JP2021188078A - 三次元造形装置および三次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉末材料を速やかに昇温させて粉末材料に電子ビームを照射した際の粉末材料の飛散を防止できる三次元造形装置を得ること。【解決手段】三次元造形装置1Aは、粉末材料Aが収納される粉末収納部を有する収納タンクと、電子ビームBを出射し、粉末材料Aに電子ビームBを照射する電子ビーム出射部2と、照射領域37を覆い、電子ビームBが照射された粉末材料Aから放射された輻射熱を受けて昇温するとともに、昇温した後に照射領域37の粉末材料Aに対して輻射熱を放射する輻射シールド38と、を備える。輻射シールド38は、粉末収納部から排出される粉末材料Aを照射領域37に供給するための粉末流路を、粉末材料Aから放射された輻射熱を受ける面に隣り合う領域に有する。【選択図】図1
Description
本開示は、三次元の物体を造形する三次元造形装置および三次元造形物の製造方法に関する。
従来、電子ビームを照射することにより溶融固化させることができる金属粉末材料を電子ビームの照射によって選択的に固化させる工程を繰り返すことにより三次元造形物を製造する三次元造形装置が用いられている。電子ビームを使用した三次元造形装置においては、金属粉末材料に電子ビームを照射した際に、帯電した金属粉末材料同士のクーロン力による反発によって金属粉末材料が飛散してしまう。このため、金属粉末材料に対して電子ビームを照射する際には、金属粉末材料の帯電を抑制することが必要である。
特許文献1には、敷き詰められた粉末層に対向するように配されて粉末層の表面からの熱輻射によって加熱される輻射シールドを備え、加熱された輻射シールドからの熱輻射によって粉末層の表面が予熱される三次元造形装置が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1によれば、輻射シールドにより粉末層の表面の保温性を高めることができるが、粉末材料を予め加熱する機能は備えておらず、レーザビームが照射される粉末材料をより速やかに昇温させる観点で改良の余地がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、粉末材料を速やかに昇温させて粉末材料に電子ビームを照射した際の粉末材料の飛散を防止できる三次元造形装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる三次元造形装置は、電子ビームの照射領域に供給された粉末材料を電子ビームの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物を製造する三次元造形装置である。三次元造形装置は、粉末材料が収納される粉末収納部を有する収納タンクと、電子ビームを出射し、粉末材料に電子ビームを照射する電子ビーム出射部と、照射領域を覆い、電子ビームが照射された粉末材料から放射された輻射熱を受けて昇温するとともに、昇温した後に照射領域の粉末材料に対して輻射熱を放射する輻射シールドと、を備える。輻射シールドは、粉末収納部から排出される粉末材料を照射領域に供給するための粉末流路を、粉末材料から放射された輻射熱を受ける面に隣り合う領域に有する。
本開示にかかる三次元造形装置によれば、粉末材料を速やかに昇温させて粉末材料に電子ビームを照射した際の粉末材料の飛散を防止できる、という効果を奏する。
以下に、実施の形態にかかる三次元造形装置および三次元造形物の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの概要構成を示す模式図である。図2は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの造形部3および輻射シールド38の構成を示す模式図である。図3は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの輻射シールド38とホッパ34とシャッター42とを示す斜視図である。図1および図2は、三次元造形装置1Aを側面から見た状態を示している。
図1は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの概要構成を示す模式図である。図2は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの造形部3および輻射シールド38の構成を示す模式図である。図3は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの輻射シールド38とホッパ34とシャッター42とを示す斜視図である。図1および図2は、三次元造形装置1Aを側面から見た状態を示している。
三次元造形装置1Aは、照射領域37に粉末材料Aを供給した後に、粉末材料Aを敷き均す。そして、三次元造形装置1Aは、粉末材料Aに対して電子ビームBを照射することにより粉末材料Aを溶融させ、その後、溶融した粉末材料Aを凝固させる。三次元造形装置1Aは、これらの動作を繰り返して行うことによって、溶融固化した粉末材料Aが堆積された三次元物体である三次元造形物Oの造形を行う。すなわち、三次元造形装置1Aは、電子ビームBの照射領域37に供給された粉末材料Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物Oを製造する。
本実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aは、電子ビーム出射部2と、造形部3と、制御部4と、を備える。なお、以下の説明において、上下方向は、電子ビーム出射部2から電子ビームBが出射される方向に平行な方向であり、鉛直方向に対応する。
電子ビーム出射部2は、電子ビームBを出射して、造形部3に配置された粉末材料Aに対して電子ビームBを照射する。電子ビーム出射部2から出射された電子ビームBは、後述する照射領域37に敷き均された粉末材料Aに照射される。電子ビームBが粉末材料Aに照射されることにより、粉末材料Aは溶融し、その後、凝固する。また、電子ビーム出射部2は、三次元造形物Oの造形を行う前に粉末材料Aに対して電子ビームBを照射し、粉末材料Aの予備的な加熱を行ってもよい。
