測定データを前記第2のたわみ量の1次関数で近似し、前記1次関数の1次係数及び0次係数を算出する係数算出工程と、
前記1次係数及び前記0次係数と、前記第2のたわみ量とに基づいて、第3のたわみ量を算出する第3たわみ量算出工程と、
前記0次係数と、前記第2のたわみ量と、前記第3のたわみ量とに基づいて、オフセットを算出するオフセット算出工程と、
前記1次係数と前記第1のたわみ量との積と、前記オフセットとを加算して、静的応答を算出する静的応答算出工程と、
前記静的応答に基づいて、衝撃係数を算出する衝撃係数算出工程と、をコンピューターに実行させる。
この計測プログラムによれば、第1の測定データをフィルター処理して振動成分を低減させた第2の測定データを、第1のたわみ量をフィルター処理して振動成分を低減させた第2のたわみ量の1次関数で近似することにより、第1の測定データに含まれる静的応答及び動的応答から静的応答を分離して算出することができる。そして、この計測プログラムによれば、第1のたわみ量を近似する1次関数の1次項である1次係数と第1のたわみ量との積は移動体の荷重に比例する構造物の変位に相当し、オフセットは構造物のあそびや浮き等の移動体の荷重に比例しない変位に相当するので、1次係数と第1のたわみ量との積とオフセットとを加算することにより、静的応答を精度良く算出することができる。したがって、この計測プログラムによれば、精度良く算出された静的応答に基づいて、衝撃係数を精度良く算出することができる。
また、この計測プログラムでは、観測データに基づいて生成される第1の測定データと、構造物のたわみの近似式に基づいて生成される第1のたわみ量とを用いた比較的簡単な処理で、移動体が構造物を移動したときの衝撃係数が算出される。したがって、この計測プログラムによれば、計算量が比較的小さい処理で衝撃係数を算出することができる。
また、この計測プログラムによれば、実際には移動体の速度はわずかに変化するものの
ほとんど変化しないため、移動体が一定の平均速度で移動するものとして、平均速度に基づいて第1のたわみ量を算出することにより、第1のたわみ量の計算精度を維持しつつ計算量を大幅に低減させることができる。