JP7531450B2 - 区分線形モデル作成装置、区分線形モデル作成方法およびプログラム - Google Patents
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Description
以下、本開示の実施形態に係る区分線形モデル方法について、図1~図9を参照しながら説明する。
(構成)
図1は、実施形態の区分線形モデル作成装置の一例を示すブロック図である。
図示するように、区分線形モデル作成装置10は、データ取得部11と、入力受付部12と、計算部13と、出力部14と、記憶部15と、を備える。
データ取得部11は、観測データを取得する。観測データとは、例えば、プラントが備える機器の特性を示すデータである。
入力受付部12は、閾値や係数などの設定情報やユーザによる指示操作を受け付ける
計算部13は、区分線形モデルを作成する処理を実行する。計算部13は、区分線形モデルの作成に際し、カーブフィッティングと局所フィッティングを使い分けて、精度良く機器特性の曲線を推定する。カーブフィッティングと局所フィッティングについては後述する。
出力部14は、計算部13が作成した区分線形モデルをグラフなどに表示して、表示装置や電子ファイルに出力する。
記憶部15は、データ取得部11が取得した観測データ、計算部13が作成した区分線形モデル、閾値や係数など各種データを記憶する。
[関数Fxの更新処理]
次に図7を参照して、カーブフィッティング、局所フィッティングの流れについて説明する。これらの処理は、一般的にカルマンフィルタを適用して状態推定を行う処理と同様である。観測データは、Mv値とCv値の組合せのデータであり、推定する状態量はMv値に対するCv値の真値である。データ取得部11は、Mv値とCv値を組合せた観測データを例えば所定の時間間隔で取得しているとする。
まず、入力受付部12が、各種設定を受け付ける(ステップS1)。例えば、入力受付部12は、式(8)のκ、λ、後述する各種閾値を取得し、記憶部15に登録する。
次に、計算部13が、初期化処理を行う(ステップS2)。初期化処理では、計算部13が、関数Fxの初期化、誤差共分散行列の初期化、状態ノイズと観測ノイズの初期化などを行う。関数Fxの初期化は、これまでにデータ取得部11が取得した観測データに基づいて、計算部13が、区間線形モデルを作成する。例えば、図2の点P1~P9が得られていれば、各点を隣接する点を結んで関数Fxを設定する(関数Fxの初期化)。
次に計算部13が、滑らかさに関するペナルティ項を追加した式を作成する(ステップS3)。計算部13は、ステップS1で設定されたκ、λを用いて図6Bの式(8)を作成する。計算部13は、局所フィッティングを行うときにはκ、λに0を設定し、カーブフィッティングを行うときにはκ、λに設定された値をセットする。
状態方程式:xt=Axt-1+But+状態遷移分のノイズ
ここで、xtは時刻tのx、xは真値を推定したい状態変数(Cv値とMv値の組合せ)、utは入力変数、Aは状態遷移行列、Bは駆動行列である。
観測方程式:yt=Cxt+観測ノイズ
ここで、yは観測される変数(Cv値)、Cは観測行列である。
例えば、計算部13は、状態方程式に基づいて、誤差共分散行列Pに状態遷移分のノイズ(状態遷移誤差)を付加する(Pt=Pt-1+状態遷移誤差)。次に、計算部13は、現在のCv値を取得して観測Cv値として設定し、現在のMv値を取得して観測行列Cを算出する。この観測行列は、上記の観測方程式における係数Cである。計算部13は、観測行列Cと観測方程式に基づいてCv値を予測する。
計算部13は、関数Fxの更新を継続する間は、上記のステップS3~S6の処理を繰り返し行う。
次に図8を参照して、局所フィッティング、カーブフィッティングの切り替えを含む関数Fxの作成処理全体の一例について説明する。
図8は、実施形態に係る区分線形モデル作成処理の一例を示すフローチャートである。
一例として、「調整モード」、「全体Fitting」、「局所Fitting」の3つの処理モードを用意する。まず「調整モード」において関数Fxの初期値を設定し、その後、「全体Fitting」の処理モードにおいては、カーブフィッティングを実行し、関数Fxの全体の形状を時々刻々と取得される観測データに応じて調整する。そして、必要に応じて、「局所Fitting」に切り替えて関数Fxの精度を維持する。
