以下に、実施の形態に係る三次元造形装置及び三次元物体の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、実施の形態1に係る三次元造形装置の構成の概要と、当該三次元造形装置によって得られる効果とを説明する。当該三次元造形装置は、粉末材料に電子ビームを照射して粉末材料を溶融させて三次元の物体を造形する。当該三次元造形装置は、電子ビームを出射する電子ビーム出射部を有する。電子ビーム出射部は、電子ビームを出射して物体を造形するために粉末材料を溶融させる。電子ビーム出射部は、粉末材料を溶融させる前に粉末材料に電子ビームを照射して粉末材料を予熱する。
電子ビーム出射部は、予熱のために電子ビームを粉末材料に照射する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる経路で粉末材料に電子ビームを照射する。以下では、上記の経路は「一筆書き照射経路」と記載される。電子ビーム出射部が一筆書き照射経路で粉末材料に電子ビームを照射することにより、粉末材料は均一に予熱される。
一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔を電子ビームの強度分布の半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)で除した値は、0.5以上2.5以下である。すなわち、上記の隣り合う二つの点の間隔が「d」で表現される場合、dとFWHMとの関係は、0.5≦d/FWHM≦2.5である。間隔dは、必ずしも等間隔である必要はない。
上述の通り、実施の形態1に係る三次元造形装置は、予熱のために電子ビームを粉末材料に照射する場合、一筆書き照射経路で粉末材料に電子ビームを照射する。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔dは、0.5≦d/FWHM≦2.5の関係になるように設定されている。そのため、当該三次元造形装置は、予熱を行う場合、電子ビームが照射される位置が急激に変化することを抑制することができる。加えて、当該三次元造形装置は、電子ビームが実際に照射される位置が指令位置からずれることを抑制することができる。つまり、当該三次元造形装置によれば、電子ビームが実際に照射される位置の移動についての応答遅れが生じにくくなる。さらに、当該三次元造形装置は、粉末材料への電荷の過剰な供給又は粉末材料の温度ムラによってスモークが発生することを防止することができる。したがって、実施の形態1に係る三次元造形装置は、粉末材料を均一に予熱することができる。
図1は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成を示す図である。図1は、三次元造形装置1の断面を模式的に示している。説明の便宜上、図1に示されている三次元造形装置1が有するすべての構成要素にはハッチングが行われていない。三次元造形装置1は、電子ビームAが照射される領域Bに敷き均された粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを予熱した後に、粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを溶融させ、溶融した粉末材料Cを凝固させて三次元の物体Eを造形する。例えば、領域Bは平面に位置する。
粉末材料Cは、多数の粉末により構成される。例えば、粉末は金属製の粉末である。粉末の大きさは、電子ビームAの照射により粉末材料Cが溶融及び凝固することができるものであれば限定されない。
三次元造形装置1は、粉末材料Cが収められて三次元の物体Eが造形される造形部2と、造形部2に収められた粉末材料Cに対して電子ビームAを出射する電子ビーム出射部3と、造形部2及び電子ビーム出射部3を制御する制御部4とを有する。
造形部2は、チャンバ21を有する。例えば、チャンバ21の内部は真空又は実質的に真空である。造形部2は、チャンバ21の内部に配置されていて粉末材料Cが収められるホッパ22を更に有する。ホッパ22には、収められた粉末材料Cを排出するための排出口22aが形成されている。実施の形態1では、排出口22aはホッパ22の下部に位置する。造形部2は、チャンバ21の内部に配置されていて造形される物体Eを支持するプレート23を更に有する。ホッパ22の排出口22aから排出される粉末材料Cは、プレート23の上に供給される。物体Eは、プレート23の上で造形される。
例えば、プレート23の形状は矩形状又は円状である。プレート23は、電子ビーム出射部3から出射される電子ビームAの進行方向の電子ビーム出射部3より前に配置されている。例えば、プレート23は、鉛直方向と直交する平面に位置している。実施の形態1では、プレート23が鉛直方向と直交する平面に位置していることを想定する。
造形部2は、チャンバ21の内部に配置されていてプレート23を支持する昇降ステージ24と、チャンバ21の内部に配置されていてプレート23を鉛直方向において昇降させるための昇降機25とを更に有する。プレート23は、昇降ステージ24と共に昇降する。図1における矢印Fは、プレート23が昇降ステージ24と共に昇降することを示している。昇降機25は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4から出力される制御信号をもとに動作する。例えば、昇降機25は、物体Eの造形の初期において、プレート23を相対的に上方に位置させる。昇降機25は、プレート23の上において粉末材料Cが溶融した後に凝固する毎にプレート23を降下させる。昇降機25がプレート23を昇降することができれば、昇降機25の構造は限定されない。
造形部2は、チャンバ21の内部に配置されていてプレート23が配置される造形タンク26を更に有する。粉末材料Cは、造形タンク26に供給される。例えば、造形タンク26の形状は角筒状である。造形タンク26の形状が角筒状である場合、造形タンク26の軸は、プレート23の移動方向と平行である。造形タンク26の断面の形状は、プレート23と相似である。昇降ステージ24の形状は、造形タンク26の内側の形状に対応している。つまり、造形タンク26の水平方向における断面の形状が矩形である場合、昇降ステージ24の形状は矩形である。これにより、造形タンク26に供給される粉末材料Cは、昇降ステージ24の下方へ漏れ落ちにくくなる。粉末材料Cが昇降ステージ24の下方へ漏れ落ちることを抑制するために、シール材が昇降ステージ24の外縁部に設けられてもよい。なお、造形タンク26の水平方向における断面の形状は、矩形に限定されない。造形タンク26の形状は、水平方向における断面の形状が円形である円筒状であってもよい。
造形部2は、チャンバ21の内部に配置されていてプレート23の上に供給される粉末材料Cを均すスキージ27を更に有する。例えば、スキージ27は、棒状又は板状の部材である。スキージ27は水平方向に移動することにより、プレート23の上に供給される粉末材料Cを均す。図1において、矢印Gは、スキージ27が水平方向に移動することを示している。これまでの説明ではホッパ22の排出口22aから排出される粉末材料Cはプレート23の上に供給されるが、ホッパ22の排出口22aから排出される粉末材料Cはスキージ27によってプレート23の上に供給されてもよい。スキージ27は、図示されていないアクチュエータ及び機構により移動させられる。なお、プレート23の上に供給される粉末材料Cは、スキージ27以外の手段によって均されてもよい。プレート23の上に粉末材料Cを供給する手段は、ホッパ22及びスキージ27以外の手段であってもよい。
造形部2は、チャンバ21の内部に配置されていて、加熱によって高温に保たれる領域Bの表面からの輻射熱を受けて高温となる輻射シールド28を有する。輻射シールド28は、高温になることによって輻射熱を領域Bに返す機能を有する。これは、領域Bの表面を効率的に高温に保つ(保温する)ために有効である。また、輻射シールド28は、電子ビームAの走査を妨げないような形状となっている。輻射シールド28は、通常は板状の部材で構成されている。また、複数枚の板状の部材を、互いに空間を設けながら重ねるように配置することによって、より一層の保温効果を得ることができる。
上述の通り、電子ビーム出射部3は、造形部2に収められた粉末材料Cに対して電子ビームAを出射する。具体的には、電子ビーム出射部3は、電子ビームAが照射される領域Bに敷き均された粉末材料Cに電子ビームAを照射する。粉末材料Cは、電子ビームAが照射されることにより、加熱される。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを溶融させる前に、粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを予熱する。
電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。例えば、上記の複数の点は、領域Bの1/2以上の範囲に配置されている。上記の複数の点は、領域Bの3/4以上の範囲に配置されていてもよいし、領域Bの4/5以上の範囲に配置されていてもよい。これにより、電子ビームAが照射される位置が急激に変化することが抑制される。例えば、電子ビーム出射部3は、一筆書き照射経路に含まれる複数の点にのみ電子ビームAを照射する。
上述の通り、一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔を電子ビームの強度分布の半値幅で除した値は、0.5以上2.5以下である。すなわち、上記の隣り合う二つの点の間隔が「d」で表現される場合、dと半値幅FWHMとの関係は、0.5≦d/FWHM≦2.5である。これにより、粉末材料Cへの電荷の過剰な供給又は粉末材料Cの温度ムラによってスモークが発生することが抑制される。したがって、三次元造形装置1は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制して粉末材料Cを適切に予熱することができる。
