JP7528014B2 - コンクリート材料分離抵抗性計測装置及びコンクリート構造物の施工方法 - Google Patents

コンクリート材料分離抵抗性計測装置及びコンクリート構造物の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート材料分離抵抗性計測装置及びコンクリート構造物の施工方法に関する。
フレッシュコンクリートは、用途に応じて流動性が異なる。
そして、フレッシュコンクリートのうち、流動性が相対的に低いものを用いる場合には、打設後の締固め(コンクリートバイブレータを用いた加振)が必要となる。
ところで、フレッシュコンクリートへの加振が過度になると、フレッシュコンクリートに含まれる材料が分離してしまう可能性がある。このため、フレッシュコンクリートへ加振する時間は、当該フレッシュコンクリートが有する材料分離抵抗性に応じた適切な長さとする必要がある。
そこで、従来、非特許文献1に記載されたような、フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を評価するための各種試験(コンクリートのブリーディング試験方法(JIS A 1123)、フレッシュコンクリートの洗い分析試験方法(JIS A 1112)等)が行われている。
日本規格協会,JISハンドブック第10巻,2020年,p.1220-1223,1251-1253
しかしながら、特許文献1,2に示した試験は、施工を行う前の段階(試験設備等でコンクリートの配合を決定する段階等)において行われるもので、大変手間と時間がかかるものであった。すなわち、特許文献1,2に示した試験を施工現場で行うことは現実的ではなかった。
このため、施工現場においては、材料分離抵抗性の評価及び適切な加振時間の設定を、今なお技術者の目視と経験に基づいて行っているのが実情である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性の評価を、場所を選ぶことなく、かつ短時間で行えるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
コンクリート材料分離抵抗性計測装置であって、
フレッシュコンクリートを保持する容器と、
前記容器に保持された前記フレッシュコンクリートに振動が加えられている間、前記容器に保持される前記フレッシュコンクリートの電気伝導率を継続的に計測する計測手段と、
前記フレッシュコンクリートへの加振が開始されてから、前記計測手段が計測した前記電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達するまでの時間である変化点到達時間を計時する計時手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置であって、
前記計測手段は、前記容器に保持される前記フレッシュコンクリートのうち前記容器の上部に保持される部分の電気伝導率である第一電気伝導率と、下部に保持される部分の電気伝導率である第二電気伝導率と、を継続的に計測し、
前記計時手段は、前記フレッシュコンクリートへの加振が開始されてから、前記計測手段が計測した前記第一電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達するまでの第一時間、及び前記第二電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達するまでの第二時間のうち小さい方を前記変化点到達時間とすることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置であって、
前記計時手段が計測した前記変化点到達時間に基づいて、前記フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を評価する評価手段を更に備えることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、
請求項4に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置であって、
前記評価手段は、前記変化点到達時間と所定の第二閾値とを比較することにより前記フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を評価することを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、
請求項3又は請求項4に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置であって、
前記評価手段が評価した結果を出力する出力手段を更に備えることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、
