以下、本発明に係る膜測定装置及び膜測定方法の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。
以下に説明する実施形態では、本発明に係る膜測定装置及び膜測定方法を、リチウムイオン電池に用いられる電池電極板の膜測定装置及び膜測定方法に適用した例について説明する。但し、本発明に係る膜測定装置及び膜測定方法は、リチウムイオン電池に限らず、多孔質の塗工膜構造を有する二次電池一般に適用できる。以下の説明においては、リチウムイオン電池の電極製造工程における帯状の電池電極板を「電極シート」ともいう。
図1は、第1実施形態に係る膜測定装置1の構成図である。膜測定装置1は、電極シートに形成された塗工膜の膜厚、密度及び反射色彩値(以下、「膜厚等」ともいう)を測定する装置である。図1に示すように、膜測定装置1は、撮像部2、光源3、光学部4、再帰性反射板7、データ処理装置8を備える。なお、図1では、撮像部2の光軸OA1、再帰性反射板7の光軸OA2に対してそれぞれ同軸で進行する入射光及び反射光の光路を分かり易くするため、入射光及び反射光の光路を、それぞれの光軸に沿うように描いている。また、測定対象物Sは、実際には帯状の電極シートであるが、図1では、枚葉の電極シートとして描いている。
撮像部2は、CMOS型のイメージセンサを備えたカラーカメラである。撮像部2のイメージセンサは、例えば、2048×1536の画素数(RGB)を有する。撮像部2は、入射した光を受光面で受光すると共に、受光面に結像された光学像を、画素毎の階調データ(RGB輝度信号)に変換して出力する。すなわち、撮像部2は、測定対象となる塗工膜(後述)の画像を撮像して画素毎の階調データを取得する。撮像部2の動作は、撮像制御部31(後述)により制御される。
撮像部2の光軸OA1は、測定対象物Sの表面(測定面)の点Pにおいて、測定対象物Sの垂線PLに対して角度θ1で傾斜している。テレセントリックレンズ5(後述)の測定距離を110mmとした場合、角度θ1は、例えば、10°~15°である。また、撮像部2において、塗工膜の画像を取得する露光時間は、例えば、10μsecである。
光源3は、白色のLED光を出力する白色LED光源である。白色LED光源は、400nmの短波長側の輝度値が他の光源に比べて高く、温度特性も安定しているという特徴がある。図1に示すように、光源3から出力されるLED光の一部は、ビームスプリッタ6(後述)で反射して測定対象物Sに照射される。光源3には、LED用電源(不図示)から電力が供給されている。光源3の動作は、光源制御部32(後述)により制御される。
なお、オンラインによる製造工程では、電極シートが100m/minの速度で搬送される。この速度に対応させるため、撮像部2の露光時間を短くすると、通常の光源では画像が暗くなり、ゼロ点(後述)の撮像が難しくなる。仮に、撮像部2の露光時間を長くすると、画像の各点における階調度は、電極シートの搬送方向に平均化されるため、やはりゼロ点数の算出が難しくなる。これを解決するため、光源3として、ハイパワーLED光源と光ファイバーライドガイド等(不図示)とを組み合わせて光量を増やすことが望ましい。本発明者らの実験によると、ハイパワーLED光源と光ファイバーライドガイド等とを組み合わせて光量を増やすことにより、100m/minの速さで搬送される電極シートを、露光時間10μsec(移動量1.6μm/1μsec)で撮像しても、塗工膜のゼロ点を良好に撮像できることが確認されている。
光学部4は、光源3から出力された光を測定対象物Sに照射し、測定対象物Sからの反射光を撮像部2に入射させる光学装置である。光学部4は、テレセントリックレンズ5とビームスプリッタ6とを備える。テレセントリックレンズ5は、主光線が光軸に対して平行となるように設計された同軸落射型のレンズである。テレセントリックレンズ5は、レンズ中心が撮像部2の光軸OA1と一致するように配置されている。
ビームスプリッタ6は、入射した光を透過光と反射光に分ける光学素子である。ビームスプリッタ6は、テレセントリックレンズ5と撮像部2との間に設けられている。ビームスプリッタ6は、撮像部2の光軸OA1に対して、透過/反射面が約45°で傾斜するように配置されている。
再帰性反射板7は、入射した光を、その入射光路に沿って反射する光学部品である。再帰性反射板7の光軸OA2は、測定対象物Sの表面の点Pにおいて、測定対象物Sの垂線PLに対して、角度θ2で傾斜している。角度θ2は、角度θ1と同じく10°~15°である。測定対象物Sから入射した光を再び測定対象物Sに向けて反射する再帰性反射板7を用いることにより、測定対象物Sの傾きの影響を少なくすることができる。測定対象物Sの傾きは、例えば、基準面に対して±3°程度である。
図1に示す光学系の構成において、光源3から出力されたLED光の一部(入射光L1)は、ビームスプリッタ6で反射された後、テレセントリックレンズ5を経て測定対象物Sに照射される。測定対象物Sに照射した入射光L1は、測定対象物Sの表面で反射し、反射光L2として再帰性反射板7に入射する。再帰性反射板7に入射した反射光L2は、再帰性反射板7の表面で反射した後、反射光L3として測定対象物Sの表面に入射する。測定対象物Sの表面で入射した反射光L3は、再帰性反射板7の表面で反射した後、反射光L4としてテレセントリックレンズ5、ビームスプリッタ6を経て撮像部2に入射する。撮像部2では、受光面に反射光L4の光学像が結像され、その光学像が階調データに変換されて出力される。
データ処理装置8は、膜測定装置1の動作を制御すると共に、測定対象物Sを撮影して得た画像データに基づいて、測定対象物Sの塗工膜の膜厚、密度及び反射色彩値を測定する装置である。データ処理装置8は、撮像部2及び光源3と通信ケーブルを介して電気的に接続されている。
図2は、データ処理装置8のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、データ処理装置8は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13、バス14、入出力インターフェース15、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20を備える。
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム又は記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種の情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成され、各種情報の入力を受け付ける。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶できる。
図3は、データ処理装置8の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、データ処理装置8は、CPU11、記憶部18、通信部19を備える。CPU11は、データ処理装置8の動作を統括的に制御する。CPU11は、測定対象物Sの表面に形成された塗工膜の膜厚、密度及び反射色彩値を測定する処理において、後述する撮像制御部31、光源制御部32、データ算出部33、膜厚算出部34、密度算出部35、色彩値算出部36として機能する。
撮像制御部31は、撮像部2の動作(シャッタの開閉動作、露光時間の設定等)を制御する。
光源制御部32は、光源3からのLED光の出力開始/出力停止の動作、出力レベル等を制御する。
データ算出部33は、撮像部2で撮像された画像(階調データ)に基づいて、各撮像領域における画素毎の再帰性反射率(以下、「反射率」ともいう)及びゼロ点数を算出する。ゼロ点とは、反射率が設定値未満となる画素である。ゼロ点数とは、撮像領域内におけるゼロ点の数である。ゼロ点の数は、後述する空洞部の数や大きさと相関性を有する。
ここで、データ算出部33で実施されるゼロ点数の算出手法の一例について説明する。図4は、撮像領域に含まれるゼロ点数を算出する処理の手順を示すフローチャートである。図4に示す各ステップの処理は、主にデータ算出部33において実行される。ここでは、撮像領域に含まれるn画素(1~n画素)の各々について、階調データから得た反射率が閾値未満であるか否かを判定する例について説明する。なお、データ算出部33におけるゼロ点数の算出手法は、図4に示す例に限定されない。
図4に示すステップS101において、データ算出部33は、ゼロ点数zをゼロにリセットする。