電子ビーム出射部3は、コラム31と、コラム31の内部に配置されていて電子ビームAを出射する電子銃部32を有する。電子銃部32は、制御部4と電気的に接続されている。電子銃部32は、制御部4から出力される制御信号をもとに動作する。実施の形態1では、電子銃部32は、鉛直下方に向けて電子ビームAを出射する。電子ビーム出射部3は、コラム31の内部に配置されていて電子銃部32が出射する電子ビームAを収束させる収束コイル33を更に有する。収束コイル33は、制御部4と電気的に接続されている。収束コイル33は、制御部4から出力される制御信号をもとに動作する。
電子ビーム出射部3は、コラム31の内部に配置されていて電子銃部32が出射する電子ビームAが照射される位置を調整する偏向コイル34を更に有する。偏向コイル34は、制御部4と電気的に接続されている。偏向コイル34は、制御部4から出力される制御信号をもとに動作する。偏向コイル34は、電子ビームAが照射される位置を電磁的に変更する。偏向コイル34は、電子ビームAが照射される位置が機械的に変更される場合と比べて、電子ビームAの照射時における走査速度を高速にすることができる。
上述の通り、制御部4は、造形部2及び電子ビーム出射部3を制御する。例えば、制御部4は、プレート23の昇降、スキージ27の動作、電子ビームAの出射及び偏向コイル34の動作を制御する。
制御部4は、プレート23の昇降を制御する場合、昇降機25に制御信号を出力する。昇降機25は、制御部4から出力される制御信号をもとに動作してプレート23の鉛直方向における位置を調整する。制御部4は、スキージ27の動作を制御する場合、電子ビームAが出射される前にスキージ27を動作させる。スキージ27は、制御部4による制御によってプレート23の上の粉末材料Cを均す。
制御部4は、電子ビームAの出射を制御する場合、電子銃部32に制御信号を出力する。電子銃部32は、制御部4から出力される制御信号をもとに電子ビームAを出射する。
制御部4は、偏向コイル34の動作を制御する場合、偏向コイル34に制御信号を出力する。電子ビームAが照射される位置は、制御部4から出力される制御信号をもとに制御される。例えば、制御部4には、造形すべき物体Eの三次元CAD(Computer-Aided Design)データが入力される。制御部4は、入力された三次元CADデータをもとに、二次元のスライスデータを生成する。スライスデータは、例えば、造形すべき物体Eの断面のデータである。当該断面は、水平面と平行である。スライスデータは、鉛直方向における複数の位置の各々に対応する多数の断面のデータの集合体である。制御部4は、スライスデータをもとに、電子ビームAが照射される領域Bを決定する。制御部4は、決定された領域Bをもとに偏向コイル34に制御信号を出力する。
制御部4は、粉末材料Cを予熱するための制御を行う。予熱は、粉末材料Cが溶融する前に、粉末材料Cを加熱して、粉末材料Cの温度を粉末材料Cの融点未満の温度に上昇させる処理である。予熱により、電子ビームAの照射による粉末材料Cへの負電荷の蓄積が抑制される。その結果、三次元造形装置1は、粉末材料Cを溶融させるために電子ビームAを粉末材料Cに照射する際に粉末材料Cが舞い上がるスモーク現象の発生を抑制することができる。
制御部4は、粉末材料Cを予熱するための制御を行う場合、電子ビーム出射部3に対して、プレート23の上の粉末材料Cに電子ビームAを照射させる制御を行う。これにより、粉末材料C及びプレート23が加熱される。予熱のための電子ビームAの照射は、適切に行われなければならない。なぜなら、予熱において、粉末材料C又はプレート23に入熱ムラが存在すると、物体Eを適切に造形することができないおそれがあるからである。つまり、物体Eを造形するための電子ビームAが照射される領域Bは、できるだけ均一に予熱されなければならない。
図2は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第1図である。図3は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第2図である。図2及び図3は、プレート23が矩形状である場合の電子ビームAが照射される矩形状の領域Bを示している。電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、領域Bに電子ビームAを照射する。
電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、領域Bにおいて格子状に均等な間隔で配された複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。図2及び図3では、複数の点の各々は黒い丸で示されている。格子は、K行×L列で構成される。図2及び図3では、K及びLは奇数である。K及びLの一方又は双方は、偶数であってもよい。
図2及び図3の複数の点を結ぶ直線及び矢印は、一筆書き照射経路の例を示している。例えば、一筆書き照射経路は、図2に示されるように、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,2n-1として、ある物が、第1の方向に沿って領域Bのなかの最も左の列の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ右の列へ移動し、再び第1の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,2n-1に至る経路である。終点Pf,2n-1は、領域Bの第2の角部の点である。
例えば、一筆書き照射経路は、図3に示されるように、領域Bの第2の角部の点を始点Ps,2nとして、ある物が、第1の方向に沿って領域Bのなかの最も右の列の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ左の列へ移動し、再び第1の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,2nに至る経路である。図3の始点Ps,2nは図2の終点Pf,2n-1であり、図3の終点Pf,2nは図2の始点Ps,2n-1である。
実施の形態1では、電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、粉末材料Cに電子ビームAを2n回照射する。以下では、nは1以上の整数である。電子ビーム出射部3は、(2n-1)回目に電子ビームAを照射する場合、図2で示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。電子ビーム出射部3は、2n回目に電子ビームAを照射する場合、図3で示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。(2n-1)は奇数であり、2nは偶数である。
実施の形態1に係る三次元造形装置1は、粉末材料Cを予熱する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる経路である一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔dは、0.5≦d/FWHM≦2.5の関係になるように設定されている。これにより、電子ビームAが照射される位置が急激に変化することが抑制される。その結果、電子ビームAが照射される位置の移動について応答遅れが生じにくくなる。したがって、三次元造形装置1は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制し、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
なお、図2及び図3では、プレート23の形状が矩形状であるので、領域Bの形状は矩形状である。プレート23の形状は、円形状であってもよい。その場合においても、複数の点は、領域Bの1/2以上の範囲において、図2及び図3と同様に格子状に配置される。
図4は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路の例を示す図である。図4の経路は、2行×7列で構成される点51から点64までの14個の点を含む一筆書き照射経路である。点51から点64までの14個の点の各々の隣の点との距離は、等しい。図5は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路における電子ビームAの移動距離と時間との関係の例を示すグラフである。図5は、図4に示される経路における電子ビームAの移動距離と時間との関係の例を示している。電子ビームAが間隔dで配置された隣り合う二つの点を刻み時間Δtで移動することを想定する。電子ビーム出射部3は、偏向コイル34が動作することによって、電子ビームAが照射される位置を順に移動させる。
図5では、電子ビームAが照射される位置が移動する期間は破線で示されており、電子ビームAが照射されている期間は実線で示されている。点51から点64までの14個の点のうちのひとつの点から隣の点に電子ビームAが照射される位置が移動する期間には、電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを加熱するエネルギの電子ビームAを出射しない。