コンクリート構造物の施工方法であって、
施工現場に、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置を設置する準備工程と、
前記コンクリート材料分離抵抗性計測装置の容器に保持された評価対象のフレッシュコンクリートに振動を加える加振工程と、
前記フレッシュコンクリートに振動が加えられている間、前記容器に保持される前記フレッシュコンクリートの電気伝導率を継続的に計測する計測工程と、
前記フレッシュコンクリートへの加振が開始されてから、前記計測工程において計測した電気伝導率の変化の大きさが所定値の大きさに達するまでの時間である変化点到達時間を計時する計時工程と、
前記計時工程において計測した前記変化点到達時間に基づいて、前記フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を評価する評価工程と、
前記評価工程における評価結果に応じた作業を行う評価後工程と、を有することを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、
請求項6に記載のコンクリート構造物の施工方法であって、
前記加振工程において、コンクリートバイブレータの棒状の振動部を、前記容器内に鉛直方向に下部まで挿入して、前記フレッシュコンクリートに振動を加えることを特徴とする。
本発明によれば、フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性の評価を、場所を選ぶことなく、かつ短時間で行うことができる。
本発明の実施形態に係るコンクリート材料分離抵抗性計測装置の一部の使用途中の状態を示す縦断面図である。 図1のコンクリート材料分離抵抗性計測装置の電気的構成を示すブロック図である。 図1のコンクリート材料分離抵抗性計測装置が実行する材料分離抵抗性計測処理の流れを示すフローチャートである。 図1のコンクリート材料分離抵抗性計測装置を用いたコンクリート構造物の施工方法の一部工程を示す斜視図である。 第一,第二電気伝導率の経時変化を示すグラフである。 目視試験の結果と変化点到達時間との関係を示すグラフである。 7%変化点到達時間、円筒貫入試験の結果及び目視試験の結果の関係を示すグラフである。 各試料の配合及び各種性状を示す表である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
ただし、本発明の技術的範囲は、下記実施形態や図面に例示したものに限定されるものではない。
<1.コンクリート材料分離抵抗性計測装置>
まず、本発明の実施形態に係るコンクリート材料分離抵抗性計測装置(以下、計測装置100)について説明する。
図1は計測装置100の一部の使用途中の状態を示す縦断面図、図2は計測装置100の電気的構成を示すブロック図、図3は計測装置が実行する材料分離抵抗性計測処理の流れを示すフローチャートである。
〔1-1.構成〕
計測装置100は、図1に示すように、容器1と、電気伝導率計2と、を備える。
(容器)
容器1は、フレッシュコンクリート(以下、コンクリートC)を保持するものである。
容器1に保持させるコンクリートCは、特に限定されるものではないが、スランプフロー値が350~500mmの範囲内となる流動性を有するもの(打設後にある程度締固めが必要になるもの)が好ましい。
また、コンクリートCは、型枠内へ打設する前の打設用フレッシュコンクリートから一部を抜き取ったものである。
なお、コンクリートCは、打設用フレッシュコンクリートとは別に、打設用フレッシュコンクリートと同様の配合となるように調製されたものであってもよい。
本実施形態に係る容器1は、筒部11と、板部12と、を有している。
筒部11は、コンクリートCの電気伝導率に影響を及ぼさない材質で形成されている。
本実施形態に係る筒部11は、市販の塩化ビニル管で構成されている。
本実施形態に係る筒部11の高さは440mm程度となっている。
また、本実施形態に係る筒部11の直径は200mm程度(後述するコンクリートバイブレータ3の振動部31の太さの10倍程度)となっている。
こうすることで、軽量且つコンパクトな計測装置100を構成することができる。
筒部11の所定箇所には、上孔11aと、下孔11bと、が形成されている。
板部12は、容器1の底をなすもので、筒部11の一方(下方)の開口を閉塞している。
(電気伝導率計)
電気伝導率計2は、図2に示すように、センサ21と、演算装置22と、を備える。
本実施形態に係る電気伝導率計2は、第二センサ23を更に備える。
センサ21は、自身の周囲に存在する液体等(コンクリートC)の電気伝導率を0~10(mS/cm)の範囲で検知可能なものとなっている。
センサ21は、容器1の上部に取り付けられ、演算装置22とケーブルで接続されている。
本実施形態に係るセンサ21は、容器1の上孔11aに嵌合することにより取り付けられている。