電子ビーム出射部2は、電子銃部21と、収束コイル22と、偏向コイル23と、を備える。電子銃部21と収束コイル22と偏向コイル23とは、例えば、電子ビーム出射部2の筐体であって筒状を呈するコラム24の内部に設置される。
電子銃部21は、制御部4と電気的に接続されている。電子銃部21は、制御部4から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて作動する。電子銃部21は、電子ビームBを出射する。電子銃部21は、例えば、電子銃部21の下方に向けて電子ビームBを出射する。本実施の形態1では、電子銃部21は、電子銃部21の下方に向けて鉛直方向下向きに電子ビームBを出射するものとする。
収束コイル22は、制御部4と電気的に接続されている。収束コイル22は、電子ビームBを収束させる。偏向コイル23は、制御部4と電気的に接続されている。偏向コイル23は、制御部4から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて作動する。偏向コイル23は、制御信号に基づいて電子ビームBの照射位置を調整する。偏向コイル23は、電子ビームBの電磁的なビーム偏向を行う。したがって、偏向コイル23は、機械的なビーム偏向と比べて、電子ビームBの照射時における走査速度を高速なものとすることができる。
制御部4は、三次元造形装置1Aの装置全体の制御を行う電子制御ユニットである。制御部4は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータにより実現される。制御部4は、後述するプレート31を昇降させる制御であるプレート31の昇降制御、後述するシャッター42を開閉させる制御であるシャッター42の開閉制御、後述するスキージ33を作動させる制御であるスキージ33の作動制御、電子ビームBの出射の制御である電子ビームBの出射制御、および偏向コイル23を作動させる制御である偏向コイル23の作動制御を実行する。
制御部4は、プレート31の昇降制御として、昇降機32に制御信号を送信することにより、昇降機32を作動させる。昇降機32の作動によって、プレート31の上下位置が調整される。制御部4は、プレート31上へ所望の粉末供給量の粉末材料Aが供給されるように、シャッター42に対して制御信号を送信して、シャッター42の開閉を作動させる。シャッター42の開閉によって、所望の粉末供給量の粉末材料Aが、照射領域37および照射領域37の周辺を含むプレート31上へ供給される。制御部4は、スキージ33の作動制御として、電子ビームBの出射前にスキージ33を作動させる。スキージ33の作動によって、プレート31上に配置された粉末材料Aが均される。制御部4は、電子ビームBの出射制御として、電子銃部21に制御信号を送信する。制御部4から電子銃部21に送信された制御信号に基づいて、電子銃部21から電子ビームBが出射される。
制御部4は、偏向コイル23の作動制御として、偏向コイル23に制御信号を送信する。制御部4から偏向コイル23に送信された制御信号に基づいて、電子ビームBの照射位置が制御される。例えば、制御部4には、造形すべき物体の三次元CAD(Computer−Aided Design)データが入力される。制御部4は、入力された三次元CADデータに基づいて、造形すべき三次元造形物Oを二次元においてスライスしたときのデータである二次元のスライスデータを生成する。スライスデータは、例えば、造形すべき三次元造形物Oの水平断面のデータである。スライスデータは、上下方向における位置に対応した多数のデータの集合体である。制御部4は、スライスデータに基づいて、粉末材料Aに対して電子ビームBを照射する領域である照射領域37を決定する。照射領域37は、粉末材料Aに対して電子ビームBが照射されて三次元造形物Oが形成される造形領域といえる。そして、制御部4は、決定した照射領域37に対応して、偏向コイル23に制御信号を送信する。
造形部3は、所望の三次元造形物Oが造形される部位である。造形部3は、チャンバ30内に粉末材料Aが配置される。造形部3は、チャンバ30の内部に、プレート31と、昇降機32と、スキージ33と、ホッパ34と、昇降ステージ35と、造形タンク36と、輻射シールド38と、ホッパ34と輻射シールド38とを接続する接続部39と、を備える。チャンバ30内は、真空またはほぼ真空な状態である。
プレート31は、造形タンク36の内部に配置され、粉末材料Aおよび造形される三次元造形物Oを支持する。三次元造形物Oは、プレート31上で造形される。プレート31は、例えば矩形状の板状体である。プレート31は、矩形状の板状体の他に、円状の板状体であってもよい。プレート31は、電子ビーム出射部2から出射される電子ビームBの出射方向の延長線上に配置されている。本実施の形態1では、電子ビーム出射部2から出射される電子ビームBの出射方向は、電子銃部21から鉛直方向下向きの方向である。プレート31は、例えば、面内方向が水平方向と平行とされて設けられる。プレート31は、プレート31の下方に設置されている昇降ステージ35に支持されている。プレート31は、昇降ステージ35と共に上下方向に移動する。
昇降機32は、プレート31の下方に設置され、プレート31を支持するとともにプレート31を昇降させる。昇降機32は、制御部4と電気的に接続されている。昇降機32は、制御部4から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて作動する。昇降機32は、昇降ステージ35と共にプレート31を上下方向に移動させることにより、上下方向におけるプレート31の位置を調節することができる。
例えば、昇降機32は、三次元造形装置1Aにおける三次元造形物Oの造形の初期において昇降ステージ35と共にプレート31を上方へ移動させる。昇降機32は、プレート31上における粉末材料Aの溶融および凝固によって粉末材料Aが積層されるごとに、プレート31を降下させる。昇降機32は、プレート31を昇降できる構造のものであれば、構造は特に制限されない。