ステップS102において、データ算出部33は、対象となる撮像領域の画素番号iをゼロにリセットする。
ステップS103において、データ算出部33は、画素番号iをインクリメントする。
ステップS104において、データ算出部33は、記憶部18の画像DB41(図3参照)から画素番号iの階調データを取得する。
ステップS105において、データ算出部33は、画素番号iの階調データに含まれる反射率rφと閾値反射率rφ(th)とを比較し、反射率rφが閾値反射率rφ(th)以下か否かを判定する。閾値反射率rφ(th)は、例えば、0.001%である。
ステップS105の判定において、データ算出部33により、反射率rφが閾値反射率rφ(th)以下であると判定された場合、処理はステップS106へ移行する。一方、ステップS105の判定において、データ算出部33により、反射率rφは閾値反射率rφ(th)を超えると判定された場合、処理はステップS107へ移行する。
ステップS106(ステップS105:YES)において、データ算出部33は、画像DB41(図3参照)に記憶されているゼロ点数zをインクリメントする。なお、本フローチャートの処理を開始する際、ゼロ点数zは、初期値(0)にリセットされる。
ステップS107において、データ算出部33は、画素番号i=nか否かを判定する。ステップS107の判定において、データ算出部33により、画素番号i=nであると判定された場合、処理はステップS108へ移行する。一方、ステップS107の判定において、データ算出部33により、画素番号i=nではないと判定された場合、処理はステップS103へ移行する。この後、ステップS107で画素番号i=nと判定されるまで、ステップS103~S107までのループ処理が実行される。
ステップS108(ステップS107:YES)において、データ算出部33は、ゼロ点数zを記憶部18の画像DB41に記憶する。画像DB41において、ゼロ点数zは、対象となった撮像領域の識別番号と関連付けて記憶される。ステップS108において、ゼロ点数zのデータを記憶部18の画像DB41に記憶させた後、本フローチャートの処理は、終了する。
図3に戻り、膜厚算出部34は、ゼロ点数と塗工膜の指定膜厚との相関性から求めた膜厚の近似式(後述)を用いて、画像データから得たゼロ点数から塗工膜の推定膜厚を算出する。「指定膜厚」とは、膜厚の実測値である。「推定膜厚」とは、近似式から算出された膜厚の計算値である。
密度算出部35は、ゼロ点数と塗工膜の指定密度との相関性から求めた近似式(後述)を用いて、画像データから得たゼロ点数から塗工膜の推定密度を算出する。「指定密度」とは、密度の実測値である。「推定密度」とは、近似式から算出された密度の計算値である。
色彩値算出部36は、画像データから得た反射率rφ(R,G,B)%と変換式(後述)とを用いて、塗工膜の反射色彩値を算出する。また、色彩値算出部36は、基準反射色彩値と算出した反射色彩値とから色差値を算出する。
記憶部18は、各種のデータを記憶するためのデータベースとして、例えば、画像DB41、近似式DB42を備える。画像DB41は、撮像部2で撮像された階調データ、階調データから得た輝度画像、二値化画像のほか、撮像領域毎のゼロ点数等を記憶するデータベースである。近似式DB42は、膜厚算出部34、密度算出部35及び色彩値算出部36の演算に用いられる近似式及び変換式(後述)に関するデータを記憶するデータベースである。
次に、リチウムイオン電池の電極製造工程における膜測定装置1の使用形態について説明する。
リチウムイオン電池の電極製造工程には、混錬工程、塗工工程、プレス工程、スリット工程等がある。膜測定装置1は、塗工工程、プレス工程において、塗工膜の膜厚、密度及び反射色彩値の測定に用いられる。図5は、塗工システム100における膜測定部の配置を示す側面図である。図6は、塗工システム100における膜測定部の配置を示す斜視図である。なお、以下の説明においては、電極シート(サンプル)の幅方向をX方向とする。X方向は、撮像画面の水平方向に相当する。以下、X方向を「幅方向X」、「水平方向X」ともいう。また、電極シートの移動方向をY方向とする。Y方向は、撮像画面の垂直方向に相当する。以下、Y方向を「垂直方向Y」ともいう)。
図5に示すように、塗工システム100は、第1ロール103、搬送装置104、ダイコータ105、乾燥炉106、巻き取り装置107、第2ロール108を備える。また、塗工システム100は、膜測定部110A及び110Bを備える。
第1ロール103は、リールに巻き取られた帯状の基材101である。
搬送装置104は、第1ロール103から引き出した基材101を、乾燥炉106に向けて搬送する装置である。
ダイコータ105は、正極用、負極用のそれぞれの基材101(箔)の両面に電極材料を塗工する装置である。正極用の電極シートを製造する場合、ダイコータ105において、例えば、アルミニウム箔の両面に遷移金属酸化物が塗工される。また、負極用の電極シートを製造する場合、ダイコータ105において、例えば、銅箔の両面に黒鉛系材料が塗工される。なお、電極材料は、基材101に片面ずつ塗工してもよい。本明細書においては、両面に電極材料が塗工された基材101を「電極シート102」ともいう。
乾燥炉106は、電極シート102の両面に塗工された電極材料を乾燥させる装置である。図5では、乾燥炉106の内部に設置された加熱装置等の図示を省略している。巻き取り装置107は、乾燥炉106から送り出された電極シート102を、第2ロール108に向けて搬送する装置である。第2ロール108は、リールに巻き取られた電極シート102である。図5に示すように、塗工システム100は、第1ロール103から引き出した基材101を第2ロール108側に移動させながら、ダイコータ105による電極材料の塗工、乾燥炉106による乾燥をオンラインで連続的に行うように構成されている。塗工工程において、第2ロール108に巻き取られた電極シート102は、次のプレス工程に送られる。
塗工システム100は、乾燥炉106の下流側に、膜測定部110Aと110Bとを備える。膜測定部110Aと110Bの構成は、実質的に同じであるため、以下の説明においては、総称して「膜測定部110」ともいう。膜測定部110Aは、電極シート102の第1面に形成された塗工膜の膜厚等を測定する。膜測定部110Bは、電極シート102の第1面とは反対側の第2面に形成された塗工膜の膜厚等を測定する。
図6に示すように、膜測定部110は、膜測定装置1、温度計111、走査装置112を備える。膜測定装置1において、撮像部2、光源3、光学部4及び再帰性反射板7(図1参照)は、1つのケースに収納されている。また、図示していないが、データ処理装置8(図1参照)は、通信ケーブルを介して外部に配置されている。
温度計111は、電極シート102に形成された塗工膜の温度を計測する装置である。温度計111は、例えば、赤外放射温度計である。温度計111は、膜測定装置1に設けられている。走査装置112は、膜測定装置1及び温度計111を、電極シート102の幅方向Xに沿って往復移動させる装置である。走査装置112の動作は、データ処理装置8(撮像制御部31)により制御される。
電極シート102の塗工膜は、温度が高くなると電極材料が膨張して、空隙率(単位面積当たりの空洞部の割合)が大きくことが考えられる。乾燥炉106から送り出された電極シート102の表面温度は、室温よりも高くなることがある。その場合、室温時とは測定データに差が生じるため、正確な測定ができなくなることが考えられる。そこで、オンライン測定時において、塗工膜の画像と共に、塗工膜の温度を温度計111で測定しておき、オフライン測定時のデータと比較することにより、温度による影響の有無を判断できる。
図7は、プレスシステム200における膜測定部の配置を示す側面図である。図7に示すように、プレスシステム200は、第2ロール108、搬送装置201、プレスロール202、巻き取り装置203、第3ロール204を備える。
第2ロール108は、塗工工程(図5参照)において、リールに巻き取られた帯状の電極シート102である。搬送装置201は、第2ロール108から引き出した電極シート102を、プレスロール202に向けて搬送する装置である。
プレスロール202は、電極シート102を、予め設定された厚みまで圧縮する装置である。巻き取り装置203は、プレスロール202から送り出された電極シート102を、第3ロール204に向けて搬送する装置である。第3ロール204は、リールに巻き取られた電極シート102である。プレス工程において、第3ロール204に巻き取られた電極シート102は、次のスリット工程(説明を省略)に送られる。