なお、電気伝導率計2が第二センサ23を備えない場合、センサ21は、容器1の中間部や下部に取り付けられていてもよい。
第二センサ23は、容器の下部に取り付けられ、演算装置22とケーブルで接続されている。
本実施形態に係る第二センサ23は、容器1の下孔11bに嵌合することにより取り付けられている。
また、本実施形態に係る第二センサ23は、容器1の底から30mmの高さに取り付けられている。
第二センサ23は、センサ21と同様のものとなっている。
なお、第二センサ23は、センサ21と同様の範囲の電気伝導率を検知可能であるならば、センサ21と異なるものであってもよい。
演算装置22は、PC、専用の装置等で構成されている。
演算装置22は、制御部221と、記憶部222と、を有している。
また、本実施形態に係る演算装置22は、表示部223を更に有している。
各部221~223は、バス等で電気的に接続されている。
制御部221は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。
そして、CPUは、記憶部222に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、演算装置22各部の動作を集中制御するようになっている。
本実施形態に係る制御部221は、タイマ221aを有しており、所定処理の実行に要した時間を計時することが可能となっている。
記憶部222は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部222は、制御部221が実行する各種プログラム等を記憶している。
表示部223は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等で構成されている。
そして、表示部223は、制御部221から受信した信号に応じた画面を表示するようになっている。
〔1-2.電気伝導率計の動作〕
このように構成された演算装置22の制御部221は、以下のような機能を有する。
例えば、制御部221は、所定条件が成立したことを契機として、例えば図3に示すような材料分離抵抗性計測処理を実行する。
所定条件には、例えば、計測装置100に所定操作(例えば電源オン)がなされたこと、容器1にコンクリートCが収容されたこと、容器に収容されたコンクリートCへの加振が開始されたこと等が含まれる。
この材料分離抵抗性計測処理において、制御部221は、計測処理(ステップS1)と、計時処理(ステップS2)と、を実行する。
また、本実施形態に係る評価処理において、制御部221は、評価処理(ステップS3)と、出力処理(ステップS4)と、を更に実行する。
(計測処理)
初めの計測処理(ステップS1)において、制御部221は、容器1に保持されたコンクリートCに振動が加えられている間、容器1に保持されるコンクリートCの電気伝導率を継続的に(繰り返し)計測する。
本実施形態に係る計測処理において、制御部221は、第一電気伝導率と、第二電気伝導率と、をそれぞれ継続的に計測する。
第一電気伝導率は、容器1に保持されるコンクリートCのうち容器1の上部に保持される部分の電気伝導率であり、センサ21によって検知される。
また、第二電気伝導率は、容器1に保持されるコンクリートCのうち容器1の下部に保持される部分の電気伝導率であり、第二センサ23によって検知される。
コンクリートCの配合によっては、加振に伴い、電気伝導率を含むコンクリートCの物性が上部と下部とで大きく異なってくる場合があるが、こうすることで、材料分離抵抗性の評価をより正確に行うことができるようになる。
この計測処理において、制御部221は、具体的には、加振開始から所定時間(例えば2秒)経過後までの各センサ21,23の出力の平均値を初期値としてそれぞれ算出する。
以降、制御部221は、所定時間が経過する度に、各センサ21,23の出力を取得する。
そして、制御部221は、各センサ21,23の出力を取得する度に、取得した各センサ21,23の出力の、算出した初期値に対する変化の大きさを算出する。
具体的には、制御部221は、初期値に対する出力の割合を変化率として算出する
本実施形態に係る制御部221は、以上説明してきた計測処理を実行することにより計測手段をなす。
(計時処理)
電気伝導率の計測を終えた後、又は電気伝導率の計測と並行して、制御部221は、計時処理を実行する(ステップS2)。
この計時処理において、制御部221は、変化点到達時間を計時する。
変化点到達時間は、コンクリートCへの加振が開始されてから、計測した電気伝導率の変化率が所定の閾値に達するまでの時間である。
具体的には、制御部221は、計測処理を開始してから、電気伝導率の変化率が所定の閾値に達するまでの間のタイマ221aのカウント値の増加量を変化点到達時間として取得する。
なお、この所定の閾値の具体的な値については後述する。