上述の通り、点51から点64までの14個の点の各々の隣の点との距離は等しい。つまり、電子ビームAが照射される隣り合う二つの点の距離は一定である。電子ビーム出射部3は、同じエネルギの電子ビームAを点51から点64までの14個の点の各々に照射する。これにより、三次元造形装置1は粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制して粉末材料Cを適切に予熱することができる。
上述の通り、電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔を電子ビームの強度分布の半値幅FWHMで除した値は、0.5以上2.5以下である。すなわち、隣り合う二つの点の間隔が「d」で表現される場合、dとFWHMとの関係は、0.5≦d/FWHM≦2.5である。実施の形態1においては、一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔は等しいが、当該間隔は必ずしも等間隔である必要はない。
以下に、上記の間隔dの適正な範囲について説明する。上述の通り、三次元造形装置1は、粉末材料Cを予熱する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。粉末材料Cが電子ビームAに照射されると、粉末材料Cは帯電する。電荷は、時間の経過と共に徐々に周囲に移動するため除電が進む。しかしながら、粉末材料Cが電子ビームAに局所的に照射されると、累積した帯電量が閾値を超え、クーロン斥力によって粉末材料Cは飛散する。すなわち、スモーク現象が発生する。当該閾値は、粉末材料Cの飛散が発生する直前の帯電量である。粉末材料Cが飛散すると、物体Eを適切に造形することができない。
予熱が行われる場合、粉末材料Cに、粉末材料Cを飛散させることがない電子ビームAが照射されれば、スモーク現象が発生することは抑制される。一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の距離が短すぎると、電荷が粉末材料Cに累積し、スモーク現象が発生しやすい。上記の隣り合う二つの点の距離が長すぎると、粉末材料Cの表面の温度ムラが大きくなり、温度が上がりにくい箇所でスモーク現象が発生しやすい。これらの現象は、電子ビームAの強度分布に比較的強く依存する。以下に、電子ビームAの強度分布を踏まえた上で、適切なd/FWHMを説明する。
一般的に、単独の電子ビームの空間的な強度分布は近似的にガウス分布であるとみなすことができる。隣り合う二つの点の間隔dを、電子ビームの強度分布における半値幅FWHMで除した値は、d/FWHMである。図6は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合に連続する10点に電子ビームAを照射したときの照射強度分布と位置との関係を模式的に示す第1図である。図6は、d/FWHM=0.5の場合の照射強度分布と位置との関係を示している。
d/FWHM=0.5の場合、複数の電子ビームAが空間的に比較的近い位置に照射されることになるので、複数の電子ビームAが強め合い、累積した照射強度分布は矩形状かつ最大強度が比較的大きな強度分布となる。累積した照射強度分布における頂部の強度Q1は、単独の電子ビームAの照射強度における頂部の強度Q2に比べて大きい。d/FWHMが0.5より小さい場合、粉末材料Cの単位面積当たりに投入される電荷量が大きくなるため、スモーク現象が発生しやすくなり不適切である。
図7は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合に連続する10点に電子ビームAを照射したときの照射強度分布と位置との関係を模式的に示す第2図である。図7は、d/FWHM=2.5の場合の照射強度分布と位置との関係を示している。この場合、複数の電子ビームAが空間的に離れた位置に照射されることになるので、複数の電子ビームAは強め合いにくく、単独の照射強度分布が並んだような強度分布が得られる。そのため、累積した照射強度分布における谷部の強度Q3は、図6の累積した照射強度分布における頂部の強度Q1より小さい。d/FWHMが2.5より大きい場合、電子ビームAが照射される隣り合う二つの点の間に投入されるエネルギが適切でないので、温度ムラが比較的大きく、そのため、隣り合う二つの点の間の温度が上がりにくいので、スモーク現象が発生しやすくなり不適切である。
図8は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合に連続する10点に電子ビームAを照射したときの照射強度分布と位置との関係を模式的に示す第3図である。図8は、d/FWHM=1.0の場合の照射強度分布と位置との関係を示している。この場合、複数の電子ビームAが適切な距離を隔てて照射されることになるので、累積した照射強度分布における頂部の強度Q1は単独の電子ビームAの照射強度における頂部の強度Q2より過度に大きくならない。その結果、粉末材料Cの単位面積当たりに投入される電荷量が大きくなってスモーク現象が発生することが抑制される。
図8の例では、累積した照射強度分布における谷部の強度Q3が累積した照射強度分布における頂部の強度Q1より過度に小さくなることが抑制される。そのため、電子ビームAが照射される隣り合う二つの点の間に投入されるエネルギが適切になる。その結果、温度ムラが比較的小さくなり、スモーク現象が発生することが抑制される。したがって、一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔が「d」で表現される場合、dと電子ビームAの半値幅FWHMとの関係は、0.5≦d/FWHM≦2.5であることが適切である。
図9は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が予熱を行う場合に連続する10点に電子ビームAを照射したときの、単独の電子ビームAの照射強度における頂部の強度Q2に対する累積した照射強度分布における頂部の強度Q1の比K1と、累積した照射強度分布における谷部の強度Q3に対する累積した照射強度分布における頂部の強度Q1の比K2と、隣り合う二つの点の間隔dを電子ビームAの強度分布の半値幅FWHMで除した値との関係を示す図である。
0.5≦d/FWHM≦2.5の場合、K1≦2.13、かつK2≧0.03であるので、粉末材料Cの単位面積当たりに電子ビームAにより投入される電荷量がスモーク現象を発生させる閾値を超えず、かつ温度ムラが比較的小さい予熱が実現される。
上述の通り、実施の形態1に係る三次元造形装置1は、電子ビームAが照射される領域Bに敷き均された粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを予熱した後に、粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを溶融させて三次元の物体Eを造形する。三次元造形装置1は、電子ビームAを出射する電子ビーム出射部3を有する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる経路である一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔dは、0.5≦d/FWHM≦2.5の関係になるように設定されている。
これにより、三次元造形装置1は、電子ビームAが照射される位置が急激に変化することを抑制することができる。その結果、電子ビームAが照射される位置の移動について応答遅れが生じにくくなり、三次元造形装置1は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制し、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
実施の形態1では、一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔を電子ビームAの強度分布の半値幅で除した値は、0.5以上2.5以下である。そのため、三次元造形装置1は、粉末材料Cへの電荷の過剰な供給又は粉末材料Cの温度ムラによってスモークが発生することを防止することができる。したがって、三次元造形装置1は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制し、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態2では、一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔が「d」で表現される場合、dと電子ビームAの半値幅FWHMとの関係は、0.7≦d/FWHM≦2.0である。つまり、一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔dを電子ビームAの半値幅FWHMで除した値d/FWHMは、0.7以上、2.0以下である。この場合、実施の形態1において説明した比K1及び比K2は、K1≦1.52、かつK2≧0.12である。比K1は、単独の電子ビームAの照射強度における頂部の強度Q2に対する累積した照射強度分布における頂部の強度Q1の比である。K2は、累積した照射強度分布における谷部の強度Q3に対する累積した照射強度分布における頂部の強度Q1の比である。
実施の形態2では、一筆書き照射経路における隣り合う二つの点の間隔dと電子ビームAの半値幅FWHMとの関係が0.7≦d/FWHM≦2.0である。そのため、粉末材料Cの単位面積当たりに投入される電荷量がスモーク現象を発生させる閾値を超えず、かつ温度ムラが比較的小さい予熱を実現することができる。すなわち、実施の形態2に係る三次元造形装置は、粉末材料Cへの電荷の過剰な供給又は粉末材料Cの温度ムラによってスモークが発生することを防止することができる。更に言うと、実施の形態2に係る三次元造形装置は、実施の形態1に係る三次元造形装置1より好ましい。
実施の形態3.