プレスシステム200は、プレスロール202の下流側に、膜測定部120Aと120Bとを備える。膜測定部120Aと120Bの構成は、実質的に同じであるため、以下の説明においては、総称して「膜測定部120」ともいう。膜測定部120Aは、電極シート102の第1面に形成された塗工膜の膜厚等を測定する。膜測定部120Bは、電極シート102の第1面とは反対側の第2面に形成された塗工膜の膜厚等を測定する。
膜測定部120は、膜測定装置1、走査装置112を備える。図6に示す膜測定装置1において、撮像部2、光源3、光学部4及び再帰性反射板7(図1参照)は、1つのケースに収納されている。また、データ処理装置8(図1参照)は、通信ケーブルを介して外部に配置されている。膜測定部120は、温度計111(図6参照)を備えていない点が膜測定部110と相違する。その他の構成は、膜測定部110と実質的に同じであるため、各部の説明を省略する。なお、膜測定部120の構成は、塗工システム100の膜測定部110と同じでもよい。
次に、塗工膜の反射率とゼロ点数との相関性を、図8~図11を参照して説明する。図8~図11において、左側の画像は、サンプルとして作製した電極シートの画像(階調データ)から得た反射率rφ(R,G,B)%の輝度画像を示している。また、右側の画像は、輝度画像から算出した二値化画像を示している。
撮像領域は、カメラ視野の全体ではなく、カメラ視野中心の500×500画素(25万点)である。サンプル上での測定エリアは、4mm角(1画素=8μm角)となる。二値化画像では、算出した反射率が0.001%以下となる画素(反射率が負の値となる画素を含む)をゼロ点とした。また、25万点におけるゼロ点の数を算出してゼロ点数を得た(図4参照)。
図8は、正極片面塗工膜の塗工後の輝度画像と二値化画像とを示す図である。図9は、正極片面塗工膜のプレス後の輝度画像と二値化画像とを示す図である。図10は、負極両面塗工膜の塗工後の輝度画像と二値化画像とを示す図である。図11は、負極両面塗工膜のプレス後の輝度画像と二値化画像とを示す図である。図8~図11は、いずれもサンプルの輝度を15倍とした画像である。
リチウムイオン電池の電池電極板は、イオン液が塗工膜内に浸透するように多くの穴(空洞部)が形成されている。その空洞部は、複雑な構造を持ち、基材まで連続している。塗工膜の表面に入射した光の一部は塗工面で反射し、残りは空洞部に入り込む。空洞部に入り込んだ光は、反射を繰り返しながら基材の表面に達し、そこで反射して再び空洞部から出射する。塗工後の電池電極板は、膜厚が厚いため、空洞部の光路長も長くなる。これにより、空洞部からの出射光が少なくなり、空洞部での反射率が低くなる。また、塗工後の電池電極板は、表面粗さが大きいので、塗工膜表面での反射光量は少なくなり、反射率が低くなる。そのため、塗工後の電池電極板では、ゼロ点数が多くなると考えられる。
これに対してプレス後の電池電極板は、膜厚が薄くなるため、空洞部の光路長は短くなる。これにより、空洞部からの出射光が多くなり、空洞部での反射率が高くなる。また、プレス後の電池電極板は、表面粗さが小さくなるので、塗工膜表面での反射光量が多くなり、反射率が高くなる。そのため、プレス後の電池電極板では、ゼロ点数は少なくなると考えられる。
図8に示す正極片面塗工膜の塗工後(プレス前)の二値化画像におけるゼロ点数は、47,093であった。また、図9に示す正極片面塗工膜のプレス後の二値化画像におけるゼロ点数は、24,766であった。一方、図10に示す負極両面塗工膜の塗工後(プレス前)の二値化画像におけるゼロ点数は、22,324であった。また、図11に示す負極両面塗工膜のプレス後の二値化画像におけるゼロ点数は、1,397であった。以上の結果から、正極、負極のいずれの塗工膜においても、プレス後のゼロ点数は、塗工後のゼロ点数よりも大幅に少なくなることが明らかとなった。このように、反射率とゼロ点数は、それぞれ膜厚と相関性を有している。すなわち、膜厚が厚ければ反射率は低く、ゼロ点数は多くなる。また、膜厚が薄ければ、反射率は高く、ゼロ点数は少なくなる。次に、反射率とゼロ点数との相関性について、更に具体的に説明する。
図12は、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後における反射率rφ(R,G,B)%とゼロ点数との相関性を示す図である。塗工後の指定膜厚は65μm、プレス後の指定膜厚は55μm(圧下比は84.6%)である。塗工後とプレス後の反射率比は1.2、塗工後とプレス後のゼロ点数比は約0.56となった。図12に示すように、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後において、反射率rφ(R,G,B)%とゼロ点数との相関度R2は、平均で0.99以上となった。図12に示す各プロット点は、オフラインで測定した(後述の図13についても同様)。
図13は、負極両面塗工膜の塗工後とプレス後における反射率rφ(R,G,B)%とゼロ点数との相関性を示す図である。塗工後の指定膜厚は110μm、プレス後の指定膜厚は73μm(圧下比は66.4%)である。塗工後とプレス後の反射率比は1.7、塗工後とプレス後のゼロ点数比はおよそ0.073となった。図13に示すように、負極両面塗工膜の塗工後とプレス後において、反射率rφ(R,G,B)%とゼロ点数との相関度R2は、平均で0.97以上となった。
このように、正極片面塗工膜、負極両面塗工膜のいずれにおいても、反射率とゼロ点数には高い相関性があり、膜厚、密度及び反射色彩値を測定する上で重要なパラメータとなる。
次に、塗工膜の反射率と指定膜厚との相関性及び塗工膜の反射率と指定密度との相関性から求めた近似式と、塗工膜のゼロ点数と指定膜厚との相関性及び塗工膜のゼロ点数と指定密度との相関性から求めたそれぞれの近似式について説明する。
図14は、正極塗工膜の平均反射率rφ(G)と指定膜厚Tとの相関性から求めた近似式の検量線の一例及び平均反射率rφ(G)と指定密度ρとの相関性から求めた近似式の検量線の一例を示す図である。図14(及び後述の図15)において、塗工後の指定膜厚Tは65μm(密度1.47g/cm3)、プレス後の指定膜厚Tは55μm(密度1.73g/cm3)である。なお、近似式は、2サンプルの平均値を使用して求めているため、図14及び後述の図15~17において、検量線の相関度はR2=1.0となる。また、本実施形態では、平均反射率として、膜厚との相関性が高いrφ(G)を用いる例について説明する(図12参照)。但し、対象物によっては、rφ(R)又はrφ(B)の方が相関性の高い場合もある。そのため、平均反射率として、rφ(G)の代わりにrφ(R)又はrφ(B)を用いてもよいし、rφ(R)、rφ(G)及びrφ(B)の平均値を用いてもよい。
図14の横軸は、平均反射率rφ(G)%を示している。平均反射率rφ(G)%は、撮像領域に含まれる全画素(例えば、25万点)における再帰性反射率rφ(R,G,B)のうち、rφ(G)%の平均値である。図14の縦軸において、左側の目盛りは指定膜厚T(μm)を示し、右側の目盛りは指定密度ρ(g/cm3)を示している。指定膜厚Tは、サンプルの厚さを測定し、測定値から基材の厚みを差し引いて求めた値である。指定密度ρは、サンプルの重量を測定し、測定値から基材の重量を差し引いて重量を求め、指定膜厚Tの測定値と共に換算式を用いて算出した値である。
図14において、正極塗工膜の平均反射率rφ(G)と指定膜厚Tとの相関性から求めた推定膜厚Teの近似式の一例を以下に示す。
y=-45.746x+108.53 R2=1.0 (1)
式(1)の近似式を用いることにより、正極塗工膜において、測定した平均反射率rφ(G)から推定膜厚Teを算出できる。
図14において、正極塗工膜の平均反射率rφ(G)と指定密度ρとの相関性から求めた推定密度ρeの近似式の一例を以下に示す。
y=1.1894x+0.3382 R2=1.0 (2)
式(2)の近似式を用いることにより、正極塗工膜において、測定した平均反射率rφ(G)から推定密度ρeを算出できる。
図15は、正極塗工膜のゼロ点数と指定膜厚Tとの相関性から求めた近似式の検量線の一例及びゼロ点数と指定密度ρとの相関性から求めた近似式の検量線の一例を示す図である。図15の横軸は、ゼロ点数である。図15の縦軸において、左側の目盛りは指定膜厚T(μm)を示し、右側の目盛りは指定密度ρ(g/cm3)を示している。
図15において、正極塗工膜のゼロ点数と指定膜厚Tとの相関性から求めた推定膜厚Teの近似式の一例を以下に示す。
y=0.000500x+42.107 R2=1.0 (3)