上述したように、上記計測処理で制御部221は、第一電気伝導率と第二電気伝導率の二種類の電気伝導率を計測する。このため、本実施形態に係る計時処理において、制御部221は、コンクリートCへの加振が開始されてから、計測した第一電気伝導率の変化率が所定の閾値に達するまでの第一時間、及び第二電気伝導率の変化の変化率が所定の閾値に達するまでの第二時間のうち小さい方を変化点到達時間とする。
なお、計時処理において、制御部221は、第一時間及び第二時間を両方とも最後まで計時するのではなく、第一電気伝導率の変化率及び第二電気伝導率の変化率のうちの一方が先に所定の閾値に達した(変化点到達時間が定まった)時点で他方の経時は停止するようになっていてもよい。
本実施形態に係る制御部221は、以上説明してきた計測処理を実行することにより計時手段及び計時手段をなす。
(評価処理)
変化点到達時間を計時した後、制御部221は、評価処理を実行する(ステップS3)。
この評価処理において、制御部221は、計測した変化点到達時間に基づいて、コンクリートCの材料分離抵抗性を評価する。
本実施形態に係る評価処理において、制御部221は、変化点到達時間と所定の第二閾値とを比較することによりコンクリートCの材料分離抵抗性を評価する。
具体的には、制御部221は、変化点到達時間が第二閾値未満であった場合にコンクリートCは施工に適していないと評価し、第二閾値以上であった場合にコンクリートCは施工に適していると評価する。
なお、この評価処理において、制御部221は、第二閾値の他、第三閾値及び第四閾値を用いて、コンクリートCの材料分離抵抗性を4段階で評価するようになっていてもよい。
具体的には、制御部221は、変化点到達時間が第二閾値以下である場合に×、第二閾値超~第三閾値以下である場合に△、第三閾値超~第四閾値以下である場合に〇、第四閾値超である場合に◎と評価するようになっていてもよい。
従来、フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性は、見た目の状態に応じた4段階で評価されてきた。
具体的には、施工には適さないものを×、下記問題点(1)~(3)のうち1つ又は2つの問題点が過度に見られるものを△、下記問題点(1)~(3)のうち1つの問題点が軽度に見られるものを〇、下記問題点(1)~(3)が見られないものを◎と評価してきた。
(1)コンクリート試料外周に自由水が確認される
(2)試料が崩れ落ちる又は試料の粘性が大きい
(3)試料に粗骨材がくっきりと浮き出ている
このため、評価処理において、3つの閾値(第二~第四閾値)を用いて4段階評価をおこなうようにすれば、従来人が行ってきた評価と同様の評価を計測装置100が自動で行うことができる。
なお、この第二~第四閾値の具体的な値については後述する。
本実施形態に係る制御部221は、以上説明してきた評価処理を実行することにより評価手段をなす。
(出力処理)
材料分離抵抗性を評価した後、制御部221は、出力手段を実行する(ステップS4)。
この出力処理において、制御部221は、評価した結果を出力する。
本実施形態に係る出力処理において、制御部221は、評価した結果を表示部223に表示させる。
なお、制御部221は、評価した結果ではなく、変化点到達時間(値)を出力するようになっていてもよい。
また、制御部221は、評価した結果と変化点到達時間を両方とも出力するようになっていてもよい。
また、制御部221は、評価した結果等を、演算装置22とは異なる装置(携帯端末、プリンタ等)に出力するようになっていてもよい。
本実施形態に係る制御部221は、以上説明してきた出力処理を実行することにより出力手段をなす。
〔1-3.その他〕
なお、以上説明してきた計測装置100は、専用の加振手段(コンクリートバイブレータ等)を備えていてもよい。
また、計測装置100は、センサ21,23とは別に、容器1の中間部に第三センサを備えていてもよい。
<2.コンクリート構造物の施工方法>
次に、本発明の実施形態に係るコンクリート構造物の施工方法について説明する。
図4は、上記計測装置100を用いたコンクリート構造物の施工方法の一部工程を示す斜視図である。
この施工方法は、準備工程と、加振工程と、計測工程と、計時工程と、評価工程と、評価後工程と、を有する。
〔2-1.準備工程〕
初めの準備工程では、まず、使用器具を準備する。
本実施形態に係る準備工程では、例えば図4(a)に示すように、施工現場に、上記計測装置100を設置する。
そして、計測装置100の容器1に、評価対象のコンクリートCを所定量流し込む。
本実施形態に係る準備工程では、コンクリートCの表面の容器1の底からの高さが400mm程度となるまで流し込む。
また、この準備工程では、コンクリートCに振動を加えるための加振手段を用意する。
本実施形態に係る準備工程では、加振手段として、棒状の振動部31を有するコンクリートバイブレータ3を用意する。