造形タンク36は、例えば、角筒状に形成されている。造形タンク36の角筒状の軸方向は、プレート31の移動方向、すなわち上下方向と平行とされている。角筒状の軸方向と垂直な面における造形タンク36の断面形状は、プレート31の外形形状と相似な形状である、矩形形状である。角筒状の軸方向と垂直な面は、水平方向と平行な面である。したがって、また、角筒状の軸方向と垂直な面における造形タンク36の断面は、水平断面である。
昇降ステージ35の面内方向における外形形状は、造形タンク36の水平断面の内側形状に対応している。つまり、造形タンク36の内側形状が水平断面で矩形である場合、昇降ステージ35の外形形状も矩形である。これにより、造形タンク36に供給される粉末材料Aは、昇降ステージ35の下方へ漏れ落ちにくくなる。また、粉末材料Aが昇降ステージ35の下方へ漏れ落ちることを抑制するために、昇降ステージ35の外縁部にシール材を設けてもよい。なお、造形タンク36の水平断面の内側形状の形状は、矩形に限定されない。造形タンク36の形状は、水平断面円形の円筒状であってもよい。
粉末材料Aは、固化して三次元造形物Oを構成する粉末状の材料であり、多数の粉末体により構成される。粉末材料Aは、電子ビーム出射部2から出射された電子ビームBが照射されることで溶融凝固または焼結する。粉末材料Aとしては、例えば金属粉末が用いられる。また、粉末材料Aとしては、電子ビームBの照射により溶融凝固または焼結可能なものであれば、粉末より粒径の大きい粒体を用いてもよい。すなわち、本実施の形態1における粉末材料とは、粉末体と流体との少なくとも一方を含むものとする。
スキージ33は、プレート31の上方に配される粉末材料Aをプレート31上において敷き均す。スキージ33は、例えば、棒状の部材または板状の部材が用いられる。スキージ33は、これらの部材を水平方向に移動させることにより、粉末材料Aの表面を敷き均す。スキージ33は、図示しないアクチュエータおよび機構により移動させられる。なお、粉末材料Aを敷き均す機構としては、スキージ33以外の機構を用いることができる。
ホッパ34は、チャンバ30の内部において予め決められた高さに支持され、粉末材料Aを収容する収容タンクである。ホッパ34は、粉末材料Aが収納される粉末収納部341と、ホッパ34の下部、すなわち粉末収納部341の下部に形成されて粉末材料Aをホッパ34の外部に排出する排出口342と、を有する。排出口342から排出された粉末材料Aは、後述する接続部39および輻射シールド38の内部に設けられた流路を通って、プレート31上へ供給される。または、排出口342から排出された粉末材料Aは、スキージ33によってプレート31上へ供給される。
輻射シールド38は、チャンバ30の内部において予め決められた高さに支持され、プレート31上において電子ビームBが照射される領域である照射領域37の全体を覆うように設けられている。輻射シールド38は、上面視において照射領域37の全体を覆って設けられており、照射領域37の面方向において照射領域37の全体を含むように設けられている。照射領域37の面方向は、水平方向に平行な方向であり、電子ビームBの進行方向に垂直な面に平行な方向である。
輻射シールド38は、下底部分が開放されて内部が中空とされた四角錐台形状を有する。輻射シールド38は、電子ビームBが通る中空部である中空部381を有する。輻射シールド38は、四角錐台形状の下底部分および上底部分が水平方向に平行とされて配置されている。
輻射シールド38の外形形状および中空部381は、側面視において下方へ向かうほど幅が広がる台形状、すなわち照射領域37に近いほど幅が広がる台形状を有し、側面視において下方へ向かうほど水平方向に平行な方向の断面積が大きくなっている。また、輻射シールド38が設置される高さは、スキージ33の移動を妨げない範囲であれば、特に限定されない。
輻射シールド38は、電子ビーム出射部2と対向する開口部41が上端面382に設けられている。そして、輻射シールド38は、電子ビームBが通る中空部381が上端から下端にわたって内部に形成されているため、電子ビーム出射部2から照射領域37への電子ビームBの照射が輻射シールド38に妨げられることはない。
輻射シールド38の内部には、ホッパ34の排出口342から排出された粉末材料Aが流動する流路である粉末流路383が設けられている。粉末流路383は、後述するように、電子ビームBが照射された粉末材料Aから放射された輻射熱を受ける面に隣り合う領域に設けられている。また、輻射シールド38の下端には、粉末流路383を流れた粉末材料Aをプレート31へ供給する粉末供給口384が設けられている。また、輻射シールド38は、接続部39を介してホッパ34と接続されている。接続部39の内部は、ホッパ34の排出口342と、輻射シールド38の粉末流路383とを接続し、排出口342から排出された粉末材料Aが粉末流路383に流れる流路である接続部流路391とされている。
ホッパ34に貯留された粉末材料Aは、ホッパ34の排出口342から接続部39の内部の接続部流路391に排出される。接続部流路391に排出された粉末材料Aは、接続部流路391を通って輻射シールド38の内部の粉末流路383に流れる。粉末流路383に流れた粉末材料Aは、重力によって下方に流動し、粉末供給口384から流れ出る。
粉末供給口384には、粉末供給口384を開閉するためのシャッター42が設けられている。これにより、プレート31上へ供給される粉末材料Aの供給量である粉末供給量と、粉末材料Aの供給のタイミングとを任意に制御することができる。
粉末供給口384から流れ出た粉末材料Aは、照射領域37の周辺に、安息角をなして滞在する。スキージ33の動作によって粉末材料Aが移動すると、適宜シャッター42が開閉され、順次、粉末材料Aが落下供給される。これにより、三次元造形装置1Aでは、途切れることなく安定的に粉末材料Aをプレート31上の照射領域37の周辺に供給することができる。なお、ここでは、粉末供給口384にシャッター42が設けられた例を示したが、三次元造形装置1Aはシャッター42が設けられていない構成とすることも可能である。シャッター42が設けられていない構成の場合、粉末材料Aが自然に粉末供給口384から落下供給される。