まず、入力受付部12は各種設定を受け付け、計算部13はカルマンフィルタの初期化等を行う(ステップS10)。この処理は、図7のステップS1、2と同様であるが、図8のフローチャートでは、関数Fxの初期化をステップS10~S13の調整モードで行う。次にデータ取得部11が、観測データを取得する(ステップS11)。例えば、データ取得部11は、バルブの動作範囲の全域にわたる観測データを取得する。データ取得部11は、観測データを記憶部15に記録する。次に、計算部13が、記憶部15から観測データを読み出して、カーブフィッティングを行う(ステップS12)。カーブフィッティングの処理については、図7のフローチャートで説明したとおりである。出力部14は、カーブフィッティングの結果(区分線形モデル、関数Fx)と観測データとを重畳して表示装置などに出力する。ユーザは、例えば、関数Fxの形状と観測データの分布を見比べる等して、カーブフィッティングの精度の確認等を行う。カーブフィッティングが完了し、関数Fxの初期値が設定できると、ユーザはその旨を区分線形モデル作成装置10へ入力する。関数Fxの設定が不十分(精度が良好ではないなど)な場合(ステップS13;No)、ユーザは各種閾値や係数などを調整する。また、新たな観測データが得られる場合は観測データを追加して、計算部13は、関数Fxの初期値が設定できるまで、カーブフィッティングを繰り返し行う。このように初期段階でカーブフィッティングを行うことで、精度の高い機器特性の区分線形モデルを得ることができる。例えば、機器が使用される環境などの影響で、メーカが提供する機器特性と実際にプラント等に導入した機器の特性に差があるような場合、調整モードの実行によって、関数Fxの初期値を設定することにより、速やかに高精度な区分線形モデルを得ることができる。
「全体Fitting」では、調整モードで設定した関数Fxを、実際の機器特性を精度よく反映したオリジナルな関数Fxとして設定する(ステップS15)。オリジナルな関数Fxが設定できると、この関数Fxをプラントの監視や制御に利用することができる。オリジナル関数Fxの設定後も、データ取得部11は、観測データを取得する(ステップS16)。計算部13は、設定された更新速度、閾値、重み係数に従って、全ての点を対象にカーブフィッティングを行う(ステップS17)。計算部13は、カーブフィッティングによって更新される前の値と更新後の値を各点について計算し、計算結果を閾値と比較する。この閾値には、各点ごとに異なる値が設定されていてもよい。計算部13は、どの点についても閾値を上回る変化がない場合(ステップS18;No)、取得された観測データに基づくカーブフィッティングを継続して行う。出力部14は、関数Fxが更新される度に、更新後の関数Fxを表示装置などに出力する。
「局所Fitting」の処理モードでは、フィッティング方式をカーブフィッティングから局所フィッティングに切り替える。例えば、バルブの一部が損傷したような場合、ある開度のときだけCv値が大きく変化してしまうことがある。このような場合に、ペナルティ項を設定して、損傷の影響による特定の範囲のMv値に対するCv値の大幅な変化を区分線形モデル全体に及ぼすようにすると、他の範囲については、精度を低下させることになる。従って、例えば、ある特定の範囲において更新前後で閾値を上回る変化が現れたときには、カーブフィッティングよりも局所フィッティングを適用した方が全体として精度を確保できると考え、フィッティング方式をカーブフィッティングから局所フィティングに切り替えて、関数Fxの形状が、図3の破線で例示するような形状となることを許容する。局所フィティングに切り替えた後は、データ取得部11は、観測データを取得する(ステップS20)。計算部13は、各点それぞれに対し、他の点とは独立して局所フィッティングを行う(ステップS21)。計算部13は、運転停止するまでの間(ステップS22;No)、局所フィッティングを継続して実行する。運転停止すると(ステップS22;Yes)、関数Fxの更新を終了する。なお、ステップS17のフィッティング方式の切り替え判定は、自動で行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。例えば、バルブの一部損傷が検知された場合、ユーザは、区分線形モデル作成装置10へ、局所フィッティングへの切り替えを指示する入力を行い、この入力に基づいて、計算部13は、カーブフィッティングから局所フィッティングへの切り替えを行ってもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、カルマンゲインKを導出する式に滑らかさに関するペナルティ項を追加する。これにより、モデル化する対象の曲線との誤差を最小にしつつ、対象曲線を近似する滑らかな区分線形モデルを作成・更新することができる。これにより、非線形な特性を有する対象の値を精度よく推定することができる。また、本実施形態のフィッティング方法は、比較的少数の行列演算で実行することができるため、簡易に実装可能であり、高速に動作する。したがって、制御装置上でリアルタイムに演算するなどの用途に利用することができる。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の区分線形モデル作成装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