振動部31の太さは、容器1の直径の10分の1程度(上記計測装置100の場合、23mm程度)とすることが好ましい。
また、振動部31の振動数は、235~285Hzの範囲内であることが好ましい。
コンクリートバイブレータ3は、施工にも用いられる併用のものであってもよいし、計測装置100専用のものであってもよい。
〔2-2.加振工程〕
容器1に評価対象のコンクリートCを収容した後は、加振工程に移る。
加振工程では、容器に収容された評価対象のコンクリートCに振動を加える。
本実施形態に係る加振工程では、図4(b)に示すように、コンクリートバイブレータ3の振動部31を、容器1内に鉛直方向に下部まで挿入して、コンクリートCに振動を加える。
こうすることで、コンクリートC全体に対し満遍なく振動を加えることができる。
〔2-3.計測工程〕
また、コンクリートCへの加振開始と同時に、計測工程に移る。
この計測工程では、コンクリートCに振動が加えられている間、容器1に保持されるコンクリートCの電気伝導率を継続的に計測する。
本実施形態に係る計測工程では、計測装置100の演算装置22が上記計測処理を実行することにより計測を行う。
〔2-4.計時工程〕
電気伝導率の計測を終えた後、又は電気伝導率の計測と並行して、計時工程に移る。
計時工程では、コンクリートCへの加振が開始されてから、計測工程において計測した電気伝導率の変化率が所定値の閾値に達するまでの時間である変化点到達時間を計時する。
本実施形態に係る評価工程では、計測装置100の演算装置22が上記計時処理を実行することにより計時を行う。
なお、この計時工程では、計測装置100とは異なる計時手段(例えばストップウォッチ等)を用い、人が表示部に表示された変化点到達時間の変化を見ながら計時を行ってもよい。この場合、計時機能を有していない(上記計時処理を実行しない)計測装置100を用いてもよい。
〔2-5.評価工程〕
変化点到達時間を計時した後は、評価工程へ移る。
この評価工程では、計時工程において計測した変化点到達時間に基づいて、コンクリートCの材料分離抵抗性を評価する。
本実施形態に係る評価工程では、計測装置100の演算装置22が上記評価処理及び出力処理を実行することにより評価を行う。
なお、この評価工程では、計測装置100に表示された変化点到達時間に基づいて、人が材料分離抵抗性を評価してもよい。その場合、評価機能を有していない(上記評価処理を実行しない)計測装置100を用いてもよい。
〔2-6.評価後工程〕
コンクリートCの材料分離抵抗性を評価した後は、評価後工程に移る。
この評価後工程では、上記評価工程における評価結果に応じた作業を行う。
具体的には、上記評価工程において、評価対象のコンクリートCを◎,〇,△と評価した(例えば図4(c)に示すように、演算装置22の表示部223に◎等の評価結果Rが表示された)場合には、コンクリートCと同様の配合である打設用のフレッシュコンクリートを型枠内に打設し、締め固める。
一方、上記評価工程において、評価対象のコンクリートCを×と評価した(演算装置22の表示部223に×の評価結果が表示された)場合には、コンクリートCと同様の配合である打設用フレッシュコンクリートに対し、打設する前に必要な調整を加えて、又は打設用フレッシュコンクリートを一から作り直して、型枠内に打設する。
<3.閾値の設定根拠>
次に、上記計測装置100に設定された(上記計測方法で用いられた)閾値,第二~第四閾値について説明する。
図5は第一,第二電気伝導率の経時変化を示すグラフ、図6は目視試験の結果と変化点到達時間との関係を示すグラフ、図7は7%変化点到達時間、円筒貫入試験の結果及び目視試験の結果の関係を示すグラフ、図8は各試料の配合及び各種性状を示す表である。
発明者は、上記所定の閾値の決定に際し、様々な配合のフレッシュコンクリートの試料(23種類)を製造した。
そして、試料を計測装置100の容器1に保持させ、コンクリートバイブレータ3で試料を加振しながら、各試料の第一電気伝導率及び第二電気伝導率をそれぞれ60秒間測定する試験を、各試料についてそれぞれ行った。
その結果、理想的な配合の試料は、図5(a)に示すように、第一,第二電気伝導率の変化が小さい状態が長時間(30秒超)継続するのに対し、空気量が相対的に多い試料は、図5(b)に示すように、第一電気伝導率が早い段階(20秒過ぎ)から急激に上昇することが分かった。
また、空気量が相対的に少ない試料は、図5(c)に示すように、第一,第二電気伝導率が早い段階(20秒過ぎ)から共に低下することが分かった。
また、水分量が相対的に多い試料は、図5(d)に示すように、第二電気伝導率が早い段階(10秒過ぎ)から急激に低下することが分かった。
また、第一,第二電気伝導率を測定したときに、第一電気伝導率又は第二電気伝導率の変化の大きさが初期値の±3%,±5%,±7%,±10%に達するまでの時間(3%変化点到達時間、5%変化点到達時間、7%変化点到達時間、10%変化点到達時間)をそれぞれ測定した。