輻射シールド38は、照射領域37に配置されて電子ビームBが照射されることにより昇温した粉末材料Aの表面から放射される輻射熱を受け、昇温する。輻射シールド38は、昇温した粉末材料Aの表面から放射される輻射熱を受けて、速やかに熱的に定常な状態に至ることが好ましい。このため、輻射シールド38は、0.1mm以上、2.0mm以下の薄板の板金部品によって形成されている。輻射シールド38を薄板の板金部品によって構成することにより、輻射シールド38の熱容量を小さく抑えることができ、輻射シールド38の温度が、速やかに上昇して一定温度で飽和する。
また、輻射シールド38は、粉末流路383以外の部分では、複数枚の薄板の板金部品を重ねることによって多層構造に構成されている。これにより、輻射シールド38は、輻射シールド38の保温性をより高めることができる。輻射シールド38は、1枚の薄板の板金部品のみで構成した場合よりも熱容量が大きくなり、昇温した輻射シールド38の温度がより長時間にわたって維持され、輻射シールド38の保温性が向上する。すなわち、輻射シールド38は、粉末流路383に隣り合う領域以外の部分の熱容量を粉末流路383に隣り合う領域の熱容量よりも大きくすることにより、昇温した輻射シールド38の温度がより長時間にわたって維持され、輻射シールド38の保温性が向上する。例えば、輻射シールド38における粉末流路383以外の部分を、3枚の薄板の板金部品を重ねて構成することによって、より高い輻射シールド38の保温性を得ることができる。
つぎに、上述した構成を有する実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aを用いた三次元造形物Oの製造方法について説明する。図4は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの動作の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS10において、粉末材料Aの供給工程が行われる。粉末材料Aの供給工程では、制御部4は、プレート31上へ所望の粉末供給量の粉末材料Aが供給されるように、シャッター42に対して制御信号を送信して、シャッター42の開閉の制御を行う。これにより、所望の粉末供給量の粉末材料Aが、照射領域37および照射領域37の周辺を含むプレート31上へ供給される。
つぎに、ステップS20において、電子ビームBの照射工程が行われる。電子ビームBの照射工程では、制御部4は、粉末材料Aを溶融凝固させるための電子ビームBを電子ビーム出射部2から出射させて、照射領域37に配置された粉末材料Aに対して電子ビームBを照射させる。
図5は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aにおいて電子ビームBが照射された粉末材料Aから発生する熱輻射H1を説明する図である。照射領域37に配置された粉末材料Aに電子ビームBが照射されると、電子ビームBが照射された粉末材料Aが昇温して溶融するとともに、図5に示すように電子ビームBが照射された粉末材料Aからプレート31の上方に向かって熱輻射H1が発生する。ここで、輻射シールド38は、照射領域37の全体の領域を上方から覆うように設けられているため、プレート31の上方に向かう熱輻射H1の大部分を回収し昇温する。
図6は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aにおいて昇温した輻射シールド38から発生する熱輻射H2を説明する図である。輻射シールド38の表面が昇温すると、昇温した輻射シールド38の表面からは、図6に示すようにプレート31に配置された粉末材料Aの表面に向かって熱輻射H2が発生する。そして、照射領域37に配置された粉末材料Aを含む、プレート31上に配置された粉末材料Aは、昇温した輻射シールド38からの熱輻射H2によって昇温し、保温される。これにより、プレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない粉末材料Aは、昇温した輻射シールド38からの熱輻射H2によって昇温し、保温される。電子ビームBが照射されていない粉末材料Aは、昇温し、保温されることによって、粉末材料Aへの電荷の蓄積が緩和され、帯電が抑制される。粉末材料Aが保温される温度は、粉末材料Aの融点未満の温度である。
また、照射領域37において電子ビームBが照射されて昇温した粉末材料Aからは、電子ビームBが照射されていない粉末材料Aへの熱移動が発生する。これにより、プレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない粉末材料Aは、電子ビームBが照射されて昇温した照射領域37の粉末材料Aからの熱移動によっても昇温し、保温される。粉末材料Aが保温される温度は、粉末材料Aの融点未満の温度である。
つぎに、ステップS30において、制御部4は、三次元造形物Oの造形が完了したか否
かを判定する。三次元造形物Oの造形が完了したと判定された場合は、ステップS30においてYesとなり、制御部4は、一連の三次元造形物Oの造形の制御処理を終了する。三次元造形物Oの造形が完了していないと判定された場合は、ステップS30においてNoとなり、制御部4は、ステップS10に戻り、三次元造形物Oの造形の制御処理を継続する。
かを判定する。三次元造形物Oの造形が完了したと判定された場合は、ステップS30においてYesとなり、制御部4は、一連の三次元造形物Oの造形の制御処理を終了する。三次元造形物Oの造形が完了していないと判定された場合は、ステップS30においてNoとなり、制御部4は、ステップS10に戻り、三次元造形物Oの造形の制御処理を継続する。
上記のように、三次元造形装置1Aでは、三次元造形物Oを形成する照射領域37に粉末材料Aを供給し、照射領域37に供給した粉末材料Aに選択的に電子ビームBを照射して粉末材料Aを溶融凝固させる工程を、三次元造形物Oが形成されるまで複数回繰り返し行うことで、溶融凝固した複数層の粉末層を積層して三次元造形物Oを得ることができる。そして、三次元造形装置1Aを用いた三次元造形物の製造方法では、電子ビームBの照射領域37に供給された粉末材料Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物Oを製造することができる。