式(3)の近似式を用いることにより、正極塗工膜において、測定したゼロ点数から推定膜厚Teを算出できる。
図15において、正極塗工膜のゼロ点数と指定密度ρとの相関性から求めた推定密度ρeの近似式の一例を以下に示す。
y=-0.0000130x+2.0652219 R2=1.0 (4)
式(3)の近似式を用いることにより、正極塗工膜において、測定したゼロ点数から推定密度ρeを算出できる。
図16は、負極塗工膜の平均反射率rφ(G)と指定膜厚Tとの相関性から求めた近似式の検量線の一例及び平均反射率rφ(G)と指定密度ρとの相関性から求めた近似式の検量線の一例を示す図である。図16の横軸は、平均反射率rφ(G)%を示している。図16の縦軸において、左側の目盛りは指定膜厚T(μm)を示し、右側の目盛りは指定密度ρ(g/cm3)を示している。図16(及び後述の図17)において、塗工後の指定膜厚Tは110μm(密度1.45g/cm3)、プレス後の指定膜厚Tは73μm(密度2.18g/cm3)である。
図16において、負極塗工膜の平均反射率rφ(G)と指定膜厚Tとの相関性から求めた推定膜厚Teの近似式の一例を以下に示す。
y=-41.605x+173.33 R2=1.0 (5)
式(5)の近似式を用いることにより、負極塗工膜において、測定した平均反射率rφ(G)から推定膜厚Teを算出できる。
図16において、負極塗工膜の平均反射率rφ(G)と指定密度ρとの相関性から求めた推定密度ρeの近似式の一例を以下に示す。
y=0.8208x+0.2004 R2=1.0 (6)
式(6)の近似式を用いることにより、負極塗工膜において、測定した平均反射率rφ(G)から推定密度ρeを算出できる。
図17は、負極塗工膜のゼロ点数と指定膜厚Tとの相関性から求めた近似式の検量線の一例及びゼロ点数と指定密度ρとの相関性から求めた近似式の検量線の一例を示す図である。図17の横軸は、ゼロ点数である。図17の縦軸において、左側の目盛りは指定膜厚T(μm)を示し、右側の目盛りは密度ρ(g/cm3)を示す。
図17において、負極塗工膜のゼロ点数と指定膜厚Tとの相関性から求めた推定膜厚Teの近似式の一例を以下に示す。
y=0.00157x+68.38062 R2=1.0 式(7)
式(7)の近似式を用いることにより、負極塗工膜において、測定したゼロ点数から推定膜厚Teを算出できる。
図17において、負極塗工膜のゼロ点数と指定密度ρとの相関性から求めた推定密度ρeの近似式の一例を以下に示す。
y=-0.0000309x+2.2711392 R2=1.0 式(8)
式(8)の近似式を用いることにより、負極塗工膜において、測定したゼロ点数から推定密度ρeを算出できる。
次に、反射率rφ(R,G,B)%による近似式と、ゼロ点数による近似式とを用いて、推定膜厚Teを算出した具体例について説明する。ゼロ点数による近似式を用いて推定膜厚Teを算出する処理は、膜厚算出部34(図3参照)で実行される。本実施形態では、ゼロ点数による近似式を用いて推定膜厚Teを算出する処理との比較のために、膜厚算出部34において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式を用いて推定膜厚Teを算出する処理を実行している。
図18は、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布を示す図である。図19は、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの推定膜厚Teの分布を示す図である。図18及び図19において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~20は、塗工後(指定膜厚65μm)の測定数を示している。横軸の21~40は、プレス後(指定膜厚55μm)の測定数を示している。
図18の縦軸において、左側の目盛りは反射率rφ(R,G,B)%を示し、右側の目盛りはゼロ点数を示している。図18において、白丸(〇)は、ゼロ点数のプロット点を示している。ひし形(◇)は、R(赤)のプロット点を示している。白四角(□)は、G(緑)のプロット点を示している。白三角(△)は、B(青)のプロット点を示している。
図19の縦軸は、推定膜厚Te(μm)を示している。図19において、ひし形(◇)は、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した推定膜厚Teのプロット点を示している。白丸(〇)は、ゼロ点数による近似式(3)で算出した推定膜厚Teのプロット点を示している。
図19に示す測定数1~20において、塗工後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、0.97μmとなった。一方、測定数1~20において、塗工後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(3)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、1.00μmとなった。
一方、測定数21~40において、プレス後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、1.94μmとなった。また、測定数21~40において、プレス後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(3)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、1.42μmとなった。
このように、プレス後の正極片面塗工膜において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した推定膜厚Teの標準偏差σは、ゼロ点数による近似式(3)で算出した推定膜厚Teの標準偏差σよりも1.36倍大きくなった。そのため、正極片面塗工膜の推定膜厚Teを算出する場合、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)を用いるよりも、ゼロ点数による近似式(3)を用いることがより望ましいと考えられる。
図20は、負極両面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布を示す図である。図21は、負極両面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの推定膜厚Teの分布を示す図である。図20及び図21において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~40は、塗工後/プレス前(指定膜厚110μm)の測定数を示している。横軸の41~80は、プレス後(指定膜厚73μm)の測定数を示している。
図20の縦軸において、左側の目盛りは反射率rφ(R,G,B)%を示し、右側の目盛りはゼロ点数を示している。図20におけるプロット点の意味は、図18と同じである。図21の縦軸は、図19と同じく推定膜厚Te(μm)を示している。図21における各プロット点の意味は、図19と同じである。
図21に示すように、測定数1~40において、塗工後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(5)で算出した場合、指定膜厚Tに対する推定膜厚Teの標準偏差σは、1.23μmとなった。また、測定数1~40において、塗工後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(7)で算出した場合、指定膜厚Tに対する推定膜厚Teの標準偏差σは、2.59μmとなった。
また、図21の測定数41~80において、プレス後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(5)で算出した場合、指定膜厚Tに対する推定膜厚Teの標準偏差σは、4.42μmとなった。一方、測定数41~80において、プレス後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(7)で算出した場合、指定膜厚Tに対する推定膜厚Teの標準偏差σは、0.86μmとなった。