実施の形態3に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態3では、実施の形態1との相違点を主に説明する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。一筆書き照射経路は、平行に並んだ複数の直線を結ぶ経路である。電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の複数の直線は、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の複数の直線と直交する。
つまり、実施の形態3では、(2n-1)回目の電子ビームAが照射される方向が第1の方向であると定義され、2n回目の電子ビームAが照射される方向が第2の方向であると定義された場合、第1の方向は第2の方向と90度異なる。(2n-1)は奇数であり、2nは偶数である。
図10は、実施の形態3に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第1図である。図11は、実施の形態3に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第2図である。図10及び図11は、プレート23が矩形状である場合の電子ビームAが照射される領域Bを示している。電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、粉末材料Cの表面の領域Bに電子ビームAを照射する。
電子ビーム出射部3は、領域Bにおいて格子状に均等な間隔で配された複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。図10及び図11では、複数の点の各々は黒い丸で示されている。格子は、K行×L列で構成される。図10及び図11では、K及びLは奇数である。
図10及び図11の複数の点を結ぶ直線及び矢印は、一筆書き照射経路の例を示している。電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図10に示されるように、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,2n-1として、ある物が、第1の方向に沿って領域Bのなかの最も左の列の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ右の列へ移動し、再び第1の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,2n-1に至る経路である。終点Pf,2n-1は、領域Bの第2の角部の点である。
電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図11に示されるように、領域Bの第2の角部の点を始点Ps,2nとして、ある物が、第1の方向と直交する第2の方向に沿って領域Bのなかの最も下の行の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ上の行へ移動し、再び第2の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,2nに至る経路である。図11の始点Ps,2nは図10の終点Pf,2n-1である。図11の終点Pf,2nは、図10の始点Ps,2n-1である。
電子ビーム出射部3は、奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図10に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射し、偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図11に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。
次に、図10及び図11において説明された一筆書き照射経路と別の一筆書き照射経路について説明する。図12は、実施の形態3に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第3図である。図13は、実施の形態3に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第4図である。図14は、実施の形態3に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第5図である。図15は、実施の形態3に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第6図である。図12、図13、図14及び図15は、プレート23が矩形状である場合の電子ビームAが照射される領域Bを示している。電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、領域Bに電子ビームAを照射する。
電子ビーム出射部3は、領域Bにおいて格子状に均等な間隔で配された複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。図12、図13、図14及び図15では、複数の点の各々は黒い丸で示されている。格子は、K行×L列で構成される。図12、図13、図14及び図15では、K及びLは偶数である。
図12、図13、図14及び図15の複数の点を結ぶ直線及び矢印は、一筆書き照射経路の例を示している。電子ビーム出射部3が(4n-3)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図12に示されるように、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,4n-3として、ある物が、第1の方向に沿って領域Bのなかの最も左の列の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ右の列へ移動し、再び第1の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,4n-3に至る経路である。終点Pf,4n-3は、領域Bの第3の角部の点である。
電子ビーム出射部3が(4n-2)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図13に示されるように、領域Bの第3の角部の点を始点Ps,4n-2として、ある物が、第1の方向と直交する第2の方向に沿って領域Bのなかの最も上の行の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ下の行へ移動し、再び第2の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,4n-2に至る経路である。図13の始点Ps,4n-2は、図12の終点Pf,4n-3である。図13の終点Pf,4n-2は、領域Bの第2の角部の点である。
電子ビーム出射部3が(4n-1)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図14に示されるように、領域Bの第2の角部の点を始点Ps,4n-1として、ある物が、第1の方向に沿って領域Bのなかの最も右の列の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ左の列へ移動し、再び第1の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,4n-1に至る経路である。図14の始点Ps,4n-1は、図13の終点Pf,4n-2である。図14の終点Pf,4n-1は、領域Bの第4の角部の点である。
電子ビーム出射部3が4n回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図15に示されるように、領域Bの第4の角部の点を始点Ps,4nとして、ある物が、第1の方向と直交する第2の方向に沿って領域Bのなかの最も下の行の端部に至るまで順に隣り合う点を移動し、その後、ひとつ上の行へ移動し、再び第2の方向に沿って反対側の端部まで移動することを繰り返すことによって終点Pf,4nに至る経路である。図15の始点Ps,4nは、図14の終点Pf,4n-1である。図15の終点Pf,4nは、図12の始点Ps,4n-3である。
電子ビーム出射部3は、(4n-3)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図12に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射し、(4n-2)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図13に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。電子ビーム出射部3は、(4n-1)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図14に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射し、4n回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図15に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。
なお、K及びLの一方が偶数であって、K及びLの他方が奇数であってもよい。図12、図13、図14及び図15では、プレート23の形状が矩形状であるので、領域Bの形状は矩形状である。プレート23の形状は、円形状であってもよい。その場合においても、複数の点は、領域Bの1/2以上の範囲において、図12、図13、図14及び図15と同様に格子状に配置される。
上述の通り、実施の形態3に係る三次元造形装置は、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。これにより、実施の形態3に係る三次元造形装置は、電子ビームAが照射される位置が急激に変化することを抑制することができる。一筆書き照射経路は、平行に並んだ複数の直線を結ぶ経路である。電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の複数の直線は、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の複数の直線と直交する。これにより、実施の形態3に係る三次元造形装置は、粉末材料Cにおいて温度ムラが発生することを抑制することができる。したがって、実施の形態3に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態4では、実施の形態1との相違点を主に説明する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。一筆書き照射経路は、平行に並んだ複数の直線を結ぶ経路である。電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の複数の直線は、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の複数の直線と直交する。加えて、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合に通過する格子状の点群は、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合に通過する格子状の点群に対して、行方向および列方向にそれぞれd/2の距離ずれている。
つまり、実施の形態4では、(2n-1)回目の電子ビームAが照射される際に通過する格子状の点群が第1の点群であると定義され、2n回目の電子ビームAが照射される際に通過する格子状の点群が第2の点群であると定義された場合、第1の点は第2の点に対して行および列方向にそれぞれd/2シフトしている。
図16は、実施の形態4に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第1図である。図17は、実施の形態4に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第2図である。図18は、実施の形態4に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第3図である。図19は、実施の形態4に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第4図である。図12から図15と同様に、(2n―1)回目では第1の方向に、2n回目では第2の方向に照射されるのは実施の形態3と同様である。しかしながら、偶数回目に通過する格子状の点群が、奇数回目に通過する格子状の点群の間を埋めるように照射されることを意図したものである。これにより、実施の形態4に係る三次元造形装置は、粉末材料Cにおいて温度ムラが発生することをより抑制することができる。したがって、実施の形態4に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
実施の形態5.