このような電子ビームBを使用した三次元造形装置1Aにおいては、粉末材料Aに対して電子ビームBを照射した際に、帯電した粉末材料A同士のクーロン力による反発によって粉末材料Aが飛散してしまう。このため、粉末材料Aに対して電子ビームBを照射する際には予め粉末材料Aの帯電を抑制する処置が必要不可欠となっている。
上記のように、三次元造形装置1Aでは、プレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない粉末材料Aは、昇温した輻射シールド38からの熱輻射H2によって昇温し、保温される。また、プレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない粉末材料Aは、電子ビームBが照射されて昇温した照射領域37の粉末材料Aからの熱移動によっても昇温し、保温される。粉末材料Aが保温される温度は、粉末材料Aの融点未満の温度である。
これにより、三次元造形装置1Aでは、プレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない粉末材料Aを、電子ビームBを照射しても粉末材料Aの飛散が生じない温度に昇温させて保温することができ、プレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない粉末材料Aの帯電を抑制することができる。このため、三次元造形装置1Aでは、昇温し、保温された粉末材料Aに電子ビームBを照射して粉末材料Aを溶融凝固させる際の、粉末材料Aの飛散の発生を抑制することができる。
そして、三次元造形装置1Aでは、シャッター42が閉じられている状態において、接続部流路391に粉末材料Aが充填されている。接続部流路391に充填されている粉末材料Aは、昇温した輻射シールド38からの熱移動によって昇温し、保温される。このため、三次元造形装置1Aでは、つぎにシャッター42が開かれて照射領域37および照射領域37の周辺を含むプレート31上へ供給された粉末材料Aは、電子ビームBが照射されても粉末材料Aの飛散が生じない温度に保温されている。
そして、この粉末材料Aは、昇温し、保温されることによって、粉末材料Aへの電荷の蓄積が緩和され、帯電が抑制されている。これにより、三次元造形装置1Aは、照射領域37に供給された粉末材料Aに電子ビームBを照射した際に、粉末材料Aの飛散の発生を抑制することができる。したがって、三次元造形装置1Aでは、照射領域37に供給された粉末材料Aに電子ビームBを照射した際の粉末材料Aの飛散の発生をより確実に抑制することができる。
また、三次元造形装置1Aは、電子ビームBが照射されていない粉末材料Aの温度を、電子ビームBを照射しても粉末材料Aの飛散が生じない温度に保つことによる帯電の抑制の効果に加え、副次的な効果として、粉末材料Aを溶融凝固させるときに三次元造形体である溶融凝固した粉末層に生じる熱ひずみおよび残留応力を低減する効果を得ることができる。
また、三次元造形装置1Aは、電子ビームBが照射されていない粉末材料Aの温度を、電子ビームBを照射しても粉末材料Aの飛散が生じない適切な温度に保持することによって、例えば三次元造形物Oを形成後に一般的に実施される熱処理を兼ねることが可能となる。すなわち、三次元造形物Oを形成後に、三次元造形物Oを三次元造形装置1Aから取り出さずに予め決められた時間だけ保持することにより、三次元造形物Oを形成後に実施される熱処理を三次元造形装置1Aにおいて実施することも可能である。この場合の適切な温度は、粉末材料Aの融点未満の温度であり、三次元造形物Oを形成後に実施される熱処理条件を満たす温度である。
上述したように、本実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aでは、輻射シールド38を備え、輻射シールド38の内部の粉末流路383を経由した粉末材料Aが照射領域37に供給される。これにより、三次元造形装置1Aは、照射領域37から発せられた輻射熱、すなわち電子ビームBが照射された粉末材料Aの表面から発せられた輻射熱を受けて輻射シールド38が加熱され、照射領域37を含むプレート31上に配置された粉末材料Aに対して輻射シールド38から輻射熱が発せられることで、プレート31に配置された粉末材料Aの表面を昇温させて、粉末材料Aの表面の保温性を高めることができる。
また、三次元造形装置1Aは、電子ビームBが照射された粉末材料Aから放射された輻射熱を受ける面に隣り合う領域に設けられた、輻射シールド38の内部の粉末流路383に粉末材料Aが充填されていることで輻射シールド38自体の保温性が高まり、プレート31に配置された粉末材料Aの表面の、熱輻射H2による保温性をより高めることができる。
また、三次元造形装置1Aは、電子ビームBが照射された粉末材料Aから放射された輻射熱を受ける面に隣り合う領域に粉末流路383が設けられ、輻射シールド38が受けた輻射熱により、輻射シールド38の内部の粉末流路383を流動する粉末材料Aが加熱されるので、プレート31に配置された粉末材料Aの表面を速やかに高温に保つことができる。
すなわち、三次元造形装置1Aは、照射領域37に配置された粉末材料Aの表面を速やかに昇温し、かつ電子ビームBが照射されても粉末材料Aの飛散が生じない温度に容易に維持することができる。
三次元造形装置においては、例えば粉末材料を予熱する工程を造形工程内に設けることが考えられる。例えば、予熱工程において、デフォーカスした電子ビームを粉末材料に照射することによって、局所的な帯電を防ぎながら粉末材料を予め高温化することにより、粉末材料の電気抵抗を低下させ、その後の溶融凝固させるための電子ビームの照射により電子が粉末材料に帯電することを抑制可能である。しかしながら、このような予熱工程を実施する場合には、粉末材料を溶融凝固させる前に都度予熱する時間が必要となるので、造形時間が長時間になる、粉末材料を高温に保つことができない場合がある、という問題がある。