このように、プレス後の負極両面塗工膜において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(5)で算出した推定膜厚Teの標準偏差σは、ゼロ点数による近似式(7)で算出した推定膜厚Teの標準偏差σよりも5.14倍大きくなった。そのため、負極両面塗工膜において、推定膜厚Teを算出する場合、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(5)よりも、ゼロ点数による近似式(7)を用いることが、より望ましいと考えられる。
図20及び図21に示すように、正極塗工膜及び負極塗工膜について、ゼロ点数と塗工膜の指定膜厚との相関性から求めた近似式(3)及び(7)とを用いて推定膜厚Teを算出することにより、塗工後とプレス後の塗工膜の膜厚を、より正確に測定できることが分かる。
なお、二次電池の製造においては、電池電極板の表裏面における電池材料の均一度も重要となる。そのため、塗工膜の膜厚だけでなく、密度や反射色彩値をより正確に測定する必要がある。また、歩留まりを向上させるために、これらの物性の測定をオンラインで出来るようにすることが望ましい、しかし、先に説明した従来の膜測定方法では、電池電極板の表裏面に形成された塗工膜の膜厚、密度及び反射色彩値を、より正確に且つオンラインで測定することができないという課題があった。第1実施形態の膜測定装置1においては、以下に説明するように、電池電極板の表裏面に形成された塗工膜の密度、反射色彩値を、より正確に且つオンラインで測定できる。
次に、反射率rφ(R,G,B)%による近似式とゼロ点数による近似式とを用いて、推定密度ρeを算出した具体例について説明する。ゼロ点数による近似式を用いて推定密度ρeを算出する処理は、密度算出部35(図3参照)で実行される。本実施形態では、ゼロ点数による近似式を用いて推定密度ρeを算出する処理との比較のために、密度算出部35において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式を用いて推定密度ρeを算出する処理を実行している。
図22は、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの推定密度ρeの分布を示す図である。図22において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~20は、塗工後(指定密度1.47g/cm3)の測定数を示している。横軸の21~40は、プレス後(指定密度1.73g/cm3)の測定数を示している。
図22の縦軸は、推定密度ρe(g/cm3)を示している。図22において、ひし形(◇)は、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)で算出した推定密度ρeのプロット点を示している。白丸(〇)は、ゼロ点数による近似式(4)で算出した推定密度ρeのプロット点を示している。密度の測定においては、膜厚の測定と同じサンプルを使用している。そのため、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布は、図18と同じである(図示を省略)。
図22に示す測定数1~20において、塗工後の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)による近似式(2)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.025g/cm3となった。一方、測定数1~20において、塗工後の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(4)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.026g/cm3となった。
また、図22に示す測定数21~40において、プレス後の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.050g/cm3となった。また、測定数21~40において、プレス後の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(4)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.037g/cm3となった。
このように、プレス後の正極片面塗工膜において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)で算出した推定密度ρeの標準偏差σは、ゼロ点数による近似式(4)で算出した推定密度ρeの標準偏差σよりも1.35倍大きくなった。そのため、正極片面塗工膜の推定密度ρeを算出する場合、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)を用いるよりも、ゼロ点数による近似式(4)を用いることがより望ましいと考えられる。
図23は、負極両面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの推定密度ρeの分布を示す図である。図23において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~40は、塗工後(指定密度1.45g/cm3)の測定数を示している。横軸の41~80は、プレス後(指定密度2.18g/cm3)の測定数を示している。図23の縦軸は、推定密度ρe(g/cm3)を示している。図23における各プロット点の意味は、図22と同じである。密度の測定には、膜厚の測定と同じサンプルを使用している。そのため、負極両面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布は、図22と同じである(図示を省略)。
図23に示す測定数1~40において、塗工後の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(6)で算出した場合、指定密度ρに対する推定密度ρeの標準偏差σは、0.024g/cm3となった。一方、塗工後の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(8)で算出した場合、指定密度ρに対する推定密度ρeの標準偏差σは、0.051g/cm3となった。
また、図23に示す測定数41~80において、プレス後の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(6)で算出した場合、指定密度ρに対する推定密度ρeの標準偏差σは、0.088g/cm3となった。一方、測定数41~80において、プレス後の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(8)で算出した場合、指定密度ρに対する推定密度ρeの標準偏差σは、0.017g/cm3となった。
このように、塗工後の正極塗工膜において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(6)で算出した推定密度ρeの標準偏差σと、ゼロ点数による近似式(8)で算出した推定密度ρeの標準偏差σとの間には、大きな差は生じていない。しかし、プレス後の正極片面塗工膜において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)で算出した推定密度ρeの標準偏差σは、ゼロ点数による近似式(4)で算出した推定密度ρeの標準偏差σよりも1.35倍大きくなった。また、プレス後の負極塗工膜において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(6)で算出した推定密度ρeの標準偏差σは、ゼロ点数による近似式(8)で算出した推定密度ρeの標準偏差σよりも5.18倍大きくなり、大きな差が生じている。そのため、正極塗工膜と負極塗工膜において、近似式を用いて推定密度ρeを算出する場合、ゼロ点数による近似式(8)を用いることが、より望ましいと考えられる。
図22及び図23に示すように、正極塗工膜及び負極塗工膜について、ゼロ点数と塗工膜の指定密度との相関性から求めた近似式とを用いて推定密度ρeを算出することにより、塗工後とプレス後の塗工膜の密度を、より正確に測定できることが分かる。
次に、色彩値算出部36において、塗工膜の反射率rφ(R,G,B)%に基づいて反射色彩値Labを算出した具体例について説明する。
図24は、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの反射色彩値Labの分布を示す図である。図24において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~20は、塗工後(指定膜厚65μm)の測定数を示している。横軸の21~40は、プレス後(指定膜厚55μm)の測定数を示している。