実施の形態5に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態5では、実施の形態1との相違点を主に説明する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。一筆書き照射経路は、矩形スパイラル状の経路である。
図20は、実施の形態5に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第1図である。図21は、実施の形態5に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第2図である。図20及び図21は、プレート23が矩形状である場合の電子ビームAが照射される領域Bを示している。電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、粉末材料Cの表面の領域Bに電子ビームAを照射する。
電子ビーム出射部3は、領域Bにおいて格子状に均等な間隔で配された複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。実施の形態5では、一筆書き照射経路は矩形スパイラル状の経路である。図20及び図21では、複数の点の各々は黒い丸で示されている。格子は、K行×L列で構成される。図20及び図21では、K及びLは偶数である。K及びLの一方又は、双方は奇数であってもよい。
図20及び図21の複数の点を結ぶ直線及び矢印は、一筆書き照射経路の例を示している。電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図20に示されるように、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,2n-1として、ある物が矢印の順に移動する矩形スパイラル状の経路である。
すなわち、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路では、ある物は、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,2n-1として、第2の方向に沿って領域Bのなかの最も上の行の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も右上の端部から第1の方向に沿って領域Bのなかの最も右下の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も右下の端部から第2の方向に沿って領域Bのなかの最も左下の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も左下の端部から第1の方向に沿って領域Bのなかの最も左の列の上から2番目の点に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、領域Bのなかの最も左の列の上から2番目の点から、第2の方向に沿って領域Bのなかの上から2番目の行の右から2番目の点に至るまで順に隣り合う点を移動する。
このように、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図20に示されるように、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,2n-1として、ある物が矢印の順に移動して領域Bの中央のひとつの点Pf,2n-1を終点とする矩形スパイラル状の経路である。
電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図21に示されるように、領域Bの中央のひとつの点を始点Ps,2nとして、ある物が、矢印の順に移動して終点Pf,2nに至る矩形スパイラル状の経路である。図21の始点Ps,2nは、図20の終点Pf,2n-1である。図20と図21とを比較すると理解することができる通り、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路と逆である。
電子ビーム出射部3は、奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図20に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射し、偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図21に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。
上述の通り、実施の形態5に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路は、矩形スパイラル状の経路である。これにより、実施の形態5に係る三次元造形装置は、電子ビームAが照射される位置が急激に変化することを抑制することができる。
実施の形態5に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、矩形スパイラル状の経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。実施の形態5に係る三次元造形装置が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の矩形スパイラル状の経路は、当該三次元造形装置が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の矩形スパイラル状の経路と逆である。これにより、実施の形態5に係る三次元造形装置は、粉末材料Cにおいて温度ムラが発生することを抑制することができる。したがって、実施の形態5に係る三次元造形装置は、予熱を行う際に粉末材料Cを均一に加熱することができる。
なお、図20の終点Pf,2n-1及び図21の始点Ps,2nは、領域Bの中心でなくてもよい。つまり、電子ビーム出射部3は、領域Bの中心に電子ビームAを照射しなくてもよい。電子ビーム出射部3が領域Bの中心に電子ビームAを照射しない場合、実施の形態5に係る三次元造形装置は、予熱を繰り返し行うときに領域Bの中心が熱を蓄積することにより中心及び中心の近傍の温度が高くなりすぎることを防止することができる。
実施の形態6.
実施の形態6に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態6では、実施の形態1との相違点を主に説明する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。具体的には、電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、電子ビームAを4n回照射する。一筆書き照射経路は、矩形スパイラル状の経路である。電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の矩形スパイラル状の経路の回転方向は、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の矩形スパイラル状の経路の回転方向と同じである。
図22は、実施の形態6に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第1図である。図23は、実施の形態6に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第2図である。図24は、実施の形態6に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第3図である。図25は、実施の形態6に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第4図である。図22、図23、図24及び図25は、プレート23が矩形状である場合の電子ビームAが照射される領域Bを示している。電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、領域Bに電子ビームAを照射する。
電子ビーム出射部3は、領域Bにおいて格子状に均等な間隔で配された複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。実施の形態6では、一筆書き照射経路は矩形スパイラル状の経路である。図22、図23、図24及び図25では、複数の点の各々は黒い丸で示されている。格子は、K行×L列で構成される。図22、図23、図24及び図25では、K及びLは偶数である。K及びLの一方又は、双方は奇数であってもよい。
図22、図23、図24及び図25の複数の点を結ぶ直線及び矢印は、一筆書き照射経路の例を示している。上述の通り、実施の形態6では、一筆書き照射経路は矩形スパイラル状の経路である。電子ビーム出射部3が(4n-3)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図22に示されるように、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,4n-3として、ある物が矢印の順に移動する矩形スパイラル状の経路である。
すなわち、電子ビーム出射部3が(4n-3)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路では、ある物は、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,4n-3として、第2の方向に沿って領域Bのなかの最も上の行の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も右上の端部から第1の方向に沿って領域Bのなかの最も右下の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も右下の端部から第2の方向に沿って領域Bのなかの最も左下の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も左下の端部から第1の方向に沿って領域Bのなかの最も左の列の上から2番目の点に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、領域Bのなかの最も左の列の上から2番目の点から、第2の方向に沿って領域Bのなかの上から2番目の行の右から2番目の点に至るまで順に隣り合う点を移動する。