また、従来の目視試験(×,△,〇,◎の4段階評価)を、各試料についてそれぞれ行った。
そして、目視試験の結果を横軸、電気伝導率の変化の大きさが初期値の±3%,±5%,±7%,±10%に達するまでの時間を縦軸とする平面上に、各試料のうち目視試験の結果が×,△,〇,◎になったものを一つずつ選び出して、それらの3~10%変化点到達時間をプロットした。
その結果、図6に示すように、7%変化点到達時間が、目視試験の結果と最も良好な相関性を示した。
また、従来の円筒貫入試験を、各試料についてそれぞれ行った。
そして、各試料の3~10%変化点到達時間を横軸、円筒貫入試験の結果を縦軸とする平面上に、各試料の目視試験の結果をプロットした。
その結果、図7に示すように、7%変化点到達時間を横軸としたグラフは、目視試験の結果が相対的に良好(◎,〇,△)であった試料が、分解限界とされている30mm以下の範囲にほぼ収まり、適切とされている20mmの近傍に集まった。
以上の結果により、上記実施形態の条件(コンクリートCのスランプフロー値が350~500mmの範囲内、コンクリートバイブレータ3の振動部31の太さが23mm程度)の場合、計時処理(計時工程)における所定の閾値は、初期値の±7%程度とすることが望ましいとの判断に至った。
なお、コンクリートCの電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達するまでの時間は、コンクリートCの流動性や、加振の際にコンクリートCに加えられるエネルギーの大きさ(振動部31の太さ等)等によっても変化する。
具体的には、コンクリートCの流動性が上記実施形態のものよりも大きい場合、変化点到達時間は上記実施形態よりも短くなる。
また、コンクリートCに加えられるエネルギーが上記実施形態の計測方法よりも大きい場合も、変化点到達時間は上記実施形態よりも短くなる。
一方、コンクリートCの流動性が上記実施形態のものよりも小さい場合、変化点到達時間は上記実施形態よりも長くなる。
また、コンクリートCに加えられるエネルギーが上記実施形態の計測方法よりも小さい場合も変化点到達時間は上記実施形態よりも長くなる。
このため、変化点到達時間が長くなる条件が上記実施形態よりも多く含まれるコンクリートCを評価対象とする場合には、計時処理(計時工程)における所定の閾値を、初期値の±7%よりも大きく(ただし、±20%程度が上限)し、変化点到達時間が短くなる条件が上記実施形態よりも多く含まれるコンクリートCを評価対象とする場合には、初期値の±7%よりも小さく(ただし、±3%程度が下限)すればよい。
なお、上記計測装置100において、コンクリートの種類(例えば、普通ポルトランドセメント、特殊セメント等)、コンクリートCの流動性、及び振動部31の太さの少なくともいずれかの条件に応じた複数の所定の閾値を記憶部222に記憶しておき、評価を行う際の条件に応じて所定の閾値を使い分けることが可能としてもよい。
また、上記目視試験の結果、円筒貫入試験の結果、7%変化点到達時間等を、図8に示すような一覧にし、目視試験の結果と7%変化点到達時間の関連を調べた。
その結果、目視試験の結果が×になった試料は、7%変化点到達時間が概ね13秒以下となった。
また、△になった試料は、7%変化点到達時間が概ね12~21秒の範囲内に収まった。
また、〇になった試料は、7%変化点到達時間が概ね14~23秒の範囲内に収まった。
また、◎になった試料は、7%変化点到達時間が概ね23秒以上となった。
以上の結果により、上記実施形態の条件(コンクリートCのスランプフロー値が350~500mmの範囲内、コンクリートバイブレータ3の振動部31の太さが23mm程度)の場合、評価処理(評価工程)における第二閾値は13秒程度(13秒未満を×)、第三閾値は18(13秒以上18秒未満を△)、第四閾値は25秒程度(18秒以上25秒未満を○、25秒以上を◎)とすることが望ましい。
なお、所定の閾値を上記実施形態よりも大きくする場合には、第二~四閾値を、13,18,25よりもそれぞれ大きくし、所定の閾値を上記実施形態よりも小さくする場合には、13,18,25よりもそれぞれ小さくするのが望ましい。
<4.効果>
以上説明してきた計測装置100は、容器1と、容器1に収容されたコンクリートCに振動が加えられている間、上部に位置するコンクリートCの第一電気伝導率と、下部に位置するコンクリートCの第二電気伝導率と、の差を継続的に計測、コンクリートCへの加振が開始されてから、前記第一電気伝導率と前記第二電気伝導率との差が所定値に達するまでの変化点到達時間を計時する制御部221(計測手段、計時手段)を備える。
また、以上説明してきた施工方法は、容器に収容された評価対象のコンクリートCに振動を加える加振工程と、コンクリートCに振動が加えられている間、第一電気伝導率と、第二電気伝導率と、の差を継続的に計測する計測工程と、変化点到達時間を計時する計時工程と、計測した変化点到達時間に基づいて、コンクリートCの材料分離抵抗性を評価する評価工程と、を有する。