図24の縦軸において、左側の目盛りは明度値Lを示し、右側の目盛りは色度値a、bをそれぞれ示している。色度値aは、緑(-)から赤(+)までの間の色味の強さを表す。色度値bは、青(-)から黄(+)までの間の色味の強さを表す。図24において、ひし形(◇)は、反射率rφ(R,G,B)%に基づいて算出した明度値Lのプロット点を示している。白四角(□)は、反射率rφ(R,G,B)%に基づいて算出した色度値aのプロット点を示している。白三角(△)は、反射率rφ(R,G,B)%に基づいて算出した色度値bのプロット点を示している。色彩値の測定においては、膜厚、密度の測定と同じサンプルを使用している。
反射率rφ(R,G,B)%を用いて塗工膜の反射色彩値Labを算出する変換式の一例を以下に示す。なお、基準となる標準光源D65のXYZ成分は、X(R)10=94.811、Y(G)10=100.00、Z(B)10=107.333である。
L=116×(rφ(G)/100.00)1/3-16 式(9)
a=500×[{rφ(R)/R10}1/3-(rφ(G)/G10)1/3] 式(10)
b=200×[{rφ(G)/G10}1/3-(rφ(B)/B10)1/3] 式(11)
上記式(9)~(11)と、膜厚等の測定で使用した反射率rφ(R,G,B)%とを用いることにより、正極片面塗工膜の塗工後とプレス後における反射色彩値Labを算出できる。なお、反射率rφ(R)、rφ(G)、rφ(B)の値が小さい場合、例えば、下記の式(12)~(14)のいずれかに該当する場合には、対応する下記の式(15)~(17)を用いて算出する。
0.008856≧(rφ(R)=94.811)
rφ(R)*=7.787×rφ(R)/94.811+16.0/116.0
式(12)
0.008856≧(rφ(G)=100.0)
rφ(G)*=7.787×rφ(G)/100.0+16.0/116.0
式(13)
0.008856≧(rφ(B)=107.3)
rφ(B)*=7.787×rφ(B)/107.3+16.0/116.0
式(14)
L=116×(rφ(G)*)-16 式(15)
a=500×(rφ(R)*-rφ(G)*) 式(16)
b=200×(rφ(G)*-rφ(B)*) 式(17)
図24に示すように、明度値Lは、塗工後の測定数1~20よりもプレス後の測定数21~40において、値が大きいことが分かる。また、色度値a,bは、塗工後の測定数1~20に対してプレス後の測定数21~40では、分布の位置に変化が生じることが分かる。正極片面塗工膜において、塗工後とプレス後に算出した反射色彩値Labは、塗工後とプレス後に正極片面塗工膜(塗工材)に生じた物性の変化をリニアに示したものとなる。
図25は、負極両面塗工膜の塗工後とプレス後における各サンプルの反射色彩値Labの分布を示す図である。図25において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~40は、塗工後(指定膜厚110μm)の測定数を示している。横軸の41~80は、プレス後(指定膜厚73μm)の測定数を示している。図25の縦軸及び各プロット点の項目は、図24と同じである。
図25に示すように、明度値Lは、塗工後の測定数1~40よりもプレス後の測定数41~80において、値が大きくなる結果となった。また、色度値a,bは、塗工後の測定数1~40に対してプレス後の測定数41~80では、それぞれの分布の位置に変化が生じることが分かる。負極両面塗工膜においても、塗工後とプレス後に算出した反射色彩値Labは、塗工後とプレス後に負極両面塗工膜(塗工材)に生じた物性の変化をリニアに示したものとなる。
図24及び図25に示すように、正極片面塗工膜及び負極両面塗工膜について、反射率rφ(R,G,B)%と変換式とを用いることにより反射色彩値Labを算出できる。反射色彩値Labを算出することにより、1つの色を特定できる。そして、この反射色彩値Labと、基準となる膜厚の反射色彩値(以下、「基準反射色彩値」ともいう)との差である色差値Δ(L,a,b,E)を算出することにより、塗工後とプレス後における膜厚、密度の変化を検出できる。また、色差値Δ(L,a,b,E)を算出することにより、例えば、電極シートの幅方向において、塗工材の混合度合いが均一であるか否かを判断できる。
オンラインでの測定において、電極シートの幅方向やラインの走行方向における色差値Δ(L,a,b,E)は、基準反射色彩値(L0,a0,b0)と反射色彩値Labとを用いることにより、下記の式により算出できる。式(21)のΔEは、ΔL、Δa、Δbから求められる総色差であり、色空間上における基準値とサンプル値との間の距離を表している。
ΔL=L-L0 式(18)
Δa=a-a0 式(19)
Δb=b-b0 式(20)
ΔE=√(ΔL2+Δa2+Δb2) 式(21)
以上説明したように、第1実施形態の膜測定装置1によれば、正極塗工膜及び負極塗工膜の反射率rφ(R,G,B)%に基づいて反射色彩値Labを算出できる。また、基準反射色彩値(L0,a0,b0)と反射色彩値Labとを用いて、色差値Δ(L,a,b,E)を算出できる。したがって、オンライン測定において、電極シートの幅方向やラインの走行方向における色差値Δ(L,a,b,E)を算出することにより、塗工材の混合度合いが均一であるか否かをリアルタイムに判断できる。これにより、塗工工程やプレス工程において歩留まりの向上が期待できる。
なお、電池電極板の基材となるアルミニウム、銅の表面が酸化した場合、電極としての性能が低下する。基材が酸化したか否かは、電極電極板において、電極材料が塗工されていない未塗工部の反射率を測定することにより判別できる。基材の未塗工部は、塗工部よりも反射率が高いため、撮像部2(図1参照)において、基材撮像用のシャッタ
時間、塗工膜撮像用の露光時間をそれぞれ設定する。そして、両方の露光時間に対応して、それぞれ黒体校正板(後述)による撮像を実施することにより、基材の反射率測定、塗工膜の反射率測定を同時又は交互に行うことができる。その際に、反射色彩値も同時に測定できるので、基材の酸化の有無だけでなく、基材の異常を検出することもできる。
次に、第2実施形態として、撮像部2をラインセンサカメラとして使用する実施形態について説明する。
リチウムイオン電池において、電極を構成する基材は、帯状に限らず、円筒状に構成される場合もある。このような円筒状の基材に形成された塗工膜を、500×500画素の測定エリアで撮像すると、円周方向の上側と下側において、測定距離の差により画像ぼけが生じる。このような円筒状の塗工膜をより正確に撮像できるようにするため、撮像部2をラインセンサカメラとして使用する手法を提案する。
第2実施形態の膜測定装置1では、撮像部2の撮像領域を2000×50画素に設定して、撮像部2をラインセンサカメラとして使用する。撮像部2としては、第1実施形態と同じく、例えば、2048×1536の画素数(RGB)を有するイメージセンサを用いることができる。撮像領域を2000×50画素に設定した場合、サンプル上での測定エリアは、16mm×0.4mm(1画素=8μm角)となる。ここでは、サンプルの水平方向Xにおいて、2000×50画素を40セグメント(50×50画素、0.5mmピッチ)に分割して測定した。2048×1536画素を有するイメージセンサの測定エリアを、2000×50画素で使用することは、例えば、撮像制御部31(図3参照)において実行される画像処理プログラムを変更することにより実現できる。
次に、第2実施形態の膜測定装置1で撮像した塗工膜の輝度画像と二値化画像を、図26~図29を参照して説明する。図26~図29において、上側の画像は、サンプルとして作製した電極シートの画像(階調データ)から得た反射率rφ(R,G,B)%の輝度画像を示している。また、下側の画像は、輝度画像から算出した二値化画像を示している。
図26は、正極片面塗工膜の中央部における輝度画像と二値化画像とを示す図である。図27は、正極片面塗工膜の端部における輝度画像と二値化画像とを示す図である。図28は、負極両面塗工膜の裏面における輝度画像と二値化画像とを示す図である。図29は、負極両面塗工膜の表面における輝度画像と二値化画像とを示す図である。
図26と図27に示すように、塗工後の正極片面塗工膜において、中央部と端部における輝度画像と二値化画像の差が少ないことが分かる。同様に、図28と図29に示すように、塗工後の負極両面塗工膜において、裏面と表面における輝度画像と二値化画像の差が少ないことが分かる。