このように、電子ビーム出射部3が(4n-3)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図22に示されるように、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,4n-3として、ある物が矢印の順に移動して領域Bの中央のひとつの点Pf,4n-3を終点とする矩形スパイラル状の経路である。更に言うと、電子ビーム出射部3が(4n-3)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、領域Bの第1の角部の点を始点Ps,4n-3として、ある物が時計回りに進むと共に領域Bの中央の終点Pf,4n-3に進む矩形スパイラル状の経路である。
電子ビーム出射部3が(4n-2)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図23に示されるように、領域Bの中央の点を始点Ps,4n-2として、ある物が矢印の順に移動する矩形スパイラル状の経路である。図23の始点Ps,4n-2は、図22の終点Pf,4n-3である。すなわち、電子ビーム出射部3が(4n-2)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路では、ある物は、領域Bの中央の点を始点Ps,4n-2として、第1の方向に沿って領域Bのなかの始点Ps,4n-2よりひとつ上の点に移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの当該ひとつ上の点から第2の方向に沿って領域Bの当該ひとつ上の点よりひとつ右の点に移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの当該ひとつ右の点から第1の方向に沿って領域Bのなかの当該ひとつ右の点から二つ下の点に移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの当該二つ下の点から第2の方向に沿って領域Bのなかの当該二つ下の点から二つ左の点に移動する。その後、ある物は、領域Bのなかの当該二つ左の点から第1の方向に沿って領域Bのなかの当該二つ左の点から三つ上の点に移動する。
このように、電子ビーム出射部3が(4n-2)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図23に示されるように、領域Bの中央の点を始点Ps,4n-2として、ある物が矢印の順に移動して領域Bの第2の角部の点Pf,4n-2を終点とする矩形スパイラル状の経路である。更に言うと、電子ビーム出射部3が(4n-2)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、領域Bの中央の点を始点Ps,4n-2として、ある物が時計回りに進むと共に領域Bの第2の角部の終点Pf,4n-2に進む矩形スパイラル状の経路である。
電子ビーム出射部3が(4n-1)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図24に示されるように、領域Bの第2の角部の点を始点Ps,4n-1として、ある物が矢印の順に移動する矩形スパイラル状の経路である。すなわち、電子ビーム出射部3が(4n-1)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路では、ある物は、領域Bの第2の角部の点を始点Ps,4n-1として、第2の方向に沿って領域Bのなかの最も下の行の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も左下の端部から第1の方向に沿って領域Bのなかの最も左上の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も左上の端部から第2の方向に沿って領域Bのなかの最も右上の端部に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの最も右上の端部から第2の方向に沿って領域Bのなかの最も右の列の下から2番目の点に至るまで順に隣り合う点を移動する。その後、ある物は、領域Bのなかの最も右の列の下から2番目の点から第2の方向に沿って領域Bのなかの下から2番目の行の左から2番目の点に至るまで順に隣り合う点を移動する。
このように、電子ビーム出射部3が(4n-1)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図24に示されるように、領域Bの第2の角部の点を始点Ps,4n-1として、ある物が矢印の順に移動して領域Bの中央のひとつの点Pf,4n-1を終点とする矩形スパイラル状の経路である。更に言うと、電子ビーム出射部3が(4n-1)回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、領域Bの第2の角部の点を始点Ps,4n-1として、ある物が時計回りに進むと共に領域Bの中央の終点Pf,4n-1に進む矩形スパイラル状の経路である。
電子ビーム出射部3が4n回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図25に示されるように、領域Bの中央の点を始点Ps,4nとして、ある物が矢印の順に移動する矩形スパイラル状の経路である。図25の始点Ps,4nは、図24の終点Pf,4n-1である。すなわち、電子ビーム出射部3が4n回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路では、ある物は、領域Bの中央の点を始点Ps,4nとして、第1の方向に沿って領域Bのなかの始点Ps,4nよりひとつ下の点に移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの当該ひとつ下の点から第2の方向に沿って領域Bの当該ひとつ下の点よりひとつ左の点に移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの当該ひとつ左の点から第1の方向に沿って領域Bのなかの当該ひとつ左の点から二つ上の点に移動する。その後、ある物は、時計回りに90度回転し、領域Bのなかの当該二つ上の点から第2の方向に沿って領域Bのなかの当該二つ上の点から二つ右の点に移動する。その後、ある物は、領域Bのなかの当該二つ右の点から第1の方向に沿って領域Bのなかの当該二つ右の点から三つ下の点に移動する。
このように、電子ビーム出射部3が4n回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図25に示されるように、領域Bの中央の点を始点Ps,4nとして、ある物が矢印の順に移動して領域Bの第1の角部の点Pf,4nを終点とする矩形スパイラル状の経路である。更に言うと、電子ビーム出射部3が4n回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、領域Bの中央の点を始点Ps,4nとして、ある物が時計回りに進むと共に領域Bの第1の角部の終点Pf,4nに進む矩形スパイラル状の経路である。
上述の通り、実施の形態6に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。これにより、実施の形態6に係る三次元造形装置は、電子ビームAが照射される位置が急激に変化することを抑制することができる。したがって、実施の形態6に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
一筆書き照射経路は、矩形スパイラル状の経路である。つまり、実施の形態6に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、矩形スパイラル状の経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の矩形スパイラル状の経路の回転方向は、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の矩形スパイラル状の経路の回転方向と同じである。つまり、実施の形態6では、三次元造形装置が電子ビームAを照射する際の矩形スパイラル状の経路の回転方向は一定である。そのため、実施の形態6に係る三次元造形装置は、応答遅れを比較的少なくして粉末材料Cにおいて温度ムラが発生することを抑制することができる。
実施の形態7.
実施の形態7に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態7では、実施の形態1との相違点を主に説明する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。実施の形態1では、電子ビームAが照射される領域Bは、格子状に均等な間隔で配された複数の点が並べられた領域である。実施の形態7では、電子ビームAが照射される領域Bは、複数の点が最密充填構造の最密充填面の複数の原子の位置に相当する位置に配置された領域である。つまり、実施の形態7では、一筆書き照射経路における複数の点は、最密充填構造の最密充填面の複数の原子の位置に相当する位置に配置された点である。
図26は、実施の形態7に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための図である。図26は、電子ビームAが照射される領域Bを示している。電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、領域Bに電子ビームAを照射する。電子ビーム出射部3は、領域Bにおいて最密充填構造の最密充填面の複数の原子の位置に相当する位置に配置された複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。図26では、複数の点の各々は黒い丸で示されている。図26の複数の点を結ぶ直線及び矢印は、一筆書き照射経路の例を示している。図26における「d」は、複数の点のうちの隣り合う二つの点の距離を示している。
上述の通り、実施の形態7に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、最密充填構造の最密充填面の複数の原子の位置に相当する位置に配置された複数の点が一筆書きで結ばれる一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。つまり、実施の形態7に係る三次元造形装置は、領域Bに対して均等かつムラなく電子ビームAを照射することができる。したがって、実施の形態7に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
実施の形態8.