各実施形態に記載の区分線形モデル作成装置、区分線形モデル作成方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
これにより、区分線形モデル全体の形状の滑らかさを維持したまま、区分線形モデルを作成、更新することができる。
これにより、一階微分のノルムおよび/または二階微分のノルムを含めることで、現在の滑らかな形状を維持したままスライドさせたり(一階微分)、観測データの分布に沿った滑らかな形状に修正したり(二階微分)、それらをバランスさせて滑らかさを保ったまま精度の良い区分線形モデルを作成することができる。
∂tr(P)/∂K+κ・∂N1/∂K+λ・∂N2/∂K=0
これにより、一般的なカルマンフィルタと同様の手法でデータ同化を行うことができる。
対象の特性に応じて局所フィッティングとカーブフィッティングを使い分けることで、区間線形モデルの精度(特性の記述力)を確保することができる。
これにより、対象の特性の変化に速やかに対応することができる。
これにより、区間線形モデルの急激かつ大幅な更新を防止することができる。例えば、外乱等の影響により一時的に観測データが変動したような場合でも、その影響を一定の範囲に抑えることができる。
これにより、各節点の付近で得られる観測データの特性に応じて真意を推定し、区間線形モデルの推定精度を向上することができる。
11・・・データ取得部
12・・・入力受付部
13・・・計算部
14・・・出力部
15・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
Claims (9)
- 区分線形モデルにおける区分を規定する節点の真値をカルマンフィルタによって推定するにあたり、前記区分線形モデルの滑らかさに関するペナルティ項をカルマンゲインの算出式に追加して、カルマンゲインおよび誤差共分散行列を算出して、前記節点の真値を推定し、推定された前記節点を結んで区分線形モデルを作成する計算部、
を備える区分線形モデル作成装置。 - 前記ペナルティ項は、前記区分線形モデルの更新前と更新後の差の一階微分のノルムおよび/または二階微分のノルムを含む、
請求項1に記載の区分線形モデル作成装置。 - 前記計算部は、Pを更新後の誤差共分散行列、trをトレース、N1を前記区分線形モデルの更新前と更新後の差の一階微分のノルム、N2を前記区分線形モデルの更新前と更新後の差の二階微分のノルム、Kをカルマンゲイン、κとλを重み係数としたときに以下の式を満たすKを算出する、
∂tr(P)/∂K+κ・∂N1/∂K+λ・∂N2/∂K=0
請求項1または請求項2に記載の区分線形モデル作成装置。 - 前記計算部は、前記ペナルティ項を除外してカルマンゲインKを算出する局所フィッティングと、前記ペナルティ項を追加してカルマンゲインKを算出するカーブフィッティングと、を切り替えて実行することができる、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の区分線形モデル作成装置。 - 前記計算部は、前記カーブフィッティングの実行中に、更新前の前記節点と更新後の前記節点の差が所定の閾値を上回る場合、前記カーブフィッティングから前記局所フィッティングに切り替える、
請求項4に記載の区分線形モデル作成装置。 - 前記計算部は、更新前の前記節点と更新後の前記節点の差が所定の閾値以下となるよう、更新後の前記節点の値を上限値または下限値で上書きする、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の区分線形モデル作成装置。 - 前記計算部は、前記節点ごとに状態遷移誤差、更新速度、前記カルマンゲインへの重み付け、前記ペナルティ項への重み付けを設定して、前記節点の真値を推定する、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の区分線形モデル作成装置。 - 区分線形モデルにおける区分を規定する節点の真値をカルマンフィルタによって推定するにあたり、前記区分線形モデルの滑らかさに関するペナルティ項をカルマンゲインの算出式に追加して、カルマンゲインおよび誤差共分散行列を算出して前記節点の真値を推定し、推定された前記節点を結んで区分線形モデルを作成する、
区分線形モデル作成方法。 - コンピュータに、
区分線形モデルにおける区分を規定する節点の真値をカルマンフィルタによって推定するにあたり、前記区分線形モデルの滑らかさに関するペナルティ項をカルマンゲインの算出式に追加して、カルマンゲインおよび誤差共分散行列を算出して前記節点の真値を推定し、推定された前記節点を結んで区分線形モデルを作成する処理、
を実行させるプログラム。
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