また、例えば、粉末材料を加熱するためのヒーターを三次元造形装置が備えることによって、粉末材料の帯電を抑制する方法が考えられる。しかしながら、この場合は、ヒーターの通電時に生じる電場によって電子ビームの軌跡が曲げられ、適切な位置に電子ビームを照射できないおそれがある。
一方、本実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aでは、上記のような問題は発生せず、照射領域37に配置される粉末材料Aの表面を速やかに昇温させることが可能である。また、三次元造形装置1Aでは、昇温した輻射シールド38の温度がより長時間にわたって維持され、照射領域37に配置される粉末材料Aの表面を、電子ビームBが照射されても粉末材料Aの飛散が生じない温度に、より長時間にわたって維持することが可能である。
すなわち、本実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aは、粉末材料Aの加熱のための専用の構成部が不要であり、粉末材料Aの加熱のための専用の工程が不要であり、制御部4における粉末材料Aの加熱のための専用の制御が不要であり、制御部4における制御の負荷が増えることがない。
したがって、本実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aによれば、粉末材料Aを速やかに昇温させて粉末材料Aに電子ビームBを照射した際の粉末材料Aの飛散を防止できる、という効果を奏する。
実施の形態2.
本実施の形態2では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aにおいて、ホッパ34と輻射シールド38とが接続部39を介して接続されるのではなく、ホッパ34aが輻射シールド38の機能を兼ねた構成を有する三次元造形装置1Bについて説明する。
本実施の形態2では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aにおいて、ホッパ34と輻射シールド38とが接続部39を介して接続されるのではなく、ホッパ34aが輻射シールド38の機能を兼ねた構成を有する三次元造形装置1Bについて説明する。
図7は、実施の形態2にかかる三次元造形装置1Bの概要構成を示す模式図である。図8は、実施の形態2にかかる三次元造形装置1Bの造形部3およびホッパ34aの構成を示す模式図である。図9は、実施の形態2にかかる三次元造形装置1Bのホッパ34aとシャッター42とを示す斜視図である。実施の形態2にかかる三次元造形装置1Bは、ホッパ34の代わりに、ホッパ34aを有する。三次元造形装置1Bにおけるその他の構成は実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aと同様である。なお、上述した三次元造形装置1Aと同様の構成については、同じ符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
ホッパ34aは、照射領域37と相対して、電子ビームBの照射経路に対して相対する面が、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの輻射シールド38の機能を兼ね備える。ホッパ34aは、概略、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aにおけるホッパ34と輻射シールド38とが一体にされた構造を有する。ホッパ34aは、チャンバ30の内部において予め決められた高さに支持され、プレート31上において電子ビームBが照射される領域である照射領域37の全体を覆うように設けられている。ホッパ34aは、上面視において照射領域37の全体を覆って設けられており、照射領域37の面方向において照射領域37の全体を含むように設けられている。照射領域37の面方向は、水平方向に平行な方向であり、電子ビームBの進行方向に垂直な面に平行な方向である。
ホッパ34aを構成する面のうち、照射領域37と電子ビームBの照射経路とに対して相対する面である複数の相対面34a1が、三次元造形装置1Aの輻射シールド38に対応する、照射領域37からの輻射熱を受けて粉末材料Aに輻射熱を返す輻射シールド38の機能を備える。
ホッパ34aは、複数の相対面34a1に囲まれた空間が、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの中空部381に対応する中空部34a2とされている。複数の相対面34a1は、下底部分が開放されて内部が中空とされた四角錐台形状に配置されて、中空部34a2を囲っている。すなわち、中空部34a2は、四角錐台形状を有する。
中空部34a2の四角錐台形状は、側面視において下方へ向かうほど幅が広がる台形状、すなわち照射領域37に近いほど幅が広がる台形状を有し、側面視において下方へ向かうほど水平方向に平行な方向の断面積が大きくなっている。また、ホッパ34aが設置される高さは、スキージ33の移動を妨げない範囲であれば、特に限定されない。
ホッパ34aは、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの開口部41に対応する開口部34a3が上端面34a4に設けられている。ホッパ34aは、上端面34a4が水平方向に平行とされて配置されている。そして、ホッパ34aは、電子ビームBが通る中空部34a2が上端から下端にわたって内部に形成されているため、電子ビーム出射部2から照射領域37への電子ビームBの照射がホッパ34aに妨げられることはない。
ホッパ34aの内部には、ホッパ34aから排出される粉末材料Aが流動する流路である粉末流路34a5が設けられている。また、ホッパ34aの下端には、粉末流路34a5を流れた粉末材料Aをプレート31へ供給する粉末供給口34a6が設けられている。ホッパ34aに貯留された粉末材料Aは、粉末流路34a5を重力によって下方に流動し、粉末供給口34a6から流れ出る。