実施の形態8に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態8では、実施の形態1との相違点を主に説明する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。実施の形態1では、電子ビームAが照射される領域Bは、格子状に均等な間隔で配された複数の点が並べられた領域である。実施の形態8では、電子ビームAが照射される領域Bは円形の領域であって、一筆書き照射経路は円形スパイラル状の経路である。
図27は、実施の形態8に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第1図である。図28は、実施の形態8に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第2図である。電子ビーム出射部3は、予熱を行う場合、粉末材料Cの表面の領域Bに電子ビームAを複数回照射する。
電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図27に示されるように、領域Bの最も外側に位置する点を始点Ps,2n-1として、ある物が第1の回転方向にスパイラル状に移動して領域Bの中心Pf,2n-1に至る円形スパイラル状の経路である。中心Pf,2n-1は、図27に示される円形スパイラル状の経路の終点である。複数の点は、スパイラル状に配置されている。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔は、等しい。第1の回転方向は、時計回りの向きである。図27では、複数の点のうちの始点Ps,2n-1と中心Pf,2n-1の点とが黒い丸で示されている。
電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図28に示されるように、領域Bの中心を始点Ps,2nとして、ある物が第2の回転方向にスパイラル状に移動して領域Bの最も外側に位置する点Pf,2nに至る円形スパイラル状の経路である。つまり、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路と逆である。中心Ps,2nは、図28に示される円形スパイラル状の経路の始点である。複数の点は、スパイラル状に配置されている。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔は、等しい。第2の回転方向は、反時計回りの向きであって、第1の回転方向と逆である。図28では、複数の点のうちの始点Ps,2nと終点Pf,2nの点とが黒い丸で示されている。
電子ビーム出射部3は、奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図27に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射し、偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図28に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。円形スパイラル状の経路のスパイラルのなかの隣り合う二つの曲線の距離tは、一筆書き照射経路に含まれる複数の点における二つの隣り合う点の距離dと等しいことが好ましい。
上述の通り、実施の形態8に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路は円形スパイラル状の経路である。したがって、実施の形態8に係る三次元造形装置は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制して粉末材料Cを適切に加熱することができる。したがって、実施の形態8に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
なお、図27に示される円形スパイラル状の経路の終点Pf,2n-1及び図28に示される円形スパイラル状の経路の始点Ps,2nは、領域Bの中心でなくてもよい。つまり、電子ビーム出射部3は、領域Bの中心に電子ビームAを照射しなくてもよい。電子ビーム出射部3が領域Bの中心に電子ビームAを照射しない場合、実施の形態8に係る三次元造形装置は、予熱を繰り返し行うときに領域Bの中心が熱を蓄積することにより中心及び中心の近傍の温度が高くなりすぎることを防止することができる。
一筆書き照射経路は、図29及び図30に示される経路であってもよい。図29は、実施の形態8に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第3図である。図30は、実施の形態8に係る三次元造形装置が予熱を行う場合の電子ビームAが照射される経路を説明するための第4図である。図29に示される一筆書き照射経路は、複数の同心円が並んだ形状の当該複数の同心円を結ぶひとつの経路である。図30に示される一筆書き照射経路は、複数の同心円がならんだ形状の当該複数の同心円を結ぶ別のひとつの経路である。
図29に示される一筆書き照射経路は、領域Bの最も外側に位置する円のひとつの点を始点Ps,2n-1として、ある物が、当該最も外側に位置する円を第1の回転方向に一周し、その後、当該最も外側に位置する円よりひとつ内側の円に移動し、当該ひとつ内側の円を第1の回転方向に一周し、その後、当該最も外側に位置する円より二つ内側の円に移動し、当該二つ内側の円を第1の回転方向に一周するという動作を繰り返して領域Bの中心Pf,2n-1に至る経路である。中心Pf,2n-1は、図29に示される一筆書き照射経路の終点である。複数の点のうちの複数の点は、等間隔に並んでいる。第1の回転方向は、時計回りの向きである。図29では、複数の点のうちの始点Ps,2n-1及び終点Pf,2n-1は、黒い丸で示されている。図29における矢印は、上記のある物がひとつの円から当該ひとつの円よりひとつ内側の円に移動することを示している。
図30に示される一筆書き照射経路は、領域Bの最も内側に位置する円のひとつの点を始点Ps,2nとして、ある物が、当該最も内側に位置する円を第2の回転方向に一周し、その後、当該最も内側に位置する円よりひとつ外側の円に移動し、当該ひとつ外側の円を第2の回転方向に一周し、その後、当該最も内側に位置する円より二つ外側の円に移動し、当該二つ外側の円を第2の回転方向に一周するという動作を繰り返して領域Bの最も外側に位置する円のひとつの点Pf,2nに至る経路である。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔は、等しい。第2の回転方向は、反時計回りの向きである。図30では、複数の点のうちの始点Ps,2n及び終点Pf,2nは、黒い丸で示されている。図30における矢印は、上記のある物がひとつの円から当該ひとつの円よりひとつ外側の円に移動することを示している。
電子ビーム出射部3は、奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図29に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射し、偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図30に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。図29及び図30の複数の同心円について、隣り合う二つの円の距離tは、複数の点のうちの等間隔に並んでいる二つの隣り合う点の距離dと等しいことが好ましい。なお、図30に示される一筆書き照射経路の回転方向は、第1の回転方向であってもよい。
実施の形態9.
実施の形態9に係る三次元造形装置の構成は、実施の形態1に係る三次元造形装置1の構成と同じである。実施の形態9では、実施の形態8との相違点を主に説明する。電子ビーム出射部3は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。実施の形態8では、図27及び図28を用いて説明した通り、一筆書き照射経路は円形スパイラル状の経路である。実施の形態9でも、一筆書き照射経路は円形スパイラル状の経路である。
実施の形態8では、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路の回転方向は、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路の回転方向と逆である。実施の形態9では、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路の回転方向は、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路の回転方向と同じである。
実施の形態9では、電子ビーム出射部3は、奇数回目に電子ビームAを照射する場合、図27に示される円形スパイラル状の経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。電子ビーム出射部3は、偶数回目に電子ビームAを照射する場合、図31に示される円形スパイラル状の経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。図31は、実施の形態9に係る三次元造形装置が予熱を行う場合において偶数回目に電子ビームAを照射するときの電子ビームAが照射される経路を説明するための図である。
電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路は、図31に示されるように、領域Bの中心を始点Ps,2nとして、ある物が第1の回転方向にスパイラル状に移動して領域Bの最も外側に位置する点Pf,2nに至る円形スパイラル状の経路である。つまり、電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路の回転方向は、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の一筆書き照射経路の回転方向と同じである。中心Ps,2nは、図31に示される円形スパイラル状の経路の始点である。複数の点は、スパイラル状に配置されている。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔は、等しい。
電子ビーム出射部3は、奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図27に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射し、偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合、図31に示される一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。円形スパイラル状の経路のスパイラルのなかの隣り合う二つの曲線の距離は、複数の点のうちの二つの隣り合う点の距離dと等しいことが好ましい。
上述の通り、実施の形態9に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路は円形スパイラル状の経路である。したがって、実施の形態9に係る三次元造形装置は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制して粉末材料Cを適切に加熱することができる。その結果、実施の形態9に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
実施の形態9に係る三次元造形装置は、粉末材料Cを予熱する場合、円形スパイラル状の経路で粉末材料Cに電子ビームAを複数回照射する。電子ビーム出射部3が偶数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の円形スパイラル状の経路の回転方向は、電子ビーム出射部3が奇数回目に粉末材料Cに電子ビームAを照射する場合の円形スパイラル状の経路の回転方向と同じである。つまり、実施の形態9では、三次元造形装置が電子ビームAを照射する際の円形スパイラル状の経路の回転方向は一定である。そのため、実施の形態9に係る三次元造形装置は、応答遅れを比較的少なくして粉末材料Cにおいて温度ムラが発生することを抑制することができる。
実施の形態10.