このように、垂直方向Yの走査画素数を500から50に減らすと、オンラインで1台の膜測定装置1を水平方向Xに走査しながら撮像する場合に、画像ぼけがほとんど生じないことが分かる。また、垂直方向Yの走査画素数を500から50に減らすことにより、画像の撮像周期を短くできるため、膜測定装置1を高速で移動させながら測定することが可能となる。
次に、第2実施形態の膜測定装置1(2000×50画素)において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式と、ゼロ点数による近似式とを用いて、推定膜厚Teを算出した具体例について説明する。第2実施形態においても、ゼロ点数による近似式を用いて推定膜厚Teを算出する処理との比較のために、膜厚算出部34において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式を用いて推定膜厚Teを算出する処理を実行している。
図30は、正極片面塗工膜の各サンプルにおける中央部と端部の反射率とゼロ点数の分布を示す図である。図31は、正極片面塗工膜の各サンプルにおける中央部と端部の推定膜厚Teの分布を示す図である。図30及び図31において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~50は、中央部を測定したサンプルの測定数を示している。横軸の51~100は、端部を測定したサンプルの測定数を示している。指定膜厚Tは、65μmである。膜厚を算出するための近似式の検量線は、第1実施形態(500×500画素)と同じである。
図30の左側の目盛りは反射率rφ(R,G,B)%を示し、右側の目盛りはゼロ点数を示している。図30において、白丸(〇)は、ゼロ点数のプロット点を示している。ひし形(◇)は、R(赤)のプロット点を示している。白四角(□)は、G(緑)のプロット点を示している。白三角(△)は、B(青)のプロット点を示している。
図31の縦軸は、推定膜厚Te(μm)を示している。図31において、ひし形(◇)は、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した推定膜厚Teのプロット点を示している。白丸(〇)は、ゼロ点数による近似式(3)で算出した推定膜厚Teのプロット点を示している。
図31に示すように、測定数1~50(中央部)において、正極塗工後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した場合、指定膜厚T対する標準偏差σは、1.50μmとなった。一方、測定数1~50において、塗工後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(3)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、0.70μmとなった。
また、測定数51~100(端部)において、正極塗工後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した場合、指定膜厚T対する標準偏差σは、1.0μmとなった。一方、測定数51~100において、正極塗工後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(3)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、0.44μmとなった。
このように、撮像領域を2000×50画素に設定した第2実施形態において、ゼロ点数による近似式(3)で算出した正極塗工膜の推定膜厚Teは、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した推定膜厚Teよりも、指定膜厚Tとの差が小さいことが分かる。
図32は、負極両面塗工膜の各サンプルにおける裏面と表面中央部の反射率とゼロ点数の分布を示す図である。図33は、負極両面塗工膜の各サンプルにおける裏面と表面中央部の推定膜厚Teの分布を示す図である。図32及び図33において、横軸の1~50は、裏面を測定したサンプルの測定数を示している。横軸の51~100は、表面中央部を測定したサンプルの測定数を示している。指定膜厚Tは、110μmである。膜厚を算出するための近似式の検量線は、第1実施形態(500×500画素)と同じである。
図33に示すように、測定数1~50(裏面)において、負極塗工後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(5)で算出した場合、指定膜厚T対する標準偏差σは、1.50μmとなった。一方、測定数1~50において、負極塗工後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(7)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、1.1μmとなった。
また、測定数51~100(表面中央部)において、負極塗工後の推定膜厚Teを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(5)で算出した場合、指定膜厚T対する標準偏差σは、2.2μmとなった。一方、測定数51~100において、負極塗工後の推定膜厚Teを、ゼロ点数による近似式(7)で算出した場合、指定膜厚Tに対する標準偏差σは、1.8μmとなった。
このように、撮像領域を2000×50画素に設定した第2実施形態において、ゼロ点数による近似式(3)で算出した負極塗工膜の推定膜厚Teは、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(1)で算出した推定膜厚Teよりも、指定膜厚Tとの差が小さいことが分かる。
次に、第2実施形態の膜測定装置1(2000×50画素)において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式と、ゼロ点数による近似式とを用いて、推定密度ρeを算出した具体例について説明する。第2実施形態においても、ゼロ点数による近似式を用いて推定密度ρeを算出する処理との比較のために、密度算出部35において、反射率rφ(R,G,B)%による近似式を用いて推定密度ρeを算出する処理を実行している。
図34は、正極片面塗工膜の各サンプルにおける中央部と端部の推定密度ρeの分布を示す図である。図34において、横軸は、図31と同じく、サンプルの測定数である。図34の縦軸は、推定密度ρe(g/cm3)を示している。図34において、ひし形(◇)は、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)で算出した推定密度ρeのプロット点を示している。白丸(〇)は、ゼロ点数による近似式(4)で算出した推定密度ρeのプロット点を示している。密度の測定においては、膜厚の測定と同じサンプルを使用している。そのため、正極片面塗工膜の中央部と端部における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布は、第2実施形態の図30と同じである(図示を省略)。密度を算出するための近似式の検量線は、第1実施形態(500×500画素)と同じである。
図34に示すように、測定数1~50において、中央部の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)による近似式(2)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.045g/cm3となった。一方、測定数1~50において、中央部の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(4)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.018g/cm3となった。
また、図34に示すように、測定数51~100において、端部の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.26g/cm3となった。また、測定数51~100において、端部の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(4)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.013g/cm3となった。