ホッパ34aは、粉末材料Aが収納される粉末収納部341の底部は、重力によって粉末材料Aが流動し、粉末供給口34a6に向けて流れるように傾斜を備えている。これにより、途切れることなく粉末材料Aが粉末供給口34a6に向かって流動することができる。
粉末供給口34a6には、粉末供給口34a6を開閉するためのシャッター42が設けられている。これにより、プレート31上へ供給される粉末材料Aの供給量である粉末供給量と、粉末材料Aの供給のタイミングとを任意に制御することができる。
粉末供給口34a6から流れ出た粉末材料Aは、照射領域37の周辺に、安息角をなして滞在する。スキージ33の動作によって粉末材料Aが移動すると、適宜シャッター42が開閉され、順次、粉末材料Aが落下供給される。これにより、三次元造形装置1Bでは、途切れることなく安定的に粉末材料Aをプレート31上の照射領域37の周辺に供給することができる。なお、ここでは、粉末供給口34a6にシャッター42が設けられた例を示したが、三次元造形装置1Bはシャッター42が設けられていない構成とすることも可能である。シャッター42が設けられていない構成の場合、粉末材料Aが自然に粉末供給口34a6から落下供給される。
ホッパ34aの相対面34a1は、照射領域37に配置されて電子ビームBが照射されることにより昇温した粉末材料Aの表面から放射される輻射熱を受け、昇温する。相対面34a1は、昇温した粉末材料Aの表面から放射される輻射熱を受けて、速やかに熱的に定常な状態に至ることが好ましい。このため、相対面34a1は、0.1mm以上、2.0mm以下の薄板の板金部品によって形成されている。相対面34a1を薄板の板金部品によって構成することにより、相対面34a1の熱容量を小さく抑えることができ、相対面34a1の温度が、速やかに上昇して一定温度で飽和する。
また、相対面34a1は、粉末流路34a5を構成する部分以外の部分では、複数枚の薄板の板金部品を重ねることによって多層構造に構成されてもよい。これにより、相対面34a1は、相対面34a1の保温性をより高めることができる。相対面34a1は、1枚の薄板の板金部品のみで構成した場合よりも熱容量が大きくなり、昇温した相対面34a1の温度がより長時間にわたって維持され、相対面34a1の保温性が向上する。例えば、相対面34a1における粉末流路34a5以外の部分を、3枚の薄板の板金部品を重ねて構成することによって、より高い相対面34a1の保温性を得ることができる。
ホッパ34aにおいては、相対面34a1と、中空部34a2と、開口部34a3と、粉末流路34a5と、粉末供給口34a6とを用いることによって、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aの輻射シールド38の機能を実現することができる。
ホッパ34aにおいて粉末材料Aが収納される粉末収納部341の水平断面の面積は、相対的に照射領域37に近い部分において、それ以外より小さくなっている。すなわち、粉末流路34a5の水平断面の面積は、粉末収納部341の水平断面の面積よりも小さくなっている。換言すると、ホッパ34aにおいては、粉末供給口34a6の直上の領域は、粉末材料Aが流動する流路の断面積が小さく絞られた形状を備える。
このように、相対的に照射領域37に近く輻射熱を多く受け、かつ、プレート31上へ供給される直前の粉末材料Aが蓄えられている粉末流路34a5の断面積が小さく絞られていることにより、プレート31上へ供給される直前の粉末材料Aの温度を安定して電子ビームBを照射しても粉末材料Aの飛散が生じない温度に加熱することが可能である。
中空部34a2の四角錐台形状の側面部分を囲う相対面34a1のうち対向する一対の相対面34a1は、図7および図8に示すように粉末収納部341の側面を構成している。中空部34a2の四角錐台形状の側面部分を囲う相対面34a1のうち、図7および図8に示されていない対向する他の一対の相対面34a1は、粉末収納部341の側面を構成していない。このため、他の一対の相対面34a1には、実施の形態1と同様に輻射シールド38を備えていてもよい。
上述した本実施の形態2にかかる三次元造形装置1Bによれば、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aと同様の効果を有する。
また、本実施の形態2にかかる三次元造形装置1Bによれば、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aに比べて少ない構成要素で三次元造形装置1Aと同様の効果を得ることができ、より簡便な装置構成で三次元造形装置1Aと同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
本実施の形態3では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aにおいて、ホッパ34がチャンバ30の外部に設けられた構成を有する三次元造形装置1Cについて説明する。図10は、実施の形態3にかかる三次元造形装置1Cの概要構成を示す模式図である。
本実施の形態3では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aにおいて、ホッパ34がチャンバ30の外部に設けられた構成を有する三次元造形装置1Cについて説明する。図10は、実施の形態3にかかる三次元造形装置1Cの概要構成を示す模式図である。
実施の形態3にかかる三次元造形装置1Cは、輻射シールド38の上部において粉末流路に接続されて粉末収納部341と粉末流路383とを接続する接続部流路391を備える。すなわち、実施の形態3にかかる三次元造形装置1Cでは、ホッパ34をチャンバ30の外側の上部に備えている。輻射シールド38は、接続部39を介してホッパ34と接続されている。接続部39の内部の接続部流路391は、輻射シールド38における上部において輻射シールド38の内部の粉末流路383に接続している。輻射シールド38における上部は、たとえば輻射シールド38の高さにおける中央よりも上の部分である。ホッパ34の内部とチャンバ30の内部とはいずれも真空またはほぼ真空な状態とされている。