実施の形態10に係る三次元物体の製造方法では、電子ビームAが照射される領域Bに敷き均された粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを予熱した後に、粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを溶融させて三次元の物体Eを造形する。当該三次元物体の製造方法では、粉末材料Cを予熱する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる経路である一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔は、等しい。
図32は、実施の形態10に係る三次元物体の製造方法の手順の一部を示すフローチャートである。当該三次元物体の製造方法は、実施の形態1から実施の形態9までの三次元造形装置が三次元の物体Eを造形する方法である。つまり、図32は、実施の形態1から実施の形態9までの三次元造形装置の動作の手順の一部を示すフローチャートである。
まず、プレート23の位置を設定する(ステップS1)。物体Eが造形される初期の段階におけるプレート23は、物体Eが造形される後期の段階におけるプレート23より上方に位置する。物体Eの造形が進行すると、プレート23の位置は、徐々に下方へ移動する。例えば、制御部4が昇降機25に制御信号を出力することにより、昇降機25が動作する。昇降機25の動作により、昇降ステージ24及びプレート23が昇降する。その結果、プレート23の位置が設定される。
次に、粉末材料Cをプレート23の上に供給する(ステップS2)。ステップS2は、粉末材料Cの表面を均す処理を含んでもよい。例えば、制御部4が図示しないアクチュエータに制御信号を出力することにより、スキージ27が水平方向に移動する。これにより、粉末材料Cの表面が均される。スキージ27は、プレート23の上に粉末材料Cを供給してもよい。
次に、粉末材料Cを予熱する(ステップS3)。予熱は、粉末材料Cを溶融させる前に行われる。例えば、制御部4が電子ビーム出射部3に制御信号を出力することにより、電子銃部32が電子ビームAを出射し、偏向コイル34が、電子ビームAが照射される位置を制御する。電子ビームAがプレート23の上の粉末材料Cに照射されるので、粉末材料Cが加熱される。予熱が行われる場合、電子ビームAが照射される経路は、実施の形態1から9までのいずれかの一筆書き照射経路である。予熱のための電子ビームAの照射は、1回のみ行われてもよいし、複数回行われてもよい。
次に、三次元の物体を造形する(ステップS4)。例えば、制御部4は、造形すべき物体Eの三次元CADデータを利用して、二次元のスライスデータを生成する。制御部4は、スライスデータをもとに、電子ビームAが照射される領域である造形領域を決定する。制御部4は、電子ビーム出射部3に対し、造形領域に電子ビームAを照射させる制御を行う。ステップS4において、物体Eを構成するひとつの層が造形される。
次に、ステップS4において得られた物体を加熱する(ステップS5)。ステップS5の加熱は、追加加熱である。例えば、制御部4が電子ビーム出射部3に制御信号を出力することにより、電子銃部32が電子ビームAを出射し、偏向コイル34が、電子ビームAが照射される位置を制御する。電子ビームAがプレート23の上の領域Bに照射されるので、ステップS4において得られた物体と粉末材料Cとが追加加熱される。例えば、ステップS5において電子ビームAが照射される経路は、実施の形態1から9までのいずれかの一筆書き照射経路である。追加加熱のための電子ビームAの照射は、1回のみ行われてもよいし、複数回行われてもよい。
次に、三次元の物体Eを造形する方法における終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS6)。具体的には、制御部4が、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立した場合は、三次元の物体Eの造形が終了した場合である。制御部4が、終了条件が成立したと判定した場合(ステップS6でYes)、三次元の物体Eを造形する方法は終了する。制御部4が、終了条件が成立していないと判定した場合(ステップS6でNo)、三次元の物体Eを造形する方法における処理は、ステップS6からステップS1に移行する。ステップS1からステップS5までの処理が繰り返し行われることにより、層状の物体が形成され、最後に物体Eが造形される。
上述の通り、実施の形態10に係る三次元物体の製造方法は、電子ビームAが照射される領域Bに敷き均された粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを予熱した後に、粉末材料Cに電子ビームAを照射して粉末材料Cを溶融させて三次元の物体Eを造形する。当該三次元物体の製造方法では、粉末材料Cを予熱する場合、ひとつの面に並んだ複数の点が一筆書きで結ばれる経路である一筆書き照射経路で粉末材料Cに電子ビームAを照射する。一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔は、等しい。
これにより、実施の形態10に係る三次元物体の製造方法によれば、電子ビームAが照射される位置が急激に変化することを抑制することができる。その結果、電子ビームAが照射される位置の移動について応答遅れが生じにくくなる。したがって、実施の形態10に係る三次元物体の製造方法は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制し、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
例えば、一筆書き照射経路に含まれる複数の点におけるすべての隣り合う二つの点の間隔を電子ビームAの強度分布の半値幅で除した値は、0.5以上2.5以下である。この場合、実施の形態10に係る三次元物体の製造方法は、粉末材料Cへの電荷の過剰な供給又は粉末材料Cの温度ムラによるスモークの発生を防止することができ、その結果、実施の形態10に係る三次元物体の製造方法は、粉末材料Cに対する入熱ムラを抑制し、粉末材料Cを均一に予熱することができる。
図33は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が有する制御部4の少なくとも一部がプロセッサ91によって実現される場合のプロセッサ91を示す図である。つまり、制御部4の少なくともの一部の機能は、メモリ92に格納されるプログラムを実行するプロセッサ91によって実現されてもよい。プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、又はDSP(Digital Signal Processor)である。図33には、メモリ92も示されている。
制御部4の少なくとも一部の機能がプロセッサ91によって実現される場合、当該少なくとも一部の機能は、プロセッサ91と、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェア及びファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。プロセッサ91は、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部4の少なくとも一部の機能を実現する。
制御部4の少なくとも一部の機能がプロセッサ91によって実現される場合、三次元造形装置1は、制御部4によって実行されるステップの少なくとも一部が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を有する。メモリ92に格納されるプログラムは、制御部4の少なくとも一部をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disk)等である。
図34は、実施の形態1に係る三次元造形装置1が有する制御部4の少なくとも一部が処理回路93によって実現される場合の処理回路93を示す図である。つまり、制御部4の少なくとも一部は、処理回路93によって実現されてもよい。処理回路93は、専用のハードウェアである。処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。制御部4の一部は、残部とは別個の専用のハードウェアであってもよい。
制御部4の複数の機能について、当該複数の機能の一部がソフトウェア又はファームウェアで実現され、当該複数の機能の残部が専用のハードウェアで実現されてもよい。このように、制御部4の複数の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって実現することができる。
実施の形態2から実施の形態9までの制御部4の少なくとも一部は、プロセッサによって実現されてもよいし、処理回路によって実現されてもよい。当該プロセッサは、プロセッサ91と同様のプロセッサである。当該処理回路は、処理回路93と同様の処理回路である。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略又は変更することも可能である。