計測装置100は、簡易な構成をしており、任意の場所(例えば施工現場等)へ容易に持ち運ぶことが可能である。
また、計測装置100は、コンクリートCの電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達すると、評価の基準となる変化点到達時間を直ちに算出する。
このため、計測装置100によれば、コンクリートCの材料分離抵抗性の評価を、場所を選ぶことなく、かつ短時間で行うことができる。
100 コンクリート材料分離抵抗性計測装置
1 容器
11 筒部
11a 上孔
11b 下孔
12 板部
2 電気伝導率計
21 センサ
22 演算装置
221 制御部
221a タイマ
222 記憶部
223 表示部
23 第二センサ
3 コンクリートバイブレータ
31 振動部
C フレッシュコンクリート
R 評価結果

Claims (7)

  1. フレッシュコンクリートを保持する容器と、
    前記容器に保持された前記フレッシュコンクリートに振動が加えられている間、前記容器に保持される前記フレッシュコンクリートの電気伝導率を継続的に計測する計測手段と、
    前記フレッシュコンクリートへの加振が開始されてから、前記計測手段が計測した前記電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達するまでの時間である変化点到達時間を計時する計時手段と、を備えることを特徴とするコンクリート材料分離抵抗性計測装置。
  2. 前記計測手段は、前記容器に保持される前記フレッシュコンクリートのうち前記容器の上部に保持される部分の前記電気伝導率である第一電気伝導率と、下部に保持される部分の前記電気伝導率である第二電気伝導率と、をそれぞれ継続的に計測し、
    前記計時手段は、前記フレッシュコンクリートへの加振が開始されてから、前記計測手段が計測した前記第一電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達するまでの第一時間、及び前記第二電気伝導率の変化の大きさが所定の閾値に達するまでの第二時間のうち小さい方を前記変化点到達時間とすることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置。
  3. 前記計時手段が計測した前記変化点到達時間に基づいて、前記フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を評価する評価手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置。
  4. 前記評価手段は、前記変化点到達時間と所定の第二閾値とを比較することにより前記フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を評価することを特徴とする請求項3に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置。
  5. 前記評価手段が評価した結果を出力する出力手段を更に備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置。
  6. 施工現場に、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンクリート材料分離抵抗性計測装置を設置する準備工程と、
    前記コンクリート材料分離抵抗性計測装置の容器に保持された評価対象のフレッシュコンクリートに振動を加える加振工程と、
    前記フレッシュコンクリートに振動が加えられている間、前記容器に保持される前記フレッシュコンクリートの電気伝導率を継続的に計測する計測工程と、
    前記フレッシュコンクリートへの加振が開始されてから、前記計測工程において計測した前記電気伝導率の変化の大きさが所定値の大きさに達するまでの時間である変化点到達時間を計時する計時工程と、
    前記計時工程において計測した前記変化点到達時間に基づいて、前記フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を評価する評価工程と、
    前記評価工程における評価結果に応じた作業を行う評価後工程と、を有することを特徴とするコンクリート構造物の施工方法。
  7. 前記加振工程において、コンクリートバイブレータの棒状の振動部を、前記容器内に鉛直方向に下部まで挿入して、前記フレッシュコンクリートに振動を加えることを特徴とする請求項6に記載のコンクリート構造物の施工方法。
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