ホッパ34に貯留された粉末材料Aは、ホッパ34の排出口342から接続部39の内部の接続部流路391に排出される。接続部流路391に排出された粉末材料Aは、接続部流路391を通って輻射シールド38の内部の粉末流路383に流れる。粉末流路383に流れた粉末材料Aは、重力によって下方に流動し、粉末供給口384から流れ出る。
三次元造形装置1Cは、チャンバ30の外部上方にホッパ34を備えているので、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aに比べて、相対的に高い位置から輻射シールド38の粉末流路383に粉末材料Aを流動させることができる。このため、三次元造形装置1Cは、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aに比べて、照射領域37から輻射熱を受ける面に隣り合う粉末流路383を長く設けることが可能であり、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aに比べて粉末材料Aが粉末流路383の内部に滞在する時間を長くすることができる。このため、三次元造形装置1Cは、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aに比べて、粉末材料Aの温度をより高めて保温することができ、プレート31上に供給する粉末材料Aの温度をより高めることができる。これにより、三次元造形装置1Cは、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aに比べて、照射領域37に供給された粉末材料Aに電子ビームBを照射した際の粉末材料Aの飛散の発生をより確実に抑制することができる。
なお、図10では、ホッパ34を片側に一つ備える例について示しているが、実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aと同様に、輻射シールド38の左右に1つずつ備える構成とされてもよい。
上述した本実施の形態3にかかる三次元造形装置1Cによれば、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aと同様の効果を有する。
また、本実施の形態3にかかる三次元造形装置1Cによれば、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1Aに比べて粉末材料Aの温度をより高めて保温することができ、照射領域37に供給された粉末材料Aに電子ビームBを照射した際の粉末材料Aの飛散の発生をより確実に抑制することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1A,1B,1C 三次元造形装置、2 電子ビーム出射部、3 造形部、4 制御部、21 電子銃部、22 収束コイル、23 偏向コイル、24 コラム、30 チャンバ、31 プレート、32 昇降機、33 スキージ、34,34a ホッパ、34a1 相対面、34a2,381 中空部、34a3,41 開口部、34a4,382 上端面、34a5,383 粉末流路、34a6,384 粉末供給口、35 昇降ステージ、36 造形タンク、37 照射領域、38 輻射シールド、39 接続部、42 シャッター、341 粉末収納部、342 排出口、391 接続部流路、A 粉末材料、B 電子ビーム、H1 熱輻射、H2 熱輻射、O 三次元造形物。
Claims (5)
- 電子ビームの照射領域に供給された粉末材料を前記電子ビームの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物を製造する三次元造形装置であって、
前記粉末材料が収納される粉末収納部を有する収納タンクと、
前記電子ビームを出射し、前記粉末材料に前記電子ビームを照射する電子ビーム出射部と、
前記照射領域を覆い、前記電子ビームが照射された前記粉末材料から放射された輻射熱を受けて昇温するとともに、昇温した後に前記照射領域の前記粉末材料に対して輻射熱を放射する輻射シールドと、
を備え、
前記輻射シールドは、前記粉末収納部から排出される前記粉末材料を前記照射領域に供給するための粉末流路を、前記粉末材料から放射された輻射熱を受ける面に隣り合う領域に有すること、
を特徴とする三次元造形装置。 - 前記収納タンクと前記輻射シールドとが一体に設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の三次元造形装置。 - 前記収納タンクが、前記輻射シールドの上方に設けられ、
前記輻射シールドの上部において前記粉末流路に接続されて前記粉末収納部と前記粉末流路とを接続する接続部流路を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の三次元造形装置。 - 前記輻射シールドは、前記粉末流路に隣り合う領域以外の熱容量が前記粉末流路に隣り合う領域の熱容量よりも大きいこと、
を特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の三次元造形装置。 - 電子ビームの照射領域に供給された粉末材料を前記電子ビームの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
前記粉末材料が収納される粉末収納部を有する収納タンクの前記粉末収納部から排出された前記粉末材料を前記照射領域に供給する供給工程と、
前記照射領域に供給された前記粉末材料に前記電子ビームを照射する照射工程と、
を含み、
前記照射工程では、前記照射領域を覆う輻射シールドが、前記電子ビームが照射された前記粉末材料から放射された輻射熱を受けて昇温するとともに、昇温した後に前記照射領域の前記粉末材料に対して輻射熱を放射し、
前記輻射シールドは、前記粉末収納部から排出される前記粉末材料を前記照射領域に供給するための粉末流路を、前記粉末材料から放射された輻射熱を受ける面に隣り合う領域に有すること、
を特徴とする三次元造形物の製造方法。
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