このように、撮像領域を2000×50画素に設定した第2実施形態において、ゼロ点数による近似式(4)で算出した正極塗工膜の推定密度ρeは、反射率rφ(R,G,B)%による近似式(2)で算出した推定密度ρeよりも、指定密度ρとの差が小さいことが分かる。
図35は、負極両面塗工膜の各サンプルにおける裏面と表面中央部の推定密度ρeの分布を示す図である。図35において、横軸は、図34と同じく、サンプルの測定数である。図35の縦軸は、図34と同じく、推定密度ρe(g/cm3)を示している。密度の測定においては、膜厚の測定と同じサンプルを使用している。そのため、負極両面塗工膜の裏面と表面中央部における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布は、第2実施形態の図32と同じである(図示を省略)。密度を算出するための近似式の検量線は、第1実施形態(500×500画素)と同じである。
図35に示す測定数1~50において、裏面の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)による近似式(6)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.021g/cm3となった。一方、測定数1~50において、裏面の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(8)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.029g/cm3となった。
また、図35に示す測定数51~100において、表面中央部の推定密度ρeを、反射率rφ(R,G,B)による近似式(6)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.035g/cm3となった。一方、測定数51~100において、表面中央部の推定密度ρeを、ゼロ点数による近似式(8)で算出した場合、指定密度ρに対する標準偏差σは、0.042g/cm3となった。
次に、第2実施形態の膜測定装置1(2000×50画素)において、塗工膜の反射率rφ(R,G,B)%に基づいて反射色彩値Labを算出した具体例について説明する。
図36は、正極片面塗工膜の各サンプルにおける中央部と端部の反射色彩値Labの分布を示す図である。図36において、横軸の数値は、サンプルの測定数(データ数)を示している。横軸の1~50は、中央部を測定したサンプルの測定数を示している。横軸の51~100は、端部を測定したサンプルの測定数を示している。
図36の縦軸において、左側の目盛りは明度値Lを示し、右側の目盛りは色度値a、bをそれぞれ示している。図36において、ひし形(◇)は、反射率rφ(R,G,B)%に基づいて算出した明度値Lのプロット点を示している。白四角(□)は、反射率rφ(R,G,B)%に基づいて算出した色度値aのプロット点を示している。白三角(△)は、反射率rφ(R,G,B)%に基づいて算出した色度値bのプロット点を示している。
正極片面塗工膜の色彩値の測定においては、前述した膜厚、密度の測定と同じサンプルを使用している。そのため、正極片面塗工膜の中央部と端部における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布は、第1実施形態の図30と同じである(図示を省略)。また、反射率rφ(R,G,B)%を用いて塗工膜の反射色彩値Labを算出する変換式は、第1実施形態と同じである。
図37は、正極片面塗工膜の各サンプルにおける中央部と端部の色差値Δ(L,a,b,E)の分布を示す図である。図37に示すように、正極片面塗工膜の各サンプルにおける中央部と端部において、総色差である色差値ΔEは、平均で1以下と小さいことが分かる。
図38は、負極両面塗工膜の裏面と表面中央部の反射色彩値Labの分布を示す図である。図38において、横軸は、図36と同じく、サンプルの測定数である。図38の縦軸及び各プロット点の意味は、図36と同じである。
負極両面塗工膜の色彩値の測定においては、前述した膜厚、密度の測定と同じサンプルを使用している。そのため、負極両面塗工膜の裏面と表面中央部における各サンプルの反射率とゼロ点数の分布は、図32と同じである(図示を省略)。また、反射率rφ(R,G,B)%を用いて塗工膜の反射色彩値Labを算出する変換式は、第1実施形態と同じである。
図39は、負極両面塗工膜の各サンプルにおける裏面と表面中央部の色差値Δ(L,a,b,E)の分布を示す図である。図39に示すように、負極両面塗工膜の各サンプルにおける裏面と表面中央部において、総色差である色差値ΔEは、平均で1以下と小さいことが分かる。
このように、撮像領域を2000×50画素に設定した第2実施形態において、塗工後に算出した反射色彩値Labは、塗工後に正極片面塗工膜及び負極両面塗工膜(塗工材)に生じた物性の変化をリニアに示したものとなる。したがって、オンライン測定において、塗工膜の色差値Δ(L,a,b,E)を算出することにより、塗工材の混合度合いが均一であるか否かをリアルタイムに判断できる。
なお、撮像部2をラインセンサカメラとして使用する実施形態において、2000×50画素の撮像領域について、校正測定を行う方法として、例えば、以下の式(22)を用いる方法が考えられる。
校正演算輝度値=CW-CB 式(22)
式(22)において、CWは、測定位置に反射校正板をセットして測定した輝度値である。CBは、測定位置に黒体校正板をセットして測定した輝度値である。
上記式(22)を用いて算出した輝度値の分布を図40に示す。図40は、撮像領域500×500画素と2000×50画素における校正演算輝度値の分布を示す図である。図40の縦軸は、輝度値を12ビット(0~4095)で表した値(以下、「カウント数」ともいう)を示している。また、横軸は、水平方向Xの2000画素を1/10に圧縮した200画素(画素数)を示している。輝度値は、10画素ごとの平均値で算出している。
図40に示すように、撮像領域を中央の500×500画素に設定した場合、RGBのいずれも水平方向Xにおける輝度変化が小さいことが分かる。また、撮像領域を2000×50画素に設定した場合も、RGBのいずれも水平方向Xにおける輝度変化が小さいことが分かる。このように、上記式(22)を用いて校正演算輝度値を算出することにより、水平方向Xにおける輝度変化を小さくできる。そのため、撮像領域を500×500画素とした場合だけでなく、2000×50画素とした場合においても、より正確な輝度値を測定することができる。
なお、本実施形態の膜測定装置1を、図5に示す塗工システム100や図7に示すプレスシステム200照)に適用する場合、黒体校正板と反射校正板を電極シートの幅方向Xの片面又は両面に設置しておき、一定時間ごとに輝度値の校正を行うことが望ましい。
以上、本発明に係る膜測定装置及び膜測定方法の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
第1実施形態では、撮像部2の撮像領域を500(X)×500(Y)画素とする例について説明したが、これに限定されない。撮像領域を、例えば、550×550画素としてもよいし、450×450画素としてもよい。Y方向の画素数を減らすことにより、画像の取り込み時間が短くなるため、短周期での測定が可能となる。
撮像部2をラインセンサカメラとして使用する第2実施形態において、撮像領域は、2000×50画素に限定されず、例えば、2000×25画素に設定してもよい。反射率rφやゼロ点数は、データ数が多い方が望ましいが、撮像するカメラの仕様、特性等に応じて、安定的に測定できる画素数を設定すればよい。
第1及び第2実施形態の膜測定装置1において、光軸OA1(図1参照)が測定対象物Sの垂線PLに対して垂直となるように撮像部2を配置して、測定対象物Sの表面で反射した反射光を、直接、撮像部2に入射させるように構成してもよい。このように、第1及び第2実施形態の膜測定装置1は、再帰性反射板7を用いない構成としてもよい。
第1及び第2実施形態の膜測定装置1において、データ処理装置8(図1参照)は、ネットワークを介して撮像部2及び光源3と接続されていてもよい。ネットワークとしては、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、VPN(Vertual Private Network)等が挙げられる。膜測定装置1において、データ処理装置8の処理は、ローカルで行ってもよいし、リモートで行ってもよい。